(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061695
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】法人税申告書作成システム、それにおける申告書システムおよび通算システム、法人税申告書の作成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20230101AFI20230425BHJP
【FI】
G06Q40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171787
(22)【出願日】2021-10-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開者名 株式会社ROBON ウェブサイトのアドレス https://www.k-robot.net/ ウェブサイトの掲載日 令和3年1月12日 発行者名 株式会社税務研究会 刊行物名 週刊税務通信 令和3年3月29日付No.3648 発行年月日 令和3年3月29日 発行者名 株式会社税務研究会 刊行物名 週刊税務通信 令和3年4月12日付No.3650 発行年月日 令和3年4月12日 発行者名 第一法規株式会社 刊行物名 会計・監査ジャーナル 令和3年5月号第33巻第5号 発行年月日 令和3年4月15日 発行者名 株式会社税務研究会 刊行物名 週刊税務通信 令和3年4月26日付No.3652 発行年月日 令和3年4月26日 発行者名 株式会社税務研究会 刊行物名 週刊税務通信 令和3年5月10日付No.3653 発行年月日 令和3年5月10日 発行者名 第一法規株式会社 刊行物名 会計・監査ジャーナル 令和3年6月号第33巻第6号 発行年月日 令和3年5月15日 発行者名 株式会社税務研究会 刊行物名 週刊税務通信 令和3年5月24日付No.3655 発行年月日 令和3年5月24日 発行者名 第一法規株式会社 刊行物名 会計・監査ジャーナル 令和3年7月号第33巻第7号 発行年月日 令和3年6月15日 公開者名 東洋経済新報社 ウェブサイトのアドレス https://toyokeizai.net/sp/sm/gtax2021/ ウェブサイトの掲載日 令和3年7月9日 公開者名 株式会社税務研究会 ウェブサイトのアドレス https://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/category/seminar/ ウェブサイトの掲載日 令和3年7月16日 集会名 新税制フォーラム 開催日 令和3年8月18日
(71)【出願人】
【識別番号】519462366
【氏名又は名称】株式会社ROBON
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 岳夫
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グループ通算制度に対応した通算グループの各通算法人の法人税申告書の作成を効率よく行なう法人税申告書作成システム、それにおける申告書システム、通算システム及び法人税申告書の作成方法を提供する。
【解決手段】法人税申告書作成システム20において、通算法人毎の調整前所得金額を含む第1申告書情報を記憶し、所望の通算法人の第2申告書情報を用いてその通算法人の法人税申告書を作成したり電子申告を行なったりする申告書システム30と、各通算法人の第1申告書情報を取得し、調整前所得金額を用いて通算後所得金額や法人税額を計算し、各通算法人の第1申告書情報に通算後所得金額や法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、申告書データベースに、各通算法人の第2申告書情報を登録しまたは第1申告書情報に追加情報を追加して第2申告書情報として登録する通算システム40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者により使用される使用者端末とインターネット回線を介して接続され、前記使用者端末からの指示に従って通算グループ内の各通算法人の法人税申告書を作成する法人税申告書作成システムであって、
申告書システムおよび通算システムを備え、
前記申告書システムは、
前記通算法人ごとの前記法人税申告書に関連し且つ調整前所得金額を含む第1申告書情報を記憶する申告書データベースを有すると共に、前記申告書データベースをAPI(Application Programming Interface)により前記通算システムに公開し、
前記通算システムは、
前記使用者端末から第1指示を受信すると、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースから、前記各通算法人の前記第1申告書情報を取得し、
前記各通算法人の前記調整前所得金額を用いて前記通算グループ内の損益通算を行なって前記各通算法人の通算後所得金額を計算すると共に、前記各通算法人の前記通算後所得金額を用いて前記各通算法人の法人税額を計算し、
前記各通算法人の前記第1申告書情報に前記通算後所得金額および前記法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、または、前記追加情報を作成し、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースに、前記各通算法人の前記第2申告書情報を登録し、または、前記第1申告書情報に前記追加情報を追加して前記第2申告書情報として登録する、第2申告書情報登録処理を実行し、
前記申告書システムは、
前記使用者端末から第2指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の前記法人税申告書を作成する法人税申告書作成処理を実行すると共に、
前記使用者端末から第3指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の電子申告を行なう電子申告処理を実行する、
法人税申告書作成システム。
【請求項2】
請求項1記載の法人税申告書作成システムであって、
前記通算システムは、第1権限を有する前記使用者により使用される前記使用者端末から前記第1指示を受信すると、前記第2申告書情報登録処理を実行し、
前記申告書システムは、
第2権限を有する前記使用者により使用される前記使用者端末から前記第2指示を受信すると、前記法人税申告書作成処理を実行し、
前記第2権限を有する前記使用者により使用される前記使用者端末から前記第3指示を受信すると、前記電子申告処理を実行する、
法人税申告書作成システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の法人税申告書作成システムであって、
管理システムを更に備え、
前記通算システムは、前記使用者端末から前記第1指示を受信すると、前記第1指示についての前記使用者の権限のチェックを前記管理システムに実行させ、結果がOKである場合に前記第2申告書情報登録処理を実行し、
前記申告書システムは、前記使用者端末から前記第2指示を受信すると、前記第2指示についての前記使用者の権限のチェックを前記管理システムに実行させ、結果がOKである場合に前記法人税申告書作成処理を実行する、
法人税申告書作成システム。
【請求項4】
請求項3記載の法人税申告書作成システムであって、
前記申告書システムは、前記法人税申告書作成処理を実行した後に、前記使用者端末から前記第3指示を受信すると、前記第3指示についての前記使用者の権限のチェックを省略して、前記電子申告処理を実行する、
法人税申告書作成システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちの何れか1つの請求項に記載の法人税申告書作成システムであって、
前記通算システムは、前記第2申告書情報登録処理において、前記各通算法人の前記通算後所得金額とグループ通算制度の適用に関連する通算情報とを用いて前記各通算法人の法人税額を計算し、
更に、前記通算システムは、前記使用者端末により、前記通算情報を登録可能に構成されている、
法人税申告書作成システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちの何れか1つの請求項に記載の法人税申告書作成システムに用いられる申告書システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちの何れか1つの請求項に記載の法人税申告書作成システムに用いられる通算システム。
【請求項8】
使用者により使用される使用者端末とインターネット回線を介して接続され、前記使用者端末からの指示に従って通算グループ内の各通算法人の法人税申告書を作成する法人税申告書の作成方法であって、
申告書システムが、前記通算法人ごとの前記法人税申告書に関連し且つ調整前所得金額を含む第1申告書情報を記憶する申告書データベースを有すると共に、前記申告書データベースをAPI(Application Programming Interface)により通算システムに公開しており、
(a)前記通算システムが、前記使用者端末から第1指示を受信すると、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースから、前記各通算法人の前記第1申告書情報を取得し、
前記各通算法人の前記調整前所得金額を用いて前記通算グループ内の損益通算を行なって前記各通算法人の通算後所得金額を計算すると共に、前記各通算法人の前記通算後所得金額を用いて前記各通算法人の法人税額を計算し、
前記各通算法人の前記第1申告書情報に前記通算後所得金額および前記法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、または、前記追加情報を作成し、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースに、前記各通算法人の前記第2申告書情報を登録し、または、前記第1申告書情報に前記追加情報を追加して前記第2申告書情報として登録する、第2申告書情報登録処理を実行するステップと、
(b)前記申告書システムが、前記使用者端末から第2指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の前記法人税申告書を作成する法人税申告書作成処理を実行するステップと、
(c)前記申告書システムが、前記使用者端末から第3指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の電子申告を行なう電子申告処理を実行するステップと、
を有する法人税申告書の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、法人税申告書作成システム、それにおける申告書システムおよび通算システム、法人税申告書の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、連結納税制度における連結納税額の計算を行なう連結納税処理方法において、グループ持ち株比率の値によって連結納税の対象であると判定された会社の個別申告情報を統一管理データベースに格納し、連結所得額および連結納税額を計算するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
令和2年度税制改正において、「企業グループ全体を一つの納税単位とし、一体として計算した法人税額等を親法人が申告する現行制度(連結納税制度)に代えて、各法人が個別に法人税額等の計算及び申告を行なう。」とされ、連結納税制度からグループ通算制度に移行することとなった。このため、グループ通算制度に対応した通算グループの各通算法人の法人税申告書の作成を効率よく行なうための手法の考案が求められている。
【0005】
本発明の法人税申告書作成システム、それにおける申告書システムおよび通算システム、法人税申告書の作成方法は、グループ通算制度に対応した通算グループの各通算法人の法人税申告書の作成を効率よく行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の法人税申告書作成システム、それにおける申告書システムおよび通算システム、法人税申告書の作成方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の法人税申告書作成システムは、
使用者により使用される使用者端末とインターネット回線を介して接続され、前記使用者端末からの指示に従って通算グループ内の各通算法人の法人税申告書を作成する法人税申告書作成システムであって、
申告書システムおよび通算システムを備え、
前記申告書システムは、
前記通算法人ごとの前記法人税申告書に関連し且つ調整前所得金額を含む第1申告書情報を記憶する申告書データベースを有すると共に、前記申告書データベースをAPI(Application Programming Interface)により前記通算システムに公開し、
前記通算システムは、
前記使用者端末から第1指示を受信すると、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースから、前記各通算法人の前記第1申告書情報を取得し、
前記各通算法人の前記調整前所得金額を用いて前記通算グループ内の損益通算を行なって前記各通算法人の通算後所得金額を計算すると共に、前記各通算法人の前記通算後所得金額を用いて前記各通算法人の法人税額を計算し、
前記各通算法人の前記第1申告書情報に前記通算後所得金額および前記法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、または、前記追加情報を作成し、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースに、前記各通算法人の前記第2申告書情報を登録し、または、前記第1申告書情報に前記追加情報を追加して前記第2申告書情報として登録する、第2申告書情報登録処理を実行し、
前記申告書システムは、
前記使用者端末から第2指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の前記法人税申告書を作成する法人税申告書作成処理を実行すると共に、
前記使用者端末から第3指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の電子申告を行なう電子申告処理を実行する、
法人税申告書作成システム。
【0008】
本発明の法人税申告書作成システムでは、申告書システムおよび通算システムを備える。ここで、申告書システムは、通算法人ごとの法人税申告書に関連し且つ調整前所得金額を含む第1申告書情報を記憶する申告書データベースを有すると共に、申告書データベースをAPI(Application Programming Interface)により通算システムに公開する。通算システムは、使用者端末から第1指示を受信すると、申告書システムのAPIを使用して、申告書データベースから、各通算法人の第1申告書情報を取得し、各通算法人の調整前所得金額を用いて通算グループ内の損益通算を行なって各通算法人の通算後所得金額を計算すると共に、各通算法人の通算後所得金額を用いて各通算法人の法人税額を計算し、各通算法人の第1申告書情報に通算後所得金額および法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、または、追加情報を作成し、申告書システムのAPIを使用して、申告書データベースに、各通算法人の第2申告書情報を登録し、または、第1申告書情報に追加情報を追加して第2申告書情報として登録する、第2申告書情報登録処理を実行する。申告書システムは、使用者端末から第2指示を受信すると、所望の通算法人の第2申告書情報を用いてその通算法人の法人税申告書を作成する法人税申告書作成処理を実行すると共に、使用者端末から第3指示を受信すると、所望の通算法人の第2申告書情報を用いてその通算法人の電子申告を行なう電子申告処理を実行する。したがって、申告書システムが申告書データベースをAPIにより通算システムに公開するから、通算システムが、所望の通算グループの各通算法人の第2申告書情報登録処理を実行することができ、申告書システムが、所望の通算法人の法人税申告書作成処理や電子申告処理を実行することができる。このようにして、グループ通算制度に対応した通算グループの各通算法人の法人税申告書の作成や電子申告を効率よく行なうことができる。
【0009】
本発明の法人税申告書作成システムにおいて、前記通算システムは、第1権限を有する前記使用者により使用される前記使用者端末から前記第1指示を受信すると、前記第2申告書情報登録処理を実行し、前記申告書システムは、第2権限を有する前記使用者により使用される前記使用者端末から前記第2指示を受信すると、前記法人税申告書作成処理を実行し、前記第2権限を有する前記使用者により使用される前記使用者端末から前記第3指示を受信すると、前記電子申告処理を実行するものとしてもよい。こうすれば、通算システムに各通算法人の第2申告書情報登録処理を実行させるための第1権限と、申告書システムに所望の通算法人の法人税申告書の作成や電子申告を実行させるための第2権限と、を個別に設定することができる。
【0010】
本発明の法人税申告書作成システムにおいて、管理システムを更に備え、前記通算システムは、前記使用者端末から前記第1指示を受信すると、前記第1指示についての前記使用者の権限のチェックを前記管理システムに実行させ、結果がOKである場合に前記第2申告書情報登録処理を実行し、前記申告書システムは、前記使用者端末から前記第2指示を受信すると、前記第2指示についての前記使用者の権限のチェックを前記管理システムに実行させ、結果がOKである場合に前記法人税申告書作成処理を実行するものとしてもよい。こうすれば、セキュリティの向上を図ることができる。この場合、前記申告書システムは、前記法人税申告書作成処理を実行した後に、前記使用者端末から前記第3指示を受信すると、前記第3指示についての前記使用者の権限のチェックを省略して、前記電子申告処理を実行するものとしてもよい。
【0011】
本発明の法人税申告書作成システムにおいて、前記通算システムは、前記第2申告書情報登録処理において、前記各通算法人の前記通算後所得金額とグループ通算制度の適用に関連する通算情報とを用いて前記各通算法人の法人税額を計算し、更に、前記通算システムは、前記使用者端末により、前記通算情報を登録可能に構成されているものとしてもよい。こうすれば、使用者が通算情報の変更を容易に行なうことができる。
【0012】
本発明の申告書システムは、上述の何れかの態様の本発明の法人税申告書作成システムに用いられることを要旨とする。
【0013】
本発明の通算システムは、上述の何れかの態様の本発明の法人税申告書作成システムに用いられることを要旨とする。
【0014】
本発明の法人税申告書の作成方法は、
使用者により使用される使用者端末とインターネット回線を介して接続され、前記使用者端末からの指示に従って通算グループ内の各通算法人の法人税申告書を作成する法人税申告書の作成方法であって、
申告書システムが、前記通算法人ごとの前記法人税申告書に関連し且つ調整前所得金額を含む第1申告書情報を記憶する申告書データベースを有すると共に、前記申告書データベースをAPI(Application Programming Interface)により通算システムに公開しており、
(a)前記通算システムが、前記使用者端末から第1指示を受信すると、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースから、前記各通算法人の前記第1申告書情報を取得し、
前記各通算法人の前記調整前所得金額を用いて前記通算グループ内の損益通算を行なって前記各通算法人の通算後所得金額を計算すると共に、前記各通算法人の前記通算後所得金額を用いて前記各通算法人の法人税額を計算し、
前記各通算法人の前記第1申告書情報に前記通算後所得金額および前記法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、または、前記追加情報を作成し、
前記申告書システムの前記APIを使用して、前記申告書データベースに、前記各通算法人の前記第2申告書情報を登録し、または、前記第1申告書情報に前記追加情報を追加して前記第2申告書情報として登録する、第2申告書情報登録処理を実行するステップと、
(b)前記申告書システムが、前記使用者端末から第2指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の前記法人税申告書を作成する法人税申告書作成処理を実行するステップと、
(c)前記申告書システムが、前記使用者端末から第3指示を受信すると、所望の前記通算法人の前記第2申告書情報を用いてその前記通算法人の電子申告を行なう電子申告処理を実行するステップと、
を有することを要旨とする。
【0015】
本発明の法人税申告書の作成方法では、申告書システムが、通算法人ごとの法人税申告書に関連し且つ調整前所得金額を含む第1申告書情報を記憶する申告書データベースを有すると共に、申告書データベースをAPI(Application Programming Interface)により通算システムに公開している。そして、通算システムが、使用者端末から第1指示を受信すると、申告書システムのAPIを使用して、申告書データベースから、各通算法人の第1申告書情報を取得し、各通算法人の調整前所得金額を用いて通算グループ内の損益通算を行なって各通算法人の通算後所得金額を計算すると共に、各通算法人の通算後所得金額を用いて各通算法人の法人税額を計算し、各通算法人の第1申告書情報に通算後所得金額および法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、または、追加情報を作成し、申告書システムのAPIを使用して、申告書データベースに、各通算法人の第2申告書情報を登録し、または、第1申告書情報に追加情報を追加して第2申告書情報として登録する、第2申告書情報登録処理を実行する。また、申告書システムが、使用者端末から第2指示を受信すると、所望の通算法人の第2申告書情報を用いてその通算法人の法人税申告書を作成する法人税申告書作成処理を実行する。さらに、使用者端末と共に、使用者端末から第3指示を受信すると、所望の通算法人の第2申告書情報を用いてその通算法人の電子申告を行なう電子申告処理を実行する。したがって、申告書システムが申告書データベースをAPIにより通算システムに公開するから、通算システムが、所望の通算グループの各通算法人の第2申告書情報登録処理を実行することができ、申告書システムが、所望の通算法人の法人税申告書作成処理や電子申告処理を実行することができる。このようにして、グループ通算制度に対応した通算グループの各通算法人の法人税申告書の作成や電子申告を効率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例としての法人税申告書作成システム20の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】所望の法人グループの各法人へのグループ通算制度の適用の際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図3】所望の法人の法人税申告書の作成や電子申告の際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0018】
図1は、本発明の一実施例としての法人税申告書作成システム20の構成の概略を示す構成図である。実施例の法人税申告書作成システム20は、複数の使用者端末70にインターネット回線を介して接続され、使用者端末70からの指示に従って法人グループ(通算グループ)内の各法人(通算法人)の法人税申告書を作成するシステムとして構成されている。この法人税申告書作成システム20は、申告書システム30と、通算システム40と、管理システム50と、認証システム60とを備える。ここで、申告書システム30と通算システム40と管理システム50と認証システム60とは、それぞれ、クラウドベンダにより提供されるクラウドサービスを利用して構成されている。
【0019】
申告書システム30は、法人税申告書の作成やその電子申告(XML形式やCSV形式のデータでの提出)などを行なうためのシステムとして構成されており、処理部32と申告書データベース34とを有する。申告書データベース(DB)34には、法人ごとの法人税申告書に関連する第1申告書情報や第2申告書情報が記憶される。第1申告書情報や第2申告書情報の登録方法については後述する。第1申告書情報および第2申告書情報は、何れも、電子申告に対応するデータ形式の情報である。第1申告書情報は、例えば、ID、名称、手続ID、各別表のデータ(提出年月日、提出先税務署、納税地、電話番号、法人名、法人番号、代表者、代表者住所、調整前所得金額、試験研究費など)、作成日時、更新日時、申告日時などを含む情報である。第2申告書情報は、第1申告書情報に通算後所得金額および法人税額を含む追加情報(第1申告書情報の別表の空欄を埋めるための情報)を追加した情報であり、電子申告に必要なデータが揃っている情報である。申告書システム30は、申告書データベース34をAPI(Application Programming Interface)により通算システム40に公開している。
【0020】
通算システム40は、法人グループ内の各法人にグループ通算制度を適用するためのシステムとして構成されており、処理部42と通算データベース44とを有する。通算データベース44には、グループ通算制度の適用に関連する通算情報が記憶される。通算情報の登録方法については後述する。通算情報は、例えば、ID、法人区分、通算法人の法人番号、通算法人の申告書ID、損金益金、配当金、寄付金、税効果などを含む情報である。
【0021】
管理システム50は、法人や法人グループ、使用者を管理するためのシステムとして構成されており、処理部52と、使用者データベース54と、法人データベース56と、法人グループデータベース58とを有する。使用者データベース54には、使用者に関連する使用者情報が記憶されている。使用者情報は、例えば、ID、パスワード、氏名、メールアドレス、電話番号、住所、生年月日、請求情報などを含む情報である。法人データベース56には、法人に関連する法人情報が記憶されている。法人情報は、例えば、法人番号、商号または名称、法人種別、所在地、法人グループID、アクセス権限を有する使用者IDなどを含む情報である。法人グループデータベース58には、法人グループに関連する法人グループ情報が記憶されている。法人グループ情報は、例えば、ID、グループ名、親法人番号、子法人の法人番号、子法人の親法人番号、子法人の持ち株比率、アクセス権限を有する使用者IDなどを含む情報である。管理システム50は、使用者データベース54と法人データベース56と法人グループデータベース58とをAPIにより申告書システム30や通算システム40、認証システム60に公開している。
【0022】
認証システム60は、使用者の認証を行なうためのシステムとして構成されている。
【0023】
使用者端末70は、デスクトップパソコンやノートパソコン、タブレット端末などとして構成されており、処理部72や記憶部74、入力部76、表示部78などを備える。処理部72は、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリなどを有する。記憶部74は、ハードディスクやSSDなどとして構成されている。入力部76としては、キーボードやマウス、タッチパネルなどを挙げることができる。
【0024】
次に、こうして構成された実施例の法人税申告書作成システム20の動作について説明する。使用者により使用者端末70の入力部76が操作されて、使用者の認証を行なうための認証画面の表示指示が行なわれると、使用者端末70の処理部72は、その表示指示を認証システム60に送信し、認証システム60は、認証画面のデータを使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、その認証画面を表示部78に表示する。ここで、認証画面は、使用者のIDやパスワードの入力や認証指示を行なえるように画面構成されている。
【0025】
続いて、使用者により入力部76が操作されて、認証画面において使用者のIDやパスワードの入力や認証指示が行なわれると、使用者端末70の処理部72は、その認証指示を認証システム60に送信し、認証システム60は、管理システム50の使用者データベース54にアクセスし、使用者データベース54の使用者情報を用いて使用者の認証を行なう。
【0026】
認証システム60は、使用者の認証が完了すると、その使用者の認証情報(IDやパスワード)を管理システム50に送信する。管理システム50の処理部52は、受信した認証情報と、使用者データベース54の使用者情報や法人データベース56の法人情報、法人グループデータベース58の法人グループ情報とを用いて、使用者が選択可能な(アクセス権限を有する)法人や法人グループのリスト(以下、「法人等リスト」という)を作成して使用者端末70に送信する。使用者端末70の処理部72は、受信した法人等リストを表示部78に表示する。
【0027】
そして、使用者により入力部76が操作されて、法人等リストから所望の法人が選択されると、使用者端末70の処理部72は、その情報を申告書システム30に送信し、申告書システム30は、所望の法人についての選択可能な指示内容のリスト(以下、「指示内容リスト」という)を使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、受信した指示内容リストを表示部78に表示する。この場合の指示内容としては、第1申告書情報の登録や、法人税申告書の作成、電子申告などを挙げることができる。上述したように、第1申告書情報は、例えば、ID、名称、手続ID、各別表のデータ(提出年月日、提出先税務署、納税地、電話番号、法人名、法人番号、代表者、代表者住所、調整前所得金額、試験研究費など)、作成日時、更新日時、申告日時などを含む情報である。
【0028】
また、使用者により入力部76が操作されて、法人等リストから所望の法人グループが選択されると、使用者端末70の処理部72は、その情報を通算システム40に送信し、通算システム40は、所望の法人グループについての指示内容リストを使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、受信した指示内容リストを表示部78に表示する。この場合の指示内容としては、通算情報の登録や、グループ通算制度の適用(各法人の第2申告書情報の登録)などを挙げることができる。上述したように、通算情報は、例えば、ID、法人区分、通算法人の法人番号、通算法人の申告書ID、損金益金、配当金、寄付金、税効果などを含む情報である。また、第2申告書情報は、第1申告書情報に通算後所得金額および法人税額を含む追加情報(第1申告書情報の別表の空欄を埋めるための情報)を追加した情報であり、電子申告に必要なデータが揃っている情報である。
【0029】
以下、所望の法人の第1申告書情報の登録、所望の法人グループの通算情報の登録、所望の法人グループの各法人へのグループ通算制度の適用(各法人の第2申告書情報の登録)、所望の法人の法人税申告書の作成や電子申告、の順に説明する。
【0030】
所望の法人の第1申告書情報の登録(新規または更新)について説明する。使用者により所望の法人の第1申告書情報の登録指示が行なわれると、使用者端末70の処理部72は、この登録指示を申告書システム30に送信する。申告書システム30の処理部32は、この登録指示を受信すると、その登録指示についての使用者の権限の有無のチェックである権限チェック(第1権限チェック)の実行指示を管理システム50に送信し、管理システム50の処理部52は、使用者データベース54の使用者情報と法人データベース56の法人情報とを用いて第1権限チェックを実行してその結果を申告書システム30に送信する。こうした第1権限チェックの実行により、セキュリティの向上を図ることができる。申告書システム30の処理部32は、第1権限チェックの結果を受信すると、その結果を確認し、結果がOKである場合、例えば、使用者により選択された図示しない会計ソフトウェアとデータ連携(必要なデータを抽出、加工、反映)を行なって所望の法人の第1申告書情報を作成して申告書データベース34に登録したり、事前に作成されて使用者端末70から送信された所望の法人の第1申告書情報を受信して申告書データベース34に登録したりする。なお、申告書システム30の処理部32は、第1権限チェックの結果がNGである場合、所望の法人の第1申告書情報の登録指示についての権限を有しない旨のデータを使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、その旨を表示部78に表示する。
【0031】
次に、所望の法人グループの通算情報の登録(新規または更新)について説明する。使用者により所望の法人グループの通算情報の登録指示が行なわれると、使用者端末70の処理部72は、この登録指示を通算システム40に送信する。通算システム40の処理部42は、この登録指示を受信すると、その登録指示についての権限チェック(第2権限チェック)の実行指示を管理システム50に送信し、管理システム50の処理部52は、使用者データベース54の使用者情報と法人グループデータベース58の法人グループ情報とを用いて第2権限チェックを実行してその結果を通算システム40に送信する。こうした第2権限チェックの実行により、セキュリティの向上を図ることができる。通算システム40の処理部42は、第2権限チェックの結果を受信すると、その結果を確認し、結果がOKである場合、所望の法人グループの通算情報を設定するための設定画面のデータを使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、その設定画面を表示部78に表示する。そして、使用者により入力部76が操作されて、設定画面において所望の法人グループの通算情報の少なくとも一部の設定(新規または変更)が行なわれてその反映指示が行なわれると、通算システム40の処理部42は、所望の法人グループの新たな通算情報を通算データベース44に登録する。このようにすることにより、税制改正などに応じて、使用者が通算情報の変更を容易に行なうことができる。なお、通算システム40の処理部42は、第2権限チェックの結果がNGである場合、所望の法人グループの通算情報の登録指示についての権限を有しない旨のデータを使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、その旨を表示部78に表示する。
【0032】
次に、所望の法人グループの各法人へのグループ通算制度の適用(各法人の第2申告書情報の登録)について説明する。この場合、
図2の処理の流れに沿って各処理が行なわれる。なお、前提として、申告書システム30の申告書データベース34には、所望の法人グループの各法人の第1申告書情報が記憶されており、通算システム40の通算データベース44には、所望の法人グループの通算情報が記憶されているものとする。
【0033】
使用者により所望の法人グループの各法人へのグループ通算制度の適用指示が行なわれると、使用者端末70の処理部72は、この適用指示を通算システム40に送信する(ステップS100)。通算システム40の処理部42は、この適用指示を受信すると、その適用指示についての権限チェック(第3権限チェック)の実行指示を管理システム50に送信し(ステップS110)、管理システム50の処理部52は、使用者データベース54の使用者情報と法人グループデータベース58の法人グループ情報とを用いて第3権限チェックを実行してその結果を通算システム40に送信する(ステップS120)。こうした第3権限チェックの実行により、セキュリティの向上を図ることができる。
【0034】
通算システム40の処理部42は、第3権限チェックの結果を受信すると、その結果を確認し(ステップS130)、結果がOKである場合、申告書システム30のAPIを使用して、申告書データベース34から、所望の法人グループの各法人の第1申告書情報を取得する(ステップS140)。
【0035】
続いて、通算システム40の処理部42は、所望の法人グループにグループ通算制度を適用して、所望の法人グループの各法人の法人税額を計算する(ステップS150)。ステップS150の処理は、例えば、以下のように行なうことができる。最初に、所望の法人グループの各法人の第1申告書情報(調整前所得金額など)や、通算データベース44の通算情報を用いて、法人グループ内の損益通算を行なって、各法人の通算後所得金額を計算する。この損益通算では、欠損法人の欠損金額の合計額(所得法人の所得の金額の合計額を限度)を所得法人の所得の金額の比で配分して所得法人において損金算入し、損金算入された金額の合計額を欠損法人の欠損金額の比で配分して欠損法人において益金算入する。続いて、各法人の通算後所得金額を用いて、各法人の調整前法人税額を計算する。そして、各法人の調整前法人税額や第1申告書情報(試験研究費など)、通算データベース44の通算情報を用いて、各法人の税額調整を行なって、各法人の法人税額を計算する。なお、ステップS150における各種計算の詳細については、税制に基づいて定められる。
【0036】
そして、通算システム40の処理部42は、所望の法人グループの各法人の第1申告書情報に通算後所得金額および法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し(ステップS160)、申告書システム30のAPIを使用して、申告書データベース34に、所望の法人グループの各法人の第2申告書情報を登録する(ステップS170)。そして、処理部42は、所望の法人グループの各法人へのグループ通算制度の適用(各法人の第2申告書情報の登録)を完了した旨のデータを使用者端末70に送信し(ステップS180)、使用者端末70の処理部72は、その旨を表示部78に表示する(ステップS190)。通算システム40によるステップS140~S170の処理により、申告書システム30の申告書データベース34に、所望の法人グループの各法人の第2申告書情報を登録することができる。
【0037】
なお、通算システム40の処理部42は、第3権限チェックの結果がNGである場合、所望の法人グループの各法人へのグループ通算制度の適用指示についての権限を有しない旨のデータを使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、その旨を表示部78に表示する。
【0038】
次に、所望の法人の法人税申告書の作成や電子申告について説明する。この場合、
図3の処理の流れに沿って各処理が行なわれる。なお、前提として、申告書システム30の申告書データベース34には、所望の法人の第2申告書情報(電子申告に必要なデータが揃っている情報)が記憶されているものとする。
【0039】
使用者により所望の法人の法人税申告書の作成指示が行なわれると、使用者端末70の処理部72は、この作成指示を申告書システム30に送信する(ステップS200)。申告書システム30の処理部32は、この適用指示を受信すると、その適用指示についての権限チェック(第4権限チェック)の実行指示を管理システム50に送信し(ステップS210)、管理システム50の処理部52は、使用者データベース54の使用者情報と法人データベース56の法人情報とを用いて第4権限チェックを実行してその結果を申告書システム30に送信する(ステップS220)。こうした第4権限チェックの実行により、セキュリティの向上を図ることができる。
【0040】
申告書システム30の処理部32は、第4権限チェックの結果を受信すると、その結果を確認し(ステップS230)、結果がOKである場合、申告書データベース34に記憶されている所望の法人の第2申告書情報を用いて、所望の法人の法人税申告書を作成する(ステップS240)。そして、処理部32は、所望の法人の法人税申告書のデータを使用者端末70に送信し(ステップS250)、使用者端末70の処理部72は、その法人税申告書を表示部78に表示する(ステップS260)。これにより、所望の法人の法人税申告書を使用者に提示し、使用者が確認することができる。
【0041】
そして、使用者により入力部76が操作されて、所望の法人の電子申告の指示(法人税申告書の提出指示)が行なわれると、使用者端末70の処理部72は、その指示を申告書システム30に送信し(ステップS270)、申告書システム30の処理部32は、申告書データベース34に記憶されている所望の法人の第2申告書情報を用いて、所望の法人の電子申告を行なう(ステップS280)。そして、処理部32は、所望の法人の電子申告を完了した旨のデータを使用者端末70に送信し(ステップS290)、使用者端末70の処理部72は、その旨を表示部78に表示する(ステップS300)。申告書システム30によるS240,S280の処理により、所望の法人の法人税申告書の作成や電子申告を実行することができる。
【0042】
なお、申告書システム30の処理部32は、ステップS230で第4権限チェックの結果がNGである場合、所望の法人の法人税申告書を作成することなく、所望の法人の法人税申告書の作成指示についての権限を有しない旨のデータを使用者端末70に送信し、使用者端末70の処理部72は、その旨を表示部78に表示する。
【0043】
このようにして、グループ通算制度に対応した法人グループ(通算グループ)の各法人(通算法人)の法人税申告書の作成や電子申告を効率よく行なうことができる。
【0044】
以上説明した実施例の法人税申告書作成システム20では、申告書システム30が申告書データベース34を通算システム40にAPIにより公開する。また、通算システム40の処理部42が、申告書システム30のAPIを使用して申告書データベース34から所望の法人グループ(通算グループ)の各法人(通算法人)の第1申告書情報を取得し、各法人の第1申告書情報(調整前所得金額など)を用いて通算グループ内の損益通算を行なって各法人の通算後所得金額を計算すると共に、各法人の通算後所得金額を用いて各法人の法人税額を計算し、各法人の第1申告書情報に通算後所得金額および法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、申告書システム30のAPIを使用して申告書データベース34に第2申告書情報を登録する。さらに、申告書システム30の処理部32が、所望の法人の第2申告書情報を用いてその法人の法人税申告書を作成すると共にその法人の第2申告書情報を用いてその法人の電子申告を行なう。このようにして、グループ通算制度に対応した法人グループ(通算グループ)の各法人(通算法人)の法人税申告書の作成や電子申告を効率よく行なうことができる。
【0045】
実施例の法人税申告書作成システム20では、通算システム40の処理部42は、各法人の法人税額を計算すると、各法人の第1申告書情報に通算後所得金額および法人税額を含む追加情報を追加して第2申告書情報を作成し、その第2申告書情報を申告書システム30のAPIを使用して申告書データベース34に登録するものとした。しかし、処理部42は、各法人の法人税額を計算すると、追加情報を作成し、申告書システム30のAPIを使用して申告書データベース34の第1申告書情報に追加情報を追加して(関連付けて)第2申告書情報として申告書データベース34に登録する(更新する)ものとしてもよい。
【0046】
実施例の法人税申告書作成システム20では、申告書システム30は、使用者端末70から所望の法人の第1申告書情報の登録指示を受信すると、管理システム50に第1権限チェックを実行させるものとしたが、これを省略するものとしてもよい。また、通算システム40は、使用者端末70から所望の法人グループの通算情報の登録指示を受信すると、管理システム50に第2権限チェックを実行させるものとしたが、これを省略するものとしてもよい。さらに、通算システム40は、使用者端末70から所望の法人グループの各法人へのグループ通算制度の適用(各法人の第2申告書情報の登録)指示を受信すると、管理システム50に第3権限チェックを実行させるものとしたが、これを省略するものとしてもよい。加えて、申告書システム30は、使用者端末70から所望の法人の法人税申告書の作成指示を受信すると、管理システム50に第4権限チェックを実行させるものとしたが、これを省略するものとしてもよい。また、申告書システム30は、所望の法人の法人税申告書を作成した後に、所望の法人の電子申告の指示(法人税申告書の提出指示)が行なわれると、その指示についての権限チェック(第5権限チェック)を行なうことなく、所望の法人の電子申告を行なうものとしたが、管理システム50に第5権限チェックを実行させた後に、所望の法人の電子申告を行なうものとしてもよい。
【0047】
実施例の法人税申告書作成システム20では、申告書システム30と通算システム40と管理システム50と認証システム60とは、それぞれ、クラウドベンダにより提供されるクラウドサービスを利用して構成されるものとした。しかし、これらは、法人グループの何れかの法人(例えば親法人)の1台または複数台のサーバなどにより構成されるものとしてもよい。
【0048】
実施例では、法人税申告書作成システム20の形態として説明した。しかし、法人税申告書作成システム20に用いられる申告書システム30の形態や、通算システム40の形態としてもよい。また、法人税申告書の作成方法の形態としてもよい。
【0049】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、申告書システム30が「申告書システム」に相当し、通算システム40が「通算システム」に相当する。
【0050】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
20 法人税申告書作成システム、30 申告書システム、32 処理部、34 申告書データベース、40 通算システム、42 処理部、44 通算データベース、50 管理システム、52 処理部、54 使用者データベース、56 法人データベース、58 法人グループデータベース、60 認証システム、70 使用者端末、72 処理部、74 記憶部、76 入力部、78 表示部。