(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061617
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0569 20100101AFI20230425BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20230425BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20230425BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230425BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230425BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230425BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
H01M10/0569
H01M10/0568
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171652
(22)【出願日】2021-10-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】土井 貴之
(72)【発明者】
【氏名】木戸 亮介
(72)【発明者】
【氏名】佐野 篤史
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK16
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM12
5H029HJ02
5H029HJ07
5H029HJ10
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CA20
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050HA02
5H050HA07
5H050HA10
(57)【要約】
【課題】サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】このリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟まれるセパレータと、電解液と、を含み、前記セパレータは、固体電解質層を備え、前記電解液は、電解質塩と溶媒とを含み、前記電解液に対する前記電解質塩の総量は、0.8mol/kg以上1.5mol/kg以下であり、前記溶媒は、環状カーボネートとトリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)とフッ素置換鎖状カーボネートとを含み、前記溶媒における前記環状カーボネートに対する前記トリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)の体積比が、1.5以上2.5以下であり、前記溶媒における前記環状カーボネートに対する前記フッ素置換鎖状カーボネートの体積比が、2.5以上3.5以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟まれるセパレータと、電解液と、を含み、
前記セパレータは、固体電解質層を備え、
前記電解液は、電解質塩と溶媒とを含み、
前記電解液に対する前記電解質塩の総量は、0.8mol/kg以上1.5mol/kg以下であり、
前記溶媒は、環状カーボネートとトリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)とフッ素置換鎖状カーボネートとを含み、
前記溶媒における前記環状カーボネートに対する前記トリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)の体積比が、1.5以上2.5以下であり、
前記溶媒における前記環状カーボネートに対する前記フッ素置換鎖状カーボネートの体積比が、2.5以上3.5以下である、リチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記固体電解質は、Li1+s+uDs(EtTi1-t)2-s(SiO4)u(PO4)3-uで表記されるナシコン型構造を有するリン酸塩であり、
前記Dは、3価のアルミニウム又はガリウムを含み、
前記Eは、4価のゲルマニウム又はジルコニウムを含み、
0≦s≦0.8、0≦t<1、0≦u≦0.5を満たす、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記正極は正極活物質を含み、
前記正極活物質は、LiNi1-x-yCoxMyOzで表記でき、
前記Mは、Al、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群から選択される1種以上であり、
0≦x<0.5、0≦y<0.5、x+y≦1を満たす、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記負極は、負極活物質を含み、
前記負極活物質は、シリコンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器やハイブリットカー等の動力源としても広く用いられている。
【0003】
電池の使用量の増加に伴い、エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池が求められている。例えば、正極又は負極の高容量化は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を高める手段の一つである。
【0004】
例えば、LiとCoの化合物であるLiCoO2、CoとNiとMnを含む3元系化合物(NCM)は、高容量な正極活物質の一つであり、高電位を印加できる。一方で、正極が高電位になると、電解液が酸化分解される場合がある。例えば、特許文献1には、正極における電解液の酸化分解を抑制するために、カーボネート溶媒にフッ素化シラン化合物を添加することが記載されている。
【0005】
また例えば、シリコン、スズ、及びこれらの合金又は酸化物は、高容量な負極活物質の一つである。これらの負極活物質は、充放電時の体積変化が大きく、充放電時に一部が崩れる場合がある。負極活物質の一部が崩壊すると、活性面が露出し、電解液を分解する。例えば、特許文献2~4には、負極での電解液の分解を抑制するために、特定のリチウム塩とエーテル化合物とを含む電解液を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-171981号公報
【特許文献2】特開2009-176534号公報
【特許文献3】特開2014-110235号公報
【特許文献4】特表2015-534254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
充放電時の体積膨張が大きい負極活物質は、充放電を繰り返すと微粉化し、セパレータを目詰まりさせることがある。微多孔質膜から開口を有さない固体電解質層にセパレータを変えることで目詰まりは生じなくなるが、固体電解質層の表面で電解液が分解し、固体電解質層が高抵抗膜となる。この高抵抗膜は、過電圧を引き起こし、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を低下させる。
【0008】
本開示は上記問題に鑑みてなされたものであり、サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0010】
(1)第1の態様にかかるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟まれるセパレータと、電解液と、を含む。前記セパレータは、固体電解質層を備える。前記電解液は、電解質塩と溶媒とを含み、前記電解液に対する前記電解質塩の総量は、0.8mol/kg以上1.5mol/kg以下である。前記溶媒は、環状カーボネートとトリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)とフッ素置換鎖状カーボネートとを含む。前記溶媒における前記環状カーボネートに対する前記トリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)の体積比は、1.5以上2.5以下である。前記溶媒における前記環状カーボネートに対する前記フッ素置換鎖状カーボネートの体積比が、2.5以上3.5以下である。
【0011】
(2)上記態様にかかるリチウムイオン二次電池は、前記固体電解質は、Li1+s+uDs(EtTi1-t)2-s(SiO4)u(PO4)3-uで表記されるナシコン型構造を有するリン酸塩であってもよい。前記Dは、3価のアルミニウム又はガリウムを含み、前記Eは、4価のゲルマニウム又はジルコニウムを含み、0≦s≦0.8、0≦t<1、0≦u≦0.5を満たす。
【0012】
(3)上記態様にかかるリチウムイオン二次電池は、前記正極は正極活物質を含み、前記正極活物質は、LiNi1-x-yCoxMyOzで表記できるものでもよい。前記Mは、Al、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群から選択される1種以上である。0≦x<0.5、0≦y<0.5、x+y≦1を満たす。
【0013】
(4)上記態様にかかるリチウムイオン二次電池は、前記負極は、負極活物質を含み、前記負極活物質は、シリコンを含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記態様に係るリチウムイオン二次電池は、サイクル特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0017】
「リチウムイオン二次電池」
図1は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の模式図である。
図1に示すリチウムイオン二次電池100は、発電素子40と外装体50と非水電解液(図示略)とを備える。外装体50は、発電素子40の周囲を被覆する。発電素子40は、接続された一対の端子60、62によって外部と接続される。非水電解液は、外装体50内に収容されている。
【0018】
(発電素子)
発電素子40は、セパレータ10と正極20と負極30とを備える。
【0019】
<正極>
正極20は、例えば、正極集電体22と正極活物質層24とを有する。正極活物質層24は、正極集電体22の少なくとも一面に接する。
【0020】
[正極集電体]
正極集電体22は、例えば、導電性の板材である。正極集電体22は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属薄板である。重量が軽いアルミニウムは、正極集電体22に好適に用いられる。正極集電体22の平均厚みは、例えば、10μm以上30μm以下である。
【0021】
[正極活物質層]
正極活物質層24は、例えば、正極活物質を含む。正極活物質層24は、必要に応じて、導電助剤、バインダーを含んでもよい。
【0022】
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとカウンターアニオンのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を含む。
【0023】
正極活物質は、例えば、複合金属酸化物である。複合金属酸化物は、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzMaO2の化合物(一般式中においてx+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiNixCoyAlzO2(0.9<x+y+z<1.1)である。正極活物質は、有機物でもよい。例えば、正極活物質は、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンでもよい。
【0024】
正極活物質は、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムからなる群から選択されるいずれかを含むものでもよい。正極活物質は、例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウムからなる群から選択されるいずれかを含む三元系化合物である。ニッケル・コバルト・マンガン酸リチウム(NCM)、ニッケル・コバルト・アルミニウム酸リチウム(NCA)は、三元系化合物の例である。三元系化合物は、高電位でも使用できる。
【0025】
例えば、LiNi1-x-yCoxMyOzで表記される化合物は、正極活物質に用いられる三元系化合物の一例である。当該三元系化合物は、高電位でも安定的に使用できる。上記の化学式において、Mは、Al、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群から選択される1種以上である。xは、0≦x<0.5を満たし、好ましくは0<x<0.5を満たす。yは、0≦y<0.5を満たし、好ましくは0<y<0.5を満たす。またxとyとの和は、x+y≦1を満たす。またzは、酸素の原子分率であり、2を基準とし、化学量論組成からのずれを容認する。例えば、zは、1.9≦y≦2.1を満たす。
【0026】
正極活物質は、リチウム非含有の材料でもよい。リチウム非含有の材料は、例えば、FeF3、有機導電性物質を含む共役系ポリマー、シェブレル相化合物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物、ニオブ酸化物等である。リチウム非含有の材料は、いずれか一つの材料のみを用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。正極活物質がリチウム非含有の材料の場合は、例えば、最初に放電を行う。放電により正極活物質にリチウムが挿入される。このほか、正極活物質がリチウム非含有の材料に対して、化学的又は電気化学的にリチウムをプレドープしてもよい。
【0027】
導電助剤は、正極活物質の間の電子伝導性を高める。導電助剤は、例えば、カーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、導電性酸化物である。カーボン粉末は、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等である。金属微粉は、例えば、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の粉である。
【0028】
正極活物質層24における導電助剤の含有率は特に限定されない。例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーの総質量に対して導電助剤の含有率は、0.5質量%以上20質量%以下であり、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
【0029】
正極活物質層24におけるバインダーは、正極活物質同士を結合する。バインダーは、公知のものを用いることができる。またバインダーは、後述する負極活物質層34に用いられるものと同様のものでもよい。バインダーは、電解液に溶解せず、耐酸化性を有し、接着性を有するものが好ましい。バインダーは、例えば、フッ素樹脂である。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリル酸及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体の金属イオン架橋体、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、これらの混合物である。正極活物質層に用いるバインダーは、PVDFが特に好ましい。
【0030】
正極活物質層24におけるバインダーの含有率は特に限定されない。例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーの総質量に対してバインダーの含有率は、1質量%以上15質量%以下であり、好ましくは1.5質量%以上5質量%以下である。バインダーの含有率が少ないと、正極20の接着強度が弱まる。バインダーの含有率が高いと、バインダーは電気化学的に不活性で放電容量に寄与しないため、リチウムイオン二次電池100のエネルギー密度が低くなる。
【0031】
<負極>
負極30は、例えば、負極集電体32と負極活物質層34とを有する。負極活物質層34は、負極集電体32の少なくとも一面に形成されている。
【0032】
[負極集電体]
負極集電体32は、例えば、導電性の板材である。負極集電体32は、正極集電体22と同様のものを用いることができる。
【0033】
[負極活物質層]
負極活物質層34は、例えば、負極活物質を含む。負極活物質層34は、必要に応じて、導電助剤、バインダーを含んでもよい。
【0034】
負極活物質は、イオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質を使用できる。負極活物質は、例えば、金属リチウム、リチウム合金、炭素材料、リチウムと合金化できる物質である。炭素材料は、例えば、イオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等である。リチウムと合金化できる物質は、例えば、シリコン、スズ、亜鉛、鉛、アンチモンを含む。リチウムと合金化できる物質は、例えば、これらの単体金属でも、これらの元素を含む合金又は酸化物でもよい。
【0035】
負極活物質は、例えば、シリコンを含む。シリコンは、単体シリコンでもシリコン化合物でもよい。シリコン化合物は、例えば、シリコン合金、酸化シリコン等である。例えば、シリコンは、結晶質でも非晶質でもよい。非晶質のシリコン又はシリコン化合物は、メルトスパン法、ガスアトマイズ法等で作製できる。
【0036】
シリコン合金は、XnSiで表される。Xは、カチオンである。Xは、例えば、Ba、Mg、Al、Zn、Sn、Ca、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、W、Au、Ti、Na、K等である。nは、0≦n≦0.5を満たす。酸化シリコンは、SiOxで表記される。xは、例えば、0.8≦x≦2を満たす。酸化シリコンは、SiO2のみからなってもよいし、SiOのみからなってもよいし、SiOとSiO2との混合物でもよい。また酸化シリコンは、酸素の一部が欠損していてもよい。
【0037】
負極活物質は、シリコン又はシリコン化合物の複合体でもよい。複合体は、シリコン又はシリコン化合物の粒子の表面の少なくとも一部に、導電性材料が被覆したものである。導電性材料は、例えば、炭素材料、Al、Ti、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、Sn等である。例えば、シリコン炭素複合化材料(Si-C)は複合体の一例である。シリコン又はシリコン化合物の粒子に対する導電性材料の被覆量は、例えば、複合体の総質量に対して0.01質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下である。複合体は、例えば、メカニカルアロイング法、化学蒸着法、湿式法、高分子を被覆後に高分子を熱分解して炭素化する方法等で作製できる。
【0038】
負極活物質層34は、上述のように例えば、リチウムを含んでもよい。リチウムは、金属リチウムでもリチウム合金でもよい。負極活物質層34は、金属リチウム又はリチウム合金でもよい。リチウム合金は、例えば、Si、Sn、C、Pt、Ir、Ni、Cu、Ti、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Alからなる群から選択される1種以上の元素と、リチウムと、の合金である。一例として、負極活物質が金属リチウムの場合、負極30はLi負極と呼ばれることがある。負極活物質層34は、リチウムのシートでもよい。
【0039】
負極30は、作製時に負極活物質層34を有さずに、負極集電体32のみであってもよい。リチウムイオン二次電池100を充電すると、負極集電体32の表面に金属リチウムが析出する。金属リチウムはリチウムイオンが析出した単体のリチウムであり、金属リチウムは負極活物質層34として機能する。
【0040】
導電助剤及びバインダーは、正極20と同様のものを用いることができる。負極30におけるバインダーは、正極20に挙げたものの他に、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等でもよい。セルロースは、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)でもよい。
【0041】
<セパレータ>
セパレータ10は、正極20と負極30とに挟まれる。セパレータ10は、正極20と負極30とを隔離し、正極20と負極30との短絡を防ぐ。セパレータ10は、例えば、外装体50内を正極20側の空間(正極室)と負極30側の空間(負極室)とを区分する。セパレータ10は、正極20及び負極30に沿って面内に広がる。リチウムイオンは、セパレータ10を通過できる。
【0042】
セパレータ10は、例えば、固体電解質層を備える。固体電解質層は、電解液を通さず、リチウムイオンのみを通過させる。固体電解質層は、正極室の電解液と負極室の電解液とを分離し、相溶を防ぐ。固体電解質層は、固体電解質を含む。固体電解質は、例えば、高分子固体電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質である。
【0043】
固体電解質は、例えば、NASICON型構造を有するリン酸塩である。固体電解質は、例えば、Li1+s+uDs(EtTi1-t)2-s(SiO4)u(PO4)3-uである。この式において、Dは3価のアルミニウム又はガリウムであり、Eは4価のゲルマニウム又はジルコニウムであり、0≦s≦0.8、0≦t<1、0≦u≦0.5を満たす。この固体電解質は、電解液との反応性が低く、電解液や電解質塩の過度な分解を起こしにくい。
【0044】
セパレータ10は、固体電解質層のみからなってもよいし、固体電解質層と他の層との積層体でもよい。例えば、セパレータ10を固体電解質層と微多孔質膜との積層体としてもよい。
【0045】
微多孔質膜は、例えば、ポリオレフィンフィルムの単層体、積層体である。セパレータ10は、ポリエチレンやポリプロピレン等の混合物の延伸膜でもよい。微多孔質膜は、例えば、セルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布でもよい。
【0046】
セパレータ10は、無機コートセパレータを備えてもよい。無機コートセパレータは、上記のフィルムの表面に、PVDFやCMCなど樹脂とアルミナやシリカなどの無機物の混合物を塗布したものである。無機コートセパレータは、耐熱性に優れ、正極から溶出した遷移金属の負極表面への析出を抑制する。
【0047】
<電解液>
電解液は、外装体50内に封入され、発電素子40に含浸している。電解液は、正極室と負極室とのそれぞれに収容されている。正極室内の電解液は、正極活物質層24内に含浸している。負極室内の電解液は、負極活物質層34内に含浸している。正極室内の電解液と負極室内の電解液とは同じでも異なってもよい。
【0048】
電解液は、電解質塩と溶媒とを含む。電解質塩は、溶媒に溶解している。
【0049】
電解質塩は、例えば、リチウム塩である。電解質塩は、例えば、LiPF6、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、LiClO4、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(SO2F)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3CF2CO)2、LiBOB、LiN(FSO2)2等である。LiN(SO2F)2は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドであり、LiFSIと呼ばれる。LiN(CF3SO2)2は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであり、LiTFSIと呼ばれる。LiN(CF3CF2SO2)2は、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドであり、LiBETIと呼ばれる。電解質塩は、LiBF4、LiFSIが好ましい。
【0050】
電解液に含まれる電解質塩は、1種に限られず、複数種でもよい。電解質塩は、正極室内の電解液に含まれる電解質塩と、負極室内の電解液に含まれる電解質塩と、で異なってもよい。
【0051】
電解液に対する電解質塩の総量は、0.8mol/kg以上1.5mol/kg以下である。電解質塩の総量は、電解液に含まれる電解質塩の合計であり、それぞれの電解質塩の割合は問わない。
【0052】
溶媒は、環状カーボネートとトリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)とフッ素置換鎖状カーボネートとを含む。環状カーボネート化合物は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等である。フッ素置換鎖状カーボネートは、例えば、メチル2、2、2―トリフルオロエチルカーボネート(MFEC)、ビス(2、2、2―トリフルオロエチル)カーボネート(TFEC)である。
【0053】
溶媒における環状カーボネートに対するトリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)の体積比は、1.5以上2.5以下である。すなわち、溶媒における環状カーボネートの体積比を1とした際に、トリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP)の体積比は、1.5以上2.5以下である。
【0054】
また溶媒における環状カーボネートに対するフッ素置換鎖状カーボネートの体積比は、2.5以上3.5以下である。すなわち、溶媒における環状カーボネートの体積比を1とした際に、フッ素置換鎖状カーボネートの体積比は、2.5以上3.5以下である。
【0055】
<外装体>
外装体50は、その内部に発電素子40及び電解液を密封する。外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止する。
【0056】
外装体50は、例えば
図1に示すように、金属箔52と、金属箔52の各面に積層された樹脂層54と、を有する。外装体50は、金属箔52を高分子膜(樹脂層54)で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムである。
【0057】
金属箔52としては例えばアルミ箔を用いることができる。樹脂層54には、ポリプロピレン等の高分子膜を利用できる。樹脂層54を構成する材料は、内側と外側とで異なっていてもよい。例えば、外側の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等を用い、内側の高分子膜の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。
【0058】
<端子>
端子60、62は、それぞれ正極20と負極30とに接続されている。正極20に接続された端子60は正極端子であり、負極30に接続された端子62は負極端子である。端子60、62は、外部との電気的接続を担う。端子60、62は、アルミニウム、ニッケル、銅等の導電材料から形成されている。接続方法は、溶接でもネジ止めでもよい。端子60、62は短絡を防ぐために、絶縁テープで保護することが好ましい。
【0059】
「リチウムイオン二次電池の製造方法」
リチウムイオン二次電池100は、負極30、正極20、セパレータ10、電解液、外装体50をそれぞれ準備し、これらを組み上げて作製される。以下、リチウムイオン二次電池100の製造方法の一例を説明する。
【0060】
負極30は、例えば、スラリー作製工程、電極塗布工程、乾燥工程、圧延工程を順に行って作製される。
【0061】
スラリー作製工程は、負極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を混合してスラリーを作る工程である。溶媒は、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン等である。負極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で70wt%~100wt%:0wt%~10wt%:0wt%~20wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
【0062】
負極活物質は、活物質粒子と導電性材料とをせん断力を加えながら混合し、複合化したものでもよい。活物質粒子が変質しない程度にせん断力を加えて混合すると、活物質粒子の表面が導電性材料で被覆される。また当該混合の程度により負極活物質の粒径を調整できる。また作製後の負極活物質を篩にかけて、粒径をそろえてもよい。
【0063】
電極塗布工程は、負極集電体32の表面に、スラリーを塗布する工程である。スラリーの塗布方法は、特に制限はない。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法をスラリーの塗布方法として用いることができる。
【0064】
乾燥工程は、スラリーから溶媒を除去する工程である。例えば、スラリーが塗布された負極集電体32を、80℃~150℃の雰囲気下で乾燥させる。スラリーが乾燥することで、負極集電体32上に負極活物質層34が形成される。
【0065】
圧延工程は、必要に応じて行われる。圧延工程は、負極活物質層34に圧力を加え、負極活物質層34の密度を調整する工程である。圧延工程は、例えば、ロールプレス装置等で行われる。
【0066】
正極20は、負極30と同様の手順で作製できる。セパレータ10は、固体電解質層を用いる。外装体50は、市販のものを用いることができる。
【0067】
次いで、作製した正極20及び負極30の間にセパレータ10が位置するようにこれらを積層して、発電素子40を作製する。発電素子40が捲回体の場合は、正極20、負極30及びセパレータ10の一端側を軸として、これらを捲回する。
【0068】
最後に、発電素子40を外装体50に封入する。電解液は外装体50内に注入する。電解液を注入後に減圧、加熱等を行うことで、発電素子40内に電解液が含浸する。熱等を加えて外装体50を封止することで、リチウムイオン二次電池100が得られる。なお、外装体50に電解液を注入するのではなく、発電素子40を電解液に含浸してもよい。正極20と負極30とを異なる電解液に浸漬してもよい。
【0069】
第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100は、サイクル特性に優れる。リチウムイオン二次電池100のセパレータ10が固体電解質層を備え、充放電を複数回繰り返しても、セパレータ10が目詰まりすることがないためである。またこのリチウムイオン二次電池100に用いられる電解液は、電荷移動抵抗が小さい。そのため、正極20又は負極30と固体電解質層との間の反応抵抗が小さく、充放電中に過電圧が生じにくい。過電圧は、電解液の酸化還元分解の原因である。電解液の分解物は、固体電解質層の表面に被膜を形成し、正極20又は負極30と固体電解質層との間の高抵抗化の原因の一つである。すなわち、リチウムイオン二次電池100は、充放電時に過電圧が生じにくく、優れたサイクル特性を示す。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【実施例0071】
「実施例1」
厚さ15μmのアルミニウム箔の一面に、正極スラリーを塗布した。正極スラリーは、正極活物質と導電助剤とバインダーと溶媒とを混合して作製した。
【0072】
正極活物質は、Li(Ni0.8Co0.1Mn0.1)O2を用いた。導電助剤は、アセチレンブラックを用いた。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。溶媒は、N-メチル-2-ピロリドンを用いた。97質量部の正極活物質と、1質量部の導電助剤と、2質量部のバインダーと、70質量部の溶媒を混合して、正極スラリーを作製した。乾燥後の正極活物質層における正極活物質の担持量は、20mg/cm2とした。正極スラリーから乾燥炉内で溶媒を除去し、正極活物質層を作成した。正極活物質層をロールプレスで加圧し、正極を作製した。
【0073】
次いで、厚さ10μmの銅箔の一面に、負極スラリーを塗布した。負極スラリーは、負極活物質と導電助剤とバインダーと溶媒とを混合して作製した。
【0074】
負極活物質は、シリコンとした。導電助剤は、カーボンブラックを用いた。バインダーはポリイミド樹脂を用いた。溶媒は、N-メチル-2-ピロリドンを用いた。90質量部の負極活物質と、5質量部の導電助剤と、5質量部のバインダーとを、N-メチル-2-ピロリドンに混合して、負極スラリーを作製した。乾燥後の負極活物質層における負極活物質の担持量は、2.0mg/cm2とした。負極スラリーから乾燥炉内で溶媒を除去し、負極活物質層を作製した。負極活物質層は、ロールプレスで加圧した後、窒素雰囲気下、300℃以上で5時間熱焼成した。
【0075】
次いで、電解液を作製した。まず溶媒を作製した。溶媒は、体積比でエチレンカーボネート(EC):トリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP):メチル2、2、2―トリフルオロエチルカーボネート(MFEC)=1:2:3となるように混合した混合溶媒を用いた。この溶媒に、電解質塩として、1.0mol/kgのLiFSIとを溶解させた。
【0076】
(評価用リチウムイオン二次電池の作製)
負極に、ニッケル製の負極リードを取り付けた。正極に、アルミニウム製の正極リードを取り付けた。正極リード及び負極リードは、超音波溶接機によって溶接した。正極を第1電解液に浸漬し、負極を第2電解液に浸漬した。そして、負極と正極とを、正極活物質層と負極活物質層とが互いに対向するように、セパレータを介して積層して積層体を得た。セパレータは、厚み12μmの多孔質ポリプロピレンシートと厚み40μmの固体電解質層との積層膜を用いた。固体電解質層は、多孔質ポリプロピレンシートより正極側に配置した。固体電解質層は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3(以下、LATPと称する)を用いた。この積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。そして、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封して、リチウムイオン二次電池を作製した。
【0077】
(100サイクル後容量維持率の測定)
リチウムイオン二次電池のサイクル特性を測定した。サイクル特性は、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて行った。
【0078】
充電レート1.0C(25℃で定電流充電を行ったときに1時間で充電終了となる電流値)の定電流充電で電池電圧が4.3Vとなるまで充電を行い、放電レート1.0Cの定電流放電で電池電圧が2.8Vとなるまで放電を行った。充放電終了後の放電容量を検出し、サイクル試験前の電池容量Q1を求めた。
【0079】
上記で電池容量Q1を求めた電池を、再び二次電池充放電試験装置を用い、充電レート1.0Cの定電流充電で電池電圧が4.3Vとなるまで充電を行い、放電レート1.0Cの定電流放電で電池電圧が2.8Vとなるまで放電を行った。上記充放電を1サイクルとカウントし、100サイクルの充放電を行った。その後、100サイクル充放電終了後の放電容量を検出し、100サイクル後の電池容量Q2を求めた。
【0080】
上記で求めた容量Q1、Q2から、100サイクル後の容量維持率Eを求めた。容量維持率Eは、E=Q2/Q1×100 で求められる。実施例1の容量維持率Eは、90%であった。
【0081】
「実施例2」
実施例2は、電解液の溶媒のうちエチレンカーボネート(EC)をプロピレンカーボネート(PC)に置き換え、電解質塩を変更した点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にして容量維持率を求めた。
【0082】
実施例2は、体積比でプロピレンカーボネート(PC):トリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP):メチル2、2、2―トリフルオロエチルカーボネート(MFEC)=1:2:3となるように混合した混合溶媒を用いた。実施例2の電解質塩は、0.9mol/kgのLiBF4と0.1mol/kgのLiFSIとを用いた。実施例2の容量維持率Eは、88%であった。
【0083】
「実施例3」
実施例3は、電解液の溶媒のうちエチレンカーボネート(EC)をプロピレンカーボネート(PC)に置き換え、電解質塩を変更した点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にして容量維持率を求めた。
【0084】
実施例3は、体積比でプロピレンカーボネート(PC):トリス(2、2、2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFEP):メチル2、2、2―トリフルオロエチルカーボネート(MFEC)=1:2:3となるように混合した混合溶媒を用いた。実施例3の電解質塩は、1.0mol/kgのLiBF4を用いた。実施例3の容量維持率Eは、84%であった。
【0085】
「比較例1」
比較例1は、電解液の溶媒及び電解質塩を変更した点が実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様にして容量維持率を求めた。
【0086】
比較例1は、体積比でフルオロエチレンカーボネート(FEC):エチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネエート(DEC)=0.5:2.5:7となるように混合した混合溶媒を用いた。比較例1の電解質塩は、1.0mol/kgのLiPF6を用いた。比較例1の容量維持率Eは、45%であった。
【0087】
「比較例2」
比較例2は、セパレータの構成を変更した点が実施例1と異なる。比較例2は、多孔質ポリプロピレンシートのみを用い、固体電解質層を設けなかった。その他の条件は、実施例1と同様にして容量維持率を求めた。比較例2の容量維持率Eは、75%であった。
【0088】
【0089】
表1に示すように、実施例1~3は、比較例1、2と比較して、サイクル特性が向上した。