(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061286
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】目詰まり判定システム、目詰まり判定方法、および目詰まり判定プログラム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20230424BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20230424BHJP
B01D 35/143 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
E02F9/20 Z
B01D35/02 E
B01D35/14 102
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171194
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 康輔
(72)【発明者】
【氏名】寺内 謙一
(72)【発明者】
【氏名】土原 達也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 和宏
(72)【発明者】
【氏名】中川 智廣
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮
【テーマコード(参考)】
2D003
4D116
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA06
2D003BB02
2D003BB03
2D003CA03
2D003DA03
2D003DB02
2D003DB07
2D003DC02
2D003FA02
4D116BB01
4D116KK05
4D116QA13C
4D116QA13F
4D116QC04A
4D116QC04B
4D116QC06A
4D116QC06B
4D116VV04
(57)【要約】
【課題】フィルタの目詰まりの度合いの算出に必要なデータ量を抑制しつつ、フィルタの目詰まりの度合いを精度良く算出する。
【解決手段】コントローラ60には、フィルタ45を通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である特定条件が設定される。コントローラ60は、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間Taを算出する。コントローラ60は、特定条件が満たされるとともに圧力検出部51に検出された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した積算時間Tbを算出する。コントローラ60は、特定条件充足時間Taと、積算時間Tbと、に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の油圧アクチュエータを作動させるための作動油が通るフィルタの目詰まりの度合いを判定する目詰まり判定システムであって、
前記フィルタの前後の差圧を検出する圧力検出部と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラには、前記フィルタを通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である特定条件が設定され、
前記コントローラは、
前記特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間を算出し、
前記特定条件が満たされるとともに前記圧力検出部に検出された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した積算時間を算出し、
前記特定条件充足時間と、前記積算時間と、に基づいて、前記フィルタの目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する、
目詰まり判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の目詰まり判定システムであって、
前記目詰まり度は、前記特定条件充足時間に対する前記積算時間の比率である、
目詰まり判定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の目詰まり判定システムであって、
前記目詰まり度に関する情報と時間との関係を表示する表示部を備える、
目詰まり判定システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の目詰まり判定システムであって、
報知を行う報知部を備え、
前記コントローラには、前記目詰まり度の大きさに関する所定の閾値であって互いに異なる複数の目詰まり度閾値が設定され、
前記コントローラは、前記コントローラが算出した前記目詰まり度に関する情報が、各前記目詰まり度閾値に達する毎に前記報知部に報知を行わせる、
目詰まり判定システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の目詰まり判定システムであって、
前記作業機械は、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、
前記下部走行体の走行、前記下部走行体に対する前記上部旋回体の旋回、および前記アタッチメントの作動、の少なくともいずれかを行う前記油圧アクチュエータを操作するための操作部と、
を備え、
前記特定条件は、前記操作部の操作量が、所定の操作量閾値以上になることを含む、
目詰まり判定システム。
【請求項6】
請求項5に記載の目詰まり判定システムであって、
前記油圧アクチュエータは、片ロッドかつ複動の油圧シリンダを備え、
前記特定条件は、前記油圧シリンダに縮小動作を行わせる前記操作部の操作量が、前記操作量閾値以上であることを含む、
目詰まり判定システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の目詰まり判定システムであって、
前記作業機械は、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動させるエンジンと、
を備え、
前記特定条件は、前記エンジンの回転数が所定の回転数閾値以上であることを含む、
目詰まり判定システム。
【請求項8】
作業機械の油圧アクチュエータを作動させるための作動油が通るフィルタの目詰まりの度合いを判定する目詰まり判定方法であって、
前記フィルタの前後の差圧を取得する差圧取得ステップと、
前記フィルタを通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間を算出する特定条件充足時間算出ステップと、
前記特定条件が満たされるとともに前記差圧取得ステップで取得された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した積算時間を算出する積算時間算出ステップと、
前記特定条件充足時間と、前記積算時間と、に基づいて、前記フィルタの目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する目詰まり度算出ステップと、
を備える、
目詰まり判定方法。
【請求項9】
作業機械の油圧アクチュエータを作動させるための作動油が通るフィルタの目詰まりの度合いを判定する目詰まり判定プログラムであって、
前記フィルタの前後の差圧を取得する差圧取得ステップと、
前記フィルタを通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間を算出する特定条件充足時間算出ステップと、
前記特定条件が満たされるとともに前記差圧取得ステップで取得された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した積算時間を算出する積算時間算出ステップと、
前記特定条件充足時間と、前記積算時間と、に基づいて、前記フィルタの目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する目詰まり度算出ステップと、
をコンピュータに実行させる、
目詰まり判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油が通るフィルタの目詰まりの度合いを判定する目詰まり判定システム、目詰まり判定方法、および目詰まり判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、フィルタの目詰まりの度合いを判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の技術では、フィルタの前後の差圧(圧力損失)が、常時検出および記憶される。そのため、フィルタの目詰まりの度合いに必要なデータ量が膨大になる。
【0005】
また、フィルタの前後の差圧は、フィルタを通過する作動油の流量によって変わる。同文献に記載の技術では、フィルタの前後の差圧が常時検出されるので、差圧の検出時にフィルタを通過する流量が安定しない。その結果、フィルタの目詰まりの度合いを精度良く算出することが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、フィルタの目詰まりの度合いの算出に必要なデータ量を抑制しつつ、フィルタの目詰まりの度合いを精度良く算出することができる、目詰まり判定システム、目詰まり判定方法、および目詰まり判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
目詰まり判定システムは、作業機械の油圧アクチュエータを作動させるための作動油が通るフィルタの目詰まりの度合いを判定する。目詰まり判定システムは、前記フィルタの前後の差圧を検出する圧力検出部と、コントローラと、を備える。前記コントローラには、特定条件が設定される。前記特定条件は、前記フィルタを通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である。前記コントローラは、前記特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間を算出する。前記コントローラは、積算時間を算出する。前記積算時間は、前記特定条件が満たされるとともに前記圧力検出部に検出された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した時間である。前記コントローラは、前記特定条件充足時間と、前記積算時間と、に基づいて、前記フィルタの目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する。
【0008】
目詰まり判定方法は、作業機械の油圧アクチュエータを作動させるための作動油が通るフィルタの目詰まりの度合いを判定する。目詰まり判定方法は、差圧取得ステップと、特定条件充足時間算出ステップと、積算時間算出ステップと、目詰まり度算出ステップと、を備える。前記差圧取得ステップは、前記フィルタの前後の差圧を取得する。前記特定条件充足時間算出ステップは、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間を算出する。前記特定条件は、前記フィルタを通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である。前記積算時間算出ステップは、積算時間を算出する。前記積算時間は、前記特定条件が満たされるとともに前記差圧取得ステップで取得された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した時間である。前記目詰まり度算出ステップは、前記特定条件充足時間と、前記積算時間と、に基づいて、前記フィルタの目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する。
【0009】
目詰まり判定プログラムは、作業機械の油圧アクチュエータを作動させるための作動油が通るフィルタの目詰まりの度合いを判定する。目詰まり判定プログラムは、差圧取得ステップと、特定条件充足時間算出ステップと、積算時間算出ステップと、目詰まり度算出ステップと、をコンピュータに実行させる。前記差圧取得ステップは、前記フィルタの前後の差圧を取得する。前記特定条件充足時間算出ステップは、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間を算出する。前記特定条件は、前記フィルタを通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である。前記積算時間算出ステップは、積算時間を算出する。前記積算時間は、前記特定条件が満たされるとともに前記差圧取得ステップで取得された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した時間である。前記目詰まり度算出ステップは、前記特定条件充足時間と、前記積算時間と、に基づいて、前記フィルタの目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する。
【発明の効果】
【0010】
上記の目詰まり判定システムにより、目詰まり判定方法、および目詰まり判定プログラムのそれぞれにより、フィルタの目詰まりの度合いの算出に必要なデータ量を抑制しつつ、フィルタの目詰まりの度合いを精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】目詰まり判定システム1の作業機械10を横から見た図である。
【
図2】
図1に示す目詰まり判定システム1のブロック図である。
【
図3】
図1に示す目詰まり判定システム1の作動を示すフローチャートである。
【
図4】
図2に示す表示部71による表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1~
図4を参照して、目詰まり判定システム1について説明する。
【0013】
目詰まり判定システム1は、
図2に示すフィルタ45(後述)の目詰まりの度合い(程度)を判定するシステムである。目詰まり判定システム1は、作業機械10と、コントローラ60(コンピュータ)と、表示部71と、報知部73と、を備える。
【0014】
作業機械10は、
図1に示すように、作業を行う機械であり、例えば建設作業を行う建設機械であり、例えばショベルでもよく、クレーンでもよい。以下では、作業機械10がショベルである場合について説明する。作業機械10は、下部走行体11と、上部旋回体13と、アタッチメント15と、を備える。
図2に示すように、作業機械10は、エンジン19と、油圧回路20と、圧力検出部51と、操作部52と、操作量検出部53と、流量検出部54と、作動油温検出部55と、エンジン回転数検出部56と、を備える。
【0015】
下部走行体11(走行装置)は、
図1に示すように、作業機械10を走行させる装置である。例えば、下部走行体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。
【0016】
上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体13は、運転室13aを備える。運転室13aは、オペレータが作業機械10の操作を行うことが可能な部分である。作業機械10の操作は、運転室13aで行われる必要はなく、遠隔操作されてもよく、自動操作されてもよい。
【0017】
アタッチメント15は、作業を行う部分である。アタッチメント15は、例えば、ブーム15aと、アーム15bと、先端アタッチメント15cと、を備える。ブーム15aは、上部旋回体13に起伏可能(上下方向に回転可能)に取り付けられる。アーム15bは、ブーム15aに対して回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、アタッチメント15の先端部に設けられ、アーム15bに回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、例えば土砂をすくうバケットでもよく、物を挟む装置(グラップルなど)でもよく、破砕や掘削などを行う装置(ブレーカなど)でもよい。
【0018】
エンジン19(
図2参照)は、作業機械10の駆動源である。
図2に示すエンジン19は、油圧ポンプ21(後述)を駆動させる。
【0019】
油圧回路20は、作業機械10の作動を制御するための回路である。油圧回路20は、油圧ポンプ21と、油圧アクチュエータ30と、コントロールバルブ41と、タンク43と、フィルタ45と、を備える。
【0020】
油圧ポンプ21は、油圧アクチュエータ30に作動油を供給する。油圧ポンプ21は、エンジン19により駆動させられる。油圧ポンプ21の容量は、可変である。油圧ポンプ21の吐出量は、油圧ポンプ21の回転数と容量との積に比例する。
【0021】
油圧アクチュエータ30は、
図1に示す作業機械10を作動させる。油圧アクチュエータ30は、油圧モータ31と、油圧シリンダ33と、を備える。
【0022】
油圧モータ31は、作動油が供給されることにより回転駆動する。油圧モータ31は、走行モータ31aと、旋回モータ31bと、を備える。走行モータ31aは、下部走行体11を走行させ、例えばクローラを駆動させる。旋回モータ31bは、下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させる。
【0023】
油圧シリンダ33は、作動油が供給されることにより伸縮駆動する伸縮シリンダである。油圧シリンダ33は、ブームシリンダ33aと、アームシリンダ33bと、先端アタッチメントシリンダ33cと、を備える。また、それぞれの油圧シリンダ33(ブームシリンダ33a、アームシリンダ33b、および先端アタッチメントシリンダ33cのそれぞれ)は、片ロッドかつ複動である(片ロッドシリンダかつ複動シリンダである)。それぞれの油圧シリンダ33は、
図2に示すように、チューブ33eと、ロッド33fと、ピストン33gと、ヘッド室33hと、キャップ室33iと、を備える。
【0024】
ブームシリンダ33aは、
図1に示すように、アタッチメント15を作動させる油圧アクチュエータ30である(アームシリンダ33bおよび先端アタッチメントシリンダ33cも同様)。ブームシリンダ33aは、上部旋回体13に対してブーム15aを起伏させる。ブームシリンダ33aが伸長動作を行うことで、ブーム15aが上がる動作(ブーム15a上げ)が行われる。ブームシリンダ33aが縮小動作を行うことで、ブーム15aが下がる動作(ブーム15a下げ)が行われる。
【0025】
アームシリンダ33bは、ブーム15aに対してアーム15bを回転させる。アームシリンダ33bが伸長動作を行うことで、アーム15bの先端がブーム15a側に移動する動作(アーム15b引き)が行われる。アームシリンダ33bが縮小動作を行うことで、アーム15bの先端がブーム15aから遠ざかる側に移動する動作(アーム15b押し)が行われる。
【0026】
先端アタッチメントシリンダ33cは、アーム15bに対して先端アタッチメント15cを回転させる。先端アタッチメントシリンダ33cが伸長動作を行うことで、先端アタッチメント15cの先端が上部旋回体13側(先端アタッチメント15cがバケットの場合は掘削側)に移動する動作が行われる。先端アタッチメントシリンダ33cが縮小動作を行うことで、先端アタッチメント15cの先端が上部旋回体13から遠ざかる側(先端アタッチメント15cがバケットの場合は開放側)に移動する動作が行われる。なお、例えば先端アタッチメント15cが物を挟む装置である場合などのように、先端アタッチメント15c自体が駆動可能である場合、先端アタッチメント15cを駆動させるための油圧アクチュエータ30が設けられてもよい。
【0027】
チューブ33eは、
図2に示すように、筒状部材である。ロッド33fは、チューブ33eに差し込まれ、チューブ33eに対して、チューブ33eの軸方向に移動する。ピストン33gは、ロッド33fに固定される。ピストン33gは、チューブ33e内の空間を、ヘッド室33hとキャップ室33iとに隔てる。ヘッド室33hは、ピストン33gで隔てられたチューブ33e内の空間のうち、チューブ33eに対してロッド33fが突出する側(ロッド33f側)の空間である。キャップ室33iは、ピストン33gで隔てられたチューブ33e内の空間のうち、ロッド33f側とは反対側(キャップ側)の空間である。ヘッド室33hに作動油が供給され、キャップ室33iから作動油が排出されると、油圧シリンダ33が縮小動作を行う。キャップ室33iに作動油が供給され、ヘッド室33hから作動油が排出されると、油圧シリンダ33が伸長動作を行う。ヘッド室33h内にはロッド33fが有り、キャップ室33i内にはロッド33fが無い。そのため、油圧シリンダ33が縮小動作する場合は、油圧シリンダ33が伸長動作する場合に比べ、油圧シリンダ33から排出される作動油の流量が大きくなる(例えば約2倍などになる)。
【0028】
コントロールバルブ41は、油圧ポンプ21から油圧アクチュエータ30に供給される作動油の方向および流量を制御する。コントロールバルブ41は、各油圧アクチュエータ30(
図1に示す走行モータ31a、ブームシリンダ33aなど)に供給される作動油の方向および流量を制御する。コントロールバルブ41は、コントロールバルブ41に入力されるパイロット油圧に応じて作動油を制御してもよく、コントロールバルブ41に入力される電気信号に応じて作動油を制御してもよい。
【0029】
タンク43は、
図2に示す油圧アクチュエータ30を作動させるための作動油を貯留する。
【0030】
フィルタ45は、作動油に含まれるゴミ(埃、鉄粉など)を濾過する。フィルタ45(リターンフィルタ)が通る作動油は、タンク43に戻される作動油である。例えば、油圧アクチュエータ30から排出され、タンク43に戻る作動油が、フィルタ45を通ってもよい。油圧ポンプ21から吐出され、油圧アクチュエータ30を通らずにタンク43に戻る作動油が、フィルタ45を通ってもよい。
【0031】
圧力検出部51は、フィルタ45の前後の差圧(以下、フィルタ45の「前後差圧」ともいう)を検出する。圧力検出部51が検出するフィルタ45の前後差圧は、フィルタ45の上流側(入口側)と下流側(出口側)との差圧(圧損)である。なお、例えば、フィルタ45の下流側の圧力が既知である場合などには、圧力検出部51は、フィルタ45の上流側の圧力のみを検出してもよい(この場合も、フィルタ45の前後差圧を圧力検出部51が検出することに含まれる)。
【0032】
この圧力検出部51は、具体的には例えば、圧力検出スイッチでもよい。この場合、圧力検出部51は、検出した差圧が所定の閾値(差圧閾値)を超える場合はオンになり(オン信号を出力し)、検出した差圧が差圧閾値を超えない場合はオフになる(オン信号を出力しない)。差圧閾値は、様々な大きさに設定可能である。差圧閾値は、例えば大気圧と同じ程度などであり、例えば0.1MPaなどである。通常、圧力検出スイッチは圧力センサよりも精度が高く、0.1MPa以下の圧力の検出を圧力センサよりも精度良く行うことができる。
【0033】
なお、圧力検出部51は、圧力検出スイッチでなくてもよく、圧力の値を検出する圧力センサでもよい。圧力検出部51は、フィルタ45の上流側の圧力と下流側の圧力との差を出力してもよい。圧力検出部51は、フィルタ45の上流側の圧力と下流側の圧力とをコントローラ60に出力し、コントローラ60がこれらの圧力の差を算出してもよい(この場合も、フィルタ45の前後差圧を圧力検出部51が検出することに含まれる)。
【0034】
操作部52は、作業機械10をオペレータが操作するための部分である。操作部52は、
図1に示す油圧アクチュエータ30を操作するための部分であり、走行モータ31a、旋回モータ31b、ブームシリンダ33a、アームシリンダ33b、および先端アタッチメントシリンダ33cを操作するための部分である。操作部52(
図2参照)は、運転室13a内に配置されてもよい。操作部52は、運転室13aの外部に配置されてもよい。操作部52は、作業機械10の構成要素でなくてもよい。運転室13aの外部に配置されてもよいことは、操作量検出部53(
図2参照)も同様である。
図2に示す操作部52は、操作レバーでもよく、操作ペダルでもよい。操作部52は、油圧式でも、電気式でもよい。さらに詳しくは、操作部52が油圧式の場合、操作部52は、コントロールバルブ41を操作するためのパイロット油圧を出力するリモコン弁でもよい。操作部52が電気式の場合、操作部52は、コントローラ60に電気信号を出力してもよい。この場合、コントローラ60が、コントロールバルブ41に指令を出力してもよい。
【0035】
操作量検出部53は、操作部52での操作量を検出する。例えば、操作量検出部53は、操作部52の物理的な移動量を直接的に検出するセンサを備えてもよく、具体的には例えば、レバーの角度やペダルの踏み込み量などを検出するセンサを備えてもよい。例えば、操作部52が油圧式である場合は、操作量検出部53は、操作部52が出力したパイロット油圧を検出する圧力センサを備えてもよい。例えば、操作部52が電気式である場合は、操作量検出部53は、操作部52が出力した電気信号を検出するセンサを備えてもよい。例えば、操作量検出部53は、コントローラ60でもよく、操作部52からコントローラ60に入力される操作量の情報を取得してもよい。
【0036】
流量検出部54は、フィルタ45を通過する作動油の流量を検出する。例えば、流量検出部54は、フィルタ45に設けられてもよく、フィルタ45につながれた配管に設けられてもよい(作動油温検出部55も同様)。
【0037】
作動油温検出部55は、フィルタ45を通過する作動油の温度を検出する。
【0038】
エンジン回転数検出部56は、エンジン19の回転数を検出する。例えば、エンジン回転数検出部56は、コントローラ60でもよく、コントローラ60とは別に設けられてもよい。エンジン回転数検出部56は、コントローラ60からエンジン19に出力されるエンジン19の回転数の指令を取得してもよい。エンジン回転数検出部56は、エンジン19の駆動軸の回転数を直接的に検出してもよい。
【0039】
コントローラ60は、信号の入出力、演算(処理)、情報の記憶などを行うコンピュータである。例えば、コントローラ60の機能は、コントローラ60の記憶部(図示なし)に記憶されたプログラムが演算部(図示なし)で実行されることにより実現される。コントローラ60は、1か所(例えば作業機械10)にのみ設けられてもよい。コントローラ60は、複数か所に設けられてもよく、例えば、作業機械10、および外部装置E(後述)に設けられてもよい。この場合、コントローラ60は、作業機械側コントローラ61と、外部装置側コントローラ63と、を備える。この場合、作業機械側コントローラ61は、作業機械10の構成要素でもよい。
【0040】
作業機械側コントローラ61は、作業機械10に設けられる。作業機械側コントローラ61は、各種検出部(圧力検出部51、操作量検出部53など)の検出結果を受信する。作業機械側コントローラ61は、例えば、エンジン19に回転数を指令してもよく、油圧ポンプ21に容量を指令してもよい。作業機械側コントローラ61は、操作部52の操作などの様々な条件に応じて、各種機器(例えば、コントロールバルブ41など)への指令を行ってもよい。
【0041】
外部装置側コントローラ63は、外部装置Eに設けられる。外部装置Eは、作業機械10の外部に設けられる装置である。例えば、外部装置Eは、サーバEaを備えてもよく、サーバEaと通信可能な端末装置Ebを備えてもよい。端末装置Ebは、パーソナルコンピュータでもよく、タブレットでもよく、スマートフォンでもよい。外部装置Eは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。外部装置側コントローラ63は、作業機械側コントローラ61との間で通信を行う。この通信は、有線通信を含んでもよく、無線通信を含んでもよく、光通信を含んでもよい。外部装置EがサーバEaと端末装置Ebとを備える場合、外部装置側コントローラ63は、サーバEaに設けられるサーバ側コントローラ63aと、端末装置Ebに設けられる端末側コントローラ63bと、を備える。この場合、例えば、作業機械側コントローラ61とサーバ側コントローラ63aとが互いに通信を行い、サーバ側コントローラ63aと端末側コントローラ63bとが互いに通信を行う。なお、作業機械側コントローラ61と端末側コントローラ63bとが、サーバ側コントローラ63aを介さずに、互いに通信を行ってもよい。コントローラ60の作動の詳細は後述する。
【0042】
表示部71は、作業機械10の状態を表示する。表示部71は、目詰まり度(後述)に関する情報を表示する(可視化する)。表示部71は、例えば、目詰まり度に関する情報と、時間と、の関係を表示する(
図4参照、後述)。表示部71は、コントローラ60が出力した指令に応じて表示を出力する。表示部71は、作業機械10の外部に設けられてもよく、具体的には例えば外部装置Eに設けられてもよい(報知部73も同様)。表示部71は、サーバEaに設けられてもよく、端末装置Ebに設けられてもよい(報知部73も同様)。表示部71が作業機械10の外部に設けられる場合は、作業機械10の外部の作業者(例えば作業機械10の管理者など)が、作業機械10の外部(例えば遠隔地)から、作業機械10の状態(例えばフィルタ45の状態)を容易に把握することができる。その結果、作業機械10の管理を効率化することができる。報知部73が作業機械10の外部に設けられる場合も同様である。表示部71は、作業機械10に設けられてもよく、具体的には例えば運転室13a(
図1参照)の内部などに設けられてもよい(報知部73も同様)。表示部71が作業機械10に設けられる場合は、作業機械10のオペレータが、作業機械10の状態にいち早く(例えば作業機械10を操作しながらでも)気づくことができる。作業機械10の異常をオペレータにできるだけ早く気づかせることで、フィルタ45の部品交換や修理などにかかる時間を抑制することができる。報知部73が作業機械10に設けられる場合も同様である。表示部71は、作業機械10、および作業機械10の外部の両方に設けられてもよい(報知部73も同様)。具体的には例えば、表示部71は、モニタなどである。
【0043】
報知部73は、報知を行う。報知部73は、コントローラ60が出力した指令に応じて報知を出力する。報知部73が出力する報知は、光による報知を含んでもよく、表示による報知を含んでもよく、音による報知を含んでもよい。報知部73が表示を行う場合は、報知部73は、表示部71と兼用されてもよい。
【0044】
(作動)
目詰まり判定システム1の作動、目詰まり判定方法、および目詰まり判定プログラムについて説明する。目詰まり判定プログラムは、コントローラ60(コンピュータ)により実行される。以下の各ステップ(S11~S23)については
図3を参照して説明する。
【0045】
図2に示す目詰まり判定システム1の作動の概要は、次の通りである。予め(後述するステップS11の判定よりも前に)、コントローラ60に特定条件が設定される。コントローラ60は、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間Taを算出する(ステップS12)。コントローラ60は、圧力検出部51に検出された差圧が所定の差圧閾値を超えるとともに特定条件が満たされた時間を積算した積算時間Tbを算出する(ステップS14)。コントローラ60は、特定条件充足時間Taと、積算時間Tbと、に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する(ステップS21)。コントローラ60は、目詰まり度の大きさに基づいて、表示部71による表示や報知部73による報知を行う。以下、目詰まり判定システム1の作動の詳細を説明する。
【0046】
ステップS11では、コントローラ60は、特定条件が満たされるか否かを判定する(特定条件判定ステップ)。ステップS11の処理は、例えば、作業機械側コントローラ61により行われる(ステップS12~S16の処理も同様)。
【0047】
コントローラ60には、予め(ステップS11の判定よりも前に)、特定条件が設定される(特定条件設定ステップ)。特定条件は、フィルタ45の目詰まりの度合いを精度良く算出するために設定される条件である。特定条件は、下記の大流量条件(例えば後述する[例A]および[例B]を参照)を含む。特定条件は、大流量条件とは異なる条件(例えば後述する[例C]を参照)を含んでもよい。
【0048】
大流量条件は、フィルタ45を通る作動油の流量(以下、フィルタ45の「通過流量」ともいう)が所定の流量閾値を超えることである。具体的には、大流量条件は、フィルタ45の通過流量が流量閾値を超えることが直接的または間接的に検出されることを含む。上記「流量閾値」は、油圧ポンプ21の定格流量でもよく、油圧ポンプ21の定格流量に近い値でもよく、油圧ポンプ21の定格流量よりも大きい流量でもよい。流量閾値は、コントローラ60に予め設定される(他の閾値も同様)。
【0049】
大流量条件が設定される理由は、次の通りである。[理由1]目詰まり判定システム1では、フィルタ45の目詰まりの度合いを表す目詰まり度が、フィルタ45の前後差圧などに基づいて算出される。フィルタ45の前後差圧は、フィルタ45の目詰まりの度合いだけでなく、フィルタ45の通過流量によっても変わる。そこで、コントローラ60は、フィルタ45の通過流量が、ある範囲内のときの(具体的には大流量条件を満たすときの)フィルタ45の前後差圧に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを算出する。
【0050】
[理由2]また、フィルタ45の通過流量が小さすぎると、フィルタ45の前後差圧を圧力検出部51が精度良く検出できず、その結果、フィルタ45の目詰まりの度合いを精度良く算出できない場合がある。そこで、コントローラ60は、フィルタ45の通過流量がある程度大きいときの(具体的には大流量条件を満たすときの)フィルタ45の前後差圧に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを算出する。
【0051】
[理由3]また、フィルタ45の通過流量が小さいとき(例えば油圧ポンプ21の定格流量未満のときなど)に、フィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超えるとする(例えば圧力検出スイッチが「オン」になるとする)。このような場合、フィルタ45の通過流量が大きいとき(例えば油圧ポンプ21の定格流量以上のときなど)には、フィルタ45の目詰まりの度合いに関係なく常にフィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超える(例えば圧力検出スイッチが常に「オン」になる)。すると、フィルタ45の目詰まりの度合いを適切に判定することができない。そこで、フィルタ45の通過流量がある程度大きいときに(具体的には大流量条件を満たすときに)、フィルタ45の目詰まりの度合いに応じてフィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超える時間が変わるように、差圧閾値が設定される。
【0052】
上記[理由1]~[理由3]により、コントローラ60は、フィルタ45の通過流量が流量閾値を超えるときの(具体的には大流量条件を満たすときの)フィルタ45の前後差圧に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを算出する。具体的には例えば、大流量条件は、次のように設定される。
【0053】
[例A]大流量条件は、フィルタ45の通過流量が流量閾値を超えることが直接的に検出されることを含んでもよい。さらに詳しくは、大流量条件は、流量検出部54に検出されたフィルタ45の通過流量が、流量閾値を超えることを含んでもよい。
【0054】
[例B]大流量条件は、フィルタ45の通過流量が流量閾値を超えることが間接的に検出されることを含んでもよい。さらに詳しくは、大流量条件は、フィルタ45の通過流量が流量閾値を超えることが想定される状況が検出されることを含んでもよい。この例の具体例として、下記の[例B1]および[例B2]などがある。
【0055】
[例B1]大流量条件は、操作部52の操作量(操作量検出部53に検出された操作量)が所定の操作量閾値以上であること(大流量操作条件を満たすこと)を含んでもよい。ここで、コントローラ60は、操作部52の操作量に応じて、油圧ポンプ21の吐出量を変えるように、予め設定される。その結果、操作部52の操作量に応じて、フィルタ45の通過流量が変わる。
【0056】
具体的には例えば、操作部52の操作量が最大値または略最大値(例えばフルレバーまたは略フルレバー)のときに、操作部52の操作量が操作量閾値以上となるように、操作量閾値が設定される。操作部52の操作量が、最大値でないときや略最大値でないときに、操作部52の操作量が操作量閾値未満となるように、操作量閾値が設定される。
【0057】
[例B1a]大流量条件は、操作部52の複数種類の操作の少なくとも一つの操作量が、操作量閾値以上であることを含んでもよい。例えば、大流量条件は、操作部52の複数種類の操作のうち2以上の操作量が、操作量閾値以上であることを含んでもよい。
【0058】
さらに詳しくは、操作部52は、例えば、
図1に示す下部走行体11の走行(例えば右クローラの前進、後進、左クローラの前進、後進)、上部旋回体13の旋回(右旋回、左旋回)、およびアタッチメント15の作動の操作に用いられる。アタッチメント15の作動の操作には、ブーム15aの上げ、下げ、アーム15bの押し、引き、および先端アタッチメント15cの作動(例えば掘削、開放)の操作がある。大流量条件は、これらの複数種類の操作部52の操作のうち一部の種類の操作が操作量閾値以上であることを含んでもよく、全ての種類の操作が操作量閾値以上であることを含んでもよい。複数種類の操作に対して操作量閾値が設定される場合、操作量閾値の大きさは、操作の種類ごとに異なってもよく、互いに等しくてもよい。具体的には例えば、ブーム15a下げおよびアーム15b押しの操作に操作量閾値が設定される場合に、ブーム15a下げの操作量閾値と、アーム15b押しの操作量閾値とは、互いに異なってもよく、互いに等しくてもよい。
【0059】
[例B1b]大流量条件は、油圧シリンダ33に縮小動作を行わせる操作部52の操作量が、操作量閾値以上になることを含んでもよい。ここで、油圧シリンダ33が縮小動作を行う場合は、油圧シリンダ33が伸長動作する場合に比べ、油圧シリンダ33から排出される作動油の流量が大きい結果、フィルタ45の通過流量が確実に大きくなる。例えば、油圧シリンダ33が縮小動作を行う場合は、油圧ポンプ21が吐出する作動油の流量よりも、フィルタ45の通過流量の方が大きくなる場合がある。例えば、油圧シリンダ33が縮小動作を行う場合は、油圧ポンプ21の定格流量よりも、フィルタ45の通過流量の方が大きくなる場合がある。具体的には例えば、油圧シリンダ33に縮小動作を行わせる操作部52の操作は、
図1に示すブーム15a下げの操作、アーム15b押しの操作、および、先端アタッチメント15cの先端を上部旋回体13から遠ざける操作、の少なくともいずれかである。例えば、大流量条件は、これらの操作のうち、少なくとも1つの操作が行われることを含んでもよく、2以上の操作が行われることを含んでもよい。
【0060】
[例B2]大流量条件は、
図2に示すエンジン19の回転数(エンジン回転数検出部56に検出された回転数)が、所定の回転数閾値以上であることを含んでもよい。油圧ポンプ21の回転数は、例えば、エンジン19の回転数と等しい(エンジン19の回転数に比例してもよい)。そのため、エンジン19の回転数が回転数閾値以上の場合、エンジン19の回転数が回転数閾値未満の場合に比べ、油圧ポンプ21の吐出量が大きくなる。
【0061】
[例C]特定条件は、大流量条件とは異なる条件をさらに含んでもよい。例えば、特定条件は、フィルタ45の前後差圧に影響のある条件を含んでもよい。[例C1]具体的には例えば、特定条件は、作動油の温度(作動油温検出部55に検出された温度)が、所定の範囲内であることを含んでもよい。例えば、特定条件は、作動油の温度が、所定の温度閾値以上であることを含んでもよい。作動油の温度によって、作動油の粘度が変わり、作動油の粘度によって、フィルタ45の前後差圧が変わる。さらに詳しくは、フィルタ45の目詰まりの度合いが同じでも、作動油の温度が低いほど、作動油の粘度が高くなり、フィルタ45の前後差圧が高くなる。作動油の温度が所定の範囲内(例えば温度閾値以上)のときの、フィルタ45の前後差圧に基づいてフィルタ45の目詰まりの度合いが判定されることで、フィルタ45の目詰まりの度合いを精度良く判定することができる。
【0062】
特定条件の具体例は次の通りである。特定条件は、例えば、次の[条件a]、[条件b]、[条件c]、および[条件d]のすべてを満たすことである。[条件a]作動油の温度が、温度閾値(例えば30℃など)以上である。[条件b]エンジン19の回転数が、回転数閾値以上である。[条件c]アーム15b押しの操作量が、アーム15b押し操作に関する操作量閾値以上である(例えばフルレバーまたは略フルレバーである)。[条件d]ブーム15a下げの操作量が、ブーム15a下げ操作に関する操作量閾値以上である(例えばフルレバーまたは略フルレバーである)。
【0063】
特定条件が満たされない場合(ステップS11でNOの場合)、フローはスタートに戻る(ステップS11に戻る)。特定条件が満たされた場合(ステップS11でYESの場合)、フローはステップS12に進む。
【0064】
ステップS12では、コントローラ60は、特定条件充足時間Taを算出する(特定条件充足時間算出ステップ)。特定条件充足時間Taは、特定条件が満たされた時間である。さらに詳しくは、特定条件充足時間Taは、所定の計測期間内において、特定条件が満たされた時間の累計(合計時間)である。さらに具体的には、コントローラ60は、特定条件が満たされた場合、所定の計測期間内において既に累計した特定条件充足時間Taに、新たに測定した特定条件充足時間Taを加算する。上記「計測期間」は、例えば、作業機械10の稼働時間(アワメータ)に基づいて設定される。具体的には例えば、アワメータの値が所定時間(例えば10時間や30時間など)の整数倍になる毎に、今回の計測期間が終了し、次回の計測期間が開始される。例えば、コントローラ60は、新たな計測期間になる毎に、特定条件充足時間Taをゼロに設定(リセット)する(積算時間Tbについても同様)。
【0065】
ステップS13では、コントローラ60は、圧力検出部51に検出されたフィルタ45の前後差圧を取得する(差圧取得ステップ)。そして、コントローラ60は、圧力検出部51に検出されたフィルタ45の前後差圧が、差圧閾値を超えるか否か(
図3では「圧力検出スイッチON」か否か)を判定する(差圧判定ステップ)。この前後差圧が差圧閾値を超える場合(ステップS13でYESの場合)、フローはステップS14に進む。この前後差圧が差圧閾値を超えない場合(ステップS13でNOの場合)、フローはステップS15に進む。
【0066】
ステップS14では、特定条件が満たされる(ステップS11でYES)とともに、圧力検出部51に検出された差圧が差圧閾値を超える場合(ステップS13でYESの場合)に、コントローラ60は、積算時間Tbを算出する(積算時間算出ステップ)。積算時間Tbは、特定条件が満たされるとともに圧力検出部51に検出された差圧(コントローラ60に取得された差圧)が差圧閾値を超えた時間を、積算した時間である。さらに詳しくは、積算時間Tbは、計測期間内において、特定条件が満たされるとともに圧力検出部51に検出された差圧が差圧閾値を超えた時間の累計(合計時間)である。さらに具体的には、コントローラ60は、特定条件が満たされるとともに圧力検出部51に検出された差圧が差圧閾値を超えた場合、所定の計測期間内において既に累計した積算時間Tbに、新たに測定した積算時間Tbを加算する。
【0067】
コントローラ60は、特定条件が満たされるとともにフィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超えたときに、
図1に示す作業機械10が行っていた作動の種類(ブーム15a下げ、アーム15b押しなど)を記憶してもよい。この場合、どのような作動を作業機械10が行ったときに、
図2に示すフィルタ45が目詰まりを起こしやすいか(目詰まりの原因特定)などの分析に、記憶された情報を利用することができる。
【0068】
ステップS15では、作業機械側コントローラ61は、外部装置側コントローラ63に情報を送信する条件(送信条件)が満たされたか否かを判定する(送信条件判定ステップ)。送信条件は、様々に設定可能である。例えば、送信条件は、時刻に関する条件を含んでもよい。例えば、送信条件は、作業機械10が作業を行わないと想定される時刻(夜間の所定の時刻など)であることを含んでもよい。送信条件は、作業機械10のアワメータの値が所定値を超えたことなどを含んでもよい。例えば、送信条件は、作業者の操作(画面操作、ボタン操作など)が行われたことを含んでもよい。送信条件が満たされない場合(ステップS15でNOの場合)、フローはスタートに戻る(ステップS11に戻る)。送信条件が満たされた場合(ステップS15でYESの場合)、フローはステップS16に進む。
【0069】
ステップS16では、作業機械側コントローラ61は、外部装置側コントローラ63に情報を送信する(送信ステップ)。例えば、作業機械側コントローラ61は、特定条件充足時間Taおよび積算時間Tbを外部装置側コントローラ63に送信してもよい。作業機械側コントローラ61は、特定条件充足時間Taおよび積算時間Tbに基づいて目詰まり度(後述)を算出し、算出した目詰まり度を外部装置側コントローラ63に送信してもよい。作業機械側コントローラ61は、現在の作業機械10のアワメータの値を外部装置側コントローラ63に送信してもよい。作業機械側コントローラ61は、特定条件が満たされるとともにフィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超えたときに、作業機械10が行っていた作動の種類を、外部装置側コントローラ63に送信してもよい。
【0070】
ステップS21では、コントローラ60は、目詰まり度を算出する(目詰まり度算出ステップ)。このステップS21の処理は、例えば、外部装置側コントローラ63により行われる(ステップS22およびS23の処理も同様)。上記「目詰まり度」は、フィルタ45の目詰まりの度合いを表す指標である。目詰まり度は、特定条件充足時間Taおよび積算時間Tbに基づいて算出される。
【0071】
コントローラ60が、特定条件充足時間Taおよび積算時間Tbに基づいてフィルタ45の目詰まり度を算出する理由は、次の通りである。フィルタ45の目詰まりが進行するほど、また、フィルタ45の通過流量が大きいほど、フィルタ45の前後差圧が大きくなる。ここで、フィルタ45の目詰まりが比較的小さいときに(例えばフィルタ45の交換が必要ないときに)、フィルタ45の通過流量が油圧ポンプ21の定格流量の1.5倍以上になると、フィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超えるとする。その後、フィルタ45の目詰まりが進行するにしたがって、フィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超えるときのフィルタ45の通過流量が、例えば油圧ポンプ21の定格流量の1.5倍から、1.4倍、1.3倍、というように減少する。そのため、フィルタ45の目詰まりが進行するにしたがって、特定条件を満たすとともにフィルタ45の前後差圧が差圧閾値を超える状況(ステップS11およびS13でYESになる状況)が生じやすくなる。その結果、フィルタ45の目詰まりが進行するにしたがって、積算時間Tbが長くなりやすくなる。
【0072】
一方で、フィルタ45の目詰まりの度合いが同じでも、特定条件を満たす時間が長いほど、積算時間Tbは長くなりやすい。そのため、積算時間Tbのみではフィルタ45の目詰まりの度合いを精度良く判定することができない場合がある。そこで、積算時間Tbだけでなく、特定条件を満たす時間(すなわち特定条件充足時間Ta)にも基づいて、フィルタ45の目詰まり度が算出される。これにより、フィルタ45の目詰まりの度合いを精度良く判定することができる。
【0073】
例えば、目詰まり度は、特定条件充足時間Taに対する、積算時間Tbの比率である。具体的には例えば、目詰まり度は、積算時間Tbを特定条件充足時間Taで割った値(Tb/Ta)などである。なお、目詰まり度は、特定条件充足時間Taおよび積算時間Tbの少なくともいずれかに対して、補正値を、加算、減算、乗算、または除算した値に基づいて算出されてもよい。例えば、目詰まり度は、特定条件充足時間Taに対する、積算時間Tbの比率(例えばTb/Ta)に対して、補正値を、加算、減算、乗算、または除算した値に基づいて算出されてもよい。
【0074】
コントローラ60は、所定のタイミングで目詰まり度を算出する。例えば、コントローラ60は、上記「計測期間」毎(例えば作業機械10(
図1参照)のアワメータの値で30時間毎など)に目詰まり度を算出してもよい。例えば、コントローラ60は、特定条件充足時間Taが所定時間になる毎に目詰まり度を算出してもよい。例えば、コントローラ60(例えば外部装置側コントローラ63)は、作業機械側コントローラ61から外部装置側コントローラ63に情報が送信される毎に目詰まり度を算出してもよい。
【0075】
ステップS22では、コントローラ60は、目詰まり度に関する情報を表示部71に表示させる(表示ステップ)。表示部71は、
図4に示すように、目詰まり度に関する情報と、時間(例えば作業機械10(
図1参照)のアワメータの値など)と、の関係を表示する。この場合、
図2に示す表示部71の表示を見た作業者は、時間の進行とともに目詰まり度が上昇している様子(目詰まり度の上昇傾向)を把握することができる。その結果、作業者は、フィルタ45の交換タイミングを容易に判断する(見極める)ことができる。
【0076】
図2に示す表示部71が表示する目詰まり度に関する情報は、コントローラ60が算出した目詰まり度でもよく、目詰まり度に基づいて算出された値でもよい。具体的には例えば、コントローラ60が、目詰まり度としてTb/Taを算出した場合に、表示部71は、目詰まり度に関する情報としてTb/Ta×100[%]を表示してもよい(
図4参照)。表示部71は、目詰まり度に関する情報として、後述する目詰まりレベル(L1~L4)のみを表示してもよい。以下では、目詰まり度に関する情報を、単に「目詰まり度」ともいう。
【0077】
表示部71は、
図4に示すように、目詰まり度をグラフとして表示してもよい。表示部71(
図2参照)は、目詰まり度を、棒グラフとして表示してもよく、折れ線グラフとして表示してもよい。表示部71は、目詰まり度を、グラフとして表示しなくてもよく、数値などで表示してもよい。
【0078】
具体的には例えば、
図4に示す例では、表示部71(
図2参照)は、上記の「計測期間」毎(例えばアワメータの値で30時間毎など)の、目詰まり度を表示する。この例では、目詰まり度に関する情報を表すグラフの縦軸は、Tb/Ta×100[%](目詰まり割合)であり、グラフの横軸は、作業機械10のアワメータの値である。この例では、表示部71は、目詰まり度を計測期間毎に棒グラフとして表示する。この例では、表示部71は、計測期間よりも長い所定期間での移動平均線を折れ線グラフとして表示する。さらに詳しくは、表示部71は、上記「所定期間」の異なる複数本(2本)の折れ線グラフを表示する。
【0079】
ステップS23では、コントローラ60(
図2参照)は、現在または直近の目詰まり度が、複数の目詰まりレベル(L1~L4)のうちどの目詰まりレベルであるかを判定する(目詰まりレベル判定ステップ)。さらに詳しくは、目詰まりレベル(L1~L4)は、コントローラ60に複数段階設定される。例えば、目詰まりレベル(L1~L4)は、フィルタ45を交換すべきレベルL4を含む。具体的には例えば、
図4に示す例では、目詰まりレベル(L1~L4)は、4段階設定される。この例では、目詰まり度(目詰まり割合)が0%以上20%未満のレベルL1と、目詰まり度が20%以上40%未満のレベルL2と、目詰まり度が40%以上60%未満のレベルL3と、目詰まり度が60%以上(100%以下)のレベルL4と、が設定される。目詰まり度が60%以上のレベルL4は、フィルタ45を交換すべきレベルL4として設定される。なお、目詰まりレベル(L1~L4)のレベルの数、目詰まり度と各レベルとの関係、各レベルの意味(「フィルタ45を交換すべき」など)は様々に設定可能である。
【0080】
表示部71(
図2参照)は、目詰まり度を示すグラフにおいて、目詰まり度と、目詰まりレベル(L1~L4)と、の関係を示す表示を行ってもよい。例えば、表示部71は、目詰まり度の大きさ(例えばグラフの縦軸)が、どの目詰まりレベル(L1~L4)に属するかを示す表示を行ってもよい。具体的には例えば、表示部71は、グラフを、目詰まりレベル(L1~L4)毎に色分けして表示してもよい。なお、表示部71は、目詰まりレベル(L1~L4)をグラフとして表示しなくてもよい。例えば、表示部71は、現在または直近の目詰まり度が属する目詰まりレベル(L1~L4)が、どのレベルであるかを、文字や、上記のグラフ以外の図形などで表示してもよい。
【0081】
また、ステップS23では、
図2に示すコントローラ60は、報知部73に報知を行わせる場合がある(報知ステップを行う場合がある)。さらに詳しくは、コントローラ60には、
図4に示すように、目詰まり度の大きさに関する所定の閾値であって互いに異なる複数の目詰まり度閾値(T1、T2、T3)が設定される。目詰まり度閾値は、目詰まり度に関する情報(例えばTb/Ta×100)の閾値でもよく、目詰まり度自体(例えばTb/Ta)の閾値でもよい。目詰まり度閾値の値および数(段階)は、様々に設定可能である。例えば、目詰まり度閾値は、互いに異なる目詰まりレベル(L1~L4)の境界となる目詰まり度の値などである。具体的には例えば、
図4に示す例では、目詰まりレベル(L1~L4)として、目詰まり割合が0%以上20%未満のレベルL1、20%以上40%未満のレベルL2、40%以上60%未満のレベルL3、および60%以上のレベルL4が設定される。この場合は、目詰まり度閾値(T1、T2、T3)は、20%、40%、および60%に設定される。
【0082】
図2に示すコントローラ60は、コントローラ60が算出した目詰まり度(現在または直近の目詰まり度)が、各目詰まり度閾値(T1、T2、T3(
図4参照))に達する毎に、報知部73に報知を行わせる(報知ステップ)。この場合、時間の進行とともにフィルタ45の目詰まり度が上昇していくと、報知部73による報知が段階的に行われる。よって、報知部73の報知を受けた作業者は、フィルタ45の交換タイミングを判断しやすい(見極めやすい)。なお、フィルタ45が新品の状態から交換されるまでの期間内に、目詰まり度が、ある目詰まり度閾値(例えばT1(
図4参照))に達した後、この目詰まり度閾値(T1)未満となり、再びこの目詰まり度閾値(T1)に達する場合が想定される。この場合は、コントローラ60は、報知部73に報知を行わせてもよく、行わせなくてもよい。
【0083】
(第1の発明の効果)
図2に示す目詰まり判定システム1による効果は、次の通りである。目詰まり判定システム1は、フィルタ45の目詰まりの度合いを判定する。フィルタ45は、作業機械10の油圧アクチュエータ30を作動させるための作動油が通るものである。目詰まり判定システム1は、フィルタ45の前後の差圧(フィルタ45の前後差圧)を検出する圧力検出部51と、コントローラ60と、を備える。
【0084】
[構成1-1]コントローラ60には、特定条件が設定される。特定条件は、フィルタ45を通る作動油の流量(フィルタ45の通過流量)が所定の流量閾値を超えること(大流量条件)を含む条件である。
【0085】
[構成1-2]コントローラ60は、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間Taを算出する(
図3のステップS12を参照)。
【0086】
[構成1-3]コントローラ60は、特定条件が満たされるとともに圧力検出部51に検出された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した積算時間Tbを算出する(
図3のステップS14を参照)。
【0087】
[構成1-4]コントローラ60は、特定条件充足時間Taと、積算時間Tbと、に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを表す目詰まり度を算出する(
図3のステップS21を参照)。
【0088】
上記[構成1-1]~[構成1-4]では、コントローラ60は、特定条件が満たされているときのフィルタ45の前後差圧に基づいて、目詰まり度を算出する。よって、コントローラ60が目詰まり度を算出する際に、特定条件が満たされていないときのフィルタ45の前後差圧の情報は不要である。よって、例えば作業機械10の稼働中に常時検出されたフィルタ45の前後差圧の情報が必要である場合などに比べ、フィルタ45の目詰まりの度合いの算出に必要なデータ量(コントローラ60が扱うデータ量)を抑制することができる。
【0089】
上記[構成1-1]では、特定条件は、フィルタ45の通過流量が所定の流量閾値を超えること(大流量条件を満たすこと)を含む。この特定条件が満たされるときのフィルタ45の前後差圧が、積算時間Tbの算出(上記[構成1-3])に用いられ、フィルタ45の目詰まり度の算出に用いられる(上記[構成1-4])。よって、コントローラ60がフィルタ45の目詰まり度を算出する際に、フィルタ45の通過流量が安定した大流量(所定範囲内の流量)のときのフィルタ45の前後差圧の情報を用いることができる。よって、コントローラ60は、フィルタ45の目詰まり度を精度良く算出することができる(詳細は上記の[理由1]、[理由2]、および[理由3]を参照)。
【0090】
上記[構成1-3]では、積算時間Tbは、特定条件が満たされるとともに圧力検出部51に検出された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した時間である。フィルタ45の目詰まりの度合いが大きいほど、積算時間Tbが長くなる可能性が高い。よって、積算時間Tbに基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを算出することができる。一方で、フィルタ45の目詰まりの度合いが同じでも、特定条件が満たされた時間(すなわち特定条件充足時間Ta)が長くなるほど、積算時間Tbは長くなり得る。そのため、積算時間Tbのみに基づいてフィルタ45の目詰まりの度合いが算出されると、フィルタ45の目詰まりの度合いを精度良く算出できない場合がある。そこで、コントローラ60は、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間Ta(上記[構成1-2])および積算時間Tbに基づいて(特定条件充足時間Taを加味して)、フィルタ45の目詰まり度を算出する(上記[構成1-4])。よって、フィルタ45の目詰まり度(目詰まりの度合い)を精度良く算出することができる。
【0091】
上記[構成1-3]では、積算時間Tbは、特定条件が満たされるとともに圧力検出部51に検出された差圧(フィルタ45の前後差圧)が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した時間である。コントローラ60は、この積算時間Tbに基づいて、フィルタ45の目詰まり度を算出する(上記[構成1-4])。よって、コントローラ60が目詰まり度を算出する際に、フィルタ45の前後差圧自体の情報は不要である。よって、フィルタ45の前後差圧自体の情報が必要である場合に比べ、フィルタ45の目詰まりの度合いの算出に必要なデータ量を抑制することができる。
【0092】
したがって、上記[構成1-1]~[構成1-4]により、フィルタ45の目詰まりの度合いの算出に必要なデータ量を抑制しつつ、フィルタ45の目詰まりの度合いを精度良く算出することができる。
【0093】
コントローラ60が扱うデータ量を抑制することができるので、コントローラ60の記憶部(記憶媒体)の必要容量を小さくすることができる。コントローラ60が扱うデータ量を抑制することができるので、コントローラ60の処理速度を高速化することができる。コントローラ60が扱うデータ量を抑制することができるので、コントローラ60が扱うデータが通信される場合は、通信量を小さくすることができる。この通信に費用がかかる場合は、通信費を抑制することができる。フィルタ45の目詰まりの度合いを精度よく算出することができるので、目詰まりの度合いの情報を入手した作業者は、フィルタ45の交換タイミングを容易に判断する(見極める)ことができる。
【0094】
(第2の発明の効果)
[構成2]上記「目詰まり度」(上記[構成1-4])は、特定条件充足時間Taに対する積算時間Tbの比率(例えばTb/Taなど)である。
【0095】
上記[構成2]により、コントローラ60は、特定条件充足時間Taと、積算時間Tbと、に基づく目詰まり度(上記[構成1-4]参照)を、簡易な計算により、精度良く算出することができる。
【0096】
(第3の発明の効果)
[構成3]目詰まり判定システム1は、表示部71を備える。表示部71は、目詰まり度に関する情報と、時間と、の関係を表示する(
図4参照)。
【0097】
上記[構成3]により、表示部71の表示を見た作業者は、時間の進行とともに目詰まり度が上昇している様子(目詰まり度の上昇傾向)を把握することができる。その結果、作業者は、フィルタ45の交換タイミングを容易に判断することができる。
【0098】
(第4の発明の効果)
[構成4]目詰まり判定システム1は、報知を行う報知部73を備える。コントローラ60には、目詰まり度の大きさに関する所定の閾値であって互いに異なる複数の目詰まり度閾値(T1、T2、T3(
図4参照))が設定される。コントローラ60は、コントローラ60が算出した目詰まり度に関する情報が、各目詰まり度閾値(T1、T2、T3)に達する毎に報知部73に報知を行わせる。
【0099】
上記[構成4]により、報知部73の報知を受け取った作業者は、目詰まり度の上昇傾向を把握することができる。その結果、作業者は、フィルタ45の交換タイミングを容易に判断することができる。
【0100】
(第5の発明の効果)
図1に示すように、作業機械10は、下部走行体11と、上部旋回体13と、アタッチメント15と、操作部52(
図2参照)と、を備える。上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。アタッチメント15は、上部旋回体13に取り付けられる。操作部52(
図2参照)は、油圧アクチュエータ30を操作するためのものである。油圧アクチュエータ30は、下部走行体11の走行、下部走行体11に対する上部旋回体13の旋回、およびアタッチメント15の作動、の少なくともいずれかを行うものである。
【0101】
[構成5]上記「特定条件」は、操作部52(
図2参照)の操作量が、所定の操作量閾値以上になることを含む。
【0102】
上記[構成5]により、作業機械10に通常設けられている操作部52(
図2参照)の操作量に基づいて、特定条件が満たされるか否かの判定を行うことができる。よって、
図2に示す操作部52の操作量を検出するセンサ(操作量検出部53)とは別の、特定条件が満たされるか否かの判定を行うためのセンサを、削減または省略することができる。
【0103】
(第6の発明の効果)
[構成6]油圧アクチュエータ30は、片ロッドかつ複動の油圧シリンダ33を備える。特定条件は、油圧シリンダ33に縮小動作を行わせる操作部52の操作量が、操作量閾値以上であることを含む。
【0104】
上記[構成6]により、次の効果が得られる。片ロッドかつ複動の油圧シリンダ33では、油圧シリンダ33から排出される作動油の流量は、油圧シリンダ33が伸長動作を行う場合よりも、油圧シリンダ33が縮小動作を行う場合の方が大きい。そこで、上記[構成6]では、操作部52の操作量が操作量閾値以上、かつ、油圧シリンダ33が縮小動作することが特定条件に含まれる。その結果、フィルタ45の通過流量が確実に大きいタイミングを、特定条件とすることができる。よって、コントローラ60は、フィルタ45の前後差圧を確保しやすい状況で検出されたフィルタ45の前後差圧の情報を用いて、目詰まり度を算出することができる。よって、コントローラ60は、フィルタ45の目詰まり度をより精度良く算出することができる。
【0105】
(第7の発明の効果)
[構成7]作業機械10は、油圧アクチュエータ30に作動油を供給する油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21を駆動させるエンジン19と、を備える。特定条件は、エンジン19の回転数が所定の回転数閾値以上であることを含む。
【0106】
上記[構成7]により、次の効果が得られる。エンジン19の回転数が大きいほど、油圧ポンプ21の回転数が大きく、油圧ポンプ21の作動油の吐出量が大きい。そこで、上記[構成7]では、エンジン19の回転数が所定の回転数閾値以上であることが、特定条件に含まれる。その結果、フィルタ45の通過流量が確実に大きいタイミングを、特定条件とすることができる。よって、コントローラ60は、フィルタ45の前後差圧を確保しやすい状況で検出されたフィルタ45の前後差圧の情報を用いて、目詰まり度を算出することができる。よって、コントローラ60は、フィルタ45の目詰まり度をより精度良く算出することができる。
【0107】
(第8の発明の効果)
[構成8]目詰まり判定方法は、作業機械10の油圧アクチュエータ30を作動させるための作動油が通るフィルタ45の目詰まりの度合いを判定する。目詰まり判定方法は、差圧取得ステップと、特定条件充足時間算出ステップと、積算時間算出ステップと、目詰まり度算出ステップと、を備える。差圧取得ステップは、フィルタ45の前後の差圧を取得する。特定条件充足時間算出ステップは、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間Taを算出する(
図3のステップS12)。上記「特定条件」は、フィルタ45を通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である。積算時間算出ステップは、積算時間Tbを算出する(
図3のステップS14)。積算時間Tbは、特定条件が満たされるとともに差圧取得ステップで取得された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した時間である。目詰まり度算出ステップは、特定条件充足時間Taと、積算時間Tbと、に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを表す目詰まり度(例えばTb/Taなど)を算出する(
図3のステップS21)。
【0108】
上記[構成8]により、上記「(第1の発明の効果)」と同様の効果が得られる。
【0109】
(第9の発明の効果)
[構成9]目詰まり判定プログラムは、作業機械10の油圧アクチュエータ30を作動させるための作動油が通るフィルタ45の目詰まりの度合いを判定する。目詰まり判定プログラムは、差圧取得ステップと、特定条件充足時間算出ステップと、積算時間算出ステップと、目詰まり度算出ステップと、をコントローラ60(コンピュータ)に実行させる。差圧取得ステップは、フィルタ45の前後の差圧を取得する。特定条件充足時間算出ステップは、特定条件が満たされた時間である特定条件充足時間Taを算出する(
図3のステップS12)。上記「特定条件」は、フィルタ45を通る作動油の流量が所定の流量閾値を超えることを含む条件である。積算時間算出ステップは、積算時間Tbを算出する(
図3のステップS14)。積算時間Tbは、特定条件が満たされるとともに差圧取得ステップで取得された差圧が所定の差圧閾値を超えた時間を積算した時間である。目詰まり度算出ステップは、特定条件充足時間Taと、積算時間Tbと、に基づいて、フィルタ45の目詰まりの度合いを表す目詰まり度(例えばTb/Taなど)を算出する(
図3のステップS21)。
【0110】
上記[構成9]により、上記「(第1の発明の効果)」と同様の効果が得られる。
【0111】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、
図2に示す各構成要素どうしの接続は変更されてもよい。例えば、
図3に示すフローチャートのステップの順序が変更されてもよく、ステップの一部が行われなくてもよい。例えば、閾値や範囲などは、一定でもよく、手動操作により変えられてもよく、何らかの条件に応じて自動的に変えられてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、作動など)の一部のみを有してもよい。
【0112】
具体的には例えば、
図2に示すコントローラ60は、上記の各閾値(差圧閾値、流量閾値、操作量閾値、目詰まり度閾値など)を、作動油の温度(作動油温検出部55に検出された温度)などに応じて変えてもよい。
【0113】
また、例えば、コントローラ60は、作業機械10の作業の内容などに応じて、閾値を変えてもよい。さらに詳しくは、上記のように、目詰まり判定システム1では、大流量条件を満たすような、通過流量が安定した流量のときのフィルタ45の前後差圧の情報に基づいて、フィルタ45の目詰まりが判定される。大流量条件を満たす安定した流量には、範囲がある。さらに詳しくは、大流量条件を満たす範囲内で、比較的小さい流量となる場合や、比較的大きい流量となる場合がある。作業機械10の作業の内容によって、フィルタ45の通過流量が、大きくなりやすい場合や、小さくなりやすい場合がある。その結果、作業機械10の作業の内容によって、フィルタ45の前後差圧が、大きくなりやすい場合や、小さくなりやすい場合がある。そこで、コントローラ60は、作業機械10の作業の内容などに応じて、閾値を変えてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 目詰まり判定システム
10 作業機械
11 下部走行体
13 上部旋回体
15 アタッチメント
19 エンジン
21 油圧ポンプ
30 油圧アクチュエータ
33 油圧シリンダ
45 フィルタ
51 圧力検出部
52 操作部
60 コントローラ
71 表示部
73 報知部
Ta 特定条件充足時間
Tb 積算時間