(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061491
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ロッカー式冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 13/02 20060101AFI20230425BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20230425BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
F25D13/02
F25D23/02 306A
F25D17/08 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171404
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】奥村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
(72)【発明者】
【氏名】水村 秀一
【テーマコード(参考)】
3L045
3L102
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045PA04
3L102JA01
3L102KB01
3L345AA02
3L345AA18
3L345CC01
3L345DD18
3L345DD19
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】断熱箱体の撓みを低コストに抑制する。
【解決手段】ロッカー式冷却貯蔵庫10は、前面開口11Sと、被貯蔵物を収容するための貯蔵室12と、を有する断熱箱体11と、貯蔵室12を冷却するための冷却装置16と、前面開口11Sを開閉するための扉13と、扉13を施錠するためのロック装置70と、を備え、断熱箱体11を構成する断熱壁の側壁部43は、水平方向の断面がクランク形状をなしている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口と、被貯蔵物を収容するための貯蔵室と、を有する断熱箱体と、
前記貯蔵室を冷却するための冷却装置と、
前記前面開口を開閉するための扉と、
前記扉を施錠するためのロック装置と、を備え、
前記断熱箱体を構成する断熱壁の側壁部は、水平方向の断面がクランク形状をなしているロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記側壁部は、前記貯蔵室と反対側に向かって突出し、前記クランク形状の一部を構成する突出部を有し、
前記突出部の前記貯蔵室側には、上下方向に沿って延在し、前記貯蔵室と前記冷却装置との間を循環する空気が流れる流路となるダクトが設けられている請求項1に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記ダクトの前記貯蔵室側の面は、前記側壁部の前記突出部以外の前記貯蔵室側の面と略面一である請求項2に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記側壁部の前記貯蔵室側の面には、前記貯蔵室内を複数に区画する棚が取り付けられており、
前記ダクトは、前記貯蔵室に向けて開口する通風孔を上下方向に沿って複数備える請求項3に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記クランク形状をなす前記側壁部は、2つが左右方向に対をなして設けられており、
前記ダクトは、2つの前記側壁部に対してそれぞれ設けられており、
一方の前記側壁部に対して設けられる第1の前記ダクトは、前記貯蔵室内の空気を吸い込んで前記冷却装置に向かって流すための流路であり、
他方の前記側壁部に対して設けられる第2の前記ダクトは、前記冷却装置によって冷却された空気を前記貯蔵室に吹き出すための流路である請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記ロック装置は、前記側壁部の庫外側において、前記突出部の前方に設けられている請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記突出部に対して所定のギャップを空けて庫外側に設けられ、少なくとも前記突出部を覆うカバー部材を備える請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記側壁部の庫外側において、前記突出部の後方には、上下方向に沿って延在する柱状のパネル部材が設けられており、
前記パネル部材と前記側壁部との間には、前記ロック装置と同一サイズの部材を収容可能な収容空間が設けられている請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項9】
前記パネル部材は、前記断熱箱体と接続されている請求項8に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【請求項10】
前記クランク形状をなす前記側壁部は、2つが左右に対をなして設けられており、
前記ロック装置は、一方の前記側壁部の庫外側に設けられており、
他方の前記側壁部の庫外側において、前記突出部の前方には、上下方向に沿って延在する柱状の第2のパネル部材が設けられており、
前記第2のパネル部材と前記他方の前記側壁部との間には、前記ロック装置と同一サイズの部材を収容可能な収容空間が設けられている請求項8または請求項9に記載のロッカー式冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ロッカー式冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の荷物を冷却保存しつつ、施錠できるロッカー式冷却貯蔵庫が知られており、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のロッカー式冷却貯蔵庫は、本体内に上下3段の収納室が設けられており、そのうちの2段の収納室が冷却装置によって冷蔵温度に管理されている。また、ロッカー式冷却貯蔵庫は、扉が前面となるように複数台を並べて設置することが一般的である。特許文献1に記載の技術によれば、複数台を隣接設置した場合であっても、外扉の開閉を円滑に行うことが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロッカー式冷却貯蔵庫の収容容量を増大するためには、本体(断熱箱体)を構成する断熱壁の厚さを小さくすることが考えられる。しかしながら、断熱壁を薄くすると、強度不足で撓みや反りが生じやすくなってしまう。特に、上記したように複数台を並べて設置すると、各台に生じた撓みや反りの影響が、隣接する他のロッカー式冷却貯蔵庫にも波及して大きな撓みに繋がり、断熱箱体の変形を招いてしまうことがある。また、撓みや反りによって、隣接するロッカー式冷却貯蔵庫間には、隙間が生じやすくなる。一方で、このような事態に対して補強部材を追加して強度を向上すると、製造コスト、及び重量が増加してしまうのが実情である。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、断熱箱体の撓みを低コストに抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に関わるロッカー式冷却貯蔵庫は、前面開口と、被貯蔵物を収容するための貯蔵室と、を有する断熱箱体と、前記貯蔵室を冷却するための冷却装置と、前記前面開口を開閉するための扉と、前記扉を施錠するためのロック装置と、を備え、前記断熱箱体を構成する断熱壁の側壁部は、水平方向の断面がクランク形状をなしている。
【0007】
断熱箱体を構成する断熱壁の側壁部を断面クランク形状とすることで、側壁部が平坦な平板形状である場合に比べて、側壁部の撓みを抑制でき、強度を増大できる。その結果、断熱箱体全体の撓みを抑制し、強度を増大できる。また、このようにすれば、補強部材を用いずに強度を増大できるため、コストを増大せずに、断熱箱体の撓みを抑制できるようになる。
【0008】
また、前記側壁部は、前記貯蔵室と反対側に向かって突出し、前記クランク形状の一部を構成する突出部を有し、前記突出部の前記貯蔵室側には、上下方向に沿って延在し、前記貯蔵室と前記冷却装置との間を循環する空気が流れる流路となるダクトが設けられていてもよい。このようにすれば、突出部によって、断面クランク形状の側壁部が容易に具現化される。また、突出部の貯蔵室側には窪みが生じることとなるため、この部分にダクトを設けることで、省スペースにダクトを設けられるようになる。
【0009】
また、前記ダクトの前記貯蔵室側の面は、前記側壁部の前記突出部以外の前記貯蔵室側の面と略面一であってもよい。このようにすれば、ダクトは側壁部より貯蔵室側に張り出しておらず、貯蔵室内から視た場合、ダクトと側壁部は面一で平坦に繋がっている状態になる。その結果、使用者が貯蔵室に被貯蔵物を収容する際、貯蔵室内のスペースを有効活用しやすくなる。
【0010】
また、前記側壁部の前記貯蔵室側の面には、前記貯蔵室内を複数に区画する棚が取り付けられており、前記ダクトは、前記貯蔵室に向けて開口する通風孔を上下方向に沿って複数備えていてもよい。このようにすれば、棚によって貯蔵室内を複数に区画して、複数の収容スペースを形成できる。また、そのような場合であっても、通風孔によって収容スペース間の温度のバラつきを抑制できるようになる。
【0011】
また、前記クランク形状をなす前記側壁部は、2つが左右方向に対をなして設けられており、前記ダクトは、2つの前記側壁部に対してそれぞれ設けられており、一方の前記側壁部に対して設けられる第1の前記ダクトは、前記貯蔵室内の空気を吸い込んで前記冷却装置に向かって流すための流路であり、他方の前記側壁部に対して設けられる第2の前記ダクトは、前記冷却装置によって冷却された空気を前記貯蔵室に吹き出すための流路であってもよい。このようにすれば、2つの側壁部にダクトをそれぞれ設け、一方のダクト(第1のダクト)を貯蔵室内の空気を吸い込んで冷却装置に向かって流すために用い、他方のダクト(第2のダクト)を冷却装置によって冷却された空気を貯蔵室に吹き出すために用いることができる。また、左右の側壁部のダクトを空気の流路とすることで、後壁部にダクトを設ける必要がなくなる。その結果、後面開口、及びこれを開閉する扉を追加する派生品を製造する際に流用しやすくなる。
【0012】
また、前記ロック装置は、前記側壁部の庫外側において、前記突出部の前方に設けられていてもよい。このようにすれば、ロック装置の庫内側は、断熱壁である側壁部で覆われるようになる。その結果、ロック装置に結露が発生する事態を抑制できる。
【0013】
また、前記突出部に対して所定のギャップを空けて庫外側に設けられ、少なくとも前記突出部を覆うカバー部材を備えていてもよい。断熱箱体の製造工程において、充填した断熱材が固化する過程で、発泡圧力によって、突出部の庫外側の面に反りが生じることがある。このような反りをカバー部材でギャップを空けて覆うことで、ロッカー式冷却貯蔵庫の外装側面を確実に平坦化できるようになる。これにより、複数台のロッカー式冷却貯蔵庫を隣接設置した場合に、隙間なく並べられるようになる。さらに、カバー部材によれば、隣接する各台の側壁部の突出部同士が密着しないようにできる。突出部は断熱壁の一部であるものの、断熱性能によっては、突出部同士が密着すると密着面に結露が生じてしまう懸念がある。カバー部材によって突出部同士を非密着とすることで、結露を抑制できる。
【0014】
また、前記側壁部の庫外側において、前記突出部の後方には、上下方向に沿って延在する柱状のパネル部材が設けられており、前記パネル部材と前記側壁部との間には、前記ロック装置と同一サイズの部材を収容可能な収容空間が設けられていてもよい。このようにすれば、後面開口を備える派生品を製造する場合に、後面開口を開閉する第2の扉を施錠するためのロック装置を収容空間に配置できるようになる。その結果、派生品への流用が容易になる。
【0015】
また、前記パネル部材は、前記断熱箱体と接続されていてもよい。このようにすれば、パネル部材を強固に固定できるようになる。
【0016】
また、前記クランク形状をなす前記側壁部は、2つが左右に対をなして設けられており、前記ロック装置は、一方の前記側壁部の庫外側に設けられており、他方の前記側壁部の庫外側において、前記突出部の前方には、上下方向に沿って延在する柱状の第2のパネル部材が設けられており、前記第2のパネル部材と前記他方の前記側壁部との間には、前記ロック装置と同一サイズの部材を収容可能な収容空間が設けられていてもよい。このようにすれば、扉として揺動式の扉を用いる場合に、扉の開き方向を変更する派生品(例えば、右開き式から左開き式への仕様変更品)を製造する場合に、変更に応じてロック装置を第2のパネル部材と他方の側壁部との間の収容空間に収容できるようになる。その結果、派生品への流用が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、断熱箱体の撓みを低コストに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係るロッカー式冷蔵庫の使用態様を示す斜視図
【
図7】
図6から左コーナーパネル部材を取り外した斜視図
【
図9】
図8の内箱、外箱、左ダクト、右ダクト、及びコーナーパネル部材の分解断面図
【
図10】外箱の一部、及びコーナーパネル部材を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1に係るロッカー式冷蔵庫10(ロッカー式冷却貯蔵庫の一例)について
図1から
図16を参照して説明する。各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、ロッカー式冷蔵庫10の前後方向における前、後、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左、右、鉛直方向(上下方向)の上、下を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して、他の部材の符号は省略することがある。
【0020】
ロッカー式冷蔵庫10は、
図1及び
図2に示すように、全体として縦長の略直方体状をなしており、扉13が前面となるように複数台が隣接して並べられて使用される。ロッカー式冷蔵庫10は、例えば店舗の店先やショッピングモール内に設置され、食品、薬品等の荷物(被貯蔵物の一例)を冷却しつつ、施錠状態で収容することができる。ロッカー式冷蔵庫10は、サービス提供者(例えば、店員や宅配員)が収容した荷物を、サービス使用者(例えば、購入者)が受け取るために用いられるが、用途は限定されない。例えば、サービス使用者が一時的に荷物を冷却保管するために用いられても構わない。またロッカー式冷蔵庫10は、用途や設置場所によっては、複数台でなく1台のみが設置されて用いられても構わない。以下、サービス提供者及びこれに許可された者を管理者とし、サービス提供者を単に使用者とする。
【0021】
隣接設置される複数台のロッカー式冷蔵庫10のうちの1台は、
図1に示すように、操作端末80を備えている。操作端末80は、操作パネル等の入力手段80A、またはバーコードリーダ等の読取手段80Bの少なくとも一方を備える情報端末であって、タブレット型端末、コンピュータ等の既知の端末が用いられる。使用者は、操作パネルにパスワードを入力したり、バーコードリーダに2次元バーコードを読み取らせることで、後述する扉13のロック装置70を解錠または施錠できる。操作端末80は、ロッカー式冷蔵庫10とは別体として周囲に設置されていても構わず、またロック装置70が電子錠でない場合には、必要とされない。各台の基本的構成は、操作端末80以外は共通であり、以下では、
図2に示す操作端末80を備えないロッカー式冷蔵庫10を例に詳しく説明する。
【0022】
ロッカー式冷蔵庫10は、
図2から
図4に示すように、おおまかには、貯蔵庫本体である断熱箱体11と、断熱箱体11の前面開口11Sを開閉するための複数の扉13と、扉13を施錠するために扉13毎に設けられた複数のロック装置70と、断熱箱体11の上方に配された機械室15と、断熱箱体11内に形成される貯蔵室12を冷却するための冷却装置16と、これらを下方から支持するように設置床面に載置される脚部14と、を備える。
【0023】
断熱箱体11は、
図3及び
図4に示すように、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱11Aと内箱11Bとの間に、発泡樹脂製の断熱材11Cが充填された構造を有する。断熱箱体11は、天井壁部41と、底壁部42と、左側壁部43と、右側壁部44と、後壁部45と、を有する断熱壁から構成されている。天井壁部4には開口が設けられており、この開口には、断熱性を有する天井蓋体46が機械室15側から嵌め込まれている。天井蓋体46の下方には、冷却器ダクト23が張設されることによって冷却器室20が形成されている。さらに冷却器ダクト23の下方には、天井壁部41と平行な平坦面を有する上パネル51が取り付けられている。左側壁部43には、左ダクト53が上下方向に沿って取り付けられている。また、右側壁部44には、右ダクト54が上下方向に沿って取り付けられている。そして、上パネル51、左側壁部43、左ダクト53、右側壁部44、右ダクト54、及び底壁部42で囲まれた部分が、被貯蔵物を収容するための貯蔵室12となっている。
【0024】
貯蔵室12は、
図3及び
図4に示すように、断熱箱体11の内部空間(庫内)の大部分を占めており、複数(具体的には4つ)の棚網48によって上下に複数(具体的には4つ)の収容スペース12A,12B,12C,12Dに区画されている。棚網48は、
図4及び
図5に示すように、左側壁部43及び右側壁部44の貯蔵室12側の面に取り付けられており、被貯蔵物を載置することができる。より詳しくは、網棚48は、左側壁部43において左ダクト53が設けられていない部分(後述する突出部43A以外の部分)、及び右側壁部44において右ダクト54が設けられていない部分(後述する突出部44A以外の部分)に、棚受具48Aによって取り付けられている。棚受具48Aを当該部分に取り付けることで、網棚48の強度を確保しやすくなる。棚受具48Aは、棚網48を構成するワイヤの一部の外周を囲むように覆っており、非汎用の特殊形状をなすネジによって左側壁部43及び右側壁部44に固定されている。これにより、使用者が容易に網棚48を取り外しできないようになっている。
【0025】
断熱箱体11の前面には、
図4及び
図5に示すように、複数(具体的には4つ)の横フレーム49が設けられている。横フレーム49によって、前面開口11Sは、収容スペース12A,12B,12C,12Dに対応する大きさに区画されている。横フレーム49は、断熱材が充填された中実の角柱状部材であって、左側壁部43から右側壁部44に亘って左右方向に延在している。横フレーム49の上面の上下方向の高さは、上3段の棚網48の上面とほぼ一致している。
【0026】
扉13は、
図4に示すように、横フレーム49によって区画された前面開口11Sの各部分を開閉できるように複数(具体的には4つ)設けられている。各扉13は、揺動式の右開きの断熱扉であって、扉13の右側部分がヒンジ部材13A(
図1)によって断熱箱体11に取り付けられている。また、各扉13は、
図6及び
図7に示すように、左側部分の前面に凹形状の引手13Bと、左側部分の後面にロック装置70と係合する係合板13Cと、を備える。係合板13Cは、後方に突出する板状部材であって、その先端部に、ロック装置70の可動棒体70Bが挿入される係合穴13C1が形成されている。
【0027】
ロック装置70は、
図7に示すように、扉13の左側部分の後方に設けられている。ロック装置70は、左側壁部43と、後述する第1左コーナーパネル部材72との間に収容される形で、左側壁部43の庫外側に設けられている。これにより、ロック装置70の庫内側は、断熱壁である左側壁部43で覆われるようになる。その結果、ロック装置70に結露が発生する事態を抑制できる。ロック装置70は、縦長箱状の本体部70Aと、可動棒体70Bと、を備える。本体部70Aの前面には、後方に向かって細長く延びる差込穴70A1が設けられており、差込穴70A1に扉13の係合板13Cが差し込まれる。可動棒体70Bは、扉13の閉状態において、係合板13Cの係合穴13C1に挿入可能な位置に設けられており、上下方向に動くことができる。
【0028】
ロック装置70は、電子錠であって、操作端末80からの解錠信号を受信すると、可動棒体70Bが上方向に動いて扉13の係合穴13C1から引き抜かれ、これにより扉13を開くことができるようになる。また、操作端末80からの施錠信号を受信すると、可動棒体70Bが下方向に動いて扉13の係合穴13C1に挿入され、これにより扉13を開くことができない閉状態となる。ただし、ロック装置70は、施錠忘れを防止するために、扉13が閉じられると自動的に施錠されるオートロック機能を備えていても構わず、その種類は限定されず、電子錠でなくても構わない。さらにロッカー式冷蔵庫10は、管理者が全てのロック装置70を一括解錠できる解錠装置を備えていても構わない。
【0029】
機械室15は、
図2から
図4に示すように、断熱箱体11の上方に配されており、前方、左方、及び右方はそれぞれ、フロントパネル15A、左サイドパネル15B、右サイドパネル15Cで覆われている。機械室15の上方、及び後方は、外気を取り込み、かつ機械室15内の熱を放出するために開放されている。機械室15には、冷却装置16を構成する圧縮機17、凝縮器18、及び凝縮器ファン19の他に、制御装置60(電装箱、電源ユニット)、オペレーションボックス61、並びにロック装置用中継機62等が収容されている。
【0030】
冷却装置16は、
図3及び
図4に示すように、圧縮機17、凝縮器18、膨張弁(キャピラリーチューブ)、及び後述する冷却器室20内の冷却器21(蒸発器)を備えており、これらがこの順に冷媒管で繋がれて冷媒が循環されることで、既知の冷凍回路(冷凍サイクル)が形成されている。
【0031】
制御装置60は、
図2から
図4に示すように、機械室15の後側に配されている。制御装置60は、ロッカー式冷蔵庫10の運転を制御したり、電源を供給するための回路等を備えており、これらが横長の箱体に収容されている。
【0032】
オペレーションボックス61は、
図4に示すように、フロントパネル15Aの後側に配されており、表示部61A、操作部61B、及び操作基板を備える。表示部61A及び操作部61Bは、オペレーションボックス61の前面に設けられており、表示部61Aに表示される貯蔵室12の内部温度等は、フロントパネル15Aの一部に設けられた開口を通じて、外部から視認可能となっている(
図2)。操作部61Bは、貯蔵室12の冷却目標温度等を設定、変更するためのボタンである。操作部61Bは、管理者がフロントパネル15Aを取り外した状態で操作可能となる。表示部61A及び操作部61Bは、操作基板を介して、制御装置60の制御基板と接続されている。
【0033】
ロック装置用中継機62は、
図2に示すように、右サイドパネル15Cの左側(機械室15側)に配されており、各ロック装置70からの引き出し配線が接続されているものとされる。ロック装置用中継機62は、操作端末80と通信接続されており、操作端末80からの解錠信号等は、ロック装置用中継機62を介してロック装置70に伝送される。
【0034】
冷却器ダクト23は、
図3及び
図4に示すように、断熱箱体11の上部(天井蓋体46)を下方から覆うように設けられており、冷却器ダクト23と天井蓋体46との間には冷却器室20が形成されている。冷却器室20内には、冷却器21、循環用ファン24、及び室内温度センサ等が収容されている。循環用ファン24は、貯蔵室12の空気を循環させつつ冷却器21内を通過させる。冷却器ダクト23は、左側壁部43から右側壁部44に向けて下方に傾斜する形状をなし、左側部分は、右側部分に比べて傾斜角度が大きく形成されている。冷却器ダクト23の左側部分には、貯蔵室12から冷却器室20内に吸い込まれる空気の吸込口25が形成されており、吸込口25を覆うように循環用ファン24が設けられている。冷却器ダクト23のうち傾斜角度の小さい右側部分には、冷却器21が設けられている。冷却器ダクト23の下方傾斜した先端部(右端部)は、冷却器室20の空気の吹出口26となっている。室内温度センサは、循環用ファン24と冷却器21との間に設けられており、循環用ファン24によって吸い込まれた貯蔵室12の空気が室内温度センサに当たることで、温度が検出される。
【0035】
また、冷却器ダクト23は、庫内ドレンパンを兼ねており、
図3に示すように、右端部の一部に下方からドレンホース31が接続されている。ドレンホース31は、右側壁部44内に埋設されて下方に延びており、右側壁部44内から底壁部42内を通って、底壁部42の下方に設けられた庫外ドレンパン32に繋がっている。
【0036】
左ダクト53は、
図3及び
図4に示すように、断熱箱体11の左側壁部43に沿って設けられており、上下方向に延在している。左ダクト53内(左側壁部43と左ダクト53とに囲まれた空間)は、貯蔵室12内の空気を吸い込んで冷却器ダクト23の吸込口25(ひいては冷却器室20内の冷却器21)に向かって流すための流路となる。左ダクト53は、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に曲げ加工することにより形成されており、上パネル51から最下段の網棚48付近まで下方に延びている。左ダクト53の上部及び下部は開口している。左ダクト53の上部開口は、冷却器ダクト23と上パネル51との間の空間と連通しており、左ダクト53の貯蔵室12側の面の上端部53Aは、上パネル51の左端部と接続されている。左ダクト53の下部開口は、貯蔵室12の下部と連通している。また、左ダクト53には、貯蔵室12内の空気を左ダクト53内に吸い込むための流入孔53B(通風孔の一例)が多数設けられている。多数の流入孔53Bは、上下方向及び前後方向に一定ピッチで、5つずつ格子状に配列されるように設けられている。
【0037】
右ダクト54は、
図3に示すように、左ダクト53と対向する位置に、右側壁部44に沿って設けられており、上下方向に延在している。右ダクト54内(右側壁部44と右ダクト54とに囲まれた空間)は、冷却器ダクト23の吹出口26から吹き出される冷却器21からの冷気を、貯蔵室12に向かって流すための流路となる。右ダクト54も、左ダクト53と同様に、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に曲げ加工することにより形成されており、上パネル51から最下段の網棚48付近まで下方に延びている。右ダクト54の上部及び下部は開口している。右ダクト54の上部開口は、冷却器ダクト23の吹出口26と連通しており、下部開口は、貯蔵室12の下部と連通している。また、右ダクト54には、右ダクト54内に流れ込んだ冷気を貯蔵室12に吹き出すための流出孔54B(通風孔の一例)が多数設けられている。多数の流出孔54Bは、上下方向及び前後方向に一定ピッチで、5つずつ格子状に配列されるように設けられている。
【0038】
冷却運転は、圧縮機17、凝縮器ファン19及び循環用ファン24が駆動されることで行われる。冷却運転において、貯蔵室12の空気は、左ダクト53の流入孔53B及び下端部53Cから左ダクト53内へ流入し、左ダクト53内を上昇して、左ダクト53の上部開口から流出する。左ダクト53から流出した空気は、冷却器ダクト23と上パネル51との間の空間を通って、冷却器ダクト23の吸込口25へ吸い込まれ、冷却器21を通過する過程で熱交換によって冷却されて冷気となる。冷却器21からの冷気は、吹出口26から吹き出されて、右ダクト54内へ流入し、右ダクト54内を下降して、右ダクト54の流出孔54B、及び下端部54Cから貯蔵室12へ吹き出される。このようにして貯蔵室12の空気が冷却される。また、所定の冷却運転時間後等に、適宜行われる除霜運転によって生じる冷却器21等からの除霜水は、冷却器ダクト23で受けられたのち、ドレンホース31を通って庫外ドレンパン32に排水される。
【0039】
上記したように左右の側壁部に設けられた左ダクト53、及び右ダクト54を空気の流路とすることで、後壁部45に空気の流路となるダクトを設ける必要がなくなる。その結果、後面開口、及びこれを開閉する扉を追加する派生品を製造する際に、派生品に流用しやすくなる。また、各ダクト53,54において上下方向に沿って通風孔(流入孔53B,流出孔54B)を複数設けることで、貯蔵室12を複数の収容スペース12A,12B,12C,12Dに区画した場合であっても、収容スペース間の温度のバラつきを抑制して、温度をより均一に保ちながら冷却できる。
【0040】
次に、左側壁部43の断面形状、及び左ダクト53との位置関係について詳しく説明する。左側壁部43は、
図8に示すように、前後方向についての中央部に突出部43Aを有しており、横断面(水平方向の断面)は、突出部43Aによって生じる段差によってクランク形状をなしている。左側壁部43を断面クランク形状とすることで、段差がない平板形状である場合に比べて、左側壁部43の撓みを抑制でき、強度を増大できる。その結果、断熱箱体11全体の撓みを抑制し、強度を増大できる。また、補強部材を用いずに強度を増大できるため、コストを増大せずに、断熱箱体11の撓みを抑制できるようになる。
【0041】
突出部43Aは、
図8及び
図9に示すように、貯蔵室12と反対側(庫外側)に向かって突出している。より詳しくは、左側壁部43を構成する内箱11Bの中央部は、庫外側に向かって突出しており、これにより内箱11Bの庫内側には内箱窪み部11B1が形成されている。また、左側壁部43を構成する外箱11Aには、内箱窪み部11B1の前方及び後方において、庫内側に向かって窪む外箱窪み部11A1,11A2が形成されている。内箱窪み部11B1を有する内箱11Bと、2つの外箱窪み部11A1,11A2を有する外箱11Aとの間に、断熱材11Cが充填されることで、左側壁部43は、突出部43Aを有する断面クランク形状に形成されている。
【0042】
左ダクト53は、
図8及び
図9に示すように、内箱11Bの内箱窪み部11B1を覆うように、突出部43Aの庫内側に設けられている。左ダクト53は、突出部43Aの突出高(内箱窪み部11B1の深さ)L43A、及び前後方向の幅W43A(内箱窪み部11B1の幅)に対応するように、断面略コ字状に形成されている。左ダクト53の貯蔵室12側の面53Dは、左側壁部43の突出部43A以外の庫内側の面43Dと略面一となっている。すなわち、左ダクト53は左側壁部43より庫内側に張り出しておらず、庫内側から視た場合、左ダクト53と左側壁部43は平坦に繋がっている状態となっている。このように左ダクト53を設けることで、省スペースに左ダクト53を設けられると共に、使用者が貯蔵室12に被貯蔵物を収容する際にスペースを有効活用しやすくなる。
【0043】
外箱11Aの外箱窪み部11A1,11A2には、
図8及び
図9に示すように、左コーナーパネル部材72,73がそれぞれ設けられている。左コーナーパネル部材72,73は、左側壁部43の庫外側において、突出部43Aの前方及び後方にそれぞれ設けられて、外箱窪み部11A1,11A2を覆っており、ロッカー式冷蔵庫10の左前角部、及び左後角部をそれぞれ構成している。
【0044】
左コーナーパネル部材72,73は、
図10に示すように、上下方向に沿って延在する柱状をなしている。左コーナーパネル部材72,73は、側壁部43と接続されネジ止め固定されており、断熱箱体11に強固に固定されている。2つの左コーナーパネル部材72,73は、基本的な形状及び大きさは同一であり、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に曲げ加工することにより形成されている。左コーナーパネル部材72,73は、断面略コ字状をなし、右側(庫内側)の面が開口している。第1左コーナーパネル部材72と左側壁部43との間には、ロック装置70が収容される。第1左コーナーパネル部材72には、収容されるロック装置70の前面を露出させるための開口72Aが設けられている。このようにすれば、外箱11Aの外箱窪み部11A1を有効活用して、省スペースにロック装置70を設けられる。
【0045】
また、第2左コーナーパネル部材73と左側壁部43との間には、ロック装置70と同一サイズの部材を収容可能な収容空間が設けられている。このようにすれば、後面開口をさらに備える派生品を製造する場合に、後面開口を開閉する第2の扉用のロック装置を当該収容空間に収容できるようになる。すなわち、前面開口11Sに加えて後面開口を備える派生品(いわゆるパススルータイプの製品)への流用が容易になる。このような派生品の用途としては、例えば、前面の扉13を使用者の開閉用とし、後面の第2の扉を管理者の開閉用とすることが考えられる。
【0046】
右側壁部44、右ダクト54、及び右コーナーパネル部材74,75は、
図8から
図10に示すように、上記した左側壁部43、左ダクト53、及び左コーナーパネル部材72,73と左右に対をなすように、左右対称に設けられており、重複する説明は省略する。右側壁部44は、左側壁部43と左右対称なクランク形状をなし、前後方向についての中央部に突出部44Aを有している。また、右側壁部44を構成する外箱11Aには、内箱窪み部11B2の前方及び後方において、庫内側に向かって窪む外箱窪み部11A3,11A4が形成されている。第1右コーナーパネル部材74と右側壁部43との間、及び第2右コーナーパネル部材75と右側壁部43との間には、ロック装置70と同一サイズの部材を収容可能な収容空間がそれぞれ設けられている。このようにすれば、扉13を左開き式とする派生品を製造したり、後面開口をさらに備える派生品を製造する場合に、ロック装置を当該収容空間に収容できるようになる。
【0047】
外箱11Aのうち、左側壁部43、右側壁部44、及び後壁部45を構成する部分は、
図11に示すように、外左板91、外右板92、外後板93、外左前板94、及び外右前板95から構成されている。外左板91、及び外右板92の下端部は、
図12に示すように、外箱11Aのうち底壁部42を構成する外底板96と連結されている。また、外左板91、及び外右板92の上端部は、前側部分が第1連結フレーム97によって連結され、後側部分が第2連結フレーム98によって連結されている。これにより、左右方向の撓みが抑制されている。
【0048】
外底板96は、
図12及び
図13に示すように、底板本体96Aと、2つの隆起部96Bと、4つの突出片96Cと、を有する。底板本体96Aは、ステンレス鋼製の薄板をヘミング加工、曲げ加工することで一体形成されている。隆起部96Bは、左右方向に中空柱状に延在しており、底板本体96Aの前後に対をなして設けられている。隆起部96Bは、断面コ字状をなし、底板本体96Aと締結し断面矩形状の中空筒体100を構成している。隆起部96Bには、内部に断熱材11Cが充填されるように、複数の開口96B1が形成されている。隆起部96Bによれば、底壁部42の撓みを抑制し、強度を向上できる。突出片96Cは、上方に突出しており、外左板91及び外右板92の下端部とそれぞれ締結される。これにより、断熱箱体11の強度をより向上できる。突出片96Cは、各隆起部96Bに2つずつ、各隆起部96Bの左右両端部に設けられている。また、中空筒体100の内部には、ロッカー式冷蔵庫10の脚部14を固定する脚部ベース99(
図14)が挿入締結されている。脚部ベース99は、中空筒体100の左右両端部に1つずつ、計4つ設けられている。脚部ベース99を設けることで、脚部14の強度を向上できる。
【0049】
ところで、断熱箱体11の製造工程において外箱11Aと内箱11Bとの間に充填した断熱材11Cが固化する過程で、発泡圧力により、外箱11Aが外側に僅かに膨らみ、反りが生じることがある。複数台のロッカー式冷蔵庫10を隣接設置した場合、この反りによって隣り合う台の間には隙間が生じる懸念がある。そこでロッカー式冷蔵庫10は、
図15及び
図16に示すように、右側壁部44の突出部44Aの庫外側に、所定のギャップG1(1から2mm程度)を空ける形で、カバー部材56を備えている。カバー部材56は、ロッカー式冷蔵庫10の右側面のほぼ全面を覆う外装板であって、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に曲げ加工することにより断面略コ字状に形成されている。カバー部材56は、機械室15の右方を囲っている右サイドパネル15C、右側壁部44の突出部44A、及び右コーナーパネル部材74,75を庫外側から覆っている。右コーナーパネル部材74,75の庫外側の面は、突出部44Aを構成する外箱11Aの庫外側の面より僅かに庫外側に突出しており(
図15)、これによりカバー部材56と突出部44Aとの間にギャップG1が形成されている。
【0050】
このようにすれば、仮に突出部44Aの庫外側の面に反りが生じた場合であっても、突出部44Aの反りはカバー部材56によって庫外側から覆われるため、ロッカー式冷蔵庫10の外装右側面は平坦化されるようになる。また、突出部44Aとカバー部材56との間はギャップG1だけ空いているため、突出部44Aがカバー部材56に近づくように反った場合であっても、突出部44Aによってカバー部材56が庫外側に押し出されることはなく、カバー部材56の平坦性が維持されるようになっている。その結果、隣り合う台の間に発生する隙間をより抑制しやすくなる。また、このようにすれば、隣接するロッカー式冷蔵庫10の突出部44A,43A同士が密着しないようにできる。突出部44A,43Aは断熱壁であるものの、互いに密着すると、断熱性能によっては密着面に結露が生じてしまう懸念がある。カバー部材56によって突出部44A,43A同士を非密着とすることで、結露を抑制できる。
【0051】
なお、カバー部材56は、少なくとも断熱壁である突出部44Aを庫外側から覆う大きさを有していればよい。また、カバー部材56は、左側壁部43の突出部43Aの庫外側にも左右対称に設けられているものとされる。ただし、例えば
図2において、突出部43Aとコーナーパネル部材72,73との前後方向の位置関係を明示するために、本願明細書の各図面においては、突出部43Aを覆うカバー部材は取り外された状態で図示されている。
【0052】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0053】
(1)左ダクト53の流入孔53B、右ダクト54の流出孔54Bの数、形状、及び配置は、貯蔵室12の大きさ等に合わせて適宜変更可能である。また、上パネル51に流出孔を設け、貯蔵室12の空気が、上パネル51の流出孔を通っても吸込口25に向えるようにしても構わない。
【0054】
(2)貯蔵室12は区画されておらず、扉13は1つだけ設けられていても構わない。
【0055】
(3)循環用ファン24、冷却装置16の各部の配置は図示に限られず、冷気が所望の方向に循環すれば他の配置であっても構わない。
【0056】
(4)第1前面開口11S1に加えて、貯蔵室12に繋がる後面開口が設けられ、後面開口を開閉する第2の扉が備えられていてもよい。このようにすれば、貯蔵室12に対して、前方及び後方の両方から被貯蔵物を出し入れ可能となる(いわゆるパススルータイプ)。パススルータイプの冷蔵庫によれば、例えば、前面の扉13を使用者の開閉用とし、後面の第2の扉を管理者の開閉用とすることができる。
【0057】
(5)ロッカー式冷蔵庫10の冷却温度は、冷蔵保存温度に限られず、冷凍保存温度であっても構わない。すなわち、ロッカー式冷却貯蔵庫は、ロッカー式冷凍庫であっても構わない。また、本技術は、ロック装置70を備えない、ロッカー式冷蔵庫10以外の冷蔵庫にも適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10:ロッカー式冷蔵庫(ロッカー式冷却貯蔵庫)、11:断熱箱体、11S:前面開口、12:貯蔵室、13:扉、16:冷却装置、42:底壁部、43:左側壁部(側壁部)、43A,44A:突出部、44:右側壁部(側壁部)、48:棚網(棚)、53:左ダクト(ダクト)、53B:流入孔(通風孔)、54:右ダクト(ダクト)、54B:流出孔(通風孔)、56:カバー部材、70:ロック装置、72,73:左コーナーパネル部材(パネル部材)、74,75:右コーナーパネル部材(パネル部材)、G1:ギャップ