(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061758
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】カバー開閉ユニット
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20230425BHJP
H02G 3/12 20060101ALI20230425BHJP
H02G 3/36 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47B13/00 B
H02G3/12
H02G3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171875
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】301032735
【氏名又は名称】プラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】上杉 勇
(72)【発明者】
【氏名】足立 明子
(72)【発明者】
【氏名】長島 博
【テーマコード(参考)】
3B053
5G361
5G363
【Fターム(参考)】
3B053NN02
3B053NP08
3B053NQ06
3B053NQ07
3B053NQ10
5G361AA07
5G361AC05
5G363BA01
5G363DB31
(57)【要約】
【課題】アームを利用しながら、カバーの開閉動作が容易なカバー開閉ユニットを提供する。
【解決手段】配線孔4aを開閉するカバー12と、カバー12と接続されたアーム14と、を有する配線孔カバーユニット10であって、配線孔4a内においてアーム14の一端を回動可能に軸支する第1回動部21と、アーム14の他端においてカバー12を回動可能に軸支する第2回動部22と、を有し、カバー12が開いた開状態と、カバー12が閉じた閉状態と、開状態と閉状態の間の状態である半開状態と、の間で移行可能に構成され、開状態と半開状態との間は、第1回動部21と第2回動部22のうち第1回動部21のみが回動して状態移行し、半開状態と閉状態との間は、第1回動部21と第2回動部22のうち第2回動部22のみが回動して状態移行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を開閉するカバーと、前記カバーに接続されたアームと、を有するカバー開閉ユニットであって、
前記開口内において前記アームの一端を回動可能に軸支する第1回動部と、
前記アームの他端において前記カバーを回動可能に軸支する第2回動部と、を有し、
前記カバーが開いた開状態と、前記カバーが閉じた閉状態と、前記開状態と前記閉状態の間の状態である半開状態と、の間で移行可能に構成され、
前記開状態と前記半開状態との間は、前記第1回動部と前記第2回動部のうち前記第1回動部のみが回動して状態移行し、
前記半開状態と前記閉状態との間は、前記第1回動部と前記第2回動部のうち前記第2回動部のみが回動して状態移行する、
ことを特徴とするカバー開閉ユニット。
【請求項2】
前記開口内において前記第1回動部の軸周りに内側に突出する凸部が設けられ、
前記閉状態と前記半開状態との間は、前記アームが前記凸部に当接した状態で状態移行することを特徴とする請求項1に記載のカバー開閉ユニット。
【請求項3】
前記開口内に、外側に凹んでなる凹部を有する壁部が設けられ、
前記カバーの側面に、外側に突出して前記凹部と係合されるローラ状のローラ部が設けられ、
前記ローラ部は、前記開状態と前記閉状態の間を状態移行する前記カバーの軌跡に沿って該カバーを案内することを特徴とする請求項1又は2に記載のカバー開閉ユニット。
【請求項4】
前記凹部は、その側面に、曲率半径が前記ローラ部と前記第1回動部との間の距離と等しくなるように円弧状に形成された第1円弧状部分と、曲率半径が前記ローラ部と前記第2回動部との間の距離と等しくなるように円弧状に形成された第2円弧状部分と、を有することを特徴とする請求項3に記載のカバー開閉ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー開閉ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスで使用されるテーブル等に設けられた配線孔等の開口に取り付けられ、当該開口を開閉するためのカバーを有するカバー開閉ユニットが提案されている。この種のカバー開閉ユニットでは、開口内において回動可能に軸支された一つ又は複数のアームを設け、当該アームに回動可能に軸支されたカバーを設けた構成のものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、開口内のサイドカバーに回転自在に軸支された回転アームと、回転アームに回転自在に軸支された蓋体と、を有するカバー開閉ユニットとしての配線ボックスが開示されている。この配線ボックスは、蓋体が開いた状態と閉じた状態との間で状態移行する際、回転アームの回転軸と蓋体の回転軸とがいずれも回動することにより、蓋体が略垂直状態を保持した状態で昇降するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のカバー開閉ユニットのように回転アームの回転軸と蓋体の回転軸とが同時に回動する構成では、両回転軸の間で回動に伴う摩擦力が異なる場合、摩擦力が大きな方の回転軸の動作に開閉動作が依存し、カバーの開閉動作に支障をきたすことがある。また、複数の回転軸を同時に回動させるため、カバーの開閉動作を容易に行えないことがある。
【0006】
本発明は、アームを利用しながら、カバーの開閉動作が容易なカバー開閉ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカバー開閉ユニットは、開口を開閉するカバーと、前記カバーと接続されたアームと、を有する配線孔カバーユニットであって、前記開口内において前記アームの一端を回動可能に軸支する第1回動部と、前記アームの他端において前記カバーを回動可能に軸支する第2回動部と、を有し、前記カバーが開いた開状態と、前記カバーが閉じた閉状態と、前記開状態と前記閉状態の間の状態である半開状態と、の間で移行可能に構成され、前記開状態と前記半開状態との間は、前記第1回動部と前記第2回動部のうち前記第1回動部のみが回動して状態移行し、前記半開状態と前記閉状態との間は、前記第1回動部と前記第2回動部のうち前記第2回動部のみが回動して状態移行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アームを利用しながら、カバーの開閉動作が容易なカバー開閉ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る配線孔カバーユニットを取り付けたテーブルを斜め上方から視た斜視図である。
【
図2】実施形態に係る配線孔カバーユニットを取り付けたテーブルを斜め下方から視た斜視図である。
【
図3】実施形態に係る配線孔カバーユニットの閉状態における斜視図である。
【
図4】実施形態に係る配線孔カバーユニットの開状態における斜視図である。
【
図5】実施形態に係る配線孔カバーユニットの半開状態における斜視図である。
【
図6】実施形態に係る配線孔カバーユニットの第1壁部の正面図である。
【
図7】実施形態に係る配線孔カバーユニットの分解斜視図であり、破線で囲まれた図はローラ部近傍を拡大した拡大図である。
【
図8】実施形態に係る配線孔カバーユニットにおけるカバーの軌跡を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る配線孔カバーユニット(カバー開閉ユニット)10は、例えば
図1及び
図2に示すようなテーブル2にその裏側から取り付けられる。テーブル2は、オフィス等に配置されるテーブルであり、天板4と当該天板4を支持する4本の脚部6等から構成されている。テーブル2の天板4の略中央部には、図示しない配線を天板4上に引き出すための略矩形状の配線孔(開口)4aが設けられている。配線孔カバーユニット10は、配線孔4aを塞ぐ形で天板4に対して取り付けられる。
【0011】
配線孔カバーユニット10は、
図3等に示すように略箱状をなしており、テーブル2に取り付けられた状態で配線孔4aを開閉可能とされた一対のカバー12と、各カバー12に夫々接続されたアーム14と、を有している。ここで、
図3は一対のカバー12が閉じた状態(以下、「閉状態」という。)を、
図4は一対のカバー12が開いた状態(以下、「開状態」という。)を、
図5は一方のカバー12が略半分開いた状態(開状態と閉状態の間の状態。以下、「半開状態」という。)をそれぞれ示す。なお、
図5では、説明のため、手前側の壁部(後述する第1壁部31)を透過図で示している。
【0012】
各カバー12は、合成樹脂製とされ、平板長方形状の上面部12aと、上面部12aの前後両側面に設けられた平板状の側面部(側面)12bと、を有している。以下の説明においては、配線孔カバーユニット10における上下方向は、閉状態における各カバー12の上面部12aの法線方向と一致し、配線孔カバーユニット10における前後方向は、閉状態における各カバー12の上面部12aの長手方向と一致し、配線孔カバーユニット10における左右方向は、閉状態における各カバー12の上面部12aの短手方向と一致する。
【0013】
一方のカバー12の上面部12aには、閉状態において他方のカバー12の上面部12aと対向する端縁に他方の上面部12a側に伸びる柔軟なゴム体13が設けられている。このゴム体13により、閉状態において一対のカバー12の上面部12a間の隙間が塞がれる。一対の上面部12a及びゴム体13は、全体として閉状態における輪郭形状及び輪郭の大きさが配線孔4aの開口端縁の形状及び大きさと略一致しており、配線孔4aを塞ぐようになっている。また、ゴム体13により、閉状態において配線孔カバーユニット10の内部への粉塵等の侵入を防止しつつ内部から配線等を引き出し可能とされる。
【0014】
各アーム14は、アーム状に伸びる合成樹脂製の部材であり、カバー12の前後方向両側にそれぞれ接続されている。即ち、1つのカバー12に対して2つのアーム14が接続されており、配線孔カバーユニット10は4つのアーム14を有している。アーム14の一端(カバー12に接続されていない側の端部)は、配線孔4a内において第1回動部21により回動可能に軸支されている。また、各カバー12の前後方向両側は、第2回動部22(
図5参照)によりアーム14の他端(カバー12に接続されている側の端部)において回動可能に軸支されている。
【0015】
配線孔カバーユニット10では、各カバー12が第1回動部21周りの移動をする場合、該カバー12に接続された2つのアーム14が連動する。また、配線孔カバーユニット10は、第1回動部21の回動及び第2回動部22の回動により、開状態と閉状態と半開状態との間で移行可能に構成されている。これらの第1回動部21、第2回動部22の構成については後で詳しく説明する。
【0016】
図4等に示すように、配線孔カバーユニット10は、前後方向に対向する側壁としての一対の第1壁部(壁部)31と、左右方向に対向する側壁としての一対の第2壁部32と、底板としての底板部34とを有している。このうち、一対の第1壁部31は、例えば合成樹脂製とされ、一対の第2壁部32及び底板部34は、例えば板状の板金部材をコの字状に折り曲げ加工することにより一体的に形成される。配線孔カバーユニット10は、一対の第1壁部31、一対の第2壁部32、及び底板部34により略箱状とされ、これにより、配線孔4a内に内部空間Sが形成されている(
図7参照)。この内部空間Sには、配線や電源タップ等が収納される。
【0017】
図6に示すように、第1壁部31の下側部分は、その大部分が矩形状に開口する開口部31aとされている。外部電源等に接続された配線類は、例えばテーブル2の下側から開口部31aを通して配線孔カバーユニット10の内部空間Sへと引き回される。第1壁部31の上側部分には、左右両側に外側(内部空間S側とは反対側)に向かって凹んでなる一対の凹部31bが設けられている。各凹部31bは、その下側部分の側面に、左右方向外側に向かって円弧状に湾曲する第1円弧状部分31b1を有しており、その上側部分の側面に、斜め下方向に向かって円弧状に湾曲する第2円弧状部分31b2を有している。
【0018】
一対の凹部31bの間の略中央位置には、後述する第1軸部材41が軸支される一対の壁側軸孔31cが左右に並列した形で設けられている。各壁側軸孔31cは、前後方向に貫通する円形状の孔であり、第1軸部材41が挿通される。一対の壁側軸孔31cの上側には、第1壁部31から内側(内部空間S側)に向かって突出する凸部31dが設けられている。凸部31dは、一対の壁側軸孔31cの上部を覆う形で左右横長の形状をなしている。また、凸部31dの左右両側下端部は、それぞれ左右両側に向けて上方に傾斜する傾斜状に面取りされており、傾斜面31d1となっている。
【0019】
また、凸部31dの左右方向両側であって凹部31b寄りの位置には、第1壁部31から内側(内部空間S側)に向かって突出する一対のカバー規制片31eが設けられている。なお、上記では、一方の第1壁部31の構成について説明したが、対向する他方の第1壁部31も同様の構成である。
【0020】
図3等に示すように、一対の第2壁部32の上端部には、それぞれ外側に向かって平行にせり出す平板状のせり出し部32aが設けられている。各せり出し部32aは、例えば第2壁部32の上端側を折り曲げ加工することにより形成される。各せり出し部32aには、前後両側とその中央部に等間隔で3つの取付孔32a1が設けられている。各取付孔32a1は、各せり出し部32aの板面から第2壁部32の上部に至るまで細長く伸びる形で開口する貫通孔とされる。
【0021】
各取付孔32a1には、下側からビス等が挿通される。テーブル2の天板4の裏側から配線孔4aの開口縁に両せり出し部32aを挟み込む形でビス止めすることにより、配線孔カバーユニット10をテーブル2に取り付けることができる。なお、各せり出し部32aの上面から第1壁部31の上端部までの高さH(
図8参照)が、配線孔ユニット10の取り付け対象となるテーブル2の天板4の厚みと略等しくなるように各せり出し部32aを形成することにより、カバー12の上面部12aと配線孔カバーユニット10が取り付けられた天板4の上面とを略均一な面とすることができる。
【0022】
次に、
図7等を参照して第1回動部21、第2回動部22の構成について説明する。
図7に示すように、各アーム14の一端には、第1軸部材41が軸支されるアーム側第1軸孔14aが設けられている。各アーム側第1軸孔14aは、前後方向に貫通する円形状の孔であり、第1軸部材41が挿通される。各アーム14のアーム側第1軸孔14aを第1壁部31の壁側軸孔31cに重ね合わせ、軸状部材である第1軸部材41をアーム側第1軸孔14a及び壁側軸孔31cに挿通させて、第1軸部材41の反対側から第1軸部材41の軸部にねじ込まれるネジ部材等(不図示)によりネジ止めすることにより、各アーム14が第1軸部材41の軸周りに回動可能に軸支される。即ち第1回動部21は、壁側軸孔31c、アーム側第1軸孔14a、及び第1軸部材41等により構成される。
【0023】
ここで、上述した第1壁部31に設けられた凸部31dは、第1回動部21の軸周りに位置しており、その突出高さが第1壁部31に軸支されたアーム14と上下方向において重畳するような高さとされている。このため、カバー12の開閉動作時に第1回動部21が回動することによりアーム14が凸部31dの傾斜面31d1に当接し、これにより、第1回動部21がそれ以上回動することが規制されるようになっている。
【0024】
図7に示すように、各カバー12の側面部12bの略中央位置には、後述する第2軸部材42が軸支される一対のカバー側軸孔12cが設けられている。各カバー側軸孔12cは、前後方向に貫通する円形状の孔であり、第2軸部材42が挿通される。また、各アーム14の他端には、第2軸部材42が軸支されるアーム側第2軸孔14bが設けられている。各アーム側第2軸孔14bは、前後方向に貫通する円形状の孔であり、第2軸部材42が挿通される。
【0025】
各カバー12の側面部12bのカバー側軸孔12cをアーム14のアーム側第2軸孔14bに重ね合わせ、軸状部材である第2軸部材42をカバー側軸孔12c及びアーム側第2軸孔14bに挿通させて、第2軸部材42の反対側から第2軸部材42の軸部にねじ込まれるネジ部材等(不図示)によりネジ止めすることにより、各カバー12が第2軸部材42の軸周りに回動可能に軸支される。即ち第2回動部22は、アーム側第2軸孔14b、カバー側軸孔12c、及び第2軸部材42等により構成される。
【0026】
ここで、
図7に示すように、カバー側軸孔12cの近傍には、カバー12の上面部12aの裏側から側面部12bに沿ってリブ状に伸びるカバー規制リブ12a1が設けられている。また、カバー側軸孔12cを挟んでカバー規制リブ12a1と反対側の位置には、カバー12の上面部12aの裏側から側面部12bに沿って壁状に伸びる当接壁部12a2が設けられている。第2回動部22は、カバー12の開閉動作時に当接壁部12a2にアーム14が当接することにより、アーム14とカバー12の上面部12aとのなす角度θ(
図8参照)が略90°以上とならないように回動が規制されるようになっている。このように配線孔カバーユニット10では、カバー12が開き過ぎないように構成されている。
【0027】
次に、第1壁部31に対するカバー12の側面部12bの係合態様について説明する。
図7の拡大図に示すように、各カバー12の両側面部12bの角部には、外側(内部空間S側とは反対側)に突出するローラ状のローラ部12dが設けられている。ローラ部12dの回転軸は、第1回動部21における第1軸部材41及び第2回動部22における第2軸部材42と平行となっている。
【0028】
なお、第1壁部31の凹部31bにおける第1円弧状部分31b1は、その曲率半径がローラ部12dと第1回動部21との間の距離L1(
図8参照)と等しくなるように形成されている。また、第1壁部31の凹部31bにおける第2円弧状部分31b2は、その曲率半径がローラ部12dと第2回動部22との間の距離L2(
図8参照)と等しくなるように形成されている。
【0029】
第1壁部31にアーム14及びカバー12が取り付けられた状態では、各カバー12の側面部12bは、表側の面が第1壁部31に近接した形となっている。そして、各側面部12bに設けられた各ローラ部12dは、閉状態と開状態との間で対向する第1壁部31の凹部31bに嵌り込み、当該凹部31bに係合されている。具体的には、各ローラ部12dは、開状態と半開状態との間では、凹部31bにおける第1円弧状部分31b1に当接しながら回転する。半開状態と閉状態との間では、凹部31bにおける第2円弧状部分31b2に当接しながら回転する。ローラ部12dは、カバー12の開閉動作時に凹部31bの側面に当接しながら回転することにより、凹部31bの側面に沿ってカバー12の側面部12bを案内するガイドローラとして機能する。
【0030】
次に、
図8を参照して、カバー12の開閉動作に伴うカバー12及びアーム14の動作態様について説明する。
図8では、開状態と閉状態との間で状態移行する一方のカバー12及びアーム14の軌跡のうち4つの状態を破線で図示している。まず、開状態では、カバー12が底板部34の板面に対して略垂直状態とされ、アーム14とカバー12の上面部12aとの間のなす角度が略90°とされる。開状態では、カバー12の側面部12bに設けられたローラ部12dは、凹部31bにおける第1円弧状部分31b1のうち下側の位置に当接した状態とされる。
【0031】
開状態からカバー12を上方にわずかに引き上げると、アーム14がカバー12と共に引き上げられて第1回動部21が回動する。このとき、ローラ部12dと第1回動部21との間の距離L1が第1円弧状部分31b1の曲率半径と等しくされていることから、当該距離L1が変化することなく、ローラ部12dが第1円弧状部分31b1に沿って回転しながら上方に移動する。換言すれば、第2回動部22が回動することなく、アーム14とカバー12の上面部12aとの間のなす角度を略90°に保持した状態で、第1回動部21のみが回動する。
【0032】
カバー12をさらに上方に引き上げると、アーム14がカバー12と共に引き上げられて第1回動部21がさらに回動し、アーム14の側面が第1壁部31の凸部31dの傾斜面31d1に干渉して当接する。このときも上記と同様に、第1回動部21と第2回動部22のうち第1回動部21のみが回動し、ローラ部12dが第1円弧状部分31b1に沿って回転しながら上方に移動する。そして、ローラ部12dが、第1円弧状部分31b1と第2円弧状部分31b2との境界部分に位置した状態となる。このとき、カバー12は半分程度開いており、アーム14が凸部31dの傾斜面31d1と当接した状態となる。この状態が半開状態とされる。
【0033】
半開状態からカバー12をさらに上方に引き上げようとしても、アーム14が凸部31dの傾斜面31d1と当接していることにより第1回動部21を上方に回動させることができず、それ以上にカバー12を上方に引き上げることはできない。そこで、半開状態から配線孔4aを閉じるようにカバー12の引き上げた上側部分を配線孔4aの中央側に向かって押し下げることにより、第2回動部22のみを回動させる。そして、各カバー12が回動してカバー規制リブ12a1の先端部が第1壁部31のカバー規制片31eに当接することにより、カバー12の上面部12aが底板部34の板面に対して略平行状態となり、カバー12をそれ以上回動させることが規制される。これにより、配線孔カバーユニット10を閉状態とすることができる。
【0034】
半開状態から閉状態へ状態移行する際は、ローラ部12dと第2回動部22との間の距離L2が第2円弧状部分31b2の曲率半径と等しくされていることから、当該距離L2が変化することなく、ローラ部12dが第2円弧状部分31b2に沿って回転しながら左右方向外側に移動する。このため、第1回動部21を凸部31dに当接させた状態で回動させなくとも(距離L2が変化しなくとも)、第2回動部22のみを回動させることにより、半開状態から閉状態へと状態移行させることができる。以上のように、ローラ部12dは、開状態と閉状態の間を状態移行するカバー12の側面部12bの軌跡に沿ってカバー12を案内する。
【0035】
なお、閉状態から開状態への状態移行は上記と逆の手順により行うことができる。即ち、閉状態において一対のカバー12のうち上面部12a同士で対向する端部を上方に引き上げることにより、第1回動部21と第2回動部22のうち第2回動部22のみを回動させる。これにより、ローラ部12dが第2円弧状部分31b2に沿って移動し、半開状態に移行する。その後、半開状態となったカバー12を押し下げることにより、第1回動部21と第2回動部22のうち第1回動部21のみを回動させる。これにより、ローラ部12dが第1円弧状部分31b1に沿って移動し、閉状態に移行する。
【0036】
以上説明したように本実施形態に係る配線孔カバーユニット10は、開状態と閉状態と半開状態との間で移行可能に構成され、開状態と半開状態との間は、第1回動部21と第2回動部22のうち第1回動部21のみが回動して(換言すれば、アーム14のみが回動して)状態移行し、半開状態と閉状態との間は、第1回動部21と第2回動部22のうち第2回動部22のみが回動して(換言すれば、カバー12のみが回動して)状態移行する。このため、配線孔カバーユニット10では、カバー12の開閉動作において複数の回転軸が同時に回転することがなく、アーム14を利用しながらカバー12の開閉動作を円滑に行うことができる。
【0037】
また、配線孔カバーユニット10では、配線孔4a内に位置する第1壁部31において第1回動部21の軸周りに内側に突出する凸部31dが設けられており、閉状態と半開状態との間は、アーム14が凸部31dに当接した状態で状態移行する。このため、閉状態と半開状態との間ではアーム14の回動軸となる第1回動部21が回動せず、半開状態と閉状態との間で第2回動部22のみを回動させるための具体的な構成を実現することができる。
【0038】
また、配線孔カバーユニット10では、配線孔4a内に、外側に凹んでなる凹部31bを有する第1壁部31が設けられ、カバー12は、その側面に突設されて凹部31bと係合されるローラ状のローラ部12dを有し、凹部31bは、閉状態と開状態の間を状態移行するカバー12の側面部12bの軌跡に沿ってカバー12を案内する。このように、カバー12の開閉動作時にローラ部12dがカバー12の側面部12bを案内するガイドローラとして機能しながら凹部31b内を移動することにより、カバー12の開閉動作をより円滑に行うことができる。
【0039】
また、配線孔カバーユニット10では、凹部31bは、その側面に、曲率半径がローラ部12dと第1回動部21との間の距離と等しくなるように円弧状に形成された第1円弧状部分31b1と、曲率半径がローラ部12dと第2回動部22との間の距離と等しくなるように円弧状に形成された第2円弧状部分31b2と、を有する。これにより、第1円弧状部分31b1と第2回動部22との境界部分において、開状態と半開状態の状態移行における第1回動部21のみの回動と、半開状態と閉状態の状態移行における第2回動部22のみの回動と、の間の切換えを円滑に行うことができる。このため、カバー12の開閉動作における作業性をより向上させることができる。
【0040】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
2 テーブル 4 天板
4a 配線孔 6 脚部
10 配線孔カバーユニット 12 カバー
12a 上面部 12a1 カバー規制リブ
12a2 当接壁部 12b 側面部
12c カバー側軸孔 12d ローラ部
13 ゴム体 14 アーム
14a アーム側第1軸孔 14b アーム側第2軸孔
21 第1回動部 22 第2回動部
31 第1壁部 31a 開口部
31b 凹部 31b1 第1円弧状部分
31b2 第2円弧状部分 31c 壁側軸孔
31d 凸部 31e カバー規制片
32 第2壁部 32a せり出し部
32a1 取付孔 34 底板部
41 第1軸部材 42 第2軸部材
H 高さ
S 内部空間
L1 距離
L2 距離
θ 角度