(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061784
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ワイパユニット
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20230425BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
B41J2/165 307
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171917
(22)【出願日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川井 智也
(72)【発明者】
【氏名】竹花 宗一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB24
2C056EB29
2C056JB05
(57)【要約】
【課題】機構の簡素化を図ることが可能なワイパユニットを提供する。
【解決手段】ワイパユニットは、帯状に延在する払拭体と、払拭体を載置し、所定方向に移動可能に設けられる筐体と、筐体を所定方向に移動させる搬送機構と、筐体の所定方向への移動力を伝達し、払拭体を移動する移動力に変換する伝達機構とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に延在する払拭体と、
前記払拭体を載置し、所定方向に移動可能に設けられる筐体と、
前記筐体を前記所定方向に移動させる搬送機構と、
前記筐体の前記所定方向への移動力を伝達し、前記払拭体を移動する移動力に変換する伝達機構と
を備えるワイパユニット。
【請求項2】
前記筐体は、前記払拭体の先端を固定し回動により前記払拭体を搬送する搬送ローラを有し、
前記搬送機構は、前記所定方向に沿って配置されるラックギアと、前記ラックギアと噛み合うピニオンギアを備え、
前記伝達機構は、前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達可能とするものである
請求項1に記載のワイパユニット。
【請求項3】
前記伝達機構は、前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達する伝達状態と、前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達しない非伝達状態とを切り替え可能な中継部を有する
請求項1又は請求項2に記載のワイパユニット。
【請求項4】
前記伝達機構は、前記払拭体を一方向に搬送するように前記搬送ローラに回転を伝達する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のワイパユニット。
【請求項5】
前記伝達機構は、前記ピニオンギアが第1方向に回転する場合には前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達する伝達位置に配置され、前記ピニオンギアが前記第1方向とは反対の第2方向に回転する場合には前記ピニオンギアに噛み合わない非伝達位置に配置される遊星ギアを有し、
前記中継部は、前記遊星ギアである
請求項4に記載のワイパユニット。
【請求項6】
前記筐体は、待機位置と、払拭動作を行う払拭位置との間を前記所定方向に移動し、
前記第1方向は、前記筐体が前記払拭位置から前記待機位置に移動する場合の回転方向であり、
前記第2方向は、前記筐体が前記待機位置から前記払拭位置に移動する場合の回転方向である
請求項5に記載のワイパユニット。
【請求項7】
前記搬送ローラは、前記払拭体が基端まで繰り出された場合に回転が規制され、
前記搬送ローラの回転が規制されたことを検出する検出機構を更に備える
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のワイパユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を噴射する噴射ヘッドを有する装置においては、噴射ヘッドに付着した液体を払拭するワイパユニットが設けられる。例えば、待機位置と払拭位置とで移動可能であり、ロール状に巻かれた払拭体と、当該払拭体を繰り出す駆動機構とを有するワイパユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、待機位置と払拭位置との間でユニットを移動させるための駆動系と、払拭体を繰り出すための駆動系とを別個に設ける必要があるため、機構が煩雑となる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、機構の簡素化を図ることが可能なワイパユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るワイパユニットは、帯状に延在する払拭体と、前記払拭体を載置し、所定方向に移動可能に設けられる筐体と、前記筐体を前記所定方向に移動させる搬送機構と、前記筐体の前記所定方向への移動力を伝達し、前記払拭体を移動する移動力に変換する伝達機構とを備える。
【0007】
上記のワイパユニットにおいて、前記筐体は、前記払拭体の先端を固定し回動により前記払拭体を搬送する搬送ローラを有し、前記搬送機構は、前記所定方向に沿って配置されるラックギアと、前記ラックギアと噛み合うピニオンギアを備え、前記伝達機構は、前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達可能とするものである。
【0008】
上記のワイパユニットにおいて、前記伝達機構は、前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達する伝達状態と、前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達しない非伝達状態とを切り替え可能な中継部を有する。
【0009】
上記のワイパユニットにおいて、前記伝達機構は、前記払拭体を一方向に搬送するように前記搬送ローラに回転を伝達する。
【0010】
上記のワイパユニットにおいて、前記伝達機構は、前記ピニオンギアが第1方向に回転する場合には前記ピニオンギアの回転を前記搬送ローラに伝達する伝達位置に配置され、前記ピニオンギアが前記第1方向とは反対の第2方向に回転する場合には前記ピニオンギアに噛み合わない非伝達位置に配置される遊星ギアを有し、前記中継部は、前記遊星ギアである。
【0011】
上記のワイパユニットにおいて、前記筐体は、待機位置と、払拭動作を行う払拭位置との間を前記所定方向に移動し、前記第1方向は、前記筐体が前記払拭位置から前記待機位置に移動する場合の回転方向であり、前記第2方向は、前記筐体が前記待機位置から前記払拭位置に移動する場合の回転方向である。
【0012】
上記のワイパユニットにおいて、前記搬送ローラは、前記払拭体が基端まで繰り出された場合に回転が規制され、前記搬送ローラの回転が規制されたことを検出する検出機構を更に備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機構の簡素化を図ることが可能なワイパユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るワイパユニットの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るワイパユニットの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、巻き取りローラ及び巻き取り側ギアの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、筐体の内部の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、筐体の一部の構成を拡大して示す図である。
【
図7】
図7は、払拭部の交換過程の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、払拭部の交換過程の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、払拭部の交換過程の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、筐体が移動する様子を示す図であり、要部を示した図である。
【
図16】
図16は、筐体が移動する様子を示す図であり、要部を示した図である。
【
図17】
図17は、筐体が移動する様子を示す図であり、要部を示した図である。
【
図19】
図19は、ピニオンギア及び遊星ギアを-Y側から見た場合の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、ピニオンギア及び遊星ギアを-Y側から見た場合の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、ピニオンギア及び遊星ギアを-Y側から見た場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るワイパユニットの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
本実施形態では、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。当該XYZ座標系においては、ワイパユニットを使用する際に当該ワイパユニットを載置する床面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において、後述する筐体20の移動方向をX方向と表記し、XY平面上でX方向に直交する方向をY方向と表記する。XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が-方向であるものとして説明する。
【0017】
図1及び
図2は、本実施形態に係るワイパユニット100の一例を示す斜視図である。
図1は蓋体30が閉塞された状態、
図2は蓋体30が開放された状態をそれぞれ示している。
図1及び
図2に示すように、ワイパユニット100は、払拭部10と、筐体20と、蓋体30と、駆動機構40と、制御部CONTとを備える。ワイパユニット100は、例えば印刷装置等のように液体を噴射する噴射ヘッドを備える機器に搭載され、噴射ヘッドに付着した液体を払拭する。
【0018】
払拭部10は、払拭体11と、繰り出しローラ12と、巻き取りローラ13とを有する。払拭部10は、噴射ヘッドに付着した液体を保持又は吸着させる。本実施形態において、払拭体11は、シート状に形成される。このような払拭体11としては、例えば不織布が用いられる。なお、払拭体11として、他の材料が用いられてもよい。
【0019】
図3は、払拭部10の一例を示す斜視図である。払拭体11は、基端部11aが繰り出しローラ12に固定され、先端部11bが巻き取りローラ13に固定された状態で設けられる。払拭体11は、初期状態では基端部11a側が繰り出しローラ12に巻かれ、先端部11b側が巻き取りローラ13に巻かれずに固定された状態である。この状態からワイピング動作を行うごとに、巻き取りローラ13で払拭体11が巻かれ、これに伴って繰り出しローラ12から払拭体11が繰り出されるようになっている。なお、払拭体11は、先端部11bが例えば自由端であり、後述する筐体側ローラ及び蓋体側ローラにより繰り出され、巻き取りローラ13に巻き取られる構成であってもよい。
【0020】
払拭部10は、払拭体11、繰り出しローラ12及び巻き取りローラを一体として取り扱い可能である。払拭部10は、払拭体11、繰り出しローラ12及び巻き取りローラを一体として、筐体20に対して取り付け及び取り外しが可能となっている。払拭部10は、筐体20に対して取り付けられる際、繰り出しローラ12が後述する筐体20の繰り出し側軸受22に回転可能に支持され、巻き取りローラ13が後述する筐体20の巻き取り側軸受23に回転可能に支持される。
【0021】
繰り出しローラ12には、繰り出し側ギア14が設けられる。繰り出しローラ12は、繰り出し側ギア14と一体で回転可能となっている。また、巻き取りローラ13には、巻き取り側ギア15が設けられる。巻き取りローラ13は、巻き取り側ギア15と一体で回転可能となっている。巻き取り側ギア15は、巻き取り側軸受23に支持された状態において、後述する伝達ギア25と噛み合い、伝達ギア25の回転に連動して回転する。
【0022】
図4は、巻き取りローラ13及び巻き取り側ギア15の一例を示す図である。
図4は、YZ平面に平行な平面による断面構成を示している。
図4に示すように、巻き取りローラ13は、払拭体保持部13aと、被支持部13bと、テーパ面13cと、弾性部材支持部13dと、弾性部材13eとを有する。
【0023】
払拭体保持部13aは、例えば円筒状又は円柱状であり、払拭体11が巻かれる部分である。被支持部13bは、筐体20の巻き取り側軸受23に支持される部分である。テーパ面13cは、払拭体保持部13aと被支持部13bとを接続する部分であり、払拭体保持部13aから被支持部13b側にかけて縮径されたテーパ形状を有する。
【0024】
巻き取り側ギア15は、外周側に歯が形成された環状部15aと、環状部15aからテーパ面13c側に延びる接続部15bとを有する。接続部15bは、テーパ面13cと対向する対向面15cを有する。巻き取り側ギア15は、対向面15cがテーパ面13cに接触した状態で保持される。
【0025】
弾性部材支持部13dは、例えば板状であり、被支持部13bに設けられる。弾性部材13eは、弾性部材支持部13dに支持され、巻き取り側ギア15の接続部15bに対してテーパ面13c側に弾性力を付与する。巻き取り側ギア15は、弾性部材13eから受ける弾性力により巻き取りローラ13に保持される。巻き取り側ギア15が回転することにより、対向面15cとテーパ面13cとの間に摩擦力が生じ、この摩擦力により巻き取りローラ13が回転するようになっている。
【0026】
払拭部10の使用状態において、巻き取りローラ13には、払拭体11から張力が加えられている。したがって、対向面15cとテーパ面13cとの間の摩擦力よりも払拭体11の張力の方が大きい場合、巻き取り側ギア15が巻き取りローラ13に対して空回りすることになる。例えば、巻き取りローラ13に巻かれる払拭体11の径が後述する蓋体側ローラ31の径よりも大きい場合、蓋体側ローラ31と巻き取りローラ13とを同一角度だけ回転させた場合、蓋体側ローラ31の外周の移動長さに対して巻き取りローラ13で巻かれる払拭体11の外周の移動長さが大きくなる。このため、巻き取りローラ13側から払拭体11が引っ張られることになる。このような場合、巻き取りローラ13に作用する張力の方が弾性部材13eの弾性力よりも大きくなるため、巻き取り側ギア15が巻き取りローラ13に対して空回りすることになる。このように、巻き取りローラ13による払拭体11の巻き取り状況に応じて、巻き取り側ギア15の回転量と巻き取りローラ13の回転量とが調整されるようになっている。
【0027】
また、繰り出しローラ12及び当該繰り出しローラ12に設けられる繰り出し側ギア14についても、上記した巻き取りローラ13及び巻き取り側ギア15とそれぞれ同様の構成となっている。繰り出し側ギア14は、後述する筐体20に設けられるストッパ24により回転が規制される。このため、繰り出しローラ12における払拭体11のゆるみ等を抑制できる。この構成では、巻き取りローラ13により払拭体11が巻き取られる際、払拭体11からの張力が繰り出しローラ12に作用する。この張力により、繰り出し側ギア14に対して繰り出しローラ12が空回りするように回転することで、払拭体11が繰り出される。
【0028】
筐体20は、払拭体11を含む払拭部10を取り出し可能に収容する。筐体20は、例えばX方向が長手方向である直方体の箱状であり、Z方向の上端に開口部20aを有する。開口部20aは、払拭体11を含む払拭部10を出し入れ可能である。
【0029】
図5は、筐体20の内部の構成の一例を示す図である。筐体20は、筐体側ローラ21と、繰り出し側軸受22と、巻き取り側軸受23と、ストッパ24と、伝達ギア25とを有する。筐体側ローラ21は、ローラ軸21aを有する。ローラ軸21aは、Y方向に沿って配置される。ローラ軸21aは、Y方向の両端が筐体側ローラ21から突出している。筐体側ローラ21は、ローラ軸21aを用いて筐体20のY方向の両端の壁部20bに回転可能に支持される。筐体側ローラ21は、Y方向に平行な回転軸AX1を中心として回転可能である。筐体側ローラ21は、開口部20aから一部が上方(+Z方向)に突出するように配置される。筐体側ローラ21は、払拭体11の一部が上側(+Z側)から掛けられた状態で当該払拭体11を支持する。筐体20は、払拭体11の一部が筐体側ローラ21に上側(+Z側)から掛けられた状態で払拭部10を収容する。
【0030】
図6は、筐体20の一部の構成を拡大して示す図である。
図6に示すように、筐体側ローラ21は、例えばローラ軸21aが線状ばね21bにより上方(+Z方向)に弾性力が付与された状態で、Z方向に移動可能に配置される。筐体側ローラ21は、後述する蓋体側ローラ(搬送ローラ)31との間で払拭体11をZ方向に支持する。筐体側ローラ21は、蓋体側ローラ31に押されて-Z方向に移動する場合、線状ばね26により蓋体側ローラ31に対して+Z方向の力を付与することができる。
【0031】
繰り出し側軸受22は、繰り出しローラ12を回転可能に支持する。繰り出し側軸受22は、筐体20のY方向の両端の壁部20bに配置される。繰り出し側軸受22は、上部(+Z側端部)が開放されており、繰り出しローラ12をZ方向に挿脱可能となっている。
【0032】
巻き取り側軸受23は、巻き取りローラ13を回転可能に支持する。巻き取り側軸受23は、筐体20のY方向の両端の壁部20bに配置される。巻き取り側軸受23は、上部(+Z側端部)が開放されており、巻き取りローラ13をZ方向に挿脱可能となっている。
【0033】
ストッパ24は、繰り出しローラ12が繰り出し側軸受22に支持された状態において繰り出し側ギア14に噛み合う。ストッパ24は、筐体20の底部20dに固定され、繰り出し側ギア14の回転を規制する。
【0034】
伝達ギア25は、巻き取りローラ13が巻き取り側軸受23に支持された状態において巻き取り側ギア15に噛み合う。また、伝達ギア25は、後述する蓋体30が閉状態となった場合において蓋体ローラギア35に噛み合う。伝達ギア25は、後述する駆動機構40から伝達される回転を巻き取り側ギア15及び蓋体ローラギア35に伝達する。
【0035】
蓋体30は、筐体20の開口部20aを開閉可能に設けられる。蓋体30は、筐体20の-X側の壁部20cにヒンジ32を介して取り付けられる。蓋体30は、ヒンジ32により、壁部20cを支点として、Y軸回りに回動可能に設けられる。蓋体30は、筐体側ローラ21に掛けられた払拭体11を外部に露出するように開口部20aを覆う。
【0036】
蓋体30は、開口部20aを覆った状態で払拭体11を支持する蓋体側ローラ(搬送ローラ)31を有する。蓋体側ローラ31は、蓋体30が開口部20aを覆った閉状態において、筐体側ローラ21の下方(-Z側)に配置される。蓋体側ローラ31は、払拭体11のうち筐体側ローラ21に支持された状態における+Z側の面、つまり、噴射ヘッド等の噴射面に対向する面が掛けられる。蓋体側ローラ31は、払拭体11を支持して巻き取りローラ13側へと搬送する。蓋体側ローラ31は、払拭体11に接触する面が、払拭体11との間で摩擦力を発生しやすい材料、例えばスポンジ等の発泡材料が用いられるが、これに限定されない。
【0037】
蓋体側ローラ31は、当該蓋体側ローラ31と一体で回転する蓋体ローラギア35を有する。蓋体ローラギア35は、蓋体30を閉状態とした場合に、上記した伝達ギア25に噛み合い、伝達ギア25の回転に連動して回転する。
【0038】
ここで、払拭部10を交換する手順について説明する。
図7から
図11は、払拭部10の交換過程の一例を示す図である。
図7に示すように、ワイパユニット100を繰り返し使用することにより、払拭体11が巻き取りローラ13に巻き取られる。払拭体11を全て巻き切った場合、払拭体11を交換する必要がある。
【0039】
この場合、
図8に示すように、作業者は、蓋体30を開状態とする。蓋体30は、ヒンジ32により筐体20の-X側の壁部20cの上部を中心としてY軸回りに回転して開く。蓋体30が開くことにより、筐体20の開口部20aが開放され、筐体20の内部において払拭体11を下方(-Z側)に押さえていた蓋体側ローラ31が払拭体11から離れる。これにより、開口部20aから筐体20の内部にアクセスすることが可能となる。
【0040】
次に、筐体20に支持される払拭部10を取り出す。この場合、払拭体11が巻かれていない状態の繰り出しローラ12を繰り出し側軸受22から取り外し、使用済みの払拭体11が巻かれた巻き取りローラ13を巻き取り側軸受23から取り外す。そして、
図9に示すように、払拭体11、繰り出しローラ12及び巻き取りローラ13を一体として開口部20aから取り出す。
【0041】
次に、
図10に示すように、筐体20に新たな払拭部10Nを取り付ける。この場合、新たな払拭部10Nの払拭体11N、繰り出しローラ12N及び巻き取りローラ13Nを一体として開口部20aから筐体20の内部に入れる。そして、払拭体11Nを筐体側ローラ21の上部に掛け、未使用の払拭体11が巻かれた状態の繰り出しローラ12Nを繰り出し側軸受22に支持させ、払拭体11が巻かれていない状態の巻き取りローラ13Nを巻き取り側軸受23に支持させる。これにより、新たな払拭部10Nが筐体20に装着される。
【0042】
新たな払拭部10Nを装着した後、
図11に示すように、蓋体30を閉状態とする。蓋体30を閉状態とすることにより、開口部20aが蓋体30で覆われ、筐体側ローラ21に支持される払拭体11Nが開口窓30aから上方に突出した状態となる。本形態においては、蓋体30上面において開口窓30aから払拭体11Nのみが上方に突出した状態となるような位置となるよう、ローラ軸21aの上下方向における位置が設定されている。また、筐体20の内部においては、蓋体30の蓋体側ローラ31が払拭体11Nを下方に押し下げ、払拭体11Nに張力が生じた状態となる。これにより、払拭部10の交換が完了する。
【0043】
ここで蓋体30が閉じられた状態で、蓋体側ローラ31は巻き取りローラ13より払拭部10側に配置される。これにより、払拭体11Nへ張力を付与すると共に、蓋体側ローラ31により、巻き取りローラ13側への筐体側ローラ21からの払拭体11の導出角度が、一定に保持される。この構成によれば、巻き取りローラ13の巻き取り径に関わらず払拭後の払拭体11が一定角度で払拭部10から持ち去られるので、払拭後の汚染された払拭体11が開口窓30aに接触して蓋体30を汚染する恐れがなくなる。また払拭後の汚染された払拭体11が速やかに払拭部10から離間されるので、払拭後の払拭体11から飛沫等で発生した汚染物質が噴射ヘッドに接触する恐れも軽減できる。筐体側ローラ21からの払拭体11の導出角度は、
図7に示す様にほぼ鉛直方向としても良く、鉛直方向に対して±30度以内、好ましくは±20度以内とするのが好適である。
【0044】
次に、駆動機構40について説明する。
図12は、駆動機構40の一例を示す図である。駆動機構40は、筐体20を移動させる移動機構41と、払拭体11を搬送する搬送機構42とを有する。駆動機構40は、筐体20の下方(-Z方向)に配置されるベースBに設けられる。
【0045】
移動機構41は、モータ43と、出力軸44と、駆動ギア45と、ラックギア46とを有する。モータ43は、制御部CONTの制御により、出力軸44をY軸回りに回転させる。モータ43は、出力軸44をY軸回りの互いに反対方向に切り替えて回転させることが可能である。
【0046】
駆動ギア45は、円板状であり、出力軸44に固定され、出力軸44と一体でY軸回りに回転する。駆動ギア45は、外周部に周方向に沿って複数の歯45aが形成される。
【0047】
ラックギア46は、筐体20の底部に固定され、X方向に沿って直線状に形成される。ラックギア46は、下側(-Z側)の面にX方向に沿って複数の歯46aが形成される。ラックギア46の歯46aは、駆動ギア45の歯45aと噛み合っている。駆動ギア45が回転することにより、歯45a及び歯46aを介してラックギア46がX方向に移動する。ラックギア46がX方向に移動することにより、筐体20がX方向に移動する。
【0048】
また、移動機構41は、光センサ53を有する。光センサ53は、発光部53bから-Y方向に出射される光を検出する検出部53aを有する。この場合、発光部53bは、検出部53aの+Y側に配置される。発光部53bは、ベースBに配置されてもよいし、ベースBとは異なる位置に配置されてもよい。なお、発光部53bが光センサ53に配置され、発光部53bから出射された光の反射光を検出部53aが検出する構成としてもよい。
【0049】
筐体20の底部には、板部材54が設けられる。検出部53aの+Y側に板部材54が配置されない場合、発光部53bからの光が検出部53aに到達し、検出部53aで検出される。一方、検出部53aの+Y側に板部材54が配置される場合、発光部53bからの光が板部材54により遮光され、検出部53aに到達しない。検出部53aの検出結果は、制御部CONTに供給される。
【0050】
図13及び
図14は、筐体20が移動する様子を示す図である。
図13に示すように、筐体20が待機位置P1に配置される状態から、モータ43が回転することで、モータ43の回転が出力軸44、駆動ギア45を介してラックギア46に伝達され、ラックギア46及び筐体20が+X方向に移動する。ラックギア46及び筐体20が+X方向に移動することで、
図14に示すように、筐体20が払拭位置P2に配置される。また、筐体20が払拭位置P2に配置された状態から、モータ43が逆方向に回転することにより、モータ43の回転が出力軸44、駆動ギア45を介してラックギア46に伝達され、ラックギア46及び筐体20が-X方向に移動する。ラックギア46及び筐体20が-X方向に移動することで、
図13に示す待機位置P1に筐体20が配置される。
【0051】
図15から
図17は、筐体20が移動する様子を示す図であり、要部を示した図である。筐体20が払拭位置P2から待機位置P1に戻る際、
図15に示すように、筐体20の底部に固定される板部材54が光センサ53に近接する。筐体20が
図15に示す位置から更に-X方向に移動することにより、
図16に示すように、板部材54が光センサ53の検出部53aの+Y側に配置される。これにより、発光部53bからの光が板部材54で遮光され、検出部53aに到達しない状態となる。
図16に示す位置から筐体20がさらに-X方向に移動することにより、
図17に示すように、板部材54が検出部53aの+Y側の位置から外れる。これにより、発光部53bからの光が板部材54で遮光されることなく、検出部53aに到達する。
【0052】
つまり、筐体20が払拭位置P2から待機位置P1に戻る際、検出部53aでは、発光部53bからの光を検出した状態(
図15の状態)から、一旦発光部53bからの光を検出しない状態(
図16の状態)に切り替わり、その後再び発光部53bからの光を検出した状態(
図17の状態)に切り替わる。したがって、制御部CONTは、検出部53aの検出結果が、光を検出しない状態から光を検出した状態に切り替わるタイミングで、モータ43の駆動を停止させるようにする。これにより、筐体20を適切に待機位置P1で停止させることができる。
【0053】
図18は、搬送機構42の一例を示す図である。
図12及び
図18に示すように、搬送機構42は、ラックギア47、ピニオンギア48、遊星ギア(中継部)49、太陽ギア50、第1伝達ギア51及び第2伝達ギア52を有する。
【0054】
ラックギア47は、ベースB上に配置され、X方向に沿って直線状に形成される。ラックギア47は、上側(+Z側)の面にX方向に沿って複数の歯47aが形成される。ラックギア47は、ベースBのうち待機位置P1の近傍の所定位置に配置される。ラックギア47は、X方向に移動可能に設けられる。ラックギア47は、-X側の端部が弾性部材58を介して弾性部材支持部57に接続される。弾性部材58は、ラックギア47に対して-X方向に力が作用し、ラックギア47が-X方向に移動する場合、ラックギア47の移動を許容すると共に、ラックギア47に対して+X方向の弾性力を作用させる。ラックギア47に対してX方向の力が付与されない場合、ラックギア47は、弾性部材58により上記の所定位置に配置された状態を維持する。
【0055】
ピニオンギア48、遊星ギア49、太陽ギア50、第1伝達ギア51及び第2伝達ギア52は、それぞれY軸回りに回転可能な状態で筐体20に支持される。ピニオンギア48、遊星ギア49、太陽ギア50、第1伝達ギア51及び第2伝達ギア52は、筐体20と一体でX方向に移動可能である。遊星ギア49、太陽ギア50、第1伝達ギア51及び第2伝達ギア52は、ピニオンギア48の回転を蓋体側ローラ31に伝達する伝達機構60を構成する。
【0056】
ピニオンギア48は、X方向及びY方向においてラックギア47と対応する位置に配置される。具体的には、ラックギア47及びピニオンギア48は、筐体20が払拭位置P2から待機位置P1に戻る際、待機位置P1の手前の位置から待機位置P1に到達するまでの間にピニオンギア48の歯48aがラックギア47の歯47aに噛み合うように配置される。なお、この構成においては、上記とは逆方向の移動、つまり筐体20が待機位置P1から払拭位置P2に向けて移動する際、移動開始の位置から待機位置P1を過ぎた位置に到達するまでの間においてもピニオンギア48の歯48aがラックギア47の歯47aに噛み合うことになる。
【0057】
遊星ギア49は、ピニオンギア48の-Y側に配置される。太陽ギア50は、ピニオンギア48と同軸となるように設けられる。太陽ギア50は、外周に周方向に沿って複数の歯50aが形成される。
【0058】
図19から
図21は、ピニオンギア48及び遊星ギア49を-Y側から見た場合の一例を示す図である。なお、
図19から
図21には、太陽ギア50についても併せて示している。
図19に示すように、遊星ギア49は、ピニオンギア48の-Y側に設けられる凹部48bに収容される。凹部48bは、凹部48bは、太陽ギア50の外周に沿って複数個所(本実施形態では3箇所)に配置される。凹部48bは、例えば
図19における時計回り方向の端部が太陽ギア50側に接する位置に配置され、反時計回り方向の端部が太陽ギア50から径方向に離れた位置に配置される。
【0059】
遊星ギア49は、ピニオンギア48の回転に伴って凹部48bの内部を移動する。
図20に示すように、ピニオンギア48が時計回り方向に回転する場合、ピニオンギア48の回転に伴って、遊星ギア49は、凹部48bのうち太陽ギア50から離れた非伝達位置P4に配置され、反時計回りに回転する。この場合、遊星ギア49の歯49aは太陽ギア50の歯50aとはかみ合わず、太陽ギア50は回転しない。したがって、ピニオンギア48の回転が蓋体側ローラ31に伝達されない状態(非伝達状態)となる。
【0060】
図21に示すように、ピニオンギア48が反時計回り方向に回転する場合、ピニオンギア48の回転に伴って、遊星ギア49は、凹部48bのうち太陽ギア50に接する伝達位置P3に配置され、時計回りに回転する。この場合、遊星ギア49の歯49aは太陽ギア50の歯50aとかみ合い、太陽ギア50が反時計回りに回転する。つまり、太陽ギア50は、遊星ギア49と噛み合う場合、ピニオンギア48の回転方向と同一方向(反時計回りの方向)に回転する。したがって、ピニオンギア48の回転が蓋体側ローラ31に伝達される状態(伝達状態)となる。
【0061】
第1伝達ギア51は、太陽ギア50に固定される。第1伝達ギア51は、第1伝達ギア51は、ピニオンギア48及び太陽ギア50と同軸に設けられ、太陽ギア50と一体で回転する。第1伝達ギア51は、外周に周方向に沿って形成される複数の歯51aを有する。
【0062】
第2伝達ギア52は、第1伝達ギア51の上方に配置される。第2伝達ギア52は、一部が筐体20の底部を貫通して内部に配置される。第2伝達ギア52は、Y軸回りに回転可能に配置される。第2伝達ギア52は、外周に周方向に沿って形成される複数の歯52aを有する。第2伝達ギア52は、下方側が第1伝達ギア51と噛み合い、情報側が上記した蓋体30に設けられる蓋体ローラギア35と噛み合うように配置される。
【0063】
また、搬送機構42は、光センサ55を有する。光センサ55は、発光部55bから+Y方向に出射される光を検出する検出部55aを有する。この場合、発光部55bは、検出部55aの-Y側に配置される。発光部55bは、ベースBに配置されてもよいし、ベースBとは異なる位置に配置されてもよい。なお、発光部55bが光センサ55に配置され、発光部55bから出射された光の反射光を検出部55aが検出する構成としてもよい。
【0064】
ラックギア47には、遮光部材56が設けられる。検出部55aの-Y側に遮光部材56が配置されない場合、発光部55bからの光が検出部55aに到達し、検出部55aで検出される。一方、検出部55aの-Y側に遮光部材56が配置される場合、発光部55bからの光が遮光部材56により遮光され、検出部55aに到達しない。検出部55aの検出結果は、制御部CONTに供給される。光センサ55及び遮光部材56は、後述するように、蓋体側ローラ31の回転が規制されたことを検出する検出機構61を構成する。
【0065】
図22から
図24は、搬送機構42の動作の一例を示す図である。
図22から
図24は、-Y側から見た状態を示している。
図22に示すように、筐体20が待機位置P1から払拭位置P2に移動する場合、ピニオンギア48の歯48aがラックギア47の歯47aに噛み合い、ピニオンギア48は時計回りの方向に回転する。ピニオンギア48が時計回りの方向に回転する場合、遊星ギア49は、凹部48bのうち太陽ギア50から離れた非伝達位置P4に配置される。このため、遊星ギア49の歯49aは太陽ギア50の歯50aとはかみ合わず、太陽ギア50は回転しない。したがって、伝達機構60は非伝達状態となり、払拭体11は搬送されない。
【0066】
図23に示すように、筐体20が払拭位置P2から待機位置P1に戻る際、待機位置P1の手前の位置から待機位置P1に到達するまでの間にピニオンギア48の歯48aがラックギア47の歯47aに噛み合い、ピニオンギア48は反時計回りの方向に回転する。ピニオンギア48が反時計回りの方向に回転する場合、遊星ギア49が太陽ギア50に接する伝達位置P3に配置され、時計回りに回転する。このため、遊星ギア49の歯49aが太陽ギア50の歯50aと噛み合い、太陽ギア50が反時計回りに回転する。したがって、伝達機構60が伝達状態となる。
【0067】
太陽ギア50が反時計回りに回転することにより、太陽ギア50と一体で第1伝達ギア51が反時計回りに回転する。このため、第2伝達ギア52が時計回りに回転し、第2伝達ギア52と噛み合う蓋体ローラギア35が反時計回りに回転する。蓋体ローラギア35の回転により、蓋体側ローラ31が回転し、払拭体11が巻き取りローラ13側へと搬送される。蓋体側ローラ31の回転により、払拭体11に張力が発生し、繰り出しローラ12が反時計回り、つまり払拭体11を繰り出す方向に回転する。これにより、払拭体11は、繰り出しローラ12から所定の長さだけ繰り出される。
【0068】
また、蓋体ローラギア35の回転に伴い、蓋体ローラギア35と噛み合う伝達ギア25が時計回りに回転し、伝達ギアと噛み合う巻き取り側ギア15が反時計回りに回転する。巻き取り側ギア15の回転により、巻き取りローラ13が反時計回りに回転し、払拭体11を巻き取る方向に回転する。これにより、蓋体側ローラ31から搬送された払拭体11が巻き取りローラ13により巻き取られる。
【0069】
図24に示すように、巻き取りローラ13が払拭体11を全て巻き切った場合、払拭体11が繰り出しローラ12と巻き取りローラ13との間で張った状態となる。このため、巻き取りローラ13の回転が規制され、巻き取り側ギア15が回転しない状態となる。これに伴い、巻き取り側ギア15と直接又は間接的に噛み合う伝達ギア25、蓋体ローラギア35、第2伝達ギア52、第1伝達ギア51、太陽ギア50、遊星ギア49、ピニオンギア48が互いに噛み合ったまま回転しない状態となる。
【0070】
このため、筐体20が-X方向に移動しようとすると、ラックギア47がピニオンギア48と噛み合ったまま、ピニオンギア48を含む筐体20と一体で-X方向に移動する。筐体20が待機位置P1に移動した場合、ラックギア47の移動により弾性部材58が収縮し、遮光部材56が光センサ55の検出部55aの+Y側に配置される。このため、発光部55bからの光が遮光部材56により遮光され、検出部55aに到達しない。制御部CONTは、光センサ55の検出部55aの検出結果に基づいて、払拭部10を交換するタイミングを判定することができる。つまり、検出部55aにおいて発光部55bからの光を検出した状態から光を検出しない状態に切り替わった場合に、払拭部10を交換するタイミングが到来したと判定することができる。制御部CONTは、当該判定結果を出力又は報知することができる。このように、光センサ55及び遮光部材56は、蓋体側ローラ31の回転が規制されたことを検出する検出機構61を構成する。
【0071】
以上のように、本実施形態に係るワイパユニット100は、ロール状の払拭体11を有する払拭部10と、払拭部10を出し入れ可能な開口部20aを上部に有し、開口部20aから一部が上方に突出するように配置される筐体側ローラ21を有し、払拭体11の一部が筐体側ローラ21に上側から掛けられた状態で払拭部10を収容する筐体20と、筐体側ローラ21に掛けられた払拭体11を外部に露出するように開口部20aを覆い、開口部20aを覆った状態で払拭体11を搬送する蓋体側ローラ31を有する蓋体30とを備える。
【0072】
この構成により、払拭部10を開口部20aから筐体20に対して出し入れ可能となる。このため、払拭動作に必要な構成をカセット単位で取り扱うことなく、払拭部10を単体で交換することができるため、ランニングコストを抑制できる。
【0073】
本実施形態に係るワイパユニット100において、払拭部10は、筐体20に回転可能に支持され、払拭体11の基端が固定され、筐体側ローラ21に対して払拭体11を繰り出す繰り出しローラ12と、筐体20に回転可能に支持され、払拭体11の先端が固定され、筐体側ローラ21からの払拭体11を巻き取る巻き取りローラ13とを有する。この構成により、払拭体11、繰り出しローラ12及び巻き取りローラ13が一体の払拭部10を出し入れすることで、容易に交換することができる。
【0074】
本実施形態に係るワイパユニット100において、巻き取りローラ13は、巻き取りローラ13と一体で回転可能な巻き取り側ギア15を有し、蓋体側ローラ31は、蓋体側ローラ31と一体で回転し巻き取り側ギア15と連動して回転するように接続された蓋体ローラギア35を有する。この構成により、蓋体側ローラ31による払拭体11の搬送動作と、巻き取りローラ13による払拭体11の巻き取り動作とを連動させることができる。
【0075】
本実施形態に係るワイパユニット100において、筐体20は、所定方向に移動可能であり、所定方向に沿って配置されるラックギア47と、ラックギア47と噛み合うピニオンギア48と、ピニオンギア48の回転を蓋体ローラギア35に伝達可能な伝達機構60とを更に備える。この構成により、筐体20の移動と払拭体11の搬送動作及び巻き取り動作とを連動させることができる。
【0076】
本実施形態に係るワイパユニット100において、払拭体11は、不織布である。これにより、払拭動作を効率的に行うことができる。
【0077】
本実施形態に係るワイパユニット100において、蓋体30は、ヒンジ32を介して筐体20に装着される。これにより、蓋体30の開閉動作を容易に行うことができる。
【0078】
また、本実施形態に係るワイパユニット100は、帯状に延在する払拭体11と、払拭体11を載置し、所定方向に移動可能に設けられる筐体20と、筐体20を所定方向に移動させる搬送機構42と、筐体20の所定方向への移動力を伝達し、払拭体10を移動する移動力に変換する伝達機構60とを備える。
【0079】
この構成により、伝達機構60により筐体20の移動と払拭体11の搬送動作及び巻き取り動作とを連動させることができる。このため、機構の簡素化を図ることが可能なワイパユニット100を提供することができる。
【0080】
本実施形態に係るワイパユニットにおいて、筐体20は、払拭体10の先端を固定し回動により払拭体10を搬送する蓋体側ローラ31を有し、搬送機構42は、所定方向に沿って配置されるラックギア47と、ラックギア47と噛み合うピニオンギア48とを備え、伝達機構60は、ピニオンギア48の回転を蓋体側ローラ31に伝達可能とするものである。
【0081】
本実施形態に係るワイパユニット100において、伝達機構60は、ピニオンギア48の回転を蓋体側ローラ31に伝達する伝達状態と、ピニオンギア48の回転を蓋体側ローラ31に伝達しない非伝達状態とを切り替え可能な中継部を有する。この構成により、払拭体11の搬送動作及び巻き取り動作を行わせる状態と、払拭体11の搬送動作及び巻き取り動作を行わせない状態とを切り替えることができる。
【0082】
本実施形態に係るワイパユニット100において、伝達機構60は、払拭体11を一方向に搬送するように蓋体側ローラ31に回転を伝達する。この構成により、払拭体11を効率的に搬送及び使用することができる。
【0083】
本実施形態に係るワイパユニット100において、伝達機構60は、ピニオンギア48が第1方向に回転する場合にはピニオンギア48の回転を蓋体側ローラ31に伝達する伝達位置P3に配置され、ピニオンギア48が第1方向とは反対の第2方向に回転する場合にはピニオンギア48に噛み合わない非伝達位置P4に配置される遊星ギア49を有し、中継部は、遊星ギア49である。この構成では、遊星ギア49により効率的に伝達状態と非伝達状態とを切り替えることができる。
【0084】
本実施形態に係るワイパユニット100において、筐体20は、待機位置P1と、払拭動作を行う払拭位置P2との間を所定方向に移動し、第1方向は、筐体20が払拭位置P2から待機位置P1に移動する場合の回転方向であり、第2方向は、筐体20が待機位置P1から払拭位置P2に移動する場合の回転方向である。この構成により、筐体20が待機位置P1に戻る際に払拭体11が搬送される。したがって、次回に払拭位置P2に移動する場合に安定した動作が可能となる。
【0085】
本実施形態に係るワイパユニット100において、蓋体側ローラ31は、払拭体11が基端まで繰り出された場合に回転が規制され、蓋体側ローラ31の回転が規制されたことを検出する検出機構61を更に備える。この構成により、払拭部10の交換のタイミングを効率的に検出することができる。
【0086】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において、搬送機構42がラックギア47とピニオンギア48とを備え、伝達機構60がピニオンギア48の回転を蓋体側ローラ31に伝達する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。伝達機構が筐体20の所定方向への移動力を伝達し、払拭体10を移動する移動力に変換可能な構成であれば、他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
B ベース
P1 待機位置
P2 払拭位置
P3 伝達位置
P4 非伝達位置
AX1 回転軸
CONT 制御部
10,10N 払拭部
11,11N 払拭体
11a 基端部
11b 先端部
12,12N 出しローラ
13,13N 巻き取りローラ
13a 払拭体保持部
13b 被支持部
13c テーパ面
13d,57 弾性部材支持部
13e,58 弾性部材
14 出し側ギア
15 巻き取り側ギア
15a 環状部
15b 接続部
15c 対向面
20 筐体
20a 開口部
20b,20c 壁部
20d 底部
21 筐体側ローラ
21b,26 線状ばね
22 出し側軸受
23 巻き取り側軸受
24 ストッパ
25 伝達ギア
30 蓋体
30a 開口窓
31 蓋体側ローラ
32 ヒンジ
35 蓋体ローラギア
40 駆動機構
41 移動機構
42 搬送機構
43 モータ
44 出力軸
45 駆動ギア
45a,46a,47a,48a,49a,50a,51a,52a 歯
46,47 ラックギア
48 ピニオンギア
48b 凹部
49 遊星ギア
50 太陽ギア
51 第1伝達ギア
52 第2伝達ギア
53,55 光センサ
53a,55a 検出部
53b,55b 発光部
54 板部材
56 遮光部材
60 伝達機構
61 検出機構
100 ワイパユニット