(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061539
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】冷却装置及び冷却装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20230425BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171495
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】浅井 亨太
(72)【発明者】
【氏名】徳山 健
(72)【発明者】
【氏名】難波 明博
(72)【発明者】
【氏名】チェン ティ
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA04
5E322AA11
5E322AB02
5E322AB08
5E322AB11
5E322DA04
5E322FA01
5F136BA02
5F136BA22
5F136CB06
5F136FA02
5F136FA03
5F136GA01
(57)【要約】
【課題】放熱面上の複数のフィン列の実装密度が十分に上がる冷却装置及び冷却装置の製造方法を提供する。
【解決手段】冷却装置(100)は、第1の放熱フィン列(21)と第2の放熱フィン列(22)とが交互に配置され、第1の放熱フィン高(2111)は、第2の放熱フィン高(2211)と異なり、第1の放熱フィン高(2111)は、下方向に先細り形状のツール(5)が放熱面(11)に接触して第2の放熱フィン列(22)を形成する状態で、ツール(5)における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列(21)に接触しない高さである。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱面に線状の放熱部である放熱フィンを配置し、前記放熱フィンの列である放熱フィン列を複数列備える冷却装置であって、
前記放熱フィン列の内第1の放熱フィン列と、前記第1の放熱フィン列に隣り合う前記放熱フィン列である第2の放熱フィン列と、が交互に配置され、
前記第1の放熱フィン列の前記放熱面からの高さである第1の放熱フィン高は、前記第2の放熱フィン列の前記放熱面からの高さである第2の放熱フィン高と異なり、
前記第1の放熱フィン高は、下方向に先細り形状のツールが前記放熱面に接触して前記第2の放熱フィン列を形成する状態で、前記ツールにおける下部よりも水平方向幅を有する上部が前記第1の放熱フィン列に接触しない高さである、
冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列及び前記第2の放熱フィン列は、前記ツールにおける下部よりも水平方向幅を有する上部が細い程、隣り合う間隔を狭めて密に配置されている、
冷却装置。
【請求項3】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列は、前記第2の放熱フィン列よりも先に形成された構成である、
冷却装置。
【請求項4】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列及び前記第2の放熱フィン列は、金属製のワイヤを凹凸状に折り曲げて連続して形成された構成である、
冷却装置。
【請求項5】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列及び前記第2の放熱フィン列は、前記放熱面に圧着させて形成された構成である、
冷却装置。
【請求項6】
請求項5に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列及び前記第2の放熱フィン列は、前記ツールを前記放熱面に高周波振動させて接触させ、前記ツールから送り出す前記放熱フィンを形成する線状のワイヤを前記放熱面に圧着して形成された構成である、
冷却装置。
【請求項7】
請求項6に記載の冷却装置であって、
前記第2の放熱フィン列は、前記ツールの前記放熱面に対する高周波振動の振動量を、前記第1の放熱フィン列の場合での前記高周波振動の振動量に比して高めて形成された構成である、
冷却装置。
【請求項8】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列は、前記放熱面との接合部である第1の放熱フィン接続部を有し、
前記第2の放熱フィン列は、前記放熱面との接合部である第2の放熱フィン接続部を有し、
前記第1の放熱フィン接続部に対して前記第2の放熱フィン接続部の接触面積が大きい、
冷却装置。
【請求項9】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列及び前記第2の放熱フィン列は、千鳥状に位置をずらして配置されている、
冷却装置。
【請求項10】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記第1の放熱フィン列及び前記第2の放熱フィン列は、当該冷却装置内を流通する冷媒の流れに対する対向面積を前記冷媒の流れに交差する対向面積よりも大きく配置されている、
冷却装置。
【請求項11】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記放熱面を上方向から覆う放熱カバーを有し、
前記放熱カバーは、前記第2の放熱フィン列に接触している、
冷却装置。
【請求項12】
請求項11に記載の冷却装置であって、
前記放熱カバーの内側には、前記第2の放熱フィン高を基準に前記第1の放熱フィン高に合わせて下方向に凸状に突出した凸部が設けられている、
冷却装置。
【請求項13】
放熱面に線状の放熱部である放熱フィンを配置し、前記放熱フィンの列である放熱フィン列を複数列備える冷却装置において、
前記放熱フィン列の内第1の放熱フィン列と、前記第1の放熱フィン列に隣り合う前記放熱フィン列である第2の放熱フィン列と、が交互に配置され、
前記第1の放熱フィン列の前記放熱面からの高さである第1の放熱フィン高は、前記第2の放熱フィン列の前記放熱面からの高さである第2の放熱フィン高と異なり、
前記第1の放熱フィン列及び前記第2の放熱フィン列は、前記放熱面に高周波振動を用いて圧着させて形成された構成である、
冷却装置。
【請求項14】
放熱面に線状の放熱部である放熱フィンを配置し、前記放熱フィンの列である放熱フィン列を複数列形成する冷却装置の製造方法において、
前記放熱フィン列の内第1の放熱フィン列を、前記放熱面からの高さである第1の放熱フィン高を第2の放熱フィン列の前記放熱面からの高さである第2の放熱フィン高と異ならせて形成する第1製造ステップと、
前記第1の放熱フィン列に隣り合う交互に配置される前記放熱フィン列である前記第2の放熱フィン列を形成する第2製造ステップと、
を含み、
前記第1製造ステップは、形成する前記第1の放熱フィン列の前記第1の放熱フィン高の寸法を、下方向に先細り形状のツールが前記放熱面に接触して前記第2の放熱フィン列を形成する状態で、前記ツールにおける下部よりも水平方向幅を有する上部が前記第1の放熱フィン列に接触しない高さに取る、
冷却装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記第1製造ステップは、前記第2製造ステップよりも先に実施される、
冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置及び冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力変換装置では、出力の増大が求められている。一方、電力変換装置に搭載される冷却装置の生産性が向上できる構造が要求されている。
【0003】
しかし、冷却装置の生産性の向上が熱伝達率の低下に繋がってしまうと、電力変換装置の出力増大の妨げとなってしまう。車載用の電力変換装置は、産業用などの電力変換装置と比較すると、温度変化の大きい環境にて使用される。このため、高温の環境に置かれていながら高い信頼性を維持できる電力変換装置には、熱伝達率の高い冷却装置が要求されている。
【0004】
特許文献1では、アルミニウム金属又はアルミニウム金属の合金製である基板部の放熱面の所定箇所に、銅又はニッケルがメッキされている。そして、メッキ部位を介して多連に折り曲げられて形成された銅金属又は銅の合金製であるワイヤフィンの列である放熱フィン列が、放熱面にハンダ付けされて一体化されている技術が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の構成によれば、凹凸状に連続して折り曲げられた放熱フィン列を用いることによって、放熱面積が大きくなる。また、放熱フィン列を構成するワイヤが、連続的に折り曲げられて放熱フィンに形成されているので、製造工程の工程数が減り、その結果、生産性が高くなる。さらに、凹凸状に折り曲げられた放熱フィン列が並列することによって放熱面積が大きく構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術では、隣り合う放熱フィン列同士の間隔が小さくできない。それにより、放熱面上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がらない可能性がある。
【0008】
本発明は、放熱面上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がる冷却装置及び冷却装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による冷却装置は、放熱面に線状の放熱部である放熱フィンを配置し、前記放熱フィンの列である放熱フィン列を複数列備える冷却装置であって、前記放熱フィン列の内第1の放熱フィン列と、前記第1の放熱フィン列に隣り合う前記放熱フィン列である第2の放熱フィン列と、が交互に配置され、前記第1の放熱フィン列の前記放熱面からの高さである第1の放熱フィン高は、前記第2の放熱フィン列の前記放熱面からの高さである第2の放熱フィン高と異なり、前記第1の放熱フィン高は、下方向に先細り形状のツールが前記放熱面に接触して前記第2の放熱フィン列を形成する状態で、前記ツールにおける下部よりも水平方向幅を有する上部が前記第1の放熱フィン列に接触しない高さである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放熱面上の複数のフィン列の実装密度が十分に上がる冷却装置及び冷却装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る冷却装置を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る冷却装置を
図1のX方向から見て示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る冷却装置を
図1のY方向から見て示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る冷却カバーを外した冷却装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る冷却カバーを外した冷却装置を
図1のX方向から見て示す正面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る冷却カバーを外した冷却装置を
図1のY方向から見て示す側面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るツールを示す説明図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る冷却装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る冷却装置の製造方法の第1製造工程を示す説明図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る冷却装置の製造方法の第2製造工程を示す説明図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る第1の放熱フィン列及び第2の放熱フィン列とツールとの寸法関係を示す説明図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態の変形例1に係る冷却カバーを外した冷却装置を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態の変形例1に係る冷却カバーを外した冷却装置を
図12のX方向から見て示す正面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の変形例1に係る冷却カバーを外した冷却装置を
図12のY方向から見て示す側面図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態の変形例2に係る冷却装置を
図1のY方向から見て示す縦断面図である。
【
図16】
図16は、第1実施形態の変形例3に係る冷却装置の製造方法の第1製造工程を示す説明図である。
【
図17】
図17は、第1実施形態の変形例3に係る冷却装置の製造方法の第2製造工程を示す説明図である。
【
図18】
図18は、第1実施形態の変形例3に係る第1の放熱フィン列及び第2の放熱フィン列とツールとの寸法関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態が説明されている。ただし、本発明は、下記の実施形態に限定解釈されるものではなく、公知の他の構成要素を組み合わせて本発明の技術思想を実現してもよい。なお、各図において同一要素については同一の符号が記載され、重複する説明が省略される。
【0013】
<第1実施形態>
<冷却装置100の全体構成>
図1は、第1実施形態に係る冷却装置100を示す分解斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る冷却装置100を
図1のX方向から見て示す縦断面図である。
図3は、第1実施形態に係る冷却装置100を
図1のY方向から見て示す縦断面図である。
【0014】
図1~
図3に示されるように、冷却装置100は、内部に冷媒を流通させて放熱部材1からの熱を放熱させる。冷却装置100は、箱体である。冷却装置100は、放熱部材1と、第1の放熱フィン列21と、第2の放熱フィン列22と、放熱カバー3と、シール部材4と、を備える。
【0015】
放熱部材1は、車載用の電力変換装置に用いられ、温度変化の大きい環境にて使用される。放熱部材1は、矩形形状の板材であり、アルミニウム金属又はアルミニウム金属の合金製である基板部によって構成され、上面に銅又はニッケルがメッキされた状態で放熱面11が形成されている。
【0016】
第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、線状の放熱部である銅金属又は銅の合金製などの金属製のワイヤ23を凹凸状多連に折り曲げて連続して形成されたワイヤフィンである放熱フィン2を連続させた構成である。第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、放熱部材1の放熱面11に配置されて一体化されている。第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、冷却装置100にX方向に伸び、Y方向に並んで複数列設けられている。
【0017】
放熱カバー3は、絶縁性のある樹脂材で構成され、放熱面11を上方向から覆う。放熱カバー3は、蓋部材であり、放熱部材1の上部に図示しないネジによって固定されている。放熱カバー3は、矩形形状であり、内部に下方向に開口した中空部が形成され、天面部31と天面部31に接続された側方の4辺の側面部32とを有する。放熱カバー3は、中空部に入り込む第2の放熱フィン列22に天面部31の下面にて接触している。放熱カバー3の対向する1対の側面部32には、冷却装置100内を流通させる冷媒の流入部33及び流出部34が設けられている。
図1に示されるように、X方向が冷媒流通方向と直交する方向であり、Y方向が冷媒流通方向である。
【0018】
シール部材4は、放熱部材1と放熱カバー3とを密封する。シール部材4は、放熱面11の縁部に這って放熱面11を囲んだ矩形形状のリング部材である。シール部材4は、放熱カバー3の4つの側面部32の下面に形成された凹部321に嵌め込まれている。これにより、放熱面11は、放熱カバー3とシール部材4とによって封止され、冷却装置100内を流通する図示しない絶縁性の冷媒によって冷却される。
【0019】
<放熱フィン例の構成>
図4は、第1実施形態に係る冷却カバー3を外した冷却装置100を示す斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る冷却カバー3を外した冷却装置100を
図1のX方向から見て示す正面図である。
図6は、第1実施形態に係る冷却カバー3を外した冷却装置100を
図1のY方向から見て示す側面図である。
【0020】
図4~
図6に示されるように、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、放熱フィン2を形成する線状のワイヤ23を放熱面11に圧着して形成された構成である。第1の放熱フィン列21と、第1の放熱フィン列21に隣り合う放熱フィン列である第2の放熱フィン列22と、は、交互に配置されている。第1の放熱フィン列21の放熱面11からの高さである第1の放熱フィン高2111は、第2の放熱フィン列22の放熱面11からの高さである第2の放熱フィン高2211と異なっている。
【0021】
第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、放熱面11との接合部である第1の放熱フィン接続部211及び第2の放熱フィン接続部221を有する。第1の放熱フィン接続部211に対して第2の放熱フィン接続部221の接触面積が大きい。1つの放熱フィン列の内隣り合う第1の放熱フィン接続部211同士及び第2の放熱フィン接続部221同士の間には、ワイヤ23を放熱面11から折り曲げて浮き上がらせ橋渡しし、冷却装置100内を流通する冷媒に接触する凸状部のループを有する。
【0022】
第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、冷却装置100内を流通する冷媒の流れに対する対向面積を冷媒の流れに交差する対向面積よりも大きく配置されている。言い換えると、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22のY方向を向く対向面積がX方向を向く対向面積よりも大きい。
【0023】
<ツール5の構成>
図7は、第1実施形態に係るツール5を示す説明図である。
図7に示されるように、ツール5では、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状であり、上部が下部よりも水平方向幅を有する。ツール5は、ワイヤ送り出し部51と、高周波振動押圧部52と、切断部53と、を有する。ワイヤ送り出し部51と高周波振動押圧部52と切断部53とは、3列に並列している。
【0024】
ワイヤ送り出し部51は、金属製のワイヤ23の送出口を有し、金属製のワイヤ23を凹凸状に折り曲げて連続して送り出す。
【0025】
高周波振動押圧部52は、柱状の押圧部を有し、ワイヤ23を押圧部によって放熱面11に高周波振動させて接触させる。高周波振動押圧部52は、ツール5から送り出す放熱フィン2を形成する線状のワイヤ23を放熱面11に圧着し、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22を形成する。
【0026】
なお、ツール5は、高周波振動押圧部52によってツール5から送り出す放熱フィン2を形成する線状のワイヤ23を放熱面11に圧着する技法でなくてもよい。例えば、予め曲げてあるフィンをはんだづけする手法などのツール5でも良い。
【0027】
切断部53は、1列の第1の放熱フィン列21又は第2の放熱フィン列22を形成した最後に金属製のワイヤ23を切断する。
【0028】
<冷却装置100の製造方法>
図8は、第1実施形態に係る冷却装置100の製造方法を示すフローチャートである。
図9は、第1実施形態に係る冷却装置100の製造方法の第1製造工程を示す説明図である。
図10は、第1実施形態に係る冷却装置100の製造方法の第2製造工程を示す説明図である。
【0029】
図8に示されるように、冷却装置100の製造方法は、第1製造ステップS1と、第2製造ステップS2と、を有する。
【0030】
図9に示されるように、第1製造工程である第1製造ステップS1は、放熱フィン列の内第1の放熱フィン列21を、放熱面11からの高さである第1の放熱フィン高2111を第2の放熱フィン列22の放熱面11からの高さである第2の放熱フィン高2211と異ならせて形成する。第1製造ステップS1は、第2製造ステップS2よりも先に実施される。これにより、第1の放熱フィン列21は、第2の放熱フィン列22よりも先に形成されている。
【0031】
第1製造ステップS1は、形成する第1の放熱フィン列21の第1の放熱フィン高2111の寸法を、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5が放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成する状態で、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列21に接触しない高さに取る。
【0032】
図10に示されるように、第2製造工程である第2製造ステップS2は、第1の放熱フィン列に隣り合う交互に配置される放熱フィン列である第2の放熱フィン列22を形成する。第2製造ステップS2は、ツール5の放熱面11に対する高周波振動の振動量を、第1の放熱フィン列21の場合での高周波振動の振動量に比して高められている。これにより、第2の放熱フィン列22は、ツール5の放熱面11に対する高周波振動の振動量を、第1の放熱フィン列21の場合での高周波振動の振動量に比して高めて形成された構成である。
【0033】
<第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22とツール5との寸法関係>
図11は、第1実施形態に係る第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22とツール5との寸法関係を示す説明図である。
【0034】
図11に示されるように、第1の放熱フィン列21は、放熱面11からの高さである第1の放熱フィン高2111を第2の放熱フィン列22の放熱面11からの高さである第2の放熱フィン高2211と異ならせている。第1の放熱フィン高2111は、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5が放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成する状態で、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列21に接触しない高さである。つまり、第1の放熱フィン高2111は、放熱部材1の放熱面11に先端部を接触させたツール5の水平方向幅を第2の放熱フィン列22を挟む隣り合う第1の放熱フィン列21同士の間に、いずれの第1の放熱フィン列21にも接触させずに第2の放熱フィン列22を形成可能な高さである。
【0035】
ツール5は、水平方向幅を有する上部よりも下部を細く形成されている。このため、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22の隣り合う間隔は、狭められている。そして、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、冷却部材1の放熱面11上に密に配置されている。
【0036】
<その他>
以下、第1実施形態の変形例が説明されている。以下では、第1実施形態と同様な事項の説明が同一構成に同じ符号を付して省略され、その特徴部分が説明されている。
【0037】
<変形例1>
図12は、第1実施形態の変形例1に係る冷却カバー3を外した冷却装置100を示す斜視図である。
図13は、第1実施形態の変形例1に係る冷却カバー3を外した冷却装置100を
図12のX方向から見て示す正面図である。
図14は、第1実施形態の変形例1に係る冷却カバー3を外した冷却装置100を
図12のY方向から見て示す側面図である。
【0038】
図12~
図14に示されるように、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、千鳥状に位置をずらして配置されている。第1の放熱フィン列21の凹部である第1のフィン接続部211の上部に重なって第2の放熱フィン列22の凸部が形成されている。第1の放熱フィン列21は、Y方向に凹凸状に伸び、X方向に複数列配置されている。第2の放熱フィン列22は、X方向に凹凸状に伸び、Y方向に複数列配置されている。
【0039】
冷媒は、Y方向の流入部33から流入し、反対側の流出部34から流出する。第1のフィン列21よりも高さのある第2の放熱フィン列22がY方向に対向面積を広げて配置されることで、冷媒に対して全フィン列における有効接触面積が増大し、放熱フィン2の熱伝達率が向上する。これにより、冷却装置100の冷却性能が向上できる。
【0040】
ここで、
図13、
図14に示されるように、第1の放熱フィン高2111は、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5が放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成する状態で、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列21に接触しない高さである。
【0041】
詳しくは、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5は、放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成するときに、
図14のように、第1のフィン列21に最接近する第2の放熱フィン接続部221の端部に至った箇所まで放熱面11に接触する。この場合に、第1の放熱フィン高2111は、放熱部材1の放熱面11に先端部を接触させたツール5の水平方向幅を第2の放熱フィン列22を挟む隣り合う第1の放熱フィン列21同士の間に、いずれの第1の放熱フィン列21にも接触させずに第2の放熱フィン列22を形成可能な高さである。
【0042】
以上のような構成とすることで、冷却装置100は、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22と、ツール5と、が干渉せず、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22の実装密度が増加でき、放熱フィン2の熱伝達率が向上できる。この結果、冷却装置100の冷却性能が向上できる。
【0043】
<変形例2>
図15は、第1実施形態の変形例2に係る冷却装置100を
図1のY方向から見て示す縦断面図である。
図15に示されるように、放熱カバー3の内側には、第2の放熱フィン高2211を基準に第1の放熱フィン高2111に合わせて下方向に凸状に突出した凸部35が設けられている。これにより、図示しない冷媒の流速は、冷却装置100内の冷媒流路内で均一な速さである。この結果、放熱フィン2の熱伝達率が向上し、冷却装置100の冷却性能が向上する。
【0044】
<変形例3>
図16は、第1実施形態の変形例3に係る冷却装置100の製造方法の第1製造工程を示す説明図である。
図17は、第1実施形態の変形例3に係る冷却装置100の製造方法の第2製造工程を示す説明図である。
図18は、第1実施形態の変形例3に係る第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22とツール5との寸法関係を示す説明図である。
【0045】
図16~
図18に示されるように、ツール5の上下方向途中では、幅H2が上記第1実施形態の幅H1よりも鋭利で細い。このため、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が細い程、隣り合う間隔K1を間隔K2に狭めて密に配置されている。このため、第2の放熱フィン列22を形成する際に第1の放熱フィン列21と、ツール5と、が干渉せず、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22の間隔がより小さくなる。これにより、放熱フィン2の実装密度が増加し、放熱フィン2の熱伝達率が向上する。この結果、冷却装置100の冷却性能が向上できる。
【0046】
<効果>
(A)冷却装置100は、放熱面11に線状の放熱部である放熱フィン2を配置し、前記放熱フィン2の列である放熱フィン列を複数列備える。放熱フィン列の内第1の放熱フィン列21と、第1の放熱フィン列21に隣り合う放熱フィン列である第2の放熱フィン列22と、が交互に配置されている。第1の放熱フィン列21の放熱面11からの高さである第1の放熱フィン高2111は、第2の放熱フィン列22の放熱面11からの高さである第2の放熱フィン高2211と異なっている。第1の放熱フィン高2111は、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5が放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成する状態で、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列21に接触しない高さである。
【0047】
この構成では、第1の放熱フィン高2111の寸法が、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5が放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成する状態で、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列21に接触しない高さに設定される。これにより、第2の放熱フィン列22を形成するときに、ツール5が第1の放熱フィン列21に接触しない。そのため、隣り合う第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22同士の間隔が小さくできる。したがって、放熱面11上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がる。
【0048】
(B)第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が細い程、隣り合う間隔を狭めて密に配置されている。
【0049】
この構成では、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が細い程、第2の放熱フィン列22を形成するときに、ツール5が第1の放熱フィン列21により接触しない。そのため、隣り合う第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22同士の間隔がより小さくできる。したがって、放熱面11上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がる。
【0050】
(C)第1の放熱フィン列21は、第2の放熱フィン列22よりも先に形成された構成である。
【0051】
この構成では、第1の放熱フィン列21を形成した後に第2の放熱フィン列22を形成するときに、ツール5が第1の放熱フィン列21に接触しない。そのため、隣り合う第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22同士の間隔が小さくできる。したがって、放熱面11上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がる。
【0052】
(D)第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、金属製のワイヤ23を凹凸状に折り曲げて連続して形成された構成である。
【0053】
この構成では、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22が容易に形成でき、生産性が向上できる。
【0054】
(E)第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、放熱面11に圧着させて形成された構成である。
【0055】
この構成では、従来のようなフィン列2が折り曲げられた後に、ハンダ付けして放熱面11に接続される必要がないため、ハンダ付け工程が必須工程ではなくなり、生産性が向上できる。
【0056】
(F)第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、ツール5を放熱面11に高周波振動させて接触させ、ツール5から送り出す放熱フィン2を形成する線状のワイヤ23を放熱面11に圧着して形成された構成である。
【0057】
この構成では、従来のようなフィン列2が折り曲げられた後に、ハンダ付けして放熱面11に接続される必要がない。そして、ツール5が送り出す線状のワイヤ23によって放熱フィン列を形成するときに線状のワイヤ23が放熱面11に圧着されて放熱面11上の第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22が形成されるため、ハンダ付け工程が必須工程ではなくなり、生産性が向上できる。
【0058】
(G)第2の放熱フィン列22は、ツール5の放熱面11に対する高周波振動の振動量を、第1の放熱フィン列21の場合での高周波振動の振動量に比して高めて形成された構成である。
【0059】
この構成では、第2の放熱フィン列22の放熱面11に対する圧着が第1の放熱フィン列21の放熱面11に対する圧着よりも強固になる。これにより、第1の放熱フィン高2111よりも高さがあり、冷媒に対して負荷がかかる第2の放熱フィン列22の倒れ込みが抑制できる。
【0060】
(H)第1の放熱フィン列21は、放熱面11との接合部である第1の放熱フィン接続部211を有する。第2の放熱フィン列22は、放熱面11との接合部である第2の放熱フィン接続部221を有する。第1の放熱フィン接続部211に対して第2の放熱フィン接続部221の接触面積が大きい。
【0061】
この構成では、第2の放熱フィン列22の放熱面11に対する圧着が第1の放熱フィン列21の放熱面11に対する圧着よりも強固になる。これにより、第1の放熱フィン高2111よりも高さがあり、冷媒に対して負荷がかかる第2の放熱フィン列22の倒れ込みが抑制できる。
【0062】
(I)第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、千鳥状に位置をずらして配置されている。
【0063】
この構成では、放熱フィン列では、冷媒に対して有効接触面積が増大し、放熱フィン2の熱伝達率が向上する。これにより、冷却装置100の冷却性能が向上できる。
【0064】
(J)第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、冷却装置100内を流通する冷媒の流れに対する対向面積を冷媒の流れに交差する対向面積よりも大きく配置されている。
【0065】
この構成では、放熱フィン列では、冷媒に対して有効接触面積が増大し、放熱フィン2の熱伝達率が向上する。これにより、冷却装置100の冷却性能が向上できる。
【0066】
(K)冷却装置100は、放熱面11を上方向から覆う放熱カバー3を有する。放熱カバー3は、第2の放熱フィン列22に接触している。
【0067】
この構成では、第2の放熱フィン列22と放熱カバー3との接触部を介した第2の放熱フィン列22から放熱カバー3への熱伝達率が向上する。これにより、冷却装置100の冷却性能が向上できる。また、凹凸状の第2の放熱フィン列22の放熱フィン2に高さ方向の公差がある場合には、放熱フィン2の凸状のループが放熱カバー3に接触して撓むことにより、高さ方向の公差が吸収でき、全ての第2の放熱フィン列22が放熱カバー3に接触でき、第2の放熱フィン列22と放熱カバー3との接触部を介した第2の放熱フィン列22から放熱カバー3への熱伝達率が向上できる。
【0068】
(L)放熱カバー3の内側には、第2の放熱フィン高2211を基準に第1の放熱フィン高2111に合わせて下方向に凸状に突出した凸部35が設けられている。
【0069】
この構成では、第1の放熱フィン列21と放熱カバー3とのクリアランスと、第2の放熱フィン列22と放熱カバー3とのクリアランスと、が一致でき、冷却装置100内を流れる冷媒の流速が均一に等しくなる。この結果、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22から冷媒に持ち去られる熱量が均一化でき、冷却装置100の冷却性能が向上できる。
【0070】
(M)冷却装置100は、放熱面11に線状の放熱部である放熱フィン2を配置し、放熱フィン2の列である放熱フィン列を複数列備える。放熱フィン列の内第1の放熱フィン列21と、第1の放熱フィン列21に隣り合う放熱フィン列22である第2の放熱フィン列と、が交互に配置されている。第1の放熱フィン列21の放熱面11からの高さである第1の放熱フィン高2111は、第2の放熱フィン列22の放熱面11からの高さである第2の放熱フィン高2211と異なっている。第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、放熱面11に高周波振動を用いて圧着させて形成された構成である。
【0071】
この構成では、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22は、放熱面11に高周波振動を用いて圧着させて形成されている。これにより、第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22を形成するときに、ハンダ付け工程が必要ではない。これにより、第2の放熱フィン列22を形成するときに、ハンダ付け治具が放熱面11上に形成された隣り合う第1の放熱フィン列21同士の間隔に入る必要がない。そのため、隣り合う第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22同士の間隔が小さくできる。したがって、放熱面11上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がる。
【0072】
(N)冷却装置100の製造方法は、放熱面11に線状の放熱部である放熱フィン2を配置し、放熱フィン2の列である放熱フィン列を複数列形成する。冷却装置100の製造方法は、放熱フィン列の内第1の放熱フィン列21を、放熱面11からの高さである第1の放熱フィン高2111を第2の放熱フィン列22の放熱面11からの高さである第2の放熱フィン高2211と異ならせて形成する第1製造ステップを含む。冷却装置100の製造方法は、第1の放熱フィン列21に隣り合う交互に配置される放熱フィン列である第2の放熱フィン列22を形成する第2製造ステップを含む。第1製造ステップは、形成する第1の放熱フィン列21の第1の放熱フィン高2111の寸法を、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5が放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成する状態で、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列21に接触しない高さに取る。
【0073】
この構成では、第1の放熱フィン高2111の寸法が、上部幅が下部幅よりも広く下方向に先細り形状のツール5が放熱面11に接触して第2の放熱フィン列22を形成する状態で、ツール5における下部よりも水平方向幅を有する上部が第1の放熱フィン列21に接触しない高さに設定される。これにより、第2の放熱フィン列22を形成するときに、ツール5が放熱面11上の第1の放熱フィン列21に接触しない。そのため、隣り合う第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22同士の間隔が小さくできる。したがって、放熱面11上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がる。
【0074】
(O)第1製造ステップは、第2製造ステップよりも先に実施される。
【0075】
この構成では、第1の放熱フィン列21を形成した後に第2の放熱フィン列22を形成するときに、ツール5が第1の放熱フィン列21に接触しない。そのため、隣り合う第1の放熱フィン列21及び第2の放熱フィン列22同士の間隔が小さくできる。したがって、放熱面11上の複数の放熱フィン列の実装密度が十分に上がる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0077】
100…冷却装置、1…放熱部材、11…放熱面、2…放熱フィン、21…第1の放熱フィン列、211…第1の放熱フィン接続部、2111…第1の放熱フィン高、22…第2の放熱フィン列、221…第2の放熱フィン接続部、2211…第2の放熱フィン高、23…ワイヤ、3…放熱カバー、31…天面部、32…側面部、321…凹部、33…流入部、34…流出部、35…凸部、4…シール部材、5…ツール、51…ワイヤ送り出し部、52…高周波振動押圧部、53…切断部。