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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061347
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027778
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0139074
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ジ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ビョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ホン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ウク
(72)【発明者】
【氏名】クー、ボン セオク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジュン ウォン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品の信頼性及び電気導電性を向上させ、ホッピング伝導により電気的連結性を確保するため、電気導電性が弱いという問題を解決し、高温環境において焼結電極層と導電性樹脂層との界面に浮きが発生することを抑制し、界面以外でも導電性樹脂層の内部が破れて浮きが発生することを抑制する。
【解決手段】積層型電子部品は、誘電体層及び誘電体層と交互に配置される内部電極とを含む本体と、本体上に配置される外部電極を含み、外部電極は、内部電極と連結される電極層と、電極層上に配置され、第1金属間化合物、ガラスを含む金属間化合物層と、金属間化合物層上に配置され、第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部、複数の金属粒子及び樹脂を含む導電性樹脂層と、を含み、金属間化合物層の第1方向の成分の長さに対する第1金属間化合物が形成された領域の第1方向の成分の長さの比は20%以上である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、前記本体上に配置される外部電極を含み、
前記外部電極は、
前記内部電極と連結される電極層と、
前記電極層上に配置され、第1金属間化合物、ガラスを含む金属間化合物層と、
前記金属間化合物層上に配置され、第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部、複数の金属粒子及び樹脂を含む導電性樹脂層と、を含み、
前記金属間化合物層の第1方向の成分の長さに対する前記第1金属間化合物が形成された領域の第1方向の成分の長さの比は20%以上である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記導電性連結部の粒子及び前記複数の金属粒子のうち、フェレット(Feret)直径が10μm以上である粒子の個数の合計をN1、前記導電性連結部の粒子及び前記複数の金属粒子の全体個数をN2としたとき、N2に対するN1の比(N1/N2)は15%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記導電性連結部の一部は、前記金属間化合物層に含まれる前記第1金属間化合物の一部と直接的に接触する、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1金属間化合物はCuSnである、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記導電性連結部に含まれた前記第2金属間化合物は、CuSn、CuSn及びAgSnの少なくともいずれか一つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記複数の金属粒子は、銀(Ag)、銅(Cu)及び銀(Ag)がコーティングされた銅(Cu)の少なくともいずれか一つを含み、前記導電性連結部に含まれた前記低融点金属はスズ(Sn)またはスズ(Sn)合金である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記電極層は導電性金属及びガラスを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記外部電極は、前記導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記導電性連結部の一部は、前記第1めっき層の一部及び前記金属間化合物層に含まれる前記第1金属間化合物の一部と直接的に接触する、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1めっき層上に配置される第2めっき層をさらに含む、請求項9に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
誘電体層及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、前記本体上に配置される外部電極を含み、
前記外部電極は、
前記内部電極と連結される電極層と、
前記電極層上に配置され、第1金属間化合物及びガラスを含む金属間化合物層と、
前記金属間化合物層上に配置され、第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部、複数の金属粒子及び樹脂を含む導電性樹脂層と、を含み、
前記導電性連結部の粒子及び前記複数の金属粒子のうち、フェレット(Feret)直径が10μm以上である粒子の個数の合計をN1、前記導電性連結部の粒子及び前記複数の金属粒子の全体個数をN2としたとき、N2に対するN1の比(N1/N2)は15%以上である、積層型電子部品。
【請求項12】
前記導電性連結部の一部は、前記金属間化合物層に含まれる前記第1金属間化合物の一部と直接的に接触する、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第1金属間化合物はCuSnである、請求項11または12に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記導電性連結部に含まれた前記第2金属間化合物は、CuSn、CuSn及びAgSnの少なくともいずれか一つを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記複数の金属粒子は、銀(Ag)、銅(Cu)及び銀(Ag)がコーティングされた銅(Cu)の少なくともいずれか一つを含み、前記導電性連結部に含まれた前記低融点金属はスズ(Sn)またはスズ(Sn)合金である、請求項11~14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記電極層は導電性金属及びガラスを含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記外部電極は、前記導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記導電性連結部の一部は、前記第1めっき層の一部及び前記金属間化合物層に含まれる前記第1金属間化合物の一部と直接的に接触する、請求項17に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
前記第1めっき層上に配置される第2めっき層をさらに含む、請求項17または18に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層型セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品のプリント回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層型セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。最近では、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、積層セラミックキャパシタもまた小型化及び高容量化する傾向にあり、このような流れによって積層セラミックキャパシタの高信頼性を確保する重要度が高まっている。
【0004】
積層セラミックキャパシタの高信頼性を確保するための方案として、機械的または熱的環境で発生する引張ストレス(stress)を吸収して、ストレスによって発生するクラック(crack)を防止するために、外部電極に導電性樹脂層を適用する技術が開示されている。
【0005】
このような導電性樹脂層は、積層セラミックキャパシタの外部電極の焼結電極層とめっき層との間を電気的及び機械的に接合させる役割を果たし、回路基板実装中に工程温度による機械的及び熱的応力及び基板の反り衝撃から積層セラミックキャパシタを保護する役割を果たす。
【0006】
しかし、導電性樹脂層の導電性粒子が分散した形態であるため、導電性樹脂層及び焼結電極層と密着力が弱い高分子-金属結合からなって界面に浮きが生じることがある。
【0007】
また、導電性樹脂層の導電性粒子が分散した形態で、ホッピング伝導(Hopping Conduction)により電気的連結性を確保するため、電気導電性が弱いという問題が発生することがある。
【0008】
また、焼結電極層及び導電性樹脂層は、樹脂の結合力で結合されるため、結合力が弱いという問題点がある。特に、リフロー(reflow)などの高温環境において導電性樹脂層で発生するアウトガス(Outgas)により、焼結電極層と導電性樹脂層との界面に浮きが生じることがある。
【0009】
また、導電性樹脂層の剛性が弱い場合、リフロー(reflow)などの高温環境において導電性樹脂層で発生するアウトガス(Outgas)により焼結電極層と導電性樹脂層との界面以外でも導電性樹脂層の内部が破れる現象が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の様々な目的の一つは、積層型電子部品の信頼性及び電気導電性を向上させることである。
【0011】
本発明の様々な目的の一つは、導電性樹脂層と焼結電極層との界面の間の密着力が弱く、界面に浮きが発生することを抑制することである。
【0012】
本発明の様々な目的の一つは、導電性樹脂層に含まれた導電性粒子が分散された形態で、ホッピング伝導(Hopping Conduction)により電気的連結性を確保するため、電気導電性が弱いという問題を解決することである。
【0013】
本発明の様々な目的の一つは、リフロー(reflow)などの高温環境において導電性樹脂層で発生するアウトガス(Outgas)により焼結電極層と導電性樹脂層との界面に浮きが発生することを抑制することである。
【0014】
本発明の様々な目的の一つは、リフロー(reflow)などの高温環境において導電性樹脂層で発生するアウトガス(Outgas)により焼結電極層と導電性樹脂層との界面以外でも、導電性樹脂層の内部が破れて浮きが発生することを抑制することである。
【0015】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結される電極層と、上記電極層上に配置され、第1金属間化合物、ガラスを含む金属間化合物層と、上記金属間化合物層上に配置され、第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部、複数の金属粒子及び樹脂を含む導電性樹脂層と、を含み、上記金属間化合物層の第1方向の成分の長さに対する上記第1金属間化合物が形成された領域の第1方向の成分の長さの比は20%以上である。
【0017】
本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結される電極層と、上記電極層上に配置され、第1金属間化合物及びガラスを含む金属間化合物層と、上記金属間化合物層上に配置され、第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部、複数の金属粒子及び樹脂を含む導電性樹脂層と、を含み、上記導電性連結部の粒子及び上記複数の金属粒子のうちフェレット(Feret)直径が10μm以上である粒子の個数の合計をN1、上記導電性連結部の粒子及び上記複数の金属粒子の全体個数をN2としたとき、N2に対するN1の比(N1/N2)は15%以上である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させたことである。
【0019】
本発明の様々な効果の一つは、導電性樹脂層と焼結電極層との界面の間の密着力を向上させ、界面の浮きが発生することを抑制することである。
【0020】
本発明の様々な効果の一つは、導電性樹脂層に含まれる導電性粒子の分散された形態によって電気導電性が弱くなる問題を解決することである。
【0021】
本発明の様々な効果の一つは、リフロー(reflow)などの高温環境において導電性樹脂層で発生するアウトガス(Outgas)により焼結電極層と導電性樹脂層との界面に浮きが発生することを抑制することである。
【0022】
本発明の様々な効果の一つは、リフロー(reflow)などの高温環境において導電性樹脂層で発生するアウトガス(Outgas)により焼結電極層と導電性樹脂層との界面以外でも導電性樹脂層の内部が破れて浮きが発生することを抑制することである。
【0023】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面である。
図2図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面である。
図3図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示した図面である。
図4図2のB領域を拡大して示した図面である。
図5図4のC領域を拡大して示した図面である。
図6a】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品のB領域付近の断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した後、第1金属間化合物が生成された領域を彩色した写真である。
図6b図6aのD領域をモノクロ処理した図面である。
図7a】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品のB領域付近の断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した後、導電性物質が生成された領域を彩色した写真である。
図7b図7aのE領域をモノクロ処理した写真である。
図7c図7aのE領域をモノクロ処理した図面である。
図8】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品のB領域付近の断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した写真である。
図9】本発明の一実施形態に係る誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面であり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面であり、図3は、図1のII-II'線に沿った断面図を概略的に示した図面であり、図4は、図2のB領域を拡大して示した図面であり、図5は、図4のC領域を拡大して示した図面であり, 図8は, 本発明の一実施形態に係る積層型電子部品のB領域付近の断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した写真であり,図9は、本発明の一実施形態に係る誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0026】
以下、図1図5, 図8及び図9を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品について詳細に説明する。
【0027】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極130、140を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結される電極層131、141と、上記電極層上に配置され、第1金属間化合物132a、142a及びガラス132b、142bを含む金属間化合物層132、142と、上記金属間化合物層132、142上に配置され、第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部133c、143c、複数の金属粒子133a、143a及び樹脂133b、143bを含む導電性樹脂層133、143と、を含み、上記金属間化合物層132の第1方向の成分の長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の第1方向の成分の長さの比は、20%以上である。
【0028】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0029】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮によって、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0030】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、かつ第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0031】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどが挙げられる。
【0033】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0034】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Aと、上記容量形成部Aの上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0035】
また、上記容量形成部Aは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0036】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Aの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0037】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同一材料を含むことができる。
【0038】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0039】
また、上記容量形成部Aの側面には、マージン部114、115が配置されることができる。
【0040】
マージン部114、115は、本体110の第6面6に配置されたマージン部114及び第5面5に配置されたマージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両側面に配置されることができる。
【0041】
マージン部114、115は、図3に示したように、上記本体110を第1及び第3方向(幅-厚さ)方向で切断した断面で第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110との境界面の間の領域を意味することができる。
【0042】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0043】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することで形成されたものであることができる。
【0044】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Aの両側面に幅方向に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0045】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができる。
【0046】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4でそれぞれ第1及び第2外部電極と接触することができる。
【0047】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3で第1外部電極130と接触し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4で第2外部電極140と接触することができる。
【0048】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0049】
図9を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0050】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であることができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
また、内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷して内部電極を形成することができ、内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、外部電極は、内部電極121、122と連結される電極層131、141と、上記電極層上に配置され、第1金属間化合物132a、142a及びガラス132b、142bを含む金属間化合物層132、142と、上記金属間化合物層上に配置され、第2金属間化合物133c、143c及び低融点金属を含む導電性連結部133c、143c、複数の金属粒子133a、143a及び樹脂133b、143bを含む導電性樹脂層133、143と、を含み、上記金属間化合物層132、142の第1方向の成分の長さに対する上記第1金属間化合物132a、142aが形成された領域の第1方向の成分の長さの比は、20%以上であることができる。
【0053】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品の外部電極130、140は、内部電極121、122と接続される電極層131、141、前記電極層上に配置される金属 肝臓化合物層132、142、金属間化合物層上に配置される導電性樹脂層133、143を含むことができ、このとき、導電性樹脂層上に配置される第1めっき層134、144および第 1めっき層上に配置された第2めっき層135、145を含むことができるが、第1めっき層および第2めっき層は本発明の必須の構成ではない場合がある。
【0054】
図4のB領域は、第1外部電極130の一部を拡大して示したが、第1外側電極130は、第1内部電極121と電気的に接続し、第2外部電極140は第2内部電極122と接続する差異があるのみであって、第1外部電極130と第2外部電極140の構成は類似するため、以下では、第1外部電極130を基準に説明するが、これは第2外部電極140に関する説明を含むものとする。
【0055】
電極層131、141は、本体と外部電極を機械的に接合させる役割を果たし、内部電極と外部電極を電気的及び機械的に接合させる役割を果たす。
【0056】
上記電極層131、141は、本体110の長さ方向の一面を介して交互に露出した第1及び第2内部電極121、122と接触して直接的に連結されることで、第1及び第2外部電極130、140と第1及び第2内部電極121、122との間の電気的導通を確保する。
【0057】
すなわち、上記電極層131、141は、第1電極層131及び第2電極層141から構成されることができ、上記第1電極層131は、本体110の長さ方向の一面を介して露出した第1内部電極121と接触して直接的に連結されることで、第1外部電極130と第1内部電極121との間の電気的導通を確保する。
【0058】
また、上記第2電極層141は、本体110の長さ方向の他面を介して露出した第2内部電極122と接触して直接的に連結されることで、第2外部電極140と第2内部電極122との間の電気的導通を確保する。
【0059】
このような電極層131、141は金属成分を含むことができ、このような例として、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)またはこれらの合金がある。より好ましくは、上記金属成分で焼結された銅を用いることができる。
【0060】
このとき、電極層131、141は、本体110の第3及び第4面3、4から本体110の第1及び第2面1、2の一部までそれぞれ延長するように形成されることができる。
【0061】
また、電極層131、141は、本体110の第3及び第4面3、4から本体の第5及び第6面5、6の一部までそれぞれ延長するように形成されることができる。
【0062】
図5は、図4のC領域の拡大図である。
【0063】
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、上記電極層131上に配置される金属間化合物層132を含むことができる。
【0064】
上記金属間化合物層132は、第1金属間化合物132a及びガラス132bを含むことができる。
【0065】
ここで、第1金属間化合物132aは、導電性樹脂層133に含まれる低融点金属と電極層131に含まれる金属が反応して形成された金属間化合物(Intermetallic Compound)を意味することができる。
【0066】
例えば、第1金属間化合物132aは、電極層131に銅(Cu)が含まれ、導電性樹脂層133に含まれる低融点金属がSnである場合、低融点金属であるSnが電極層131に含まれるCuと本体110の方向に反応して形成されたCuSnであることができる。上記金属間化合物層132は、信頼性及び電気的連結性を向上させる役割を果たす。金属間化合物層132は、上記電極層131を覆うように配置されることができる。
【0067】
本発明の一実施形態によると、電極層131を形成し、電極層131上に低融点のペーストを塗布及び焼成して外部電極130を形成することができる。
【0068】
これにより、電極層131に含まれた金属粒子133aとペーストに含まれた低融点の金属粒子が相互拡散して第1金属間化合物132aが形成され、電極層131と導電性樹脂層133との間の界面において第1金属間化合物が層(layer)状になって金属間化合物層132が形成されることができる。
【0069】
本発明の一実施形態によると、金属間化合物層132上に第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部133c、複数の金属粒子133a及び樹脂133bを含む導電性樹脂層が配置されることができる。
【0070】
第2金属間化合物は、導電性樹脂層133の内部の複数の金属粒子133aの一部が低融点金属と反応して形成された金属間化合物(Intermetallic Compound)を意味することができる。
【0071】
したがって、第2金属間化合物は導電性樹脂層133の内部に形成され、金属間化合物を形成した後に残っている低融点金属及び金属結合を介して導電性連結部133cを形成することができる。
【0072】
例えば、導電性樹脂層133をAg-Sn系エポキシ樹脂ペーストを用いて形成する場合、第2金属間化合物はAg及びSnが反応したAgSnであることができ、Cu-Sn系エポキシ樹脂ペーストを用いて形成する場合、第2金属間化合物はCuSnまたはCuSnであることができる。
【0073】
導電性樹脂層133は、金属間化合物層132及び第1めっき層134を電気的及び機械的に接合させる役割を果たし、積層型電子部品100を基板に実装する際に、機械的または熱的環境で発生する引張ストレス(stress)を吸収してクラック(crack)が発生することを防止し、基板の反りから積層型電子部品100を保護する役割を果たすことができる。
【0074】
導電性連結部132cは、金属が溶融した状態で複数の金属粒子132aを囲んで互いに連結する役割を果たし、本体110の内部の応力を最小化させ、高温負荷及び耐湿負荷特性を向上させることができる。
【0075】
導電性連結部132cは、第2金属間化合物及び低融点金属を含むことができるため、優れた電気導電性を有することができる。
【0076】
従来の場合、電極層131上に導電性樹脂層133を形成した場合、電極層131と導電性樹脂層133の成分の差異によって結合力が弱くなり、これによってめっき液及び外部水分の浸透に脆弱になるという問題点があった。
【0077】
また、導電性樹脂層133の場合、エポキシなどの高分子が工程後の最終産物に存在するため、リフロー(reflow)などの高温環境において十分な結合力が確保できないという問題がある可能性がある。
【0078】
特に、金属間化合物層132の第1方向の成分の長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の第1方向の成分の長さの比が20%未満である場合には、リフロー(reflow)などの高温環境においての電極層131と導電性樹脂層133との間の十分な結合力が確保できないおそれがある。ここで、リフロー(reflow)とは、積層型電子部品100をはんだを用いて基板に実装する際に、はんだを溶融処理して接合させるための熱処理を意味する。
【0079】
本発明の一実施形態によると、金属間化合物層132の第1方向の成分の長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の第1方向の成分の長さの割合を20%以上に調整して、リフロー(reflow)などの高温環境においても電極層131と導電性樹脂層133との間の十分な結合力を維持して電極層131と導電性樹脂層133との間の界面に浮きが発生することを抑制することができ、電極層131と導電性樹脂層133との間の安定した電気的連結性を確保することができる。
【0080】
電極層131と導電性樹脂層133との間の十分な結合力を確保するために、金属間化合物層132の第1方向の成分の長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の第1方向の成分の長さの割合が20%以上であることが好ましいが、22.1%以上であることがさらに好ましい。
【0081】
ここで、第1方向とは、積層方向または厚さT方向を意味することができ、第1方向の成分の長さとは、全体長さのうち第1方向(積層または厚さ方向)と平行な成分の長さの合計を意味することができる。
【0082】
第1金属間化合物132aが形成された領域の第1方向の成分の長さと金属間化合物層132の第1方向の成分の長さは、金属間化合物層132の長さ-厚さ方向に幅の1/2まで研磨した後、頭面3、4に配置された金属間化合物層132の厚さ方向の中央地点を基準に積層型電子部品の全体厚さをTとするとき、厚さ×長さ=(0.3T~0.4T)×(20μm)領域(D領域)を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した後、ImageJプログラムによって測定した平均値であることができる。
【0083】
上記本発明の一実施形態のように、導電性樹脂層133が導電性連結部133c、複数の金属粒子133a及び樹脂133bを含む場合、金属粒子を含む導電性連結部133c及び複数の金属粒子133aは、樹脂133bと高分子-金属結合を成すようになり、接合力が弱いという問題がある。
【0084】
また、導電性樹脂層133の剛性が弱い場合、リフロー(reflow)工程などの高温環境において発生するアウトガス(Outgas)によって導電性樹脂層133の内部が破れて、高温信頼性が悪化する現象が起きる。
【0085】
一実施形態において、上記導電性連結部133cの粒子及び複数の金属粒子133aのうちフェレット(Feret)直径が10μm以上である粒子の個数の合計をN1、上記導電性連結部133cの粒子及び上記複数の金属粒子133aの全体個数を合計をN2としたとき、N2に対するN1の割合(N1/N2)は15%以上であることができる。
【0086】
これにより、高分子-金属結合によって接着力が弱い場合にも、導電性連結部133c及び複数の金属粒子133aが樹脂133bを押さえる役割を果たして導電性樹脂層133全体の接着力を向上させることができる。
【0087】
このような接着力の向上により、導電性樹脂層133の剛性が増加するため、リフロー(reflow)工程などの高温環境において発生するアウトガス(Outgas)により導電性樹脂層133の内部が破れる現象を防止して、高温信頼性を向上させることができる。
【0088】
N1/N2が15%未満である場合、導電性連結部133c及び複数の金属粒子133aが樹脂133bを押さえる役割を果たし難く、導電性樹脂層133全体が優れた剛性を確保することが難しい可能性がある。
【0089】
したがって、N1/N2は15%以上であることが好ましいが、15.2%以上であることがさらに好ましい。
【0090】
このような構成から、電極層131と導電性樹脂層133との間の界面での浮きを防止するだけでなく、導電性樹脂層133の内部の破れを防止して外部電極130全体が優れた高温信頼性及び電気導電性を有するようにすることができる。
【0091】
一方、フェレット(Feret)直径は、金属粒子の向かい合う2つの接線間の距離を意味することができる。特に、本発明の一実施形態に係るフェレット(Feret)直径は、金属粒子の接線対の間の最大距離を測定した最大フェレット(Feret)直径を意味することができるが、これに制限されるものではなく、最小フェレット(Feret)直径でも構わない。
【0092】
また、最大フェレット(Feret)直径または最小フェレット(Feret)直径は、長さ-厚さ方向に幅の1/2まで研磨した後、頭面3、4に配置された導電性樹脂層133の厚み方向の中央地点を基準に積層型電子部品の全体厚さをTとするとき、厚さ×長さ=(0.06T~0.08T)×(15μm~25μm)領域(E領域)を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した後、イメージ分析プログラム(ImageJ)を用いて計算した値を意味することができる。
【0093】
導電性連結部133cは、第2金属間化合物または低融点金属を含むことができるため、導電性連結部133cの粒子は、第2金属間化合物粒子または低融点金属の粒子を含むことができる。
【0094】
導電性連結部133cの粒子の大きさは、導電性樹脂層133の一部に形成される程度の大きさであれば十分である。
【0095】
導電性連結部133cの粒子及び複数の金属粒子は、様々な物質が一つの塊をなしたクラスター(Cluster)であることができ、クラスター(Cluster)をなす物質の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて5000倍の倍率で拡大したイメージ上でも区別しにくいほど一体化することができる。
【0096】
上述のように、導電性樹脂層に含まれた導電性連結部133c、低融点金属、複数の金属粒子133aのフェレット(Feret)直径及び散布を調節しても、導電性物質の粒子は分散した形で配置されることができる。
【0097】
このような場合、ホッピング伝導(Hopping Conduction)の比重が高く、バンド伝導(Band conduction)の比重が高い場合に比べて、電気導電性が弱く、導電性樹脂層133と金属間化合物層132との間の高分子-金属結合が優勢となるため、結合力が弱く、高温環境において電極層131と導電性樹脂層133との間の界面で浮きが発生するおそれがある。
【0098】
一実施形態において、図5を参照すると、上記導電性樹脂層133に含まれた上記導電性連結部133cの一部は、上記金属間化合物層132に含まれた上記第1金属間化合物132aの一部と直接接触することで、バンド伝導(Band conduction)の比重を高めて電気的連結性を改善することができ、金属間化合物層132または第1めっき層134が導電性連結部133cと金属結合を形成するようにして、高温信頼性をさらに向上させることができる。
【0099】
従来の導電性金属を含む電極層131上に導電性樹脂層133を形成する場合、電極層131と導電性樹脂層133との間の界面にめっき液及び外部水分の浸透が行われ、積層型電子部品100の信頼性が脆弱になるという問題点がある。
【0100】
一実施形態において、上記電極層131を形成し、上記電極層131上に低融点のペーストを塗布及び焼成して外部電極130を形成することができる。
【0101】
これにより、電極層131に含まれた金属粒子とペーストに含まれた低融点の金属粒子が相互拡散して、第1金属間化合物132aが層(layer)の形態で形成されることができ、第1金属間化合物132aを含む金属間化合物層132上に導電性樹脂層133が形成されることができる。すなわち、電極層131と導電性樹脂層133との間において第1金属間化合物132aが層(layer)状になって金属間化合物層132が形成されることができる。
【0102】
このとき、上記第1金属間化合物132aはCuSnであることができる。すなわち、電極層131に含まれた金属粒子であるCuと導電性ペーストに含まれた低融点の金属粒子であるSnが結合して形成されたCuSnであることができる。
【0103】
第1金属間化合物をCuSnとすることで、電極層131と導電性樹脂層133との間のめっき液及び外部水分の浸透を防止することができ、積層型電子部品100の信頼性をさらに向上させることができる。
【0104】
また、Ag-Sn系-エポキシ樹脂またはCu-Sn系-エポキシ樹脂の導電性ペーストを用いて導電性樹脂層133を形成するが、Snはんだの量を調整することで、金属間化合物層132上に第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部、複数の金属粒子及び樹脂を含むことができる。
【0105】
このとき、低融点金属は、好ましくは300℃以下の融点を有する金属であることができる。
【0106】
例えば、213℃~220℃の融点を有するSnを含むことができる。乾燥及び硬化工程を経る過程でSnが溶融し、溶融したSnが毛細管現象によってAgなどの高融点の金属粒子に侵入するようになり、金属粒子と反応して第2金属間化合物を形成することができる。
【0107】
一実施形態において、上記導電性連結部133に含まれた第2金属間化合物は、上記導電性樹脂層133を形成する導電性ペーストに含まれたSnとCu、Ag、及びAgがコーティングされたCuのいずれか一つが反応した金属間化合物であることができる。
【0108】
したがって、上記第2金属間化合物は、CuSn、CuSn、及びAgSnの少なくともいずれか一つを含むことができ、上記複数の金属粒子133aは、SnまたはSn系合金と反応しないCu、Ag、及びAgがコーティングされたCuであることができ、上記低融点金属は、上記複数の金属粒子133aと反応しないSnまたはSn系合金であることができる。
【0109】
第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部133c、複数の金属粒子133a及び樹脂を含む導電性樹脂層133を金属間化合物層132上に形成することで、積層型電子部品100の外部衝撃に対する剛性を向上させながらも電気的連結性をさらに向上させることができる。
【0110】
一実施形態において、上記電極層131は導電性金属及びガラスを含むことができる。電極層に含まれるガラスは、電極層に含まれた金属粒子及び導電性ペーストに含まれた低融点の金属粒子であるSnが結合して金属間化合物層を形成するとき、電極層と導電性樹脂層との界面で反応せずに残ることがある。
【0111】
したがって、上記ガラス133bは上記金属間化合物層133に含まれることができる。
【0112】
樹脂134bは、電気絶縁性を有する熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0113】
このとき、上記熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0114】
樹脂134bは、金属間化合物層132と第1めっき層134との間を機械的に連結させる役割を果たすことができ、外部電極130に弾性を付与して外部の変形によって外部電極130にクラックが形成されることを防止する役割を果たすことができる。
【0115】
一実施形態において、上記外部電極130は、上記導電性樹脂層133上に配置される第1めっき層134を含むことができる。
【0116】
第1めっき層134は、実装特性を向上させる役割を果たす。第1めっき層134の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0117】
例えば、第1めっき層134は、導電性樹脂層133上に配置されるNiめっき層であることができる。
【0118】
このとき、上記導電性連結部133cの一部は、上記第1めっき層134の一部と直接的に接触することにより、上記第1めっき層134と上記金属間化合物層132を連結する役割を果たすことができる。
【0119】
すなわち、図4を参照すると、導電性連結部133cの一部は、金属間化合物層132に含まれた第1金属間化合物132aの一部と直接的に接触するか、第1めっき層134の一部と直接的に接触することで、バンド伝導(Band Conduction)の比重を高めて電気的連結性を改善することができ、物理的結合力も改善させて高温信頼性をさらに向上させることができる。
【0120】
一実施形態において、上記外部電極130は、上記第1めっき層134上に配置される第2めっき層135を含むことができる。
【0121】
第2めっき層135は、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができる。
【0122】
例えば、Niめっき層上に配置されるSnめっき層を含むことができる。
【0123】
以下では、本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品について具体的に説明し、上述した実施形態と重複する説明は省略する。
【0124】
本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極130、140を含み、上記外部電極は、上記内部電極と連結される電極層131、141と、上記電極層上に配置され、第1金属間化合物132a、142a及びガラス132b、142bを含む金属間化合物層132、142と、上記金属間化合物層132、142上に配置され、第2金属間化合物及び低融点金属を含む導電性連結部133c、143c、複数の金属粒子133a、143a及び樹脂133b、143bを含む導電性樹脂層133、143と、を含み、上記導電性連結部133cの粒子及び上記複数の金属粒子133aのうちフェレット(Feret)直径が10μm以上である粒子の個数の合計をN1、上記導電性連結部133cの粒子及び上記複数の金属粒子133aの全体個数をN2としたとき、N2に対するN1の比(N1/N2)は15%以上である。
【0125】
従来の場合、導電性樹脂層133が導電性連結部133c、複数の金属粒子133a及び樹脂133bを含む場合、金属粒子を含む導電性連結部133c及び複数の金属粒子133aは樹脂133bと高分子-金属結合を成すようになり、接合力が弱いという問題がある。
【0126】
また、導電性樹脂層133の剛性が弱い場合、リフロー(reflow)工程のような高温環境において発生するアウトガス(Outgas)によって導電性樹脂層133の内部が破れて高温信頼性が悪化する現象が起きる。
【0127】
一実施形態において、上記導電性連結部133cの粒子及び複数の金属粒子133aのうちフェレット(Feret)直径が10μm以上である粒子の個数の合計をN1、既導電性連結部133cの粒子及び複数の金属粒子133aの全体個数の合計をN2としたとき、N2に対するN1の割合(N1/N2)は15%以上であることができる。
【0128】
これにより、金属-樹脂間の接合力が弱い場合にも、導電性連結部133c及び複数の金属粒子133aが樹脂133bを押さえる役割を果たし、導電性樹脂層133の全体の接合力を向上させることができる。
【0129】
このような接合力の向上により、導電性樹脂層133の剛性が増加するため、リフロー(reflow)工程のような高温環境において発生するアウトガス(Outgas)により導電性樹脂層133の内部が破れる現象を防止して、高温信頼性を向上させることができる。
【0130】
N1/N2が15%未満である場合、導電性連結部133c及び複数の金属粒子133aが樹脂133bを押さえる役割を果たし難く、導電性樹脂層133全体が優れた剛性を確保しにくいことがある。
【0131】
したがって、N1/N2は15%以上であることが好ましいが、15.2%以上であることがさらに好ましい。
【0132】
導電性連結部133cは、第2金属間化合物または低融点金属を含むことができるため、導電性連結部133cの粒子は、第2金属間化合物粒子または低融点金属の粒子を含むことができる。
【0133】
導電性連結部133cの粒子の大きさは、導電性樹脂層133の一部に形成される程度の大きさであれば十分である。
【0134】
導電性連結部133cの粒子と複数の金属粒子は、複数の物質が一つの塊をなしたクラスター(Cluster)であることができ、クラスター(Cluster)をなす物質の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて5000倍の倍率で拡大したイメージ上でも区別しにくいほど一体化することができる。
【0135】
上記本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品100は、上述した本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の一実施形態と同様の構成を有することができる。
【0136】
したがって、上述した本発明の一実施形態と重複する説明は省略する。
【0137】
以下では、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法について具体的に説明するが、本発明がこれに制限されるものではなく、本実施形態の積層型電子部品の製造方法に関する説明のうち、上述した積層型電子部品と重複する説明は省略する。
【0138】
本実施形態に係る積層型電子部品の製造方法は、まず、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックグリーンシートを設ける。
【0139】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、及び溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法などで数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作したものである。
【0140】
次に、上記グリーンシート上にニッケル粉末などの導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法などで塗布して内部電極を形成する。
【0141】
この後、内部電極が印刷されたグリーンシートを複数層積層して積層体を設ける。この場合、積層体の上下面に内部電極が印刷されていないグリーンシートを複数層積層してカバーを形成することができる。
【0142】
次に、積層体を焼成して本体を設けた後、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるように、上記本体の第3及び第4面に電極層をそれぞれ形成する。
【0143】
上記本体は、誘電体層、内部電極及びカバーを含み、誘電体層は、内部電極が印刷されたグリーンシートを焼成して形成されるものであり、上記カバーは、内部電極が印刷されていないグリーンシートを焼成して形成されるものである。
【0144】
上記内部電極は、互いに異なる極性を有する第1及び第2内部電極で形成されることができる。
【0145】
次に、上記本体の一面及び他面に電極層を形成する。
【0146】
上記電極層は、導電性金属である銅及びガラスを含む外部電極形成用導電性ペーストを上記本体の一面及び他面に塗布することで形成することができる。
【0147】
上記電極層を形成する方法は、ディッピング方法により形成することができ、これに制限されるものではなく、シートを転写する方法あるいは無電解めっき法またはスパッタリング工法を用いて電極層を形成することができる。
【0148】
次に、電極層上に複数の金属粒子、樹脂及び低融点金属を含む低融点ペーストを塗布及び乾燥した後、硬化熱処理して第1金属間化合物からなる第1金属間化合物層、上記第1金属間化合物層上に配置され、導電性連結部、複数の金属粒子、樹脂からなる導電性樹脂層を形成する。
【0149】
例えば、上記低融点ペーストは、Agパウダー、Cuパウダー、AgがコーティングされたCuパウダー、Sn系はんだパウダー及び熱硬化性樹脂を混合した後、3-ロールミル(3-roll mill)を用いて分散させることで製造することができる。Sn系はんだパウダーは、Sn、Sn96.5Ag3.0Cu0.5、Sn42Bi58及びSn72Bi28から選択された1種以上を含むことができ、Agパウダーに含まれたAgの粒子大きさは、0.5~3μmであることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0150】
そして、上記電極層の外側に上記低融点ペーストを塗布し、乾燥及び硬化して第1金属間化合物、第2金属間化合物、及び導電性樹脂層を形成することができる。
【0151】
上記熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂を含むことができ、本発明がこれに限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA樹脂、グリコールエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂またはこれらの誘導体のうち分子量が小さくて常温において液状である樹脂であることができる。
【0152】
金属間化合物層132に含まれる第1金属間化合物132aの形成される長さを調節するか、導電性樹脂層133に含まれた導電性連結部133c、複数の金属粒子133a及び低融点金属の割合や粒子の大きさを制御する方法は多様であることができる。
【0153】
具体的には、硬化温度、Sn系はんだパウダーの量、熱硬化性樹脂の量、焼成雰囲気を有機的に調節して制御することができるが、これに制限されるものではない。
【0154】
さらに、上記導電性樹脂層上に第1めっき層及び第2めっき層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0155】
例えば、導電性樹脂層上に第1めっき層であるニッケルめっき層を形成し、ニッケルめっき層上に第2めっき層であるスズめっき層を形成することができる。
【0156】
(実施例1)
金属間化合物層132の総長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の長さの割合を測定し、それによる浮きの不良有無を[表1]に記載した。
【0157】
図7aを参照すると、金属間化合物層132の長さ-厚さ方向に幅の1/2まで研磨した後、頭面3、4に配置された金属間化合物層132の厚さ方向の中央地点を基準に積層型電子部品の全体厚さをTとするとき、厚さ×長さ=(0.3T~0.4T)×(20μm)領域(D領域)で、20個のサンプルからサンプル当たり1枚ずつ切断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した後、導電性物質が形成された領域を彩色した。
【0158】
図6aは、ImageJプログラムを介して第1金属間化合物132aが形成された地点の色をモノクロに変更した写真である。
【0159】
上記変更された領域の厚さ方向(第1方向)の長さの総合計を第1金属間化合物132aが形成された領域の長さとし、第1金属間化合物132aが形成された地点を含んで形成されていない領域も含む領域の厚さ方向(第1方向)の総長さを金属間化合物層132の総長さとした。
【0160】
例えば、図6bを参照すると、D領域において第1金属間化合物132aが形成された領域が黒色で表示され、第1金属間化合物132aを除いたガラス132b、電極層131、空隙などは黒色で表示されない。
【0161】
上記第1金属間化合物132aが形成された領域において、第1方向の成分の長さを全て加えた値(L1+L2+L3)を第1金属間化合物132aが形成された領域の長さとし、上記第1金属間化合物132aが形成されていない領域の長さも含む金属間化合物層132と電極層131との間の界面の第1方向の成分の総長さを金属間化合物層132の総長さ(L)とした。
【0162】
したがって、この場合、金属間化合物層132の総長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の長さの割合は((L1+L2+L3)/L)に該当する。
【0163】
浮きの発生有無は試験番号当たり30個のサンプルに対して第1方向-第2方向または第2方向-第3方向に実装し、実装された状態でReflowを5回繰り返した。
【0164】
この後、基板に実装されたサンプルのまま切断し、サンプル1個当たりの外部電極両面をそれぞれX-ray撮影し、外部電極部分に明るい帯が存在する場合には浮きが発生するものとし、明るい帯がない場合には浮きが発生していないものと評価した。
【0165】
また、30個のサンプルで浮きが全く発生しない場合(0%)をOK、浮きが1%でも発生した場合をNGと記載した。
【0166】
【表1】
*:比較例
【0167】
試験番号1~3の場合、金属間化合物層132の総長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の長さの割合が20%以上であることから、電極層131と導電性樹脂層133との界面の間に浮きが発生することを抑制できることが確認できた。
【0168】
試験番号4~5の場合、金属間化合物層132の総長さに対する第1金属間化合物132aが形成された領域の長さの割合が20%未満であることから、浮き発生が抑制される効果が確認できなかった。
【0169】
(実施例2)
導電性樹脂層133に含まれた内部ネットワーク構造の割合に応じた導電性樹脂層の内部の浮き程度について測定した後、表2に記載した。
【0170】
内部ネットワーク構造の割合は、次のように測定することができる。
【0171】
図7aを参照すると、長さ-厚さ方向に幅の1/2まで研磨した後、頭面3、4に配置された導電性樹脂層133の厚さ方向の中央地点を基準に積層型電子部品の全体厚さをTとするとき、厚さ×長さ=(0.06T~0.08T)×(15μm~25μm)領域(E領域)において、20個のサンプルからサンプル当たり1枚ずつ切断面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージを撮影した。
【0172】
図7bを参照すると、ImageJプログラムにより導電性連結部113c、複数の金属粒子113a及び低融点金属が形成された領域をモノクロ処理した。したがって、図7bのように、E領域において樹脂133bはモノクロ処理されない。
【0173】
このとき、モノクロで表示されたクラスターのフェレット(Feret)直径(D1、D2、D3)をImageJプログラムで測定する。
【0174】
図7cを参照すると、フェレット(Feret)直径とは、クラスターの向かい合う2つの接線間の距離を意味することができる。
【0175】
上記測定されたフェレット(Feret)直径は、最大フェレット(Feret)直径であることができる。すなわち、上記フェレット(Feret)直径は、クラスターの接線対の間の最大距離を意味することができる。
【0176】
本発明の一実施形態または他の一実施形態においては、誤差を最小化するためにE領域の外郭にかかるクラスターは、測定されたフェレット(Feret)直径の2倍をフェレット(Feret)直径とし、ノイズを除去するために0.5μm以下のクラスターは除外した後、10μm以上のフェレット(Feret)直径を有するクラスターの個数をN1、全体クラスターの個数をN2としたとき、N1/N2による導電性樹脂層133の破れの発生有無を測定した。
【0177】
破れの発生有無は試験番号当たり30個のサンプルに対して第1方向-第2方向または第2方向-第3方向に実装し、実装された状態でReflowを5回繰り返した。
【0178】
サンプルが実装された基板をそのまま切断し、サンプル1個当たりの外部電極の両面をそれぞれX-ray撮影し、外部電極部分に明るい帯が存在する場合には破れが発生したものとし、明るい帯がない場合には破れが発生しないものと評価した。その後、断面分析により破れの発生有無をさらに確認した。
【0179】
表2では、20個のサンプルで破れが全く発生しない場合(0%)をOK、破れが1%でも発生した場合をNGと記載した。
【0180】
【表2】
*:比較例
【0181】
試験番号1の場合、N1/N2が15%未満であることから、導電性樹脂層の内部の破れによる浮きを抑制することが確認できなかった。
【0182】
試験番号2~8の場合、N1/N215%以上であることから、導電性樹脂層の内部の破れを防止して浮きを抑制することを確認した。
【0183】
したがって、本発明の一実施形態のようにN1/N2は15%以上に調整することで、電極層131と導電性樹脂層133との界面での浮きを防止するだけでなく、導電性樹脂層133の内部の破れを防止して、外部電極130全体が優れた信頼性及び電気導電性を有するようにすることができる。
【0184】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0185】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
130、140 外部電極
131 電極層
132 金属間化合物層
132a 第1金属間化合物
132b ガラス
133 導電性樹脂層
133a 複数の金属粒子
133b 樹脂
133c 導電性連結部
134 第1めっき層
135 第2めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8
図9