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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061492
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 29/00 20060101AFI20230425BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
F25D19/00 550Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171405
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】奥村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】機械室の放熱を簡単、かつ効率よく行う。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の上方に配され、上面が開口する機械室15と、を備え、機械室15内には、断熱箱体11内を冷却する冷却装置16を構成する圧縮機17と、凝縮器18と、前記凝縮器18の空冷用の凝縮器ファン19と、制御装置60を収容する電装箱60Aと、が配されており、電装箱60Aは、凝縮器ファン19から吹き出される空気の流出側に設けられると共に、凝縮器ファン19から吹き出された空気の風向を上方に向かって変更可能な立設面60A1を有し、圧縮機17は、凝縮器ファン19と電装箱60Aの立設面60A1との間に配されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱体と、
前記断熱箱体の上方に配され、上面が開口する機械室と、を備え、
前記機械室内には、前記断熱箱体内を冷却する冷却装置を構成する圧縮機と、凝縮器と、前記凝縮器の空冷用の凝縮器ファンと、制御装置を収容する電装箱と、が配されており、
前記電装箱は、前記凝縮器ファンから吹き出される空気の流出側に設けられると共に、前記凝縮器ファンから吹き出された空気の風向を上方に向かって変更可能な立設面を有し、
前記圧縮機は、前記凝縮器ファンと前記電装箱の前記立設面との間に配されている冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記断熱箱体には、前記断熱箱体内に被貯蔵物を出し入れするための前面開口が設けられており、
前記凝縮器ファン、前記圧縮機、及び前記電装箱は、前後方向について前から後ろに向かってこの順に配されている請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記前面開口を開閉するための扉と、
前記扉を施錠するためのロック装置と、を備える請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記電装箱の前記立設面には、放熱板が設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫では、貯蔵庫本体である断熱箱体の上方に機械室を設けて、機械室内に冷却装置を構成する圧縮機、及び凝縮器を収容することが知られており、その一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の冷蔵庫は、機械室を上方から覆う機械室カバーの上面が断熱箱体の上面より高くなるように配置されると共に、機械室の上面左右に設けられた開口部の位置が機械室カバーの上面より低くなるように配置されている。このような構成によれば、圧縮機、及び凝縮器の発熱によって生じる温かい空気を機械室から排気し、温度の低い外気を機械室に取り込んで、効率よく放熱できるとされている。また、機械室からの放熱を促進することで、圧縮機、及び凝縮器の過度な温度上昇を抑制し、冷蔵庫の信頼性を確保できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-203602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、機械室からの放熱を設計通りに実現するためには、機械室カバーと機械室の開口部の位置を精度よく調整する必要がある。また、機械室には、圧縮機及び凝縮器以外にも、運転制御や電源供給を行う制御装置(電源ユニット)等を収容することが一般的であり、実際の放熱設計には、制御装置の発熱も考慮する必要がある。さらには、放熱設計の難易度は、機械室の大きさが小さくなるほど上がってしまう。例えば、食品等の荷物を冷却保存しつつ、施錠できるロッカー式冷却貯蔵庫の場合、前面横幅は人の肩幅程度に小さいことが多く、上方に配された機械室の大きさも小さくなりがちである。機械室が小さい場合、熱がこもりやすく、放熱を効率よく簡単に行うことは難しいのが実情である。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、機械室の放熱を簡単、かつ効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に関わる冷却貯蔵庫は、断熱箱体と、前記断熱箱体の上方に配され、上面が開口する機械室と、を備え、前記機械室内には、前記断熱箱体内を冷却する冷却装置を構成する圧縮機と、凝縮器と、前記凝縮器の空冷用の凝縮器ファンと、制御装置を収容する電装箱と、が配されており、前記電装箱は、前記凝縮器ファンから吹き出される空気の流出側に設けられると共に、前記凝縮器ファンから吹き出された空気の風向を上方に向かって変更可能な立設面を有し、前記圧縮機は、前記凝縮器ファンと前記電装箱の前記立設面との間に配されている。
【0007】
このようにすれば、電装箱の立設面によって、凝縮器ファンから吹き出される空気を上方に向かわせて、開放された機械室の上面から外部に放出することができる。また、凝縮器ファンからの空気が、電装箱の立設面によって風向変更される際には、凝縮器ファンからの空気は電装箱の立設面で受けられるため、立設面は当たった空気で冷却される。これにより、制御装置を空冷することができる。さらに、圧縮機は凝縮器ファンと電装箱の立設面との間に配されているため、凝縮器ファンから吹き出される空気は圧縮機にも当たって、圧縮機を空冷することもできる。圧縮機は冷却されつつ、圧縮機の熱(排気)は、凝縮器ファンから吹き出される空気に付勢されて、電装箱の立設面に向かって流れる。そして、圧縮機の排気は、凝縮器ファンから吹き出される空気と共に、電装箱の立設面によって風向変更されて、開放された機械室の上面から外部に放出される。その結果、機械室からの放熱を簡単、かつ効率よく行うことができる。
【0008】
また、前記断熱箱体には、前記断熱箱体内に被貯蔵物を出し入れするための前面開口が設けられており、前記凝縮器ファン、前記圧縮機、及び前記電装箱は、前後方向について前から後ろに向かってこの順に配されていてもよい。このようにすれば、前方に配される凝縮器ファンに外気が吸い込まれやすくなり、機械室内を冷却しやすくなる。冷却貯蔵庫は、左右側方及び後方が、建物の壁や隣接設置される他の冷却貯蔵庫等で覆われることが多いが、前方は被貯蔵物の出し入れの都合上、スペースが確保されていることが多い。このため、凝縮器ファンを前側に配することで外気を取り込みやすくなり、凝縮器ファンから吹き出された空気を後ろに向かって流すことで、機械室内を冷却しやすくなる。その結果、機械室の放熱をより効率よく行うことができる。
【0009】
また、前記前面開口を開閉するための扉と、前記扉を施錠するためのロック装置と、を備えていてもよい。このようにすれば、ロッカー式冷却貯蔵庫を実現できるが、一般的なロッカーは、前面横幅が人の肩幅程度に小さいことが多く、これに伴い、ロッカー式冷却貯蔵庫の機械室の大きさも小さくなりがちである。本実施形態によれば、機械室が小さく、熱がこもりやすい場合であっても、簡単、かつ効率よく放熱できる。
【0010】
また、前記電装箱の前記立設面には、放熱板が設けられている。このようにすれば、放熱板によって電装箱の冷却を促進することができる。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、機械室の放熱を簡単、かつ効率よく行うことを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係るロッカー式冷蔵庫の使用態様を示す斜視図
図2】実施形態1に係るロッカー式冷蔵庫の斜視図
図3図2のIII-III線断面斜視図
図4図2のIV-IV線断面図
図5】左コーナーパネル部材を取り外し、扉とロック装置の係合部分を拡大した斜視図
図6図2の機械室付近を拡大した斜視図
図7図4の機械室付近を拡大した断面図
図8】機械室の上面図
図9図6のIX-IX線断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
実施形態1に係るロッカー式冷蔵庫10(冷却貯蔵庫の一例)について図1から図9を参照して説明する。各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、ロッカー式冷蔵庫10の前後方向における前、後、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左、右、鉛直方向(上下方向)の上、下を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付して、他の部材の符号は省略することがある。
【0014】
ロッカー式冷蔵庫10は、図1及び図2に示すように、全体として縦長の略直方体状をなしており、扉13が前面となるように複数台が隣接して並べられて使用される。ロッカー式冷蔵庫10は、例えば店舗の店先やショッピングモール内に設置され、食品、薬品等の荷物(被貯蔵物の一例)を冷却しつつ、施錠状態で収容することができる。ロッカー式冷蔵庫10は、サービス提供者(例えば、店員や宅配員)が収容した荷物を、サービス使用者(例えば、購入者)が受け取るために用いられるが、用途は限定されない。例えば、サービス使用者が一時的に荷物を冷却保管するために用いられても構わない。またロッカー式冷蔵庫10は、用途や設置場所によっては、複数台でなく1台のみが設置されて用いられても構わない。以下、サービス提供者及びこれに許可された者を管理者とし、サービス提供者を単に使用者とする。
【0015】
隣接設置される複数台のロッカー式冷蔵庫10のうちの1台は、図1に示すように、操作端末80を備えている。操作端末80は、操作パネル等の入力手段80A、またはバーコードリーダ等の読取手段80Bの少なくとも一方を備える情報端末であって、タブレット型端末、コンピュータ等の既知の端末が用いられる。使用者は、操作パネルにパスワードを入力したり、バーコードリーダに2次元バーコードを読み取らせることで、後述する扉13のロック装置70を解錠または施錠できる。操作端末80は、ロッカー式冷蔵庫10とは別体として周囲に設置されていても構わず、またロック装置70が電子錠でない場合には、必要とされない。各台の基本的構成は、操作端末80以外は共通であり、以下では、図2に示す操作端末80を備えないロッカー式冷蔵庫10を例に詳しく説明する。
【0016】
ロッカー式冷蔵庫10は、図2から図4に示すように、おおまかには、貯蔵庫本体である断熱箱体11と、断熱箱体11の前面開口11Sを開閉するための複数の扉13と、扉13を施錠するために扉13毎に設けられた複数のロック装置70と、断熱箱体11の上方に配された機械室15と、断熱箱体11内に形成される貯蔵室12を冷却するための冷却装置16と、を備える。
【0017】
断熱箱体11は、図3及び図4に示すように、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱11Aと内箱11Bとの間に、発泡樹脂製の断熱材11Cが充填された構造を有する。断熱箱体11は、天井壁部41と、底壁部42と、左側壁部43と、右側壁部44と、後壁部45と、を有する断熱壁から構成されている。左側壁部43は、図2に示すように、前後方向についての中央部が所定の幅で庫外側(貯蔵室12と反対側)に向かって突出する突出部43Aを有する。左側壁部43の庫外側において、この突出部43Aの前方には第1左コーナーパネル部材72が設けられ、後方には第2左コーナーパネル部材73が設けられている。右側壁部44は、左側壁部43と左右対称な形状をなしており、基本的な構成は同一である。
【0018】
天井壁部41には、図3及び図4に示すように、開口が設けられており、この開口には断熱性を有する天井蓋体46が機械室15側から嵌め込まれている。天井蓋体46の下方には、冷却器ダクト23が張設されることによって冷却器室20が形成されている。さらに冷却器ダクト23の下方には、天井壁部41と平行な平坦面を有する上パネル51が取り付けられている。左側壁部43には、左ダクト53が上下方向に沿って取り付けられている。また、右側壁部44には、右ダクト54が上下方向に沿って取り付けられている。そして、上パネル51、左側壁部43、左ダクト53、右側壁部44、右ダクト54、及び底壁部42で囲まれた部分が、被貯蔵物を収容するための貯蔵室12となっている。
【0019】
貯蔵室12は、図3及び図4に示すように、断熱箱体11の内部空間(庫内)の大部分を占めており、複数(具体的には4つ)の棚網48によって上下に複数(具体的には4つ)の収容スペース12A,12B,12C,12Dに区画されている。棚網48は、左側壁部43及び右側壁部44の貯蔵室12側の面に取り付けられており、被貯蔵物を載置することができる。より詳しくは、棚網48は、左側壁部43において左ダクト53が設けられていない部分、及び右側壁部44において右ダクト54が設けられていない部分に、棚受具48Aによって取り付けられている。
【0020】
断熱箱体11の前面には、図4に示すように、複数(具体的には4つ)の横フレーム49が設けられている。横フレーム49は、断熱材が充填された中実の角柱状部材であって、左側壁部43から右側壁部44に亘って左右方向に延在している。前面開口11Sは、横フレーム49によって、収容スペース12A,12B,12C,12Dに対応する大きさに分割されている。
【0021】
扉13は、図4に示すように、横フレーム49によって区画された前面開口11Sの各部分を開閉できるように複数(具体的には4つ)設けられている。被貯蔵物は、第1前面開口11S1を通じて各収容スペース12A,12B,12C,12Dに出し入れされる。各扉13は、揺動式の右開きの断熱扉であって、扉13の右側部分がヒンジ部材13A(図1)によって断熱箱体11に取り付けられている。また、各扉13は、図5に示すように、左側部分の前面に凹形状の引手13Bと、左側部分の後面にロック装置70と係合する係合板13Cと、を備える。係合板13Cは、後方に突出する板状部材であって、その先端部に、ロック装置70の可動棒体70Bが挿入される係合穴13C1が形成されている。
【0022】
ロック装置70は、図2に示すように、扉13の左側部分の後方に設けられている。ロック装置70は、左側壁部43と、第1左コーナーパネル部材72との間に収容される形で、左側壁部43の庫外側に設けられている。ロック装置70は、図5に示すように、縦長箱状の本体部70Aと、可動棒体70Bと、を備える。本体部70Aの前面には、後方に向かって細長く延びる差込穴70A1が設けられており、差込穴70A1に扉13の係合板13Cが差し込まれる。可動棒体70Bは、扉13の閉状態において、係合板13Cの係合穴13C1に挿入可能な位置に設けられており、上下方向に動くことができる。ロック装置70は、電子錠であって、操作端末80からの解錠信号を受信すると、可動棒体70Bが上方向に動いて扉13の係合穴13C1から引き抜かれ、これにより扉13を開くことができるようになる。また、操作端末80からの施錠信号を受信すると、可動棒体70Bが下方向に動いて扉13の係合穴13C1に挿入され、これにより扉13を開くことができない閉状態となる。ただし、ロック装置70は、施錠忘れを防止するために、扉13が閉じられると自動的に施錠されるオートロック機能を備えていても構わず、その種類は限定されず、電子錠でなくても構わない。さらにロッカー式冷蔵庫10は、管理者が全てのロック装置70を一括解錠できる解錠装置を備えていても構わない。
【0023】
機械室15は、図2から図4、及び図6から図8に示すように、断熱箱体11の上方に配されており、前方、左方、及び右方はそれぞれ、フロントパネル15A、左サイドパネル15B、右サイドパネル15Cで覆われている。機械室15の後面には、左サイドパネル15Bの上端部と、右サイドパネル15Cの上端部とを連結する棒状の連結フレーム15Dが設けられている。機械室15の後面において、連結フレーム15Dより下側部分は後面開口15S1となっている。機械室15の上方はパネルで覆われておらず、上面のほぼ全体が開放されている。機械室15の上面は、フロントパネル15A、左サイドパネル15B、右サイドパネル15C、及び連結フレーム15Dの各上端部によって囲まれており、これらを開口縁として上面開口15S2が形成されている。機械室15には、冷却装置16を構成する圧縮機17、凝縮器18、及び凝縮器18の空冷用の凝縮器ファン19の他に、制御装置60(電源ユニット)、オペレーションボックス61、並びにロック装置用中継機62等が収容されている。
【0024】
冷却装置16は、図3及び図4に示すように、圧縮機17、凝縮器18、膨張弁(キャピラリーチューブ)、及び後述する冷却器室20内の冷却器(蒸発器)21を備えており、これらがこの順に冷媒管27で繋がれて冷媒が循環されることで、既知の冷凍回路(冷凍サイクル)が形成されている。冷媒管27の一部は断熱被覆材28で被覆されている。圧縮機17は、筐体内に速度可変のモータを備えるインバータ圧縮機である。モータには、例えば交流誘電モータや直流ブラスレスモータが用いられる。圧縮機17は、モータを動力源として冷媒ガスを吸引して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを吐出する。圧縮機17は、モータが回転して駆動されると発熱する。なお、圧縮機17は、速度一定のモータを備える定速圧縮機であっても構わない。
【0025】
凝縮器18は、圧縮機17で圧縮された冷媒ガスを凝縮器ファン19の送風により冷却して液化させる。凝縮器18は、図6から図8に示すように、凝縮管18Aと、多数のフィンと、これらを収容する凝縮器ボックス18Bと、を備える。凝縮管18Aは、凝縮器ボックス18B内のフィンを貫通して凝縮器ボックス18Bの側面を突き抜け、U字状に折り返されている。凝縮器ボックス18Bの前面開口には、エアフィルタ18Cが取り付けられている。エアフィルタ18Cによって凝縮器ボックス18B内に塵埃等の異物が侵入しフィン等に付着してしまう事態が抑制される。
【0026】
凝縮器ファン19は、図7から図8に示すように、凝縮器ボックス18Bの後方に設けられている。循環用ファン19は、複数枚の羽根を備え、モータによって回転駆動される。凝縮器ファン19の前側部分は、凝縮器ボックス18Bの後面開口に挿入されている。凝縮器ファン19が作動すると、外気が凝縮器ボックス18B内を前から後ろに通過して、凝縮管18A内の冷媒が空冷される。凝縮器18とフロントパネル15Aとの間は、所定の間隔が空けられており、これにより外気は、機械室15の上方から上面開口15S2を通って、凝縮器18とフロントパネル15Aとの間の空間に取り込まれる。取り込まれた外気は、凝縮器ボックス18Bを通過して、凝縮器ファン19に吸い込まれ、凝縮器ファン19の後側に吹き出される。なお、ロッカー式冷却貯蔵庫10は、左右側方及び後方が、隣接設置される他のロッカー式冷却貯蔵庫10や建物の壁で覆われるように設置されることが多いが、前方は扉13の開閉、及び被貯蔵物の出し入れの都合上、スペースが確保されていることが多い。機械室15の前側に凝縮器ファン19を配することで、前上方から外気を取り込みやすくなる。
【0027】
冷却器21は、凝縮器18からの冷媒液を膨張弁により減圧してから気化させることで、気化熱によって冷却器21を通過する空気を冷却する。冷却器21からの冷媒ガスは、圧縮機17に帰還される。
【0028】
制御装置60は、図2から図4に示すように、機械室15の後側に配されている。制御装置60は、ロッカー式冷蔵庫10の運転を制御したり、電源を供給するための回路等を備えており、これらが横長の箱体である電装箱60Aに収容されている。より詳しくは、制御装置60は、圧縮機17を駆動するためのインバータ回路、凝縮器ファン19と後述する循環用ファン24を駆動するためのファンドライブ回路、及びマイクロコンピュータを実装する制御基板、外部からの電力を各部に供給するための電源回路、リレー(SSR)、並びにA/D変換器を電装箱60A内に備えるものとされる。
【0029】
電装箱60Aは、図6から図8に示すように、圧縮機17の後方に立設されている。電装箱60Aは、横長の直方体形状をなし、図9に示すように、機械室15の後面開口15S1の大部分を覆っている。電装箱60Aの上面の上下方向の位置は、連結フレーム15Dの上面よりの僅かに下方に配されている。電装箱60Aの前面60A1(立設面の一例)は、前後方向に交わるように立設している。前面60A1には、放熱性に優れた金属材料からなる平板状の放熱板60Bが設けられている。
【0030】
オペレーションボックス61は、図4及び図7に示すように、フロントパネル15Aの後側に配されており、表示部61A、操作部61B、及び操作基板を備える。表示部61A及び操作部61Bは、オペレーションボックス61の前面に設けられており、表示部61Aに表示される貯蔵室12の内部温度等は、フロントパネル15Aの一部に設けられた開口を通じて、外部から視認可能となっている(図2)。操作部61Bは、貯蔵室12の冷却目標温度等を設定、変更するためのボタンである。操作部61Bは、管理者がフロントパネル15Aを取り外した状態で操作可能となる。表示部61A及び操作部61Bは、操作基板を介して、制御装置60の制御基板と接続されている。
【0031】
ロック装置用中継機62は、図6及び図8に示すように、右サイドパネル15Cの左側(機械室15側)に配されており、各ロック装置70からの引き出し配線が接続されているものとされる。ロック装置用中継機62は、操作端末80と通信接続されており、操作端末80からの解錠信号等は、ロック装置用中継機62を介してロック装置70に伝送される。
【0032】
冷却器ダクト23は、図3及び図4に示すように、断熱箱体11の上部(天井蓋体46)を下方から覆うように設けられており、冷却器ダクト23と天井蓋体46との間には冷却器室20が形成されている。冷却器室20内には、冷却器21、循環用ファン24、及び室内温度センサ等が収容されている。循環用ファン24は、貯蔵室12の空気を循環させつつ冷却器21内を通過させる。冷却器ダクト23の左側部分には、貯蔵室12から冷却器室20内に吸い込まれる空気の吸込口25が形成されており、吸込口25を覆うように循環用ファン24が設けられている。冷却器ダクト23のうち傾斜角度の小さい右側部分には、冷却器21が設けられている。冷却器ダクト23の下方傾斜した先端部(右端部)は、冷却器室20の空気の吹出口26となっている。室内温度センサは、循環用ファン24と冷却器21との間に設けられており、循環用ファン24によって吸い込まれた貯蔵室12の空気が室内温度センサに当たることで、温度が検出される。
【0033】
また、冷却器ダクト23は、庫内ドレンパンを兼ねており、図3に示すように、右端部の一部に下方からドレンホース31が接続されている。ドレンホース31は、右側壁部44内に埋設されて下方に延びており、右側壁部44内から底壁部42内を通って、底壁部42の下方に設けられた庫外ドレンパン32に繋がっている。
【0034】
左ダクト53は、図3及び図4に示すように、断熱箱体11の左側壁部43に沿って設けられており、上下方向に延在している。左側壁部43は、既述したように突出部43Aを有しており、これにより左側壁部43の庫内側は、前後方向についての中央部が所定の幅で窪んでいる。左ダクト53は、この窪んだ部分に設けられている。左ダクト53内(左側壁部43と左ダクト53とに囲まれた空間)は、貯蔵室12内の空気を吸い込んで冷却器ダクト23の吸込口25(ひいては冷却器室20内の冷却器21)に向かって流すための流路となる。
【0035】
左ダクト53は、上パネル51から最下段の棚網48近傍まで下方に延びている。左ダクト53の上部及び下部は開口している。左ダクト53の上部開口は、冷却器ダクト23と上パネル51との間の空間と連通しており、左ダクト53の貯蔵室12側の面の上端部53Aは、上パネル51の左端部と接続されている。左ダクト53の下部開口は、貯蔵室12の下部と連通している。また、左ダクト53には、貯蔵室12内の空気を左ダクト53内に吸い込むための流入孔53B(通風孔の一例)が多数設けられている。
【0036】
右ダクト54は、図3に示すように、左ダクト53と対向する位置に、右側壁部44に沿って設けられており、上下方向に延在している。右側壁部44の庫内側は、上記した左側壁部43と同様に、前後方向についての中央部が所定の幅で窪んでいる。左ダクト53は、左ダクト53と同様に、この窪んだ部分に設けられている。右ダクト54内(右側壁部44と右ダクト54とに囲まれた空間)は、冷却器ダクト23の吹出口26から吹き出される冷却器21からの冷気を、貯蔵室12に向かって流すための流路となる。右ダクト54の上部開口は、冷却器ダクト23の吹出口26と連通しており、下部開口は、貯蔵室12の下部と連通している。また、右ダクト54には、右ダクト54内に流れ込んだ冷気を貯蔵室12に吹き出すための流出孔54B(通風孔の一例)が多数設けられている。
【0037】
冷却運転は、圧縮機17、凝縮器ファン19及び循環用ファン24が駆動されることで行われる。冷却運転において、貯蔵室12の空気は、左ダクト53の流入孔53B及び下端部53Cから左ダクト53内へ流入し、左ダクト53内を上昇して、左ダクト53の上部開口から流出する。左ダクト53から流出した空気は、冷却器ダクト23と上パネル51との間の空間を通って、冷却器ダクト23の吸込口25へ吸い込まれ、冷却器21を通過する過程で熱交換によって冷却されて冷気となる。冷却器21からの冷気は、吹出口26から吹き出されて、右ダクト54内へ流入し、右ダクト54内を下降して、右ダクト54の流出孔54B、及び下端部54Cから貯蔵室12へ吹き出される。このようにして貯蔵室12の空気が冷却される。また、所定の冷却運転時間後等に、適宜行われる除霜運転によって生じる冷却器21等からの除霜水は、冷却器ダクト23で受けられたのち、ドレンホース31を通って庫外ドレンパン32に排水される。
【0038】
次に、上記した構成の機械室15の放熱の仕組みについて説明する。電装箱60Aは、図6から図8に示すように、凝縮器ファン19から吹き出される空気の流出側に位置している。このため、凝縮器ファン19から吹き出された空気は、指向された方向(前後方向に沿う前から後ろ)に沿って、圧縮機17、及び断熱被覆材28で覆われた冷媒管27等の周りの空間を通過して、電装箱60Aの前面60A1に当たる(吹き付けられる)。そして、電装箱60Aの前面60A1に当たった空気は、前面60A1に沿って上方に向かい、開放されている機械室15の上面(上面開口15S2)から外部に放出される。すなわち、機械室15内の空気は、凝縮器ファン19によって前後方向を前から後ろに流れた後、電装箱60Aの前面60A1によって上方に風向変更されて、外部に放出される。
【0039】
ここで、凝縮器ファン19からの空気が、電装箱60Aの前面60A1によって風向変更される際には、凝縮器ファン19からの空気は電装箱60Aの前面60A1で受けられる。これにより、前面60A1は吹き付けられた空気で冷却され、電装箱60A、及びその内部に収容された制御装置60の構成部品を空冷することができる。
【0040】
また、圧縮機17は、凝縮器ファン19と電装箱60Aの前面60A1との間に配されている。これにより、凝縮器ファン19から吹き出される空気の一部は圧縮機17にも当たって、圧縮機17を空冷することができる。圧縮機17は、図8に示すように、機械室15において、左右方向の位置が左サイドパネル15B寄りに配されており、凝縮器ファン19の左側部分の後方に位置している。これにより、凝縮器ファン19から吹き出される空気は、圧縮機17によって過度に遮られることなく、電装箱60Aに対しても到達可能となっている。圧縮機17は冷却されつつ、圧縮機17からの熱(排気)は、凝縮器ファン19から吹き出される空気に付勢されて、電装箱60Aの前面60A1に向かって流れる。そして、圧縮機17の排気は、凝縮器ファン19から吹き出される空気と共に、電装箱60の前面A1によって風向変更されて、機械室15の上面開口15S2から外部に放出される。
【0041】
本実施形態によれば、このようにして機械室15からの放熱を簡単に、効率よく行うことができる。機械室15の上面は開放されているため、上面開口15S2は大きく、上面開口15S2と電装箱60Aの前面60A1との位置を高精度に調整する必要はなく、位置合わせは容易である。また、上面開口15S2に向かって風向を変更するための部材が、制御装置60を収容する電装箱60Aの前面60A1であるため、風向変更と共に、電装箱60A自身を吹き付けられた空気によって冷却することができる。さらに、冷却される前面60A1には放熱板60Bが設けられており、放熱効率をより一層高められるようになっている。
【0042】
ロッカー式冷蔵庫10の大きさは限定されないものの、一般なロッカーは、前面横幅が人の肩幅程度に小さいことが多く、ロッカー式冷蔵庫10の機械室15の大きさも小さくなりがちである。また、ロッカー式冷蔵庫10は、既述したように複数台が隣接設置されることから、左右側方からの放熱が容易でなく、さらに後面が壁に面して設置される場合には、後方及び左右側方からの放熱が難しくなる。本実施形態によれば、例えばそのように機械室15に熱がこもりやすい状況下であっても、機械室15の放熱を簡単、かつ効率よく行うことができる。その結果、機械室15内に収容された機器(具体的には、圧縮機17、凝縮器18、制御装置60)の過度な温度上昇を抑制し、ひいては冷却性能の低下、及び各機器の信頼性を確保できるようになる。
【0043】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0044】
(1)電装箱60は、凝縮器ファン19から吹き出された空気の風向を上方に向かって変更可能な立設面を備えていればよく、その形状は横長の直方体形状以外であっても構わない。
【0045】
(2)左ダクト53の流入孔53B、右ダクト54の流出孔54Bの数、形状、及び配置は、貯蔵室12の大きさ等に合わせて適宜変更可能である。また、上パネル51に流出孔を設け、貯蔵室12の空気が、上パネル51の流出孔を通っても吸込口25に向えるようにしても構わない。
【0046】
(3)貯蔵室12は区画されておらず、扉13は1つだけ設けられていても構わない。
【0047】
(4)前面開口11Sに加えて、貯蔵室12に繋がる後面開口が設けられ、後面開口を開閉する第2の扉が備えられていてもよい。このようにすれば、貯蔵室12に対して、前方及び後方の両方から被貯蔵物を出し入れ可能となる(いわゆるパススルータイプ)。パススルータイプの冷蔵庫によれば、例えば、前面の扉13を使用者の開閉用とし、後面の第2の扉を管理者の開閉用とすることができる。
【0048】
(5)循環用ファン24、冷却装置16の各部の配置は図示に限られず、冷気が所望の方向に循環すれば他の配置であっても構わない。
【0049】
(6)冷却貯蔵庫は、ロック装置70を備えない、ロッカー式冷蔵庫10以外の冷蔵庫であっても構わない。また、その冷却温度は、冷蔵保存温度に限られず、冷凍保存温度であっても構わない。
【符号の説明】
【0050】
10:ロッカー式冷蔵庫(冷却貯蔵庫)、11:断熱箱体、11S:前面開口、13:扉、15:機械室、15A:フロントパネル、16:冷却装置、17:圧縮機、18:凝縮器、19:凝縮器ファン、60:制御装置、60A:電装箱、60A1:前面(立設面)、60B:放熱板、70:ロック装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9