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  • 特開-視界を限定する手摺 図1
  • 特開-視界を限定する手摺 図2
  • 特開-視界を限定する手摺 図3
  • 特開-視界を限定する手摺 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061619
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】視界を限定する手摺
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20230425BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E04F11/18
E04B1/00 502C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171654
(22)【出願日】2021-10-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】592040826
【氏名又は名称】住友不動産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108327
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】和泉沢 忠晴
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 英司
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 尚宏
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301GG07
2E301HH18
(57)【要約】
【課題】下の階の人が上階のバルコニー等から見下ろしされないようにするためにバルコニー等の手摺に視界を制限する目隠しを設け、一方、水平方向遠方の視界を一定程度確保する。
【解決手段】
ルーフバルコニー等の手摺1であって、間隔を空けて設置した手摺1の柱2の外側に傾斜突出する斜材3を設け、この斜材3、3の間には基部から上端に向かって水平の遮蔽材5、5が間隔Sを空けて配設してあり、バルコニー等からの下方への視界を限定することによって下の階や地面に視線が届かないようすると共に、水平遮蔽材5、5の間隔を調整することによって水平方向の視界を確保する手摺1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を空けて設置した手摺の垂直の柱の根元から上方外側に傾斜突出する斜材が設けてあり、斜材の間には斜材の根元から上端に向かって板状の目隠し水平遮蔽材が間隔を空けて配設してあり、水平遮蔽材によって手摺を通しての下方向の視界を限定すると共に水平方向の視界を確保した手摺。
【請求項2】
外側に向かって傾斜させた手摺の柱が間隔をあけて設置してあり、傾斜させた柱の間には柱の根本から上端に向かって目隠し水平遮蔽材が間隔を空けて配設してあり、水平遮蔽材によって手摺を通しての下方向の視界を限定すると共に水平方向の視界を確保した手摺。
【請求項3】
請求項1または2において、水平遮蔽材の厚さが15~20mmであり、水平遮蔽材の間隔が20~30mmである手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフバルコニー、上階のバルコニーや外廊下等から地上や下の階を見下ろしできる範囲を限定し、また、逆に下の階や地上からバルコニー等及び部屋の内部が覗かれないようにする目隠し機能を有する手摺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ルーフバルコニーや上階のバルコニー等はその所有者にとっては高い位置から下方を見下ろすことができ、また、眺望を楽しめる場所であるが、反面、その下側の住人にとっては見降ろされることになるので快く思わない人も少なからず存在し、隣人関係に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
居住区画の外側に位置するルーフバルコニーやベランダは外部からの視線に晒される区画であり、先行技術文献1及び2に示されるように外部から居住区画内部を覗かれないようにすることを目的とした目隠し材が多く提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6257974号
【特許文献2】実公昭62-15392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水平方向の視界を遮らず、眺望の良さを維持しつつ下階または地上にいる人に上階から見おろされていることを感じさせないようにし、かつ、眺望を楽しむことを阻害しないルーフバルコニー等の手摺を提供するものである。
【0006】
従来、ベランダやバルコニーの目隠しは、ベランダの乱雑さや洗濯物、更には居住区域等を外部から覗かれるのを防ぐことを目的とするものであり、ルーバー等の目隠し材は、特許文献1等の先行文献にあるように、外側に向かって上向き傾斜させて配設してあり、下方向からの視線を遮るものであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
バルコニー等の手摺であって、間隔を空けて設置した手摺の柱の外側に、柱の下部から上向きに傾斜突出する斜材が設けてあり、この斜材の下端から上端の間に水平遮蔽材が等間隔に配設してあり、下方への視界を限定すると共に水平遮蔽材の間から水平方向の視界を確保した手摺である。
【0008】
また、手摺の柱が外方に向けて傾斜させて立設してあり、この傾斜した柱の間の下端から上端に向かって水平遮蔽材が等間隔で配設してあり、下方の視界を限定し、また、下方からの視線を遮断する手摺である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、手摺の基部から上端に向かって水平遮蔽材が等間隔で配設してあるので、水平遮蔽材の間隔を適宜に設定することによって水平方向の視界が遮られる領域を従来の傾斜させた遮蔽材に比較して小さくすることができ、視覚的に連続した情景であると認識させることが可能であり、水平遮蔽材の隙間から覗いているという感覚を小さくすることが可能であるので、バルコニー等からの水平方向の視界が遮られているという感覚を起こさせないようにすることができる。そして、バルコニーとしての眺望の良さを維持しつつ、下階または地面にいる人に上階から見おろされていることを感じさせないようにすることができ、かつ、手摺の水平遮蔽材の間隔を適宜に定めることによって遠方の眺望を楽しむことができるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の手摺の実施例1の側面図。
図2】本発明の手摺の実施例1の側面図及び正面図。
図3】本発明の手摺の効果を示す説明図。
図4】本発明の手摺の他の実施例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例1
本発明を図1及び図2の実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の視界を限定する手摺1の側面図であってバルコニー等の前端部に設けたものである。手摺1は、柱2が適宜の間隔をあけて設置してある。柱2の上下には取付金具6a、6bが設けてあり、上部取付金具6aが下部取付金具6bより長さを長くしてあり、この取付金具6a、6bを使用して斜材3が上下で固定してある。上部の取付金具6aが下部の取付金具6bより長くしてあるので、これらの取付金具6a、6bを使用して固定した軽量な金属製アングル等からなる斜材3は、柱2の基部より上方に向かってベランダから遠ざかる外方向へ角度θで傾斜突出している。
【0012】
斜材3には水平長さL、厚さtの水平遮蔽材5、5が間隔Sで等間隔に取り付けてある。これらの水平長さL、厚さt及び間隔Sを調整することによって水平遮蔽材5が遮蔽する領域を調整することができる。水平遮蔽材の着脱が容易な手段によって斜材に取り付けることによって、近隣からのクレーム等に対応して遮蔽領域を容易に変更することが可能である。
水平遮蔽材5は、視線を遮ることが目的であって構造部材でないので中空部材を使用することもでき、パネル材や不透明ガラスを採用することも可能である。
柱2の間にはガラス板2等を設置することによって水平遮蔽材5に上るなどの危険行為ができないようにするのが好ましい。また、ガラス板4は風除けとしても機能するものである。
【0013】
図3は、本発明の作用の概念説明図であり、図3(1)の従来の単純な垂直な手摺に比較して図3(2)に示す本発明においては、手摺を斜め前方に傾斜させてあるので、バルコニーから下を見下ろすことができる範囲がバルコニーから遠方となり、下の階のプライバシーを確保することが可能となる。
例えば、図3(1)の従来のバルコニーの手摺において、身長170cmの人がバルコニーの手摺の前に立つと、バルコニーの先端部直下の地面から180cm離れた位置d1を見下ろして視認できるが、本発明によれば、同じ位置を視認できるのは3.5m離れた位置d2となり、その手前側は水平遮蔽材5によって視認不可能となる。
【0014】
一方、本発明の手摺の水平遮蔽材5は、水平に配置してあって更に間隔Sが設けてあるので従来の斜めに配置した遮蔽材と異なり、水平遮蔽材5の厚みの部分で眺望が途切れた状態となるものの、水平遮蔽材5の間の間隔Sを通して水平方向の眺望を楽しむことができる。
そして、斜材3の設置傾斜角度θ、水平遮蔽材5の水平長さL、厚さt及び間隔Sを調整することによって水平遮蔽材5が遮蔽する領域を調整することができるのである。
【0015】
実施例2
実施例1においては、直立した柱2とは別部材の斜材3を柱2に取付け、この斜材3に水平遮蔽材5を固定設置したものであるが、実施例2においては、図4に示すように柱自体を外方に傾斜させて固定した傾斜柱20としたものであり、傾斜柱20を採用することによって実施例1の斜材3と同等の役割を果たすようにしたものである。
【0016】
傾斜柱20をバルコニーに傾斜固定するために基部に傾斜台7を固定設置し、この傾斜台7に柱部材を設置固定して傾斜柱20としたものである。
傾斜柱20を採用したことにより、手摺1の上端部から身を乗り出して下方を見ようとして手摺1を乗り越えて落下する事故となる可能性があるので、これを防止するため、傾斜柱20の上部に内側に延びる腕木10を設け、この腕木10の端部に横方向に連続するバー11を設けることによって手摺から外方向に身を乗り出せないようにして落下事故を防止したものである。
その他の構成は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0017】
1 手摺
2 柱
3 斜材
4 ガラス板
5 水平遮蔽材
6a、6b 取付金具
7 傾斜台
20 傾斜柱
L 水平遮蔽材の長さ
t 水平遮蔽材の厚さ
S 間隔
θ 斜材の傾斜角度
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフバルコニーに設けた手摺であって、間隔を空けて設置した手摺の垂直の柱の根元から上方外側に傾斜突出する斜材が設けてあり、斜材の間には斜材の根元から上端に向かって厚さ15~20mmの板状の目隠し水平遮蔽材が20~30mmの間隔を空けて配設してあり、水平遮蔽材によって手摺を通しての下方向の視界を限定すると共に水平遮蔽材の間から水平方向の視界を確保して遠方の眺望を楽しむことができるようにした手摺。
【請求項2】
ルーフバルコニーに設けた手摺であって、外側に向かって傾斜させた手摺の柱が間隔をあけて設置してあり、傾斜させた柱の間には柱の根本から上端に向かって厚さ15~20mmの板状の目隠し水平遮蔽材が間隔を空けて配設してあり、水平遮蔽材によって手摺を通しての下方向の視界を限定すると共に水平遮蔽材の間から水平方向の視界を確保して遠方の眺望を楽しむことができるようにした手摺。