IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルボトラックコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開-車両の自動機械式変速機 図1
  • 特開-車両の自動機械式変速機 図2
  • 特開-車両の自動機械式変速機 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061378
(43)【公開日】2023-05-01
(54)【発明の名称】車両の自動機械式変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/04 20060101AFI20230424BHJP
   F16H 59/42 20060101ALI20230424BHJP
   F16H 59/70 20060101ALI20230424BHJP
   F16H 61/682 20060101ALI20230424BHJP
   F16H 61/70 20060101ALI20230424BHJP
   F16H 3/083 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
F16H61/04
F16H59/42
F16H59/70
F16H61/682
F16H61/70
F16H3/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022164641
(22)【出願日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】21203329.4
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック・カーペンマン
(72)【発明者】
【氏名】マグヌス・ブランケンフィエル
【テーマコード(参考)】
3J528
3J552
【Fターム(参考)】
3J528EA01
3J528EA21
3J528EB33
3J528EB62
3J528EB63
3J528EB66
3J528FC32
3J528FC42
3J528FC47
3J528GA01
3J552MA04
3J552MA13
3J552MA17
3J552MA23
3J552NA04
3J552NA05
3J552NA06
3J552NB01
3J552NB05
3J552PA02
3J552PA20
3J552PA51
3J552PA70
3J552QC08
3J552RA27
3J552RA28
3J552RB07
3J552RB22
3J552SA60
3J552SB33
3J552SB40
3J552TB07
3J552VA32W
3J552VA37W
3J552VA74W
3J552VB01W
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クローラギヤの係合が改良されたAMTを提供する。
【解決手段】インプットシャフト2の動力をスプリットギヤボックスアセンブリSG、メインギヤボックスアセンブリMGを介しメインシャフト1に伝達し出力する自動機械式変速機100において、選択的に係合及び切断するように適合されたクローラギヤ係合部材5を係合させる場合、変速機制御ユニット7は、ギヤボックスブレーキ6を動作させて、カウンタシャフト3の回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させ、第1の所定回転速度に到達したときに、ギヤボックスブレーキを解除し、スプリットギヤボックスアセンブリを中立状態に設定し、クローラギヤ係合部材によってクローラギヤを係合させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインシャフト(1)を含み、かつ少なくとも1つの係合状態と中立状態との間でシフト可能なように適合されたメインギヤボックスアセンブリ(MG)と、
インプットシャフト(2)を含み、かつ第1の係合状態、第2の係合状態及び中立状態の間でシフト可能なように適合されたスプリットギヤボックスアセンブリ(SG)と、
カウンタシャフト(3)と、
前記カウンタシャフト(3)を介して前記インプットシャフト(2)から前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)までのトルク経路を規定するクローラギヤを選択的に係合及び切断するように適合されたクローラギヤ係合部材(5)を含むクローラギヤボックスアセンブリ(CG)と、
ギヤボックスブレーキ(6)と、
変速機制御ユニット(7)と、
を含む、車両(110)の自動機械式変速機(100)であって、
前記変速機が、前記中立状態にある前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)、前記2つの係合状態の一方にある前記スプリットギヤボックスアセンブリ(SG)、及び前記変速機の使用中にインプットシャフト(2)を回転させるパワーユニット(120)と駆動接続されたインプットシャフト(2)によって規定された自動機械式変速機中立状態に設定なように構成され、
前記変速機制御ユニット(7)が前記自動機械式変速機中立状態から前記クローラギヤを係合させる要求を得たときに、前記変速機制御ユニット(7)が、
前記ギヤボックスブレーキを動作させて、前記カウンタシャフト(3)の回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させ、
前記第1の所定回転速度に到達したときに、前記ギヤボックスブレーキ(6)を解除し、前記スプリットギヤボックスアセンブリ(SG)を前記中立状態に設定し、前記クローラギヤ係合部材(5)によって前記クローラギヤを係合させるように構成されたことを特徴とする、
自動機械式変速機。
【請求項2】
前記変速機制御ユニット(7)が、
前記ギヤボックスブレーキ(6)を再度動作させて、前記カウンタシャフト(3)の回転速度を第2の所定回転速度まで更に低下させ、
前記第2の所定回転速度に到達したときに、前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)を前記少なくとも1つの係合状態のいずれかに設定するように更に構成された、
請求項1に記載の自動機械式変速機。
【請求項3】
前記第1の所定回転速度は、前記インプットシャフト(2)と前記カウンタシャフト(3)との間の所定回転速度差に対応する、
請求項1又は2に記載の自動機械式変速機。
【請求項4】
前記所定回転速度差は、60~100rpm、例えば、70~90rpmなど、40~120rpmの範囲にある、
請求項3に記載の自動機械式変速機。
【請求項5】
前記第1の所定回転速度は、前記スプリットギヤボックスアセンブリ(SG)及び前記クローラギヤボックスアセンブリ(CG)の少なくとも一方のシフト動作中の遅れを考慮して設定された、
請求項1~4のいずれか1つに記載の自動機械式変速機。
【請求項6】
前記第1の所定回転速度は、変速機の潤滑油温度が変化するなど、周囲条件が変化することで発生する遅延条件の変化に関連して変化するように適合された、
請求項5に記載の自動機械式変速機。
【請求項7】
前記クローラギヤボックスアセンブリ(CG)の前記クローラギヤは、前記カウンタシャフト(3)に対する前記インプットシャフト(2)の速度比を、2/1~5/1、例えば、実質的に3/1など、1.5/1~5/1の範囲にするように構成された、
請求項1~6のいずれか1つに記載の自動機械式変速機。
【請求項8】
前記スプリットギヤボックスアセンブリ(SG)は、前記インプットシャフト(2)に配置された第1のインプットシャフトギヤ(8)と、前記メインシャフト(1)に配置された第1のメインギヤ(9)と、前記2つの係合状態と前記中立状態との間で前記スプリットギヤボックスアセンブリ(SG)をシフトするように適合されたスプリットギヤボックス係合部材(10)と、を更に含み、前記第1の係合状態では、前記スプリットギヤボックス係合部材(10)が前記第1のインプットシャフトギヤ(8)を前記インプットシャフト(2)に回転接続し、前記第2の係合状態では、前記スプリットギヤボックス係合部材(10)が前記第1のメインギヤ(9)を前記インプットシャフト(2)に回転接続し、前記中立状態では、前記第1のインプットシャフトギヤ(8)及び前記第1のメインギヤ(9)のそれぞれが前記インプットシャフト(2)に対して回転自由である中立状態になる、
請求項1~7のいずれか1つに記載の自動機械式変速機。
【請求項9】
前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)は、前記第1のメインギヤ(9)を前記メインシャフト(1)に回転接続する係合状態に前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)をシフトするように適合された、第1のメインギヤボックス係合部材(11)を更に含む、
請求項8に記載の自動機械式変速機。
【請求項10】
前記カウンタシャフト(3)に配置された第1及び第2のカウンタシャフトギヤ(12,13)を更に含み、前記第1のカウンタシャフトギヤ(12)が前記第1のインプットシャフトギヤ(8)と駆動接続されるように配置され、前記第2のカウンタシャフトギヤ(13)が前記第1のメインギヤ(9)と駆動接続されるように配置された、
請求項8又は9に記載の自動機械式変速機。
【請求項11】
前記クローラギヤボックスアセンブリ(CG)は、前記インプットシャフト(2)に配置された第1のクローラギヤ(14)と、前記カウンタシャフト(3)に配置され、かつ前記第1のクローラギヤ(14)と駆動接続する第2のクローラギヤ(15)と、を含む、
請求項1~10のいずれか1つに記載の自動機械式変速機。
【請求項12】
前記第1のクローラギヤ(14)が、前記インプットシャフト(2)に回転可能に固定されるか、又は前記インプットシャフト(2)と一体化された、
請求項11に記載の自動機械式変速機。
【請求項13】
前記カウンタシャフト(3)に配置された第3のカウンタシャフトギヤ(16)を含み、前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)は、前記メインシャフト(1)に配置された第2のメインギヤ(17)を含み、前記第2のメインギヤ(17)が前記第3のカウンタシャフトギヤ(16)に駆動接続され、前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)が、前記第2のメインギヤ(17)が前記メインシャフト(1)に回転接続された第2のメインギヤ係合状態と、前記第2のメインギヤ(17)が前記メインシャフト(1)に対して回転自由である第2のメインギヤ切断状態と、の間でシフト可能なように配置された、
請求項1~12のいずれか1つに記載の自動機械式変速機。
【請求項14】
車両(110)の自動機械式変速機(100)のギヤシフトを行う方法であって、
前記変速機は、
メインシャフト(1)を含み、かつ少なくとも1つの係合状態と中立状態との間でシフト可能なように適合されたメインギヤボックスアセンブリ(MG)と、
インプットシャフト(2)を含み、かつ第1の係合状態、第2の係合状態及び中立状態の間でシフト可能なように適合されたスプリットギヤボックスアセンブリ(SG)と、
カウンタシャフト(3)と、
前記カウンタシャフト(3)を介して前記インプットシャフト(2)から前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)までのトルク経路を規定するクローラギヤを選択的に係合及び切断するように適合されたクローラギヤ係合部材(5)を含むクローラギヤボックスアセンブリ(CG)と、
ギヤボックスブレーキ(6)と、
を含み、
前記変速機は、前記中立状態にある前記メインギヤボックスアセンブリ(MG)、前記2つの係合状態の一方にある前記スプリットギヤボックスアセンブリ(SG)、及び前記変速機の使用中に前記インプットシャフト(2)を回転させるパワーユニット(120)と駆動接続される前記インプットシャフト(2)によって規定された自動機械式変速機中立状態に設定可能なように構成され、
前記自動機械式変速機中立状態から前記クローラギヤを係合する要求を得たときに、前記ギヤボックスブレーキ(6)を動作させて、前記カウンタシャフト(3)の回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させるステップ(S1)と、
前記第1の所定回転速度に到達したときに、前記ギヤボックスブレーキ(6)を解除し(S2)、前記スプリットギヤボックスアセンブリ(SG)を前記中立状態に設定し(S3)、前記クローラギヤ係合部材(5)によって前記クローラギヤを係合させる(S4)ステップと、
を含む方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1つに記載の自動機械式変速機(AMT)を搭載した車両(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動機械式変速機(AMT)に関する。本発明はまた、車両のAMTのギヤシフトを行う方法に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス及び建設機械などの大型車両に適用することができる。トラックについて本発明を説明するが、本発明は、この特定の車両に限定されず、作業機械や乗用車などの他の車両にも使用することができる。
【背景技術】
【0003】
自動機械式変速機(AMT)は、多くの場合、大型トラックや他の商用車両に使用されている。AMTは、アウトプットシャフトに駆動接続されたインプットシャフトを含んでいる。アウトプットシャフトは、次に、車両のプロペラシャフトに駆動接続されている。
【0004】
通常、AMTは、変速機制御ユニットによって制御される1つ以上のアクチュエータを用いてギヤシフトが自動的に行われる、機械式変速機として定義することができる。
【0005】
AMTは、一般的に、インプットシャフトをアウトプットシャフトに駆動接続するカウンタシャフトを含んでいる。
【0006】
より詳細には、AMTは、一般的に、メインシャフトを含み、かつ少なくとも1つの係合状態と中立状態との間でシフト可能なように適合されたメインギヤボックスアセンブリを含んでいる。例えば、メインギヤボックスアセンブリは、メインシャフトに配置された、異なる直径を有する3つ以上のギヤを含むことができる。
【0007】
AMTはまた、インプットシャフトを含み、かつ第1の係合状態、第2の係合状態及び中立状態の間でシフト可能なように適合されたスプリットギヤボックスアセンブリを含んでいてもよい。
【0008】
カウンタシャフトは、一般的に、メインギヤボックスアセンブリのギヤに駆動接続されるとともに、スプリットギヤボックスアセンブリのギヤに駆動接続される、複数のギヤを含んでいる。従って、カウンタシャフトは、メインギヤボックスアセンブリの一部、及びスプリットギヤボックスアセンブリの一部を形成する。
【0009】
AMTは、例えば、12速の前進ギヤ及び4速の後進ギヤを提供するように設計することができる。
【0010】
近年では、標準の前進ギヤ及び後進ギヤに加えてクローラギヤも含む、新しいタイプのAMTが開発されている。クローラギヤは、例えば、車両が0.5~2km/h、例えば、1km/hなどの低速で走行しているときに使用されるギヤである。クローラギヤは、一般的に、急な登坂路で、及び/又は停車状態からの発進に使用される。従って、クローラギヤが係合しているとき、インプットシャフトとアウトプットシャフトとの間の速度比は大きい。例えば、インプットシャフトからアウトプットシャフトまでの速度比は、20:1など、15:1~35:1の範囲とすることができる。
【0011】
クローラギヤを含む上述のAMTが、特に大型車両にとって非常に有用であるように示されたが、クローラギヤを有する更に改良されたAMTを開発する取り組みが依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のことを考慮すると、本発明の目的は、改良された車両の自動機械式変速機を提供することである。特に、本発明の目的は、クローラギヤの係合が改良されたAMTを提供することである。本発明のさらなる目的は、自動機械式変速機のギヤシフトを行う改良された方法、及び改良された車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、この目的の少なくとも1つは、請求項1に記載の自動機械式変速機によって達成される。
【0014】
従って、メインシャフトを含み、かつ少なくとも1つの係合状態と中立状態との間でシフト可能なように適合されたメインギヤボックスアセンブリと、インプットシャフトを含み、かつ第1の係合状態、第2の係合状態及び中立状態の間でシフト可能なように適合されたスプリットギヤボッスクアセンブリと、カウンタシャフトと、カウンタシャフトを介してインプットシャフトからメインギヤボックスアセンブリまでのトルク経路を規定するクローラギヤを選択的に係合及び切断するように適合されたクローラギヤ係合部材を含むクローラギヤボックスアセンブリと、ギヤボックスブレーキと、変速機制御ユニットと、を含んだ、車両の自動機械式変速機が提供される。
【0015】
変速機は、中立状態にあるメインギヤボックスアセンブリ、第1の係合状態及び第2の係合状態の一方にあるスプリットギヤボックスアセンブリ、及び変速機の使用中にインプットシャフトを回転させるパワーユニットに駆動接続されるインプットシャフトによって規定されたAMT中立状態に設定可能なように構成されている。
【0016】
変速機制御ユニットがAMT中立状態からクローラギヤを係合させる要求を得たときに、変速機制御ユニットが、ギヤボックスブレーキを動作させて、カウンタシャフトの回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させ、第1の所定回転速度に到達したときに、ギヤボックスブレーキを解除し、スプリットギヤボックスアセンブリを中立状態に設定し、クローラギヤ係合部材によってクローラギヤを係合させるように構成されている。
【0017】
本明細書に記載のAMTを供給することによって、改良されたAMTが達成され、そこでは、クローラギヤの係合が改良される。より詳細には、第1の所定回転速度に到達したときにクローラギヤを係合させることによって、不必要なノイズ及び/又はジャークが最小に維持されるか、又はこれらが除去される。本発明は、AMTにおけるクローラギヤの係合が従前の気がかりなノイズ及び/又はジャークという結果になったという認識に基づいている。この目的のため、カウンタシャフト及びインプットシャフトが回転していないとき、即ち、回転速度0のときに、クローラギヤの係合が開始されていた。このように、クローラギヤを係合すると、一般的に、歯と歯の接触がクローラギヤボックスアセンブリに現れていた。この問題を解決するため、インプットシャフトとパワーユニットとの間のクラッチが短時間だけ一時的に係合されて変速機にジャークをもたらし、これによって、クローラギヤを係合することができた。上記のことを考慮すると、本発明は、カウンタシャフトが完全に停止する前にクローラギヤを係合するとともに、所定速度、即ち、所定回転速度に到達したときに、クローラギヤを係合するという洞察に基づいている。これによって、不必要なノイズ及び/又はジャークを低減できるか、又はこれらを除去することができる。
【0018】
「クローラギヤ」は、変速機の他の選択可能なギヤのいずれか1つよりも大きな入力/出力速度比を提供する変速機のギヤとして定義することができる。例として、クローラギヤボックスアセンブリは、さもなければ標準的なAMTの独自の拡張として提供することができる。独自の拡張は、変速機がその中で使用されるとき、車両のパワーユニットからプロペラシャフトまでのトルク経路で見られるように、メインギヤボックスアセンブリ及びスプリットギヤボックスアセンブリの上流に設けることができる。
【0019】
AMTは、内燃機関及び1つ以上の電動モータを含むがこれに限らず、異なる種類のパワーユニットに接続されていてもよい。
【0020】
例えば、インプットシャフトが内燃機関に接続可能であれば、AMTは、パワーユニットに対して接続状態と切断状態との間でインプットシャフトを駆動接続及び駆動切断するクラッチ部材を更に含んでいてもよい。AMTがAMT中立状態にあれば、クラッチ部材は接続状態にある。これによって、変速機の使用中にパワーユニットがインプットシャフトを回転させる。このように、変速機制御ユニットがAMT中立状態からクローラギヤを係合させる要求を得たときに、変速機制御ユニットは、クラッチ部材を切断状態に切断するように更に構成されていてもよい。
【0021】
その代わりに、例えば、パワーユニットが1つ以上の電動モータであれば、パワーユニットとインプットシャフトとの間にクラッチ部材が設けられていなくてもよい。換言すると、パワーユニットとインプットシャフトとの間の接続は、永続的な駆動接続、即ち、駆動接続を切断する任意の切断手段がない接続であってもよい。これによって、例として、パワーユニットはギヤボックスブレーキとして動作することができる。
【0022】
その代わりに、ギヤボックスブレーキは、カウンタシャフトに関連付けられたブレーキであってもよい、即ち、変速機は、カウンタシャフトに制動力を印加することによって制動されてもよい。もちろん、ギヤボックスブレーキは、付加的に又は代替的に、インプットシャフト及び/又はメインシャフトと関連付けられるように構成されていてもよい。
【0023】
オプションとして、変速機制御ユニットは、ギヤボックスブレーキを再度動作させて、カウンタシャフトの回転速度を第2の所定回転速度まで更に低下させ、第2の所定回転速度に到達したときに、メインギヤボックスアセンブリを少なくとも1つの係合状態の1つに設定するように更に構成されていてもよい。
【0024】
従って、第1の所定回転速度よりも低速である第2の所定回転速度はまた、回転速度0でないことが好ましい。これによって、シャフトの回転中に、メインギヤボックスアセンブリは、少なくとも1つの係合状態に設定することができ、これはまたノイズ及び/又はジャークを低減させることを意味する。
【0025】
好ましくは、第1の所定回転速度は、インプットシャフトとカウンタシャフトとの間の所定回転速度差に対応してもよい。不必要なノイズ及び/又はジャークを低減させるために、第1の所定回転速度は、インプットシャフトとカウンタシャフトとの間の適切な回転速度差に基づいて設定されるべきであることを更に理解されたい。例えば、適切な回転速度差は、60~100rpm、例えば、70~90rpmなど、40~120rpmの範囲にすればよいことを理解されたい。
【0026】
オプションとして、第1の所定回転速度は、スプリットギヤボックスアセンブリ及びクローラギヤボックスアセンブリの少なくとも一方のシフト動作中の遅れを考慮することによって設定することができる。シフト動作中の遅れを考慮することによって、クローラギヤ係合のより最適な速度を達成することができ、ノイズ及び/又はジャークを更に低減させることを意味している。例えば、スプリットギヤボックスアセンブリ及びクローラギヤボックスアセンブリの少なくとも一方のシフト動作中の遅れを考慮することは、実際の最適回転速度よりも大きい回転速度に第1の所定回転速度を設定することを含み、これによって、実際の最適回転速度に到達したときにクローラギヤが係合される。例えば、第1の所定回転速度は、実際の最適回転速度よりも10~60%大きいなど、5~60%大きい回転速度に設定することができ、これによって、実際の最適回転速度に到達したときにクローラギヤが係合される。純粋な例として、第1の所定回転速度は、上述した所定回転速度差に対応する値よりも大きい値に設定されてもよい。
【0027】
オプションとして、第1の所定回転速度は、変速機の潤滑油温度が変化するなど、周囲条件が変化することで発生する遅延効果の変化に関連して変化するように適合されていてもよい。これによって、ノイズ及び/又はジャークを更に低減させることができる。例えば、第1の所定回転速度は、クローラギヤ係合について異なる最適速度をもたらす結果となる、冷機条件及び/又は暖機条件に適合することができる。
【0028】
オプションとして、クローラギヤボックスアセンブリのクローラギヤは、カウンタシャフトに対するインプットシャフトの速度比を、2/1~5/1、例えば、実質的に3/1など、1.5/1~5/1の範囲にするように構成されていてもよい。
【0029】
オプションとして、スプリットギヤボックスアセンブリは、インプットシャフトに配置された第1のインプットシャフトギヤと、メインシャフトに配置された第1のメインギヤと、2つの係合状態と中立状態との間でスプリットギヤボックスアセンブリをシフトするように適合されたスプリットギヤボックス係合部材と、を更に含んでいてもよい。第1の係合状態では、スプリットギヤボックス係合部材が、第1のインプットシャフトギヤをインプットシャフトに回転接続する。第2の係合状態では、スプリットギヤボックス係合部材が、第1のメインギヤをインプットシャフトに回転接続する。中立状態では、スプリットギヤボックス係合部材が、第1のインプットシャフトギヤ及び第1のメインギヤのそれぞれがインプットシャフトに対して回転自由である中立状態にする。
【0030】
オプションとして、メインギヤボックスアセンブリは、第1のメインギヤをメインシャフトに回転接続する係合状態にメインギヤボックスアセンブリをシフトするように適合された、第1のメインギヤボックス係合部材を更に含んでいてもよい。
【0031】
オプションとして、変速機は、カウンタシャフトに配置された第1及び第2のカウンタシャフトギヤを更に含んでいてもよい。第1のカウンタシャフトギヤは、第1のインプットシャフトギヤと駆動接続するように配置されている。第2のカウンタシャフトギヤは、第1のメインギヤと駆動接続するように配置されている。好ましくは、第1のカウンタシャフトギヤは、第1のインプットシャフトギヤと噛み合い係合するように配置され、及び/又は第2のカウンタシャフトギヤは、第1のメインギヤと噛み合い係合するように配置されている。
【0032】
オプションとして、クローラギヤボックスアセンブリは、インプットシャフトに配置された第1のクローラギヤと、カウンタシャフトに配置され、かつ第1のクローラギヤと駆動接続された第2のクローラギヤと、を更に含んでいてもよい。好ましくは、第1のクローラギヤは、第2のクローラギヤと噛み合い係合するように配置されている。
【0033】
オプションとして、第1のクローラギヤは、インプットシャフトに対して回転可能に固定されるか、又はこれと一体化されていてもよい。これによって、変速機の部品が少なくなり、費用効果の高い構成となることを意味する。
【0034】
オプションとして、変速機は、カウンタシャフトに配置された第3のカウンタシャフトギヤを含んでいてもよい。メインギヤボックスアセンブリは、メインシャフトに配置された第2のメインギヤを含んでいる。第2のメインギヤは、第3のカウンタシャフトギヤに駆動接続されている。メインギヤボックスアセンブリは、第2のメインギヤがメインシャフトに回転接続される第2のメインギヤ係合状態と、第2のメインギヤがメインシャフトに対して回転自由である第2のメインギヤ切断状態と、の間でシフト可能なように配置されている。
【0035】
オプションとして、変速機は、カウンタシャフトに配置された第4のカウンタシャフトギヤを含んでいてもよい。メインギヤボックスアセンブリは、メインシャフトに配置された第3のメインギヤを含んでいる。第3のメインギヤは、第4のカウンタシャフトギヤに駆動接続されている。メインギヤボックスアセンブリは、第3のメインギヤがメインシャフトに回転接続された第3のメインギヤ係合状態と、第3のメインギヤがメインシャフトに対して回転自由である第3のメインギヤ切断状態と、の間でシフト可能なように配置されている。
【0036】
オプションとして、変速機は、カウンタシャフトに配置された第5のカウンタシャフトギヤを含んでいてもよい。メインギヤボックスアセンブリは、メインシャフトに配置された第4のメインギヤを含んでいる。第4のメインギヤは、第5のカウンタシャフトギヤに駆動接続され、これによって、第5のカウンタシャフトギヤの回転が第4のメインギヤの逆回転になる。メインギヤボックスアセンブリは、第4のメインギヤがメインシャフトに回転接続された第4のメインギヤ係合状態と、第4のメインギヤがメインシャフトに対して回転自由である第4のメインギヤ切断状態と、の間でシフト可能なように配置されている。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、この目的は、請求項14に記載の方法によって達成される。
【0038】
従って、車両の自動機械式変速機のギヤシフトを行う方法が提供される。
【0039】
変速機は、メインシャフトを含み、かつ少なくとも1つの係合状態と中立状態との間でシフト可能なように適合されたメインギヤボックスアセンブリと、インプットシャフトを含み、かつ第1の係合状態、第2の係合状態及び中立状態の間でシフト可能なように適合されたスプリットギヤボックスアセンブリと、カウンタシャフトと、カウンタシャフトを介してインプットシャフトからメインギヤボックスアセンブリまでのトルク経路を規定するクローラギヤを選択的に係合及び切断するように適合されたクローラギヤ係合部材を含むクローラギヤボックスアセンブリと、ギヤボックスブレーキと、を含んでいる。変速機は、中立状態にあるメインギヤボックスアセンブリ、2つの係合状態の一方にあるスプリットギヤボックスアセンブリ、及び変速機の使用中にインプットシャフトを回転させるパワーユニットと駆動接続されたインプットシャフトによって規定されたAMT中立状態に設定可能なように構成されている。
【0040】
この方法は、AMT中立状態からクローラギヤを係合させる要求を得たときに、ギヤボックスブレーキを動作させて、カウンタシャフトの回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させるステップと、第1の所定回転速度に到達したときに、ギヤボックスブレーキを解除し、スプリットギヤボックスアセンブリを中立状態に設定し、クローラギヤ係合部材によってクローラギヤを係合するステップと、を含んでいる。
【0041】
本発明の第2の態様の利点及び効果は、本発明の第1の態様の利点及び効果と大部分類似している。本発明の第1の態様のすべての実施形態は、本発明の第2の態様のすべての実施形態に適用可能であり、逆もまた同様であることにも留意されたい。
【0042】
オプションとして、この方法は、ギヤボックスブレーキを再度動作させて、カウンタシャフトの回転速度を第2の所定回転速度まで更に低下させるステップと、第2の所定回転速度に到達したとき、メインギヤボックスアセンブリを少なくとも1つの係合状態の1つに設定するステップと、を更に含んでいてもよい。
【0043】
この方法の実施形態は、本明細書に記載された変速機制御ユニットを用いて実行することが好ましい。
【0044】
このように、本開示はまた、変速機制御ユニットなどのコンピュータでプログラムが実行されたとき、本明細書に記載のいずれか1つの実施形態の方法を実行するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムに関する。また、本開示はまた、変速機制御ユニットなどのコンピュータでプログラム製品が実行されたとき、本明細書に記載の実施形態の方法を実行するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体に関する。
【0045】
本発明の第3の態様によれば、この目的は、請求項15に記載の車両によって達成される。
【0046】
従って、本発明の第1の態様の実施形態のいずれか1つに記載の自動機械式変速機を搭載した車両が提供される。
【0047】
この車両は、大型トラック、作業機械又はバスなど、任意のタイプの車両であってもよい。
【0048】
本発明のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属請求項に記載されている。
【0049】
添付の図面を参照し、以下、例として挙げられる本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の例示的な実施形態による自動機械式変速機の概要図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による車両の側面図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図面は、本発明の図式的な例示の実施形態を表し、従って、一定の比率で図示される必要はない。図示及び説明される実施形態は例示的なものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。図面中のいくつかの詳細は、本発明をより良く説明及び図示するために誇張されていることにも留意されたい。同様な参照符号は、別段の説明がない限り、説明の全体を通して同様な要素を指す。
【0052】
図1は、本発明の例示的な実施形態による自動機械式変速機(AMT)100を示している。AMT100は、図2に示される車両110などの車両に設けることができる。図2の車両110は、大型トラックである。しかしながら、AMT100は、他のタイプのトラック、作業機械及びバスなどの他の車両でも使用することができる。車両110は、AMT100に駆動接続又は接続可能であるパワーユニット120を更に含んでいる。パワーユニット120は、例えば、内燃機関、及び/又は電動モータであってもよい。AMT100は、次に、プロペラシャフト(図示せず)に駆動接続されるか、又はこれに接続可能である。プロペラシャフトは、ディファレンシャルギヤ(図示せず)を介して駆動接続された駆動輪など、車両110の1つ以上の駆動輪に駆動接続されるか、又はこれに接続可能である。
【0053】
AMT100は、メインシャフト1を含み、かつ少なくとも1つの係合状態及び中立状態の間でシフト可能なように適合されたメインギヤボックスアセンブリMGと、インプットシャフト2を含み、かつ第1の係合状態、第2の係合状態及び中立状態の間でシフト可能なように適合されたスプリットギヤボックスアセンブリSGと、カウンタシャフト3と、カウンタシャフト3を介してインプットシャフト2からメインギヤボックスアセンブリMGまでのトルク経路を規定するクローラギヤを選択的に係合及び切断するように適合されたクローラギヤ係合部材5を含むクローラギヤボックスアセンブリCGと、ギヤボックスブレーキ6と、変速機制御ユニット7と、を含んでいる。
【0054】
図示のように、AMT100はまた、例えば、図2に示すように、パワーユニット120について接続状態と切断状態との間でインプットシャフト2を駆動接続及び駆動切断するクラッチ部材4を含んでいてもよい。
【0055】
AMT100は、中立状態にあるメインギヤボックスアセンブリMG、2つの係合状態の一方にあるスプリットギヤボックスアセンブリSG、及び変速機の使用中にインプットシャフト2を回転させるパワーユニット120と駆動接続されたインプットシャフト2によって規定されたAMT中立状態に設定可能なように構成されている。図示の実施形態では、AMT100がAMT中立状態にあれば、クラッチ部材4は接続状態にある。
【0056】
変速機制御ユニット7がAMT中立状態からクローラギヤを係合させる要求を得たときに、変速機制御ユニット7は、クラッチ部材4を切断状態に切断し、ギヤボックスブレーキ6を動作させて、カウンタシャフト3の回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させ、第1の所定回転速度に到達したときに、ギヤボックスブレーキ6を解除し、スプリットギヤボックスアセンブリSGを中立状態に設定し、クローラギヤ係合部材5によってクローラギヤを係合させるように構成されている。
【0057】
図2のパワーユニット120は、内燃機関である。しかしながら、上述したように、パワーユニット120は、例えば、付加的に又は代替的に、1つ以上の電動モータであってもよい。1つ以上の電動モータを使用すると、クラッチ部材4を省くことができ、制動は、図1に示すようなギヤボックスブレーキ6の代わりに、1つ以上の電動モータを用いて行うことができる。ギヤボックスブレーキ6は、図示のように、カウンタシャフト3を制動するために、カウンタシャフト3に接続されていてもよい。
【0058】
図1に示すような変速機制御ユニット7は、ギヤボックスブレーキ6を再度動作させて、カウンタシャフト3の回転速度を第2の所定回転速度まで更に低下させ、第2の所定回転速度に到達したときに、メインギヤボックスアセンブリMGを少なくとも1つの係合状態の1つに設定するように更に構成されていてもよい。
【0059】
第1の所定回転速度は、インプットシャフト2とカウンタシャフト3との間の所定回転速度差に対応していてもよい。例えば、所定回転速度差は、60~100rpm、例えば、70~90rpmなど、40~120rpmの範囲にすることができる。
【0060】
第1の所定回転速度は、スプリットギヤボックスアセンブリSG及びクローラギヤボックスアセンブリCGの少なくとも一方のシフト動作中の遅れを考慮して設定するようにしてもよい。
【0061】
第1の所定回転速度は、変速機の潤滑油温度が変化するなど、周囲条件が変化することで発生する遅延効果の変化に関連して変化するように適合されていてもよい。従って、AMT100は、変速機の潤滑油温度を示す温度を測定するように適合された、少なくとも1つのセンサ(図示せず)を更に含んでいてもよい。少なくとも1つのセンサは、変速機制御ユニットと通信可能に接続されている。
【0062】
また、クローラギヤボックスアセンブリCGのクローラギヤは、カウンタシャフト3に対するインプットシャフト2の速度比を、2/1~5/1、例えば、実質的に3/1など、1.5/1~5/1の範囲にするように構成されていてもよい。
【0063】
図示の実施形態では、インプットシャフト2及びメインシャフト1が一直線になっており、カウンタシャフト3が、インプットシャフト2及びメインシャフト1に対して平行に配置されている。また、図示のように、AMT100は、レンジギヤ23を更に含んでいてもよい。レンジギヤ23は、図示のように、パワーユニット120からプロペラシャフトまでのAMT100のトルク経路に関連して見られるように、メインシャフト1に駆動接続され、かつメインシャフト1の下流に設けられている。レンジギヤ23は、ローレンジギヤとハイレンジギヤとの間でAMT100を選択的にシフトするように配置されている。
【0064】
スプリットギヤボックスアセンブリSGは、図示のように、インプットシャフト2に配置された第1のインプットシャフトギヤ8と、メインシャフト1に配置された第1のメインギヤ9と、2つの係合状態と中立状態との間でスプリットギヤボックスアセンブリSGをシフトするように適合されたスプリットギヤボックス係合部材10と、を含んでいてもよい。第1の係合状態では、スプリットギヤボックス係合部材10は、第1のインプットシャフトギヤ8をインプットシャフト2に回転接続する。第2の係合状態では、スプリットギヤボックス係合部材10は、第1のメインギヤ9をインプットシャフト2に回転接続する。中立状態では、スプリットギヤボックス係合部材10は、第1のインプットシャフトギヤ8及び第1のメインギヤ9のそれぞれがインプットシャフト2に対して回転自由である中立状態となる。
【0065】
メインギヤボックスアセンブリMGは、図示のように、第1のメインギヤ9をメインシャフト1に回転接続する係合状態にメインギヤボックスアセンブリMGをシフトするように適合された、第1のメインギヤボックス係合部材11を更に含んでいてもよい。
【0066】
AMT100は、図示のように、カウンタシャフト3に配置された第1及び第2のカウンタシャフトギヤ12,13を更に含んでいてもよい。第1のカウンタシャフトギヤ12は、第1のインプットシャフトギヤ8と駆動接続されるように配置されている。第2のカウンタシャフトギヤ13は、第1のメインギヤ9と駆動接続するように配置されている。図示の実施形態では、第1のカウンタシャフトギヤ12は、第1のインプットシャフトギヤ8と噛み合い係合するように配置され、第2のカウンタシャフトギヤ13は、第1のメインギヤ9と噛み合い係合するように配置されている。
【0067】
また、図示のように、第1及び第2のカウンタシャフトギヤ12,13は、カウンタシャフト3に対して回転可能に固定されて配置されていてもよい。
【0068】
クローラギヤボックスアセンブリCGは、図示のように、インプットシャフト2に配置された第1のクローラギヤ14と、カウンタシャフト3に配置された第2のクローラギヤ15と、を含んでいてもよい。第2のクローラギヤ15は、第1のクローラギヤ14と駆動接続されるように配置されている。従って、クローラギヤ係合部材5が、第2のクローラギヤ15をカウンタシャフト3に回転接続したときに、クローラギヤが係合する。図示の実施形態では、第2のクローラギヤ15が、第1のクローラギヤ14と噛み合い係合するように配置されている。
【0069】
図示のように、第1のクローラギヤ14は、インプットシャフト2と一体化されていてもよい。
【0070】
AMT100は、図示のように、カウンタシャフト3に配置された第3のカウンタシャフトギヤ16を含んでいてもよい。メインギヤボックスアセンブリMGは、メインシャフト1に配置された第2のメインギヤ17を含んでいる。第2のメインギヤ17は、第3のカウンタシャフトギヤ16に駆動接続されている。メインギヤボックスアセンブリMGは、第2のメインギヤ17がメインシャフト1に回転接続された第2のメインギヤ係合状態と、第2のメインギヤ17がメインシャフト1に対して回転自由である第2のメインギヤ切断状態と、の間でシフト可能なように配置されている。第2のメインギヤ係合状態及び切断状態は、図示のように、第1のメインギヤボックス係合部材11を用いて提供することができる。図示の実施形態では、第2のメインギヤ17は、第3のカウンタシャフトギヤ16と噛み合い係合するように配置されている。
【0071】
AMT100は、図示のように、カウンタシャフト3に配置された第4のカウンタシャフトギヤ18を含んでいてもよい。メインギヤボックスアセンブリMGは、メインシャフト1に配置された第3のメインギヤ19を含んでいる。第3のメインギヤ19は、第4のカウンタシャフトギヤ18に駆動接続されている。メインギヤボックスアセンブリMGは、第3のメインギヤ19がメインシャフト1に回転接続された第3のメインギヤ係合状態と、第3のメインギヤ19がメインシャフト1に対して回転自由である第3のメインギヤ切断状態と、の間でシフト可能なように配置されている。これらの状態は、第2のメインギヤボックス係合部材20を用いて提供されている。図示の実施形態では、第3のメインギヤ19は、第4のカウンタシャフトギヤ18と噛み合い係合するように配置されている。
【0072】
AMT100はまた、図示のように、カウンタシャフト3に配置された第5のカウンタシャフトギヤ21を含んでいてもよい。メインギヤボックスアセンブリMGは、メインシャフト1に配置された第4のメインギヤ22を含んでいる。第4のメインギヤ22が第5のカウンタシャフトギヤ21に駆動接続され、これによって、第5のカウンタシャフトギヤ21の回転が第4のメインギヤ22の逆回転になる。メインギヤボックスアセンブリMGは、第4のメインギヤ22がメインシャフト1に回転接続された第4のメインギヤ係合状態と、第4のメインギヤ22がメインシャフト1に対して回転自由である第4のメインギヤ切断状態と、の間でシフト可能なように配置されている。従って、これによって、少なくとも1つの後進ギヤが提供される。これらの状態はまた、図示のように、第2のメインギヤボックス係合部材20を用いて提供されている。
【0073】
本明細書に記載されたような係合部材5,10,11及び20は、例えば、シフトフォークに接続された円筒状に形成された部材であってもよい。シフトフォークは、変速機制御ユニット7によって制御される1つ以上のアクチュエータ(図示せず)によって動作することができる。
【0074】
図3は、本発明の実施形態による方法のフローチャートを示している。破線を有するボックスは、任意のステップであることを示している。この方法は、図1及び図2に夫々示すようなAMT100及び車両110など、車両110のAMT100のギヤシフトを行う方法である。
【0075】
この方法は、
AMT中立状態からクローラギヤを係合させる要求を得たときに、
S1)ギヤボックスブレーキ6を動作させて、カウンタシャフト3の回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させるステップと、
第1の所定回転速度に到達したときに、
S2)ギヤボックスブレーキ6を解除するステップと、
S3)スプリットギヤボックスアセンブリSGを中立状態に設定するステップと、
S4)クローラギヤ係合部材5によってクローラギヤを係合させるステップと、
を含んでいる。
【0076】
ステップS2~S4は、互いに関して、同時に、又は少なくとも実質的に同時に実行されることが好ましい。従って、これらのステップの順序は、図3に示すものと異なっていてもよい。
【0077】
代替的な実施形態において、特に図1に示すAMT100では、この方法は、
S0)クラッチ部材4を切断状態に切断するステップと、
S1)ギヤボックスブレーキを動作させて、カウンタシャフト3の回転速度を回転速度0よりも大きい第1の所定回転速度まで低下させるステップと、
第1の所定回転速度に到達したときに、
S2)ギヤボックスブレーキ6を解除するステップと、
S3)スプリットギヤボックスアセンブリSGを中立状態に設定するステップと、
S4)クローラギヤ係合部材5によってクローラギヤを係合させるステップと、
を含んでいる。
【0078】
オプションとして、この方法は、
ギヤボックスブレーキ6を再度動作させて、カウンタシャフト3の回転速度を第2の所定回転速度まで更に低下させるステップと、
第2の所定回転速度に到達したとき、メインギヤボックスアセンブリMGを少なくとも1つの係合状態の1つに設定するステップと、
を更に含んでいてもよい。
【0079】
この方法の実施形態は、図1に示すような変速機制御ユニット7を用いて実行されることが好ましい。
【0080】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、多くの変更及び修正がなされ得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
【外国語明細書】