(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061332
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/86 20140101AFI20230424BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20230424BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20230424BHJP
H04N 21/254 20110101ALI20230424BHJP
A63F 13/49 20140101ALI20230424BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20230424BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20230424BHJP
A63F 13/792 20140101ALI20230424BHJP
【FI】
A63F13/86
H04N21/235
H04N21/258
H04N21/254
A63F13/49
A63F13/30
A63F13/53
A63F13/792
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171268
(22)【出願日】2021-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】津原 一成
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(72)【発明者】
【氏名】田中 大将
(72)【発明者】
【氏名】北口 里英
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 文子
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA22
5C164SB08P
5C164SC05S
5C164SC11P
5C164SC31P
5C164SD12S
5C164YA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】許諾のない動画配信を抑制すること。
【解決手段】本開示の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムにおける発行ステップでは、所定のゲーム画面を含む動画の配信の許諾を示す許諾情報を発行する。通知ステップでは、配信を希望するユーザに、発行された許諾情報を通知する。付与判定ステップでは、前記ゲーム画面を含む動画が編集、アップロードまたは配信される場合に、当該動画に前記許諾情報が付与されているか否かを判定する、配信ステップでは、ゲーム画面を含む動画のうち、発行された許諾情報が付与されている動画を配信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
発行ステップでは、所定のゲーム画面を含む動画の配信の許諾を示す許諾情報を発行し、
通知ステップでは、前記配信を希望するユーザに、発行された前記許諾情報を通知し、
配信ステップでは、前記ゲーム画面を含む動画のうち、発行された前記許諾情報が付与されている動画を配信する、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
付与判定ステップでは、前記ゲーム画面を含む動画が編集、アップロードまたは配信される場合に、当該動画に前記許諾情報が付与されているか否かを判定し、
前記配信ステップでは、前記動画に前記許諾情報が付与されていると判定された場合に当該動画を配信する、もの。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
条件提示ステップでは、前記配信の許諾に関する条件を前記ユーザに提示し、
前記発行ステップでは、提示された前記条件が承諾された場合に当該条件での許諾を示す前記許諾情報を発行する、もの。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記条件は、前記動画の再生時間、画面上でのサイズまたは解像度を制限する、もの。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の情報処理システムにおいて、
前記条件は、前記動画の配信期間、配信時間帯または配信回数を制限する、もの。
【請求項6】
請求項3~請求項5の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記条件は、前記動画に含めることが可能なゲーム画面の範囲、再生時間、画面上でのサイズまたは解像度を制限する、もの。
【請求項7】
請求項2~請求項6の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
条件判定ステップでは、前記付与判定ステップにおいて前記動画に前記許諾情報が付与されていると判定された場合に、当該許諾情報が示す条件を当該動画が満たすか否かを判定する、もの。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理システムにおいて、
第1処理ステップでは、前記条件が満たされないと判定された動画がある場合に、当該動画に対する配信停止処理を実行可能とする、もの。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の情報処理システムにおいて、
第2処理ステップでは、前記条件が満たされないと判定された動画がある場合に、当該動画の配信者に当該動画の配信が満たす新たな条件の配信許諾の取得を要求する要求処理を行う、もの。
【請求項10】
請求項2~請求項9の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
第1登録ステップでは、前記許諾情報に対応付けられた識別情報を登録し、前記識別情報は、前記許諾情報により配信が許諾される動画の識別情報または当該動画の配信者の識別情報のうちの少なくとも1つであり、
識別判定ステップでは、アップロードされた動画に、前記付与判定ステップにおいて付与されていると判定された許諾情報に対応する識別情報が付与されているか否かを判定し、
前記配信ステップでは、前記許諾情報が付与されていると判定され、かつ、前記識別情報が付与されていると判定された動画を配信する、もの。
【請求項11】
請求項2~請求項10の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記付与判定ステップでは、アップロードされた動画への画像認識により当該動画に重畳された前記許諾情報が認識された場合に前記許諾情報が付与されていると判定する、もの。
【請求項12】
請求項1~請求項11の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
前記配信には、当該配信の実績に応じた対価が定められており、
対価ステップでは、前記許諾情報が付与されていると判定された動画が配信された場合、当該動画の配信実績に対応した対価を要求する要求処理を行う、もの。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理システムにおいて、
第2登録ステップでは、前記許諾情報と、当該許諾情報が示す許諾および対価の関係とを対応付けてブロックチェーンに登録し、
前記対価ステップでは、前記動画に付与されていると判定された前記許諾情報に対応付けて登録された前記関係に基づいて決まる対価を要求する要求処理を行う、もの。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の情報処理システムにおいて、
前記動画には、前記対価に応じた優先度が設定され、
表示ステップでは、配信可能な動画の一覧を表示し、当該一覧に含まれる動画を、当該動画の優先度に基づいた態様で表示し、
前記配信ステップでは、前記一覧から選択された動画を配信する、もの。
【請求項15】
請求項1~請求項14の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、
記憶ステップでは、前記動画に含めることが可能な素材を記憶し、
提供ステップでは、前記許諾情報が通知されたユーザに前記素材を提供する、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、実況ユーザによる実況動画が配信されたゲームに新規プレイヤが登録されたりプレイ頻度が向上したりした場合に実況ユーザに特典を付与する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実況動画のようなゲーム画面を含む動画の配信においては、ゲームに関する権利の所有者の許諾を得ないで動画が配信されるおそれがある。
本開示では上記事情を鑑み、許諾のない動画配信を抑制することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムにおける発行ステップでは、所定のゲーム画面を含む動画の配信の許諾を示す許諾情報を発行する。通知ステップでは、配信を希望するユーザに、発行された許諾情報を通知する。配信ステップでは、ゲーム画面を含む動画のうち、発行された許諾情報が付与されている動画を配信する。
【0006】
このような態様によれば、許諾のない動画配信を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ゲーム動画配信システム1の全体構成を示す図である。
【
図2】ゲームサーバ10のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】ゲーム端末30のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】発行処理の一例を示すアクティビティ図である。
【
図7】発行処理の別の一例を示すアクティビティ図である。
【
図8】表示された配信権画面の一例を示す図である。
【
図9】配信処理の一例を示すアクティビティ図である。
【
図11】許諾IDを付与するための動画編集画面の一例を示す図である。
【
図12】条件判定処理の一例を示すアクティビティ図である。
【
図13】対価の要求処理の一例を示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本開示の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態に係るゲーム動画配信システムのハードウェア構成について説明する。
【0013】
図1は、ゲーム動画配信システム1の全体構成を示す図である。ゲーム動画配信システム1は、ゲーム画面を含む動画(以下「ゲーム動画」と言う)を配信するための処理を実行するシステムであり、「情報処理システム」の一例である。ここでいうゲームは、いわゆるコンピュータゲームであり、ゲーム専用機、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等でプレイされる。ゲーム画面には、プレイヤがプレイ中のゲームの画面の他、プレイ中以外のデモ、演出およびムービー等と呼ばれる画面が含まれる。また、ゲーム画面には、動画だけでなく静止画も含まれる。
【0014】
ゲーム動画配信システム1は、通信回線2と、BCシステム3(BC=Blockchain:ブロックチェーン)と、ゲームサーバ10と、動画配信サーバ20と、ゲーム端末30とを備える。通信回線2は、インターネット等を含み、自回線に接続する装置同士のデータのやり取りを仲介する。BCシステム3は、ブロックチェーンの仕組みを用いて様々な情報を分散させて管理する。BCシステム3は、P2Pネットワーク(P2P=Peer to Peer)によって互いに接続された複数のノード装置を備える。
【0015】
BCシステム3は、過去の処理の履歴等を示すトランザクションデータを一定容量のブロックに区切り、それらのブロックを順番に並べて繋げたブロックチェーンを生成する。BCシステム3は、各ブロックに直前のブロックのハッシュ値を持たせ、生成したブロックチェーンを複数のノード装置のそれぞれに分散させて記憶させる。これにより、BCシステム3は、ブロックチェーンの耐改ざん性を向上させている。ゲームサーバ10は、プレイヤにゲームの機能を提供する装置である。
【0016】
動画配信サーバ20は、ゲーム動画を蓄積して配信する装置である。動画配信サーバ20は、動画配信に関する許諾および対価等の取り決めを記述したトランザクションデータをBCシステム3に登録して管理する。ゲーム端末30は、ゲームのプレイヤが使用する装置であり、ゲームサーバ10から提供されるゲーム画面を表示する。ゲーム端末30は、動画配信サーバ20が配信するゲーム動画を表示する。また、ゲーム動画配信システム1においては、プレイヤは、ゲーム端末30を操作して、自分または他人がプレイしたゲーム画面を含むゲーム動画を編集して動画配信サーバ20にアップロードすることができる。
【0017】
図2は、ゲームサーバ10のハードウェア構成を示す図である。ゲームサーバ10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、バス14とを備える。バス14は、ゲームサーバ10が備える各部を電気的に接続する。動画配信サーバ20は、性能および細かな仕様等は異なっていてもよいが、ゲームサーバ10と同様のハードウェア構成を備える。
【0018】
(制御部11)
制御部11は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、ゲーム動画配信システム1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0019】
(記憶部12)
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行されるゲーム動画配信システム1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行されるゲーム動画配信システム1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0020】
(通信部13)
通信部13は、ゲームサーバ10から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成される。また、通信部13は、外部の構成要素からゲームサーバ10への種々の電気信号を受信可能に構成される。さらに好ましくは、通信部13がネットワーク通信機能を有し、これにより通信回線2を介して、ゲームサーバ10と外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。
【0021】
図3は、ゲーム端末30のハードウェア構成を示す図である。ゲーム端末30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、表示部35と、バス36とを備える。バス36は、ゲーム端末30が備える各部を電気的に接続する。制御部31、記憶部32および通信部33は、性能および細かな仕様等は異なっていてもよいが、
図2で述べた制御部11、記憶部12および通信部13と同様のハードウェアである。
【0022】
(入力部34)
入力部34は、ボタンおよびタッチスクリーン等を有し、ユーザによる入力を受け付ける。ゲーム端末30の場合は、ゲームのプレイに適したコントローラーが入力部34としてよく用いられる。
【0023】
(表示部35)
表示部35は、ディスプレイ等を有し、表示面に画像を表示する。なお、表示部35がゲームに登場するキャラクタ、アイテムおよび背景等の各種の画像を表示することを「ゲーム画面を表示する」とも言う。
【0024】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、各装置の記憶部に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部によって具体的に実現されることで、制御部に含まれる各機能部が実行されうる。
【0025】
図4は、各装置の制御部の機能構成を示す図である。ゲームサーバ10の制御部は、ゲーム処理部111と、ゲーム記憶部112と、録画部113とを備える。動画配信サーバ20の制御部は、動画記憶部211と、一覧配信部212と、動画配信部213と、許諾情報処理部214と、付与処理部215と、条件処理部216と、識別処理部217と、BC処理部218とを備える。ゲーム端末30の制御部は、ゲーム処理部311と、ゲーム記憶部312と、動画処理部313とを備える。
【0026】
ゲームサーバ10のゲーム処理部111は、ゲームに関する処理を行う。ゲーム記憶部112は、ゲームに関するデータを記憶する。ゲーム端末30のゲーム処理部311は、ゲームに関する処理を実行する。ゲーム記憶部312は、ゲームに関するデータを記憶する。ゲームサーバ10およびゲーム端末30は、これらの機能を用いて、プレイヤにゲームを提供する。
【0027】
プレイヤに提供されるゲームは、格闘ゲーム、アクションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、パズルゲーム、レーシングゲームおよび音楽ゲーム等、あらゆるジャンルが対象となりうる。ゲームサーバ10の録画部113は、ゲーム画面の録画に関する処理を行う。ゲーム端末30の動画処理部313は、ゲーム動画に関する処理を行う。動画処理部313は、例えば、録画されたゲーム画面を元にゲーム動画を作成する操作を受け付け、ゲーム動画の編集処理を行う。
【0028】
動画配信サーバ20の動画記憶部211は、アップロードされたゲーム動画を記憶する。一覧配信部212は、動画記憶部211に記憶されたゲーム動画の一覧を作成し、配信する。動画配信部213は、動画記憶部211に記憶されたゲーム動画を配信する。ゲーム端末30の動画処理部313は、配信された動画を表示する表示処理を行う。許諾情報処理部214は、ゲーム動画の配信に関する許諾情報の発行および通知等の処理を行う。
【0029】
許諾情報とは、ゲーム動画の配信が許諾されていることを示す情報であり、本実施形態では、アルファベットおよび数字等で表された許諾ID(Identification)である。配信の許諾とは、ゲームに関する権利の所有者がそのゲームの画面を含むゲーム動画の配信を許諾することを言う。ゲームに関する権利とは、ゲームそのもの、ゲーム内に登場するキャラクタおよびゲームで使用される音楽等の著作権、意匠権および特許権等である。
【0030】
ゲーム動画配信システム1においては、発行された許諾情報がゲーム動画に付与されることで、そのゲーム動画の配信が許諾されていることが証明される。付与処理部215は、ゲーム動画に許諾情報が付与されているか否かを判定するなど、ゲーム動画への許諾情報の付与に関する処理を行う。ゲーム動画の配信は、無制限に許諾される場合もあるが、通常は何らかの条件が課せられる。条件処理部216は、そのようなゲーム動画の配信条件に関する処理を行う。
【0031】
ゲーム動画に付与される情報は、許諾情報だけでなく、ゲーム画面を記録した画面動画を識別する識別処理部217は、ゲーム動画に付与される識別情報に関する処理を行う。ここでいう識別情報とは、許諾IDとは別の識別情報のことであり、例えば、配信が許諾されたゲーム動画を識別する動画IDである。BC処理部218は、ゲーム動画の配信に関する情報をBCシステム3に登録するなど、BCに関する処理を行う。
【0032】
3.情報処理
本節では、本実施形態の情報処理について説明する。ゲーム動画配信システム1は、ゲーム動画を配信する配信処理を行う。配信処理には、許諾情報の発行に関する発行処理が含まれる。
【0033】
図5は、発行処理の一例を示すアクティビティ図である。
図5に示す発行処理は、ユーザが、ゲームのプレイ中に録画を行い、ゲーム動画に使用したいゲーム画面が録画できた場合に、その録画したゲーム画面を含むゲーム動画の配信を許諾する例である。まず、A101において、ゲームサーバ10のゲーム処理部111およびゲーム端末30のゲーム処理部311が協働して、ユーザにゲームの機能を提供するゲーム処理を実行する。
【0034】
次に、ゲーム端末30は、A102において、ユーザによる録画の操作を受け付けた場合に、録画の指示を示す指示データをゲームサーバ10に送信する。ゲームサーバ10は、A103において、録画部113により、送信されてきた指示データが示す指示に基づいてゲーム画面を録画し、録画したゲーム画面を示す一時データを生成する。ゲームサーバ10は、ユーザがゲーム端末30へ録画を終了する操作を行うと、A104において、録画部113により、生成した一時データに基づいて、録画したゲーム画面を示す録画データを生成する。
【0035】
録画データは、ゲーム画面を示す動画、静止画およびゲーム中に放音される音等を示すデータである。なお、録画データの生成は、本実施形態ではゲームサーバ10が行うが、ゲーム端末30が行ってもよい。ゲームサーバ10は、生成した録画データをゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、送信されてきた録画データを受信すると、A105において、動画処理部313により、ゲーム動画を編集する動画編集処理を行う。
【0036】
ゲームサーバ10からゲーム端末30への録画データの送受信は、ユーザIDによって管理されている。これにより、ゲーム端末30のユーザでないと受信できないようにしたり、あるいは誰でも受信できるようにしたりしてもよい。また、そのような録画データの受信の可否を、ユーザまたはゲーム管理者が任意に設定できるようにしてもよい。ユーザは、動画編集の操作により、録画データが示すゲーム画面の切り取り、拡大・縮小、並び替え、ループ、演出画像やコメント画像の重畳、ユーザ映像の重畳、ユーザ音声の付加、ユーザ音声の字幕の付加、ゲーム動画への配置等を行う。
【0037】
ゲーム端末30は、動画の編集が完了すると、A106において、動画処理部313により、完成したゲーム動画を示す動画データと、ゲーム動画のメタ情報である動画情報を生成する。動画情報は、例えば、ゲーム動画を識別する動画ID、ゲーム動画の時間的な長さ(ゲーム動画の再生時間)およびゲーム動画に含まれるゲームの名称を示す。ユーザは、ゲーム動画を完成させると、そのゲーム動画を配信させるために満たさなければならない配信条件を問い合わせる問合せ操作を行う。
【0038】
ゲーム端末30は、問合せ操作を受け付けると、生成した動画情報を動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、予め様々な配信条件を記憶しておく。配信条件は、コンテンツを含む動画(本実施形態ではゲーム動画)の配信者ごとに定められる。また、本実施形態では、さらに細かく、1つのゲーム動画ごとに配信条件が定められているものとする。動画配信サーバ20は、そのように定められた配信条件を記憶している。
【0039】
そして、動画配信サーバ20は、A107において、条件処理部216により、送信されてきた動画情報に基づいて、問い合わせされたゲーム動画の配信条件を読み出す。本実施形態では、ゲーム動画の配信を行うための対価が配信条件として定められているものとする。この対価は、ゲーム動画に含まれるコンテンツ(本実施形態ではゲーム)に関する権利に基づき設定される使用許諾料(ライセンス料とも言う)である。
【0040】
コンテンツに関する権利とは、コンテンツがゲームのような知的財産である場合、例えば著作権であり、場合によっては意匠権や特許権なども含まれる。対価は、ゲーム動画の配信者ごとに定められ、コンテンツに関する権利の所有者から、配信によって利益を得る者(配信者、配信者が属する事務所等)に対して要求される。対価の支払いは、例えば、現金または仮想通貨等で行われる。
【0041】
また、コンテンツがゲームである場合、ゲーム内のアイテム購入という形で対価の支払いが行われてもよい。対価は、定額で定められてもよいが、本実施形態では、動画の再生回数に応じた料金(いわゆる従量課金)が定められる。動画配信サーバ20は、本実施形態では、配信対象のゲームの名称と、ゲーム動画の再生回数の範囲と、配信するために必要な対価とを対応付けた配信条件テーブルを用いる。
【0042】
図6は、配信条件テーブルの一例である。
図6の例では、「格闘ゲームC」というゲームの名称に、「B1未満」、「B1以上B2未満」、「B2以上B3未満」、「B3以上」という動画再生回数の範囲と、「無償」、「P1」、「P2」および「P3」という対価とが対応付けられている。動画配信サーバ20は、送信されてきた動画情報が示すゲームの名称に対応付けられている動画再生回数の範囲および対価の関係一覧を、問い合わせされたゲーム動画の配信条件として読み出す。
【0043】
動画配信サーバ20は、読み出した配信条件をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、A108において、動画処理部313により、送信されてきた配信条件を表示する。このように、許諾情報処理部214は、配信の許諾に関する条件(=配信条件)をユーザに提示する条件提示部として機能する。ユーザは、表示された配信条件のうちのいずれかを採用して配信することを決めた場合は、採用した配信条件の対価の支払いを行って配信の許諾を要求する操作を行う。
【0044】
本実施形態では、対価の支払いがゲーム内のアイテムの購入と同じ仕組みで行われる。具体的には、例えば、ユーザがゲーム内の仮想通貨を電子商取引で購入し、購入した仮想通貨を用いて対価に相当するアイテムを購入する仕組みである。そのため、ゲーム端末30は、A109において、ゲーム処理部311により、配信の許諾に要する対価に相当する仮想通貨の購入と、採用した配信条件を示すアイテムの購入を指示する指示データをゲームサーバ10に送信する。
【0045】
ゲーム端末30は、指示データに動画情報、配信条件およびユーザを識別するユーザIDを付加して送信する。ユーザIDは、例えば、ゲームのユーザとして登録されたユーザに割り当てられた識別情報である。ゲームサーバ10は、A110において、ゲーム処理部111により、送信されてきた指示データが示すとおり対価の支払い処理を行う。ゲームサーバ10は、支払い処理を行った場合、指示データに付加されていた動画情報、配信条件およびユーザIDと配信の許諾の要求とを示す要求データを動画配信サーバ20に送信する。
【0046】
動画配信サーバ20は、要求データを受信すると、A111において、許諾情報処理部214により、受信した要求データが示すゲーム動画の配信を許諾することを示す許諾IDを発行する。このように、動画配信サーバ20の許諾情報処理部214は、所定のゲーム画面を含む動画の配信の許諾を示す許諾情報を発行する発行部として機能する。許諾情報は、配信される動画単位、配信者単位または配信者の所属する団体単位等の様々な対象に対して発行することができるが、本実施形態では、許諾情報処理部214は、配信される動画単位で許諾情報を発行する。
【0047】
いずれの場合も、許諾情報処理部214は、ゲーム動画の配信にそのゲームに関する複数の権利について許諾が必要である場合、それら複数の権利について許諾することを示す許諾情報を発行する。このような態様によれば、動画配信における許諾の漏れを抑制することができる。また、許諾情報処理部214は、A108において提示された配信条件が承諾された場合に、その配信条件での許諾を示す許諾情報を発行する。本実施形態では、配信条件は、
図6で述べたように、動画の再生回数を制限する条件である。なお、この配信条件は、例えば所定の再生回数以上の配信を制限する条件であるが、これは、所定の再生回数未満の配信を許諾する条件と言い換えてもよい。
【0048】
次に、動画配信サーバ20は、A112において、許諾情報処理部214により、発行した許諾IDを、受信した要求データが示す動画ID、ユーザIDおよび配信条件に対応付けて記憶する。このように、許諾情報処理部214は、許諾情報に対応付けられた識別情報を登録する第1登録部として機能する。ここで言う識別情報は、許諾情報により配信が許諾されるゲーム動画の識別情報(本実施形態では動画ID)またはそのゲーム動画の配信者の識別情報(本実施形態ではユーザID)のうちの少なくとも1つである。
【0049】
動画配信サーバ20は、許諾情報処理部214により、許諾ID、動画IDおよびユーザIDを示す許諾関連情報をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、A113において、動画処理部313により、送信されてきた許諾関連情報を表示して、ゲーム動画の配信が許諾されたことをユーザに通知する。このように、許諾情報処理部214は、配信を希望するユーザに、発行された許諾情報(本実施形態では許諾ID)を通知する通知部として機能する。
【0050】
また、許諾情報処理部214は、A114において、許諾情報処理部214およびBC処理部218により、A112において記憶したID情報(許諾ID、動画IDおよびユーザID)および配信条件を、
図1に表すBCシステム3に送信してブロックチェーンに登録する。このように、許諾情報処理部214およびBC処理部218は、許諾情報と、その許諾情報が示す許諾および対価の関係とを対応付けてブロックチェーンに登録する第2登録部として機能する。
【0051】
以上のとおり、
図5の例では、ユーザが自分で録画したゲーム画面を用いてゲーム動画を作成したが、ユーザは、他のユーザが録画したゲーム画面を用いてゲーム動画を作成してもよい。その場合、ゲームサーバ10は、
図5に表すA104において、生成した録画データの一覧を作成してゲーム端末30に表示させる。そして、ユーザが一覧からいずれかの録画データを選択し、ゲームサーバ10が、選択された録画データをゲーム端末30に送信することで、あとは
図5のA105以降の動作が行われる。
【0052】
上記の例では、許諾情報が通知される前に録画データが生成されていたが、録画データが生成される前に、許諾情報が通知されてもよい。その場合の発行処理について説明する。
図7は、発行処理の別の一例を示すアクティビティ図である。
図7に示す発行処理は、ユーザが、他のユーザが録画したゲーム画面を探す操作が行われたことを契機に開始される。まず、A121において、ゲームサーバ10のゲーム処理部111およびゲーム端末30のゲーム処理部311が協働して、ユーザにゲームの機能を提供するゲーム処理を実行する。
【0053】
ここで、ユーザが配信権画面を表示させる操作を行うものとする。配信権画面とは、ゲーム動画の配信権を購入するための画面である。配信権とは、ゲーム動画の配信を行う権利であり、所定の配信条件を満たす配信が許諾されていることを示す。ゲーム端末30は、A122において、動画処理部313により、配信権画面の表示操作を受け付け、配信権画面の表示を要求する要求データをゲームサーバ10に送信する。
【0054】
ゲームサーバ10は、A123において、動画配信部213により、送信されてきた要求データを動画配信サーバ20に転送して、配信権情報を問い合わせる。動画配信サーバ20は、この問合せを受ける前に、A124において、許諾情報処理部214により、所定の配信条件を示す配信権情報を登録しておく。配信権情報の登録は、例えば、ゲーム動画の配信サービスを行う事業者によって行われる。配信権情報は、一度登録されると不変のままでもよいし、定期的に内容を更新して再登録されてもよい。
【0055】
動画配信サーバ20は、ゲームサーバ10から送信されてきた要求データを受信すると、A125において、許諾情報処理部214により、登録された配信権情報を読み出す。動画配信サーバ20は、読み出した配信権情報をゲームサーバ10に送信する。ゲームサーバ10は、A126において、送信されてきた配信権情報をユーザに通知するための配信権画面を作成し、ゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、A127において、動画処理部313により、送信されてきた配信権画面を表示する。
【0056】
図8は、表示された配信権画面の一例を示す図である。ゲーム端末30は、ゲーム内のアイテムショップの一部として配信権画面を表示している。配信権画面では、「動画再生回数B1回パック」および「動画再生回数B2回パック」のように、ゲーム内のアイテムと同じように配信権が販売されている。なお、「動画再生回数」とは、上述したゲーム動画の再生回数の上限を表すものとする。配信権画面では、各配信権のアイテムの対価および購入用のボタンが表示されている。
【0057】
このように、
図7の例においても、許諾情報処理部214は、配信の許諾に関する条件(=配信条件)をユーザに提示する条件提示部として機能する。ゲーム端末30は、A128において、動画処理部313により、購入用のボタンを押す操作を購入操作として受け付ける。ゲーム端末30は、購入操作を受け付けた配信権の配信権情報(本実施形態では動画再生回数の上限および対価)にユーザIDを対応付けたデータを購入データとしてゲームサーバ10に送信する。
【0058】
ゲームサーバ10は、A129において、ゲーム処理部111により、送信されてきた購入データが示す対価の支払い処理を行う。ゲームサーバ10は、支払い処理を行った場合、購入データが示す配信権情報およびユーザIDと配信の許諾の要求とを示す要求データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、要求データを受信すると、A130において、許諾情報処理部214により、受信した要求データが示すゲーム動画の配信を許諾することを示す許諾IDを発行する。
【0059】
このように、
図7の例においても、動画配信サーバ20の許諾情報処理部214は、所定のゲーム画面を含む動画の配信の許諾を示す許諾情報を発行する発行部として機能する。また、許諾情報処理部214は、A127において提示された配信条件が承諾された場合に、その配信条件での許諾を示す許諾情報を発行する。
図7の例においても、配信条件は、動画の再生回数を制限する条件である。
【0060】
次に、動画配信サーバ20は、A131において、許諾情報処理部214により、発行した許諾IDおよび受信した要求データが示すユーザID、すなわちID情報と配信権情報が示す配信条件とを対応付けて記憶する。このように、許諾情報処理部214は、許諾情報に対応付けられた識別情報(
図7の例ではユーザID)を登録する第1登録部として機能する。
【0061】
動画配信サーバ20は、許諾情報処理部214により、許諾IDおよびユーザIDを示す許諾関連情報をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、A132において、動画処理部313により、送信されてきた許諾関連情報を表示して、ゲーム動画の配信権が取得されたことをユーザに通知する。このように、許諾情報処理部214は、配信を希望するユーザに、発行された許諾情報(本実施形態では許諾ID)を通知する通知部として機能する。
【0062】
また、動画配信サーバ20は、A133において、許諾情報処理部214およびBC処理部218により、A131において記憶したID情報(許諾IDおよびユーザID)および配信条件をブロックチェーンに登録する。このように、
図7の例においても、許諾情報処理部214およびBC処理部218は、許諾情報と、その許諾情報が示す許諾および対価の関係とを対応付けてブロックチェーンに登録する第2登録部として機能する。続いて、許諾IDの通知のあと、ゲーム動画が配信されるまでの配信処理について説明する。
【0063】
図9は、配信処理の一例を示すアクティビティ図である。
図9に示す配信処理は、
図5および
図7の発行処理のあとに行われる。各発行処理では、ゲーム端末30に許諾IDが通知されている。ゲーム端末30は、A141において、動画処理部313により、ゲーム動画にID情報を付与する。ここで言うID情報は、
図5の発行処理が行われた場合は許諾ID、動画IDおよびユーザIDであり、
図7の発行処理が行われた場合は許諾IDおよびユーザIDである。各ID情報の付与方法は共通で用いることができるが、許諾IDを例に挙げて説明する。
【0064】
ゲーム端末30は、例えば、ゲーム動画に許諾IDを示すテキストまたはコードを電子透かしの技術を用いて重畳することで、許諾IDを付与する。また、ゲーム端末30は、ゲーム動画のメタ情報である動画情報に許諾IDを書き込むことでゲーム動画に許諾IDを付与してもよい。また、ゲーム端末30は、許諾IDを示す可聴域外の音をゲーム動画が発する音に重畳させることでゲーム動画に許諾IDを付与してもよい。ゲーム端末30は、許諾IDを付与するための機能を提供する動画編集画面を表示する。
【0065】
図10は、動画編集画面の一例を示す図である。動画編集画面には、主画面E1と、サムネイル画像E2と、音情報E3と、テキスト情報E4と、電子透かしボタンD1と、メタ情報ボタンD2とを含む。主画面E1には、編集後の動画が表示される。サムネイル画像E2には、動画に含まれるフレームのサムネイル画像が時系列に沿って並べられている。サムネイル画像E2に録画データを配置することで、録画データを含むゲーム動画が作成される。
【0066】
音情報E3は、ゲーム動画に重畳させる音の情報を示す。テキスト情報E4は、ゲーム動画に重畳させるテキストの情報を示す。電子透かしボタンD1は、許諾IDを電子透かしでゲーム動画に付与するための操作画像である。メタ情報ボタンD2は、許諾IDをメタ情報に含めてゲーム動画に付与するための操作画像である。電子透かしボタンD1を操作した場合、電子透かしでの付与用の動画編集画面に切り替わる。
【0067】
図11は、許諾IDを付与するための動画編集画面の一例を示す図である。
図11(a)では、動画編集画面の全体が示されている。動画編集画面には、主画面E11と、サムネイル画像E12と、電子透かし情報E13とが含まれる。主画面E11には、電子透かしが付与された後の動画が表示される。サムネイル画像E12には、動画に含まれるフレームのサムネイル画像が時系列に沿って並べられている。電子透かし情報E13は、ゲーム動画の再生時間ごとの電子透かしの付与方法を示す。
【0068】
電子透かしの付与方法には、本実施形態では、「全面」、「四隅」、「一隅」、「位置指定」の4通りがある。電子透かしの付与方法は、全面ボタンD11、四隅ボタンD12、一隅ボタンD13および位置指定ボタンD14によって選択される。「全面」の場合、
図11(b)に示すように複数の許諾IDが画面全体に万遍なく付与される。「四隅」の場合、
図11(c)に示すように4つの許諾IDが画面の四隅に付与される。「一隅」の場合、
図11(d)に示すように1つの許諾IDが画面の隅の1つに付与される。
【0069】
「位置指定」の場合、
図11(e)に示すように許諾IDを画面の自由な位置に配置して付与することができる。位置指定では、許諾IDの数、大きさ、向きも自由に設定可能である。ゲーム端末30は、これらの動画編集画面でのユーザの操作に基づいて許諾IDをゲーム動画に付与する。ゲーム端末30は、動画IDおよびユーザIDについても、許諾IDと同様にゲーム動画に付与する。なお、ID情報毎に付与方法が異なっていてもよい(許諾IDは電子透かし、他のIDはメタ情報など)。
【0070】
なお、ゲーム端末30は、文字が明滅する態様の電子透かしまたは色の濃淡が変動し続ける電子透かしを付与してもよい。また、ID情報の付与は、ゲーム画面を録画する際にゲーム画面に対して行われてもよい。この場合、
図7におけるA131において、動画配信サーバ20は、許諾関連情報をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、ゲーム画面を録画する際に、許諾関連情報が示すID情報をゲーム画面に付与するよう、ゲームサーバ10に要求する。
【0071】
ゲームサーバ10は、ゲーム画面を録画する際、要求されたID情報を付与しながら録画する。こうして生成された録画データが示すゲーム画面には、予めID情報が付与されているので、この録画データを用いて作成されたゲーム動画にもID情報が付与されることになる。なお、ゲームサーバ10は、ゲームの1つの機能として、ID情報をゲーム画面に付与する機能を有していてもよい。この場合、ゲームサーバ10は、録画の有無に関わらずID情報をゲーム画面に付与しておき、そのゲーム画面を録画することで、ID情報が付与されたゲーム画面を録画する。
【0072】
また、ゲーム端末30は、プレイヤの操作により、ID情報を付与するか否かを選択可能としてもよい。また、ゲーム端末30は、ID情報が不可視の電子透かしとして付与される場合に、プレイヤの操作により、録画中のみID情報を視認可能に表示するか否かも選択可能としてもよい。ID情報が視認可能に表示されることで、プレイヤは、録画中のゲーム画面は後にゲーム動画として配信される可能性があることを認識しながらプレイを進めることができる。
【0073】
一方、ゲーム端末30は、動画の作成者がID情報を付与したことを確認するため、ゲーム動画に付与されたID情報を読み上げる機能を有していてもよい。ゲーム端末30は、例えば、まず、ゲーム動画に対する処理のログを保存しておく。そして、ゲーム端末30は、ID情報を付与する処理のログがあり、かつ、付与されたID情報を削除する処理のログがない場合に、ゲーム動画にID情報が付与されていると判断し、そのID情報を読み上げる。また、ゲーム端末30は、ID情報を読み上げる代わりに、ゲーム動画にID情報が付与されていない場合にエラー音等で報知を行ってもよい。これらの読み上げおよび報知は、ゲーム動画のアップロード時に行われればよい。
【0074】
ユーザは、ゲーム動画にID情報を付与すると、ゲーム動画を動画配信サーバ20にアップロードさせる操作を行う。ゲーム端末30は、アップロード操作を受け付けると、A142において、動画処理部313により、編集後のゲーム動作を示す動画データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、送信されてきた動画データを受信すると、A143において、付与処理部215および識別処理部217により、受信した動画データが示すゲーム動画にID情報が付与されているか否かを判定する。各ID情報の付与判定方法は共通で用いることができるが、許諾IDを例に挙げて説明する。
【0075】
動画配信サーバ20は、付与処理部215により、例えば、記憶している許諾IDのそれぞれを、動画データのメタ情報から検索する。動画配信サーバ20は、その検索により1つでも許諾IDが見つかった場合にその許諾IDが付与されていると判定する。動画配信サーバ20は、メタ情報から許諾IDが見つからなかった場合またはそれと並行して、ゲーム動画に許諾IDの電子透かしが付与されているか否かを判定する。動画配信サーバ20は、例えば、ゲーム動画に含まれる複数箇所のフレームを選択し、選択したフレームからの許諾IDの抽出を、画像認識技術を用いて試みる。
【0076】
動画配信サーバ20は、許諾IDが1つでも抽出された場合に許諾IDが付与されていると判定し、許諾IDが1つも抽出されなかった場合に許諾IDが付与されていないと判定する。なお、動画配信サーバ20は、判定の確実性を高めるため、抽出された許諾IDの数が閾値以上である場合に付与を判定してもよい。いずれの場合も、付与処理部215は、ゲーム動画がアップロードされる場合に、そのゲーム動画に許諾情報が付与されているか否かを判定する付与判定部として機能する。
【0077】
より詳細には、付与処理部215は、アップロードされたゲーム動画への画像認識にそのゲーム動画に重畳された許諾情報が認識された場合に許諾情報が付与されていると判定する。動画配信サーバ20は、A143において、付与されていると判定した許諾IDに対応付けて登録されている動画IDおよびユーザIDについても、識別処理部217により、許諾IDと同様にゲーム動画への付与を判定する。この場合も、動画配信サーバ20は、画像認識技術を用いて該当する動画IDおよびユーザIDの抽出を試みることで、許諾IDと同様に動画IDおよびユーザIDのゲーム動画への付与を判定する。
【0078】
これにより、ゲーム動画に付与された正しい組合せのID情報が付与されていることが判定される。なお、本実施形態では、配信される動画単位で許諾IDが付与されていたが、例えば配信者単位で許諾IDが付与される場合は、動画配信サーバ20は、許諾IDに対応付けて登録されているユーザIDのゲーム動画への付与を判定すればよい。いずれの場合も、動画配信サーバ20は、ゲーム動画に付与された正しい組合せのID情報が付与されていることを判定する。
【0079】
このように、識別処理部217は、アップロードされたゲーム動画に、付与処理部215により付与されていると判定された許諾情報に対応する識別情報が付与されているか否かを判定する識別判定部として機能する。動画配信サーバ20は、ゲーム動画にID情報が付与されていると判定した場合、A144において、動画記憶部211により、受信した動画データを記憶する。動画配信サーバ20は、ゲーム動画にID情報が付与されていないと判定する場合がある。
【0080】
それは、例えば、ユーザが単純にID情報の付与を忘れていた場合、付与の作業は行ったがID情報が間違えていた場合、正しいID情報を電子透かしで付与したが、動画との相性で読み取りにくくなっていた場合などである。それらの場合、動画配信サーバ20は、ゲーム動画にID情報が付与されていないと判定し、ID情報が付与されていないのでゲーム動画を配信することができないことを通知する通知データをゲーム端末30に送信する。
【0081】
ゲーム端末30は、A145において、動画処理部313により、送信されてきた通知データが示す配信不可通知を表示する。ユーザは、この通知を受け取った場合は、A141に戻ってゲーム動画にID情報を付与する操作を行ってからアップロードし直すことで、ゲーム動画の配信が可能になる。A144においてゲーム動画が記憶された後、ゲーム動画を見ようとするユーザ(視聴者)がゲーム端末30に対してゲーム動画を配信させるため、ゲーム動画の一覧を表示させる操作を行ったとする。視聴者は、基本的に配信者と別のユーザであるが、配信者が自分のゲーム動画の出来を見るために視聴者となる場合もある。
【0082】
ゲーム端末30は、A151において、動画一覧表示操作を受け付けると、動画処理部313により、ゲーム動画の一覧を要求する要求データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は,A152において、一覧配信部212により、受信した要求データが示す動画一覧を作成する。このときに作成される動画一覧には、A144において記憶されたゲーム動画も含まれる。動画配信サーバ20は、作成した動画一覧をゲーム端末30に送信する。
【0083】
ゲーム端末30は、A153において、動画処理部313により、送信されてきた動画一覧を表示する。ユーザは、表示された動画一覧から、配信させるゲーム動画を選択する操作を行う。ゲーム端末30は、A154において、動画処理部313により、この選択操作を受け付け、選択されたゲーム動画の配信を要求する要求データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、A155において、動画配信部213により、受信した要求データが示すゲーム動画を配信する動画として読み出して、ゲーム端末30に向けて配信する。
【0084】
ゲーム端末30は、A156において、動画処理部313により、配信されてきたゲーム動画を表示する。こうして配信されたゲーム動画には、ID情報が付与されている。このように、動画配信部213は、ゲーム動画のうち、発行された許諾情報(本実施形態では許諾ID)が付与されているゲーム動画を配信する配信部として機能する。また、動画配信部213は、ゲーム動画に許諾情報が付与されていると判定された場合にそのゲーム動画を配信する。
【0085】
より詳細には、動画配信部213は、付与処理部215により許諾情報が付与されていると判定され、かつ、識別処理部217により識別情報が付与されていると判定されたゲーム動画を配信する。本実施形態では、上記のとおり、ゲーム動画の再生可能回数が配信条件として用いられている。そのため、ゲーム動画の配信が開始された後、配信が繰り返し行われることで、配信条件が満たされなくなる場合がある。そのようなゲーム動画を把握して対処するため、条件判定処理が行われる。
【0086】
図12は、条件判定処理の一例を示すアクティビティ図である。
図12に示す条件判定処理は、配信条件が定められたゲーム動画ごとに行われる。まず、動画配信サーバ20は、A161において、条件処理部216により、判定対象となるゲーム動画について、配信条件の判定時期が来たか否かを判断する。本実施形態では、ゲーム動画の再生可能回数が配信条件として用いられているので、動画配信サーバ20は、ゲーム動画を配信して再生回数が増える度に判定時期が来たと判断する。
【0087】
動画配信サーバ20は、判定時期が来たと判断するまでA161の動作を繰り返す。動画配信サーバ20は、判定時期が来たと判断した場合、A162において、条件処理部216により、判定対象のゲーム動画が配信条件を満たすか否かを判定する。動画配信サーバ20は、判定対象のゲーム動画に付与されている許諾IDに対応付けて記憶している配信条件を用いて判定を行う。
【0088】
動画配信サーバ20は、配信条件を満たすと判断した場合はA161に戻って動作を繰り返し行う。なお、配信条件の判定は、許諾IDを含むID情報が付与されていると判定されたゲーム動画にのみ行われる。このように、条件処理部216は、付与処理部215によりゲーム動画に許諾情報が付与されていると判定された場合に、その許諾情報が示す条件をそのゲーム動画が満たすか否かを判定する条件判定部として機能する。
【0089】
動画配信サーバ20は、配信条件を満たさないと判断した場合は、許諾情報処理部214により、配信停止の要求を通知する通知データをゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、A163において、受信した通知データが示す通知内容を表示して、配信停止の要求を配信者に通知する。なお、動画配信サーバ20は、許諾情報が付与されていないと判定されたゲーム動画の配信停止を配信者に要求する処理を行う代わりに、配信者の意向にかかわらずそのゲーム動画の配信停止を強制する処理を行ってもよい。
【0090】
その場合、動画配信サーバ20は、ゲーム動画の配信停止を通知する通知データをゲーム端末30に送信するとともに、動画記憶部211に記憶されているそのゲーム動画を読み出しできないようにして配信を停止する処理を行う。このように、許諾情報処理部214は、配信条件が満たされないと判定されたゲーム動画がある場合に、そのゲーム動画に対する配信停止処理を実行可能とする第1処理部として機能する。
【0091】
配信者は、配信停止の要求を受け入れる場合は、配信停止の操作を行う。ゲーム端末30は、配信停止の操作を受け付けると、動画処理部313により、配信停止を指示する指示データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、指示データを受信すると、A164において、動画配信部213により、判定対象のゲーム動画の配信を停止する。配信者は、配信停止の要求を拒否する場合は、配信を継続することを希望する操作を行う。
【0092】
ゲーム端末30は、配信継続の操作を受け付けると、動画処理部313により、配信継続の方法を問い合わせる問合せデータを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、問合せデータを受信すると、A171において、条件処理部216により、判定対象のゲーム動画に適用可能な配信条件を読み出す。適用可能な配信条件とは、例えば、
図6に表す配信条件が用いられる場合、現在の動画再生回数以上の回数を再生可能とする配信条件である。
【0093】
動画配信サーバ20は、読み出した配信条件への更新を案内する案内データをゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、案内データを受信すると、A172において、動画処理部313により、受信した案内データが示す配信条件を表示することで、その配信条件への更新を配信者に案内する。配信者は、対価が上がる等の理由で新たな配信条件を受け入れない場合は、拒否の操作を行う。ゲーム端末30は、拒否の操作を受け付けると、配信条件の更新をしないことを示す拒否データを動画配信サーバ20に送信する。
【0094】
動画配信サーバ20は、拒否データを受信すると、A173において、動画配信部213により、判定対象のゲーム動画の配信を停止する。配信者は、新たな配信条件を受け入れる場合は、配信条件の更新操作を行う。配信条件の更新操作は、例えば、新たな配信条件の対価を購入する操作である。ゲーム端末30は、更新操作を受け付けると、A174において、動画処理部313により、新たな配信条件の購入を示す購入データをゲームサーバ10に送信する。
【0095】
ゲームサーバ10は、A175において、ゲーム処理部111により、送信されてきた購入データが示す対価の支払い処理を行う。ゲームサーバ10は、支払い処理を行った場合、購入データが示す新たな配信条件への更新要求を示す要求データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、要求データを受信すると、A176において、許諾情報処理部214により、判定対象のゲーム動画の配信条件を、受信した要求データが示す配信条件に更新する処理を行う。
【0096】
動画配信サーバ20は、配信条件を更新すると、A161に戻って条件判定処理の動作を繰り返し行う。このように、条件処理部216は、条件が満たされないと判定したゲーム動画がある場合に、そのゲーム動画の配信者にそのゲーム動画の配信が満たす新たな配信条件の配信許諾の取得を要求する要求処理を行う第2処理部として機能する。
【0097】
上記のとおり、本実施形態では、許諾IDが付与されていると判定されたゲーム動画だけが配信されるので、許諾IDの付与判定が行われない場合に比べて、許諾のない動画配信を抑制することができる。また、本実施形態では、配信条件を満たすか否かを判定することで、許諾の条件に違反する動画を見つけることができ、その際に配信停止の要求を行うことで、違反動画の配信を停止させることができる。また、配信条件の更新の要求を行うことで、違反動画の配信を適正な配信に戻すことができる。
【0098】
<その他の実施形態>
(1)許諾IDの購入方法
実施形態とは異なる方法で許諾IDが購入されてもよい。例えば、動画配信サーバ20は、許諾権を販売するウェブショップを提供し、そのウェブショップで許諾権を購入したユーザに許諾IDを発行する。購入された許諾IDは、どのゲーム動画でも自由に付与可能としていてもよいし、決められた配信条件を満たすゲーム動画にのみ付与可能としていてもよい。
【0099】
(2)対価処理
ゲーム動画の配信に、その配信の実績に応じた対価が定められていてもよい。配信実績に応じた対価とは、例えば、動画再生回数に所定の係数を乗じた金額または動画再生回数が所定の回数を突破する度に生じるその回数に応じた金額等である。
【0100】
配信実績と対価との関係は、許諾および対価の関係に相当し、実施形態で述べたようにブロックチェーンに登録されている。条件処理部216は、付与処理部215により許諾情報が付与されていると判定されたゲーム動画が配信された場合、そのゲーム動画の配信実績に対応した対価を要求する要求処理を行う対価部として機能する。条件処理部216による対価の要求処理について
図13を参照して説明する。
【0101】
図13は、対価の要求処理の一例を示すアクティビティ図である。
図13に示す対価の要求処理は、配信条件が定められたゲーム動画ごとに行われる。まず、動画配信サーバ20は、A181において、条件処理部216により、対価処理の対象となるゲーム動画について、対価処理の時期が来たか否かを判断する。動画配信サーバ20は、例えば、毎日0時など決められた時刻になった場合またはゲーム動画の配信回数が所定の回数になった場合等に対価処理の時期が来たと判断する。
【0102】
なお、動画配信サーバ20は、他にも、ゲーム動画の再生回数が所定の回数になった場合または配信者ごとに動画配信のチャンネルが設けられていてそのチャンネルの登録者数が所定の回数になった場合等に対価処理の時期が来たと判断してもよい。また、動画配信サーバ20は、再生回数または登録者数が規定回数に達するまでは無料とし、それらが規定回数を超えた場合に有料に切替えてもよい。
【0103】
動画配信サーバ20は、対価処理の時期が来たと判断するまでA181の動作を繰り返す。動画配信サーバ20は、対価処理の時期が来たと判断した場合、A182において、条件処理部216およびBC処理部218により、対価処理の対象のゲーム動画の配信条件をブロックチェーンから読み出す。次に、動画配信サーバ20は、A183において、条件処理部216により、読み出した配信条件に基づいて対象のゲーム動画の対価を算出し、算出した対価を示す対価データをゲーム端末30に送信する。
【0104】
ゲーム端末30は、A184において、動画処理部313により、送信されてきた対価データが示す対価を表示する。配信者は、表示された対価を支払わないでゲーム動画の配信をやめる場合は、配信停止の操作を行う。ゲーム端末30は、配信停止の操作を受け付けると、配信を停止することを示す配信停止データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、配信停止データを受信すると、A185において、動画配信部213により、対価処理の対象のゲーム動画の配信を停止する。
【0105】
配信者は、表示された対価を支払って配信を継続する場合は、配信を継続させるための操作を行う。配信を継続させるための操作は、例えば、表示された対価に相当するゲーム内のアイテムを購入する操作である。ゲーム端末30は、この操作を受け付けると、A186において、動画処理部313により、対価に相当するアイテムの購入を示す購入データをゲームサーバ10に送信する。なお、ゲーム端末30は、A184において、配信の継続を自動的に判断して、A186において、購入データを送信してもよい。ゲームサーバ10は、A187において、ゲーム処理部111により、送信されてきた購入データが示す対価の支払い処理を行う。
【0106】
ゲームサーバ10は、支払い処理を行った場合、購入データが示す対価の支払いが行われたことを通知する通知データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、通知データを受信すると、A188において、許諾情報処理部214により、それまで記憶していた対価処理の対象のゲーム動画の配信条件を、受信した通知データが示す対価の支払いにより適用される配信条件に更新する。動画配信サーバ20は、配信条件を更新すると、A181に戻って条件判定処理の動作を繰り返し行う。
【0107】
このように、許諾情報処理部214は、ゲーム動画に付与されていると判定した許諾情報に対応付けて登録された関係に基づいて決まる対価を要求する要求処理を行う対価部として機能する。ここでいう関係は、許諾情報が示す許諾および対価の関係であり、ブロックチェーンに登録されている情報である。このような態様によれば、ゲームに関する権利の所有者は、ゲーム画面を使用させることで対価を得ることができる。
【0108】
(3)ゲーム動画の表示態様
動画配信サーバ20の一覧配信部212は、ゲーム動画の一覧を配信する際に、ゲーム動画の配置等に優先度を設けてもよい。例えば、ゲーム動画には、対価に応じた優先度が設定されるものとする。その場合、一覧配信部212は、対価と優先度との関係を示す優先度情報を記憶しておく。優先度情報は、基本的には、対価が高いほど優先度も高いという関係を示すが、その反対の関係を示してもよい。
【0109】
一覧配信部212は、配信可能なゲーム動画の一覧を表示する表示部として機能する。一覧配信部212は、その一覧に含まれるゲーム動画を、そのゲーム動画の優先度に基づいた態様で表示する。動画配信部213は、表示された一覧から選択された動画を配信する。優先度に基づいた態様とは、例えば、優先度が高いほど選択されやすい位置にゲーム動画を配置する態様である。一般的には、画面の上側に近いほど選択されやすい位置となる。画面内の文字が横書きの場合は、画面の左側に近いほど選択されやすい位置となる。
【0110】
また、優先度に基づいた態様は、優先度が高いほど一覧におけるゲーム動画のサムネイル画像のサイズを大きくする態様であってもよい。また、優先度に基づいた態様は、サムネイル画像の枠を目立つ色またはデザインにする態様であってもよい。この実施形態では、対価を支払うほど、一覧において選択されやすい態様で表示され、配信されやすくなる。つまり、このような態様によれば、対価の支払いを動画の視聴数向上に役立てることができる。
【0111】
(4)ゲーム動画の素材管理
ゲーム動画を作成する場合、動画を盛り上げる等の目的で、画像、映像および音等の素材を用いる場合がある。これらの素材は、インターネット上で数多く提供されているが、中には著作権等の権利が付与されているものもある。そのような素材は、無許可で使用してはならないし、許可を得るためには手間がかかる。そこで、動画配信サーバ20が、ユーザが許可を得る手間をかけることなく使用可能な素材を提供してもよい。
【0112】
その場合、例えば、動画配信サーバ20の動画記憶部211が、素材を記憶する記憶部として機能する。ここでいう素材は、ゲーム動画配信システム1のユーザであれば特に許可を得ることなくゲーム動画に含めることが可能な素材である。これは、ゲーム動画配信システム1のユーザになった時点で既に使用が許可されていることになっている素材とも言える。そして、許諾情報処理部214が、ユーザにそれらの素材を提供する提供部として機能する。
【0113】
ここでいうユーザは、許諾情報処理部214により発行された許諾情報が通知されたユーザである。許諾情報処理部214は、動画を編集する画面において、素材を選択するための選択用画像を表示させ、その選択用画像への操作がされた場合に選択された素材をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、動画処理部313により、送信されてきた素材を含むゲーム動画を生成する。このような態様によれば、上記の素材を提供しない場合に比べて、未許諾の素材の動画への使用を抑制することができる。
【0114】
また、動画配信サーバ20は、ゲーム動画の素材として、録画されたゲーム画面そのものを提供してもよい。ここでいうゲーム動画には、ゲーム、ゲーム内の音楽のような一次コンテンツだけでなく、それら一次コンテンツを含む動画のような二次コンテンツが含まれる。以下では、二次コンテンツの中でも、ユーザ端末に表示可能な動画をコンテンツとする場合を例に挙げて説明する。以下では、このようなコンテンツを「コンテンツ動画」という。コンテンツ動画を用いて作成された動画は、「切り抜き動画」と呼ばれている。
【0115】
ゲーム画面を録画した録画データは、コンテンツ動画を示すデータである。例えば、動画配信サーバ20がゲーム画面を録画する際に、録画されるゲームをプレイしたプレイヤが、録画により生成される録画データが示すコンテンツ動画をゲーム動画の素材として利用することを承諾する承諾操作を行うものとする。動画配信サーバ20は、許諾情報処理部214により、承諾操作が行われたコンテンツ動画を示す録画データを記憶する。
【0116】
そして、動画配信サーバ20は、許諾情報処理部214により、コンテンツ動画のサムネイルおよび録画データのファイル名等を用いてコンテンツ動画の一覧を作成し、作成した一覧をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、ユーザが一覧からコンテンツ動画を選択すると、選択されたコンテンツ動画を要求する要求データを動画配信サーバ20に送信する。動画配信サーバ20は、要求データを受信すると、許諾情報処理部214により、要求されたコンテンツ動画を含むゲーム動画の許諾IDを発行する。
【0117】
この許諾IDは、コンテンツ動画を利用した動画の作成の許諾と、作成された動画の配信の許諾とを示す許諾情報である。動画配信サーバ20は、発行した許諾IDおよび要求されたコンテンツ動画を示す録画データをゲーム端末30に送信する。なお、許諾情報処理部214は、コンテンツ動画の一覧ではなく、1ページ毎にコンテンツ動画を表したサイトのリンクを送信してもよい。
【0118】
いずれの場合も、動画配信サーバ20の許諾情報処理部214は、生成されたコンテンツ動画を蓄積する蓄積部として機能し、また、蓄積したコンテンツ動画をユーザに提示する録画提示部として機能する。そして、許諾情報処理部214は、提示したコンテンツ動画が選択された場合にそのコンテンツ動画を用いたゲーム動画の許諾情報を発行する。このような態様によれば、既存のコンテンツ動画を利用して動画を作成することができる。
【0119】
なお、許諾情報処理部214は、素材として利用されるコンテンツ動画に、許諾情報を予め付与しておいてもよい。その場合、許諾情報処理部214は、コンテンツ動画に許諾情報を付与する付与部として機能する。許諾情報処理部214は、録画データが画像を含むデータであれば、上記の実施形態で述べたように、電子透かしまたはメタ情報を用いて許諾IDを付与する。また、許諾情報処理部214は、録画データが音楽等を示すデータであれば、許諾IDを示す可聴域外の音を重畳させて許諾IDを付与する。
【0120】
そして、許諾情報処理部214は、許諾IDを付与した録画データの一覧をユーザに提示して、ユーザが選択した録画データをゲーム端末30に送信する。このように、許諾情報処理部214は、前述のとおり許諾情報を付与した録画データを、ゲーム動画の素材として提供する提供部として機能する。このような態様によれば、ゲーム画面を含む動画に許諾情報が付与されないことを防ぐことができる。
【0121】
なお、素材として提供されるコンテンツ動画自体が、配信が許諾された動画であってもよい。その場合、動画配信サーバ20は、まず、コンテンツ動画の配信を許諾することを示す許諾情報(以下「一次許諾情報」と言う)を発行し、発行した一次許諾情報を含むID情報に対応付けてブロックチェーンに登録する。そして、動画配信サーバ20は、そのコンテンツ動画を利用した動画の作成の許諾と、作成された動画の配信の許諾とを示す許諾情報(以下「二次許諾情報」と言う)を発行し、発行した二次許諾情報を含むID情報に対応付けてブロックチェーンに登録する。
【0122】
また、動画配信サーバ20は、発行した二次許諾情報をコンテンツ動画に付与してから、動画の素材として提供する。これにより、コンテンツ動画を含むゲーム動画に許諾情報が付与されないことを防ぐことができる。また、動画配信サーバ20は、コンテンツ動画に、二次許諾情報に加えて一次許諾情報を付与してもよい。この場合、ゲーム動画に含まれているコンテンツ動画にも配信の許諾がされていることを示すことができる。
【0123】
上述したコンテンツ動画が配信のための一次許諾を得ているということは、コンテンツ動画の配信者は、コンテンツに関する権利の所有者に対価を支払っている。動画配信サーバ20は、このコンテンツ動画についての対価を、コンテンツ動画を用いて作成したゲーム動画を配信する配信者にも支払わせる支払い処理を行ってもよい。これにより、対価の要求元、すなわち、コンテンツに関する権利の所有者は、コンテンツを含む動画の二次配信が増えるほど、多くの対価を得ることができる。
【0124】
また、動画配信サーバ20は、登録されている一次許諾情報および二次許諾情報を列挙する表示を行ってもよい。例えば、ゲーム動画の作成者等によってゲーム動画を指定する操作が行われると、動画配信サーバ20は、指定されたゲーム動画の動画IDに対応付けて登録されている一次許諾情報および二次許諾情報を読み出す。動画配信サーバ20は、読み出した許諾情報を、例えば階層の形式で表示させる。階層の形式とは、例えば、最初の階層に一次許諾情報を示し、次の階層に一次許諾情報および二次許諾情報の両方を示す形式である。このように許諾情報を列挙させることで、ゲーム動画の配信において考慮しなければならない許諾情報を容易に把握することができる。
【0125】
また、コンテンツ動画が提示される際に、コンテンツ動画の使用に関するガイドラインも提示されてもよい。ガイドラインとは、例えば、公序良俗に反してはならないことや、ゲーム内容のネタバレをしないことなどの配信者が守るべき配信条件のことである。この場合、動画配信サーバ20の条件処理部216が、許諾情報処理部214がコンテンツ動画をユーザに提示する際に、そのコンテンツ動画の配信条件をユーザに提示する。
【0126】
許諾情報処理部214は、提示したコンテンツ動画が選択され、且つ、そのコンテンツ動画の配信条件が承諾された場合にそのコンテンツ動画の許諾情報を発行する。このような態様によれば、配信条件を承諾済みであるため、配信条件が満たされなくなった場合に配信停止の承諾を得やすくすることができる。
【0127】
なお、承諾を得る配信条件はこれに限らない。例えば、動画配信サーバ20は、ゲームに関する権利の所有者が配信されるゲーム動画が不適切な内容であると判断した場合に、任意でそのゲーム動画を削除することができるという配信条件の承諾を得てもよい。また、動画配信サーバ20は、上記のとおり提示されたガイドラインに違反した場合、ゲーム動画を削除しても対価の返金対象にならないという配信条件の承諾を得てもよい。
【0128】
(5)付与判定のタイミング
上記の実施形態では、付与処理部215は、ゲーム画面を含む動画がアップロードされる場合に、そのゲーム動画に許諾情報が付与されているか否かを判定したが、付与判定のタイミングはこれに限らない。付与処理部215は、ゲーム動画が編集される場合に、そのゲーム動画に許諾情報が付与されているか否かを判定してもよい。
【0129】
その場合、付与処理部215は、ゲーム端末30の動画処理部313と協働して、例えば、ゲーム動画の編集を開始してから一定時間の間隔で編集中のゲーム動画を強制的にアップロードさせ、許諾情報の付与の有無を判定する。付与処理部215は、その判定結果をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30は、付与されていないという判定結果が送信されてきている間はアップロード機能を使用不能とし、付与されているという判定結果が送信されてきた場合にアップロード機能を使用可能にする。
【0130】
上述したアップロード時または編集時の付与の判定が行われない場合はもちろん、それらの判定が行われる場合でも、アップロードされるゲーム動画の全てに対して判定が行われない限り、配信の許諾を受けておらず許諾情報が付与されていない違反動画がアップロードされる可能性がある。そのような場合のために、付与処理部215は、ゲーム動画が配信される場合に、そのゲーム動画に許諾情報が付与されているか否かを判定してもよい。
【0131】
この場合、動画記憶部211は、アップロードされてきたゲーム動画を一旦全て記憶する。そして、付与処理部215は、配信するゲーム動画が選択された場合に、そのゲーム動画に許諾情報が付与されているか否かを判定する。動画配信部213は、許諾情報が付与されていると判定された場合にそのゲーム動画を配信し、許諾情報が付与されていないと判定された場合はそのゲーム動画を配信しない。
【0132】
なお、動画配信部213は、ゲーム動画の配信が開始された後に、必要に応じてそのゲーム動画を削除してもよい。動画配信部213は、例えば、ゲーム動画の配信が開始された後も動画の再生回数を取得する処理を行い、取得した動画の再生回数が閾値以上となった場合、違反動画の影響が大きく削除の必要があると判断して、該当するゲーム動画を削除する。付与判定が上記のいずれのタイミングで行われたとしても、付与判定が行われない場合に比べて、許諾のない動画配信を抑制することができる。
【0133】
(6)配信条件
条件処理部216は、上記の実施形態では、ゲーム動画の再生回数に応じて配信を制限する条件を配信条件として用いたが、これに限らない。配信条件は、ゲーム動画の時間的な長さに応じて配信を制限する条件であってもよい。この場合、動画配信サーバ20は、例えば、ゲーム動画の長さが所定の時間以下である場合は無料で制限なく配信を許諾する。
【0134】
そして、動画配信サーバ20は、ゲーム動画の長さが所定の時間を超えた場合は、そのゲーム動画の長さに応じた対価を支払わなければ配信を制限する。また、配信条件は、例えば、ゲーム動画の配信期間を制限する条件であってもよい。配信期間が例えば1年間と制限されると、配信者は、配信を開始してから1年間経過する前にゲーム動画の配信を停止しなければならない。ただし、配信期間の経過時に新たな対価を支払って配信期間の延長をできるようにしてもよい。
【0135】
他にも、配信条件は、ゲーム動画の配信時間帯を制限する条件であってもよい。配信時間帯は、1日のうちの時間帯だけでなく、曜日、日付、月および年等も含めて制限されてもよい。以上のとおり配信に関する配信条件を用いることで、無条件で配信可能とする場合に比べて、許諾情報の発行者の意図を超えた配信がされにくいようにすることができる。許諾情報の発行者とは、コンテンツに関する権利の所有者またはその所有者から権利の執行・管理を委託された者等である。
【0136】
なお、配信条件は、配信を制限する条件に限らず、配信するゲーム動画を制限する条件であってもよい。例えば、配信条件は、ゲーム動画の再生時間、ゲーム動画の画面上でのサイズ、ゲーム動画のファイルサイズまたは解像度を制限する条件であってもよい。ゲーム動画の時間的な長さは、ゲーム画面が映っていない部分も含めたゲーム動画全体の再生時間を意味する。ゲーム動画の画面上でのサイズおよび解像度は、実質的に同じことを意味しており、ゲーム動画の縦および横の画素数(1920*1080等)によって表される。ゲーム動画のファイルサイズは、再生時間が長く、画面上でのサイズが大きく、解像度が高いほど大きくなりやすい。
【0137】
このようにゲーム動画に関する配信条件を用いることで、無条件で配信可能とする場合に比べて、許諾情報の発行者の意図を超えたゲーム動作が配信されにくいようにすることができる。また、配信条件は、ゲーム動画に含めるゲーム画面に関する条件であってもよい。例えば、配信条件は、ゲーム動画に含めることが可能なゲーム画面の範囲、そのゲーム画面の再生時間、そのゲーム画面の画面上でのサイズまたは解像度を制限する条件であってもよい。
【0138】
ゲーム画面の範囲とは、例えば、ゲーム名および録画されたゲーム内の場面の名称等によって示される。どのようなジャンルのゲームであっても、通常は、プレイヤがあきないように場面を変えながらゲームが進んでいく。例えば、格闘ゲームであれば、対戦するキャラクタの名称(キャラクタA対キャラクタBなど)やトーナメントの何回戦などの名称によってゲーム内の場面が示される。他にも、ゲーム内の場面は、ロールプレイングゲームやアクションゲームであれば、ゲーム内の場所(城、街、平原等)や参加しているクエスト、イベントの名称等で示される。
【0139】
また、ゲーム内の場面は、パズルゲームや音楽ゲームであれば、プレイ中の面(ステージやレベルなどとも呼ばれる)や楽曲の名称等で示される。ゲーム画面の再生時間は、ゲーム動画にゲーム画面が映っている時間である。ここで、ゲーム画面が静止している時間は、再生時間に含めてもよいし、含めなくてもよい。静止時間を含める場合は、例えば録画したゲーム画面が1分間でも画面を停止させながら解説すると再生時間が長時間になる場合がある。
【0140】
一方、静止時間を含めない場合は、録画した1分間のゲーム画面だけを用いるゲーム動画であれば、再生時間は1分間だけに抑えられる。ゲーム画面の画面上でのサイズまたは解像度は、実質的に同じことを意味しており、ゲーム動画に含めるゲーム画面の縦および横の画素数(1920*1080等)によって表される。条件処理部216は、画像認識技術を用いてゲーム動画からゲーム画面の範囲を特定してもよいが、処理の負荷を軽減するため、録画データの概要を示すメタ情報として生成される録画情報にゲーム画面の範囲を含めるようにしてもよい。
【0141】
この録画情報の生成は、ゲームサーバ10の録画部113が行う。ゲームサーバ10は、録画データに含まれるゲーム画面の範囲の全てとそれらの範囲の再生開始時刻および再生終了時刻を示す録画情報を作成する。ゲームサーバ10は、作成した録画データおよび録画情報をゲーム端末30に送信する。ゲーム端末30の動画処理部313は、ゲーム動画を編集する際に、編集してゲーム動画に含められたゲーム画面の範囲を示す動画情報を作成する。
【0142】
動画配信サーバ20の条件処理部216は、ゲーム動画に許諾されたゲーム画面の範囲を配信条件としてそのゲーム動画の許諾IDに対応付けて予め記憶しておく。そして、条件処理部216は、例えばゲーム動画が動画情報とともにアップロードされた場合に、その動画情報が示すゲーム画面の範囲が、そのゲーム動画の許諾IDに対応付けて記憶した配信条件を満たすか否かを判定する。
【0143】
なお、いずれの配信条件も、ゲーム動画の配信に関して制限される範囲を示す形で表されていたが、反対に、ゲーム動画の配信に関して許諾される範囲を示す形で表されていてもよい。例えば、ゲーム動画の長さが所定の時間を超えないように制限する配信条件は、ゲーム動画の長さが所定の時間以内であれば許諾される配信条件というように言い換えられる。配信条件がどちらで表現された場合でも、このような態様によれば、無条件で配信可能とする場合に比べて、許諾情報の発行者の意図を超えた配信がされにくいようにすることができる。
【0144】
(7)許諾の単位
動画配信サーバ20の許諾情報処理部214は、上記の各例では、コンテンツを含む動画の1つ1つを単位として配信を許諾する許諾情報を発行したが、これに限らない。許諾情報処理部214は、例えば、所定の数の動画を単位として許諾情報を発行してもよいし、動画を作成するユーザまたは団体を単位として許諾情報を発行してもよい。
【0145】
ユーザには、ゲーム動画の配信により収益(例えば広告収入)を得ることが可能な者と、収益を得ることができない者とが含まれる。その場合、配信条件は、それらのユーザを識別するユーザIDに応じて配信を制限する条件であってもよい。例えば、収益化可能ユーザに対しては再生回数に応じた対価を要するという第1配信条件が用いられ、収益化ができないユーザに対しては無条件で配信可能という第2配信条件が用いられるものとする。
【0146】
また、或る動画配信サイトにおける動画の配信者は、自身のチャンネル登録数が所定数以上である場合に収益化が可能であるものとする。その場合、動画配信サーバ20は、例えば
図12のA162において配信条件を満たすか否かを判定する際に、ゲーム動画の配信者のその動画配信サイトにおけるチャンネル登録数を参照する。動画配信サーバ20は、参照したチャンネル登録数が所定数以上である場合、収益化可能ユーザであると判断し、第1配信条件を満たすか否かを判定する。
【0147】
また、動画配信サーバ20は、参照したチャンネル登録数が所定数未満である場合、収益化できないユーザであると判断し、第2配信条件を満たすか否かを判定する。なお、動画配信サーバ20は、収益化可能ユーザのユーザIDリストを予め記憶しておくことで、許諾IDに対応付けられたユーザIDに基づいて収益化可能ユーザか否かを判断し、配信条件を判定してもよい。また、前述の例に限らず、例えば、配信者が個人か団体かによって異なる配信条件を用いてもよいし、配信者が所属する団体によって異なる配信条件を用いてもよい。このような態様によれば、動画の配信者ごとに配信制限の内容を定めることができる。
(8)許諾権の取引
ゲーム動画の配信等についての許諾権は、取引可能であってもよい。これらの許諾権は、ブロックチェーンに許諾情報が登録されることで管理されているので、例えば、ブロックチェーンで用いられる取引所を介して取引されてもよい。この場合、動画配信サーバ20は、例えば許諾情報処理部214により、取引所を介した取引の処理を実行する。これにより、例えば許諾権を購入したが使用しなかった場合に、支払った費用の一部または全部を補填することができる。
【0148】
(9)許諾権の使用状況
動画配信サーバ20は、許諾情報処理部214により、発行した許諾IDが示す許諾権の使用状況を示す情報をブロックチェーンに登録してもよい。動画配信サーバ20は、例えば、発行した許諾IDを付与したゲーム動画がアップロードされていれば、その許諾IDが示す許諾権が使用された旨を示す使用済みフラグをブロックチェーンに登録する。
【0149】
また、動画配信サーバ20は、発行した許諾IDを付与したゲーム動画がアップロードされていなければ、その許諾権が使用されていない旨を示す未使用フラグをブロックチェーンに登録する。これらの使用状況を示す情報は、例えば、許諾権の取引可否の条件に用いられてもよい。例えば、動画配信サーバ20は、使用済みフラグが登録された許諾権については取引所を介した取引処理を実行し、未使用フラグが登録された許諾権については取引所を介した取引処理を実行不可とする。
【0150】
(10)構成のバリエーション
図1に示す全体構成は一例であり、これに限られない。例えば、ゲームサーバ10および動画配信サーバ20は、1台の装置に統合されてもよいし、3台以上の装置に分散させてもよい。また、これらのサーバは、クラウドコンピューティングシステムに代替されてもよい。また、ゲーム端末40とは別のユーザ端末によって動画の編集が行われてもよいし、ゲームがプレイされてもよい。
【0151】
また、
図4に示す機能構成も一例であり、これに限られない。例えば、ゲームサーバ10および動画配信サーバ20の機能が1台の装置で実現されてもよいし、反対に動画配信サーバ20の機能が2台以上の装置に分散して実現されてもよい。要するに、ゲーム動画配信システム1の全体で
図4に示す各機能が実現されていれば、それらの機能を実現する装置はどのような構成であってもよい。
【0152】
(11)開示のカテゴリ
上述した実施形態の態様は、情報処理方法であってもよい。その情報処理方法は、ゲーム動画配信システム1のような情報処理システムの各部を備える。また、上述した実施形態の態様は、プログラムであってもよい。そのプログラムは、コンピュータに、同様の情報処理システムの各ステップを実行させる。
【0153】
<付記>
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0154】
(2)前記情報処理システムにおいて、付与判定ステップでは、前記ゲーム画面を含む動画が編集、アップロードまたは配信される場合に、当該動画に前記許諾情報が付与されているか否かを判定し、前記配信ステップでは、前記動画に前記許諾情報が付与されていると判定された場合に当該動画を配信する、もの。
【0155】
このような態様によれば、許諾のない動画配信を手間を掛けずに発見することができる。
【0156】
(3)前記情報処理システムにおいて、条件提示ステップでは、前記配信の許諾に関する条件を前記ユーザに提示し、前記発行ステップでは、提示された前記条件が承諾された場合に当該条件での許諾を示す前記許諾情報を発行する、もの。
【0157】
このような態様によれば、動画の生成前に配信許諾を受けることができる。
【0158】
(4)前記情報処理システムにおいて、前記条件は、前記動画の再生時間、画面上でのサイズまたは解像度を制限する、もの。
【0159】
このような態様によれば、許諾情報の発行者の意図を超えた動画が配信されにくいようにすることができる。
【0160】
(5)前記情報処理システムにおいて、前記条件は、前記動画の配信期間、配信時間帯または配信回数を制限する、もの。
【0161】
このような態様によれば、許諾情報の発行者の意図を超えた配信が行われにくいようにすることができる。
【0162】
(6)前記情報処理システムにおいて、前記条件は、前記動画に含めることが可能なゲーム画面の範囲、再生時間、画面上でのサイズまたは解像度を制限する、もの。
【0163】
このような態様によれば、許諾情報の発行者の意図を超えたゲーム画面が配信されにくいようにすることができる。
【0164】
(7)前記情報処理システムにおいて、条件判定ステップでは、前記付与判定ステップにおいて前記動画に前記許諾情報が付与されていると判定された場合に、当該許諾情報が示す条件を当該動画が満たすか否かを判定する、もの。
【0165】
このような態様によれば、許諾の条件に違反する動画を見つけることができる。
【0166】
(8)前記情報処理システムにおいて、第1処理ステップでは、前記条件が満たされないと判定された動画がある場合に、当該動画に対する配信停止処理を実行可能とする、もの。
【0167】
このような態様によれば、違反動画の配信を停止させることができる。
【0168】
(9)前記情報処理システムにおいて、第2処理ステップでは、前記条件が満たされないと判定された動画がある場合に、当該動画の配信者に当該動画の配信が満たす新たな条件の配信許諾の取得を要求する要求処理を行う、もの。
【0169】
このような態様によれば、違反動画の配信を適正な配信に戻すことができる。
【0170】
(10)前記情報処理システムにおいて、第1登録ステップでは、前記許諾情報に対応付けられた識別情報を登録し、前記識別情報は、前記許諾情報により配信が許諾される動画の識別情報または当該動画の配信者の識別情報のうちの少なくとも1つであり、識別判定ステップでは、アップロードされた動画に、前記付与判定ステップにおいて付与されていると判定された許諾情報に対応する識別情報が付与されているか否かを判定し、前記配信ステップでは、前記許諾情報が付与されていると判定され、かつ、前記識別情報が付与されていると判定された動画を配信する、もの。
【0171】
このような態様によれば、許諾の有無をより正確に判断することができる。
【0172】
(11)前記情報処理システムにおいて、前記付与判定ステップでは、アップロードされた動画への画像認識により当該動画に重畳された前記許諾情報が認識された場合に前記許諾情報が付与されていると判定する、もの。
【0173】
このような態様によれば、許諾の有無を判断する際の手間を減らすことができる。
【0174】
(12)前記情報処理システムにおいて、前記配信には、当該配信の実績に応じた対価が定められており、対価ステップでは、前記許諾情報が付与されていると判定された動画が配信された場合、当該動画の配信実績に対応した対価を要求する要求処理を行う、もの。
【0175】
このような態様によれば、ゲーム画面を使用させることで対価を得ることができる。
【0176】
(13)前記情報処理システムにおいて、第2登録ステップでは、前記許諾情報と、当該許諾情報が示す許諾および対価の関係とを対応付けてブロックチェーンに登録し、前記対価ステップでは、前記動画に付与されていると判定された前記許諾情報に対応付けて登録された前記関係に基づいて決まる対価を要求する要求処理を行う、もの。
【0177】
このような態様によれば、改ざんによる誤った対価の提供を抑制することができる。
【0178】
(14)前記情報処理システムにおいて、前記動画には、前記対価に応じた優先度が設定され、表示ステップでは、配信可能な動画の一覧を表示し、当該一覧に含まれる動画を、当該動画の優先度に基づいた態様で表示し、前記配信ステップでは、前記一覧から選択された動画を配信する、もの。
【0179】
このような態様によれば、対価の支払いを動画の視聴数向上に役立てることができる。
【0180】
(15)前記情報処理システムにおいて、記憶ステップでは、前記動画に含めることが可能な素材を記憶し、提供ステップでは、前記許諾情報が通知されたユーザに前記素材を提供する、もの。
【0181】
このような態様によれば、未許諾の素材の動画への使用を抑制することができる。
もちろん、この限りではない。
また、上述した実施形態および変形例を任意に組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0182】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された開示とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0183】
1 :ゲーム動画配信システム
2 :通信回線
3 :BCシステム
10 :ゲームサーバ
20 :動画配信サーバ
30 :ゲーム端末
111 :ゲーム処理部
112 :ゲーム記憶部
113 :録画部
211 :動画記憶部
212 :一覧配信部
213 :動画配信部
214 :許諾情報処理部
215 :付与処理部
216 :条件処理部
217 :識別処理部
218 :BC処理部
311 :ゲーム処理部
312 :ゲーム記憶部
313 :動画処理部