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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061731
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】天井点検口
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20230425BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20230425BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E04F19/08 101E
E04B9/18 T
E04B1/94 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171838
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】溝口 陽一
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001DE04
2E001FA14
2E001FA31
2E001GA24
2E001GA76
2E001HD11
(57)【要約】
【課題】火災時に内枠と外枠との間の隙間から火や熱が廻るのを抑制する。
【解決手段】天井点検口1は、天井材100の開口部101に取り付けられる外枠10と、外枠10の開口部14に開閉可能に組み付けられた内枠20と含む。外枠10と内枠20との間には、加熱膨張材51が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井材の開口部に取り付けられる外枠と、前記外枠の開口部に開閉可能に組み付けられた内枠とを備えた天井点検口であって、
前記外枠と前記内枠との間には、第1加熱膨張材が設けられていることを特徴とする天井点検口。
【請求項2】
前記内枠は、前記外枠と対向する側壁と、前記側壁の下端部から外側に張り出した外側フランジ部とを有し、
前記第1加熱膨張材は、前記外側フランジ部の張り出し方向において、前記側壁と前記外側フランジ部の先端との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の天井点検口。
【請求項3】
前記外枠の外側面であって、前記天井材と対向する部分には、第2加熱膨張材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の天井点検口。
【請求項4】
前記外枠は、前記天井材と対向する側壁と、前記外枠の前記側壁の下端部から外側に張り出した外側フランジ部とを有し、
前記第2加熱膨張材は、前記外枠の前記外側フランジ部の張り出し方向において、前記外枠の前記側壁と前記外枠の前記外側フランジ部の先端との間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の天井点検口。
【請求項5】
前記外枠及び前記内枠が鉄又は鉄合金製であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の天井点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に形成された開口部に取り付けられる天井点検口であって、特に、耐火性に優れた天井点検口に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井点検口としては、天井に形成された開口部内に取り付けられる外枠と、外枠内に開閉可能に組み付けられた内枠とを含み、これら外枠及び内枠がアルミニウム製からなるものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-138040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の天井点検口においては、内枠が外枠に対して開閉可能に組み付けられているため、内枠と外枠との間には比較的大きな隙間が存在する。このため、火災の際に、天井点検口自体が加熱されるとともに、天井点検口の内枠と外枠との間の隙間から火や熱が廻り易くなる。このように隙間から火や熱が廻り込むと、耐火性が著しく低下する。特に、天井点検口の外枠及び内枠がアルミニウム製から構成されていると、これら枠が加熱されやすいため、溶け落ち、天井点検口自体の脱落に繋がることがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、耐火性に優れた天井点検口を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の天井点検口は、天井材の開口部に取り付けられる外枠と、前記外枠の開口部に開閉可能に組み付けられた内枠とを備えた天井点検口であって、前記外枠と前記内枠との間には、第1加熱膨張材が設けられている。
【0007】
これによると、火災時の熱によって膨張した第1加熱膨張材により、外枠と内枠との間の隙間が埋まる。このため、隙間を介して火や熱が廻りにくくなり、耐火性が向上する。
【0008】
本発明において、前記内枠は、前記外枠と対向する側壁と、前記側壁の下端部から外側に張り出した外側フランジ部とを有し、前記第1加熱膨張材は、前記外側フランジ部の張り出し方向において、前記側壁と前記外側フランジ部の先端との間に配置されていることが好ましい。これにより、第1加熱膨張材が、火災などにより加熱されていないときに、外側フランジ部の先端よりも外側にはみ出さない。このため、内枠の開閉動作の妨げになるのを防止することができるとともに、意匠性が高くなる。
【0009】
また、本発明において、前記外枠の外側面であって、前記天井材と対向する部分には、第2加熱膨張材が設けられていることが好ましい。これにより、外枠と天井材との間に隙間が生じていたとしても、火災時の熱によって膨張した第2加熱膨張材により、外枠と天井材との間の隙間が埋まる。このため、当該隙間を介して火や熱が廻りにくくなり、耐火性がより向上する。この結果、建築物に必要な耐火性能、例えば45分準耐火性能或いはこれを上回る準耐火性能を確保できる。
【0010】
また、本発明において、前記外枠は、前記天井材と対向する側壁と、前記外枠の前記側壁の下端部から外側に張り出した外側フランジ部とを有し、前記第2加熱膨張材は、前記外枠の前記外側フランジ部の張り出し方向において、前記外枠の前記側壁と前記外枠の前記外側フランジ部の先端との間に配置されていることが好ましい。これにより、第2加熱膨張材を外側フランジ部の先端よりも外側にはみ出さずに配置できる。このため、第2加熱膨張材が天井の開口に天井点検口を取り付けるときの妨げになることを防止でき、また、意匠性を高めることができる。
【0011】
また、本発明において、前記外枠及び前記内枠が鉄又は鉄合金製であることが好ましい。これにより、外枠及び内枠の融点を比較的高くでき、外枠及び内枠が溶け落ちにくくなって耐火性がより一層向上する。この結果、建築物に必要な耐火性能、例えば45分準耐火性能或いはこれを上回る準耐火性能をより一層確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の天井点検口によると、火災時の熱によって膨張した第1加熱膨張材により、外枠と内枠との間の隙間が埋まる。このため、隙間を介して火や熱が廻りにくくなり、耐火性が向上する。また、従来のアルミニウム製天井点検口を付ける場合、天井面の防火性能を担保するため、施工現場にて点検口施工時に更に防火措置として防火被覆を施す必要があったが、本発明の天井点検口によるとその措置が必要なくなる。また点検時に、その防火措置によって施された防火被覆を取り外す必要があり、点検後にその防火被覆を修繕しない危険性もありうるため、その回避にも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る天井点検口の概略上面図である。
図2図1に示すII-II線に沿った断面図である。
図3図1に示す外枠の概略斜視図である。
図4図1に示す内枠の概略斜視図である。
図5図2に示す加熱膨張材が加熱されたときの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る天井点検口1について、図1図4を参照しつつ説明する。
【0015】
天井点検口1は、図1及び図2に示すように、外枠10と、内枠20と、カバー30と、蓋材40と、2つの加熱膨張材51,52とを含む。外枠10は、図2に示すように、天井材100の開口部101に取り付けられている。なお、天井材100は、開口100a1が形成された天井板100aと、天井板100a上に固定された角材からなる下地材100bとで構成されている。下地材100bは、開口100a1の周囲全体に亘って配置されている。天井材100の開口部101は、天井板100aの開口100a1と下地材100bとで画定されてなる。
【0016】
外枠10は、鉄合金製からなる。より詳細には、本実施形態における外枠10は溶融亜鉛メッキ鋼板から構成されている。なお、外枠10は、他の鉄合金(ステンレス鋼板など)や鉄から構成されていてもよい。また、外枠10は、図3に示すように、直線状に長尺に延在する4つの外枠材11がアングル状の角金具12によって互いに連結されて方形状に形成されている。
【0017】
外枠材11は、図2に示すように、薄い鋼板が折り曲げられて構成されており、天井材100と対向する側壁11aと、側壁11aの下端部から外側に張り出した外側フランジ部11bとを有する。図3に示すように、4つの外枠材11が角金具12によって連結されることで、4つの側壁11aが方形状の環状側壁13を構成する。環状側壁13内には、開口部14が構成されている。また、外側フランジ部11bは、側壁11aの延在方向の全長に亘って形成されている。このため、4つの外枠材11が角金具12によって連結されることで、4つの外側フランジ部11bも方形状の環状フランジを構成する。
【0018】
また、側壁11aの上部には、図2に示すように、ヘミング加工により外側に折り曲げられて下方に延在する折返し部11cが形成されている。折返し部11cは、図3に示すように、外枠材11の延在方向(外枠10の周方向)に沿って延在している。外枠10は、図2に示すように、側壁11a及び折返し部11cを内側から貫通するビス18により、天井材100の下地材100bに固定される。このように外枠10は、側壁11aの天井材100に固定する部分に折返し部11cを設けることで、当該部分の剛性を増している。このため、板厚を大きくして剛性を高めた外枠材を用いるより、外枠10を比較的軽量なものとしつつも、天井材100に固定する際に外枠10が変形するのを抑制することが可能となる。外側フランジ部11bは、外枠10が下地材100bに固定された状態で、天井板100aの端部を下方から支持する。また、外側フランジ部11b上には、天井板100aとの間の隙間を埋める気密パッキン(不図示)が設けられている。
【0019】
内枠20は、開閉機構(不図示)を介して外枠10の開口部14に開閉可能に組み付けられている。また、内枠20も鉄合金製からなる。より詳細には、本実施形態における内枠20は溶融亜鉛メッキ鋼板から構成されている。なお、内枠20は、他の鉄合金(ステンレス鋼板など)や鉄から構成されていてもよい。また、内枠20は、図4に示すように、直線状に長尺に延在する4つの内枠材21がアングル状の角金具22によって互いに連結されて方形状に形成されている。内枠20は、外枠10の開口部14内に配置可能なサイズに形成されている。
【0020】
内枠材21は、図2に示すように、薄い鋼板が折り曲げられて構成されており、外枠材11と対向する側壁21aと、側壁21aの下端部から外側に張り出した外側フランジ部21bと、外側フランジ部21bの下面に固定された取付フランジ21cとを有する。図4に示すように、4つの内枠材21が角金具22によって連結されることで、4つの側壁21aが方形状の環状側壁23を構成する。環状側壁23内には、開口部24が構成されている。また、外側フランジ部21bは、側壁21aの延在方向の全長に亘って形成されている。このため、4つの内枠材21が角金具22によって連結されることで、4つの外側フランジ部21bも方形状の環状フランジを構成する。
【0021】
また、側壁21aの上部には、図2に示すように、折り曲げ加工により、外側に向かって延在する水平部21a1と、水平部21a1の先端から下方に延在する垂直部21a2とが形成されている。これにより、内枠材21自体の板厚を大きくしなくても内枠材21の剛性が向上する。このため、内枠20を比較的軽量なものとしつつも、内枠20の変形を抑制することが可能となる。
【0022】
また、図4に示すように、4つの内枠材21のうち、互いに対向する2つの内枠材21には、2つの押さえ部材25がそれぞれ設けられている。押さえ部材25は、L字形状を有しており、開口部24内に配置され、側壁21aにビス28で取り付けられている。取付フランジ21cは、図2に示すように、側壁21aよりも外側にある外側部分21c1と、側壁21aよりも内側にある内側部分21c2とを有する。外側部分21c1は、内枠20の環状側壁23が外枠10の開口部14内に配置された状態において、外側フランジ部11bの下面と対向し、その先端が外側フランジ部11bの先端よりも外側に配置されている。また、外側部分21c1上には、外側フランジ部11bとの間の隙間を埋める気密パッキン(不図示)が設けられている。また、取付フランジ21cは、図4に示すように、外側フランジ21bの延在方向の全長に亘って形成されている。このため、4つの内枠材21が角金具22によって連結されることで、4つの取付フランジ21cも方形状の環状の取付フランジを構成する。
【0023】
カバー30は、環状に形成されており、図2に示すように、内枠20の下面全体を覆うようにして取付フランジ21cに取り付けられている。本実施形態におけるカバー30は、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)から構成されているが、他の合成樹脂から構成されていてもよい。
【0024】
蓋材40は、天井板100aと同様な材質の板材を内枠20の開口部24内に収容可能な形状及びサイズに切断して形成されたものである。蓋材40は、内枠20の取付フランジ21cの内側部分21c2上に載置された状態で、押さえ部材25によりその上面が押さえられて内枠20に取り付けられている。なお、蓋材40の材質は、天井板100aと異なる材質に適宜変更してもよい。
【0025】
加熱膨張材51,52は、帯状のシート材であり、同じ材質からなり、シート状とすることで接着剤や両面テープ等を用いて外枠材11及び内枠材21の外側面(例えば、側壁11a、外側フランジ部21b)に容易に貼り付けて設けることができる(図2参照)。本実施形態における加熱膨張材51,52は、高分子ポリマーに、無機充填材と熱膨張性化合物などを混合して製造された市販の加熱膨張材を採用している。なお、加熱膨張材51,52としては、加熱することで、厚みが数倍~数十倍に膨張して断熱層を構成するものであればよく、例えば、公知のものを広く使用することができ、より具体的には、合成樹脂基材にリン化合物、熱膨張性黒鉛などを含有させたもの、セラミックファイバーに熱を受けて膨張する無機材料と少量の有機および無機結合材を混合して製造されたものなど一般に市販提供されているものを採用することが可能である。
【0026】
加熱膨張材51(第1加熱膨張材)は、図2に示すように、内枠20と外枠10との間であって、各内枠材21の外側フランジ部21b上にそれぞれ配置されている。また、4つの加熱膨張材51は、図1及び図4に示すように、内枠材21の延在方向(内枠20の周方向)に沿って全長に亘って配置され、隣接する加熱膨張材51の端部同士が接している。つまり、4つの加熱膨張材51は、内枠20の全周に亘って配置されている。なお、加熱膨張材51は、部分的に途切れて配置されていてもよいし、隣接する加熱膨張材51同士の端部が接していなくてもよい。また、加熱膨張材51は、外側フランジ部21bの張り出し方向において、側壁21aと外側フランジ部21bの先端との間に配置されている。これにより、加熱膨張材51が、火災などにより加熱されていないときに、外側フランジ部21bの先端よりも外側にはみ出さない。このため、内枠20の開閉動作の妨げになるのを防止することができるとともに、意匠性が高くなる。
【0027】
なお、外側フランジ部21bが設けられておらず、側壁21aの下端に取付フランジ21cが形成されている場合、外側部分21c1を外側フランジ部とし、側壁21aと外側部分21c1の先端との間に、加熱膨張材51を配置していてもよい。これにおいても上述と同様の効果を得ることができる。
【0028】
変形例として、加熱膨張材51は、側壁21aの外側面(側壁11aと対向する面)及び側壁11aの内側面(側壁21aと対向する面)の少なくとも一方に配置されていてもよい。また、加熱膨張材51は、その断面形状が、円形、楕円形、三角形、多角形などであってもよく、帯状以外の形状を有していてもよい。
【0029】
加熱膨張材52(第2加熱膨張材)は、図2に示すように、外枠10の外側面であって、天井材100と対向する部分に設けられている。より詳細には、外枠材11の側壁11aの下端部にそれぞれ配置されている。また、加熱膨張材52は、側壁11aの外側面上に配置されている状態において、折返し部11aの外側面よりも出っ張らない厚みとされている。これにより、外枠10を天井材100に取り付ける際の妨げにならない。
【0030】
また、加熱膨張材52は、図1及び図3に示すように、外枠材11の延在方向(外枠10の周方向)に沿って長尺に延在している。本実施形態における加熱膨張材52は、側壁11aの下端部において、角金具12と重なった部分以外に配置されているが、外枠10の外周全体に亘って配置されていてもよい。つまり、4つの加熱膨張材52を、外枠材11の全長に亘って配置し、隣接する加熱膨張材52の端部同士を接触させてもよい。また、加熱膨張材52は、外側フランジ部11bの張り出し方向において、側壁11aと外側フランジ部11bの先端との間に配置されている。これにより、加熱膨張材52が、火災などにより加熱されていないときに、外側フランジ部11bの先端よりも外側にはみ出さない。このため、天井(天井材100)の開口(開口部101)に天井点検口1を従前と変わりなく取り付けることができ、意匠性が高くなる。なお、加熱膨張材52が外側フランジ部11bの先端よりも外側にはみ出ていたとしても、僅かであれば、加熱膨張材52に弾性を有するものを使用することで、天井材100と外枠10との間に隙間が生じることを防止できるパッキンとしての機能を付加することができる。
【0031】
変形例として、加熱膨張材52は、側壁11aの下端部よりも上方に配置されていてもよいし、外側フランジ部11b上に配置されていてもよい。また、加熱膨張材52は、その断面形状が、円形、楕円形、三角形、多角形などであってもよく、帯状以外の形状を有していてもよい。
【0032】
続いて、天井点検口1が加熱されたときの状況について、図2及び図5を参照しつつ以下に説明する。天井点検口1は、図5に示すように、火災などが生じると下方から加熱される。加熱膨張材51,52は、所定温度(例えば、200℃)以上に加熱されると膨張を開始し、図2に示す状態から図5に示す状態へと変化する。加熱膨張材51は、所定温度未満の場合、図2に示すように、外枠10(外枠材11)と内枠12(内枠材21)との間の隙間を埋めておらず、隙間が生じた状態である。加熱膨張材52は、所定温度未満の場合、図2に示すように、外枠10(外枠材11)と天井材100(天井板100a)との間の隙間を埋めておらず、隙間が生じた状態である。そして、加熱膨張材51,52が加熱されることで、内枠20と外枠10との間の隙間が加熱膨張材51により埋められ、外枠10と天井材100との間の隙間が加熱膨張材52により埋められる。このため、火災による熱や炎が、図5中矢印で示すように、天井材100(天井板100a)に沿って天井点検口1に辿り着いても、内枠20と外枠10との間の隙間や外枠10と天井材100との間の隙間を通って上昇するのを防ぐことが可能となる。つまり、加熱膨張材51,52により、天井点検口1の上方への遮熱及び遮炎が可能となる。
【0033】
以上に述べたように、本実施形態における天井点検口1によると、火災時の熱によって膨張した加熱膨張材51により、外枠10と内枠20との間の隙間が埋まる。このため、隙間を介して火や熱が廻りにくくなり、耐火性が向上する。
【0034】
また、外枠10に加熱膨張材52が設けられていることで、外枠10と天井材100との間に隙間が生じていたとしても、火災時の熱によって膨張した加熱膨張材52により、外枠10と天井材100との間の隙間が埋まる。このため、当該隙間を介して火や熱が廻りにくくなり、耐火性がより向上する。この結果、天井点検口1が45分準耐火性能を有しやすくなる。
【0035】
また、外枠10及び内枠20が鉄合金製からなる。これにより、外枠10及び内枠20の融点が比較的高くなる。このため、耐火性がより一層向上する。この結果、45分準耐火性能を確実に有することができる。なお、外枠10及び内枠20が鉄からなる場合でも、上述と同様の効果を得ることができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態における加熱膨張材51,52は、外枠材11及び内枠材21の長手方向に沿って長尺に延在しているが、当該長手方向に沿って互いに離隔した複数の加熱膨張材が配置されていてもよい。この場合、隣接する加熱膨張材の離隔距離は、加熱され膨張した加熱膨張材同士が接触可能な距離とすることが好ましい。また、外枠10と内枠20との間の隙間には、4つの加熱膨張材51が配置されているが、1~3及び5以上の加熱膨張材が配置されていてもよい。また、外枠10と天井材100との間の隙間には、4つの加熱膨張材52が配置されているが、1~3及び5以上の加熱膨張材が配置されていてもよい。
【0037】
また、上述の実施形態においては、内枠20と蓋材40との間の隙間が非常に小さいため、特に加熱膨張材を設けていないが、当該隙間に1以上の加熱膨張材を設けてもよい。これにより、火災時の熱によって膨張した加熱膨張材により、内枠20と蓋材40との間の隙間が埋まる。このため、当該隙間を介して火が廻りにくくなり、耐火性がより向上する。この結果、天井点検口1が45分準耐火性能、あるいはそれ以上の性能を有しやすくなる。また、このとき、加熱膨張材が、取付フランジ21cの張り出し方向において、側壁21aと内側部分21c2の先端との間に配置されていることが好ましい。これにより、加熱膨張材が、火災などにより加熱されていないときに、内側部分21c2の先端よりも内側にはみ出さない。このため、意匠性が高くなる。
【0038】
また、上述の実施形態においては、外枠10及び内枠20の両方が鉄合金製であったが、鉄製であってもよく、また一方の枠が鉄又は鉄合金製であってもよいし、外枠10及び内枠20の両方が鉄又は鉄合金製以外の材質から構成されていてもよい。
【0039】
上述の実施形態においては天井材100を1枚として用いた例を示した。しかしながら、天井材100を2重貼りするなど天井材の厚みが比較的厚いケースも考えられるところ、本実施形態で示した天井点検口1では、外枠10の側壁11aの高さ寸法を比較的高くすることで、側壁11a及び/又は下地材100bのビス18を打つ高さ位置を適切に変更することで調整可能となっている。
【符号の説明】
【0040】
1 天井点検口
10 外枠
11a 側壁
11b 外側フランジ部
14 開口部
20 内枠
21a 側壁
21b 外側フランジ部
51 加熱膨張材(第1加熱膨張材)
52 加熱膨張材(第2加熱膨張材)
100 天井材
101 開口部
図1
図2
図3
図4
図5