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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061542
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】袋詰め包装装置および袋詰め包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/32 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
B65B1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171503
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】原田 史紀
(72)【発明者】
【氏名】行廣 康司
(72)【発明者】
【氏名】行広 政洋
(72)【発明者】
【氏名】檀上 豊
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA07
3E118AB05
3E118AB06
3E118BA10
3E118BA20
3E118BB02
3E118DA03
3E118FA04
3E118FA06
(57)【要約】
【課題】被包装物を高速充填する第1の充填機と、この後、低速充填する第2の充填機とを有するロータリー式の充填包装機を備え、この下流に充填済み袋の重量を検査するオートチェッカーを有する従来の袋詰め包装装置では、オートチェッカーによる実際の充填量の誤差を第2の充填機に直接に補正できないなど不正確になることがあった。また、第2の充填機で充填済みの袋を計量する計量装置を別途に設けるとコストの増加を招く。
【解決手段】本発明の袋詰め包装装置、包装方法では、第1の充填機16と、この後計量する計量装置17と、この後さらに充填する第2の充填機19と、を有するロータリー式の充填包装機を備え、第2の充填機19で充填した袋を、ロータリー式の充填包装機の搬送路から排出することなく、再度、搬送路を搬送して、ロータリー式の充填包装機の計量装置17で計量させ、この計量値に基づいて、第2の充填機19の充填状態を補正する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して被包装物を袋に所定の重量ずつ充填して包装する充填包装機と、制御装置と、を備えた袋詰め包装装置であって、
前記充填包装機は、袋を搬送路に沿って移動して搬送する搬送装置と、搬送される袋に被包装物を充填する第1の充填機と、第1の充填機よりも搬送路における下流に配置されて第1の充填機で充填された袋を計量する計量装置と、この計量装置よりも搬送路における下流に配置されて第1の充填機で充填された袋に対して、充填目標値から計量装置の計量値を差し引いた重量の被包装物を充填する第2の充填機と、を有し、
前記制御装置は、第2の充填機により充填した袋を、充填包装機の搬送路から排出することなく、搬送路に再度、搬送して、充填包装機の計量装置で計量し、この計量値に基づいて、第2の充填機の充填状態を判断して補正するよう制御する再計量補正機能を有することを特徴とする袋詰め包装装置。
【請求項2】
制御装置は、再計量補正機能を実施する際には、第2の充填機により充填した袋に対して、シール装置によりシールしない状態で搬送路を搬送するとともに、袋供給装置による袋供給動作および第1の充填機による充填動作を行わずに搬送路を通過させて、充填済みの袋を計量装置により計量するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の袋詰め包装装置。
【請求項3】
制御装置により、充填始業時に再計量補正機能を実施する始業補正モードおよび充填作業時において所定の条件を満たした際に再計量補正機能を実施する作業補正モードを有するか、又は何れ一方のモードを有することを特徴とする請求項1または2に記載の袋詰め包装装置。
【請求項4】
第2の充填機が、充填のみ行い計量は行わない第2充填セクションの位置と、計量装置により計量する計量セクションの位置とに、移動自在に配置され、
計量セクションに第2の充填機が配置された状態では、計量装置により計量しながら第2の充填機により充填することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の袋詰め包装装置。
【請求項5】
充填包装機の搬送路から排出された袋の充填重量を測定して検査するオートチェッカーが設けられ、
オートチェッカーの測定値に基づいて充填量の変動傾向を判断し、この判断結果に基づいて、再計量補正動作を実施するか否かを判断するオートチェッカー作業補正モードを有することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の袋詰め包装装置。
【請求項6】
袋が搬送路に沿って搬送され、第1の充填機により袋に被包装物を充填する充填セクションと、充填された袋を計量する計量セクションと、第1の充填機で充填した袋に対して、充填目標値から計量装置の計量値を差し引いた重量を第2の充填機で充填する充填セクションと、を有する充填包装機を用いて、連続して被包装物を袋に所定の重量ずつ充填して包装する袋詰め包装方法であって、
第2の充填機により充填した袋を、充填包装機の搬送路から排出することなく、再度、搬送路を搬送して、充填包装機の計量装置で計量し、この計量値に基づいて、第2の充填機の充填状態を補正する再計量補正を実施することを特徴とする袋詰め包装方法。
【請求項7】
再計量補正を実施する際には、第2の充填機により充填した袋に対して、シール装置によりシールしない状態で搬送路を搬送するとともに、袋供給装置による袋供給動作および第1の充填機による充填動作を行わずに搬送路を通過させて、充填済みの袋を計量セクションで計量装置により計量することを特徴とする請求項6に記載の袋詰め包装方法。
【請求項8】
充填始業時および充填作業時、又は何れか一方の時に再計量補正動作を実施することを特徴とする請求項6または7に記載の袋詰め包装方法。
【請求項9】
第2の充填機が、充填のみ行い計量は行わない第2充填セクションの位置と、計量装置により計量する計量セクションの位置とに、移動自在であって、
計量セクションに第2の充填機が配置された状態では、計量セクションで、計量装置により計量しながら第2の充填機により充填することを特徴とする請求項6~8の何れか1項に記載の袋詰め包装方法。
【請求項10】
充填包装機の搬送路から排出された袋の充填重量をオートチェッカーにより測定し、この測定値に基づいて充填量の変動傾向を判断し、この判断結果に基づいて、再計量補正動作を実施するか否かを判断することを特徴とする請求項6~9の何れか1項に記載の袋詰め包装方法。
【請求項11】
大容量ホッパーを有して被包装物を袋に高速で、第1の充填機により被包装物を粗充填した後、前記第1の充填機より下流に配置され、小容量ホッパーを有して小容量の被包装物を低速で精度よく第2の充填機で充填することを特徴とする請求項6~10の何れか1項に記載の袋詰め包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を連続的に充填して包装する袋詰め包装装置および袋詰め包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体などの被包装物を連続的に所定の重量ずつ袋に充填して包装する袋詰め包装装置や袋詰め包装方法は既に広く知られている。また、このような袋詰め包装装置や袋詰め包装方法において、被包装物を充填する充填機の一種にオーガ式充填機を用いることもよく知られている。このオーガ式充填機は、オーガ(オーガスクリュー)を回転するサーボモータへの出力トルクや回転速度(回転数)などをパルス制御することにより、目的とする重量の被包装物を袋に充填する。そして、高精度な充填を行う為に、大小2台のオーガ式充填機と、この2台のオーガ式充填機の間に1台の計量装置を配置した袋詰め包装装置が知られているが、この袋詰め包装装置は、被包装物を正確に充填するためにフィードバック制御が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図4に簡略的に示すように、大容量の被包装物を袋50に粗充填する第1の充填機51と、小容量の被包装物を補正充填する第2の充填機52と、からなる2つの充填機51、52を設けるとともに、これらの充填機51、52の間に計量装置(計量装置の袋把持部のみを簡略的に示している。)53を設置した袋詰め包装装置が開示されている。そして、第1の充填機51で被包装物を袋50に高速で粗充填した後、この袋を計量装置53で計量し、最終的な目標充填量から計量装置53の計量値を差し引いた重量分だけ、第2の充填機52により被包装物を袋50に補正充填している(演算充填)。この特許文献1の袋詰め包装装置は、計量専用セクションで、計量装置53によって粗充填した後の袋50の計量作業に専念することができるので、後述する計量しながら充填する場合と比較して、高速化することが可能となる利点もある。
【0004】
ところで、パルス制御によりオーガ充填する場合、包装充填作業を長時間連続的に行うと、空気中の湿度などの変化により、被包装物のかさ比重(質量/容積)が変動することがあるので、計量装置53の計測値に基づいて、充填量の変動傾向を判断し、正確な被包装物の充填量となるように、第1の充填機51のサーボモータの回転数をフィードバック制御する。
【0005】
さらに、特許文献1では、包装作業が完了した後の製品の重量を計測するために、ロータリー式の包装機の後段に、図4では図示していないが、オートチェッカーを設置することにより、かさ比重の変動を補正することが可能となる。この場合には、オートチェッカーによって袋詰めされた製品の重量を計測し、オートチェッカーによる数回毎の計測データに基づいて補正充填量に対する補正量を演算し、当該補正量に対応する傾向パルス数で第2の充填機52の制御部をフィードバック制御し、次回からの充填を補正、変更された量目にて充填するような制御を繰り返して行なう。
【0006】
前記特許文献1では、オートチェッカーの計測に基づいて第2の充填機52の制御部をフィードバック制御しているが、この特許文献1の変形例としてオートチェッカーの代わりに、特許文献2のような第2の計量装置55を配置したロータリー式の包装機が存在する。即ち、図5に簡略的に示すように、ロータリー式の包装機の第2の充填機52(特許文献2では、滴注ノズル)による演算充填の後工程に、第2の計量装置55を配置して、この第2の計量装置55で、被包装物を充填した袋50を持ち替え計測し、この計量値に基づいて第2の充填機52の制御部をフィードバック制御する。即ち、前記のように、包装充填作業を長期間にわたって行うと、かさ比重が変動する場合があるので、第2の計量装置55で検出した計測値に基づいて、第2の充填機52の充填量の変動傾向を判断し、この変動傾向に基づいて第2の充填機52をフィードバック制御して正確な充填量を充填する。
【0007】
前記特許文献1や特許文献2とは異なり、かさ比重の変動の影響を受けない他の袋詰め包装装置の簡略図を図6に示す。特許文献3には、前記のような構成の計量充填包装方法およびその装置が開示されている。図6の袋詰め包装装置は、第1の充填機51により被包装物を充填した後に、第2の充填機52において、計量装置56(袋把持部のみを示す)により持ち替え計量しながら充填する方法である(計量充填)。すなわち、計量装置56からの計量値に基づいて第2の充填機52のオーガの回転を制御しながら充填する。
【0008】
この図6の袋詰め包装装置によれば、計量しながら充填するので、かさ比重の変動があっても、かさ比重の変動の影響を受けずに被包装物の正確な充填が可能となる。また、図4図5のような演算充填ではないので、充填作業の終了に近づくと第1の充填機51内の被包装物を全て充填した後でも、第2の充填機52だけで充填を継続できるので、第1、第2の充填機51、52内に被包装物を残さずに最後まで充填することが可能となる。
【0009】
さらに、上記図4図6を組み合わせた変形例として、図7に示すように、第1の充填機51で充填した後に、計量装置(第1の計量装置)53で計量して制御装置などにより演算し、さらに、この後に、計量装置56(第2の計量装置:袋把持部のみを示す)により計量しながら充填することも考えられる(演算充填+計量充填)。この図7の袋詰め包装装置も図6の袋詰め包装装置と同様の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-239190号公報
【特許文献2】実用新案登録3181414号公報
【特許文献3】特開平11-314602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のように図4に開示されている従来の袋詰め包装装置では、第2の充填機52からかなり離れたオートチェッカーによって検出した充填量の変動傾向に基づいて小容量供給用の第2の充填機52をフィードバック制御しているので、オートチェッカーによる実際の充填量の誤差を第2の充填機52に直接に補正して制御することができず、量目不足の複数の製品が発生するという問題点がある。
【0012】
これに対処する方法として、図5では、ロータリー式の充填包装機における、第2の充填機52による充填工程の直後に第2の計量装置55を設置しているので、量目不足の複数の製品が出るということは回避できる。しかしながら、この図5のロータリー式の充填包装機の場合には、ロータリー式の充填包装機において2つの計量装置53、55が必要となるので装置の製造コストが増加してしまうという欠点がある。
【0013】
さらに、充填作業の終了時に、前記図4図5のような従来のロータリー式の充填包装機では、第1、第2の充填機51、52のホッパーへの粉粒体などの被包装物の供給が停止されるが、停止後は、第1の充填機51のホッパーから被包装物が多く排出されるので、第1の充填機51のホッパーが先に空になる。逆に、第2の充填機52のホッパーには、多くの被包装物の粉粒体が残ってしまうので、作業員による、この残った被包装物の片付け作業の負担が大きいという問題点があった。
【0014】
これに対して、図6図7のロータリー式の充填包装機では、前記のように、かさ比重の変動の影響を受けずに被包装物の計量が可能であるとともに、充填作業の終了時に、第2の充填機52のホッパーに、多くの被包装物の粉粒体が残ってしまうことも無い。しかしながら、図6図7のロータリー式の充填包装機では、第2の充填機52で充填しながら計量するので、落下する被包装物で、ぶれながら計量することになり、計量速度が上がらないことと、計量精度の追及が困難であるという問題点があった。さらに、図7のロータリー式の充填包装機は、2つの計量装置53、56が必要となるので装置のコストアップが問題となり現実的ではない。
【0015】
本発明は、かかる課題に鑑み、製造コストの増加を抑えながら、充填精度を向上させることができる袋詰め包装装置および袋詰め包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の袋詰め包装装置は、連続して被包装物を袋に所定の重量ずつ充填して包装する充填包装機と、制御装置と、を備えた袋詰め包装装置であって、
前記充填包装機は、袋を搬送路に沿って移動して搬送する搬送装置と、搬送される袋に被包装物を充填する第1の充填機と、第1の充填機よりも搬送路における下流に配置されて第1の充填機で充填された袋を計量する計量装置と、この計量装置よりも搬送路における下流に配置されて第1の充填機で充填された袋に対して、充填目標値から計量装置の計量値を差し引いた重量の被包装物を充填する第2の充填機と、を有し、
前記制御装置は、第2の充填機により充填した袋を、充填包装機の搬送路から排出することなく、搬送路に再度、搬送して、充填包装機の計量装置で計量し、この計量値に基づいて、第2の充填機の充填状態を判断して補正するよう制御する再計量補正機能を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の袋詰め包装方法は、袋が搬送路に沿って搬送され、第1の充填機により袋に被包装物を充填する充填セクションと、充填された袋を計量する計量セクションと、第1の充填機で充填した袋に対して、充填目標値から計量装置の計量値を差し引いた重量を第2の充填機で充填する充填セクションと、を有する充填包装機を用いて、連続して被包装物を袋に所定の重量ずつ充填して包装する袋詰め包装方法であって、
第2の充填機により充填した袋を、充填包装機の搬送路から排出することなく、再度、搬送路を搬送して、充填包装機の計量装置で計量し、この計量値に基づいて、第2の充填機の充填状態を補正する再計量補正を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の袋詰め包装装置ならびに袋詰め包装方法によれば、充填包装機において計量装置を1つから2つに増加させることなく、第2の充填機により充填した重量を計量できる。そして、計量値に基づいて、第2の充填機の充填状態を補正することで、かさ比重の変動の影響を最小限に抑えることができて、袋詰め包装装置ならびに袋詰め包装方法の充填精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の袋詰め包装装置を簡略的に示す平面図
図2】本発明の袋詰め包装方法を簡略的に示す図
図3】本発明の他の袋詰め包装方法を簡略的に示す図
図4】従来の袋詰め包装方法を簡略的に示す図
図5】他の従来の袋詰め包装方法を簡略的に示す図
図6】その他の従来の袋詰め包装方法を簡略的に示す図
図7】さらに他の従来の袋詰め包装方法を簡略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図2に簡略的に示すように、本発明の実施の形態に係る袋詰め包装装置は、粉粒体などの被包装物を袋5に連続して所定量ずつ充填して包装するロータリー式の充填包装機1と、このロータリー式の充填包装機1よりも下流に配置されて、ロータリー式の充填包装機1により充填、包装された袋5の重量を測定するオートチェッカー(重量検査装置)2と、ロータリー式の充填包装機1により充填、包装された袋5をオートチェッカー2側に搬出(搬出方向Q)する搬出コンベア3と、ロータリー式の充填包装機1を含めたこの袋詰め包装装置の各構成要素を制御する制御装置(図示せず)と、を備えている。なお、本発明は、ロータリー式の充填包装機1に限定されるものではなく、循環するような包装機、例えば、楕円形状の包装機であってもよい。
【0021】
ロータリー式の充填包装機1は、袋5の両側縁部を挟持するクランプが先端に取り付けられた2本を一組とする8組のクランプアームが円形ロータ11の周縁に軸支されている。そして、円形ロータ11の下方に配置された駆動モータの駆動力が円形ロータ11に伝達されることにより、円形ロータ11が45゜のピッチで時計まわり(回転方向R)に間欠回転する。
【0022】
前記円形ロータ11の各セクションには、袋供給装置12により袋箱13から空の袋5を供給する袋供給セクション(1)と、袋5に賞味期限等を印字する印字動作と袋5の袋口開動作とを実施する袋口開セクション(2)と、大容量ホッパー15を有して被包装物を袋5に高速で(後述する第2の充填機19よりも高速で)、第1の充填機16により被包装物を粗充填する第1充填セクション(3)と、第1充填セクション(3)の下流に配置されるとともに計量装置17が設けられて、充填された袋5を持ち替えて第1の充填機16で充填された袋5を計量する計量セクション(4)と、計量セクション(4)の下流に配置され、小容量ホッパー18を有して小容量の被包装物を低速で精度よく充填する第2充填セクション(5)と、脱気装置20により袋5内の空気を脱気する脱気セクション(6)と、袋5の袋口をシール装置21によりシールするシールセクション(7)と、袋5のシール部をシール冷却装置22により冷却するとともに包装した袋5を円形ロータ11の搬送路から搬出コンベア3側に搬出する冷却搬出セクション(8)と、が配置されている。そして、これらのセクション(1)~(8)において、充填作業および包装作業が順に実施される。
【0023】
これらのセクション(1)~(8)で実施される基本的な充填・包装作業動作について簡単に説明する。
まず、袋供給セクション(1)に対応して配置される袋供給装置12は、円形ロータ11のクランプアームに、袋箱13内に積層された空の袋5を供給する。即ち、袋箱13に積層されている多数の袋5に対して、吸盤で上から順に1枚ずつ吸着して袋供給セクション(1)のクランプアームに供給し、クランプにより袋5の両側縁部を挟持して袋5を吊り下げる。また、袋口開セクション(2)で実施される印字動作では、印字装置14により、例えば、賞味期限や製造年月日等を袋5の表面適所に印字し、袋口開動作では、吸盤により袋5の前後面を吸引して袋口を開口すると共に、ヘラと称する4本の金属線材で袋口を開口保持する。前記袋供給装置12、袋箱13、印字装置14、脱気装置20、シール装置21、シール冷却装置22等は、既に公知のものを用いる。
【0024】
第1充填セクション(3)では、パルス制御のサーボモータを備えた充填用のオーガや大容量ホッパー15等からなる第1の充填機16が配置されている。この第1の充填機16のオーガは、大径で被包装物を大容量かつ高速で充填し、袋5内に粉粒体などの被包装物を目標とする充填量よりも少なめに粗充填する(第1充填工程)。これに対して、この後の第2充填セクション(5)の第2の充填機19のオーガは、小径で被包装物を比較的低速で精度よく追加、充填する。
【0025】
計量セクション(4)には、ロードセル等の計量装置17が配置されている。計量装置17は、第1充填セクション(3)で被包装物が充填された袋5を計量装置17の袋把持部に持ち替えて、袋5の重量を計量し、その計量値を制御装置に出力する(計量工程)。前記制御装置により、被包装物の充填目標値から計量装置17の計量値を差し引いて、第2充填セクション(5)での追加する充填量(演算充填量)が演算される。なお、包装充填作業を長期間にわたって行うと、かさ比重(質量/容積)が変動する場合があるので、計量装置17での前記計量値に基づいて、充填量の変動傾向を判断し、この変動傾向に基づいて大容量供給用と小容量供給用の第1および第2の充填機16,19をフィードバック制御して正確な充填量が充填されるよう調整される。
【0026】
第2充填セクション(5)では、小容量ホッパー18を有して小容量の被包装物を低速で精度よく充填する第2の充填機19が配置されている。この第2充填セクション(5)では、前記のように、充填目標値から計量装置17の計量値を差し引いた演算充填量分だけ充填される(第2充填工程)。なお、第2の充填機19もパルス制御のサーボモータを備えた充填用のオーガを備えている。
【0027】
なお、第2の充填機19は、充填始業時や充填作業時には、第2充填セクション(5)に配置されて充填するように構成されているが、図1において仮想線で示すように、充填終了時に、第2の充填機19が、計量セクション(4)に移動が可能で、計量装置17により計量しながら第2の充填機19により充填できるようになっている(この際の動作は後述する)。この実施の形態では、第2の充填機19を支持する回転軸19aが、計量セクション(4)と第2充填セクション(5)との中間部外周側に配置され、回転軸19aを中心として第2の充填機19を支持する支持アーム19bを回転して(回転方向T)計量セクション(4)における計量装置17の上方位置に第2の充填機19のオーガが移動できるよう構成されている。
【0028】
第2の充填機19によって袋5に被包装物が充填された後、脱気セクション(6)において脱気装置20により袋5内の空気が脱気され、シールセクション(7)においてシール装置21により袋5の袋口がシールされる。冷却搬出セクション(8)においては、まずシール冷却装置22により袋5のシール部が冷却され、この後、クランプによる挟持動作が解除され、包装した製品が円形ロータ11の搬送路から搬出コンベア3上に載せられてオートチェッカー(重量検査装置)2に搬送される。
【0029】
オートチェッカー(重量検査装置)2では包装された袋5の重量が測定されるとともに検査され、充填・包装された袋5が予め設定されている充填量範囲内である場合には、良品として出荷(製品排出)される一方、充填量範囲でない場合には不良品と認定されて、不良品としての処理が行われる。
【0030】
本発明の袋詰め包装装置および袋詰め包装方法は、図2に示すように、第1の充填機16と第2の充填機19の間に、計量装置17が配置され、第1の充填機16および第2の充填機19のサーボモータはパルス制御されている。さらに、制御装置により、第1の充填機16のサーボモータは、充填直後に計量装置17により計量した計量値に基づいてパルス数を補正する。本発明の特徴は、第2の充填機19で演算充填した袋5を、ロータリー式の充填包装機1の搬送路から排出することなく、搬送路に再循環させ、ロータリー式の充填包装機1の計量装置17で計量し、この計量値に基づいて、第2の充填機19の充填状態を判断してパルス数を補正する再計量補正動作を実施するよう構成されていることである。このような再計量補正動作を実施する機能を再計量補正機能と言う。
【0031】
そして、充填作業の開始時(立上げ時)には、再計量補正動作を含んだ始業補正モードを実施し、この後、通常の充填作業を所定時間継続したり充填作業を所定量実施したりすると、再計量補正動作を含んだ作業補正モードを実施し、充填作業の終了時には作業終了モードを実施する。但し、これに限るものではなく、これに代えて、始業補正モード、作業補正モード、作業終了モードを選択可能に実施し(各モードの制御内容を操作ボタンあるいは、操作パネルなどにより実行可能とし)、操作者により、それぞれ、始業補正モード、作業補正モード、作業終了モードを実行するよう構成してもよい。以下、これらのモードを説明する。
【0032】
[始業補正モード]
始業時(袋詰め包装装置の立上げ時)の被包装物の最良な充填量にするため、第1、第2の充填機16、19の各オーガのサーボモータのパルス値を制御装置で制御する。その制御方法として、まず、通常の充填作業の運転前に、前回充填したデータを元にして、テスト用の袋5を用いて、第1の充填機16による第1充填工程、計量装置17による計量工程、第2の充填機19による第2充填工程を複数回(例えば3~5袋程度)、試験的に実施する。そして、計量工程での計量装置17による測定値を平均し、この平均値を用いて、第1の充填機16のパルス値を誤差分だけ補正して更新する。
【0033】
図2に示すように、冷却搬出セクション(8)において充填済みの袋5をロータリー式の充填包装機1の搬送路から排出することなく、この搬送路を再循環させる。すなわち、充填済みの袋5を、袋供給動作、印字動作、袋口開動作、第1充填動作を行うことなく各セクション(袋供給セクション(1)、袋口開セクション(2)、第1充填セクション(3))を通過させる。他方、計量セクション(4)で計量装置17による2回目の計量を行い、その計量値で第2の充填機19のパルス値を補正する(始業時における再計量補正動作の実施)。この補正により、第2の充填機19に対する、かさ比重の変動による誤差を補正できる。
【0034】
[作業補正モード]
充填・包装作業中は、原則として、基本充填動作が実施される。すなわち、計量装置17の計量動作により第1の充填機16ヘのフィードバック制御が実施され、また、第2の充填機19においては、充填目標値から計量装置17の計量値を差し引いた重量分だけ演算充填のみ行われる。
【0035】
この作業中に所定の条件が満たされると、制御装置により、図2に示すような再計量補正動作が実行される。再計量補正動作を実行する条件として、当該ロータリー式の充填包装機1による充填を所定回数(例えば、数千回又は数万回)行った後、または、充填を所定時間(例えば数時間)行った後に実施するように設定する。この条件が満たされた場合には、上記、始業補正モードの場合と同様に、再計量補正動作を自動的に実施する。すなわち、上記実施条件を満たした場合には、所定数(例えば、3~5袋程度)、第1充填動作、計量動作、第2充填動作を行った後、第1の充填機16のパルス値を誤差分だけ補正して更新する。さらに、ロータリー式の充填包装機1の搬送路から袋5を排出することなく、この搬送路を再循環させる。その際、充填済みの袋5を、袋供給動作、印字動作、袋口開動作、第1充填動作を行うことなく、計量セクション(4)で計量装置17による2回目の計量を行い、その計量値で第2の充填機19のパルス値を補正する(充填作業時における再計量補正動作)。これにより、第1充填機16だけでなく、第2充填機19におけるかさ比重変動による誤差を補正することができ、ひいては充填精度を向上させることができる。
【0036】
[オートチェッカー作業補正モード]
充填作業中において、再計量補正機能の実施条件として、上記のように、充填回数や充填時間ではなく、図3に簡略的に示すように、ロータリー式の充填包装機1の下流に設けられているオートチェッカー2により、充填重量が変動する傾向があった場合のみ、再計量補正動作を実施させてもよい(充填作業時におけるオートチェッカーによる再計量補正動作)。つまり、温度や湿度などの作業環境が大幅に変動しない場合には、作業中でのかさ比重の変動があまり無いので再計量補正動作を実施しなくても差し支えない場合も多いため、オートチェッカー2により、充填量が変動する傾向があり、再計量補正動作を実施させる必要がある場合のみ、この動作を実施させてもよい。充填量が変動する傾向がない場合は、再循環停止の信号が出される。なお、操作部に、この再計量補正動作を実施させたり、停止させたりするためのパネルから、手動で設定できるよう構成してもよい。
【0037】
[作業終了モード]
前記の図4および図5の実施の形態と同様な制御をすると、充填作業の終了時、第1、第2の充填機16、19のホッパーへの粉粒体の供給停止後は、第1の充填機16のホッパーが先に空になり、これとは逆に、第2の充填機19のホッパーには、多くの被包装物の粉粒体が残ってしまうという問題点が出る。そこで、第2の充填機19が、第2充填セクション(5)の位置と、計量装置17により計量する計量セクション(4)の位置との間を、移動可能な構造とし、第1の充填機16のホッパーに粉粒体が残っている間は、計量セクション(4)に第2の充填機19が配置された状態とし、第1の充填機16のホッパーが空になるまで充填作業を継続する。
【0038】
第1の充填機16のホッパーが空になると、制御装置による指示信号により、第2の充填機19は計量セクション(4)に移動し、計量装置17により計量しながら第2の充填機19により被包装物を充填する。この方法により、終了時における第2の充填機19の残粉を最小限に減少させることができる。なお、上記のように、作業終了モードに切替える際に、第2の充填機19の支持アーム19bが自動的に回転するように回転駆動用モータを設置して制御すると好適であるが、自動的に回転させる代わりに、一時的に停止させて、手動で支持アーム19bを回転させる構成としてもよい。
【0039】
なお、上記実施の形態では、作業終了に近づいた際のみ、第2充填セクション(5)から計量セクション(4)に第2の充填機19を移動させたが、これに限るものではなく、当初から被包装物の量が少ない時は、第1の充填機16を使用することなく、計量セクション(4)で計量装置17により計量しながら第2の充填機19により充填するような構成にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、充填包装機を有して、被包装物を連続的に充填して包装する各種の袋詰め包装装置および袋詰め包装方法において有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 ロータリー式の充填包装機
2 オートチェッカー(重量検査装置)
3 搬出コンベア
5 袋
11 円形ロータ(搬送装置)
12 袋供給装置
14 印字装置
15 大容量ホッパー
16 第1の充填機
17 計量装置
18 小容量ホッパー
19 第2の充填機
20 脱気装置
21 シール装置
22 シール冷却装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7