(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061497
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ルーバー体
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20230425BHJP
E06B 7/082 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E04H17/16 101
E06B7/082
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171411
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻村 圭哉
【テーマコード(参考)】
2E036
2E142
【Fターム(参考)】
2E036JA01
2E036KA03
2E036LA01
2E036NA05
2E036NB01
2E036PA05
2E142DD06
2E142DD10
2E142DD23
2E142DD25
2E142DD29
2E142JJ11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、使い勝手のよいルーバー体の提供を課題とする。
【解決手段】本発明は、上桟3と複数のルーバー材を備え、上桟3は、下面に垂下部31を有しており、少なくとも最上部ルーバー材12は、垂下部31に向かって延びるフィン部121を有しており、フィン部121と垂下部31は、近接しているが当接していないことを特徴とするルーバー体1とすることで課題を解決した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上桟と複数のルーバー材を備え、
上桟は、下面に垂下部を有しており、
少なくとも最上部ルーバー材は、垂下部に向かって延びるフィン部を有しており、
フィン部と垂下部は、近接しているが当接していないこと
を特徴とするルーバー体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスや窓に設置するルーバー体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フェンスや窓にルーバー体を取り付け、外から中が見えないように目隠しすることや、通風を確保することが行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ルーバー体は古くからあり、技術開発が行われているが、更なる使い勝手の改善が求められていた。
本発明は、使い勝手のよいルーバー体の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上桟と複数のルーバー材を備え、上桟は、下面に垂下部を有しており、少なくとも最上部ルーバー材は、垂下部に向かって延びるフィン部を有しており、フィン部と垂下部は、近接しているが当接していないことを特徴とするルーバー体とすることで、前述の課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
一部から光漏れが生じることなく、使い勝手が良くなった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(A) ルーバー体の正面図である。(B)
図1(A)に付したa-a間の横断面図である。(C)
図1(A)に付したb-b間の縦断面図である。
【
図2】(A)ルーバー材(横格子)の側面図である。(B)最上部ルーバー材の側面図である。
【
図3】フィンの機能の説明図である。(A)
図1(C)に付した枠cの拡大図である。(B)
図3(A)に付した枠dの拡大図である。
【
図4】実施態様1の説明図である。(A)従来例の日光が入るルーバー体の例。(B)従来例の最上部ルーバー材を垂下部に当接させて日光を防ぐ例。(C)実施態様1の例。
【
図5】実施態様2の説明図である。(A)従来例の日光が入るルーバー体の例。(B)実施態様2の例
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のルーバー体1は、窓やフェンスなど様々な箇所で使われているものである。
以下、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
また、以下の実施態様1および実施態様2では、説明を分かりやすくするために、ルーバー体1は、取付枠19を用いてパネル体に組み上げたものをルーバー体(パネル体)1として説明する。しかしながら、本発明は、上桟3や下桟4を現場で組み上げてルーバー体1とするものも含むものであり、予めパネル体となっているものに限られない。さらに、取付枠19は、本発明において必ずしも必要ではない。取付枠19に代わるルーバー材11を取り付けるもの(例えば、上下に延びる中桟)があり、ルーバー体1となり得れば本発明に含まれることは言うまでもない。パネル状のルーバー体1とすることは、本発明に含まれる態様の一例に過ぎない。
【0009】
また、本発明の上桟3は、ルーバー体1を窓に設置する場合は、上枠などに相当する。実施例に含まれる実施態様は、フェンスに用いられるルーバー体1について説明するものであるが、本発明は、ルーバー体1を窓などに設置する態様を包含する。どこに用いられるものであれ、ルーバー体1といえるものであれば、本発明に含まれ得る。本発明の上桟3に相当する機能を有する部材であれば、ルーバー体1が取付けられる場所により、部材の名称が変わっても本発明に包含されることは言うまでもない。
【実施例0010】
(実施態様1)
図1(A)はルーバー体(パネル体)1の正面図であり、
図1(B)は
図1(A)に付したa-a間の横断面図であり、
図1(C)は、
図1(A)に付した、b-b間の縦断面図である。ルーバー体(パネル体)1は、上桟3と下桟4を備えており、上桟3と下桟4の間に、横方向に長尺なルーバー材(横格子)11を有している。最上部ルーバー材12は、多数配設されたルーバー材(横格子)11の最も高い部分に設置されるものである。
ルーバー体(パネル体)1の左右両端部には、取付枠19がある。取付枠19は、ルーバー材(横格子)11を取り付ける取付部(図示せず)を有している。ルーバー材(横格子)11は、所定間隔離して一枚一枚ビス191により、取付枠19に固定される。ルーバー材(横格子)11と隣接するルーバー材(横格子)11との間隔は、通風性や目隠し性などを考慮して適宜決められている。
【0011】
ルーバー材(横格子)11は、2種類あり、最上部のみ他の部分のルーバー材(横格子)11と異なった構造のものが採用されており、最上部以外は、同じ構造のルーバー材(横格子)11となっている。
図2(A)はルーバー材(横格子)11の側面図である。ルーバー材(横格子)11は、多数取り付けられており、同じ形状をしている。その構造は、上下方向中央に略矩形の枠部13がある。枠部13の上面外側には、上方に向けて延びる垂直面部17が接続されており、それに続き傾斜面部16を備えた上部ルーバー面部14となっている。また、枠部13の下面内側には、下方に向けて延びる傾斜面部16が接続されており、それに続き垂直面部17を備えた下部ルーバー面部15となっている。枠部13は、ルーバー材(横格子)11の強度に寄与しており、また、ルーバー体(パネル体)1の両端部に設けられた取付枠19(
図1(B)参照)とビス191で締結される部分となっている。
【0012】
実施態様1は、最上部を除き、同じルーバー材(横格子)11を使用することとした。変形例として、目隠し性を重視する機能を強化したものや、採光性を重視した機能を強化したルーバー材(横格子)11など、顧客の要望に応じて、多数種類のルーバー材(横格子)11を採用することもできる。
図2(A)には、下部にあるルーバー材(横格子)11の上端が図示されている。下部のルーバー材(横格子)11の上端と、上にあるルーバー材(横格子)11下端との間には、隙間ができる。隙間は、図示した矢印のように通風路を形成し通風に寄与する。
なお、多数種類のルーバー材(横格子)11を採用してもよい。ただし、意匠性を考慮して外観が同じに見えるものを採用することが好ましい。
【0013】
最上部ルーバー材(横格子)12は、他のものと異なった構造である。
図2(B)は最上部ルーバー材12の側面図である。最上部ルーバー材12は、枠部13、上部ルーバー面部14および下部ルーバー面部15を備えている点で、基本的な構造はルーバー材(横格子)11と同じである。しかし、上部ルーバー面部14と下部ルーバー面部15の長さは、ルーバー材(横格子)11より短く構成されている。そして、上部ルーバー面部14の上端には、水平方向に延びるフィン部121が設けられている。また、下部ルーバー面部15は、垂直面部17しか有しておらず、枠部13の下面外側に取り付けられている点でも、他のルーバー材(横格子)11と異なる構造をしている。
【0014】
(フィン部の機能)
図3はフィン部の機能の説明図であり、
図3(A)は
図1(C)に付した枠cの拡大図である。上桟3は、上桟本体部34とスライド部33を備えている。上桟本体部34は、スライド部33に対して、スライドさせることで分離できるようになっている。スライド部33は、下面に垂下部31を有している。最上部ルーバー材12は、垂下部31に向かって延びるフィン部121を有している。次に、垂下部31とフィン部121の機能を説明する。
【0015】
従来から、垂下部31を有するルーバー体(パネル体)1は存在していた。従来の最上部ルーバー材12にはフィン部121がなく、最上部ルーバー材12の傾斜面部16は垂下部31と当接するようになっていた。最上部ルーバー材12の傾斜面部16と垂下部31が当接しているため、風雨に晒されても、雨水の侵入を防ぐことができる。さらに、最上部ルーバー材12の傾斜面部16と垂下部31が当接しているため、日光がルーバー体(パネル体)1の上部から入り込むことも防ぐことができた。
【0016】
しかしながら、強風で最上部ルーバー材12があおられ動くことがある。最上部ルーバー材12の傾斜面部16と上桟3の部材である垂下部31は、両者が当接していると、強風で動いた最上部ルーバー材12の先端が、垂下部31に対して当接と離間を繰り返し、騒音源となることがあり、使い勝手が悪かった。
【0017】
図3(B)は、枠d内拡大図である。実施態様1の最上部ルーバー材12は、傾斜面部16の先端に垂下部31に向かって延びるフィン部121が設けられている。そして、フィン部121と垂下部31は、近接しているが当接していない、すなわち、両者の間に隙間32を設けることとした。両者が当接していないため、最上部ルーバー材12が強風時に動くようなことがあっても、フィン部121と垂下部31が衝突して騒音を発生することが無くなった。また、非常に強い強風が吹いたときでも、両者が衝突する頻度は従来と比較して格段に少なくなり使い勝手が向上した。
【0018】
図4(A)は従来例の日光が入るルーバー体(パネル体)1の例である。最上部ルーバー材12は上桟3の下面に設けた垂下部31と近接するが当接していないような位置に設けられている。この例では、最上部ルーバー材12の先端と垂下部31は、強風にあおられても当接しないため、騒音は発生しないが、日光が隙間から入り込む。
【0019】
図4(B)は、従来例の最上部ルーバー材12を垂下部31に当接させて日光を防ぐ例である。この従来の例では、日光が入り込むことはないが、垂下部31と最上部ルーバー材12の先端が当接しているため、最上部ルーバー材12が風にあおられて図中の矢印のように動くたびに垂下部31に当たり、騒音が発生する。
【0020】
図4(C)は、実施態様1の例である。実施態様1は、最上部ルーバー材12にフィン部121を有している。そして、垂下部31は、従来例より内側に設置されている。フィン部121は、最上部ルーバー材12の先端に設けられている必要はないが、最上部ルーバー材12の先端に設けられていることが好ましい。
【0021】
実施態様1は、フィン部121と垂下部31は、近接しているが当接していない例であるため、このフィン部121の長さ分だけ、垂下部31の位置を内側(室内側)に寄せることができる。垂下部31の位置は、より内側(室内側)に寄せられることで、日光は上桟3に遮られて入りにくくなる。さらに、フィン部121もあるため、日光が隙間32を通って入ることはなくなる。しかも、フィン部121と垂下部31は、近接しているが当接していないので、
図4(B)の例のように、最上部ルーバー材12が風にあおられて動くことがあっても、垂下部31と当接せず、騒音が発生しない。
図4(C)の最上部ルーバー材12の位置は、
図4(A)の最上部ルーバー材12の位置と全く同じであり、垂下部31のみが内側に寄せられた位置に設けられている。垂下部31を設ける位置を変えることは、上桟3のスライド部33の交換で対応可能である。
図4(B)のように、ルーバー材(横格子)11全体を動かすことは大変であるが、実施態様1では、
図4(C)のようにするのに、最上部ルーバー材12の交換と、スライド部33の交換だけで足りる。このように、実施態様1は、部材の交換だけで足りるため、使い勝手が良くなった。
【0022】
なお、フィン部121は、垂下部31の最下端(図中の鎖線)より上にあることが好ましい。フィン部121が垂下部31の最下部より下にあると、夕暮れ時などに日光が入る可能性が出てくる。また、フィン部121が垂下部31の最下部より上にあると、雨の吹き込みも防ぐことができる。
【0023】
また、フィン部121と垂下部31は、近接しているが当接していないように構成されるため、両者の間に隙間32ができる。隙間32の好ましい寸法は、最上部ルーバー材12の撓み強度によって変わり得る。最上部ルーバー材12が強風による撓みに対して十分な強度を有するのであれば、隙間32の寸法はわずかでもよい。
【0024】
(実施態様2)
図5は、実施態様2の説明図である。
図5(A)は従来例の日光が入るルーバー体1の例である。従来例は、最上部ルーバー材12の上端と上桟3下面の垂下部31が離れているため、日光が内側に入り込む。
図5(B)は実施態様2の例である。実施態様2は、最上部ルーバー材12の上端に垂下部31に向かって延びる水平なフィン部121が設けられている。フィン部121と垂下部31は、近接しているが当接はしていない。実施態様2は、水平なフィン部121の存在により、日光が外側から内側に入ることが無い。また。フィン部121と垂下部31が当接していないため、強風により最上部ルーバー材12があおられても、フィン部121と垂下部31が当接と離間を繰り返ることはなく、騒音を生じることがない。
実施態様2は、垂下部31の下端がフィン部121よりも下方に位置するため、日光が非常に入りにくい構造となっている。
【0025】
以上、実施態様1と実施態様2について説明をしたが、実施例は、少なくとも最上部ルーバー材12に、垂下部31に向かって延びるフィン部121を有していればよい。他のルーバー材(横格子)11は、どのようなものであっても本発明に包含される。
【0026】
以上、本発明に係る実施態様や変形例を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施態様や変形例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。