(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061461
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】物品整列装置及びこれを備えた組合せ秤
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20230425BHJP
B65G 65/48 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G01G19/387 E
B65G65/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171354
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】本郷 栄助
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075AA03
3F075BA05
3F075BA07
3F075CC07
3F075CD01
(57)【要約】
【課題】塊になり易い物品であっても好適に整列させることができる物品整列装置及びこれを備えた組合せ秤を提供する。
【解決手段】ヘッド側及びロッド側の両エアポートPa,Pbへ同時にエアを供給することで往復進退作動する振動シリンダ22によって、物品を収容するホッパ11を高速に水平振動させることで、塊になり易い物品であっても、物品に衝撃を加えて物品の分離を促進して円滑に整列させ、往復進退作動を停止したときには、強制復帰機構Aによってピストンロッド23を強制移動させて、ホッパ11を原点位置Gに戻すようにしている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端開口から物品が供給され、下端開口がシャッタによって開閉される筒状のホッパと、前記ホッパを連結したピストンロッドを有する振動シリンダと、前記ピストンロッドを外部から強制的に押圧移動させて、前記ホッパを原点位置に復帰させる強制復帰機構とを備え、
前記振動シリンダは、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで往復進退作動するものであり、
前記原点位置は、前記シャッタを閉止して前記上端開口から供給される前記物品を受入れる位置であって、かつ、前記振動シリンダの前記往復進退作動後に、前記シャッタを開放して前記下端開口から前記物品を排出する位置である、
ことを特徴とする物品整列装置。
【請求項2】
前記強制復帰機構は、前記振動シリンダの前記両エアポートの一方のエアポートのみにエアを供給している状態で、前記ホッパを、前記原点位置に復帰させる、
請求項1に記載の物品整列装置。
【請求項3】
前記一方のエアポートが、ロッド側のエアポートである、
請求項2に記載の物品整列装置。
【請求項4】
前記振動シリンダは、設定時間に亘って前記往復進退作動するものであり、
前記強制復帰機構は、前記振動シリンダの前記設定時間に亘る前記往復進退作動の終了の度に、前記ホッパを、前記原点位置に復帰させる、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の物品整列装置。
【請求項5】
前記強制復帰機構は、単動型のエアシリンダを備える、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の物品整列装置。
【請求項6】
ガイド軸が挿通する案内ブロックを備え、
前記ガイド軸の一方側の端部に、前記振動シリンダの前記ピストンロッドが連結され、
前記ガイド軸の他方側の端部に、前記ホッパが支持され、
前記強制復帰機構の前記エアシリンダが、前記案内ブロックに組み込まれている、
請求項5に記載の物品整列装置。
【請求項7】
供給された物品を放射状に分散搬送する分散フィーダと、分散搬送された前記物品を外方に向けて搬送する複数のリニアフィーダと、各リニアフィーダによって搬送された前記物品を保持して排出する複数の供給ホッパと、各供給ホッパから排出される物品の重量を計量する複数の計量ホッパと、前記計量ホッパから排出される前記物品を集合させて排出する集合シュートと、前記集合シュートを介して前記物品が供給される集合ホッパとを備える組合せ秤であって、
前記請求項1ないし6のいずれか一項に記載の前記物品整列装置を備え、前記集合ホッパが、前記物品整列装置の前記ホッパである、
ことを特徴とする組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い物品などを整列させるのに好適な物品整列装置、及び、これを備えた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
細長い物品を整列させる装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、ロート状の集合シュートで集められて流下した細長い物品を、下端がシャッタで開閉可能なガイド筒と、その上方に配備した揺動ガイド筒とに亘って縦向き姿勢で収容し、揺動ガイド筒を、モータによってクランク式の揺動機構で揺動作動させて、縦向き姿勢で収容した物品を整列させるようにした組合せ計量機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のようなモータを駆動源とするクランク式の揺動機構では、物品の性状等によって、特に、多少粘着性を有し、塊まりになり易いような細長い物品では、複数の細長い物品同士が不揃いな姿勢のまま塊となり、揺動作動によっても分離できず、整列が不十分となる場合がある。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、塊になり易いような物品であっても好適に整列させることができる物品整列装置及びこれを備えた組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0007】
(1)本発明の物品整列装置は、上端開口から物品が供給され、下端開口がシャッタによって開閉される筒状のホッパと、前記ホッパを連結したピストンロッドを有する振動シリンダと、前記ピストンロッドを外部から強制的に押圧移動させて、前記ホッパを原点位置に復帰させる強制復帰機構とを備え、
前記振動シリンダは、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで往復進退作動するものであり、前記原点位置は、前記シャッタを閉止して前記上端開口から供給される前記物品を受入れる位置であって、かつ、前記振動シリンダの前記往復進退作動後に、前記シャッタを開放して前記下端開口から前記物品を排出する位置である。
【0008】
本発明の物品整列装置によると、物品を筒状のホッパに収容保持し、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで高速に往復進退作動する振動シリンダによって、ホッパを高速に水平振動させることができ、この高速な水平振動に伴う衝撃を物品に加えて、塊になり易いような物品であっても、その分離を促進して円滑に整列させることができる。
【0009】
また、高速な往復進退作動を停止した前記振動シリンダは、その特性上、ピストンロッドの停止位置が不定となるのであるが、強制復帰機構によって外部からの押圧によってホッパを原点位置に強制移動させるので、高速な往復進退作動によって整列処理した物品を原点位置において排出し、かつ、後続の物品を原点位置において受け入れることができる。
【0010】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記強制復帰機構は、前記振動シリンダの前記両エアポートの一方のエアポートのみにエアを供給している状態で、前記ホッパを、前記原点位置に復帰させる。
【0011】
この実施態様によると、振動シリンダのロッド側及びヘッド側の両エアポートにエアの供給を行って、往復進退作動によって物品を整列させた後、エアの供給を断つことで振動シリンダの往復進退作動を停止させることができる。
【0012】
この場合、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへのエアの供給を停止することによっても、振動シリンダの往復進退作動を停止させることができるのであるが、一方のエアポートへのエアの供給を維持しながら、他方のエアポートへのエアの供給を遮断すると、ピストンロッドを停止させることができる。このように一方のエアポートのみにエアを供給してピストンロッドを停止させた状態で、強制復帰機構によって、ピストンロッドを強制的に押圧移動させて、ホッパを原点位置へ速やかに復帰させることができる。
【0013】
(3)本発明の他の実施態様では、前記一方のエアポートが、ロッド側のエアポートである。
【0014】
この実施態様によると、振動シリンダのロッド側のエアポートのみにエアを供給することで、ピストンロッドをヘッド側へ移動させて振動シリンダを停止させることができる。したがって、ピストンロッドがヘッド側にある時のホッパの位置を原点位置に設定しておくことで、ロッド側のエアポートのみにエアを供給して、振動シリンダを停止させた時に、強制復帰機構によって、ヘッド側にあるピストンロッドを強制的に押圧移動させて、ホッパをヘッド側の原点位置へ速やかに復帰させることができる。
【0015】
(4)本発明の一実施態様では、前記振動シリンダは、設定時間に亘って前記往復進退作動するものであり、前記強制復帰機構は、前記振動シリンダの前記設定時間に亘る前記往復進退作動の終了の度に、前記ホッパを、前記原点位置に復帰させる。
【0016】
この実施態様によると、設定時間に亘る振動シリンダの往復進退作動によって、物品の整列処理が完了する度に、原点位置で物品の排出、及び、後続の物品の受け入れを的確に行うことができる。
【0017】
(5)本発明の他の実施態様では、前記強制復帰機構は、単動型のエアシリンダを備える。
【0018】
この実施態様によると、電動モータなどを用いる場合に比べて、単純な構成で大きい押圧力を得やすく、確実な強制復帰操作を実現することができる。
【0019】
(6)本発明の更に他の実施態様では、ガイド軸が挿通する案内ブロックを備え、前記ガイド軸の一方側の端部に、前記振動シリンダの前記ピストンロッドが連結され、前記ガイド軸の他方側の端部に、前記ホッパが支持され、前記強制復帰機構の前記エアシリンダが、前記案内ブロックに組み込まれている。
【0020】
この実施態様によると、ホッパを水平に案内移動させるためのガイド軸が挿通する案内ブロックを、強制復帰機構のエアシリンダのケーシングに利用して、強制復帰機構をコンパクトに構成することができる。
【0021】
(7)本発明の組合せ秤は、供給された物品を放射状に分散搬送する分散フィーダと、分散搬送された前記物品を外方に向けて搬送する複数のリニアフィーダと、各リニアフィーダによって搬送された前記物品を保持して排出する複数の供給ホッパと、各供給ホッパから排出される物品の重量を計量する複数の計量ホッパと、前記計量ホッパから排出される前記物品を集合させて排出する集合シュートと、前記集合シュートを介して前記物品が供給される集合ホッパとを備える組合せ秤であって、
上記(1)ないし(6)のいずれかの前記物品整列装置を備え、前記集合ホッパが、前記物品整列装置の前記ホッパである。
【0022】
本発明の組合せ秤によると、組合せ秤の集合ホッパを高速に水平振動させることで、集合ホッパに収容された物品に衝撃を加えて、塊になり易いような物品であっても、その分離を促進して円滑に整列させると共に、原点位置での物品の排出及び物品の受け入れを行うことができる。しかも、水平振動のみで上下の揺動等を伴なうことなく、物品を整列させるので、計量ホッパにおける計量への悪影響を抑制することができる。したがって、計量精度を低下させることなく、物品の整列排出を的確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本発明に係る物品整列装置よれば、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで高速に往復進退作動する振動シリンダによって、ホッパを高速に水平振動させることで、ホッパに収容された物品に衝撃を加えて、塊になり易いような物品であっても、その分離を促進して円滑に整列させることができ、原点位置での物品の排出及び物品の受け入れを的確に行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る組合せ秤によれば、計量精度を低下させることなく、物品を的確に整列させて排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の全体斜視図である。
【
図3】
図3は開放状態にあるシャッタ機構の斜視図である。
【
図4】
図4は閉止状態にあるシャッタ機構の平面図である。
【
図5】
図5は集合ホッパが原点位置にある物品整列装置の斜視図である。
【
図6】
図6は集合ホッパが進出位置にある物品整列装置の斜視図である。
【
図7】
図7は集合ホッパが原点位置に強制復帰された物品整列装置の縦断側面図である。
【
図8】
図8は集合ホッパが進出位置にある物品整列装置の要部横断平面図である。
【
図9】
図9は往復進退作動が停止された物品整列装置の要部横断平面図である。
【
図10】
図10は強制復帰機構が作動した物品整列装置の要部横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の全体斜視図であり、
図2は、その正面図である。
【0028】
この実施形態の組合せ秤は、主として、細長い物品、例えば、ジャーキーなどの物品を、所定重量になるよう計量して包装機に投入し、袋詰めする計量包装ラインなどに利用される。
【0029】
この組合せ秤は、中央部が大きく上下に貫通開口された中空構造の基台1が、床面Fに設置され、この基台1の上方に中空のセンター基体2が複数の脚部3を介して支持されている。
【0030】
センター基体2の上部中央には、図示されていない供給コンベヤから落下供給された物品を振動によって放射状に分散搬送する分散フィーダ4が装備されると共に、この分散フィーダ4の周囲に、分散搬送された物品を振動によって外方に向けて直進搬送する多数台のリニアフィーダ5が放射状に設けられている。更に、センター基体2の外周壁部に、各リニアフィーダ5からの物品を一旦貯留して排出する多数台の供給ホッパ6と、各供給ホッパ6から排出された物品を計量する多数台の計量ホッパ7とが装備されている。
【0031】
これらリニアフィーダ5、供給ホッパ6、計量ホッパ7を一連とする多数連の計量ユニットによって物品の組合せ計量及び排出が行われる。
【0032】
各計量ホッパ7の下方には、所定重量範囲となるように組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパ7から排出された物品を滑落案内する樋状の集合シュート8が配備される。この集合シュート8の下端部には、集合シュート8から滑落してきた物品をセンター基体2の中心下方に集める円形漏斗状の集合ファネル9、10が配備され、更に、集合ファネル9、10の下方に、集合ファネル9で集められた所定重量範囲の物品を一旦受け止め貯留する集合ホッパ11が配置されている。
【0033】
集合ホッパ11は、本実施形態に係る物品整列装置20の一部を構成するものであって、物品を縦向き姿勢で収容できるよう縦向き円筒状に構成されており、その下端開口が水平回動式のシャッタ機構12で開閉されるようになっている。シャッタ機構12は、物品整列装置20によって、後述のようにして集合ホッパ11に収容された物品の整列処理がなされた後に、下方に設置された図示されていない包装機からの排出要求指令に基づいて開放され、整列した物品を包装機へ排出投入する。
【0034】
基台1の下方には、前後左右の四隅に縦枠を配した吊下げフレーム13が連結されており、この吊下げフレーム13の下部に連結された水平支持枠14に、シャッタ機構12を備えたシャッタケース15が連結されている。水平支持枠14の外端部に、集合ホッパ11を水平に高速で振動させて、集合ホッパ11内に縦向き姿勢で収容した物品を整列させる上記の物品整列装置20が装着されている。
【0035】
図3は、開放状態にあるシャッタ機構12の斜視図であり、
図4は、閉止状態にあるシャッタ機構12の平面図である。
【0036】
水平支持枠14に連結されるシャッタケース15の中心部には、集合ホッパ11より少し直径が大きい円形の物品排出口16が上下に貫通して形成されている。シャッタケース15の上面には、シャッタを構成する3枚のシャッタ板17が縦向き支点a周りに同じ水平レベルで水平回動可能に配備されている。各シャッタ板17は、シャッタケース15内においてリンク機構18を介してエアシリンダ19に連動連結されている。エアシリンダ19が伸長作動することで、各シャッタ板17が互いに内向きに接近回動して、突合せ接合されたシャッタ板17によって平面視円形の物品排出口16が水平に閉止される。逆に、エアシリンダ19が短縮作動することで、各シャッタ板17が外向きに離間回動して、物品排出口16が開放される。
【0037】
集合ホッパ11に供給された物品を整列させる物品整列装置20の詳細な構造が、
図5、
図6の斜視図及び
図7の縦断側面図に示されている。
【0038】
物品整列装置20は、ベース板21に搭載した振動シリンダ22のピストンロッド23を高速で進退作動させることで、ピストンロッド23に連結した前記集合ホッパ11を所定ストロークで水平に高速で振動させるようになっている。ベース板21は、吊下げフレーム13の下部に連結された水平支持枠14に固着したブラケット24に脱着可能に連結支持されている。
【0039】
なお、以下の説明において、ピストンロッド23が進出する方向を前方、その逆方向を後方、また、この前後方向と直交する水平方向を左右方向と呼称する。
【0040】
この実施形態では、前記振動シリンダ22として、日精工機株式会社製の「サイクルシリンダ」が使用されている。この振動シリンダ22は、ピストンロッド23を進出作動させる後方のヘッド側エアポートPaと、ピストンロッド23を後退作動させる前方のロッド側エアポートPbとが備えられている。振動シリンダ22は、これらヘッド側及びロッド側の両エアポートPa、Pbに同時にエアの供給を行うことで、ピストンロッド23が所定のストロークをもって高速で往復進退作動するように構成されている。
【0041】
この振動シリンダ22は、ストローク(振幅)が、例えば、30mm~50mm程度であるのが好ましく、この実施形態では、例えば、50mmであり、往復で100mmである。この1往復を、例えば、0.2秒程度の高速で行う。この振動シリンダ22のピストンロッド23の最高速度は、約500mm/sec~約1000mm/secであるのが好ましい。この振動シリンダ22は、停止から最高速度に達するまでの加速時間、及び、最高速度から停止までの減速時間が短く、例えば、20msec以下である。
【0042】
このように振動シリンダ22のピストンロッド23は、高速で往復進退作動するので、このピストンロッド23に連結された集合ホッパ11に収容された物品は、高速な水平振動によって、円滑に整列する。更に、多少粘着性を有して塊になり易いような物品であっても、高速な水平振動に伴なう衝撃によって、物品の分離が促進されて、姿勢が揃えられて円滑に整列する。
【0043】
この振動シリンダ22は、設定時間に亘って高速に往復進退作動されるものであり、この設定時間で、集合ホッパ11に収容された物品を整列させる。
【0044】
この設定時間は、物品の性状や集合ホッパ11に収容される物品の重量等に応じて設定することができ、タイマ等によって制御するのが好ましい。
【0045】
ベース板21の前部には、直方体状の案内ブロック25が搭載連結されており、この案内ブロック25に左右一対のガイド軸26が、前後水平にスライド移動可能に挿通されている。両ガイド軸26の後端同士が、連結部材27で一体連結されると共に、連結部材27が、振動シリンダ22におけるピストンロッド23の前方突出部位に連結されている。
【0046】
ピストンロッド23は、連結部材27の左右中央部位に挿通され、
図7に示すように、ピストンロッド23に外嵌した前後のカラー28で連結部材27を挟持して前後に位置決めした上で、ピストンロッド23の前部ネジ部23aに装着した一対のナット29が締め込まれている。このようにして、ガイド軸26が、連結部材27を介してピストンロッド23に一体連結されている。
【0047】
ガイド軸26の前端部には、レバー操作可能な取付け金具30が装備され、この取付け金具30を介して集合ホッパ11が、縦向き姿勢で脱着可能に位置決め支持されている。
【0048】
以上のように、この実施形態の物品整列装置20では、振動シリンダ22のヘッド側及びロッド側の両エアポートPa、Pbに同時にエアの供給を行うことによって、設定時間に亘ってピストンロッド23を高速で往復進退作動させ、ピストンロッド23に連結した集合ホッパ11を前後水平に高速振動させる。これによって、縦向き姿勢で集合ホッパ11に収容した細長い物品を円滑に整列させることができる。更に、くっついて塊になり易いような物品であっても、高速な水平振動に伴なう衝撃によって、物品の分離を促進して円滑に整列させることができる。
【0049】
振動シリンダ22は、上記のようにヘッド側とロッド側の両エアポートPa、Pbに同時にエアの供給を行うことで、ピストンロッド23を高速で往復進退作動させることができる。しかし、エアの供給を止めて振動シリンダ22を作動停止させた場合、ピストンロッド23の停止位置は安定せず、一定位置で停止させたい対象物を振動駆動するには支障がある。
【0050】
この実施形態のように、振動対象物が組合せ秤の集合ホッパ11である場合、振動停止させた集合ホッパ11は、包装機などへ整列させた物品を排出投下する一定位置にある必要があると共に、排出の後に後続の物品を受け入れるために、集合ファネル10の直下に正しく位置している必要がある。
【0051】
そこで、本実施形態においては、設定時間に亘って高速で往復進退作動した振動シリンダ22の作動を停止した時に、集合ホッパ11が、物品を受け入れ、及び、物品を排出するための一定位置(原点位置)Gから外れていても、集合ホッパ11を前記原点位置Gに復帰させるための強制復帰機構Aを備えている。この原点位置Gは、
図7に示すように、シャッタ板17を開放したときに露出する円形の物品排出口16の中心を通る仮想鉛直線上の位置であり、この原点位置Gは、集合ファネル10の中心直下の位置である。
【0052】
以下、強制復帰機構Aの詳細な構造について説明する。
【0053】
図7に示すように、前記案内ブロック25には、強制復帰機構Aとして、後ろ向きに進退作動する単動型のエアシリンダ31が組み込まれている。このエアシリンダ31は、案内ブロック25に穿設したシリンダ孔32に、プランジャ33を後方から挿入装着した構造となっている。案内ブロック25内に形成した流路34にエアを供給することでプランジャ33が後方に突出移動され、エア供給を解除して流路34を開放することで、プランジャ33を外力によって前方へ押込み移動させることができるようになっている。
【0054】
エアシリンダ31におけるプランジャ33は、ピストンロッド23の前端に、同心に突合せ配備されている。また、プランジャ33の外径は、ピストンロッド23に装着されたナット29より大径に設定されると共に、プランジャ33の後端には、ピストンロッド23のネジ部23aより大径でナット29の外径よりも小径の干渉回避口35が後ろ向きに形成されている。
【0055】
強制復帰機構Aは、以上のように構成されており、次に、その強制復帰作動について説明する。
【0056】
図8は、集合ホッパ11が進出位置にある物品整列装置20、
図9は、設定時間に亘る高速の往復進退作動が終了して停止された物品整列装置20、及び、
図10は、強制復帰機構が作動した物品整列装置20の各要部横断平面図である。
【0057】
この実施形態では、
図7に示すように、ヘッド側及びロッド側の両エアポートPa、Pbへ同時にエアを供給することで、上記のように振動シリンダ22を高速で往復進退作動させる。また、図示しない開閉弁を閉じてヘッド側エアポートPaのみへのエア供給を遮断することで振動シリンダ22を停止させるようにしている。
【0058】
なお、両エアポートPa、Pbへのエアの供給を共に断つことによっても振動シリンダ22の往復進退作動を停止させてもよいが、ロッド側エアポートPbにエア供給を行いながら、ヘッド側エアポートPaのみエア供給を断つと、内部の圧力バランスが崩れて、ピストンロッド23が後退移動して停止し易く、集合ホッパ11を原点位置Gに近づけて停止させ易いものとなる。
【0059】
図7に示すように、集合ホッパ11の原点位置Gは、集合ファネル10の中心直下、かつ、シャッタ機構12における物品排出口16の中心直上に設定されており、振動シリンダ22が、往復進退作動を開始すると、集合ホッパ11は、原点位置Gとその前方の所定位置に亘る一定ストローク(例えば上記50mm)で高速で水平に振動される。
【0060】
図8に、振動シリンダ22のピストンロッド23が最大限進出して、集合ホッパ11が原点位置Gから大きく前方へ移動された状態が示されている。
【0061】
振動シリンダ22が設定時間に亘って往復進退作動されると、ロッド側エアポートPbへのエアの供給を維持しながら、図示しない開閉弁を閉じてヘッド側エアポートPaのみへのエアの供給を遮断し、往復振動作動を停止させる。この場合、上記のように、ピストンロッド23は後退作動されるが、後退エンドに至るとは限らず、
図9に示すように、原点位置Gに対応する後退エンドの少し手前で停止することがある。
【0062】
集合ホッパ11の振動が停止されると、強制復帰機構Aのエアシリンダ31が起動されてプランジャ33が後方に突出作動する。この時、
図9に示すように、集合ホッパ11が原点位置Gから前方に外れた位置で停止していても、後方に進出移動するプランジャ33の後向き先端が、ピストンロッド23のナット29に当接し、引き続くプランジャ33の後方移動に伴って、
図10に示すように、集合ホッパ11が原点位置Gに至るまで、ピストンロッド23が強制的に後退移動される。
【0063】
ピストンロッド23と一体に前後移動する連結部材27の一端部には、磁性金属片37が連結されており、ベース板21の所定位置に取り付けた近接センサ38で磁性金属片37を検知することで、ピストンロッド23が原点位置に対応する後退エンドまで復帰されたことが検知され、この検知に基づいて、強制復帰機構Aのエアシリンダ31へのエア供給が停止される。
【0064】
また、集合ホッパ11が原点位置Gにあること検知された後、包装機からの排出要求指令に基づいてシャッタ機構12が開放作動し、整列された物品が排出される。物品排出が完了した後、シャッタ機構12が再び閉止され、原点位置Gにある集合ホッパ11に後続の物品が投下供給され、以下、上記作動が順次繰り返し実行される。
【0065】
遮断していたヘッド側エアポートPaへのエアの供給を再開して次の整列処理が開始されると、先ず、原点位置Gに対応する後退エンドに後退していた振動シリンダ22のピストンロッド23が前方に進出移動し、エア供給が停止されて自由状態なっている強制復帰機構Aのエアシリンダ31のプランジャ33が、ナット29の前方移動に伴ってシリンダ孔32の奥まで押し込まれる。
【0066】
次にピストンロッド23が後方に後退作動する際、プランジャ33は押し込まれた位置に残され、以降、ピストンロッド23が繰り返し前方への進出する際にプランジャ33に当接干渉することはない。
【0067】
上記のように本実施形態によれば、振動シリンダ22のピストンロッド23を高速で往復進退作動させ、ピストンロッド23に連結した集合ホッパ11を前後水平に高速振動させるので、集合ホッパ11に収容した細長い物品を円滑に整列させることができる。更に、物品が多少粘着性を有し、塊になり易いような物品であっても、高速な水平振動に伴なう衝撃によって、物品の分離を促進して円滑に整列させることができる。
【0068】
また、高速な往復進退作動を停止した振動シリンダ22のピストンロッド23は、強制復帰機構Aのエアシリンダ31によって押圧移動されて、集合ホッパ11を原点位置に強制移動させるので、整列させた物品を原点位置で排出し、かつ、後続の物品を原点位置で的確に受け入れることができる。
【0069】
更に、水平方向の振動のみで上下の揺動等を伴なうことなく、物品を整列させるので、計量ホッパにおける計量への悪影響を抑制することができる。したがって、計量精度を低下させることなく、物品の整列排出を的確に行うことが可能となる。
【0070】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0071】
(1)上記実施形態では、設定時間に亘る高速な水平振動による整列処理が終了する度に、ピストンロッド23の位置、すなわち、集合ホッパ11の位置に関係なく強制復帰機構Aを作動させているが、ピストンロッド23あるいは集合ホッパ11の位置を検知して、設定時間に亘る高速な水平振動による整列処理が終了した時点で原点位置Gから許容量以上に外れている場合のみ、強制復帰機構Aを作動させる形態で実施することもできる。
【0072】
(2)上記実施形態では、案内ブロック25に、強制復帰機構Aを構成するエアシリンダ31を組み込んでいるが、案内ブロック25の外側に強制復帰機構Aを配備することも可能である。
【0073】
例えば、一対のガイド軸26を連結する連結部材27の上面にピンを立設し、エアシリンダ、モータ、あるいは、電磁ソレノイドなどの任意のアクチュエータで駆動される操作部材で前記ピンを当接押圧して、ピストンロッド23を原点位置に強制移動させる形態で実施することも可能である。
【0074】
(3)上記実施形態では、振動シリンダ22のピストンロッド23が後退エンドにある時、集合ホッパ11が原点位置Gに位置するように設定しているが、ピストンロッド23が進出エンドにある時に、集合ホッパ11が原点位置Gに位置するように設定することもできる。この場合、強制復帰機構Aによる強制的な押圧復帰は前方に向けて行うことになる。
【0075】
(4)ピストンロッド23が進退ストロークの中間にある時に、集合ホッパ11が原点位置Gにあるように設定し、集合ホッパ11を、原点位置Gを挟んで前後に水平振動させる形態で実施することもできる。
【0076】
この場合の強制復帰機構Aは、集合ホッパ11が原点位置Gから前方あるいは後方のいずれに外れていても、ピストンロッド23をストローク中間の一点に強制移動させる構造にする必要がある。例えば、一対のガイド軸26を連結する連結部材27の上面に立設したピンを、エアシリンダ、モータ、あるいは、電磁ソレノイドなどの任意のアクチュエータで駆動されて、互いに逆方向へ作動する一対の操作部材で前記ピンを前後両側から当接押圧して、ピストンロッド23を原点位置に相当する一点に強制移動させるような構造が考えられる。
【0077】
(5)強制復帰機構Aを構成する単動型のエアシリンダ31に、プランジャ33を戻り方向(この例では前方)に付勢するバネを装備して実施することもできる。
【0078】
この場合、エアシリンダ31へのエア供給によって、プランジャ33をバネに抗して突出作動させ、ピストンロッド23をホッパ原点位置に対応する位置にまで強制後退させた後、エアシリンダ31へのエア供給を解除することで、プランジャ33を、ピストンロッド23に干渉しない位置に戻すことができるので、ピストンロッド23と強制復帰機構Aとが完全に絶縁された状態でピストンロッド23の往復進退作動を開始することができる。
【0079】
(6)本発明に係る物品整列装置は、組合せ秤に限らず、物品を適当量ずつ加振して整列させるだけの処理工程や、多少粘着性を有する物品を加振して分離整列させる処理工程、などで利用することもできる。
【符号の説明】
【0080】
7 計量ホッパ
11 集合ホッパ
12 シャッタ機構
20 物品整列装置
22 振動シリンダ
23 ピストンロッド
25 案内ブロック
26 ガイド軸
31 エアシリンダ
A 強制復帰機構
G 原点位置
Pa ヘッド側エアポート
Pb ロッド側エアポート