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  • 特開-害獣檻閉扉構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061700
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】害獣檻閉扉構造
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/20 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
A01M23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171794
(22)【出願日】2021-10-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 3年10月1日に日本一安い罠の店のホームページにて、公開
(71)【出願人】
【識別番号】515027439
【氏名又は名称】工藤 まほ
(71)【出願人】
【識別番号】515027048
【氏名又は名称】河野 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】三重野 丈一
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA16
2B121BA35
2B121DA63
2B121EA24
2B121EA25
2B121FA01
2B121FA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開扉状態を維持させる簡素、且つ効率的な構成と、捕獲時の素早い閉扉作動を可能とした害獣檻閉扉構造を提供する。
【解決手段】閉扉作動のソレノイド連動機構400は、害獣扉の閉扉作動部とソレノイドのプランジャー部との間に、プランジャー部の電気的駆動応力によって害獣檻VCの閉扉を行うように介在した閉扉連動機構とし、プランジャー部先端に連設した紐体と、紐体の先端に連結した係合リングと、係合リングに摺動自在に係合し、下端部を害獣檻のフレーム体に固定した固定リングと、係合リングの中空部に先端を挿入し、基端を環体に形成した跳ね上げシャフトと、跳ね上げシャフトの基端に形成した環体を軸支する軸体と、跳ね上げシャフトのシャフト基端に下方より当接した跳ね上げレバーと、跳ね上げレバーの基端に形成した檻扉作動連結部と、終端を檻扉作動連結部に連結し、先端を開閉自在の檻扉に連動連結した作動紐体480と、より構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害獣檻中に赤外線センサを配設し、
赤外線照射が害獣により遮断され通電されると
ソレノイドのプランジャー部作動を介して
害獣扉の閉扉作動を行うべく構成したことを特徴とする害獣檻閉扉構造において、
閉扉作動のソレノイド連動機構は、
害獣扉の閉扉作動部とソレノイドのプランジャー部との間に、
ソレノイドのプランジャー部の電気的駆動作用によって害獣檻の閉扉を行うように介在した閉扉連動機構と、
プランジャー部先端に連設した紐体と、
紐体の先端に連結した係合リングと、
係合リングに摺動自在に係合し、下端部を害獣檻のフレーム体に固定した固定リングと、
係合リングの中空部に先端を挿入し、基端を環体に形成した跳ね上げシャフトと、
跳ね上げシャフトの基端に形成した環体を軸支する軸体と、
跳ね上げシャフトのシャフト基端に下方より当接した跳ね上げレバーと、
跳ね上げレバーの基端に形成した檻扉作動連結部と、
終端を檻扉作動連結部に連結し、先端を開閉自在の檻扉に連動連結した作動紐体と、
よりなる害獣檻閉扉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、檻内部に害獣が侵入したことを検知し自動で扉を閉めることができる害獣檻閉扉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
イノシシ等の害獣を捕獲する害獣檻は、対象となる害獣を檻の内部へとおびき寄せて、害獣が檻内部に侵入したことを確認したのち速やかに檻扉を閉扉することが重要となる。そのため、檻の閉扉構造を作動するための紐体、例えばワイヤやロープ等を檻の内部に設置し、その紐体に害獣が触れることで侵入を検知すると同時に閉扉動作を行う特許文献1に記載された動物捕獲装置や特許文献2に記載された扉閉鎖装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載されている動物捕獲装置は、檻の上部に扉を閉鎖するための作動機構を備えている。作動機構部は、主に長方形状の板状部材であり長手方向の一端側に切欠された切欠凹部ともう一端側に穿設された止め穴とを有した旋回部材と、旋回部材の中央を回転自在に枢支する支点軸と、一端を檻扉の下部に連結されると共にもう一端を旋回部材の切欠凹部に引っかけることにより檻扉を上方に持ち上げ檻を開放状態とすることができる連携ロープと、旋回部材の止め穴に一端を固定すると共にもう一端を檻内部に横断するようにして檻側面に固定される牽引ロープとから構成されている。このような構成とすることで、檻内部に侵入した害獣が牽引ロープに触れると旋回部材が旋回し、切欠凹部に引っかけられていた前連携ロープが外れることになる。檻扉を持ち上げていた前連携ロープが外れたことで、檻扉はその自重により落下し扉を閉鎖した状態とすることができる。
【0004】
特許文献2に記載されている扉閉鎖装置は、主に引張りばねを引っ張った状態で檻の外側方向(檻扉側)へ突出させることができるピン部材と、引張りばねの引っぱり方向に付勢すると共に回動させることで付勢を解除することができるレバー部材と、レバー部材の回動軸よりも外方に落下することでレバー部材を回動させる錘と、落下前の錘を上方で支持する支持板と、一端を支持板に取付けられもう一端を檻内部に張り固定した糸と、より構成される。このような構成とすることで、レバー部材により引張りばねが引張り状態を維持することでピン部材を檻の外側方向へ突出させる。突出させたピン部材の上部に持ち上げられた檻扉を載せることで檻の開放状態を維持することができる。閉鎖装置の閉鎖作動としては、檻の内部に害獣が侵入し、内部に張った糸に触れ引っ張ることで支持板に支持された錘は支持を失い落下する。落下した錘はレバー部を回動させ回動に伴い引張りばねへの付勢が解除され初張力によりピン部材は檻の内側方向へ摺動する。ピン部材が檻の内側方向へ摺動することで上部に載せられた檻扉は支えを失い下方へ落下することで扉を閉鎖させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-130051号公報
【特許文献2】特開2021-073867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載されているような、動物捕獲装置や扉閉鎖装置は、檻扉の閉鎖動作がスムーズに行われ、檻の内部に侵入した害獣を確実に捕獲することが可能である。
しかしながら、どちらの発明も檻の中に張られた糸やワイヤ等の紐体に害獣が触れることで侵入の検知と閉鎖動作の開始を行う構成としている。そのため、紐体を避けるように害獣が奥まで侵入しないことで閉鎖動作が行われない虞がある。また、ワイヤに触れることで閉鎖動作が開始されることから、例えば捕獲対象でない子どものイノシシや風に飛ばされてきたゴミ等であっても紐体に触れてしまうことで動作が開始され檻扉を閉扉させてしまう虞もある。
【0007】
また、特許文献1に記載されている動物捕獲装置は、旋回自在の状態にある旋回部材の切欠凹部に紐体を引っかけることで檻扉を持ち上げ開放状態を維持している。
しかしながら、一般的に檻扉は、その自重により落下し檻を閉鎖状態へとするものであると同時に、一度降りた檻扉が捕獲した害獣に容易に持ち上げられないようにするため非常に重量のあるものであることが多い。そのため、旋回部材が紐体と一直線上に並ぶ状態でのみ均衡が保たれ檻扉を持ち上げ続けることが可能であり、上述したように檻扉の重量を考慮すれば均衡を保つことが非常に不安定であると判断できる。したがって、害獣檻に物が衝突した衝撃等の紐体に害獣が触れる以外の予期せぬことで旋回部材が旋回してしまい檻扉の閉扉が行われてしまう虞がある。また、上述したように檻扉は一般的に重量物であるため、前連携ロープを引っかける旋回部材の切欠凹部に偏奇荷重が生じ変形してしまう虞もある。
【0008】
また、特許文献2に記載されている扉閉鎖装置は、ピン部材を檻の外側方向へ突出させる引張りばねに付勢するレバー部材に対して、錘を落下させることで回動させ付勢を解除することで檻扉を閉扉する。
しかしながら、繰り返し害獣檻を使用すると、経年劣化や錘の重みによりレバー部材が変形して、扉の閉鎖動作がスムーズに行えなくなる虞がある。
【0009】
本発明は、最小限の力で重量物である檻扉を持ち上げた状態(檻扉の開放状態)に維持することができると共に、檻に設けたセンサからの情報を基に害獣の檻内部への侵入を検知し、センサからの送られた電気信号により作動するソレノイド連動機構により害獣檻の閉扉動作を行う害獣檻閉扉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る害獣檻閉扉構造は、害獣檻中に赤外線センサを配設し、赤外線照射が害獣により遮断され通電されるとソレノイドのプランジャー部作動を介して害獣扉の閉扉作動を行うべく構成したことを特徴とする害獣檻閉扉構造において、閉扉作動のソレノイド連動機構は、害獣扉の閉扉作動部とソレノイドのプランジャー部との間に、ソレノイドのプランジャー部の電気的駆動作用によって害獣檻の閉扉を行うように介在した閉扉連動機構と、プランジャー部先端に連設した紐体と、紐体の先端に連結した係合リングと、係合リングに摺動自在に係合し、下端部を害獣檻のフレーム体に固定した固定リングと、係合リングの中空部に先端を挿入し、基端を環体に形成した跳ね上げシャフトと、跳ね上げシャフトの基端に形成した環体を軸支する軸体と、跳ね上げシャフトのシャフト基端に下方より当接した跳ね上げレバーと、跳ね上げレバーの基端に形成した檻扉作動連結部と、終端を檻扉作動連結部に連結し、先端を開閉自在の檻扉に連動連結した作動紐体と、よりなることに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る害獣檻閉扉構造によれば、赤外線センサにより害獣檻の内部に害獣が侵入したことを検知し、赤外線センサの電気信号を基に檻扉の閉扉動作を行うことで、檻内部に侵入した害獣を確実に検知することができ、捕獲対象外の動物や風により運ばれた障害物等による誤動作を防止することができる。
【0012】
また、赤外線センサの取付け位置でセンサによる検知範囲を変えることで、捕獲対象の害獣に檻扉閉扉動作の対象を合わせることができる。
【0013】
また、ソレノイド連動機構は、檻扉が自重により落下し閉扉しようとする力を跳ね上げレバーにより回動動作に変換し、さらにはその回動動作を梃子の原理を用いて最小限の力で係合させて開扉状態、すなわち檻扉を持ち上げた状態を維持することができる。
【0014】
また、ソレノイド連動機構は、檻扉の自重を各構成により分散させそれぞれが最小限の力で開扉状態を維持するように構成していることで、各構造への負担が軽減され繰り返し使用することで生起する変形や経年劣化を可及的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る害獣檻閉扉構造を備えた害獣檻の開扉状態を示す模式的側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る害獣檻閉扉構造を備えた害獣檻の閉扉状態を示す模式的側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る害獣檻閉扉構造の作動前を示す模式的側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る害獣檻閉扉構造の作動後を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の要旨は、害獣檻中に赤外線センサを配設し、赤外線照射が害獣により遮断され通電されるとソレノイドのプランジャー部作動を介して害獣扉の閉扉作動を行うべく構成したことを特徴とする害獣檻閉扉構造において、閉扉作動のソレノイド連動機構は、害獣扉の閉扉作動部とソレノイドのプランジャー部との間に、ソレノイドのプランジャー部の電気的駆動作用によって害獣檻の閉扉を行うように介在した閉扉連動機構と、プランジャー部先端に連設した紐体と、紐体の先端に連結した係合リングと、係合リングに摺動自在に係合し、下端部を害獣檻のフレーム体に固定した固定リングと、係合リングの中空部に先端を挿入し、基端を環体に形成した跳ね上げシャフトと、跳ね上げシャフトの基端に形成した環体を軸支する軸体と、跳ね上げシャフトのシャフト基端に下方より当接した跳ね上げレバーと、跳ね上げレバーの基端に形成した檻扉作動連結部と、終端を檻扉作動連結部に連結し、先端を開閉自在の檻扉に連動連結した作動紐体と、より構成したことにある。
【0017】
[1.害獣檻閉扉構造の構成について]
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る害獣檻閉扉構造の一実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
図1及び図2は、本実施形態に係る害獣檻閉扉構造を備えた害獣檻の開扉状態と閉扉状態とをそれぞれ示しており、害獣が出入りする出入口を有した面を正面として右側面図を表している。図3及び図4は、本実施形態に係る害獣檻閉扉構造の作動前と作動後とをそれぞれ示しており、図1及び図2と同様に右側面図を表している。
【0019】
本実施形態に係る害獣檻閉扉構造Mは、図1及び図2に示すように、害獣檻VCに備えられる。備える目的としては、害獣檻VCの側面に設けた赤外線センサ100により檻内部への害獣の侵入を検知し、檻扉を閉扉させることにある。
【0020】
害獣檻VCは、箱状の檻本体Cと、檻本体Cの向かい合う4つの面のうちいずれか1面を開口して設けられる入口Eと、入口Eを閉塞させる檻扉Dと、入口Eの開口に沿って設けられる檻扉ガイドGと、檻本体Cの上部に設けられ上端部に滑車Pを備える支持柱Bと、檻本体Cの上部に設けられた作動紐体挿通部Iと、からなる。
害獣檻VCは、害獣Vが入口Eから檻本体Cの内部に侵入することで、檻扉Dにより入口Eを閉塞させることで害獣Vを捕獲する。
【0021】
檻扉Dは、害獣檻VCが開扉状態にあるときは、入口Eの上方まで持ち上げられており、害獣Vを捕獲する時には、自重により落下し入口Eを閉塞させる。また、落下させ入口Eを閉塞させた状態では、檻本体Cの中に捕獲した害獣Vにより持ち上げられないようにするため、例えば15kgほどの重量となっている。
【0022】
檻扉ガイドGは、上述した檻扉Dの落下を真っ直ぐに行われるように補助を行うものである。具体的には、コ字状やL字状の金属製部材からなり、例えばコ字状の檻扉ガイドGとしたときには、コ字状の開口部分に檻扉Dを収容した状態となるように設けられる。
図1及び図2に示す本実施形態に係る檻扉ガイドGは、檻本体Cの上部よりやや高い位置から、地面より高い位置までとなるような長さで図示しているが、実際には、檻本体Cより高い位置から地面までの長さであれば特に長さに限定されない。
【0023】
支持柱Bは、檻本体Cの入口E付近の上部に檻本体Cと一体又は檻本体Cに固定されている。支持柱Bは、開扉状態(檻扉Dを持ち上げた状態)や檻扉Dの閉扉動作時に檻扉Dを支えるためのものである。そのため、檻扉Dとおおよその長さを同じとしている。
【0024】
また、支持柱Bの上端部には、滑車Pが設けられており檻扉Dに連結させる作動紐体480をこの滑車Pに通すことで閉扉作動時に滑らかに檻扉Dを落下させる効果と罠のセッティング時、すなわち檻扉Dを持ち上げる際に容易に檻扉Dを持ち上げることができる効果とを得ることができる。
図1及び図2に示す支持柱Bは、檻本体Cに一本の柱として図示しているが、強度を上げるため檻本体Cの上面部から支持柱Bに向けて斜めに補強部材を入れることも考えられる。
【0025】
作動紐体挿通部Iは、後述する害獣檻閉扉構造Mの檻扉作動連結部473へ作動紐体480を引っかけるために滑車Pから延びる作動紐体480の角度を変えるためのものである。
作動紐体挿通部Iは、檻本体Cの上部に一体又は固定されて設けられ、逆U字状としている。ただし、作動紐体挿通部Iは滑車Pを通り檻本体Cへ向けて斜めに伸ばした作動紐体480を挿通できる形状出ればどのような形状でもよく例えば環状や薄板状のものに小径の挿通孔を穿設したものであってもよい。また、作動紐体挿通部Iの位置としては、支持柱Bから遠くなるほど上方へかかる応力が小さくなるため図1及び図2に示すように害獣檻閉扉構造Mの近傍とすることが好ましい。ただし、この作動紐体挿通部Iの位置も図示した位置に限定されることは無く、支持柱Bと害獣檻閉扉構造Mとの間に設けられるとよい。
【0026】
害獣檻閉扉構造Mは、図1図4に示すように、主に害獣檻VCの側面に設けた赤外線センサ100と、赤外線センサ100からの通電を受けて閉扉作動させるソレノイド連動機構400と、からなる。
【0027】
ソレノイド連動機構400は、赤外線センサ100と電気的に接続されるソレノイド410と、ソレノイド410を構成するプランジャー部412の先端に連設した紐体420と、紐体420の先端に連結した係合リング430と、係合リング430に係合し、基端を檻本体Cの構成要素であるフレーム体c1に固定した固定リング440と、係合リング430の中空部に先端を挿入し、基端を環体451に形成した跳ね上げシャフト450と、跳ね上げシャフト450の基端に形成した環体451を軸支する軸体460と、跳ね上げシャフト450のシャフト基端に下方より当接した跳ね上げレバー470と、跳ね上げレバー470の基端に形成した檻扉作動連結部473と、終端を檻扉作動連結部473に連結し、先端を開閉自在の檻扉Dに連動連結した作動紐体480と、より構成される。
【0028】
なお、上記フレーム体c1は、檻本体Cを形成する金属製の線材や薄板材等のことを差す。また、ソレノイド410と固定リング440と後述する跳ね上げレバー470等を支持する基台部471とは、図3及び図4に示すように、薄板状の基板300に固定され、基板300は、フレーム体c1へ固定される。すなわち、害獣檻閉扉構造Mは、基板300を介して害獣檻VCの上部フレーム体c1へ固定されることとなる。
【0029】
赤外線センサ100は、害獣檻VCの側面に設けられ、ソレノイド410と電気配線200を介して電気的に接続される。赤外線センサ100は、害獣Vが赤外線センサ100の前を通過することにより、赤外線照射が遮断され電気配線200へ通電されることでソレノイド410を作動させることができる。
【0030】
赤外線センサ100の取付け位置としては、捕獲対象である害獣Vの背丈よりも低い位置に取付けることで確実に檻本体Cの内部への侵入を検知することができる。また、捕獲対象の害獣Vの想定される背丈よりもやや低い高さに設けることにより、捕獲対象外の物体例えば、捕獲対象としない幼獣や、風等に飛ばされ檻本体Cの内部に侵入したゴミ等による誤検知を減らすことができる。
【0031】
また、赤外線センサ100は、常に使用状態とするのではなく、使用者が望む時間帯だけ使用することができる。そのため、赤外線センサ100は、図示しない切換スイッチを備えており、赤外線センサ100の作動を一日中、昼間のみ及び夜間のみと切り換えることができる。このように、赤外線センサ100の作動時間の切り替えを可能とすることで、害獣が寄り付かない時間のエネルギー消費を抑えることができる。
この昼間と夜間との判断には、時計を用いて予め設定された時間のみ使用するタイマー式のものや、受光センサを備えることで周囲の明るさによって判断する光センサ式等が用いられる。
【0032】
また、赤外線センサ100を反射式のものとすることで檻本体Cの内部に侵入してきた個体の大きさを判定し、檻扉Dを閉扉するかの判断を行うことも考えられる。
具体的には、赤外線センサ100を檻本体Cの上面に設け、下方へ向けて赤外線を照射させる。侵入してきた害獣Vにより赤外線が反射すると、反射にかかる時間から檻本体Cの上面から害獣Vの背までの距離、すなわち害獣Vの背丈を算出し、予め設定された基準値に基づいて檻扉Dを閉扉させるかの判定を行う。
【0033】
ソレノイド410は、通電されることで一定方向の磁界を形成するコイル411と、磁界の影響を受けコイル411の巻き内部を出入りするプランジャー部と、コイル411及びプランジャー部を収納する箱体413と、よりなる。
【0034】
プランジャー部412は、非通電時にはコイル411に出入り自在に設けられ、赤外線センサ100から電気配線200を介してコイル411へ通電されると、コイル411の巻き内部(図3及び図4において右方向)へ引き込まれるように摺動する。
【0035】
箱体413の正面(図3及び図4において左側面)には開口部を有しており、プランジャー部412の先端部に連設された紐体420を挿通可能にしている。
【0036】
紐体420は、一端をプランジャー部の先端に連設され、もう一端を係合リング430に連結されている。紐体420は、ソレノイド410の作動によりプランジャー部412が摺動した動きに従動し、先端部に連結された係合リング430に応力を伝達させる。
また、紐体420は、プランジャー部と係合リング430との間に介在し、プランジャー部412の摺動を係合リング430へ伝達させるためのものであり、弾性素材のように伸び縮みする素材は適さないものの、それらの条件を満たすものであればどのようなものであってもよい。
【0037】
係合リング430は、固定リング440に摺動自在に連なるように連結係合している。また、係合リング430には、紐体420が連結されており、紐体420を介してプランジャー部412の摺動操作に従動する。
【0038】
固定リング440は、基板300に固定される固定部441と、固定部441に連結される中継リング442と、からなる。
【0039】
固定部441は、基板300に固定することができると共に、中継リング442を連結する係合する中空部を備えたものであればよく、例えば図3及び図4に示すような、アイボルト等が考えられる。
【0040】
中継リング442は、係合リング430と固定部441との間に連結係合され、後述する跳ね上げシャフト450が、係合リング430に挿入する際の高さ調節に用いられる。そのため、係合リング430を所定の高さにできれば複数個用いてもよいし、固定リング440のみで係合リング430を所定の高さにすることができるのであれば省略されてもよい。
ただし、係合リング430は、その中空部に跳ね上げシャフト450を挿入可能にするため、中空部が前後方向(図面において左右方向)に向くように設けられる必要がある。
【0041】
係合リング430と固定リング440とは、各リング430、440と固定部441とが互いに摺動可能に連結係合しているため、上述したプランジャー部412の摺動時には、摺動方向に引っ張られ、図面右側に傾斜することとなる。
【0042】
跳ね上げシャフト450は、線状部材からなり基端となる側には環状に形成した環体451を有している。
基端に形成された環体451は、後述する軸体460に軸支されている。
跳ね上げシャフト450の先端は、係合リング430の中空部に挿入されており、上述したプランジャー部412の摺動により係合リング430が図面右方向に傾斜した際には挿入状態が解除されることとなる。
【0043】
軸体460は、後述する跳ね上げレバー470を支持する基台部471に固定されると共に、跳ね上げシャフト450基端の環体451を回転自在に軸支している。
【0044】
跳ね上げレバー470は、基板300に固定された基台部471に設けられた回動軸474に回動自在に軸支された線状部材であり、図3及び図4において始端を奥行方向へ折曲させた当接部472と、終端を上方へ向けて折曲させた檻扉作動連結部473と、からなる。
回動軸474と跳ね上げレバー470の位置関係としては、檻扉作動連結部473を形成する折曲部分に当接するように回動軸474が位置する。ただし、回動軸474は、跳ね上げレバー470を回動自在に軸支できればよく、檻扉作動連結部473を形成する折曲部分に直接設けられてもよい。
【0045】
作動紐体480は、一端を害獣檻VCの入口Eを開閉する檻扉Dの上部に連結され、もう一端は先端に檻扉作動連結部473に引っかけるための引っかけ環状部481を形成している。
作動紐体480は、檻扉Dの重量に耐えることができるものであればどのようなものでもよく、例えばワイヤロープや合成樹脂から形成されたロープ等であってもよい。
【0046】
[2.害獣檻閉扉構造の使用方法について]
次に、本実施形態に係る害獣檻閉扉構造の使用方法について説明する。
害獣檻閉扉構造Mは、害獣Vの捕獲に用いられる罠であり、害獣檻VCに設けた赤外線センサ100により害獣檻VC内部に侵入した害獣Vを検知すると、電気配線200により接続されたソレノイド連動機構400により檻扉Dを閉扉させることができる。
【0047】
まず、害獣檻VCを罠として設置する際の準備、すなわち檻扉Dの閉扉作動前の状態について説明する。
赤外線センサ100は、檻本体Cの側面に設けられ赤外線照射を行う。赤外線センサ100とソレノイド410とを電気的に接続する電気配線200は、赤外線センサ100の赤外線照射を遮断する障害物がない場合には通電しない。
【0048】
ソレノイド410は、通電されていない状態であるため、内部にあるコイル411は磁界を生じずプランジャー部が前後(図3において左右方向)に摺動自在の状態となっている。
そのため、プランジャー部412先端に設けた紐体420と連結される係合リング430はどちら方向に対しても応力が生じていない状態である。
【0049】
跳ね上げシャフト450は、係合リング430の中空部に先端を挿入させる。
跳ね上げシャフト450の基端に形成した環体451の近傍には、跳ね上げレバー470の当接部472を下方より当接させる。
【0050】
跳ね上げレバー470は、当接部472を跳ね上げシャフト450の下部に当接させることで、檻扉作動連結部473が上方に向くような姿勢となる。
【0051】
上方へ向いた檻扉作動連結部473には、害獣檻VCの入口Eを開放状態とするために引っ張られた作動紐体480の引っかけ環状部481が引っかけられる。
この作動紐体480は、害獣檻VCの支持柱B上端に向けられた滑車Pを介して檻扉Dを上方へ持ち上げる。
上述した、檻扉作動連結部473に引っかける引っかけ環状部481側は、作動紐体挿通部Iを通したのちに檻扉作動連結部473に引っかけ連結される。
【0052】
すなわち、閉扉作動前の状態では、檻扉Dを持ち上げる応力を、ソレノイド連動機構400の各構成により効率的に分散させ開扉状態(檻扉Dを持ち上げた状態)を維持させることができる。
【0053】
具体的には、檻扉Dを持ち上げた作動紐体480は、作動紐体挿通部Iを通過することで、檻扉Dを持ち上げる応力を図3において左方向へと変換する。
【0054】
左方向へ向かおうとする応力は、作動紐体480を檻扉作動連結部473に引っかけ連結させることで、跳ね上げレバー470を図3において反時計回りに回動させようとする力に変換される。
【0055】
跳ね上げレバー470を反時計回りに回動させようとする力は、当接部472を跳ね上げシャフト450に当接させることで規制を行う。
このとき、作動紐体480が引っかけ連結する位置から跳ね上げレバーを軸支する回動軸までの距離と、回動軸474から回動を規制される当接部472までの距離とを比較して回動軸474から回動を規制される当接部472までの距離の方が長くなるような構成とすることで、所謂梃子の原理により回動を規制する力を弱めることができる。
【0056】
跳ね上げシャフト450は、跳ね上げレバー470が回動しようとする力を規制するため、下方に当接部472を当接させるが、それと同時に、次は跳ね上げシャフト450先端を上方へ跳ね上げようとする力が生じる。
この跳ね上げシャフト450先端を上方へ跳ね上げようとする力を跳ね上げシャフト450先端を挿通した係合リング430により規制する。
【0057】
また、当接部472を当接する位置を図3に示すように跳ね上げシャフト450を軸支する軸体460の近傍とし、当接部472から係合リング430に挿通する先端までの距離を長くすることで、こちらも跳ね上げレバー470と同様に梃子の原理によって跳ね上げようとする力を弱めることができる。
【0058】
係合リング430は、固定リング440により基板300と固定されていることで、跳ね上げシャフト450が跳ね上げられようとする力を規制することができる。
【0059】
上述してきたソレノイド連動機構400の構成と作用により、重量物である檻扉Dを持ち上げた状態、すなわち害獣檻VCを開扉させた状態を最小限の力で効率よく維持させることができる。
【0060】
次に、閉扉作動について説明する。
害獣檻閉扉構造Mは、檻本体Cの側面に設けた赤外線センサ100の赤外線照射を檻本体Cの内部に侵入した害獣Vにより遮られることで、ソレノイド410への通電が行われソレノイド連動機構400が作動を開始する。
【0061】
赤外線照射が遮られ通電されたソレノイド410の内部では、コイル411に磁界が生じて、プランジャー部412をコイル411の巻き内部(図4における右方向)へと引き込む力が生起する。そうすることで、図4に示すように、プランジャー部412が右方向へ摺動する。
【0062】
プランジャー部412の先端に連設された紐体420は、プランジャー部412の摺動に伴いソレノイド410中に一部が引き込まれるようにして右へと引っ張られることとなる。
【0063】
係合リング430は、プランジャー部412に連設された紐体420のもう一端を連結していることで、紐体420を介してプランジャー部412の摺動動作に従動するように、固定リング440を軸として右方向へ傾斜(跳ね上げシャフト450に対して右方向へ摺動)することとなる。
【0064】
係合リング430が右方向へ傾斜することで、係合リング430の中空部に挿入係合された跳ね上げシャフト450は挿入状態を解除される。
換言するならば、挿入状態を解除されることは、上述した跳ね上げシャフト450を上方へ跳ね上げようとさせる力を規制する術を無くすこととなる。
【0065】
また、跳ね上げシャフト450は、上方に跳ね上げられようとする力が働いているが、その力を規制する係合リング430を跳ね上げシャフト450に対し上方に跳ね上げられようとする力とは全く異なる方向(図3及び図4において右方向)へ摺動させることで小さな力で規制を解除することができる。
【0066】
跳ね上げシャフト450が跳ね上げられようとする力に対する規制がなくなったことにより、跳ね上げレバー470を回動させようとする力への規制を行うことができなくなる。
すなわち、檻扉作動連結部473に引っかけ連結された作動紐体480の檻扉Dを持ち上げる力に対抗する力が失われることとなる。
そのため、跳ね上げレバー470は、図4に示すように、反時計回りに回動し、跳ね上げレバー470の回動に伴い、跳ね上げシャフト450は上方へ跳ね上げられることとなる。
【0067】
作動前に上方を向いていた檻扉作動連結部473は、回動することで左側へ倒れることとなり、作動紐体480の引っかけ状態が解除され、檻扉Dは自重により下方へ落下することとなる。
檻扉Dが落下することで、図2に示すように、害獣檻VCの入口Eは閉扉状態となり、檻本体Cの内部に侵入した害獣Vを閉じ込めて捕獲することができる。
【0068】
上述してきたように、本発明に係る害獣檻閉扉構造Mは、赤外線センサ100により害獣檻VCの内部に侵入した害獣Vを検知し、速やかに檻扉Dを閉扉させることができ、確実に害獣Vを捕獲することができる。
【0069】
また、害獣檻VCを開扉状態とするためには、重量物である檻扉Dを持ち上げた状態とする必要がある。その重量をソレノイド連動機構400は、各構成により分散させて効率よく開扉状態を維持させることができる。
【0070】
また、閉扉作動させるための規制解除の方法として、係合リング430を規制する力の方向(跳ね上げシャフト450にかかる上方への力)と異なる方向(跳ね上げシャフト450に対して右方向)へ摺動させる方法としていることで、規制解除に係る力を最小限とすることができる。そのため、係合リング430を摺動させるための機構として、ソレノイド410のような簡素な機構による方法とすることができる。
【0071】
上述してきた害獣檻閉扉構造Mは、閉扉作動の起点となる係合リング430の摺動動作を、通電させることで磁界を発生させるコイル411とコイル411により生起させた磁界の影響を受け摺動するプランジャー部とプランジャー部412に連設させた紐体とにより行っているが、係合リング430を摺動させることで跳ね上げシャフト450の規制を解除できるものであればどのような構成であってもよい。
例えば、害獣檻VCに設けた赤外線センサ100により伝えられた作動指示により係合リング430と連設した連設部をラック・アンド・ピニオン方式等の方法を用いて摺動させるものであってもよい。
【0072】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係る害獣檻閉扉構造Mは上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、上述した各種効果は、あくまで例示に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
V 害獣
VC 害獣檻
C 檻本体
c1 フレーム体
E 入口
D 檻扉
G 檻扉ガイド
B 支持柱
P 滑車
I 作動紐挿通部
M 害獣檻閉扉構造
100 赤外線センサ
200 電気配線
300 基板
400 ソレノイド連動機構
410 ソレノイド
411 コイル
412 プランジャー部
413 箱体
420 紐体
430 係合リング
440 固定リング
441 固定部
442 中継リング
450 跳ね上げシャフト
451 環体
460 軸体
470 跳ね上げレバー
471 基台部
472 当接部
473 檻作動連動部
474 回動軸
480 作動紐体
481 引っかけ環状部
図1
図2
図3
図4