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  • 特開-内視鏡装置 図1
  • 特開-内視鏡装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061521
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230425BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20230425BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20230425BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20230425BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61B1/00 732
A61B1/00 731
G02B23/24 A
G02B23/26 A
G02B6/02 411
G02B6/32
G02B6/02 421
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171452
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】591236172
【氏名又は名称】株式会社ハタ研削
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】畠山 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 俊樹
【テーマコード(参考)】
2H040
2H137
2H250
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA02
2H040BA01
2H040CA01
2H040CA22
2H040CA23
2H040CA26
2H040DA03
2H040GA10
2H040GA11
2H137AA08
2H137AB15
2H137BA03
2H137BA04
2H137BA12
2H137BA13
2H137BC04
2H137CC03
2H137CC11
2H137EA02
2H250AC20
2H250AC32
2H250AC37
2H250AD43
2H250AE71
4C161CC04
4C161CC06
4C161FF02
4C161FF46
4C161LL01
(57)【要約】
【課題】挿入管の細径化に適した構成の光伝送路を備えた内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】内視鏡装置1の挿入管2には光ファイバからなる光伝送路6が配置されている。光伝送路6は、集光レンズとして機能する単芯の集光用マルチモード光ファイバ20と、単芯の伝送用マルチモード光ファイバ10と、単芯の光拡散用マルチモード光ファイバ30とから構成されている。対物レンズ5を介して取り込まれる光学像は集光用マルチモード光ファイバ20を介して伝送用マルチモード光ファイバ10のコア径に収束して当該伝送用マルチモード光ファイバ10を介して伝送される。集光用マルチモード光ファイバ20は、一般的な樹脂成形品の集光レンズに比べて、格段に小さな外径寸法、厚さ寸法の円筒体である。1本のマルチモード光ファイバと同程度の外径寸法を備えた極細の光伝送路を実現でき、内視鏡装置の挿入管を細くできる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズで取得した撮影対象の光学像が、光ファイバからなる光伝送路を介して取出される内視鏡装置において、
前記光伝送路は、
1本の単芯のマルチモード光ファイバと、
前記マルチモード光ファイバの入射側端面に接続された単芯の集光用マルチモード光ファイバと、
前記マルチモード光ファイバの出射側端面に接続された単芯の光拡散用マルチモード光ファイバと、
を備えており、
前記集光用マルチモード光ファイバは、前記対物レンズからの入射光の有効光路径が、前記マルチモード光ファイバの前記入射側端面において当該マルチモード光ファイバのコア径以下に収束するように、その光路長が設定されており、
前記光拡散用マルチモード光ファイバは、前記マルチモード光ファイバの前記出射側端面からの出射光の有効光路径が前記入射光の有効光路径まで広がるように、その光路長が設定されている内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記対物レンズは、前記集光用マルチモード光ファイバの入射端面に接合した複眼レンズ、屈折率分布型レンズまたはグレーテッドインデックス型光ファイバである内視鏡装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記マルチモード光ファイバの代わりに、1本の単芯のシングルモード光ファイバを用いる内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用あるいは工業用の内視鏡装置に関し、光ファイバを用いて構成した光伝送路を介して被写体画像を取得する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置としては、多数本の光ファイバの束から構成される画像伝送用光ファイバ(バンドルファイバ)から出力される画像を、接眼レンズを介して目視するタイプのファイバスコープと呼ばれるもの、接眼レンズの代わりにCCDカメラ等のカメラを用いて取得画像を撮影するものなどが知られている。画像伝送用光ファイバを用いた内視鏡装置では、画像伝送用光ファイバの先端(画像入射側の端)に対物レンズを取り付け、対物レンズを介して入射する画像を伝送して、反対側の後端から接眼レンズあるいはCCDカメラなどに出力している。内視鏡装置には、一般的に、多数本の光ファイバを束ねた構成のライトガイド用光ファイバも備わっており、ここを介して照明光源からの照明光が被写体に照射される。
【0003】
特許文献1には、画像伝送用光ファイバおよびライトガイド用光ファイバを備えたファイバスコープを携帯電話に接続して用いるための発明が開示されている。画像伝送用光ファイバは、多数本の光ファイバが束ねられた構成となっており、その先端に、対物レンズが取り付けられている。特許文献2には、撮影光をガイドするための導光部として、マルチコア型の光ファイバが使用されている歯科用プローブ等に用いられるファイバスコープが記載されている。このファイバスコープにおいては、画像伝送用ファイバの先端部に、シリコン系樹脂等から成形されたレンズ部が一体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-189884号公報
【特許文献2】特開2015-228887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡装置、例えば、医療用の内視鏡装置においては、被験者の体内に挿入される挿入管は、被験者の負担を軽減するために可能な限り細くすることが望ましい。従来においては、対物レンズを介して得られる撮影画像を光ファイバのコアに集光させるための集光レンズとして、外径が1mm以下のレンズを製作することが物理的に困難であるので、極細の光ファイバを束ねた構成の光伝送路を使用していた。
【0006】
本発明の目的は、この点に鑑みて、単芯のマルチモード光ファイバを集光レンズとして用いて対物レンズからの入射光を光ファイバのコアに集め、光ファイバを介して撮影画像を伝送することで光伝送路を小径にできる内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内視鏡装置において、対物レンズで取得した撮影対象の光学像を伝送する光ファイバからなる光伝送路は、1本の単芯の伝送用マルチモード光ファイバと、この伝送用マルチモード光ファイバの入射側端面に接続された単芯の集光用マルチモード光ファイバと、伝送用マルチモード光ファイバの出射側端面に接続された単芯の光拡散用マルチモード光ファイバとを備えている。
また、集光用マルチモード光ファイバは、対物レンズからの入射光の有効光路径が、伝送用マルチモード光ファイバの入射側端面において当該伝送用マルチモード光ファイバのコア径以下に収束するように、その光路長が設定されている。他方の光拡散用マルチモード光ファイバは、伝送用マルチモード光ファイバの出射側端面からの出射光の有効光路径が入射光の有効光路径まで広がるように、その光路長が設定されている。
【0008】
ここで、伝送用マルチモード光ファイバに代えて、1本の単芯の伝送用シングルモード光ファイバを用いてもよい。また、対物レンズとしては、集光用マルチモード光ファイバの入射端面に接合した複眼レンズ、屈折率分布型レンズまたはグレーテッドインデックス型光ファイバを用いることができる。
【0009】
本発明の内視鏡装置では、対物レンズで取得した撮影対象の光学像が、集光用マルチモード光ファイバを介して、伝送用マルチモード光ファイバの入射側端面に露出している単芯のコアに収束し、伝送用マルチモード光ファイバを介して伝送されて光拡散用マルチモード光ファイバに入射し、当該光拡散用マルチモード光ファイバを介して再び拡散して、結像レンズなどを経由してCCDカメラなどの受光面に結像する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の内視鏡装置では、光伝送路として、1本の単芯の伝送用マルチモード光ファイバの入射側端面に、集光レンズとして機能する単芯の集光用マルチモード光ファイバを接続してある。集光用マルチモード光ファイバは、一般的な樹脂成形品の集光レンズに比べて、格段に小さな外径寸法、厚さ寸法の円筒体である。1本のマルチモード光ファイバと同程度の外径寸法を備えた極細の光伝送路を実現でき、内視鏡装置の挿入管部を従来に比べて細くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用した内視鏡装置を示す概略構成図である。
図2】対物レンズが取り付けられた光伝送路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明を適用した内視鏡装置の実施の形態を説明する。図1を参照して説明すると、実施の形態に係る内視鏡装置1は、可撓性の極細の挿入管2と、この後端に取り付けたCCDカメラ3と、CCDカメラ3の撮影画像を表示する表示装置4とを備えている。挿入管2には、先端に対物レンズ5が取り付けられた光伝送路6が内蔵されている。対物レンズ5を介して取得される被写体画像は、光ファイバから構成された光伝送路6を介して、その後ろ側に配置した結像光学系を介してCCDカメラ3の受光面に結像する。
【0013】
挿入管2には、照明光を被写体に導くためのライトガイド用光ファイバ7も内蔵されている。ライトガイド用光ファイバ7の後端は、挿入管2の途中の部位から外部に引き出されて、照明光源8に接続されている。一般的に、可撓性の挿入管2の先端側部分を所定方向に折り曲げ操作するための操作機構部9も、挿入管2に付設されている。
【0014】
光ファイバから構成される光伝送路6は樹脂製のカバー(図示せず)で覆われている。この状態で、光伝送路6は、挿入管2の外筒であるステンレススチール製の蛇腹状をした可撓性の管2Aに挿入されている。管2Aの先端開口部に対物レンズ5が位置している。
【0015】
図2は、対物レンズ5が取り付けられている光伝送路6を示す模式図である。対物レンズ5で取得した撮影対象の光学像を伝送する光ファイバからなる光伝送路6は、1本の単芯の伝送用マルチモード光ファイバ10と、この伝送用マルチモード光ファイバ10の入射側端面11に接続された単芯の集光用マルチモード光ファイバ20と、伝送用マルチモード光ファイバ10の出射側端面12に接続された単芯の光拡散用マルチモード光ファイバ30とを備えている。
【0016】
伝送用マルチモード光ファイバ10は、例えば、外径寸法が0.25mmであり、内部にはクラッド層13によって取り囲まれた単芯のコア層14を備えている。伝送用マルチモード光ファイバ10の入射側端面11には、融着接合により、単芯の集光用マルチモード光ファイバ20の出射側端面22が同軸に接続されている。伝送用マルチモード光ファイバ10の出射側端面12にも、融着接合により、単芯の光拡散用マルチモード光ファイバ30の入射側端面31が同軸に接続されている。融着接合の代わりに、紫外線硬化樹脂を用いて接合することもできる。
【0017】
集光用マルチモード光ファイバ20はグレーテッドインデックス型光ファイバである。集光用マルチモード光ファイバ20のコア径は、その入射側端面21において最大径となっており、ここから出射側端面22に向かって漸減し、出射側端面22において伝送用マルチモード光ファイバ10のコア径と同一の最小径となっている。また、集光用マルチモード光ファイバ20の光路長は、対物レンズ5からの入射光の有効光路径が、伝送用マルチモード光ファイバ10の入射側端面11においてコア径以下に収束するように設定されている。
【0018】
他方の光拡散用マルチモード光ファイバ30も、グレーテッドインデックス型光ファイバである。光拡散用マルチモード光ファイバ30のコア径は、その入射側端面31において伝送用マルチモード光ファイバ10のコア径と同一の最小径であり、入射側端面31から出射側端面32に向かって漸増し、出射側端面32において最大径となっている。また、光拡散用マルチモード光ファイバ30の光路長は、伝送用マルチモード光ファイバ10からの収束光の有効光路径が出射側端面32において入射光の有効光路径まで広がるように設定されている。
【0019】
なお、対物レンズ5は、例えば、集光用マルチモード光ファイバ20の入射側端面21に融着接合されたグレーテッドインデックス型光ファイバから形成されている。対物レンズ5の先端面51は光軸6aに直交する平坦な研磨面である。対物レンズ5のコアを通って一定の波長で波打ちながら伝播する光の節が後端面52に位置し、その腹が先端面51の手前に位置するように、設定されている。これにより、対物レンズ5は、先端面51から前方に所定の距離の所に焦点を結ぶ凸レンズとして機能する。対物レンズ5の外径寸法は0.25mmであり、光伝送路6を構成している光ファイバと同様である。対物レンズ5の厚さ(光軸方向の長さ)は、例えば0.75mmと薄い。なお、対物レンズ5として、屈折率分布型レンズ、複眼レンズを用いることもできる。
【0020】
このように、内視鏡装置1は、挿入管2に組み込まれる撮影画像伝送用の光伝送路が、集光用マルチモード光ファイバ20と、伝送用マルチモード光ファイバ10と、光拡散用マルチモード光ファイバ30とから構成されている。集光用マルチモード光ファイバ20は、一般的な樹脂成形品の集光レンズに比べて、格段に小さな外径寸法、厚さ寸法の円筒体である。よって、1本のマルチモード光ファイバと同程度の外径寸法を備えた極細の光伝送路を実現でき、内視鏡装置の挿入管部を微小径にするのに適している。
【0021】
(その他の実施の形態)
上記の例では、光伝送路6に、伝送用マルチモード光ファイバ10を使用している。この代わりに、1本の単芯のシングルモード光ファイバを用いることもできる。この場合の光伝送路6は、シングルモード光ファイバの入射側端面に単芯の集光用マルチモード光ファイバ20の出射側端面22が同軸に接続され、その出射側端面に単芯の光拡散用マルチモード光ファイバ30の入射側端面31が同軸に接続された構成になる。
【符号の説明】
【0022】
1 内視鏡装置
2 挿入管
2A 管
3 CCDカメラ
4 表示装置
5 対物レンズ
6 光伝送路
6a 光軸
7 ライトガイド用光ファイバ
8 照明光源
9 操作機構部
10 伝送用マルチモード光ファイバ
11 入射側端面
12 出射側端面
13 クラッド層
14 コア層
20 集光用マルチモード光ファイバ
21 入射側端面
22 出射側端面
30 光拡散用マルチモード光ファイバ
31 入射側端面
32 出射側端面
51 先端面
52 後端面
図1
図2