(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061455
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】読取装置、読取方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/20 20120101AFI20230425BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230425BHJP
【FI】
G06Q20/20 300
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171347
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(71)【出願人】
【識別番号】596088141
【氏名又は名称】株式会社日本カ-ドネットワ-ク
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】杉本 隆文
(72)【発明者】
【氏名】平島 由佳子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 俊樹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L055AA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】読取装置が被読取物から決済情報をより容易に読み取る読取装置、読取方法、プログラム及びシステムを提供する。
【解決手段】読取装置10、サーバ装置20及び端末装置30が、ネットワークを介して相互に通信可能な決済システム1において、読取装置10は、決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信する通信部と視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示する提示部と通信の状態に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物の状態を提示部に提示し、決済情報の読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物の状態の提示部による提示の方法を変更する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信する通信部と、
視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示する提示部と、
前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を前記提示部により提示する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による提示の方法を変更する、読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部が前記被読取物から受信した信号に基づいて、前記決済情報の読み取りのための前記被読取物との間の通信方法を特定する、請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記提示部による前記提示は、前記被読取物を前記読み取りに最適な状態にするようにユーザを誘導するための提示を含む、請求項1又は2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記誘導は、前記被読取物の位置又は角度を変更させるための誘導を含む、請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の提示の方法の前記変更は、前記制御部が、前記提示部により提示される視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つの強度又は種類を変更することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記提示部による前記提示は、前記決済情報の前記読み取りの結果が成功であることに基づいて決済処理が実行される通常モードによる前記提示と、前記決済情報の前記読み取りの結果に関わらず決済処理が実行されないトレーニングモードによる前記提示とを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記トレーニングモードにおいて、前記読み取りが所定回数行われたことに応じて、前記トレーニングモードを終了する、請求項6に記載の読取装置。
【請求項8】
前記読み取りの結果に関する情報を外部装置に送信する送信部を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項9】
決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信部を介して通信することと、
視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示部により提示することと、
前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を制御部の制御下で前記提示部により提示すること、を含み、
前記制御部は、前記読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による提示の方法を変更する、読取方法。
【請求項10】
コンピュータに、
決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信部を介して通信することと、
視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示部により提示することと、
前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を制御部の制御下で前記提示部により提示すること、を含み、
前記制御部は、前記読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による提示の方法を変更する、読取方法を実行するためのプログラム。
【請求項11】
読取装置と、サーバ装置とを備えるシステムであって、
前記読取装置は、
決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信する通信部と、
視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示する提示部と、
前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を前記提示部により提示する制御部と、
前記読み取りの結果に関する情報を前記サーバ装置に送信する送信部と、を備え、
前記サーバ装置は、前記送信部から受信した前記読み取りの結果に関する情報を分析し、前記読み取りの結果が失敗であったときの前記被読取物の機種又はバージョン別の統計情報を含む分析情報を生成し、当該分析情報に応じた指示を前記読取装置に送信し、
前記制御部は、前記指示に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による前記提示の方法を変更する、システム。
【請求項12】
端末装置を備え、
前記サーバ装置は、前記送信部から受信した前記読み取りの結果に関する情報を分析し、前記読み取りの結果が失敗であったときの前記読取装置のユーザ別の統計情報を含むユーザ別分析情報を生成して前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記ユーザ別の統計情報に基づいて、前記決済情報の読み取りのトレーニングを促す通知を前記読取装置に送信する、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、読取方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
決済の専用端末以外の装置により、取引における決済処理を行う技術が知られている。特許文献1には、スマートフォンなどのモバイル端末を使用して取引における支払いの受領処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読取装置が決済処理に必要な決済情報をカード又はモバイル端末などの被読取物から読み取る際に、読取装置と被読取物とが適切な位置関係にない場合、読取装置は被読取物から決済情報を読み取ることができない。そのため、ユーザが被読取物を読取装置に単に近づけただけでは、決済情報が読み取られない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、読取装置が被読取物から決済情報をより容易に読み取ることに関する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る読取装置は、決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信する通信部と、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示する提示部と、前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を前記提示部により提示する制御部と、を備え、前記制御部は、前記読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による提示の方法を変更する。
【0007】
本発明の一態様に係る読取方法は、決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信部を介して通信することと、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示部により提示することと、前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を制御部の制御下で前記提示部により提示すること、を含み、
前記制御部は、前記読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による提示の方法を変更する、読取方法。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信部を介して通信することと、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示部により提示することと、前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を制御部の制御下で前記提示部により提示すること、を含み、前記制御部は、前記読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による提示の方法を変更する、読取方法を実行させる。
【0009】
本発明の一態様に係るシステムは、読取装置と、サーバ装置とを備えるシステムであって、前記読取装置は、決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信する通信部と、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示する提示部と、前記通信の状態に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態を前記提示部により提示する制御部と、前記読み取りの結果に関する情報を前記サーバ装置に送信する送信部と、を備え、前記サーバ装置は、前記送信部から受信した前記読み取りの結果に関する情報を分析し、前記読み取りの結果が失敗であったときの前記被読取物の機種又はバージョン別の統計情報を含む分析情報を生成し、当該分析情報に応じた指示を前記読取装置に送信し、前記制御部は、前記指示に基づいて、前記読み取りに最適な前記被読取物の状態の前記提示部による前記提示の方法を変更する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、読取装置が被読取物から決済情報をより容易に読み取ることに関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態における決済システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図2】一実施形態における読取装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態における読取装置による例示的な処理の概要を説明するための概念図である。
【
図4】一実施形態における決済システムによる例示的な処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図5】一実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【0013】
以下に、本発明の一実施形態における決済システムについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し、又は各実施例を組み合わせる等して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。
【0014】
[システムの構成]
図1を参照して、本実施形態における決済システムの構成の一例を説明する。決済システム1は、ユーザ間の取引において生じる決済に関する処理を実行するためのシステムである。決済システム1は、例えば、購入者(又は支払者)であるユーザが、販売者であるユーザに対する支払いのための処理を実行する。決済システム1は、読取装置10、サーバ装置20、及び端末装置30を備える。各装置は、ネットワークNを介して相互に通信可能に構成されている。
【0015】
読取装置10は、モバイル端末(例えば、スマートフォン又はタブレット)、パーソナルコンピュータ、又は決済専用端末などの情報処理装置である。読取装置10は、決済処理などの処理に必要な情報の読み取りのために被読取物Tと通信する。読取装置10は、例えば、取引における販売者により使用される。被読取物Tは、取引において商品等の購入者が決済を行うために使用する媒体又は装置である。被読取物Tは、例えば、カード又はモバイル端末などを含む。ユーザは被読取物Tを把持し、読取装置10における所定の場所(読み取り位置)に被読取物Tを近づけ、又はタッチすることにより、被読取物Tから読取装置10に情報が読み取られ、決済を行うことができる。
【0016】
サーバ装置20は、サーバコンピュータなどの情報処理装置である。サーバ装置20は、1つの情報処理装置(又はコンピュータ。以下同様。)によって構成されてもよいし、クラウドコンピューティング技術又は分散コンピューティング技術等を使用して複数の情報処理装置によって構成されてもよい。サーバ装置20は、ユーザ間の取引において生じる決済に関する処理を実行する。
【0017】
端末装置30は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。端末装置30は、読取装置10の管理者又は提供者等により使用される。
【0018】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークNには、例えば、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)など、任意のネットワークが含まれる。
【0019】
図1に示す例において、決済システム1は、読取装置、サーバ装置、及び端末装置をそれぞれ1つ含んで構成されているが、決済システム1に含まれる装置の数はこれに限定されない。決済システム1は、読取装置、サーバ装置、及び端末装置をそれぞれ複数含んでもよい。なお、以降の説明において、読取装置10の処理として記載されている処理の少なくとも一部がサーバ装置20又は端末装置30により実行されてもよいし、サーバ装置の処理として記載されている処理の少なくとも一部が読取装置10又は端末装置30により実行されてもよいし、端末装置30の処理として記載されている処理が読取装置10又はサーバ装置20により実行されてもよい。
【0020】
[機能構成]
図2を参照して、読取装置10が有する機能構成を説明する。読取装置10は、主な機能構成として、通信部11、提示部12及び制御部13を有する。読取装置10は、一般的な情報処理装置又は決済専用端末などの情報処理装置が有する他の機能構成を有してもよい。読取装置10が有する機能構成は、例えば、読取装置10が有するCPU(Central Processing Unit)などの制御装置が、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み実行することによって、コンピュータプログラム(ソフトウェア)とハードウェアの協働により実現される。
【0021】
読取装置10において、例えば、通信部11は、決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物Tと通信するように構成され、提示部12は、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示するように構成されている。制御部13は、上記通信の状態に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態を提示部12に提示する。さらに、制御部13は、決済情報の読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示部12による提示の方法を変更する。決済情報は、決済処理に必要な情報として、例えば、ユーザの識別情報、決済に使用されるアカウントの識別情報、又はアカウントの残高情報等を含む。
【0022】
なお、読取装置10は、決済処理に必要な情報である決済情報以外の情報を読み取ってもよい。この場合において、本実施形態における決済情報の読み取りの処理に代えて、又は決済情報の読み取りの処理に加えて、決済情報以外の情報の読み取り処理が実行される。
【0023】
一般に、読取装置が決済処理に必要な決済情報をカード又はモバイル端末などの被読取物から読み取る際に、読取装置と被読取物とが適切な位置関係にない場合、読取装置は被読取物から決済情報を読み取ることができない。そのため、ユーザが被読取物を読取装置に単に近づけただけでは、決済情報が読み取られない場合がある。これに対し、本実施形態によれば、制御部13は、被読取物Tとの間の通信の状態に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態を提示部12に提示する。これにより、読取装置10又は被読取物Tのユーザが、読取装置10又は被読取物Tの位置、向き、又は角度などの状態を変更させ、双方が適切な位置関係になるように、ユーザを誘導又はガイドすることができる。その結果、読取装置10が被読取物Tから決済情報をより容易に読み取ることができる。
【0024】
さらに、制御部13は、決済情報の読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示部12による提示の方法を変更する。その結果、読取装置10及び被読取物Tが適切な位置関係になるように、より効果的にユーザを誘導又はガイドすることができる。
【0025】
以下に、読取装置10が有する通信部11、提示部12及び制御部13のそれぞれについて、さらに詳しく説明する。
【0026】
通信部11は、外部装置と各種の通信を行う。通信部11は、例えば、ネットワークNを介したサーバ装置20及び端末装置30との通信、並びに無線による被読取物Tとの通信を行う。通信部11と被読取物Tとの間の通信は、例えば、NFC(Near Field Communication)若しくはBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信、又はWi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)等を含む。
【0027】
例えば、被読取物Tには、決済処理に必要な決済情報が記憶されており、通信部11は、当該決済情報の読み取りのために被読取物Tと通信する。
【0028】
また、通信部11は、サーバ装置20などの外部装置に、決済情報の読み取りの結果に関する情報を送信する送信部として機能してもよい。読み取りの結果に関する情報は、読み取りの成功若しくは失敗を示す情報、読み取り失敗の原因を示す情報、被読取物Tの種類及びバージョンの情報、又は読み取りに要した時間情報を含む。読み取り失敗の原因は、例えば、読取装置10及び被読取物Tの位置関係が適切ではない、読取装置10の規格が決済の対象外である、その他を含む。被読取物Tの種類及びバージョンの情報は、例えば、被読取物Tが装置である場合の機種、被読取物Tにインストールされているソフトウェアのバージョン、及び被読取物Tがカードなどの媒体である場合の媒体の種類を含む。読み取りに要した時間情報は、例えば、ユーザ操作に応じて読取装置10が被読取物Tから決済情報を読み取り可能な状態になったときから、実際に決済情報が読み取られるまでの時間の情報であってもよい。
【0029】
提示部12は、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示する。提示部12は、ライト、ディスプレイ、スピーカ、若しくはアクチュエータ(例えばモータ)のいずれか、又はこれらの組合せにより構成される。
【0030】
提示部12による提示は、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つにより、被読取物Tを決済情報の読み取りに最適な状態にするようにユーザを誘導するための情報の提示を含む。被読取物Tの状態は、読取装置10(又は通信部11)に対する被読取物の位置又は角度を含む。従って、提示部12による被読取物Tを決済情報の読み取りに最適な状態にするためのユーザの誘導は、被読取物Tの位置又は角度を変更させるための誘導を含む。
【0031】
図3を参照して、提示部12による決済情報の読み取りに最適な状態にするためのユーザの誘導方法の例を説明する。
図3には、読取装置10の外観の一例が概念的に示されている。この例において、読取装置10の表示部には、画像101及び画像102が表示されている。画像101は、表示部において、被読取物Tの現在の位置に対応する位置に示されている。画像102は、表示部における、決済情報の読み取りに最適な読取装置10の位置に対応する位置を示している。被読取物Tの現在の位置は、例えば、通信部11と被読取物Tとの間の通信の状態に応じて特定される。通信の状態は、例えば、通信部11が受信した電波の強度、磁結合の有無、又は通信の確立の有無を含む。被読取物Tの現在の位置の特定方法は、他の任意の方法が採用されてよい。
【0032】
読取装置10の表示部における画像101の表示位置は、読取装置10又は被読取物Tを把持するユーザが読取装置10又は被読取物Tを移動させることに応じて移動する。ユーザは、画像101及び画像102の表示を確認することにより、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの位置などの状態を把握し、当該最適な状態にするためにユーザが読取装置10又は被読取物Tの状態をどのように変更させるべきかを把握することができる。
【0033】
また、読取装置10の表示部には、被読取物Tを決済情報の読み取りに最適な状態にするようにユーザを誘導するためのメッセージとして、「左下にずらしてください。」と表示されている。さらに、
図3には、読取装置10は、被読取物Tを決済情報の読み取りに最適な状態にするようにユーザを誘導するための音声として、「左下にずらしてください。」というメッセージを電子音や音楽等と共に出力されていることが示されている。
【0034】
読取装置10は、被読取物Tを決済情報の読み取りに最適な状態にするようにユーザを誘導するために、読取装置10が備えるアクチュエータを介して、振動などの触覚を提示してもよい。例えば、被読取物Tの状態が最適な状態に近づく程、振動強度を強く、又は振動の周波数を短くするように、触覚を変化させてもよい。また、被読取物Tの状態が最適な状態に近づくに従って、読取装置10が提示する色を変化(例えば、青から赤に変化)させたり、出力する音を変化(例えば、小さい音から大きい音に変化)させたりしてもよい。
【0035】
図2の説明に戻り、制御部13は、読取装置10が有する各構成による処理及び動作を制御する。制御部13は、例えば、通信部11と被読取物Tとの間の通信の現在の状態を特定し、特定された状態に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態を提示するように提示部12を制御する。決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示の方法は、前述のとおりである。
【0036】
また、制御部13は、通信部11が被読取物Tから受信した信号又は電波などの物理量に基づいて、決済情報の読み取りのための被読取物Tとの間の通信方法を特定する。例えば、制御部13は、通信部11が被読取物Tから受信した信号に基づいて、被読取物Tとの間で通信可能な方法がNFC、Bluetooth、又はWi-Fiのいずれであるかを特定する。制御部13は、特定された通信方法に基づいて、被読取物Tとの間で通信を行うように通信部11を制御する。なお、制御部13は、ユーザによる通信方法の選択操作など、読取装置10に対する操作入力に基づいて、被読取物Tとの間の通信方法を選択してもよい。この場合において、ユーザにより通信方法の選択が可能なように、被読取物Tの表示部に選択可能な通信方法の一覧が表示されてもよい。
【0037】
また、制御部13は、決済情報の読み取りの結果に関する情報の分析結果に基づいて、当該読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示部12による提示の方法を変更する。読み取りの結果に関する情報は、前述のとおり、読み取りの成功若しくは失敗を示す情報、読み取り失敗の原因を示す情報、被読取物Tの種類及びバージョンの情報、又は読み取りに要した時間情報を含む。読み取り失敗の原因は、例えば、読取装置10及び被読取物Tの位置関係が適切ではない、読取装置10の規格が決済の対象外である、その他を含む。被読取物Tの種類及びバージョンの情報は、例えば、被読取物Tが装置である場合の機種、被読取物Tにインストールされているソフトウェアのバージョン、及び被読取物Tがカードなどの媒体である場合の媒体の種類を含む。読み取りに要した時間情報は、例えば、ユーザ操作に応じて読取装置10が被読取物Tから決済情報を読み取り可能な状態になったときから、実際に決済情報が読み取られるまでの時間の情報であってもよい。
【0038】
決済情報の読み取りの結果に関する情報の分析のために、例えば、読取装置10からサーバ装置20に決済情報の読み取りの結果に関する情報が送信され、サーバ装置20において当該情報の分析が行われる。当該分析は、読取装置10において行われてもよい。決済情報の読み取りの結果に関する情報の分析は、例えば、複数回の決済情報の読み取りの結果を分析し、当該読み取りの結果の統計情報を生成することを含んでもよい。当該統計情報は、例えば、ユーザ別、被読取物Tの種類別、被読取物Tのバージョン別、又は読み取り失敗の原因別の読み取り結果についての統計情報を含む。
【0039】
また、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示方法の上記の変更は、制御部13が提示部12により提示される視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つの強度又は種類を変更するように制御することを含む。例えば、制御部13は、決済情報の読み取りの結果に関する情報の分析結果が読み取りの失敗が所定の閾値よりも多いことを示す場合、又は読み取りに要した時間が所定の閾値よりも長い場合、より強い視覚、聴覚、又は触覚に基づく感覚をユーザに提示するように提示部12を制御する。より強い視覚、聴覚、又は触覚に基づく感覚の提示は、例えば、より明るい若しくは大きな画像を表示すること、より大きな音声を出力すること、又はより強い振動を出力することを含む。
【0040】
また、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示方法の上記の変更は、上記分析結果において読み取りの成功率が所定の閾値以下であることを示す機種又はバージョンの被読取物Tから決済情報を読み込むための提示部12による上記の提示の方法を変更することを含む。当該所定の閾値は、例えば、60%から80%に設定されてもよい。上記提示の方法の変更の判断のために、被読取物Tの機種又はバージョンの情報は、被読取物Tから読取装置10に送信される。
【0041】
決済情報の読み取りに最適な状態にするようにユーザを誘導するための提示部12による上記の提示は、制御部13による制御下、決済情報の読み取りの結果が成功であることに基づいて決済処理が実行される通常モードによる提示と、決済情報の読み取りの結果に関わらず決済処理が実行されないトレーニングモードによる提示とを含む。ユーザによる読取装置10に対する操作により、通常モードとトレーニングモードとを切り替えることが可能である。
【0042】
トレーニングモードは、ユーザが読取装置10により被読取物Tから決済情報を読み取る操作を練習するためのモードである。例えば、トレーニングモードにおいて、ユーザが被読取物Tを把持し、読取装置10における読み取り位置に被読取物Tを近づけ、又はタッチすることにより、被読取物Tから読取装置10に決済情報が読み取られた場合、制御部13は、読み取りが成功したことを提示するように提示部12を制御する。また、制御部13は、トレーニングモードにおいて、ユーザにより読み取りが所定回数行われたことに応じて、トレーニングモードを終了するように制御する。トレーニングモードの終了は、読み取りの成否に関わらず読み取りの操作が所定回数行われたときでもよいし、読み取りの成功(又は、所定時間内での読み取りの成功)が所定回数に達したとき、又は成功率(又は、所定時間内での読み取りの成功率)が所定の閾値を超えたときでもよい。トレーニングモードを終了したときに、通常モードがアクティベートされるようにしてもよい。
【0043】
[処理フロー]
図4を参照して決済システム1による処理フローの概要を説明する。上記で既に説明した処理については、説明を簡略化又は省略する。以下に説明する各処理ステップは、例えば、読取装置10、サーバ装置20、及び端末装置30が有する制御装置が、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み実行することによって、コンピュータプログラム(ソフトウェア)とハードウェアの協働により実現される。
図4に示す処理は、ユーザが被読取物Tを把持し、読取装置10における読み取り位置に被読取物Tを近づけたときに開始する。
【0044】
まず、ステップS11において、読取装置10は、読取装置10の通信部11と、被読取物Tとの間の通信の状態に基づいて、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態を提示部12に提示する。当該提示により、読取装置10は、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚の提示により、被読取物Tを決済情報の読み取りに最適な状態にするようにユーザを誘導することが可能である。
【0045】
ステップS12において、読取装置10及び被読取物Tの位置関係が適切な状態になったことに応じて、読取装置10は、被読取物Tから決済情報を読み取る。
【0046】
ステップS13において、読取装置10は、ステップS12における読み取りの結果に関する情報(読取結果情報)をサーバ装置20へ送信する。結果情報は、ステップS12における読み取りが成功した場合、読み取られた決済情報、及び読み取りに要した時間情報を含み、読み取りが失敗した場合、失敗を示す情報及び失敗の原因情報を含む。また、読取結果情報は、読取装置10のユーザの識別情報、並びに被読取物Tの種類及びバージョン(被読取物Tにインストールされているソフトウェアのバージョン)の情報を含む。
【0047】
ステップS14において、サーバ装置20は、読取装置10から受信した読取結果情報を分析し、分析結果として読み取り結果の統計情報を生成する。当該統計情報は、読み取りの結果が失敗であったとき又は成功であったときの被読取物Tの機種別、被読取物Tのバージョン別、又は読取装置10のユーザ別の統計情報の統計情報を含む。
【0048】
ステップS15において、サーバ装置20は、ステップS14で生成された分析結果に応じて、決済情報の読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示方法の変更の指示を読取装置10に送信する。
【0049】
ステップS16において、読取装置10は、サーバ装置20から受信した指示に基づいて、読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示部12による上記の提示の方法を変更する。当該変更は、提示部12により提示される視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つの強度又は種類を変更することを含む。当該変更は、上記分析結果において読み取りの成功率が所定の閾値以下であることを示す機種又はバージョンの被読取物Tから決済情報を読み込むための提示部12による上記の提示の方法を変更することを含む。当該所定の閾値は、例えば、60%から80%に設定されてもよい。
【0050】
ステップS17において、サーバ装置20は、ステップS14で生成された分析結果を端末装置30に送信する。端末装置30に送信される分析結果は、決済情報の読み取りの結果が失敗であったとき又は成功であったときの読取装置10のユーザ別の統計情報を含む。端末装置30のユーザは、端末装置30が受信した分析結果を端末装置30の表示部に表示し閲覧することが可能である。
【0051】
ステップS18において、端末装置30は、ステップS17でサーバ装置20から受信したユーザ別の統計情報に基づいて、決済情報の読み取りのトレーニングを促す通知を読取装置10に送信する。例えば、ユーザ別の統計情報において、読み取りの成功率(又は、所定時間内での読み取りの成功率)が所定の閾値以下であるユーザが使用する読取装置10に対してのみ、トレーニングを促す通知が送信される。当該所定の閾値は、例えば、60%から80%に設定されてもよい。当該通知の送信は、端末装置30のユーザによる端末装置30に対する操作入力に応じて行われてもよい。
【0052】
ステップS18で送信された通知を受信した読取装置10のユーザは、当該通知を確認し、上記トレーニングモードにより、被読取物Tから決済情報を読取装置10で読み取る操作を練習する。
【0053】
以上のように本実施形態によれば、読取装置10は、決済処理に必要な決済情報の読み取りのために被読取物と通信する通信部11と、視覚、聴覚、又は触覚のうち少なくともいずれか一つに基づく感覚を提示する提示部12と、上記通信の状態に基づいて、読み取りに最適な被読取物Tの状態を提示部12により提示する制御部13とを備える。通信部11はさらに、上記の読み取りの結果に関する情報をサーバ装置20に送信する。サーバ装置20は、読取装置10から受信した読み取りの結果に関する情報を分析し、当該読み取りの結果が失敗であったときの被読取物Tの機種又はバージョン別の統計情報を含む分析情報を生成し、当該分析情報に応じた指示を読取装置10に送信する。を読取装置10は、受信した上記指示に基づいて、上記読み取りに最適な被読取物Tの状態の提示部12による上記提示の方法を変更する。
【0054】
本実施形態における決済システム1は上記のような構成を有することにより、読取装置10又は被読取物Tのユーザが、読取装置10又は被読取物Tの位置、向き、又は角度などの状態を変更させ、双方が適切な位置関係になるように、ユーザを誘導又はガイドすることができる。その結果、読取装置10が被読取物Tから決済情報をより容易に読み取ることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、サーバ装置20は、読取装置10から受信した上記の読み取りの結果に関する情報を分析し、読み取りの結果が失敗であったときの読取装置10のユーザ別の統計情報を含むユーザ別分析情報を生成して端末装置30に送信する。端末装置30は、上記ユーザ別の統計情報に基づいて、決済情報の読み取りのトレーニングを促す通知を対応する読取装置10に送信する。
【0056】
[ハードウェア構成]
図5を参照して、読取装置10、サーバ装置20、又は端末装置30をコンピュータ800により実現する場合における、コンピュータ800のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0057】
図5に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、及び表示装置813を含む。コンピュータ800は、図示しないが、各種アクチュエータ(例えば、モータ)、又は各種センサを含んでもよい。
【0058】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における各種の処理を制御する制御部である。
【0059】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0060】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0061】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0062】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0063】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0064】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0065】
[変形例]
本実施形態における決済システム1(または、読取装置10、サーバ装置20、又は端末装置30)を実装するためのプログラムは、CD-ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0066】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 決済システム
10 読取装置
20 サーバ装置
30 端末装置
N ネットワーク