IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ESTERASの特許一覧

特開2023-61330不動産物件検索サーバ及びこれを用いた不動産物件の検索方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061330
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】不動産物件検索サーバ及びこれを用いた不動産物件の検索方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230424BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171266
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】521305686
【氏名又は名称】株式会社ESTERAS
(74)【代理人】
【識別番号】100109715
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 英明
(72)【発明者】
【氏名】安達 琢真
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】 ユーザの将来の総資産に基づくライフプランを考慮した不動産物件をリコメンドする。
【解決手段】 本発明は、ユーザに適合した不動産物件を抽出し提示する不動産物件検索サーバである。該不動産物件検索サーバは、該ユーザの情報通信端末装置上に表示させた検索条件入力画面に対して該ユーザが検索条件を入力するようにナビゲートする検索ナビゲーション部と、該検索条件に基づく該検索クエリに基づいて該不動産物件データベースを検索し不動産物件を抽出する検索実行部と、該検索クエリに基づいて該ユーザのライフプランを診断するライフプラン診断部とを備える。該ライフプラン診断部は、該検索クエリに含まれる該ユーザの収入、現有資産、生活費、教育費、年齢、及び手元に残す金額に基づいて該ユーザの総資産を算出し、更に該総資産に基づいて購入可能額を算出する。該検索実行部は、該購入可能額に基づいて該不動産物件を抽出する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから与えられる検索条件に基づく検索クエリに基づいて、不動産物件データベースを検索して、前記ユーザに適合した不動産物件を抽出して提示する不動産物件検索サーバであって、
前記ユーザの情報通信端末装置のユーザインターフェース上に検索条件入力画面を表示させて、前記検索条件入力画面に対して前記ユーザが前記検索条件を入力するようにナビゲートする検索ナビゲーション部と、
前記ユーザによって前記検索条件入力画面に対して入力された前記検索条件に基づく前記検索クエリに基づいて、前記不動産物件データベースを検索し、少なくとも1つの不動産物件を抽出する検索実行部と、
前記検索クエリに基づいて、前記ユーザのライフプランを診断するライフプラン診断部と、を備え、
前記ライフプラン診断部は、
前記検索クエリに含まれる、少なくとも前記ユーザの収入、現有資産、生活費、教育費、年齢、及び手元に残す金額に基づいて、前記ユーザの将来の総資産を算出し、更に、算出された前記将来の総資産に基づいて、購入可能額を算出し、
前記検索実行部は、算出された前記購入可能額に基づいて、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出する、
不動産物件検索サーバ。
【請求項2】
前記ライフプラン診断部は、更に前記ユーザの配偶者の収入及び現年齢に基づいて、前記将来の総資産を算出する、
請求項1に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項3】
前記ライフプラン診断部は、前記将来の総資産から前記手元に残す金額を差し引くことにより購入充当上限額を算出し、算出した前記購入充当上限額と住宅ローンの頭金及び内容とに基づいて、前記購入可能額を算出する、
請求項1又は2に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項4】
前記住宅ローンの内容は、前記ユーザに対する住宅ローンの年数、借入金利、及び所定の返済方式により決定される係数であり、
前記ライフプラン診断部は、決定される前記係数に従って前記ユーザに対する住宅ローンの借入額を算出し、算出される前記借入額と前記住宅ローンの頭金に基づいて、前記購入可能額を算出する、
請求項3に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項5】
前記検索実行部は、前記検索クエリに含まれる希望エリアと間取りを含む物件詳細属性と、前記購入可能額とに基づいて、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出する、
請求項1に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項6】
前記検索実行部は、前記検索クエリに間取りが含まれていない場合に、前記検索クエリに含まれる子供の人数に基づく家族構成に基づいて、前記間取りを選択し、選択された前記間取りを前記検索クエリに追加する、
請求項5に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項7】
前記検索実行部は、抽出された前記少なくとも1つの不動産物件に基づく検索結果画面を、前記情報通信端末装置の前記ユーザインターフェース上に表示させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項8】
前記ライフプラン診断部は、前記検索結果画面に対して前記ユーザが選択した一の前記不動産物件について、前記ユーザの将来の総資産の経時的な推移を示すライフプランシミュレーションの結果を含む不動産物件詳細情報画面を、前記情報通信端末装置の前記ユーザインターフェース上に表示させる、
請求項7に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項9】
前記ライフプラン診断部は、選択された前記一の不動産物件について、前記一の不動産物件を購入した場合及び現在の賃貸物件に住み続けた場合のそれぞれの支払総額及び貯金額の経時的な推移を示す住居費支払シミュレーションを含む前記不動産物件詳細情報画面を、前記情報通信端末装置の前記ユーザインターフェース上に表示させる、
請求項8に記載の不動産物件検索サーバ。
【請求項10】
ユーザから与えられる検索条件に基づく検索クエリに基づいて、不動産物件データベースを検索して、前記ユーザに適合した不動産物件を抽出して提示する方法であって、
前記ユーザの情報通信端末装置のユーザインターフェース上に検索条件入力画面を表示させて、前記検索条件入力画面に対して前記ユーザが前記検索条件を入力するようにナビゲートすることと、
前記ユーザによって前記検索条件入力画面に対して入力された前記検索条件に基づく前記検索クエリに基づいて、前記不動産物件データベースを検索し、少なくとも1つの不動産物件を抽出することと、
前記検索クエリに基づいて、前記ユーザのライフプランを診断することと、を含み、
前記ライフプランを診断することは、
前記検索クエリに含まれる、少なくとも前記ユーザの収入、現有資産、生活費、教育費、年齢、及び手元に残す金額に基づいて、前記ユーザの将来の総資産を算出することと、
算出された前記将来の総資産に基づいて、購入可能額を算出することと、を含み、
前記少なくとも1つの不動産物件を抽出することは、算出された前記購入可能額に基づいて、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出することを含む、
方法。
【請求項11】
コンピューティングデバイスに、ユーザから与えられる検索条件に基づく検索クエリに基づいて、不動産物件データベースを検索して、前記ユーザに適合した不動産物件を抽出して提示する方法を実現させるためのコンピュータプログラムであって、
前記方法は、
前記ユーザから与えられる検索条件に基づく検索クエリに基づいて、不動産物件データベースを検索して、前記ユーザに適合した不動産物件を抽出して提示する不動産物件検索方法であって、
前記ユーザの情報通信端末装置のユーザインターフェース上に検索条件入力画面を表示させて、前記検索条件入力画面に対して前記ユーザが前記検索条件を入力するようにナビゲートすることと、
前記ユーザによって前記検索条件入力画面に対して入力された前記検索条件に基づく前記検索クエリに基づいて、前記不動産物件データベースを検索し、少なくとも1つの不動産物件を抽出することと、
前記検索クエリに基づいて、前記ユーザのライフプランを診断することと、を含み、
前記ライフプランを診断することは、
前記検索クエリに含まれる、少なくとも前記ユーザの収入、現有資産、生活費、教育費、年齢、及び手元に残す金額に基づいて、前記ユーザの将来の総資産を算出することと、
算出された前記将来の総資産に基づいて、購入可能額を算出することと、を含み、
前記少なくとも1つの不動産物件を抽出することは、算出された前記購入可能額に基づいて、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出することを含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産物件検索サーバ及びこれを用いた不動産物件の検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、不動産売買取引の多くは、不動産仲介業者が、不動産物件(以下では単に「物件」ということもある。)の売却希望者と購入希望者との間を仲介して行われる。すなわち、不動産仲介業者は、売却希望者から売却物件を広く募集して、不動産物件に関する情報を例えば不動産流通機構が提供する不動産データベースシステムに登録したり、インターネット上の不動産ポータルサイトや新聞広告媒体等に出稿したりする一方、広く購入希望者を募集して顧客である購入希望者を獲得し、売買を仲介する。不動産物件に関する情報は、例えば、建物種別(戸建て、マンション等)、住所、用途地域種、価格、土地面積、間取り、築年数、最寄り駅からの距離(時間)、及び住環境(学校、店舗等)といった種々の属性情報を含む。典型的には、購入希望者は、例えば不動産ポータルサイト上で自身の購入希望条件にマッチした不動産物件を検索して、該不動産物件を取り扱う不動産仲介業者に接触する。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、利用者の条件に合う不動産物件情報を容易に見付け出すことができるインターネットによる不動産物件情報検索システムを開示する。具体的には、登録代行業者は、不動産物件情報を各種の条件で評価し、その評価情報を不動産物件情報に関連付けてデータベースに登録し、インターネットのホームページ上に公開する。利用者は、該ホームページをアクセスし、設定画面の希望条件入力エリアに希望条件を入力すると共に優先順位設定に優先順位を設定して検索を指示する。ホームページのサーバは、該検索条件の優先度に基づいてデータベースの不動産物件を総合評価して検索し、総合評価の高いものから順に、総合評価点と共に利用者の端末装置に表示する。
【0004】
不動産物件の価格は非常に高額なため、一般に、購入希望者は、銀行等のいわゆる住宅ローンを利用して、購入資金の全部又は一部に充当する。このため、購入希望物件に対して、購入希望者が利用しようとする住宅ローンに基づく返済計画を購入前にシミュレーションすることも行われている。
【0005】
例えば、下記特許文献2は、不動産購入希望者に対して、住環境に関する情報や、建物の共用部分と専有部分に対するイメージの把握、ローン等の購入プラン等の購入の際に必要な情報を簡便に入手できるようにした不動産販売方法を開示する。具体的には、特許文献1は、ユーザ端末と、該ユーザ端末と電気通信回線を介してつながったサーバとを含む不動産業務支援システムにおいて、ユーザの希望物件を特定し、ユーザの資金シミュレーション用入力データを前記ユーザ端末から電気通信回線を介してサーバが受信し、資金シミュレーション用入力データをもとに資金シミュレーション結果データをサーバが計算し、ユーザの資金シミュレーション結果データを前記ユーザ端末に電気通信回線を介してサーバが送信する不動産販売方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-269108号公報
【特許文献2】特開2002-117123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従前の一般的な不動産データベースシステムや不動産ポータルサイト等における不動産物件の検索では、ユーザ(購入希望者)は、予め決められた不動産物件に関する検索項目に従って設計された検索画面に自己が希望する条件を入力していたため、入力された購入予算内に収まる自己の趣味趣向に沿った不動産物件が検索結果として提示されるに過ぎなかった。また、特許文献1に開示される技術は、ユーザが設定した希望条件の優先順位に従った総合評価の高い順に不動産物件を提示するに過ぎなかった。つまり、従前、このような検索により提示される不動産物件は、購入希望者が漠然としたイメージの中で思いついた購入予算で絞り込まれたものに過ぎず、購入希望者の将来の総資産(収支)に基づくライフプランを何ら考慮するものでなかった。
【0008】
また、上述したように、不動産物件の価格は非常に高額なため、一般的には、購入希望者は住宅ローンを利用することになり、更には、その返済も数十年の長期に亘るものである。この点について、特許文献2に開示される技術は、借り入れ金額、借り入れ期間、金利、及びボーナス返済といった項目に基づく一般的なローン返済シミュレーションを提示するに過ぎず、購入希望者の将来の総資産に基づくライフプランにおける返済計画を何ら考慮するものでなかった。
【0009】
更に、不動産物件の購入にあたっては、購入希望者本人のみならず配偶者を含めた購入希望者の世帯全体でライフプランを考慮する方が実情に沿っている。
【0010】
そこで、本発明は、購入希望者(すなわち、購入希望者世帯。以下同じ。)の将来の総資産に基づくライフプランを考慮した不動産物件をリコメンドすることができる不動産物件検索システム及びこれを用いた不動産物件検索方法を提供することを目的とする。
【0011】
より具体的には、本発明の一つの目的は、購入希望者の将来の総資産に基づくライフプランを考慮して、不動産物件を検索し、提示することができる不動産物件検索システム及びこれを用いた不動産物件の検索方法を提供することである。
【0012】
また、本発明の一つの目的は、購入希望者の将来の将来の総資産に基づくライフプランを考慮して、賃貸による生活と持ち家による生活とを比較して結果を分かりやすく提示することができる不動産物件検索システム及びこれを用いた不動産物件の検索方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0014】
ある観点に従う本発明は、ユーザから与えられる検索条件に基づく検索クエリに基づいて、不動産物件データベースを検索して、前記ユーザに適合した不動産物件を抽出して提示する不動産物件検索サーバである。前記不動産物件検索サーバは、前記ユーザの情報通信端末装置のユーザインターフェース上に検索条件入力画面を表示させて、前記検索条件入力画面に対して前記ユーザが前記検索条件を入力するようにナビゲートする検索ナビゲーション部と、前記ユーザによって前記検索条件入力画面に対して入力された前記検索条件に基づく前記検索クエリに基づいて、前記不動産物件データベースを検索し、少なくとも1つの不動産物件を抽出する検索実行部と、前記検索クエリに基づいて、前記ユーザのライフプランを診断するライフプラン診断部とを備える。前記ライフプラン診断部は、前記検索クエリに含まれる、少なくとも前記ユーザの収入、現有資産、生活費、教育費、年齢、及び手元に残す金額に基づいて、前記ユーザの将来の総資産を算出する。また、前記ライフプラン診断部は、算出された前記将来の総資産に基づいて、購入可能額を算出する。そして、前記検索実行部は、算出された前記購入可能額に基づいて、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出する。
【0015】
また、前記ライフプラン診断部は、更に前記ユーザの配偶者の収入及び現年齢に基づいて、前記将来の総資産を算出し得る。
【0016】
また、前記ライフプラン診断部は、前記将来の総資産から前記手元に残す金額を差し引くことにより購入充当上限額を算出し、算出した前記購入充当上限額と住宅ローンの頭金及び内容とに基づいて、前記購入可能額を算出し得る。
【0017】
ここで、前記住宅ローンの内容は、前記ユーザに対する住宅ローンの年数、借入金利、及び所定の返済方式により決定される係数であり得る。そして、前記ライフプラン診断部は、決定される前記係数に従って前記ユーザに対する住宅ローンの借入額を算出し、算出される前記借入額と前記住宅ローンの頭金に基づいて、前記購入可能額を算出し得る。
【0018】
また、前記検索実行部は、前記検索クエリに含まれる希望エリアと間取りを含む物件詳細属性と、前記購入可能額とに基づいて、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出し得る。
【0019】
また、前記検索実行部は、前記検索クエリに間取りが含まれていない場合に、前記検索クエリに含まれる子供の人数に基づく家族構成に基づいて、前記間取りを選択し、選択された前記間取りを前記検索クエリに追加し得る。
【0020】
また、前記検索実行部は、抽出された前記少なくとも1つの不動産物件に基づく検索結果画面を、前記情報通信端末装置の前記ユーザインターフェース上に表示させ得る。
【0021】
また、前記ライフプラン診断部は、前記検索結果画面に対して前記ユーザが選択した一の前記不動産物件について、前記ユーザの将来の総資産の経時的な推移を示すライフプランシミュレーションの結果を含む不動産物件詳細情報画面を、前記情報通信端末装置の前記ユーザインターフェース上に表示させ得る。
【0022】
また、前記ライフプラン診断部は、選択された前記一の不動産物件について、前記一の不動産物件を購入した場合及び現在の賃貸物件に住み続けた場合のそれぞれの支払総額及び貯金額の経時的な推移を示す住居費支払シミュレーションを含む前記不動産物件詳細情報画面を、前記情報通信端末装置の前記ユーザインターフェース上に表示させ得る。
【0023】
また、別の観点に従う本発明は、ユーザから与えられる検索条件に基づく検索クエリに基づいて、不動産物件データベースを検索して、前記ユーザに適合した不動産物件を抽出して提示する方法である。前記方法は、前記ユーザの情報通信端末装置のユーザインターフェース上に検索条件入力画面を表示させて、前記検索条件入力画面に対して前記ユーザが前記検索条件を入力するようにナビゲートすることと、前記ユーザによって前記検索条件入力画面に対して入力された前記検索条件に基づく前記検索クエリに基づいて、前記不動産物件データベースを検索し、少なくとも1つの不動産物件を抽出することと、前記検索クエリに基づいて、前記ユーザのライフプランを診断することとを含む。前記ライフプランを診断することは、前記検索クエリに含まれる、少なくとも前記ユーザの収入、現有資産、生活費、教育費、年齢、及び手元に残す金額に基づいて、前記ユーザの将来の総資産を算出することと、算出された前記将来の総資産に基づいて、購入可能額を算出することとを含む。そして、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出することは、算出された前記購入可能額に基づいて、前記少なくとも1つの不動産物件を抽出することを含む。
【0024】
更に、別の観点に従う本発明は、コンピューティングデバイスに、ユーザから与えられる検索条件に基づく検索クエリに基づいて、不動産物件データベースを検索して、前記ユーザに適合した不動産物件を抽出して提示する不動産物件検索方法を実現させるためのコンピュータプログラム、又は前記コンピュータプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体であり得る。
【0025】
なお、本開示において、「手段」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されても良い。
【0026】
また、本開示において、「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物を含み、各装置や機能モジュールが物理的に単一の物として構成されるか又は別体の物として構成されるかは問わない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、購入希望者(ユーザ)の生涯収支に基づくライフプランを考慮した不動産物件をリコメンドすることができるようになる。とりわけ、本発明によれば、購入希望者の生涯収支に基づくライフプランを考慮して、不動産物件を検索し、提示することができる。
【0028】
また、本発明によれば、購入希望者の将来の生活収支に基づくライフプランを考慮して、賃貸による生活と持ち家による生活とを比較して結果を分かりやすく提示することができる。
【0029】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索システムの概略的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索サーバの機能的モデルの一例を示すブロックダイアグラムである。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る不動産物件データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索サーバの概略的な処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索サーバによる検索ロジックの一例を示す図である。
図6図6は、年金収入及び退職金のモデル値を示す図である。
図7図7は、世帯年収に応じた年間生活費のモデル値を示す図である。
図8図8は、教育費のモデル値を示す図である。
図9図9は、年金生活の場合の年間生活費のモデル値を示す図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索サーバによるユーザのライフプランを考慮したシミュレーションの結果の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第1の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図12A図12Aは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第2の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図12B図12Bは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第2の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第3の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図14図14は、第4の本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される検索条件入力画面の一例を示す図である。
図14A図14Aは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第4の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図14B図14Bは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第4の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図14C図14Cは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第4の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図14D図14Dは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される第4の検索条件入力画面の一例を示す図である。
図15図15は、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される検索結果画面の一例を示す図である。
図16A図16Aは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される検索結果画面の一例を示す図である。
図16B図16Bは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される検索結果画面の一例を示す図である。
図16C図16Cは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される検索結果画面の一例を示す図である。
図16D図16Dは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される検索結果画面の一例を示す図である。
図16E図16Eは、本発明の一実施形態に係る情報通信端末装置のユーザインターフェース上に表示される検索結果画面の一例を示す図である。
図17図17は、本発明の一実施形態に係るシステムにおけるコンピューティングデバイスのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索システムの概略的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、不動産物件検索システム1は、例えば、通信ネットワーク10を介して相互に通信可能に接続された、不動産物件検索サーバ20と、情報通信端末装置30とを含み構成され得る。不動産物件検索サーバ20は、各種のデータベースにアクセス可能に構成される。データベースは、例えば、不動産物件データベース22を含み得る。
【0033】
通信ネットワーク10は、ノード間の通信を可能とする任意のプロトコルのネットワークである。通信ネットワーク10は、例えば、IPベースのコンピュータネットワーク(IPネットワーク)12及びゲートウェイGWを介してこれに接続される移動通信システム規格に準拠した移動通信ネットワーク14を含み得る。インターネットは、通信ネットワーク10の一例である。また、通信ネットワーク10は、図示されていない無線基地局によって構築される無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))を含み得る。通信ネットワーク10上の装置(ノード)間の通信は、必要に応じて、SSL/TLS等のセキュアな通信技術が適用され得る。
【0034】
不動産物件検索サーバ20は、情報通信端末装置30から送信される検索クエリに応答し、不動産物件データベース22を探索ないしは検索して不動産物件を抽出し、抽出した不動産物件を検索結果として情報通信端末装置30に送信するコンピューティングデバイスである。また、不動産物件検索サーバ20は、抽出した不動産物件の中からユーザ(購入希望者)が選択した不動産物件について、ユーザのライフプランを考慮した、その詳細な情報を提供する。このようなコンピューティングデバイスのハードウェア構成は、図17に例示されるが、当業者にとって自明であるため、その詳細な説明は省略する。不動産物件検索サーバ20は、例えば、プロセッサの制御の下、所定のサーバ制御プログラムの実行により、インターネット上に不動産物件検索サイトを提供するWebサーバとして機能する。
【0035】
不動産物件データベース22は、不動産の売却希望者から提供された不動産物件に関する情報(以下「不動産物件情報」という。)を記憶し、管理するデータベースである。不動産物件情報は、不動産物件の売買で扱われる種々の情報を含み、メディアタイプは問われない。不動産物件情報は、例えば不動産業者やその委託を受けた者により手動或いは半自動で又は自動で不動産物件データベース22に登録されるが、これに限られない。不動産物件データベース22は、不動産物件検索サーバ20の一部として構成されても良いし、或いは、別体として構成されても良い。
【0036】
情報通信端末装置30は、通信ネットワーク10を介した通信機能を有し、不動産物件の購入希望者がインタラクティブに操作可能なコンピューティングデバイスである。情報通信端末装置30は、不動産物件検索サーバ20との関係ではクライアントとして機能する。情報通信端末装置30は、例えば、ノート型コンピュータやデスクトップ型コンピュータといったパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、フィーチャフォン及びその他のインテリジェントデバイスであり得るが、これらに限られず、通信ネットワーク10を介して、少なくとも不動産物件検索サーバ20にアクセス可能なコンピューティングデバイスであれば良い。本開示では、情報通信端末装置340は、タッチ操作が可能なスマートフォンであるものとする。
【0037】
情報通信端末装置30は、典型的には、CPU(プロセッサ)やチップセット及びメモリ、通信ネットワークモジュール、ユーザインターフェース(例えばディスプレイないしはタッチパネル、及びスピーカー)等のハードウェア資源及びオペレーティングシステム(例えばカーネル、各種のデバイスドライバ、標準ライブラリ等を含み構成され得る。)(以下「OS」という。)等のソフトウェア資源から構成される。情報通信端末装置30は、プロセッサの制御の下、OS上で各種のアプリケーションプログラムを実行し、所望の機能を実現する。本開示では、情報通信端末装置30には、インターネット上のWebサーバにアクセスし得るWebブラウザプログラムが実装されているものとする。情報通信端末装置30はプロセッサの制御の下、Webブラウザプログラムを実行することにより、Webブラウザとして機能し、不動産物件検索サーバ20が提供するWebサイト等にアクセスし得る。或いは、Webブラウザに代えて、専用の不動産物件検索アプリケーションプログラムが実装されても良い。例えば、ユーザは、情報通信端末装置30を操作して、不動産物件検索サーバ20が提供する不動産物件検索サイトにアクセスして検索入力画面を取得し、該検索入力画面に示されるガイダンスないしはナビゲーションに従って、購入を希望する不動産物件を検索するための条件(検索条件)を入力する。情報通信端末装置30は、入力された検索条件に基づく検索クエリを不動産物件検索サーバ20に送信する。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索サーバの機能的モデルの一例を示すブロックダイアグラムである。同図では、不動産物件検索サーバ20を構成する各種のコンポーネント(構成要素)ないしはモジュールのうち、本開示にとりわけ関連するコンポーネントが示されており、他のコンポーネントについては、複雑化を回避するため、適宜に省略されている。すなわち、同図に示す例では、不動産物件検索サーバ20は、不動産物件データベース22と、通信部201と、タスク制御部202と、検索ナビゲーション部203と、検索実行部204と、ライフプラン診断部205とを含み構成されている。これらのコンポーネントは、ハードウェアコンポーネントそのもの、或いは、不動産物件検索サーバ20のプロセッサがサーバ制御プログラムを実行することにより、各種のハードウェアコンポーネントと協働して実現され得る。
【0039】
通信部201は、通信ネットワーク10を介して、外部の装置、例えば情報通信端末装置30と各種の情報のやりとりを可能にするための通信インターフェースである。例えば、通信部201は、通信ネットワーク10を介して情報通信端末装置30から各種の要求等を受信して、タスク制御部202にこれを引き渡す。また、通信部201は、タスク制御部202から引き渡された各種の応答等を、通信ネットワーク10を介して情報通信端末装置30に送信する。
【0040】
タスク制御部202は、各コンポーネントから引き渡されるタスクに応じた制御を行う。一例として、タスク制御部202は、通信部201が情報通信端末装置30から受信した検索条件入力画面の送信要求を検索ナビゲーション部203に引き渡し、これに応答して、検索ナビゲーション部203から引き渡される検索条件入力画面のページデータを、情報通信端末装置30に送信するために通信部201に引き渡す。他の例として、タスク制御部202は、通信部201が情報通信端末装置30から受信した検索クエリを検索実行部204に引き渡し、これに応答して、検索実行部204により得られる検索結果を情報通信端末装置30に送信するために通信部201に引き渡す。
【0041】
検索ナビゲーション部203は、情報通信端末装置30からの検索条件入力画面の要求に応答して、不動産物件の検索のための検索条件入力画面をユーザに提供する。検索条件入力画面は、例えばHTML5といったページ記述言語により記述されたページデータにより構成され得る。検索条件入力画面は、例えば、一連のページ、サブ画面及び/又はポップアップウィンドウから構成される。本開示では、検索条件入力画面は、ユーザとのインタラクティブな操作に従った4ページから構成されている。
【0042】
検索実行部204は、情報通信端末装置30から送信される検索クエリに基づいて、不動産物件データベース22を検索して、該当する不動産物件を不動産物件データベース22から抽出し、抽出した不動産物件のリストを検索結果として出力する。また、検索実行部204は、検索クエリ中に間取り等の物件詳細属性を含んでいない場合、例えば、将来の子供を含む家族構成から最適な間取りを選択し、検索クエリに追加し得る。例えば、検索クエリに間取りの指定がない場合であっても、将来の家族構成が4人であれば、3LDKや4DKの間取りが選択され、追加される。これにより、ユーザのライフプランを考慮した不動産物件が抽出されることになる。なお、物件詳細属性は、例えば、戸建て又はマンションといった物件種類、位置(方角)、セキュリティ、及び設備・サービス等といった種々の属性を含む。また、検索実行部204は、ユーザが検索条件として入力した間取りが家族構成に照らして適切でないと判断する場合には、ユーザに再確認を促すためのダイアログボックスを情報通信端末装置30のユーザインターフェース上に表示させるように制御しても良い。
【0043】
また、検索実行部204は、不動産物件の抽出に際して、ライフプラン診断部205と連携して動作し得る。また、検索実行部204は、抽出した不動産物件のそれぞれを、所定の条件に従って順位付けし及び/又は並び替えて出力し得る。
【0044】
ライフプラン診断部205は、特定の不動産物件との関係において、ユーザから提供された年収やライフスタイルといった各種情報に基づいてユーザのライフプランを診断ないしは予測する。ライフプラン診断部205は、ライフプランの予測に必要な例えば課税率表や社会保険料率表、その他のモデル値といった各種のデータを記憶する参照テーブル2051を含み得る。
【0045】
一例として、ライフプラン診断部205は、検索実行部204との連携において、ユーザ(すなわち、購入希望者世帯)の将来の総資産を予測し、更に予測した総資産に基づいて購入可能額を算出し、算出した購入可能額を検索実行部204に引き渡す。ユーザの将来の総資産は、例えば、検索クエリに含まれる、ユーザ(及び配偶者)の収入、現有資産、教育費、年齢、及び手元に残す金額等に基づいて、算出される。また、ユーザの購入可能額とは、後述するように、ユーザが購入可能な不動産物件の上限額である。
【0046】
他の例として、ライフプラン診断部205は、抽出された不動産物件のリストの中からユーザが選択した特定の不動産物件に基づいて、不動産物件情報とともに、ユーザのライフプランに関する情報(以下「ライフプラン情報」という。)を提供する。ライフプラン情報は、ユーザの総資産(例えば収入、支出、及び貯金額から算出される額)の将来の経時的な推移を示すシミュレーション(以下「ライフプランシミュレーション」という。)の結果を含む(図10参照)。また、本例では、ライフプラン情報は、不動産物件を購入した場合及び現在の賃貸物件に住み続けた場合のそれぞれの支払総額や貯金額の経時的な推移を示すシミュレーション(以下「住居費支払シミュレーション」という。)の結果を含む。
【0047】
図3は、本発明の一実施形態に係る不動産物件データベースのデータ構造の一例を示す図である。1つの不動産物件情報は、例えば、不動産物件データベース22において、各種の属性ごとのフィールドからなる1つのレコードとして管理される。すなわち、同図では、不動産物件データベース22の各レコードは、例えば、不動産物件を識別するための物件IDごとに、建物種別、住所、用途地域種、価格、土地面積、間取り、築年数、最寄り駅からの距離(時間)、及び住環境(学校、店舗等)、取り扱い会社といったフィールドが示されているが、これらに限られない。いくつかのフィールドは、データの実体を格納したポインタ(ファイルパス)を格納する。
【0048】
図4は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索サーバの概略的な処理の一例を説明するためのフローチャートである。かかる処理は、不動産物件検索サーバのプロセッサが、所定の検索サーバプログラムを実行することにより、他のハードウェアコンポーネントと協働し、実現される。
【0049】
同図に示すように、不動産物件検索サーバ20は、ユーザの情報通信端末装置30から検索条件入力画面の送信要求を受信するまで待機している(S401)。不動産物件検索サーバ20は、情報通信端末装置30から検索条件入力画面の送信要求を受信すると(S401のYes)、検索条件入力画面のページデータを読み出して及び/又は生成して、これを情報通信端末装置30に送信する(S402)。不動産物件検索サーバ20は、情報通信端末装置30から検索クエリを受信するまで待機する(S403)。
【0050】
ユーザは、情報通信端末装置30のユーザインターフェース上に表示された検索条件入力画面に対して、不動産物件の検索に必要な検索条件を入力する。検索条件入力画面は、例えば、複数のサブ入力画面から構成され得る。本開示では、ユーザは、検索条件入力画面に対して、希望する不動産物件情報に対応する項目情報だけではなく、ユーザのライフプランの診断を受けるために必要な情報を検索条件として入力する。ユーザが必要な検索条件を全て入力し終えると、情報通信端末装置30は、入力された検索条件に基づく検索クエリを不動産物件検索サーバ20に送信する。
【0051】
不動産物件検索サーバ20は、情報通信端末装置30から検索クエリを受信すると(S403のYes)、検索クエリに基づいて、不動産物件データベース22を探索・検索するために用いるユーザの購入可能額を算出する(S404)。ユーザの購入可能額とは、ユーザのライフプランを考慮した、ユーザが購入可能な不動産物件の上限額である。また、不動産物件検索サーバ20は、検索クエリ中に間取り等の物件詳細属性を含んでいない場合、例えば、将来の子供を含む家族構成から最適な間取りを検索クエリに加える。
【0052】
次に、不動産物件検索サーバ20は、検索クエリ及び算出した購入可能額に基づいて、不動産物件データベース22を探索・検索し(S405)、ヒットした不動産物件を検索結果として抽出する(S405)。不動産物件検索サーバ20は、ヒットした不動産物件を所定の優先度に従って並べ替え及び/又は抽出しても良い。
【0053】
例えば、不動産物件検索サーバ20は、例えば図5に示すように、購入可能額の範囲内、かつ、指定された間取り等の物件詳細属性、かつ、指定エリアからなる条件に従って検索を行う。なお、ユーザが間取り等の物件詳細属性の入力を省略した場合、不動産物件検索サーバ20は、例えば、将来の子供を含む家族構成から最適な間取りを選択する。指定エリアは、例えば指定エリアの地名の完全一致又は該指定エリアの最寄り駅との一致するものを含む。具体的には、不動産物件検索サーバ20は、指定エリアごとに、購入可能額の範囲内、かつ、指定された間取りの条件に合致する不動産物件を抽出する。
【0054】
続いて、不動産物件検索サーバ20は、抽出した不動産物件に基づく検索結果画面のページデータを生成し、これを情報通信端末装置30に送信する(S406)。情報通信端末装置30は、不動産物件検索サーバ20からページデータを受信すると、ユーザインターフェース上に検索結果画面を表示する。検索結果画面は、例えば、抽出した不動産物件のサムネイル写真や基本情報のリストからなる。
【0055】
ユーザは、検索結果画面に示された不動産物件のリストの中から、興味のある不動産物件を選択し得る。情報通信端末装置30は、選択された不動産物件に関する詳細情報の送信要求を不動産物件検索サーバ20に送信する(S407)。不動産物件検索サーバ20は、これを受けて、不動産物件詳細情報画面のページデータを情報通信端末装置30に送信し、情報通信端末装置30は、ユーザインターフェース上に不動産物件詳細情報画面を表示する。不動産物件詳細情報画面は、不動産物件に関する詳細情報に加えて、ユーザの将来の総資産に基づくライフプラン情報を含む。すなわち、不動産物件検索サーバ20は、検索クエリに基づいて、後述するライフプラン情報を生成し、これを含む不動産物件詳細情報画面のページデータを情報通信端末装置30に送信する。
【0056】
以上のようにして、不動産物件検索サーバ20は、ユーザが入力した検索条件に基づく検索クエリに基づいて不動産物件データベース22を検索し、ユーザのライフプランを考慮した不動産物件をユーザに提示することができる。
【0057】
次に、不動産物件検索サーバ20のライフプラン診断部205によるライフプラン情報の生成処理の一例について説明する。上述したように、ライフプラン情報は、購入希望者世帯の将来の総資産の経時的な推移を示すシミュレーション(ライフプランシミュレーション)の結果及び不動産物件を購入した場合及び賃貸物件に住み続けた場合のそれぞれの支払総額や貯金額の経時的な推移を示すシミュレーション(住居費支払シミュレーション)の結果を含む。将来の総資産は、現保有資産をベースにした収入と支出とに基づく、将来の特定の時期(例えば各年、又は1年後、10年後、15年後、20年後、35年後や平均余命に該当する年、入学等のライフイベントのある年など)における総資産である。将来の総資産は、生涯において比較的大きな額を中心に考えれば、例えば、以下のようなパラメータを用いた式として表すことができる。
将来の総資産=A+α-(B+C+D+E)
ここで、Aは、退職までの収入、αは、現在保有している資産(以下「現有資産」という。ただし、貯金額を除く。)、Bは、退職までの生活費、Cは、教育費、Dは、退職までのその他の費用、Eは、退職後の生活費である。なお、本開示では、退職までの生活費と退職後の生活費とを合わせて単に「生活費」と称する。なお、各パラメータは、各年について算出され得る。
【0058】
A:退職までの収入
退職までの収入は、ユーザ(購入希望者)本人及び配偶者のそれぞれについて、年間可処分所得に基づく現年齢から退職年齢(例えば60歳)までの収入の総和(すなわち、世帯収入)である。
退職までの収入=(60-本人の年齢)×本人の年間可処分所得+(60-配偶者の年齢)×配偶者の年間可処分所得+年齢差×年金収入+貯金額+本人退職金+配偶者退職金
ここで、年間可処分所得は、年収から納税額及び社会保険料を差し引いた額である。なお、年収は、想定される年増加率が考慮された額であっても良い。また、年齢差は本人と配偶者との間の年齢差である(以下同じ。)。年金収入及び退職金には、例えば図6に示すような政府等が公表しているモデル値が用いられる。
【0059】
α:現在保有資産
貯金を除く現有資産は、保有する株式、国債、社債、保険及び外貨等の合計額である。なお、本例では、貯金額は、上記の退職までの総収入に含まれるものとしているため、保有資産には含まないものとしている。
【0060】
B:退職までの生活費
退職までの生活費は、年間生活費(ただし、住居費を除く)に退職年齢までの年数を乗じた額と、住居費に現在から購入年までの年数を乗じた額とを合わせた合計額である。
退職までの生活費=本人及び配偶者が現役の場合の世帯年収に応じた年間生活費×{60-MAX(本人の年齢,配偶者の年齢)}+本人又は配偶者の一方が現役で他方が年金収入である場合の世帯年収に応じた年間生活費×年齢差+月額住居費×12×(購入予定年-現在年)
ここで、年間生活費は住居費を除いた額であり、例えば図7に示すような政府等が公表している世帯年収に応じたモデル値が用いられるものとする(同図に示す年間生活費は教育費を含むため、本例ではこれを差し引いた額となる。)。また、MAX(数値1,数値2)は、引数のうち最大値を出力する関数である。つまり、本例では、本人又は配偶者のいずれか一方が先に退職し、年金収入となった場合の世帯年収の変動を考慮している。
【0061】
C:教育費
教育費は、ユーザ本人が扶養する子供に掛かる将来の学費の総額である。子供は、将来生まれてくる子供も考慮される。
教育費=一人当たりの子供に掛かる学費×扶養する子供の人数
ただし、学費は、幼稚園(保育園等の保育を含む。)、小学校、中学校、高校、及び大学からなる各就学段階に掛かる費用であり、就学段階ごとに公立(国立を含む)又は私立といった進学コースが考慮される。また、既に就学が修了した段階の学費は除かれる。各就学段階における学費は、例えば図8に示すような政府等が公表しているモデル値が用いられる。
【0062】
D:退職までのその他費用
退職までのその他費用は、上記費用を除いた退職までに支出が見込まれる費用である。ユーザは、例えば予備的に当該費用を計上しても良い。
【0063】
E:退職後の生活費
退職後の生活費は、退職してから死亡するまでの期間に掛かる生活費である。退職してから死亡するまでの期間は、例えば25年であると仮定する。
退職後の生活費=(本人及び配偶者が年金生活である場合の年間生活費-本人及び配偶者の年金合計額)×(25-年齢差)+(本人又は配偶者の一方が年金生活である場合の年間生活費-年金額)×年齢差
ここで、年金生活の場合の年間生活費は、例えば図9に示すような政府等が公表しているモデル値が用いられる。
【0064】
上記のようなパラメータを用いて、総資産は算出されることになる。また、ユーザは、手元に残す金額を考慮することにより、ユーザが不動産物件を購入するために充当し得る上限額(以下「購入充当上限額」という。)が算出される。すなわち、購入充当上限額Fは、
購入充当上限額=将来の総資産-手元に残す金額
となる。
【0065】
また、ユーザが住宅ローンを利用する場合、住宅ローンの借入額に対する総支払額は、頭金、ローン年数、借入金利、及び返済方式等に依存する。例えば、借入金利1%で元利均等返済方式の場合、総支払額は、以下に示すような、ローン年数に応じた所定の係数を借入額に乗ずることにより算出される。
35年:1.1856
30年:1.1579
25年:1.1306
20年:1.1037
15年:1.0773
10年:1.0513
例えば、借入金利1%の下で、35年ローンの元利均等返済方式の場合、借入額は、
借入額=総支払額÷1.1856
として算出される。一方で、借入額は、ユーザの購入充当上限額から頭金を差し引いた額の範囲内であることが望ましい。また、総支払額は、
総支払額=購入充当上限額-頭金
である。
【0066】
住宅ローンの内容は、金融機関や借入額等に依存して非常に多種多様である。本例では、借入金利1%及び35年ローンの元利均等返済方式で一律に借入額を算出するものとするが、これに限られず、検索条件入力画面においてユーザに入力ないしは選択させるようにしても良い。
【0067】
したがって、ユーザが住宅ローンを利用した場合の購入可能額Gは、
購入可能額=頭金+借入額
=頭金+(購入充当上限額-頭金)×1.1856
となる。つまり、住宅ローンの利用を前提にした不動産物件の購入において、ユーザのライフプランを考慮するならば、上記のように算出される購入可能額の範囲内の価額の不動産物件がヒットすることとなる。
【0068】
また、ユーザの年次ごとの総資産は、収入と支出と貯金額とに基づいて算出され、ライフプランシミュレーションとして示される。
【0069】
また、ユーザが現在の賃貸不動産物件に住み続けた場合の総支払額は、現在の住居費(家賃)に年数を乗じることにより算出され、貯金額に影響を与える。また、ユーザが不動産物件を購入し住み続けた場合の総支払額は、上述したように、ローン年数に応じた所定の係数を借入額に乗ずることにより算出される。なお、不動産物件を購入し住み続けた場合の総支払額には、購入した不動産物件に引っ越すまでの家賃が月単位で加算される。
【0070】
図10は、本発明の一実施形態に係る不動産物件検索サーバによるユーザのライフプランを考慮したシミュレーションの結果の一例を示す図である。具体的には、同図(a)は、ライフプランシミュレーションの結果の一例を示し、同図(b)は、住居費支払シミュレーションの結果の一例を示している。
【0071】
同図(a)に示すように、ライフプランシミュレーションでは、ユーザの支出、収入合計、及び貯金額の年推移が示される。ユーザは、例えば、ボタンBを操作して表示したい年を横スクロールさせることができる。
【0072】
また、同図(b)に示すように、住居費支払シミュレーションでは、ユーザが不動産物件を購入した場合及び現在の賃貸物件に住み続けた場合のそれぞれの支払総額や貯金額の年推移が示される。同図(b)からわかるように、賃貸物件に住み続けた場合の方が、不動産物件を購入した場合よりも、老後の貯金額が漸次的に減少していく。したがって、ユーザは、所望の不動産物件を購入した場合の大凡のライフプランが把握することができるようになる。
【0073】
(具体例)
不動産物件の購入希望者であるユーザは、自身の情報通信端末装置30のユーザインターフェースを操作して、不動産物件検索サーバ20が提供する不動産物件の検索サイトにアクセスする。これに応答して、不動産物件検索サーバ20は、検索条件入力画面のページデータを情報通信端末装置30に送信し、これを受けて、情報通信端末装置30は、例えば、図11に示すような検索条件入力画面1100をユーザインターフェース上に表示する。本例では、検索条件入力画面1100は、4ページから構成されているものとする。ユーザは、最初のページの検索条件入力画面1100に対して、性別、年齢、年収、勤務先(中小企業か大企業か等)、退職金の有無及びその金額、並びに貯蓄額の項目をそれぞれ入力し、例えば「次へ」ボタンを選択する。これらの項目は、住宅ローンの返済計画や将来の総資産に影響を与えるため、本例では、ユーザの必須入力項目となっている。これにより、情報通信端末装置30のユーザインターフェース上には、例えば、図12A及び11Bに示すような2ページ目の検索条件入力画面1200が表示される。
【0074】
図12A及び12Bに示す検索条件入力画面1200では、ユーザは、配偶者の有無、年齢、年収、及び勤務先を入力する。また、ユーザは、現在の子供の人数、子供の年齢及び進学状況(例えば公立又は私立学校への進学等)の項目をそれぞれ入力し、更に、将来の子供の人数の項目をそれぞれ入力する。子供の人数や進学状況は、学費の多寡によって将来のライフプランへ影響があるため、本例では、ユーザの必須入力項目となっている。ユーザは、これらの項目の入力を完了したら、例えば「次へ」ボタンを選択する。これにより、情報通信端末装置30のユーザインターフェース上には、例えば、図13に示すような3ページ目の検索条件入力画面1300が表示される。
【0075】
検索条件入力画面1300では、ユーザは、現在の住居費(家賃等)、車の所有状況(購入予定を含む。)、及び保有資産の項目をそれぞれ入力し、「次へ」ボタンを選択する。これらの項目もまた、住宅ローンの返済計画や生涯収支に影響を与えるため、可能な限りユーザに入力してもらうことが良い。ユーザは、これらの項目の入力を完了したら、例えば「次へ」ボタンを選択する。これにより、情報通信端末装置30のユーザインターフェース上には、例えば、図14に示すような4ページ目の検索条件入力画面1400が表示される。
【0076】
検索条件入力画面1400では、ユーザは、希望エリア及び不動産物件に関する物件詳細属性を入力する。ユーザは、例えば、プルダウンメニュー形式で希望エリアを選択し、又は最寄り駅や沿線といった情報から希望エリアを選択する。或いは、図示されていないが、地図上から希望エリアを選択するように構成されても良い。また、選択にあたっては、階層的に希望エリアが絞り込まれるように構成されていても良い。更に、ユーザは、希望貯金額(手元に残す金額)を入力する。希望貯金額は、上述したように、購入充当上限金額の算出に用いられる。
【0077】
また、ユーザは、詳細な検索条件を入力して絞り込みを行いたい場合、「物件の詳細条件を追加する」を選択する。これにより、情報通信端末装置30のユーザインターフェース上には、例えば、図14A~14Dに示すような検索条件入力画面1400’に更新される。
【0078】
検索条件入力画面1400’において、ユーザは、詳細な検索条件を入力せずに、「入力して結果を見る」を選択することもできる。この場合、以下に示すような物件詳細属性(絞り込み条件)の入力は行われず、不動産物件検索サーバ20は、これまでに入力された検索条件に従って不動産物件の検索を実行する。例えば、詳細な検索条件として間取りが入力されていないため、不動産物件検索サーバ20は、将来の家族構成から間取りを決定する。例えば、将来の家族構成が3人であれば、間取りは2LDK、4~5人であれば3LDK、又は6人であれば4LDK以上として決定される。
【0079】
一方、検索条件入力画面1400’では、ユーザは、間取りや物件の種類といった不動産物件の詳細な絞り込み条件の項目を入力することができる。ユーザは、これらの項目の入力を完了したら、例えば「入力して結果を見る」ボタンを選択する(図14D参照)。これにより、情報通信端末装置30は、入力した検索条件に基づいて検索クエリを生成し、これを不動産物件検索サーバ20に送信する。
【0080】
情報通信端末装置30から検索クエリを受信した不動産物件検索サーバ20は、受信した検索クエリに基づいて、上述したように、不動産物件データベース22を検索し、候補となる不動産物件を抽出し、これにより、検索結果画面のページデータを生成し、これを情報通信端末装置30に送信する。情報通信端末装置30は、これを受けて、ユーザインターフェース上に、例えば図15に示すような検索結果画面1500を表示する。検索結果画面1500は、例えば、抽出した不動産物件の基本情報のリストからなる。ユーザは、検索結果画面を例えば上下にスクロールさせながら、興味のある不動産物件の項目を選択する。これにより、情報通信端末装置30は、選択された項目の不動産物件に関する詳細情報の送信要求を不動産物件検索サーバ20に要求し、これを受けて、不動産物件検索サーバ20は、不動産物件に関する詳細情報の情報通信端末装置30に送信する。これにより、情報通信端末装置30は、例えば図16A~16Eに示すような詳細結果画面1600をユーザインターフェース上に表示する。
【0081】
詳細結果画面1600は、例えば、不動産物件の詳細情報とライフプラン情報とを含み構成される。本例では、ライフプラン情報は、ライフプランシミュレーションと、住居費支払シミュレーションとから構成されている(図16B参照)。ライフプランシミュレーションは、年収や貯蓄額、ライフスタイル(現在及び将来の子供の人数やその進学状況、車の有無等)等に基づいて算出された支出額、収入額、及び貯蓄額の年次推移を示したグラフである。また、住居費支払シミュレーションは、現在の賃貸に支払う場合の総額及び貯蓄額と不動産物件を購入した場合の住宅ローンの支払総額と貯金額とを示したグラフである。
【0082】
これにより、ユーザーは、賃貸にこのまま住み続けた場合と、不動産物件を購入した場合とを比較して、どのぐらい金銭的な差が出るのかを容易に理解することができ、今後、不動産物件を購入しても良いのか、或いは、どのように不動産物件を選択すれば良いのかの判断をすることができるようになる。
【0083】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0084】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしても良く、また、他のステップ、動作又は機能を追加しても良い。
【0085】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…不動産物件検索システム
10…通信ネットワーク
20…不動産物件検索サーバ
201…通信部
202…タスク制御部
203…検索ナビゲーション部
204…検索実行部
205…ライフプラン診断部
2051…参照テーブル
22…不動産物件データベース
30…情報通信端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17