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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061592
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】フック装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
A47F5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171599
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 暁彦
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118FA15
3B118FA16
(57)【要約】
【解決課題】かご型の什器や格子状の線材に対して取り付けられるポップケースや什器等の正面方向を簡単な構造で上向きにすることができるフックを提供する。
【解決手段】フック装置は、吊下げ対象に装着又は接着される第1面を有し縦方向に延びる縦壁と、前記縦壁の前記第1面とは反対側の第2面から、前記第1面から遠ざかる方向に突出するように設けられるフック部であって、横方向に延びる第1線材を受容可能な凹所を内側に有するフック部と、前記フック部よりも下側かつ前記フック部から離間した位置で前記第2面から、前記第1面から遠ざかる方向に突出する横壁であって、その先端で前記第1線材と交差するように縦方向に延びる第2線材と当接可能な横壁と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下げ対象に装着又は接着される第1面を有し縦方向に延びる縦壁と、
前記縦壁の前記第1面とは反対側の第2面から、前記第1面から遠ざかる方向に突出するように設けられるフック部であって、横方向に延びる第1線材を受容可能な凹所を内側に有するフック部と、
前記フック部よりも下側かつ前記フック部から離間した位置で前記第2面から、前記第1面から遠ざかる方向に突出する横壁であって、その先端で前記第1線材と交差するように縦方向に延びる第2線材と当接可能な横壁と、
を備えるフック装置。
【請求項2】
前記横壁は、前記フック部の幅寸法よりも大きい幅寸法を有する請求項1に記載のフック装置。
【請求項3】
前記横壁の前記先端から前記第2面までの奥行き寸法は、前記凹所から前記第2面までの奥行き寸法と略同等かそれよりも大きい請求項1又は請求項2に記載のフック装置。
【請求項4】
前記縦壁の上端に設けられた第1係合部であって、前記吊下げ対象に横方向に延びるように設けられた第1かぎ状部の内側に差し込まれて前記吊下げ対象と係合可能な第1係合部と、
前記縦壁の下端に設けられた第2係合部であって、前記吊下げ対象に横方向に延びるように設けられ且つ前記第1かぎ状部と対向する第2かぎ状部の内側に差し込まれて前記吊下げ対象と係合可能な第2係合部と、
を備える請求項1~3のいずれか1項に記載のフック装置。
【請求項5】
前記縦壁の前記第1面で前記縦壁の外縁部に設けられた溝部であって、前記縦壁の外縁を縁取るように前記外縁よりも内側で環状に形成され、前記吊下げ対象と接着するための接着剤を内部に貯留可能な溝部を備える請求項1~4のいずれか1項に記載のフック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商店等で複数の用途に用いることができるフック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品説明等を記載したポップカードを陳列棚やフックバーに取り付けるためのカードホルダが開示されている。このカードホルダは、陳列棚に対して異なる角度で装着されることができ、それによって、ポップカードを陳列棚に対して固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-204824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商店内に設置されるかご型の什器では、ポップカードを収納するための透明樹脂製のポップケースをかご型の什器の前面にフック等を用いて吊下げる場合がある。しかしながら、単にかご型の什器の横方向に延びる線材に対してフックを介してポップケースを取り付けただけでは、重力の作用によってポップケースが斜めになり、ポップカードの正面方向が下方を向いてしまう問題がある。これによって、商店を訪れた顧客に対してポップカードが見難くなってしまう問題がある。
従って、本発明の目的は、かご型の什器や格子状の線材に対して取り付けられるポップケースや什器等の正面方向を簡単な構造で上向きにすることができるフックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)のフック装置は、吊下げ対象に装着又は接着される第1面を有し縦方向に延びる縦壁と、
前記縦壁の前記第1面とは反対側の第2面から、前記第1面から遠ざかる方向に突出するように設けられるフック部であって、横方向に延びる第1線材を受容可能な凹所を内側に有するフック部と、
前記フック部よりも下側かつ前記フック部から離間した位置で前記第2面から、前記第1面から遠ざかる方向に突出する横壁であって、その先端で前記第1線材と交差するように縦方向に延びる第2線材と当接可能な横壁と、
を備える。
【0006】
また、本発明(2)のフック装置は、(1)記載のフック装置であって、
前記横壁は、前記フック部の幅寸法よりも大きい幅寸法を有する。
【0007】
また、本発明(3)のフック装置は、(1)又は(2)記載のフック装置であって、
前記横壁の前記先端から前記第2面までの奥行き寸法は、前記凹所から前記第2面までの奥行き寸法と略同等かそれよりも大きい。
【0008】
また、本発明(4)のフック装置は、(1)~(3)のいずれか1項に記載のフック装置であって、
前記縦壁の上端に設けられた第1係合部であって、前記吊下げ対象に横方向に延びるように設けられた第1かぎ状部の内側に差し込まれて前記吊下げ対象と係合可能な第1係合部と、
前記縦壁の下端に設けられた第2係合部であって、前記吊下げ対象に横方向に延びるように設けられ且つ前記第1かぎ状部と対向する第2かぎ状部の内側に差し込まれて前記吊下げ対象と係合可能な第2係合部と、
を備える。
【0009】
また、本発明(5)のフック装置は、(1)~(4)に記載のフック装置であって、
前記縦壁の前記第1面で前記縦壁の外縁部に設けられた溝部であって、前記縦壁の外縁を縁取るように前記外縁よりも内側で環状に形成され、前記吊下げ対象と接着するための接着剤を内部に貯留可能な溝部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、かご型の什器や格子状の線材に対して取り付けられるポップケースや什器等の正面方向を簡単な構造で上向きにすることができるフックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態のフック装置をその第2面方向から示す斜視図である。
図2図1に示すフック装置をその第1面方向から示す斜視図である。
図3図1に示すフック装置をその側面方向から示す斜視図である。
図4図1に示すフック装置を接着したポップケースを、フック装置を介してかご型什器の前面に吊下げた状態を示した斜視図である。
図5図4に示すフック装置を介してポップケースを吊り下げたかご型什器を側面方向から示した側面図である。
図6】従来型フック装置を用いてポップケースをかご型什器に吊下げた比較例を示した斜視図である。
図7図6に示す従来型フック装置を介してポップケースが吊り下げられたかご型什器の比較例を側面方向から示す側面図である。
図8】第2実施形態のフック装置を商品陳列什器の背面に装着した状態で、当該フック装置を介して商品陳列什器をワイヤラックに吊り下げた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、フック装置の実施形態について説明する。実施形態のフック装置は、例えば、ポップケースに接着されてポップケースの吊下げに用いられたり、或いは、商品陳列用什器の背面に装着されて商品陳列用什器の吊下げに用いられたりするものである。
[第1実施形態]
【0013】
図1図7を参照して、第1実施形態のフック装置11について説明する。本実施形態のフック装置11は、吊下げ対象であるポップケース12の裏面12Bに対して接着されて用いられる。すなわち、本実施形態のフック装置11は、ポップケース12を例えばかご型什器13の前面に吊下げる際に用いることができる。かご型什器13は、例えば、商店の格子状のワイヤラックの任意の箇所に吊下げられて商品の陳列等に利用される。
【0014】
かご型什器13は、図4図5に示すように、横方向に延びる第1線材14と、第1線材14と交差するように縦方向に延びる第2線材15と、を有する。かご型什器13は、例えば、その後側に商店のワイヤラック等に吊下げるための1以上の吊下げフック16を有する。
【0015】
図1図3に示すように、フック装置11は、平板状をなして縦方向に延び且つ第1面21Aおよび第2面21Bを有する縦壁21と、縦壁21の第2面21Bから横方向に突出するように設けられるフック部22と、同じく縦壁21の第2面21Bから横方向に突出するように設けられる横壁23と、縦壁21の上端に設けられる小片状の第1係合部24と、縦壁21の下端に設けられる小片状の第2係合部25と、縦壁21の第1面21Aに設けられた環状の溝部26と、を備える。フック装置11は、例えば、透光性のある合成樹脂材料によって、一体に成形されている。
【0016】
本実施形態において、縦壁21の第1面21Aは、後述するように吊下げ対象(ポップケース12)に対して接着される(図4図5参照)。縦壁21の第2面21Bは、第1面21Aとは反対側に位置している。縦壁21は、正面から見て山型(富士山型)に形成されている。したがって、縦壁21は、下側に行くにつれて幅寸法が大きくなるように形成されている。第1係合部24は、山型をなした縦壁21の頂部と一体的・連続的な平板状に形成されている。第2係合部25は、山型をなした縦壁21の裾野部(下部)と一体的・連続的な平板状に形成されている。
【0017】
フック部22は、縦壁21の第2面21Bから突出するように設けられている。フック部22の突出方向は、第1面21Aから遠ざかる方向である。図3に示すように、フック部22は、側方から見て、略「S」字状をなしている。図1に示すように、フック部22は、所定の幅寸法W1を有する。フック部22は、円弧状をなして内側にかご型什器13の横方向に延びる第1線材14を保持可能な凹所22Aと、凹所22Aよりも先端側に設けられ指を掛けることが可能な指掛部22Bと、を有する。図3に示すように、指掛部22Bは、下方に行くにつれて第2面21Bから遠ざかるように第2面21Bに対して斜めに配置されている。凹所22Aから第2面21Bまでは、所定の奥行き寸法D1を有する。
【0018】
横壁23は、フック部22から所定の距離だけ離間して設けられている。横壁23は、縦壁21の第2面21Bから突出するように設けられている。横壁23の突出方向は、第1面21Aから遠ざかる方向である。言い換えると、横壁23の突出方向は、縦壁21の延びる方向と交差(例えば、直交)する方向である。図1図2に示すように、横壁23は、平板状に形成されている。横壁23は、平坦になった先端23Aを有する。横壁23は、フック部22の幅寸法W1よりも大きい幅寸法W2を有する。後述するように、先端23Aは、かご型什器13の第1線材14と交差するように縦方向に延びる第2線材15と当接可能である。
【0019】
図3に示すように、横壁23の先端23Aから第2面21Bまでの奥行き寸法D2は、凹所22Aから第2面21Bまでの奥行き寸法D1と略同等である。横壁23の先端23Aから第2面21Bまでの奥行き寸法D2は、凹所22Aから第2面21Bまでの奥行き寸法D1よりも大きく設定されてもよい。
【0020】
図2に示すように、溝部26は、縦壁21の第1面21Aで縦壁21の外縁部31に設けられている。溝部26は、縦壁21の外縁32を縁取るように外縁32よりも内側で環状に形成されている。溝部26は、所定の深さで凹状に形成されており、吊下げ対象のポップケース12と接着する際に第1面21Aに塗布された接着剤を内側に貯留することができる。溝部26は、全体的に連続した完全な環状であってもよいし、途中が途切れて不連続になった実質的な環状であってもよい。接着剤は、透光性があり、粘性が低く流動性が高いものが好ましく、例えば、塩化ビニル樹脂系接着剤を好適に用いることができる。
【0021】
本実施形態のフック装置11が接着されるポップケース12は、例えば、透光性のある樹脂板を二つ折りにして形成されている。図4に示すように、ポップケース12は、その内側の隙間に対して、商品説明等を記載したポップ33(ポップシート)を差し入れて保持することができる。ポップケース12は、顧客側を向いた表面12Aと、フック装置11が接着される裏面12Bと、を有する。ポップケース12は、フック装置11で吊り下げられる吊下げ対象の一例である。
【0022】
続いて、本実施形態のフック装置11をポップケース12に接着する際の工程について説明する。フック装置11をポップケース12に接着する際には、フック装置11の第1面21Aとポップケース12の裏面12Bとの間の隙間に対して、例えば塩化ビニル樹脂系接着剤を例えば注射器等を用いて注入・塗布する。塩化ビニル樹脂系接着剤は、粘性が低く、流動性が高いために、塗布面から周囲に向けて液だれを起こしやすい。本実施形態のフック装置11は、第1面21Aの周囲を取り囲むように環状の溝部26が設けられているために、第1面21Aとポップケース12との間に注射器等で当該接着剤を注入・塗布する際に、余分な接着剤を溝部26内に程度貯留することができる。このため、本実施形態では、ポップケース12にフック装置11を接着する工程において接着剤のはみ出しや液だれを生じにくい。その結果、接着剤によってフック装置11の周囲が汚れてしまうことが極力防止される。また、溝部26内に十分に行きわたるように接着剤を注入することで、接着剤の不足の問題を生じることもなく、接着剤の不足に起因する接着不良の問題を生じることを極力防止できる。
【0023】
次に、図4図5を参照して、本実施形態のフック装置11の作用について説明する。上記のようにフック装置11が裏面12Bに接着されたポップケース12は、かご型什器13の前面に取り付けることができる。本実施形態では、ポップケース12は、フック装置11の吊下げ対象である。すなわち、当該かご型什器13の上端に設けられる横方向に延びる第1線材14に対して、フック部22を引っかけるようにする。その際、例えば、作業者が指掛部22Bに指を掛けてフック部22と第2面21Bとの間を広げるようにして凹所22Aに対して第1線材14を嵌め込んでもよいし、或いは、直接に指掛部22Bと第2面21Bとの間の隙間に第1線材14を押し入れて第1線材14によって指掛部22Bと第2面21Bと間の隙間を広げるようにしてもよい。このようにして、フック部22の凹所22Aに対して第1線材14を嵌め入れるようにする。
【0024】
作業者は、さらに、横壁23の先端23Aがかご型什器13の縦方向に延びる第2線材15に当接するように、ポップケース12の位置を微調整する。このとき、図4に示すように、フック部22から外れた位置で且つ横壁23の先端23Aに当接する位置関係で第2線材15が位置するように、ポップケース12およびフック装置11の位置を微調整する。なお、作業者は、予め一対の第2線材15間の寸法を測定し、一対の第2線材15よりも若干内側に一対のフック装置11のフック部22がそれぞれ位置するように、ポップケース12に対してフック装置11を接着することが望ましい。
【0025】
フック装置11の横壁23の先端23Aが第2線材15に当接することで、図5に示すように、ポップケース12の正面方向F(ポップケース12の表面12Aに対する法線方向)が水平方向と略平行か、水平方向よりも上向きにすることができる。これは、本実施形態のフック装置11が、横方向に延びる第1線材14の中心から第2面21Bまでの距離に対して、横壁23の先端23Aから第2面21Bまでの距離が長くなるように設計されているために、ポップケース12にこのような姿勢を取らせることができる。ポップケース12がこのような姿勢を取ることで、商店を訪れた顧客に対してポップケース12内のポップ33を視認しやすくすることができる。
【0026】
次に、図6図7を参照して、比較例として従来型フック装置41を用いてポップケース12をかご型什器13の前面に吊下げた場合を説明する。この場合には、ポップケース12に対して重力が作用して、ポップケース12の下端がかご型什器13の第2線材15に当接することで、ポップケース12の姿勢が決まる。図7に示すように、従来型フック装置41を用いたポップケース12では、ポップケース12の正面方向F(ポップケース12の表面12Aに対する法線方向)が水平方向よりも下向きになり、商店を訪れた顧客がポップケース12内のポップ33を視認しずらくなる。
【0027】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。フック装置11は、吊下げ対象に装着又は接着される第1面21Aを有し縦方向に延びる縦壁21と、縦壁21の第1面21Aとは反対側の第2面21Bから、第1面21Aから遠ざかる方向に突出するように設けられるフック部22であって、横方向に延びる第1線材14を受容可能な凹所22Aを内側に有するフック部22と、フック部22よりも下側かつフック部22から離間した位置で第2面21Bから、第1面21Aから遠ざかる方向に突出する横壁23であって、その先端23Aで第1線材14と交差するように縦方向に延びる第2線材15と当接可能な横壁23と、を備える。
【0028】
この構成によれば、横壁23の先端23Aが縦方向に延びる第2線材15と当接できるため、吊下げ対象が重力の作用で下方に回転することがなく、顧客から見えにくい角度になってしまうことを防止できる。このため、フック装置11に吊下げられる吊下げ対象の正面方向Fを上向きにすることができる。これによって、商店を訪れる顧客に対して、吊下げ対象を見やすい角度で展示することができる。
【0029】
横壁23は、フック部22の幅寸法よりも大きい幅寸法を有する。この構成によれば、縦方向に延びる第2線材15に対して横壁23の先端23Aの一部を確実に当接させることができる。
【0030】
横壁23の先端23Aから第2面21Bまでの奥行き寸法は、凹所22Aから第2面21Bまでの奥行き寸法と略同等かそれよりも大きい。この構成によれば、凹所22A内に保持される第1線材14の中心から第2面21Bまでの距離に対して、横壁23の先端23Aから第2面21Bまでの距離を長くすることができる。これによって、フック装置11に吊下げられる吊下げ対象の正面方向Fを上向きにすることができる。このため、商店を訪れる顧客に対して、吊下げ対象を見やすい角度で展示することができる。
【0031】
フック装置11は、縦壁21の第1面21Aで縦壁21の外縁部31に設けられた溝部26であって、縦壁21の外縁32を縁取るように外縁32よりも内側で環状に形成され、前記吊下げ対象と接着するための接着剤を内部に貯留可能な溝部26を備える。
【0032】
この構成によれば、フック装置11の第1面21Aと吊下げ対象との間に接着剤を注入・塗布して、吊下げ対象に対してフック装置11を接着する際に、当該溝部26に対して接着剤をある程度貯留することができる。このため、吊下げ対象に対してフック装置11を接着する際に、接着剤が第1面21Aから下側に液垂れしたり、はみ出しを生じたりする不具合を生じることを防止できる。また、溝部26に対して接着剤を充填するようにすれば、接着剤の不足の問題を生じることがなく、接着剤の不足に起因する接着不良を生じることを防止できる。
【0033】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0034】
図8を参照して、第2実施形態のフック装置11について説明する。第2実施形態のフック装置11は、その縦壁21の第1面21Aにおいて商品陳列用什器51の背面51Bに装着されて商品陳列用什器51の吊下げに用いられる。
【0035】
商品陳列用什器51は、例えば、正面51Aの上側に設けられ店舗管理者が商品を投入する商品投入口52と、正面51Aの下側に設けられ顧客が商品を取り出すための図示しない商品取り出し口と、を有する。商品陳列用什器51は、合成樹脂材料によって形成される場合が多い。商品陳列用什器51は、フック装置11で吊り下げられる吊下げ対象の一例である。
【0036】
商品陳列用什器51は、背面51Bに断面かぎ状に突出して横方向に延びた第1かぎ状部53と、背面51Bに断面かぎ状に突出して横方向に延びた第2かぎ状部54と、第1かぎ状部53と第2かぎ状部54との中間に位置してフック装置11の第1面21Aを裏支えする中間レール55と、を有する。第2かぎ状部54は、第1かぎ状部53との間に所定の距離を存して第1かぎ状部53と対向している。第2かぎ状部54は、第1かぎ状部53よりも下側に位置されている。第2かぎ状部54は、第1かぎ状部53と第2かぎ状部54との間の中間にある中間線(或いは中間レール55)に対して線対称の形態を有する。
【0037】
中間レール55は、第1かぎ状部53および第2かぎ状部54よりも小さい突出量で商品陳列用什器51の背面51Bに横方向に延びる凸部状に形成されている。
【0038】
第1かぎ状部53は、その内側の収納部にフック装置11の第1係合部24を保持することができる。第2かぎ状部54は、その内側の収納部にフック装置11の第2係合部25を保持することができる。したがって、フック装置11は、図8に長い矢印で示すように、第1かぎ状部53と第2かぎ状部54との間の位置に横方向から差し込まれて、第1かぎ状部53の内側に第1係合部24が差し込まれるのと同時に、第1かぎ状部53の内側に第2係合部25が差し込まれることで、商品陳列用什器51の背面51Bに対して係合される。このとき、中間レール55は、フック装置11の第1面21Aに当接してフック装置11を支持する。
【0039】
第1かぎ状部53および第2かぎ状部54は、横方向に延びるいわゆるレール状をなしている。図8に示すように、フック装置11は、第1かぎ状部53および第2かぎ状部54に沿って、横方向に関して位置を微調整可能に第1かぎ状部53および第2かぎ状部54の内側に保持されている。
【0040】
続いて、図8を参照して、本実施形態のフック装置11の作用について説明する。商品陳列用什器51が取り付けられる商店のワイヤラック56は、横方向に延びる第1線材14と縦方向に延びる第2線材15とを含んでいる。ワイヤラック56の目56Aの寸法(第1線材14同士のピッチ、第2線材15同士のピッチ)は、ワイヤラック56を製造する企業によって若干変動があるものの、概ね縦50mm、横50mm程度である。
【0041】
一方、商品陳列用什器51は、横方向に個別のユニット57を連結して一体にできるものが存在し、横方向に関する商品陳列用什器51の全長は、連結される個別ユニット57の数によって決まる。よって、予め個別ユニット57の背面51Bに本実施形態のフック装置11と同形態のフックを一体成形してしまうと、個別ユニット57の連結数によっては、当該フックの位置がワイヤラック56の第2線材15と重なって、ワイヤラック56に対して商品陳列用什器51をうまく吊下げることができない事態を生じる場合がある。
【0042】
本実施形態のフック装置11は、商品陳列用什器51の第1かぎ状部53および第2かぎ状部54に対して、横方向にフック装置11の位置を微調整可能である。その際、第2線材15に対してフック部22が外れた位置で、且つ第2線材15に対して横壁の先端23Aが当接する位置に、フック装置11の位置を微調整できる。これによって、店舗管理者は、適宜にフック装置11の位置を適宜に調整して、商店のワイヤラック56(第1線材14、第2線材15)に対して商品陳列用什器51を吊下げることができる。また、第2線材15に対して横壁23の先端23Aが当接するため、商品陳列用什器51の正面方向F(商品陳列用什器51の正面51Aに対する法線方向)を水平方向と略平行か、水平方向よりも上向きにすることができる。これによって、商店を訪れた顧客に対して商品陳列用什器51の正面51Aを視認しやすい姿勢で商品陳列用什器51を吊り下げることができる。
【0043】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。フック装置11は、縦壁21の上端に設けられた第1係合部24であって、前記吊下げ対象に横方向に延びるように設けられた第1かぎ状部53の内側に差し込まれて前記吊下げ対象と係合可能な第1係合部24と、縦壁21の下端に設けられた第2係合部25であって、前記吊下げ対象に横方向に延びるように設けられ且つ第1かぎ状部53と対向する第2かぎ状部54の内側に差し込まれて前記吊下げ対象と係合可能な第2係合部25と、を備える。
【0044】
この構成によれば、第1かぎ状部53および第2かぎ状部54に対して横方向から第1係合部24および第2係合部25を係合させることで、吊下げ対象に対してフック装置11を簡単に装着することができる。また、吊下げ対象を商店内の第1線材14および第2線材15(例えば、格子状のワイヤラック56)に対して吊下げる際に、第1線材14および第2線材15で構成される目56Aの位置に位置させるように、吊下げ対象に対してフック装置11を横方向に移動できる。これによって、商店に設置されている第1線材14および第2線材15の目の大きさに応じて、適宜にフック装置11の位置を微調整することができる。このため、縦方向に延びる第2線材15に対してフック部22が外れた位置で、かつ第2線材15に対して横壁23の先端23Aが当接する位置に、フック装置11を微調整して配置することができる。これによって、第1線材14および第2線材15の目56Aの大きさに関わらず、吊下げ対象の正面方向Fを上向きに保持して、商店を訪れる顧客に対して吊下げ対象を見やすく展示することができる。
【0045】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。その他、第1実施形態と第2実施形態とを適宜に組み合わせて適宜に発明を構成することも当然にできる。
【符号の説明】
【0046】
11 フック装置
12 ポップケース
14 第1線材
15 第2線材
21 縦壁
21A 第1面
21B 第2面
22 フック部
22A 凹所
23 横壁
23A 先端
24 第1係合部
25 第2係合部
26 溝部
31 外縁部
32 外縁
51 商品陳列用什器
53 第1かぎ状部
54 第2かぎ状部
56 ワイヤラック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8