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特開2023-61372エンジン始動時の車両におけるエンジンシステムの動作を制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061372
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】エンジン始動時の車両におけるエンジンシステムの動作を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20230424BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20230424BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
F01N3/08 B ZAB
F01N3/08 ZHV
F02D45/00 360A
B01D53/94 400
B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022162994
(22)【出願日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】21203337.7
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ダン・ステンクヴィスト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ウィルヘルムソン
【テーマコード(参考)】
3G091
3G384
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA14
3G091AA18
3G091AB05
3G091BA01
3G091BA14
3G091CA17
3G091DA07
3G091EA18
3G091FA02
3G384AA03
3G384AA28
3G384BA33
3G384BA39
3G384BA47
3G384CA01
3G384DA14
3G384EB12
3G384FA46Z
4D148AA06
4D148AB01
4D148AB02
4D148AC03
4D148AC04
4D148CC32
4D148CC47
4D148CC53
4D148CC61
4D148CD05
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA03
4D148DA10
4D148DA13
4D148DA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、エンジン始動時の車両におけるエンジンシステムの動作を制御する方法に関する。
【解決手段】エンジンシステムは、エンジン(15)と、選択式触媒還元(SCR)触媒(32)及びSCR触媒に還元剤を供給する還元剤投与システム(34)を有する排気後処理システム(20)と、を備える。本方法は、SCR触媒の温度を判定することと、上記SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているとの判定に応じて、予め定められた動作圧力への還元剤投与システムの加圧を開始することと、還元剤投与システムの動作圧力に達するまで、エンジン始動を遅らせる予防措置を行うことと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン始動時の車両(1)におけるエンジンシステム(10)の動作を制御する方法であって、前記エンジンシステムは、エンジン(15)と、選択式触媒還元(SCR)触媒(32)及び該SCR触媒に還元剤を供給する還元剤投与システム(34)を有する排気後処理システム(20)と、を備え、
前記SCR触媒の温度を判定すること(S100)と、
前記SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているとの判定に応じて、予め定められた動作圧力への前記還元剤投与システムの加圧を開始すること(S104)と、
前記還元剤投与システムの前記動作圧力に達するまで、エンジン始動を遅らせる予防措置を行うこと(S106)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記予防措置を行うことは、前記エンジンが始動することを防止すること(S106a)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予防措置を行うことは、前記エンジンを始動させることを遅らせるように運転者に知らせる命令を有する信号を生成すること(S106b)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記還元剤投与システムの前記動作圧力に達するとエンジン始動を可能にすること(S108)を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記還元剤投与システムは、加圧装置(36)を含み、前記還元剤投与システムを加圧することは、前記加圧装置によって行われる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記排気後処理システムは、前記SCR触媒の温度を測定するように配置された温度センサ(31)をさらに含み、前記SCR触媒の温度を判定することは、前記温度センサによって行われる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記エンジン始動時から5秒以内に前記還元剤投与システムから還元剤を噴射すること(S110)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
車両(1)におけるエンジンシステム(10)の排気後処理システム(20)であって、
選択式触媒還元(SCR)触媒(32)と、
前記SCR触媒に還元剤を供給する還元剤投与システム(34)であって、少なくとも予め定められた動作圧力まで前記還元剤投与システムを加圧するように構成された加圧装置(36)を含む、還元剤投与システム(34)と、
前記SCR触媒の温度を取得するように構成され、前記SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているとの判定に応じて、予め定められた動作圧力への前記還元剤投与システムの加圧を開始し、前記還元剤投与システムの前記動作圧力に達するまで、エンジン始動を遅らせる予防措置を行うように構成された制御ユニット(17)と、
を備える、排気後処理システム(20)。
【請求項9】
前記制御ユニットは、前記還元剤投与システムの予め定められた動作圧力に達するまで、エンジン始動を防止するように構成され、及び/又は前記エンジンを始動させることを遅らせるように運転者に知らせる命令を有する信号を生成するように構成されている、請求項8に記載の排気後処理システム。
【請求項10】
前記SCR触媒の温度を測定するように配置された温度センサ(31)をさらに備える、請求項8又は9に記載の排気後処理システム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、エンジン始動時から5秒以内に前記還元剤投与システムから還元剤噴射を開始するように構成されている、請求項8から10のいずれか1項に記載の排気後処理システム。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか1項に記載の排気後処理システム(20)を備える車両(1)。
【請求項13】
プログラムがコンピュータ上で実行される場合に、請求項1から7のいずれか1項に記載のステップを行うプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムは、該コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合に、請求項1から7のいずれか1項に記載のステップを行うプログラムコード手段を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
エンジン始動時の車両(1)におけるエンジンシステム(10)の動作を制御する制御ユニット(17)であって、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法のステップを行うように構成されている、制御ユニット(17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン始動時の車両におけるエンジンシステムの動作を制御する方法、及び車両におけるエンジンシステムの排気後処理システムに関する。本発明は、さらに、車両、コンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、及び制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、一般的に、車両を推進するエンジンを備える。エンジンは、例えば液体燃料若しくはガス燃料によって動力を与えられる内燃機関であってもよいし、又は、電気によって動力を与えられる電気機械であってもよい。さらに、車両が内燃機関及び電気機械の双方によって推進されるハイブリッドソリューションが存在する。
【0003】
エンジンが、例えばディーゼルエンジンのような燃焼機関である場合、エンジンからの排出物に対処するために、車両に排気後処理システム(EATS)を設けることが一般的である。ディーゼルエンジン用のEATSは、一般的に、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)、及び選択式触媒還元(SCR)触媒のうちの1つ又は複数の構成要素を含む。尿素又はアンモニア含有物質のような還元剤は、一般的に、SCR触媒の上流に噴射されて、触媒を用いて、NOとも呼ばれる窒素酸化物を、二原子窒素(N)、及び水、並びに場合によっては二酸化炭素(CO)(還元剤の選択に応じて決まる)に変換するのに役立つ。浄化された、又は少なくとも排出が低減された排気ガスは、次いで、車両のテールパイプを通ってEATS及び車両を出る。ディーゼルエンジンのように少なくとも部分的に同様の排出物を生じさせる他の種類のエンジンは、同じ又は同様のEATSを利用することができる。
【0004】
政府の規制は、車両の燃費の向上に対する一定の要求と共に、EATSのより効率的な動作の必要性を示唆している。例えば、EATSが、非常に低い負荷においても、また、排気ガスの温度が低い場合のエンジンの冷間始動においても、迅速に熱くなると共に高い変換効率を有することが望ましい。厳しいCO要件を満たすための非常に効率的なエンジンの必要性は、より低い温度の排気ガス及びより高いエンジンアウトのNOレベルにもつながり、このことは、SCR触媒の上流に大量の還元剤が噴射されることを必要とする。さらに、還元剤として尿素を使用する場合、尿素は、気化及び加水分解してアンモニアになるのに熱を必要とする。温度が低い場合、例えば冷間始動時に、EATSの効果を下げる結晶化及び付着を引き起こす大きなリスクがある。
【0005】
エンジン始動前に、通例、エンジンシステムと呼ばれる、エンジン及び/又はEATSは、排気ガスからの排出物により良好に対処するために、動作のために準備されるか又は事前調整され得る。いくつかの例では、エンジンからの排気ガスにより良好に対処するために、エンジン始動前にエンジンシステムの動作温度により近くなるようにその温度を上げるためにエンジンシステムの構成要素又はサブシステムを加熱することによって、エンジンシステムの準備又は事前調整が行われる。それでもなお、エンジンシステムの少なくともいくつかの動作モードについて、エンジンシステムの構成要素又はサブシステムの加熱は、排気ガスからの排出物を低減させるには十分ではないか、又は、少なくとも排出物を十分に低いレベルまで低減させない。したがって、業界において、車両からの排出物を低減させるためにエンジンシステムの改善された制御が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、公知のエンジンシステムに関して上記で論じた欠点を少なくとも部分的に軽減すると共に、エンジン始動時のエンジンシステムの動作を制御するための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、エンジン始動時の車両におけるエンジンシステムの動作を制御する方法であって、本エンジンシステムは、エンジンと、選択式触媒還元(SCR)触媒及び該SCR触媒に還元剤を供給する還元剤投与システムを有する排気後処理システムと、を備える、本方法が提供される。
本方法は、
SCR触媒の温度を判定することと、
SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているとの判定に応じて、予め定められた動作圧力への還元剤投与システムの加圧を開始することと、
還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うことと、
を含む。
【0008】
これにより、エンジン始動前に還元剤投与システムの動作圧力に達することができる。したがって、本方法は、エンジン始動前に還元剤投与システムを、その還元剤投与システムの予め定められた動作圧力に加圧することを含み得る。したがって、エンジン始動時に、還元剤投与システムの動作圧力は既に達成されている。別の言い方をすれば、還元剤投与システムは、エンジン始動前にその動作圧力に加圧されることによって、また、還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うことにより事前調整/準備を保護することによって、事前調整又は準備されることができる。その結果、エンジン始動直後すなわちエンジン始動後直ちに還元剤を噴射することによって、還元剤をSCR触媒に供給することができる。これにより、SCR触媒の動作を向上させることができると共にNO排出物の低減を達成することができる。例えば、本方法は、SCR触媒におけるアンモニア蓄積をエンジン始動前に意図的に増加させる方法に比べ、より複雑ではない。そのような措置は、一般的に、EATSを通る排気ガスの流れがない場合にSCR触媒中にアンモニアを供給するシステムを必要とするためである。
【0009】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、SCR触媒の温度の予め定められた閾値は、SCR触媒の比較的高い温度、例えば、SCR触媒の動作温度の100℃以内に対応する。SCR触媒の比較的高い温度は、例えば、前回の運転サイクルの結果であり得る。すなわち、SCR触媒の温度は、前回の運転サイクルのその動作温度から幾分下がっているが、予め定められた閾値を下回るほどではない。例えば、かかるシナリオは、エンジンに加え、電気機械を備えたハイブリッド車両について、また、エンジンが停止すると共に車両が或る時間帯に電気機械を用いて動作された場合に起こり得る。SCR触媒のそのような比較的高い温度は、一般的に、SCR触媒におけるアンモニア蓄積の比較的低い緩和を伴う。還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うことによって、SCR触媒におけるアンモニア蓄積の迅速な増加をエンジン始動時に達成することができる。これにより、エンジンを、より良好な燃費をもたらすエンジンモード、例えば、高いエンジンアウトのNOに関連するエンジンモードで動作させることができる。したがって、本方法を、エンジンの意図された始動時の車両におけるNO排出制御のための方法と呼ぶことができる。
【0010】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、SCR触媒の温度の予め定められた閾値は、SCR触媒の動作温度の少なくとも100℃以内、又は少なくとも150℃以内、又は少なくとも200℃以内であるように設定される。
【0011】
これにより、SCR触媒の温度は比較的温かく、還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置が効果的に用いられる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、SCR触媒の予め定められた温度を、予め定められた閾値と比較することを含む。これにより、SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているかどうかを容易に明らかにすることができる。
【0012】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、SCR触媒の温度の予め定められた閾値は、100℃、150℃、又は200℃である。
【0013】
還元剤投与システムの予め定められた動作圧力は、一般的には、常用圧力を指す予め定められた動作圧力、すなわち正常な動作での還元剤投与システムの圧力であることが理解されるべきである。したがって、還元剤投与システムは、予め定められた動作圧力で動作されるように構成される。本文全体を通して、還元剤投与システムの予め定められた動作圧力を、理解しやすくするために単に動作圧力と呼ぶことがある。
【0014】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、還元剤投与システムの圧力を判定することと、判定された圧力を予め定められた動作圧力と比較することと、還元剤投与システムの圧力が予め定められた動作圧力よりも低いとの判定に応じて、還元剤投与システムの加圧を開始することとを含む。これにより、還元剤投与システムの予め定められた動作圧力が達成されたときを判定する措置が行われる。
【0015】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、予防措置を行うことは、エンジンが始動することを防止することを含む。これにより、エンジンは、還元剤投与システムの動作圧力に達するまで始動されることが防止される。したがって、エンジン始動を遅らせる確実な予防措置がもたらされる。上述したように、本方法は、車両を推進するためにエンジンに加えて電気機械を含むハイブリッド車両に適用可能とすることができる。これにより、エンジンが始動することを防止する予防措置を行うステップは、車両を推進するために電気機械を動作させることと同時に実行されてもよい。
【0016】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、予防措置を行うことは、エンジンを始動させることを遅らせるように運転者に知らせる命令を有する信号を生成することを含む。これにより、還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジンの始動を遅らせるよう、運転者に通知する。したがって、運転者は、還元剤投与システムの動作圧力に達していない場合であっても、エンジンを始動させるか否かの選択を与えられ得る。一般的に、運転者は、エンジン始動前に還元剤投与システムの動作圧力に達するよりも迅速にエンジンを始動することがより望ましい場合、依然としてエンジンを始動させることができる。上記信号は、例えば、動作圧力への還元剤投与システムの加圧を開始する際に生成され得る。運転者は、例えば、エンジンの始動を遅らせるようにスピーカの音声によって知らされてもよいし、又はディスプレイ若しくは画面上での情報によって知らされてもよい。
【0017】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、還元剤投与システムの動作圧力に達するとエンジン始動を可能にすることを含む。
【0018】
したがって、還元剤投与システムの予め定められた動作圧力に達すると、エンジン始動を遅らせる予防措置は取り消されるか、又は無効に設定される。例えば、予防措置が、エンジンが始動することを防止することを含む場合、エンジンは、還元剤投与システムの動作圧力に達すると始動することが可能となる。例えば、予防措置が、エンジンを始動させることを遅らせるように運転者に知らせる命令を有する信号を生成することを含む場合、信号が取り消される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、エンジンが始動されると、冷間始動オンボード診断及び/又はオンボード監視を開始することを含む。
【0019】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、還元剤投与システムは、加圧装置を含み、還元剤投与システムを加圧することは、加圧装置によって行われる。これにより、還元剤投与システムを加圧する確実なやり方がもたらされる。例えば、加圧装置は投与ポンプである。
【0020】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理システムは、SCR触媒の温度を測定するように配置された温度センサをさらに含み、SCR触媒の温度を判定することは、温度センサによって行われる。これにより、SCR触媒の温度を判定する確実なやり方がもたらされる。例えば、温度センサは、SCR触媒中に、又はSCR触媒のごく近くに配置されることができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、温度センサは、SCR触媒の上流に隣接して、その内部に、又はその下流に隣接して配置される。
【0021】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、エンジン始動時から5秒以内に還元剤投与システムから還元剤を噴射することを含む。したがって、還元剤投与システムの予め定められた動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うことによって、還元剤投与システムは、エンジンが始動された後、少なくとも5秒以内に、還元剤を噴射する準備ができている。これにより、エンジン始動後すぐに、SCR触媒におけるアンモニア蓄積の迅速な増加を達成することができる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、エンジン始動時から3秒以内に還元剤投与システムから還元剤を噴射することを含む。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、車両におけるエンジンシステムの排気後処理システムが提供される。
排気後処理システムは、
選択式触媒還元(SCR)触媒と、
SCR触媒に還元剤を供給する還元剤投与システムであって、少なくとも予め定められた動作圧力まで還元剤投与システムを加圧するように構成された加圧装置を含む、還元剤投与システムと、
SCR触媒の温度を取得するように構成され、該SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているとの判定に応じて、予め定められた動作圧力への還元剤投与システムの加圧を開始し、還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うように構成された制御ユニットと、を含む。
【0023】
本発明の第2の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関して上述した効果及び特徴と概ね類似している。本発明の第1の態様に関して述べた実施形態は、本発明の第2の態様と概ね適合性があり、そのうちのいくつかを、概して対応する有利な効果を繰り返し述べることなく以下に例示する。したがって、制御ユニットは、還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うように構成されている。
【0024】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、制御ユニットは、還元剤投与システムの予め定められた動作圧力に達するまで、エンジン始動を防止するように構成され、及び/又はエンジンを始動させることを遅らせるように運転者に知らせる命令を有する信号を生成するように構成されている。
【0025】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、排気後処理システムは、SCR触媒の温度を測定するように配置された温度センサをさらに含む。制御ユニットは、温度センサから測定した温度を受信することによってSCR触媒の温度を取得するように構成され得る。
【0026】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、制御ユニットは、エンジン始動時から5秒以内に還元剤投与システムから還元剤噴射を開始するように構成されている。例えば、制御ユニットは、還元剤投与システムの還元剤インジェクタを制御するように構成されてもよい。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様による排気後処理システムを備えた車両が提供される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、車両は、エンジンに加え、該車両を推進するように構成された電気機械を備える。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、電気機械は、エンジンが停止される場合又はエンジンが始動されることを防止される場合に車両を推進するように構成されている。
【0028】
本発明の第4の態様によれば、プログラムがコンピュータ上で実行される場合に、本発明の第1の態様の方法又はステップを行うプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムが提供される。したがって、プログラムコード手段は、本発明の第2の態様のEATSに本発明の第1の態様による方法のステップの少なくともいくつかを実行させる命令を含む。例えば、プログラムコード手段は、温度センサにSCR触媒の温度を測定させる命令と、例えば、エンジンの制御ユニット又は車両のドライバディスプレイに送信することによって、エンジン始動を遅らせる予防措置を行う命令とを含む。
【0029】
本発明の第5の態様によれば、コンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体であって、コンピュータプログラムは、該コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される場合に、本発明の第1の態様の方法又はステップを行うプログラムコード手段を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。例えば、プログラムコード手段は、温度センサにSCR触媒の温度を測定させる命令と、例えば、エンジンの制御ユニット又は車両のドライバディスプレイに送信することによって、エンジン始動を遅らせる予防措置を行う命令とを含む。
【0030】
本発明の第6の態様によれば、エンジン始動時の車両におけるエンジンシステムの動作を制御する制御ユニットが提供される。制御ユニットは、本発明の第1の態様の方法又はステップを行うように構成されている。したがって、制御ユニットは、例えば温度センサの測定した温度を受信することによって、SCR触媒の温度を取得するように構成されてもよい。したがって、制御ユニットは、温度センサを制御するか又は動作させるように構成されてもよい。さらに、制御ユニットは、エンジン始動を遅らせる予防措置を行うように構成されてもよい。したがって、制御ユニットは、通常、エンジンの制御ユニットを動作させるか又は車両のドライバディスプレイを動作させるように構成されている。別の言い方をすれば、制御ユニットは、本発明の第1の態様の方法の少なくともいくつかのステップを行うようにEATS又はエンジンシステムに命令するように構成されてもよい。
【0031】
本発明の第3から第6の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関して上記で説明した効果及び特徴と概ね類似している。本発明の第1及び第2の態様に関して述べた実施形態は、本発明の第3から第6の態様と概ね適合性がある。したがって、エンジンシステムは、一般的に、エンジンと、選択式触媒還元(SCR)触媒及び該SCR触媒に還元剤を供給する還元剤投与システムを有する排気後処理システムと、を備える。
【0032】
本発明の第1の態様において記載された方法ステップの順序は、本開示において記載された順序に拘束されない。それらステップのうちの1つ又は複数は、本発明の範囲から逸脱することなく明示的にそうであると述べられてない限り、順番を変えることができるか、又は、異なる順序で行われることができる。しかしながら、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、方法ステップは、本発明の第1の態様に記載された順序で行われる。
【0033】
本発明の第1から第6の態様のうちのいずれか1つに適用可能な、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、エンジンシステムのEATSは、車両、例えば大型トラックのエンジンからの排気ガス中のNO排出物を変換するように構成されている。EATSは、例えば、燃料としてディーゼル、ガソリン、水素燃料又はガス燃料を使用するエンジン等、様々な種類のエンジンからの排気ガスを浄化するのに用いられることができる。例えば、本EATSは、燃料としてディーゼル、ガソリン、CNG(圧縮天然ガス)、LPG(液化圧縮ガス)、DME(ジメチルエーテル)及び/又はH(水素)を使用する内燃機関の排気からのNO排出物を変換することによって、排気ガスを浄化するのに用いられることができる。
【0034】
本開示のさらなる利点及び特徴は、以下の説明及び添付の図面において開示及び説明される。
【0035】
添付の図面を参照して、以下に、例として挙げた本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態による、エンジンシステムと該エンジンシステムの排気後処理システムとを備えた車両の概略側面図である。
図2】本発明の一実施形態による、車両のエンジンシステム及び該エンジンシステムの排気後処理システムの概略図である。
図3】本発明の一実施形態による方法のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1を参照すると、エンジンシステム10を備えた車両1(ここでは大型トラック1として具現化されている)が開示されており、該車両1には、本開示において開示される同種類のEATS20が有利である。ただし、EATS20は、例えば、同様のエンジンシステムを有するバス、軽量トラック、乗用車、海洋用途等の他の種類の乗り物においても実装され得る。図1の車両1は、この実施形態ではディーゼルエンジン15であるエンジン15と、電気機械22とを備えたハイブリッド車両1である。ディーゼルエンジン15は、一般的に燃料タンク(図示せず)内に含まれたディーゼル燃料によって動力を与えられ、電気機械22は、少なくとも1つのエネルギー蓄積又は変換装置、例えばバッテリ又は燃料電池から供給される電気によって動力を与えられる。ディーゼルエンジン15及び電気機械22は、一般的に、トランスミッション、ドライブシャフト及びホイール(詳細に図示せず)等、車両1のパワートレインの他の部品に別個に連結されることによって、車両1を個別に推進するように配置及び構成されている。すなわち、車両1は、ディーゼルエンジン15だけによって、電気機械22だけによって、又は、電気機械22と共にディーゼルエンジン15によって推進され得る。さらに、車両1は、本文において後でより詳細に説明するように、エンジンシステム10の動作を制御するように構成された制御ユニット17を備える。
【0038】
図1において、少なくともディーゼルエンジン15は、エンジンシステム10内に含まれ、エンジンシステム10は、少なくともSCR触媒32を有するEATS20をさらに備える。SCR触媒32は、触媒を用いて、NOとも呼ばれる窒素酸化物を、二原子窒素(N)、水(HO)及び場合によっては二酸化炭素(CO)に変換するように配置及び構成されている。EATS20は、還元剤、一般的には無水アンモニア、アンモニア水又は尿素溶液(本開示では、通例、還元剤と称する)をSCR触媒に供給するように構成された還元剤投与システム34をさらに含む。これにより、還元剤をSCR触媒32における触媒へ吸着させることができる。エンジンシステム10、及びエンジンシステム10のEATS20を、図2を参照しながらより詳細に説明する。
【0039】
図2は、図1の車両1のエンジンシステム10をより詳細に開示している。エンジンシステム10は、図1を参照しながら既に説明したように、ディーゼルエンジン15と、EATS20であって、SCR触媒32と、還元剤投与システム34と、エンジンシステム10の動作を制御するように構成されている制御ユニット17とを含むEATS20と、を備える。ただし、制御ユニット17は、エンジンシステム10の外部に設けられてもよく、代わりに車両の別の部品内に含まれていてもよいことを述べておく。図2の還元剤投与システム34は、少なくとも予め定められた動作圧力まで還元剤投与システム34における還元剤を加圧するように構成されている投与ポンプの形態の加圧装置36を含む。すなわち、還元剤は、一般的に、還元剤投与システム34の密閉容器内に保持され、加圧装置36は、密閉容器内の還元剤を予め定められた動作圧力に加圧するように構成されている。還元剤投与システム34は、前述したようにNO変換のため、還元剤、一般的にはアンモニアを、SCR触媒32に供給するよう、加圧された還元剤をSCR触媒32の上流に噴射するように構成されたインジェクタ35をさらに含むことができる。図2のEATS20は、SCR触媒32の温度を測定するように配置された温度センサ31をさらに含む。エンジンシステム10は、任意選択的に、例えば、この実施形態ではディーゼル酸化触媒(DOC)である酸化触媒である、1つ又は複数の排出低減モジュール30、及び/又はこの実施形態ではディーゼル微粒子フィルタ(DPF)である微粒子フィルタを含むことができる。排出低減モジュール30は、図2の実施形態ではSCR触媒32の上流に配置されている。
【0040】
エンジン始動時及びエンジンシステム10の初期動作中、例えば、エンジンシステム10の動作条件が達成される時点まで、EATS20からの排出物(例えば、走行距離当たりの排出物又は単位運転時間当たりの排出物)は、一般的に、エンジンシステム10の動作条件が達成された場合と比べてより高い。このような排出物は、冷間始動排出物と呼ばれることがあり、一般的に、EATS20からの排気の中に望ましくない化合物(NO、粒子、及びCO又は未燃焼のHC等)を含む。エンジンシステム10の初期動作は、エンジン始動に続く時間幅、例えば0秒(若しくは1秒)~30秒の短い時間幅、又は0秒(若しくは1秒)~10分若しくは15分のより長い時間幅によって規定され得る。このような冷間始動排出物を回避又は少なくとも低減するために、エンジンシステム10の少なくとも一部は、エンジン始動前に準備され得る。すなわち、エンジンシステム10の少なくとも一部は、エンジンシステム10の初期動作中の排出物が低減されるように準備され得る。
【0041】
車両1の制御ユニット17は、エンジンシステム10の動作を制御するように構成されている。より詳細には、制御ユニット17は、一般的には温度センサ31から、SCR触媒32の温度に関する情報を取得又は受信するように構成され、SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているとの判定に応じて、通常は加圧装置36によって、予め定められた動作圧力への還元剤投与システム34の加圧を開始する。さらに、制御ユニット17は、還元剤投与システム34の動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うように構成されている。したがって、制御ユニット17は、予防措置を行うことによって、また、加圧装置36によって加圧を開始することによって、エンジン始動前に還元剤投与システム34を予め定められた動作圧力に加圧することによりエンジンシステム10を制御することができる。したがって、エンジン始動時に、還元剤投与システム34の動作圧力が既に達成されることができる。通常、制御ユニット17は、還元剤投与システム34の予め定められた動作圧力に達するまで、エンジン始動を防止するように構成され、及び/又は、エンジン15を始動させることを遅らせるように運転者に知らせる命令を有する信号を生成するように構成されている。さらに、制御ユニット17は、通常、インジェクタ35による還元剤投与システム34からの還元剤の噴射を制御するように構成されている。例えば、制御ユニット17は、エンジン始動の5秒以内に還元剤の噴射を開始するように構成されている。
【0042】
図1を参照して説明したように、エンジンシステム10は、少なくとも1つのエネルギー蓄積又は変換装置、例えばバッテリ又は燃料電池から供給される電気によって動力を与えられる電気機械22を備えることができる。種々の運転サイクルを用いて車両1を推進することによって、EATSからの排出物が変化する可能性がある。例えば、車両1は、ディーゼルエンジン15が車両1を場合によっては電気機械と共に推進するように動作される第1の運転サイクルと、ディーゼルエンジン15が停止されると共に電気機械のみが車両1を推進するように動作される(或いは、電気機械22も停止され、車両が静止状態にある)第2の運転サイクルと、及びディーゼルエンジン15が車両1を推進するために再始動される第3の運転サイクルと、である後続の3つの運転サイクルによって運転され得る。第2の運転サイクルと第3の運転サイクルとの間で、EATS20の温度、特にSCR触媒32の温度は、その動作温度よりも低く下がり始める。しかしながら、SCR触媒32の温度がSCR触媒32の予め定められた閾値よりも低く下がらない限り、SCR触媒32の外部加熱は必要とされ得ず、代わりに、上述したやり方によってSCR触媒32におけるアンモニア蓄積を迅速に増加させれば十分である。ただし、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、EATSは、エンジン始動前にSCR触媒32を加熱するように構成されたヒータ、例えば電気加熱素子を含む。例えば、制御ユニット17は、エンジン始動前にヒータによってSCR触媒32の温度を制御するように構成されることができる。好ましくは、SCR触媒32の温度の予め定められた閾値は、相対的に高い温度、例えば、SCR触媒32の動作温度の100℃以内に対応する。SCR触媒32のそのような相対的に高い温度は、一般的に、SCR触媒32におけるアンモニア蓄積の比較的低い緩和を伴う。還元剤投与システム34の動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行うことによって、エンジン始動時にSCR触媒32におけるアンモニア蓄積の迅速な増加が達成されることができる。これにより、エンジン15を、より良好な燃費をもたらすエンジンモード、例えば、高いエンジンアウトのNOに関連したエンジンモードで動作させることができる。
【0043】
図3のフローチャートを参照すると、図1及び図2のエンジンシステム10のように、エンジン始動時の車両1におけるエンジンシステム10の動作を制御する方法のステップを概略的に示している。したがって、エンジンシステム10は、少なくとも、エンジン15と、SCR触媒32及びそのSCR触媒32を還元剤に供給する還元剤投与システム34を有するEATS20と、を備えている。
【0044】
ステップS100において、例えば第1のステップS100であり、SCR触媒の温度を判定する。図2を参照して説明したように、EATSは、SCR触媒の温度を測定するように配置された温度センサを含むことができ、SCR触媒の温度を判定するステップS100は、温度センサによって行われる。
【0045】
ステップS102において、例えば第2のステップS102であり、判定されたSCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているかどうかを判定し、SCR触媒の温度が予め定められた閾値を超えているとの判定に応じて、ステップS104を行い、これは、例えば第3のステップS104であり、予め定められた動作圧力への還元剤投与システムの加圧を開始する。一般的に、上記ステップS102は、SCR触媒の判定された温度をSCR触媒温度の予め定められた閾値と比較するサブステップを含む。
【0046】
任意選択的なステップS105において、例えば第4のステップS105であり、還元剤投与システムの圧力が予め定められた動作圧力よりも低いかどうかを判定する。
【0047】
ステップS106において、例えば第5のステップS106であり、還元剤投与システムの動作圧力に達するまでエンジン始動を遅らせる予防措置を行う。したがって、エンジン始動を遅らせる予防措置を行うステップS106は、還元剤投与システムの圧力が任意選択的なステップS105の予め定められた動作圧力よりも低いとの判定に応じて行うことができる。一般的に、エンジン始動を遅らせる予防措置を行うステップS106は、予め定められた動作圧力に達するまで還元剤投与システムの連続加圧と同時に行われる。図2を参照して説明したように、還元剤投与システムは加圧装置を含むことができ、還元剤投与システムを加圧することは、加圧装置によって行われる。
【0048】
図3に見られるように、エンジン始動を遅らせる予防措置を行うステップS106は、少なくとも2つの異なる任意選択肢によって行うことができ、第1の任意選択肢S106aは、エンジンが始動することを防止することを含み、第2の任意選択肢S106bは、エンジンを始動させることを遅らせるように運転者に知らせる命令を有する信号を生成することを含む。
【0049】
ステップS108において、例えば第6のステップS108であり、還元剤投与システムの動作圧力に達するとエンジン始動を可能にする。したがって、エンジン始動を可能にするステップS108は、還元剤投与システムの圧力が任意選択的なステップS105の予め定められた動作圧力以上であるとの判定に応じて行うことができる。エンジン始動を可能にするステップS108は、エンジンを自動又は手動で始動させるステップをさらに含むことができる。
【0050】
ステップS110において、例えば第7のステップS110であり、エンジン始動時から5秒以内に還元剤投与システムから還元剤を噴射することができる。すなわち、エンジン始動直前又はエンジン始動直後に、還元剤投与システムは、使用される準備ができており(すなわち、還元剤投与システムの動作圧力に達している)、したがって、SCR触媒のために還元剤を噴射することができる。
【0051】
任意選択的なステップS103において、例えば第3の任意選択的なステップS103であり、SCR触媒の温度が予め定められた閾値よりも低いとの判定に応じて行われ、予め定められた動作圧力への還元剤投与システムの加圧を開始させない。代替として、任意選択的な第3のステップS103は、SCR触媒を加熱すると共にSCR触媒の温度を判定する第1のステップS100に戻ることを含む。
【0052】
本発明は、上記で説明し、図面に例示した実施形態に限定されないものと理解され、むしろ、当業者は、添付の請求項の範囲内で多くの変更及び改変を行うことができることを理解するであろう。例えば、排気後処理ユニットは、ディーゼルエンジン以外の他のエンジンの排気ガスを浄化するのに用いられることができる。例えば、本排気後処理ユニットは、燃料としてガソリン、CNG(圧縮天然ガス)、LPG(液化圧縮ガス)、DME(ジメチルエーテル)及び/又はH2(水素)を使用する内燃機関の排気から、例えば、NO排出物を変換することによって、排気ガスを浄化するのに用いられることができる。したがって、エンジンシステムは、ディーゼルエンジン以外の別の燃焼機関、例えば水素エンジンを含むことができる。
【0053】
図3のステップの呼称は、必ずというわけではないが、少なくとも1つの例示的な実施形態に従って、ステップが行われる順序に関連し得ることに留意されたい。したがって、ステップの順序は、明示的に互いに依存していない限り、本明細書において説明される順序とは異なっていてもよい。さらに、1つ又は複数のステップは省かれてもよく、及び/又はステップのうち2つが同時に行われてもよい。
【0054】
さらに、開示された実施形態の変形が、図面、本開示及び添付の請求項の検討から、特許請求の範囲に記載された発明的概念を実施する際に当業者によって理解及び実施されることができる。請求項において、「comprising(備える、含む)」という語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。特定の措置が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。
図1
図2
図3
【外国語明細書】