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特開2023-61535建設機械の作業管理システムと作業管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061535
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】建設機械の作業管理システムと作業管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230425BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171483
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515332263
【氏名又は名称】株式会社インフォキューブLAFLA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】片山 三郎
(72)【発明者】
【氏名】太田 兵庫
(72)【発明者】
【氏名】石井 喬之
(72)【発明者】
【氏名】川田 淳
(72)【発明者】
【氏名】山口 惣也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将路
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】精度よく効率的に建設機械の作業管理を行うことのできる、建設機械の作業管理システムと作業管理方法を提供する。
【解決手段】建設機械の作業管理システム70は、位置情報取得手段17と、メイン電源スイッチ20に電気的に接続されている発信機30とを備える、建設機械10と、発信機30から送信される、建設機械10の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を受信し、受信した位置・稼働情報信号に基づいて建設機械10の作業情報を特定し、作業情報に関する作業情報信号を送信する、サーバ装置50と、作業情報信号を受信して、建設機械10の作業情報を表示する、管理端末60とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報取得手段と、メイン電源スイッチに電気的に接続されている発信機とを備える、建設機械と、
前記発信機から送信される、前記建設機械の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を受信し、受信した該位置・稼働情報信号に基づいて該建設機械の作業情報を特定し、該作業情報に関する作業情報信号を送信する、サーバ装置と、
前記作業情報信号を受信して、前記建設機械の作業情報を表示する、管理端末とを有することを特徴とする、建設機械の作業管理システム。
【請求項2】
前記発信機にはIDが付与され、該IDが付与された状態の前記位置・稼働情報信号が前記サーバ装置に送信されるようになっており、
前記サーバ装置では、受信した前記位置・稼働情報信号の前記IDに基づいて該位置・稼働情報信号を送信した前記発信機を特定することを特徴とする、請求項1に記載の建設機械の作業管理システム。
【請求項3】
前記電気使用情報が、前記メイン電源スイッチがONされている時刻及び時間帯を含んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建設機械の作業管理システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、
前記位置・稼働情報信号のそれぞれの前記位置情報と前記電気使用情報が、該位置・稼働情報信号に固有の前記IDに紐付けられている前記建設機械の種類と、該建設機械に固有の作業内容に関するデータベースを格納する、格納部と、
前記発信機から受信した前記位置・稼働情報信号の前記IDと前記データベースを照合して、前記作業情報に含まれる作業進捗情報を特定する、特定部と、
前記発信機から送信される前記位置・稼働情報信号の受信と、前記管理端末に対する前記作業情報信号の送信を実行する、通信部とを有することを特徴とする、請求項2又は請求項2に従属する請求項3に記載の建設機械の作業管理システム。
【請求項5】
位置情報取得手段と、メイン電源スイッチに電気的に接続されている発信機とを備える、建設機械の該発信機からサーバ装置に対して、該建設機械の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を送信する、A工程と、
前記サーバ装置において、受信した前記位置・稼働情報信号に基づいて、前記建設機械の作業情報を特定し、該作業情報に関する作業情報信号を管理端末に送信する、B工程と、
受信した前記作業情報信号に基づいて、前記管理端末にて前記建設機械の作業情報を表示する、C工程とを有することを特徴とする、建設機械の作業管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の作業管理システムと作業管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場における工事の進捗や歩掛かりの確認は、工事管理者等が実際に工事状況を視認し、メモを取る方法により行われており、工事の進捗確認の精度は、工事管理者等の経験やノウハウに依拠している。
このような個人の経験則による進捗確認精度のばらつきを解消するべく、画像認識処理を用いて各種建設機械の稼働状況を確認する方法が考えられるが、画像認識処理では、各種の建設機械の稼働時間や稼働エリアの判定が困難であり、同種の建設機械が同時に稼働している場合には、それぞれの建設機械を識別することが極めて困難であることから、有効な管理方法とはなり難い。
【0003】
ここで、特許文献1には、人為作業によらず、随時のトンネル施工工程に基づく情報を迅速に記録する、トンネル施工工程記録装置と施工工程記録方法が提案されている。このトンネル施工工程記録装置は、トンネル施工に用いられる複数の機器の電源から各機器または機器群に対応する電気使用情報を時系列に取得する情報取得部と、情報取得部で時系列に取得された電気使用情報を分析して対応するトンネル施工工程を判定する工程判定部と、工程判定部で判定されたトンネル施工工程に基づく情報を記録する工程情報記録部とを有している。
そして、トンネル施工工程記録装置では、機器または機器群を使用したときに得られる電力量の波形を参照波形として予め定めており、工程判定部は、時系列に取得した電力量の波形と参照波形を比較して、時系列に取得した電力量の波形に最も近似する参照波形に紐付けされた機器または機器群が使用されていると推定し、紐付けされた機器または機器群を使用する工程を、対応するトンネル施工工程と判定するものである。
その他、工程判定部は、時系列に取得した電気使用情報から、パターン認識の手法によりサイクリックな電力量の波形パターンを取得したときに、波形パターンを取得時に稼働する機器または機器群に対応するトンネル施工工程の参照波形として設定し、以降、時系列に取得した電気使用情報から得られる電力量の波形から、参照波形に対応する電力量の波形を検出したときに、対応するトンネル施工工程と判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-27097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のトンネル施工工程記録装置は、機器または機器群に応じて電力量の波形である参照波形を予め定めておく必要があることから、機器の数や種類に応じて参照波形の設定も多くなるなど、手間がかからず、効率的に作業管理を行う観点において改善の余地がある。
【0006】
本発明は、精度よく効率的に建設機械の作業管理を行うことのできる、建設機械の作業管理システムと作業管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明による建設機械の作業管理システムの一態様は、
位置情報取得手段と、メイン電源スイッチに電気的に接続されている発信機とを備える、建設機械と、
前記発信機から送信される、前記建設機械の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を受信し、受信した該位置・稼働情報信号に基づいて該建設機械の作業情報を特定し、該作業情報に関する作業情報信号を送信する、サーバ装置と、
前記作業情報信号を受信して、前記建設機械の作業情報を表示する、管理端末とを有することを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、建設機械の備えるメイン電源スイッチに発信機が電気的に接続され、発信機から送信される、建設機械の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号に基づいて建設機械の作業情報がサーバ装置にて特定され、作業情報に関する作業情報信号が管理端末に受信及び表示されることにより、各建設機械に固有の位置情報と稼働情報を高精度に特定することができ、各建設機械の作業管理を高精度かつ効率的に行うことができる。
ここで、建設機械には、ブルドーザーやクレーン等の重機の他、溶接機等の機器も含まれる。
また、位置情報取得手段には、GPS(Global Positioning System)やWi-Fi、Beaconなどが挙げられる。
サーバ装置は、複数の管理端末がデータの送受信を同時に実行できるクラウドサーバ装置であってよく、複数の管理端末には、工事現場の管理棟にある管理用コンピュータ、工事現場にいる例えば複数の工事管理者が携帯するスマートフォンやタブレット、本支店にある関係部署等にあるコンピュータ等が含まれてよい。
また、サーバ装置にて特定される「建設機械の作業情報」には、建設機械種に応じた作業の進捗状況が含まれる。例えば、「○○工事現場の△年△月△日の土工事において、ダンプトラックAの工区Xにおける土砂の運搬移動量が□m」といった内容が建設機械の作業情報となる。そして、このような作業情報の特定は、発信機からサーバ装置に送信される、建設機械の位置・稼働情報信号に基づいて行われる。
【0009】
また、本発明による建設機械の作業管理システムの他の態様において、
前記発信機にはIDが付与され、該IDが付与された状態の前記位置・稼働情報信号が前記サーバ装置に送信されるようになっており、
前記サーバ装置では、受信した前記位置・稼働情報信号の前記IDに基づいて該位置・稼働情報信号を送信した前記発信機を特定することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、発信機に付与されたID(identification)に基づいて、サーバ装置が受信した位置・稼働情報信号に対応する発信機を特定することができるため、この発信機に対応した特定の工事現場における特定の建設機械に関する位置・稼働情報信号を、正確かつ臨機に遠隔にて特定することができる。
【0011】
また、本発明による建設機械の作業管理システムの他の態様において、
前記電気使用情報が、前記メイン電源スイッチがONされている時刻及び時間帯を含んでいることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、電気使用情報が建設機械のメイン電源スイッチがONされている時刻及び時間帯を含んでいることにより、建設機械の稼働時間帯や稼働時刻が精度よく反映された電気使用情報を得ることができ、高精度な建設機械の作業管理を行うことができるとともに、複数の建設機械相互のより一層作業効率の高い配置や作業順序等の見直しを図ることができる。
【0013】
また、本発明による建設機械の作業管理システムの他の態様において、
前記サーバ装置は、
前記位置・稼働情報信号のそれぞれの前記位置情報と前記電気使用情報が、該位置・稼働情報信号に固有の前記IDに紐付けられている前記建設機械の種類と、該建設機械に固有の作業内容に関するデータベースを格納する、格納部と、
前記発信機から受信した前記位置・稼働情報信号の前記IDと前記データベースを照合して、前記作業情報に含まれる作業進捗情報を特定する、特定部と、
前記発信機から送信される前記位置・稼働情報信号の受信と、前記管理端末に対する前記作業情報信号の送信を実行する、通信部とを有することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、サーバ装置において、位置・稼働情報信号に基づく位置情報と電気使用情報が、位置・稼働情報信号に固有のIDに紐付けられた建設機械の種類と、この建設機械に固有の作業内容に関するデータベースとして格納され、IDが付された位置・稼働情報信号とデータベースが参照されて建設機械の種類とその作業進捗情報が特定され、作業情報信号として管理端末に送信されることにより、建設機械の作業進捗情報の特定が高精度かつ効率的に行われ、例えば複数の工事関係者が同時に各建設機械の作業進捗情報を共有することができる。
【0015】
また、本発明による建設機械の作業管理方法の一態様は、
位置情報取得手段と、メイン電源スイッチに電気的に接続されている発信機とを備える、建設機械の該発信機からサーバ装置に対して、該建設機械の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を送信する、A工程と、
前記サーバ装置において、受信した前記位置・稼働情報信号に基づいて、前記建設機械の作業情報を特定し、該作業情報に関する作業情報信号を管理端末に送信する、B工程と、
受信した前記作業情報信号に基づいて、前記管理端末にて前記建設機械の作業情報を表示する、C工程とを有することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、建設機械のメイン電源スイッチに電気的に接続されている発信機からサーバ装置に対して、建設機械の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を送信し、サーバ装置が、受信した位置・稼働情報信号に基づいて建設機械の作業情報を特定し、管理端末が作業情報信号を受信して表示することにより、各建設機械に固有の位置情報と稼働情報を高精度に特定することができ、各建設機械の作業管理を高精度かつ効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の建設機械の作業管理システムと作業管理方法によれば、精度よく効率的に建設機械の作業管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る建設機械の作業管理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】メイン電源スイッチと、発信機と、位置情報取得手段が電気的に接続されている回路図の一例を示す図である。
図3】サーバ装置と管理端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】サーバ装置の機能構成の一例を示す図である。
図5】ダム堤体コンクリート工事において特定された、建設機械の作業情報の一例を示す時系列図である。
図6】土工事において特定された、建設機械の作業情報の一例を示す時系列図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態に係る建設機械の作業管理システムと作業管理方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0020】
[実施形態に係る建設機械の作業管理システムと作業管理方法]
図1乃至図6を参照して、実施形態に係る建設機械の作業管理システムと作業管理方法の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る建設機械の作業管理システムの全体構成の一例を示す図であり、図2は、メイン電源スイッチと、発信機と、位置情報取得手段が電気的に接続されている回路図の一例を示す図である。
【0021】
図示する建設機械の作業管理システム70は、複数種の建設機械10と、各建設機械10に搭載されている発信機30から送信される、建設機械10の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を、ネットワーク40を介して受信するサーバ装置50と、サーバ装置50から送信される、建設機械10の作業情報に関する作業情報信号を、ネットワーク40を介して受信する管理端末60とを有する。ここで、図示例のサーバ装置50は、クラウドサーバ装置である。また、管理端末60は複数あってよく、複数の管理端末60には、工事現場の管理棟にある管理用コンピュータ(管理端末60A)、工事現場にいる例えば複数の工事管理者が携帯するスマートフォンやタブレット、本支店にある関係部署等にあるコンピュータ(管理端末60B)等が含まれてよい。
【0022】
図示例の建設機械10は、ブルドーザー10A、振動ローラ10B,ダンプトラック10C、溶接機10Dであり、それぞれに固有の発信機30A,30B,30C,及び30Dが設けられている。ここで、建設機械は図示例に限定されるものでなく、クレーンやショベル、削岩機、トンネル削孔機等、工事種に応じた多様な建設機械がある。
【0023】
ここで、図2を参照して、建設機械10における各構成要素の電気的な接続構成を説明する。
【0024】
建設機械10のメイン電源スイッチ20には信号回路15が通じており、信号回路15を介して電源16に接続されている。また、信号回路15には、建設機械10の位置情報を特定するGPS(位置情報取得手段の一例)が接続されている。そして、信号回路15の途中には、発信機30が接続されている。ここで、位置情報取得手段としては、Wi-FiやBeaconなどが適用されてもよい。
【0025】
各建設機械10の発信機30には固有のIDが付与されており、従って、IDが付与された状態の位置・稼働情報信号が各発信機30からサーバ装置50に送信されるようになっている。
【0026】
ここで、稼働情報信号の元になる建設機械10の電気使用情報は、メイン電源スイッチ20がONされている時刻と時間帯を含んでいる。以下で詳説するように、サーバ装置50では、受信した位置・稼働情報信号のIDに基づいて対応する発信機30及び建設機械10を特定し、発信機30に対応する位置・稼働情報信号に基づいて建設機械10の作業情報を特定し、作業情報に関する作業情報信号を管理端末60に送信する。
【0027】
次に、図3を参照して、サーバ装置50と管理端末60のハードウェア構成の一例を説明するとともに、図4を参照して、サーバ装置50の機能構成の一例を説明する。
【0028】
図3に示すように、サーバ装置50と管理端末60はいずれも、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)等の情報処理装置(コンピュータ)により構成される。
【0029】
サーバ装置50と管理端末60を構成するコンピュータは、接続バス56により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)51、主記憶装置52、補助記憶装置53、入出力IF(interface)54、及び通信IF55を備えている。主記憶装置52と補助記憶装置53は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0030】
CPU51は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU51は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU51は、コンピュータからなるサーバ装置50や管理端末60の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU51は、例えば、補助記憶装置53に記憶されたプログラムを主記憶装置52の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0031】
主記憶装置52は、CPU51が実行するコンピュータプログラムや、CPU51が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置52は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置53は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置53には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF55を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。サーバ装置50に対する外部装置等には、発信機30や管理端末60が含まれ、管理端末60に対する外部装置等には、サーバ装置50の他に、工事現場における建設機械10のオペレータや工事管理者等の携帯するスマートフォンやタブレット等が含まれる。
【0032】
補助記憶装置53は、例えば、主記憶装置52を補助する記憶領域として使用され、CPU51が実行するコンピュータプログラムや、CPU51が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置53は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置53として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示され、着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0033】
入出力IF54は、サーバ装置50や管理端末60に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF54には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。サーバ装置50と管理端末60はいずれも、入出力IF54を介して、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
【0034】
また、入出力IF54には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続される。管理端末60では、例えば、特定の工事現場における建設機械10の特定の作業情報等を表示するようになっている。
【0035】
通信IF55は、サーバ装置50が接続するネットワーク40とのインターフェイスである。通信IF55は、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等、様々なネットワーク40を介して、発信機30からIDが付与された位置・稼働情報信号を受信し、同様にネットワーク40を介して、位置・稼働情報信号に対応した建設機械10の作業情報信号を管理端末60に送信する。
【0036】
また、通信IF55はLPWA無線通信モジュールであってもよく、LPWAの主な通信方式(通信プロトコル)には、Sigfox、LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)、NB-IoT等がある。ここで、LoRaWANは、920MHz帯のISMバンドを使用し、13dBm以下の低い出力でも遠距離通信を可能とする、LoRa変調を採用した通信方式である。上記するように、様々な通信プロトコルがある中で、例えばライセンスを必要とせず、携帯電話通信の波が届き難い山岳地帯でもトンネル坑内(工事現場の一例)に自営の基地局を設置することができ、低コストの通信システムを構築可能なプライベートLoRaを適用するのが好ましい。
【0037】
通信IF55は、管理端末60が接続するネットワーク40を介して、サーバ装置50から建設機械10の作業情報に関する作業情報信号を受信し、工事現場における建設機械10の作業管理を行う工事関係者の携帯するスマートフォンやタブレット等に対して作業情報信号を送信する。
【0038】
図4に示すように、サーバ装置50は、CPU51によるプログラムの実行により、少なくとも、通信部510、特定部520、表示部530,及び格納部540の各種機能を提供する。ここで、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
【0039】
通信部510では、各発信機30から発信された、固有のIDが付与されている位置・稼働情報信号が随時受信され、格納部540に随時格納される。
【0040】
格納部540には、複数種の位置・稼働情報信号(図示例では、発信機30A,30B,30C,30Dから送信される位置・稼働情報信号)のそれぞれの建設機械10の位置情報と電気使用情報が、位置・稼働情報信号に固有のIDに紐付けられている、建設機械10の種類と、建設機械10に固有の作業内容に関するデータベースが格納される。
【0041】
ここで、建設機械10の種類には、上記するように、ブルドーザーやダンプトラック、クレーン等が含まれ、建設機械10に固有の作業内容には、ブルドーザーの場合は土砂の敷均し等であり、ダンプトラックの場合は土砂の運搬等である。
【0042】
特定の一つの工事現場には、複数の建設機械10が稼働していることから、データベースには、各建設機械10に搭載されている発信機30のIDが網羅され、各発信機30に対応する建設機械10の作業内容が付記される。
【0043】
特定部520では、発信機30から受信した位置・稼働情報信号のIDと、データベースにある建設機械とその作業内容を照合し、作業情報を特定する。
【0044】
ここで、作業情報には作業進捗情報が含まれる。例えば、建設機械10の種類がブルドーザーであり、○○工事現場の△年△月△日の工区Xにおける土工事に使用され、作業時間帯がAM8:00~PM15:00であること、移動が200mであること等が作業情報として特定される。そして、ブルドーザーの移動1m当たりの敷均し面積(もしくは敷均し体積)に基づき、ブルドーザーの総敷均し面積(もしくは総敷均し体積)が作業進捗情報として特定される。また、位置情報信号に基づいて、作業管理対象のブルドーザーの工区Xにおける、詳細な作業エリアも特定される。
【0045】
表示部530では、特定された建設機械10の作業情報を表示する。ここで、サーバ装置50の表示部530に表示される作業情報は、遠隔にいる工事関係者等が直接確認するものでないことから(工事関係者等は、自身の管理端末60の表示部にて各建設機械10の作業情報を確認する)、サーバ装置50は表示部530を備えていなくてもよい。
【0046】
通信部510では、特定部520にて特定された建設機械10の作業情報に関する作業情報信号を管理端末60に送信する。ここで、管理端末60は、サーバ装置50へのアクセス権限を有する関連のコンピュータであり、アクセス権限が付与されている複数の管理端末60が各種データを共有することができる。
【0047】
図示を省略するが、各管理端末60は、少なくとも通信部と表示部を有している。通信部を介してサーバ装置50から送信される、建設機械10の作業情報に関する作業情報信号を受信する。
【0048】
受信された作業情報信号に基づく建設機械10の作業情報が、管理端末60の表示部に表示される。
【0049】
建設機械の作業管理システム70によれば、各建設機械10の備えるメイン電源スイッチ20に発信機30が電気的に接続され、発信機30から送信される、建設機械10の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号に基づいて建設機械10の作業情報がサーバ装置50にて特定され、作業情報に関する作業情報信号が管理端末60に受信及び表示されることにより、各建設機械10に固有の位置情報と稼働情報を高精度に特定することができ、各建設機械10の作業管理(各建設機械の作業場所と作業進捗)を高精度かつ効率的に行うことができる。
【0050】
また、サーバ装置50から各管理端末60に対して各建設機械10の作業情報に関する作業情報信号が送信されることにより、複数の工事関係者がリアルタイムに各建設機械10の作業情報を共有することができる。
【0051】
実施形態に係る建設機械の作業管理方法は、以下のA工程乃至C工程を有する。
【0052】
A工程では、位置情報取得手段17と、メイン電源スイッチ20に電気的に接続されている発信機30とを備える、建設機械10の発信機30からサーバ装置50に対して、建設機械10の位置情報と電気使用情報を含む位置・稼働情報信号を送信する。
【0053】
B工程では、サーバ装置50において、受信した位置・稼働情報信号に基づいて、建設機械10の作業情報を特定し、作業情報に関する作業情報信号を管理端末60に送信する。
【0054】
C工程では、受信した作業情報信号に基づいて、管理端末60にて建設機械10の作業情報を表示する。
【0055】
次に、図5図6を参照して、管理端末60の表示部(表示画面)に表示される、建設機械の作業情報の一例を説明する。ここで、各図はともに、建設機械の作業情報の一例を示す時系列図である。
【0056】
図5に示す作業情報は、ある工事現場のダム堤体コンクリート工事における、各種の建設機械の作業情報である。図示例の建設機械は、ポリロボ(ポリッシャロボット)、クレーン1,2、ホイールローダ、及びバイバックである。
【0057】
バイバックの稼働時間と移動量に基づいて、コンクリートの打設量が作業進捗情報として特定され、一方のクレーンの稼働時間と移動量に基づいて、スライド型枠の作業量(コンクリートの打設面積)が作業進捗情報として特定され、ポリロボの稼働時間と移動量に基づいて、打ち継ぎ面におけるレイタンス処理量が作業進捗情報として特定される。
【0058】
一方、図6に示す作業情報は、ある工事現場の土工事における、各種の建設機械の作業情報である。図示例の建設機械は、ブルドーザー、ダンプトラック1,2,3,及び振動ローラである。
【0059】
ブルドーザーの稼働時間と移動量に基づいて、土砂の敷均し量が作業進捗情報として特定され、各ダンプトラック1,2,3の稼働時間と移動量に基づいて、土砂の運搬量が作業進捗情報として特定され、振動ローラの稼働時間と移動量に基づいて、土砂の転圧面積が作業進捗情報として特定される。
【0060】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0061】
10:建設機械
10A:ブルドーザー(建設機械)
10B:振動ローラ(建設機械)
10C:ダンプトラック(建設機械)
10D:溶接機(建設機械)
15:信号回路
16:電源
17:位置情報取得手段(GPS)
20:メイン電源スイッチ
30,30A,30B,30C,30D:発信機
40:ネットワーク
50:サーバ装置
60,60A,60B:管理端末
70:建設機械の作業管理システム(作業管理システム)
510:通信部
520:特定部
530:表示部
540:格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6