(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061363
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】2-シアノアクリレート系接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 4/04 20060101AFI20230424BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C09J4/04
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155779
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021170757
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000216243
【氏名又は名称】田岡化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 文哉
(72)【発明者】
【氏名】石黒 美幸
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DF052
4J040FA121
4J040GA01
4J040GA07
4J040HB28
4J040MA03
4J040MB05
4J040MB09
(57)【要約】
【課題】
耐湿熱性が改善されたアルコキシアルキル2-シアノアクリレートを主成分として含む接着剤組成物の提供。
【解決手段】
本願発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(B)ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種を、(A)アルコキシアルキル2-シアノアクリレートに対し特定の割合で含む接着剤組成物によれば、該課題が解決可能であることを見出した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)を含有し、且つ(B)の含有量が(A)100重量部に対し0.05~5重量部である接着剤組成物。
(A)アルコキシアルキル2-シアノアクリレート
(B)ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種
【請求項2】
前記(B)が、下記一般式(1):
【化1】
(式中、R
1は水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9の環状アルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。)
で表される化合物およびその酸無水物、下記一般式(2):
【化2】
(式中、R
2は水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9の環状アルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。)
で表される化合物及びその酸無水物、下記一般式(3):
【化3】
(式中、X
1は単結合、分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキリデン基、分岐を有してもよい炭素数5~14のシクロアルキリデン基、分岐を有してもよい炭素数5~14のオキソシクロアルキレン基、フェニレン基、1-フェニルエタン-1,1-ジイル基、1,1-ジフェニルメタン-1,1-ジイル基またはフルオレニリデン基を示す。R
3a及びR
3bはそれぞれ独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、分岐を有してもよい炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。)
で表される化合物、並びに下記一般式(4):
【化4】
(式中、R
4a及びR
4bはそれぞれ独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、分岐を有してもよい炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。n
1は0~9の整数を示す。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
更に増粘剤を(A)アルコキシアルキル2-シアノアクリレート100重量部に対し0.5~25重量部含む、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は瞬間接着剤として知られている2-シアノアクリレート系接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2-シアノアクリレート系接着剤組成物は、主成分である2-シアノアクリレートのもつ特異なアニオン重合性により、被着材料表面に付着するわずかな水分等によって重合を開始し、硬化することで各種材料を短時間で強固に接着することができるものである。そのため、いわゆる瞬間接着剤として工業用、医療用、家庭用等の分野において広く用いられている。
【0003】
しかしながら、一般的な2-シアノアクリレート系接着剤組成物は優れた接着速度(硬化速度)を有する反面、特有の臭気や刺激性を示す場合があったり、被着体周辺への汚染が生じる(白化現象)といった課題があり、用途等により、それらを改善させることが求められることがある。これら課題は2-シアノアクリレート系接着剤組成物で通常使用されるエチル2-シアノアクリレートの有する高い反応性と蒸気圧が高いことが一因とされ、これら課題を解決し得る方法の一つとして、アルコキシアルキル2-シアノアクリレート等の分子量が大きく、蒸気圧の低い2-シアノアクリレートモノマーを主成分とする方法が知られている。(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、2-シアノアクリレート系接着剤組成物使用時の臭気や刺激性、被着体周辺への汚染の改善を目的としてアルコキシアルキル2-シアノアクリレートを主成分として含む接着剤組成物に着眼すると共に、該接着剤組成物の耐湿熱性を評価すべく、該接着剤組成物を用いた被着体を接着後に高温高湿条件下に暴露したところ、2-シアノアクリレート系接着剤組成物として汎用されているエチル2-シアノアクリレートを主成分として含む接着剤組成物に比べて接着強度が著しく低下し、場合によっては完全に剥離してしまうことが判明した。
【0006】
本発明は、耐湿熱性が改善されたアルコキシアルキル2-シアノアクリレートを主成分として含む接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種を、アルコキシアルキル2-シアノアクリレートに対し特定の割合で含む接着剤組成物とすることにより、上記課題が解決可能であることを見出した。具体的には、本発明は以下の発明を含む。
【0008】
〔1〕
下記(A)及び(B)を含有し、且つ(B)の含有量が(A)100重量部に対し0.05~5重量部である接着剤組成物。
(A)アルコキシアルキル2-シアノアクリレート
(B)ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種
【0009】
〔2〕
前記(B)が、下記一般式(1):
【0010】
【化1】
(式中、R
1は水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。)
で表される化合物及びその酸無水物、下記一般式(2):
【0011】
【化2】
(式中、R
2は水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。)
で表される化合物及びその酸無水物、下記一般式(3):
【0012】
【化3】
(式中、X
1は単結合、分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキリデン基、分岐を有してもよい炭素数5~14のシクロアルキリデン基、分岐を有してもよい炭素数5~14のオキソシクロアルキレン基、フェニレン基、1-フェニルエタン-1,1-ジイル基、1,1-ジフェニルメタン-1,1-ジイル基またはフルオレニリデン基を示す。R
3a及びR
3bはそれぞれ独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、分岐を有してもよい炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。)
で表される化合物、並びに下記一般式(4):
【0013】
【化4】
(式中、R
4a及びR
4bはそれぞれ独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、分岐を有してもよい炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~18のアラルキル基を示す。n
1は0~9の整数を示す。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕に記載の接着剤組成物。
【0014】
〔3〕
更に増粘剤を(A)アルコキシアルキル2-シアノアクリレート100重量部に対し0.5~25重量部含む、〔1〕又は〔2〕に記載の接着剤組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐湿熱性が改善されたアルコキシアルキル2-シアノアクリレートを主成分として含む接着剤組成物が提供可能となる。本発明の接着剤組成物は、耐湿熱性に優れ、また、2-シアノアクリレート系接着剤組成物として汎用されているエチル2-シアノアクリレートを主成分として含む接着剤組成物に比べて低白化性にも優れることから、家電や自動車向け電材部品の接着や、意匠性の高い製品に好適に用いることができる。また、本発明の接着剤組成物は、白濁がなく透明性に優れた硬化物を与えることから、特に透明性が求められる分野においても好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<(A)アルコキシアルキル2-シアノアクリレート>
本発明の接着剤組成物に含まれるアルコキシアルキル2-シアノアクリレートとしては、例えば、2-シアノアクリル酸のメトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシイソプロピル、メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシイソブチル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシプロピル、ブトキシイソプロピル、ブトキシブチル等のエステル類が挙げられる。これらアルコキシアルキル2-シアノアクリレートの中でも、2-シアノアクリレート系接着剤組成物の臭気や刺激性の低減効果が大きく、接着特性を向上させやすいことからエトキシエチル2-シアノアクリレート、メトキシエチル2-シアノアクリレートが好ましい。これらアルコキシアルキル2-シアノアクリレートは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
これらアルコキシアルキル2-シアノアクリレートは、常法(例えば、アルコキシアルキル2-シアノアセテートとホルムアルデヒドのクネーフェナーゲル縮合と、続く熱解重合により製造する方法)によって製造される他、市販品も入手可能である。
【0018】
本発明の接着剤組成物全量に占めるアルコキシアルキル2-シアノアクリレートの重量割合は、例えば、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80%以上である。
【0019】
<(B)ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物>
本発明において、「ポリカルボン酸」は、分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物を示す。また、その酸無水物は、全てのカルボキシル基が酸無水物構造[-CO-O-CO-]を有していてもよいし、その一部のカルボキシル基が無水物構造を有していてもよい。本発明の接着剤組成物においては、ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物の中でも、上記一般式(1)で表される化合物及びその酸無水物、上記一般式(2)で表される化合物及びその酸無水物、上記一般式(3)で表される化合物、並びに上記一般式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0020】
上記一般式(1)の置換基R1において、炭素数1~20のアルキル基は分岐を有していてもよい。また、炭素数1~20のアルキル基の中でも、炭素数1~9アルキル基が好ましい。炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、2,-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、2,-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネオヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、1-エチル-1-メチルブチル基、1,2,3-トリメチルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基等が挙げられる。炭素数3~9のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等が挙げられる。炭素数2~20のアルケニル基は、分岐を有していてもよい。また、炭素数2~20のアルケニル基の中でも、炭素数2~12のアルケニル基が好ましい。炭素数2~20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、6-ヘプテニル基、1-オクテニル基、2-オクテニル基、1-ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基等が挙げられる。炭素数6~14のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、t-ブチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。炭素数7~18のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クミル基、ヒドロシンナミル基、ベンスヒドリル基、メチルベンジル基、t-ブチルベンジル基等が挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、R1が水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である上記一般式(1)で表される化合物及びその酸無水物が好ましく、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物がより好ましい。
【0022】
上記一般式(2)のR2において、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基及び炭素数7~18のアラルキル基としては、例えば、上述した上記一般式(1)のR1と同じものが挙げられる。
【0023】
上記一般式(2)で表される化合物の中でも、R2が水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である上記一般式(2)で表される化合物及びその酸無水物が好ましく、5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチル-5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、メチル-5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物がより好ましい。
【0024】
上記一般式(3)においてX1は、単結合、分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキリデン基、分岐を有してもよい炭素数5~14のシクロアルキリデン基、分岐を有してもよい炭素数5~14のオキソシクロアルキレン基、フェニレン基、1-フェニルエタン-1,1-ジイル基、1,1-ジフェニルメタン-1,1-ジイル基またはフルオレニリデン基を示す。分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキリデン基としては、例えば、イソプロピリデン基、メチレン基、エチリデン基、ブタン-2,2-ジイル基等が挙げられる。分岐を有してもよい炭素数5~14のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシリデン基、シクロドデシリデン基等が挙げられる。分岐を有してもよい炭素数5~14のオキソシクロアルキレン基としては、例えば、オキソシクロペンチレン基、オキソシクロヘキシレン基、オキソシクロドデシレン基等が挙げられる。
【0025】
上記一般式(3)のR3a、R3bにおいて、分岐を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、分岐を有してもよい炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基及び炭素数7~18のアラルキル基としては、例えば、上述した上記一般式(1)の置換基R1と同じものが挙げられる。
【0026】
上記一般式(3)で表される化合物の中でも、立体異性体を含めて、5,5-(1,4-フェニレン)ビス(ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン)及びドデカヒドロ(5,5’-ビ-4,7-メタノイソベンゾフラン)-1,1’,3,3’-テトラオンが好ましく、5,5-(1,4-フェニレン)ビス(ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン)がより好ましい。
【0027】
上記一般式(4)のR4a、R4bにおいて、分岐を有してもよい炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~9のシクロアルキル基、分岐を有してもよい炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~14のアリール基及び炭素数7~18のアラルキル基としては、例えば、上述した上記一般式(1)の置換基R1と同じものが挙げられる。
【0028】
上記一般式(4)のnは0~9の整数を示し、好ましくは0~1である。
【0029】
上記一般式(4)で表される化合物の中でも、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0030】
上記した(B)ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物の中でも、R1が水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である上記一般式(1)で表される化合物及びその酸無水物、R2が水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である上記一般式(2)で表される化合物及びその酸無水物、5,5-(1,4-フェニレン)ビス(ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン)、ドデカヒドロ(5,5’-ビ-4,7-メタノイソベンゾフラン)-1,1’,3,3’-テトラオン、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物が好ましく、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチル-5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、メチル-5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、5,5-(1,4-フェニレン)ビス(ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン)、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物がより好ましい。また、(B)ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物として挙げたこれらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
(B)ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物は、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸(東京化成工業社製)、カヤハードCD、カヤハードMCD(日本化薬社製)、MHAC-P(昭和電工マテリアルズ社製)、無水ハイミック酸/無水ナジック酸(Puyang Huigheng Electronic Material Co.,Ltd.製)、ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン(5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物/富士フイルム和光純薬(株))、ENEHYDE BzDA(ENEOS社製)、ENEHYDE BzDAxx(ENEOS社製)、ENEHYDE CpODA(ENEOS社製)等が挙げられる。
【0032】
本発明の接着剤組成物において、ノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量は、アルコキシアルキル2-シアノアクリレート100重量部に対し、通常0.05~5重量部、好ましくは0.08~4重量部である。含有量を0.05~5重量部の範囲とすることにより、接着層への湿気の侵入を抑えられ、耐湿熱性を向上させることができ、また、保存安定性に優れる接着剤組成物とすることができる。
【0033】
本発明の接着剤組成物には、アルコキシアルキル2-シアノアクリレート、及びノルボルネン構造を有するポリカルボン酸、ノルボルナン構造を有するポリカルボン酸及びこれらの酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の他、必要に応じ2-シアノアクリレート系接着剤組成物において一般的に用いられる各種添加剤等が含まれていてもよい。以下、含まれていてもよい添加剤について詳述する。
【0034】
<増粘剤>
増粘剤としては、アルコキシアルキル2-シアノアクリレートに溶解し、増粘効果を発現するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルの重合体であるアクリル樹脂、アクリルゴム、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリアルキル-2-シアノアクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。前記メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸テトラヒドロフリフリル等が挙げられる。前記アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルアクリル酸アリル、アクリル酸テトラヒドロフリフリル等が挙げられる。アクリル樹脂の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル等の前記モノマーの単独重合体や、2種以上からなるコポリマー、ターポリマー、テトラマー等の共重合体が挙げられる。これら増粘剤の中でも、アクリル樹脂が好ましく、メタクリル酸エステルの重合体がより好ましく、メタクリル酸メチルの重合体がさらに好ましい。これら増粘剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
本発明の接着剤組成物の粘度はその用途に応じ適宜決定することができる。増粘剤を含む場合、その含有量は、例えば、アルコキシアルキル2-シアノアクリレート100重量部に対し0.5~25重量部、好ましくは1.0~15重量部である。0.5~25重量部の範囲であれば、充分な増粘効果により、塗布時のハンドリング性の向上や、貯蔵安定性の悪化の抑制が可能となる。なお、後述する実施例の項に示す通り、通常、増粘剤を添加すると耐湿熱性が低下するところ(例えば、比較例10と12との対比)、本発明の接着剤組成物によれば、上記使用量範囲で増粘剤を添加しても耐湿熱性が低下せず、寧ろより向上できる場合がある。
【0036】
<密着性向上剤>
密着性向上剤としては、アルコキシアルキル2-シアノアクリレートに溶解し、分子間の水素結合の増大効果を発現するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、芳香族カルボン酸およびそのエステル、芳香族多価ヒドロキシ化合物等が挙げられる。具体的には、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、ピロガロール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール、ベンゼンテトラオール、ベンゼンヘキサオール、レゾルシン、ガーリック酸、ガーリック酸エチル、ガーリック酸メトキシエチル等が挙げられる。これら密着性向上剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。密着性向上剤を含む場合、その含有量は、例えば、アルコキシアルキル2-シアノアクリレート100重量部に対して0.001~2.0重量部、好ましくは0.01~1.0重量部である。
【0037】
<硬化促進剤>
硬化促進剤としては、アルコキシアルキル2-シアノアクリレートに溶解し、硬化速度の向上効果を発現するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリアルキレンオキサイド誘導体、カリックスアレン化合物等が挙げられる。
【0038】
ポリアルキレンオキサイド誘導体としては、例えば、下記一般式(5):
【0039】
【化5】
(上記一般式(5)中、X
2およびX
3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換若しくは無置換のアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基を示す。pは1以上の整数、qは2以上の整数を示し、末端は環形成されていてもよい。)
で表される繰り返し単位を有する化合物が挙げられる。
【0040】
上記一般式(5)で表されるポリアルキレンオキサイド誘導体の内、鎖状のポリアルキレンオキサイド誘導体としては、例えば、ホルムアルデヒド縮合体、アセトアルデヒド縮合体、トリオキサン、ポリアルキレングリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(400 、1000等)、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキシド、ポリ3,3-ビス(クロロメチル)ブチレンオキシド、ポリ1,3-ジオキソラン、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックポリマー等)、ポリアルキレングリコールモノエーテル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールプロピルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル等)、ポリアルキレングリコールジエーテル(例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等)、ポリアルキレングリコールモノエステル(例えば、ジエチレングリコールモノプロピオネート、テトラエチレングリコールモノアセテート、トリプロピレングリコールモノブチレート、ポリエチレングリコールモノアセテート、ポリエチレングリコールモノプロピオネート、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールセバケート、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールクロトネート等)、ポリアルキレングリコールジエステル(例えば、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジアセテート、ポリエチレングリコールジブチレート、ポリエチレングリコールジウラレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジ-2-シアノアクリレート、ポリエチレングリコールステアリル-メタクリレート、ポリエチレングリコールラウリル-アクリレート等)、ポリアルキレングリコールモノエーテルモノエステル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル等のグリコールモノエーテル化合物のアクリレート、メタクリレート、クロトネート等)、ビスフェノールA-ポリアルキレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン-ポリアルキレンオキシド付加物、グリセリン-ポリアルキレンオキシド付加物、アジピン酸-ポリアルキレンオキシド付加物、トリメリット酸-ポリアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0041】
上記一般式(5)で表されるポリアルキレンオキサイド誘導体の内、環状のポリアルキレンオキサイド誘導体としては、例えば、18-クラウン-6-エーテル、15-クラウン-5-エーテル、18-クラウン-5-エーテル、ジチオ-15-クラウンエーテル、ジベンゾ-18-クラウン-6-エーテル、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6-エーテル、 1,2-ナフト-15-クラウン-5-エーテル、1,2-メチルベンゾ-18-クラウン-6-エーテル等が挙げられる。
【0042】
カリックスアレン化合物としては、例えば、37,38,39,40,41,42-ヘキサ-(2-エトキシ-2-オキソエトキシ)-カリックス〔6〕アレン、 25,26,27,28-テトラ-(2-エトキシ-2-オキソエトキシ)-カリックス〔4〕アレン、4-tert-ブチルカリックス〔6〕アレン-0,0’,0’’,0’’’, 0’’’’ , 0 ’’’’’-六酢酸ヘキサエチル、4-tert-ブチルカリックス〔5〕アレン-0,0’,0’’,0’’’, 0’’’’-五酢酸ペンタエチル、4-tert-ブチルカリックス〔4〕アレン-0,0’,0’’,0’’’-四酢酸テトラエチル等が挙げられる。
【0043】
上記した硬化促進剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、硬化促進剤を含む場合、その含有量としては、例えば、アルコキシアルキル2-シアノアクリレート100重量部に対して0.005~5.0重量部、好ましくは0.01~1.0重量部である。
【0044】
<その他の添加剤>
本発明の接着剤組成物には、上述した添加剤の他、安定剤(例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t-ブチルカテコール、カテコール、ピロガロール等のラジカル重合禁止剤、二酸化硫黄、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体等の三弗化ホウ素錯体、ホウ弗化水素酸、トリアルキルボレート等のアニオン重合禁止剤)、可塑剤(例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等)、着色剤(染料、顔料、蛍光剤)、香料、溶剤、等の2-シアノアクリレート系接着剤組成物にて一般的に用いられる各種添加剤が含まれていてもよい。
【実施例0045】
以下、実施例等を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0046】
<試験方法>
(1)均一性
JIS K6861-4に準拠した方法によりサンプルを調製し、目視により硬化前の接着剤組成物中の各種添加剤の溶け残りによる濁りを確認した。
〇:溶け残りなし、透明
×:溶け残りあり、不透明、固体分散
【0047】
(2)硬化物の透明性
接着剤組成物を60℃95%RHの温湿度に制御されたオーブン内に1日静置して硬化させ、厚み約7mmの硬化物を作製した。作製した硬化物を通して紙面に印刷した文字を視認することで、硬化物の透明性を目視により評価した。
〇:硬化物が透明であり、紙面に印刷した文字が視認できる。
×:硬化物が白濁、濁りがあり、紙面に印刷した文字が視認できない、あるいは困難である。
【0048】
(3)低汚染性
接着剤組成物1滴を黒色EPDM試験片上に載せ、40℃80%RHの温湿度に制御されたオーブン内に1時間静置して硬化させた後、硬化物周辺の黒色EPDM試験片の白化具合を目視により評価した。
〇:白化なし
×:白化あり
【0049】
(4)耐湿熱性
表面を研磨した軟鋼板(JISG3141 SPCC-SB:1.6×25×100mm)を、接着剤組成物を用いて22℃、60%RH環境下で貼り合わせ、圧着したまま22℃、60%RH環境下で24時間静置して養生することで試験片を作製した。
作製した試験片に対し、以下〈1〉~〈3〉に記載の条件にて湿熱促進試験を行った後、試験片を室温に戻し、25℃にてJIS K6861-6に準じて鋼-鋼引張せん断接着強さ(N/mm2)を測定した。得られた鋼-鋼引張せん断接着強さの測定結果から、以下の評価基準に従って耐湿熱性を評価した。
湿熱促進条件〈1〉:80℃95%RHで24時間促進試験
湿熱促進条件〈2〉:70℃95%RHで120時間促進試験
湿熱促進条件〈3〉:60℃95%RHで168時間促進試験
〇:前記〈1〉~〈3〉すべての接着強度が3.0N/mm2以上
×:前記〈1〉~〈3〉少なくとも一つの接着強度が3.0N/mm2未満
【0050】
(実施例1)
エトキシエチル2-シアノアクリレート100重量部に対し、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物0.5重量部、硬化促進剤としてメトキシポリエチレングリコールメタクリレート0.4重量部、増粘剤としてPMMA(ポリメタクリル酸メチル、分子量45万g/mol)9.5重量部、密着性向上剤としてガーリック酸一水和物0.01重量部、アニオン重合禁止剤としてHBF410ppm、ラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン1000ppmを添加し、窒素雰囲気下40~60℃の温度で24時間撹拌して接着剤組成物を調製した。調製後、得られた2-シアノアクリレート系接着剤組成物について、上述した各試験を実施した。結果を表1に示す。
【0051】
(実施例2~14、比較例1~12、参考例1)
実施例1において、エトキシエチル2-シアノアクリレート、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、硬化促進剤、増粘剤、密着性向上剤、及びこれらの添加量を表1及び表2に示す通り変更した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を調製し、上述した各試験を実施した。結果を表1及び表2に示す。
【0052】
なお、表1及び表2における各添加剤の略号は、下記の化合物等を意味する。
【0053】
A-1:エトキシエチル2-シアノアクリレート
A-2:エチル2-シアノアクリレート
B-1:5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物
B-2:メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物
B-3:5-ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物(ヘキサヒドロ-4,7-メタノイソベンゾフラン-1,3-ジオン)
B-4:5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸
B-5:3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
B-6:無水シトラコン酸
B-7:無水イタコン酸
B-8:ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物
B-9:3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物
B-10:4,4’-(エチン-1,2-ジイル)ジフタル酸無水物
B-11:7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物
B-12:N-フタロイル-L-グルタミン酸無水物
B-13:o-スルホ安息香酸環状無水物
B-14:ENEHYDE BzDA(ENEOS社製)
B-15:ENEHYDE BzDAxx(ENEOS社製)
B-16:ENEHYDE CpODA(ENEOS社製)
C-1:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート
D-1:PMMA(ポリメタクリル酸メチル、分子量45万g/mol)
E-1:ガーリック酸一水和物
E-2:ピロガロール
【0054】
【0055】