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  • 特開-ソーラーパネル撓み防止用支持具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006179
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】ソーラーパネル撓み防止用支持具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20230111BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20230111BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20230111BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20230111BHJP
【FI】
E04D13/18 ESW
E04D13/00 J ETD
H02S20/23 B
H02S20/10 S
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108642
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】591042322
【氏名又は名称】ニイガタ製販株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 悦久
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108KS05
2E108LL01
2E108MM03
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】屋根上に設置されるソーラーパネルの耐荷重性能を簡単に補強できるソーラーパネル撓み防止用支持具を提供すること。
【解決手段】屋根1上に設置されるソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持してソーラーパネル2の下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具Aであって、屋根1に固定される固定部3と、この固定部3の上部に着脱自在に取付けられてソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持する支持部4と、前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な高さ調整手段5とから成るソーラーパネル撓み防止用支持具。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根上に設置されるソーラーパネルの裏面の中心部付近を支持してソーラーパネルの下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具であって、
屋根に固定される固定部と、
この固定部の上部に設けられてソーラーパネルの裏面の中心部付近を支持する支持部と、
前記固定部に対する前記支持部の高さを調整変更可能な高さ調整手段とから成ることを特徴とするソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項2】
前記支持部は、前記固定部の上部に着脱自在に設けられ、
前記高さ調整手段は、前記固定部の上部と前記支持部の下部の間に着脱自在に配設可能なスペーサーを備えて、このスペーサーを固定部の上部と支持部の下部の間に配設することにより固定部に対する支持部の高さを調整変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項3】
前記高さ調整手段は、上下に積み重ね可能な複数の前記スペーサーを備えて、このスペーサーの積み重ね数の変更により前記固定部に対する前記支持部の高さを調整変更可能に構成されているか、若しくは厚みの異なる複数の前記スペーサーを備えて、このスペーサーを異なる厚みのものに取り換えることで前記固定部に対する前記支持部の高さを調整変更可能に構成されていることを特徴とする請求項2記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項4】
前記支持部は、前記固定部の上部に着脱自在に取付け可能な基体上に、前記ソーラーパネルの裏面を支持する緩衝材が設けられて構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項5】
前記屋根上に固定されたソーラーパネル取付用金具に外周部の数箇所を固定されることにより屋根上に設置される前記ソーラーパネルの中心部付近を支持して、このソーラーパネルの下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具であって、
前記固定部は、前記ソーラーパネル取付用金具により前記屋根上に固定された前記ソーラーパネルの中心部付近の下方に存在しているハゼ部や折返し部などの取付部に固定可能な固定手段を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋等の屋根上に設置されたソーラーパネルが、積雪荷重により下方へ撓み変形することを防止するソーラーパネル撓み防止用支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネルの屋根への設置方法として、ソーラーパネル外周部の数箇所を、屋根上に固定可能な複数のソーラーパネル取付用金具を用いて固定する手法が知られている(例えば、下記特許文献1の図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6039624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている手法により屋根上に設置されているソーラーパネルは、中心部が全く支えられていないので、このソーラーパネル上に多くの積雪があると、積雪荷重に耐えられずにソーラーパネル中心部が下方へ突出するように撓み変形してしまうことがあり、この変形が原因でソーラーパネルが破損してしまうこともあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に注目し、これを解決しようとするためのもので、屋根上に設置されるソーラーパネル裏面の中心部近傍を支持してソーラーパネル中心部の耐荷重性能を簡単に補強できるソーラーパネル撓み防止用支持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
屋根1上に設置されるソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持してソーラーパネル2の下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具Aであって、
屋根1に固定される固定部3と、
この固定部3の上部に設けられてソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持する支持部4と、
前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な高さ調整手段5とから成ることを特徴とするソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0008】
また、前記支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に設けられ、
前記高さ調整手段5は、前記固定部3の上部と前記支持部4の下部の間に着脱自在に配設可能なスペーサー6を備えて、このスペーサー6を固定部3の上部と支持部4の下部の間に配設することにより固定部3に対する支持部4の高さを調整変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0009】
また、前記高さ調整手段5は、上下に積み重ね可能な複数の前記スペーサー6を備えて、このスペーサー6の積み重ね数の変更により前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能に構成されているか、若しくは厚みの異なる複数の前記スペーサー6を備えて、このスペーサー6を異なる厚みのものに取り換えることで前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能に構成されていることを特徴とする請求項2記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0010】
また、前記支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に取付け可能な基体7上に、前記ソーラーパネル2の裏面を支持する緩衝材8が設けられて構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0011】
また、前記屋根1上に固定されたソーラーパネル取付用金具9に外周部の数箇所を固定されることにより屋根1上に設置される前記ソーラーパネル2の中心部付近を支持して、このソーラーパネル2の下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具Aであって、
前記固定部3は、前記ソーラーパネル取付用金具9により前記屋根1上に固定された前記ソーラーパネル2の中心部付近の下方に存在しているハゼ部11や折返し部などの取付部11に固定可能な固定手段10を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、固定部により屋根上に固定し、上部の支持部でソーラーパネル裏面の中心部付近を支持することで、ソーラーパネルの中心部付近の耐荷重性能を補強でき、これによりソーラーパネル上に多く積雪しても、この積雪荷重を本ソーラーパネル撓み防止用支持具で支えてソーラーパネルの撓み変形を防止でき、しかも本発明は、固定部に対する前記支持部の高さを調整変更でき、そのため屋根のうねりなどが原因でソーラーパネル裏面の中心部付近とその下方の屋根との間の間隔が設置位置によって異なっていても、ソーラーパネルの裏面の中心部付近を確実に支持することが可能となるなど、極めて実用性に優れたソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【0013】
また、請求項2,3記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する高さ調整手段を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【0014】
また、請求項4記載の発明においては、固定部の上部との間にスペーサーなどの高さ調整手段を配設し易く、且つソーラーパネルの裏面を傷付けることなく支持できる前記支持部を、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【0015】
また、請求項5記載の発明においては、屋根(の取付部)に対して簡単に固定可能な前記固定部を、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す、分解斜視図である。
図3】本実施例の使用状態を示す正面図である。
図4】本実施例の使用状態を示す概略説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0018】
本発明のソーラーパネル撓み防止用支持具Aは、固定部3を介して屋根1上の適所に固定できる。
【0019】
この本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aを、屋根1上に設置されるソーラーパネル2の裏面の中心部付近の下方の屋根1上に固定して、前記固定部3の上部に設けられている支持部4でソーラーパネル2裏面の中心部付近を支持すると、このソーラーパネル2の中心部付近の耐荷重性能が補強されることとなり、ソーラーパネル2上に多く積雪した場合には、この積雪荷重が本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aに支えられてソーラーパネル2の撓み変形が防止される。
【0020】
また、屋根1は、例えば屋根1を構築する部品の精度の誤差や、気温の変化による屋根1構築部品の変形などの様々な要因によって、完全な平坦面(平坦傾斜面)ではなく、多少のうねりが存在している。
【0021】
そのため、ソーラーパネル2は、その設置箇所毎にソーラーパネル2裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が一定ではない場合があるが、この間隔の差異に対しては、高さ調整手段5で前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更することによって対応できる。
【0022】
すなわち、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が大きい場合には、前記高さ調整手段5で前記固定部3に対する前記支持部4の高さを高めに調整変更し、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が小さい場合には、前記高さ調整手段5で前記固定部3に対する前記支持部4の高さを低めに調整変更することによって、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aでソーラーパネル2の裏面の中心部付近を確実に支持できることとなる。
【実施例0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、屋根1上に設置されるソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持してソーラーパネル2の下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具Aであって、屋根1に固定される固定部3と、この固定部3の上部に設けられてソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持する支持部4と、前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な高さ調整手段5とから構成されている。
【0025】
また、図面の屋根1は、立平葺き屋根1が採用されており、本実施例の前記固定部3は、立平葺き屋根1への固定に適した構成が採用されているが、折板屋根への固定に適した構成の固定部3(例えば本実施例と同様に屋根のハゼ部を取付部11としてこのハゼ部に左右から締付挟持固定する構成の固定部3)や、横葺き屋根への固定に適した構成の固定部3(例えば横葺き屋根の接続用折返し部を取付部11としてこの折返し部に上下から締付挟持固定する構成の固定部3)も採用可能である。
【0026】
本実施例の前記固定部3は、立平葺き屋根1のハゼ部11を取付部11(以下、本実施例では、取付部11をハゼ部11と称して説明する。)として、このハゼ部11に挟持固定可能な固定手段10を備えている。尚、折板屋根固定用の固定部3は、本実施例と同様にハゼ部を取付部11として挟持固定可能な固定手段10を採用すると良く、横葺き屋根固定用の固定部3は、例えば屋根板材の接合用折返し部を取付部11として挟持固定可能な固定手段10を採用することができる。
【0027】
具体的には、固定部3は、前記ハゼ部11に外側から挟持する挟持部13を下部に備えた左右一対の対向挟持体12と、この左右の対向挟持体12間に架設状態に配設される締付ボルト14とから成り、前記締付ボルト14には締付ナット15が螺着されていて、この締付ナット15を締付けると、左右の前記対向挟持体12が接近して前記挟持部13同志が接近し、この左右の挟持部13が前記ハゼ部11を両外側から締付挟持してハゼ部11に取付固定される前記固定手段10が構成されている。
【0028】
また、本実施例の対向挟持体12について具体的に説明すると、一方の対向挟持体12Aは、水平方向に面方向を有し前記支持部4の下部(後述する基体7の底面20)と、後述するスペーサー6の下部(下面)を載置可能な天板部16と、この天板部16の一側(図1図3における左側)端部から垂設される一側脚板部18と、この一側脚板部18の下端部から前記天板部16と同方向に突設する前記挟持部13とを有する略転コ字板状体で構成されていると共に、天板部16も一側脚板部18も挟持部13も、屋根1の勾配方向、即ちハゼ部11に沿った長さを有する形状に形成されている。以下、本実施例では、この対向挟持体12の長さ方向を本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aの前後方向と定めて説明する。
【0029】
また、この一方の対向挟持体12Aの天板部16の中心部には、この天板部16上に載置した支持部4及び後述するスペーサー6を固定するための固定ボルト17が立設状態に設けられている。
【0030】
他方の対向挟持体12Bは、立板状の他側脚板部19と、他側脚板部19の下端部から前記一方の対向挟持体12Aに向かって突設する挟持部13とを有する略L字板状体で構成されていると共に、他側脚板部19も挟持部13も、屋根1のハゼ部11に沿った長さを有する形状に形成されている。
【0031】
そして、この他方の対向挟持体12Bの他側脚板部19の上端部が、前記一方の対向挟持体12Aの天板部16の他側端部にヒンジ接合されている。
【0032】
また、この左右の対向挟持体12間には、前記締付ボルト14が架設状態に配設されていると共に、この締付ボルト14の先端部には締付ナット15が螺着されている。
【0033】
そして、締付ボルト14に螺着されている締付ナット15を締付回動操作すると、左右の前記対向挟持体12が接近して他方の対向挟持体12Bの前記挟持部13が一方の対向挟持体12Aの前記挟持部13に接近し、この左右の挟持部13が前記ハゼ部11を両外側から締付挟持してハゼ部11(取付部11)に取付固定されるように構成されている(図3参照)。
【0034】
本実施例の支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に設けられている。
【0035】
具体的には、支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に取付け可能な基体7上に、前記ソーラーパネル2の裏面を支持する緩衝材8が設けられている。
【0036】
基体7は、やや厚みのある板状体であって、前記天板部16の前後幅よりも前後幅がやや幅広で且つ天板部16の左右幅よりも二倍程度の左右幅を有する板状体に形成され、さらにこの基体7は、下方側ほど左右幅が幅狭くなり、下端の底面20の左右幅が前記天板部16の左右幅よりやや幅狭となる形状に形成されていて、この底面20を介して前記天板部16上に載置可能に構成されている。
【0037】
また、この基体7は、上面の左右方向中間部が前後方向に溝長を有する凹溝状に形成されていると共に、この凹溝21の前後中間位置に前記固定ボルト17を挿通する挿通孔22が貫通形成されていて、この挿通孔22に前記固定ボルト17を挿通した上で底面20を前記天板部16上に載置すると、天板部16上に基体7が水平方向に位置決め状態で載置され、この際、凹溝21から上方へ突出する前記固定ボルト17に上方から固定ナット23を螺着して締付けることにより基体7(支持部5)を固定部3(の天板部16)に取付けでき、固定ナット23を緩めて固定ボルト17から取外せば、固定ボルト17から挿通孔22を挿脱させて固定部3から基体7を取外しできるように構成されている。
【0038】
また、この基体7は、底面20の左右方向中間部が上方へ浅く凹む形状に且つ前後方向に沿った長さを有して凹む形状に形成されて、この凹みが後述するスペーサー6の位置決め凸部25を係合する係合凹部24として構成されている。
【0039】
緩衝材8は、スポンジや合成ゴムなどのクッション性(弾性)のある素材製であると共に、平面視形状が前記基体7の上面と同形状(方形状)の厚みのある板状体に形成されており、例えば、後述する高さ調整手段5を利用して支持部4の固定部3に対する高さを調整した後で、下面を前記基体7の上面に接着するなどして基体7に付設されている。尚、この緩衝材8は、基体7の上面に対して接着されずに単に載置される構成(基体7上面とソーラーパネル2下面との摩擦により緩衝材8が位置決めされる構成)が採用されていても良い。
【0040】
本実施例の前記高さ調整手段5は、図2に示すように、前記固定部3の上部と前記支持部4の下部の間に着脱自在に配設可能なスペーサー6を備えて、このスペーサー6を固定部3の上部と支持部4の下部の間に配設することにより固定部3に対する支持部4の高さを調整変更可能に構成されている。
【0041】
また、このスペーサー6は、上下に積み重ね可能な複数体を備えて、このスペーサー6の積み重ね数の変更により前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能に構成されている。尚、図1図3は、スペーサー6を一枚だけ使用した場合を示しているが、スペーサー6を使用せずに固定部3(天板部16)上に支持部4(基体7の底面20)を直接載置して取付けることもできるし、スペーサー6を複数積み重ねて使用することも可能である。
【0042】
本実施例のスペーサー6について具体的に説明すると、例えば合成樹脂製であって、前記基体7の底面20と同形状の長方形板状体に形成されており、さらに上面は、その左右方向中間部が上方へ低く凸出する形状に且つ前後方向に沿った長さを有して凸出する形状に形成されて、この凸部が前記係合凹部24及び後述する他のスペーサー6の位置決め凹部26に位置決め状態で係合する前記位置決め凸部25として構成されていると共に、下面は、その左右方向中間部が上方へ浅く凹む形状に且つ前後方向に沿った長さを有して凹む形状に形成されて、この凹みが他のスペーサー6の前記位置決め凸部25が位置決め状態で係合する位置決め凹部26として構成されている。そして、この位置決め凸部25と位置決め凹部26とを係合係止させることで前後方向を合致させた状態で上下に複数積み重ね可能、且つ位置決め凸部25を前記基体7の底面20の係合凹部24に係合係止させることで上部にスペーサー6の前後方向と基体7の前後方向を合致させた状態で基体7(支持部4)を載置可能に構成されている。
【0043】
また、このスペーサー6は、中心部に前記固定ボルト17を挿通可能な貫通孔27が貫通形成されていて、この貫通孔27に固定ボルト17を挿通させた状態で支持部4(基体7)と固定部3(天板部16)との間に配設し得るように構成されている。
【0044】
尚、図示していないが、厚みの異なる複数の前記スペーサー6を備えて、このスペーサー6を異なる厚みのものに取り換えることで前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な構成の前記高さ調整手段5が採用されていても良い。
【0045】
次に、本実施例のソーラーパネル撓み防止用支持具Aの使用方法を説明すると、図4に示すように、屋根1上に固定されたソーラーパネル取付用金具9(図面はハゼ部11に固定されるタイプのソーラーパネル取付用金具9を図示している。)に外周部の数箇所(図面は四箇所)を固定されることにより屋根1上に設置される前記ソーラーパネル2裏面の中心部付近を、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持する。詳しく図示していないが、このようにして屋根1上に設置されるソーラーパネル2一枚につき一体の本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aを使用してその裏面中心部を支持する。すると、このソーラーパネル2の中心部付近の耐荷重性能が補強されることとなり、ソーラーパネル2上に多く積雪した場合には、この積雪荷重が本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aに支えられてソーラーパネル2の撓み変形が防止される。
【0046】
具体的には、前記ソーラーパネル取付用金具9により前記屋根1上に固定された前記ソーラーパネル2の中心部付近の下方に存在しているハゼ部11に、前記固定部3の固定手段10を介して本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aを固定し、この本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aでソーラーパネル2裏面の中心部付近を支持する。
【0047】
この際、屋根1は、完全な平坦面(平坦傾斜面)ではなく、多少のうねりが存在しているために、ソーラーパネル2は、その設置箇所毎にソーラーパネル2裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が一定ではない場合が往々にしてあるが、この間隔の差異に対しては、前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な高さ調整手段5で対応する。
【0048】
すなわち、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が大きい場合には、前記スペーサー6を多く(複数)使用して積み重ねることで前記固定部3に対する前記支持部4の高さを高めに調整変更し、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が小さい場合には、前記スペーサー6を使用しないか若しくは少なく使用して前記固定部3に対する前記支持部4の高さを低めに調整変更することによって、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aでソーラーパネル2の裏面の中心部付近を確実に支持できる。
【0049】
また、この際、前記支持部4の緩衝材8がソーラーパネル2裏面に当接して多少圧縮する程度の高さとなるように高さ調整手段5を調整して、支持部4(緩衝材8)で確実にソーラーパネル2裏面を支持することが好ましい。
【0050】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0051】
1 屋根
2 ソーラーパネル
3 固定部
4 支持部
5 高さ調整手段
6 スペーサー
7 基体
8 緩衝材
9 パネル設置用金具
10 固定手段
11 取付部・ハゼ部
A ソーラーパネル撓み防止用支持具
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根上に設置されるソーラーパネルの裏面の中心部付近を支持してソーラーパネルの下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具であって、
屋根に固定される固定部と、
この固定部の上部に設けられてソーラーパネルの裏面の中心部付近を支持する支持部と、
前記固定部に対する前記支持部の高さを調整変更可能な高さ調整手段とから成り、
前記支持部は、前記固定部の上部に着脱自在に設けられ、
前記高さ調整手段は、前記固定部の上部と前記支持部の下部の間に着脱自在に配設可能なスペーサーを備えて、このスペーサーを固定部の上部と支持部の下部の間に配設することにより固定部に対する支持部の高さを調整変更可能に構成されており、
前記固定部の上部に固定ボルトが立設状態に設けられていると共に、この固定ボルトを挿通する挿通孔が前記支持部に貫通形成されていて、この挿通孔に固定ボルトを挿通させることで支持部が固定部の上部に設けられており、
前記スペーサーは、前記固定ボルトを挿通する貫通孔が貫通形成されていて、この貫通孔に固定ボルトを挿通させた状態で前記固定部の上部と前記支持部の下部との間に配設し得るように構成されていることを特徴とするソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項2】
前記高さ調整手段は、上下に積み重ね可能な複数の前記スペーサーを備えて、このスペーサーの積み重ね数の変更により前記固定部に対する前記支持部の高さを調整変更可能に構成されているか、若しくは厚みの異なる複数の前記スペーサーを備えて、このスペーサーを異なる厚みのものに取り換えることで前記固定部に対する前記支持部の高さを調整変更可能に構成されていることを特徴とする請求項記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項3】
前記支持部の下部に係合部が設けられていると共に、この係合部に係合する位置決め部が前記スペーサーの上部に設けられていて、この位置決め部を係合部に係合させることでスペーサーが支持部に対し位置決め状態で配設されるように構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項4】
前記支持部は、前記固定部の上部に着脱自在に取付け可能な基体上に、前記ソーラーパネルの裏面を支持する緩衝材が設けられて構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【請求項5】
前記屋根上に固定されたソーラーパネル取付用金具に外周部の数箇所を固定されることにより屋根上に設置される前記ソーラーパネルの中心部付近を支持して、このソーラーパネルの下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具であって、
前記固定部は、前記ソーラーパネル取付用金具により前記屋根上に固定された前記ソーラーパネルの中心部付近の下方に存在しているハゼ部や折返し部などの取付部に固定可能な固定手段を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋等の屋根上に設置されたソーラーパネルが、積雪荷重により下方へ撓み変形することを防止するソーラーパネル撓み防止用支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネルの屋根への設置方法として、ソーラーパネル外周部の数箇所を、屋根上に固定可能な複数のソーラーパネル取付用金具を用いて固定する手法が知られている(例えば、下記特許文献1の図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6039624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている手法により屋根上に設置されているソーラーパネルは、中心部が全く支えられていないので、このソーラーパネル上に多くの積雪があると、積雪荷重に耐えられずにソーラーパネル中心部が下方へ突出するように撓み変形してしまうことがあり、この変形が原因でソーラーパネルが破損してしまうこともあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に注目し、これを解決しようとするためのもので、屋根上に設置されるソーラーパネル裏面の中心部近傍を支持してソーラーパネル中心部の耐荷重性能を簡単に補強できるソーラーパネル撓み防止用支持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
屋根1上に設置されるソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持してソーラーパネル2の下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具Aであって、
屋根1に固定される固定部3と、
この固定部3の上部に設けられてソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持する支持部4と、
前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な高さ調整手段5とから成り、
前記支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に設けられ、
前記高さ調整手段5は、前記固定部3の上部と前記支持部4の下部の間に着脱自在に配設可能なスペーサー6を備えて、このスペーサー6を固定部3の上部と支持部4の下部の間に配設することにより固定部3に対する支持部4の高さを調整変更可能に構成されており、
前記固定部3の上部に固定ボルト17が立設状態に設けられていると共に、この固定ボルト17を挿通する挿通孔22が前記支持部4に貫通形成されていて、この挿通孔22に固定ボルト17を挿通させることで支持部4が固定部3の上部に設けられており、
前記スペーサー6は、前記固定ボルト17を挿通する貫通孔27が貫通形成されていて、この貫通孔27に固定ボルト17を挿通させた状態で前記固定部3の上部と前記支持部4の下部との間に配設し得るように構成されていることを特徴とするソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0008】
また、前記高さ調整手段5は、上下に積み重ね可能な複数の前記スペーサー6を備えて、このスペーサー6の積み重ね数の変更により前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能に構成されているか、若しくは厚みの異なる複数の前記スペーサー6を備えて、このスペーサー6を異なる厚みのものに取り換えることで前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能に構成されていることを特徴とする請求項記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0009】
また、前記支持部4の下部に係合部24が設けられていると共に、この係合部24に係合する位置決め部25が前記スペーサー6の上部に設けられていて、この位置決め部25を係合部24に係合させることでスペーサー6が支持部4に対し位置決め状態で配設されるように構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0010】
また、前記支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に取付け可能な基体7上に、前記ソーラーパネル2の裏面を支持する緩衝材8が設けられて構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【0011】
また、前記屋根1上に固定されたソーラーパネル取付用金具9に外周部の数箇所を固定されることにより屋根1上に設置される前記ソーラーパネル2の中心部付近を支持して、このソーラーパネル2の下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具Aであって、
前記固定部3は、前記ソーラーパネル取付用金具9により前記屋根1上に固定された前記ソーラーパネル2の中心部付近の下方に存在しているハゼ部11や折返し部などの取付部11に固定可能な固定手段10を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のソーラーパネル撓み防止用支持具に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、固定部により屋根上に固定し、上部の支持部でソーラーパネル裏面の中心部付近を支持することで、ソーラーパネルの中心部付近の耐荷重性能を補強でき、これによりソーラーパネル上に多く積雪しても、この積雪荷重を本ソーラーパネル撓み防止用支持具で支えてソーラーパネルの撓み変形を防止でき、しかも本発明は、固定部に対する前記支持部の高さを調整変更でき、そのため屋根のうねりなどが原因でソーラーパネル裏面の中心部付近とその下方の屋根との間の間隔が設置位置によって異なっていても、ソーラーパネルの裏面の中心部付近を確実に支持することが可能となると共に、高さ調整手段を簡易設計実現可能となるなど、極めて実用性に優れたソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【0013】
また、請求項2記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する高さ調整手段を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【0014】
また、請求項3記載の発明においては、スペーサーが支持部に対し位置決め状態で配設される一層実用性に優れた構成のソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【0015】
また、請求項4記載の発明においては、固定部の上部との間にスペーサーなどの高さ調整手段を配設し易く、且つソーラーパネルの裏面を傷付けることなく支持できる前記支持部を、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【0016】
また、請求項5記載の発明においては、屋根(の取付部)に対して簡単に固定可能な前記固定部を、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のソーラーパネル撓み防止用支持具となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す、分解斜視図である。
図3】本実施例の使用状態を示す正面図である。
図4】本実施例の使用状態を示す概略説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0019】
本発明のソーラーパネル撓み防止用支持具Aは、固定部3を介して屋根1上の適所に固定できる。
【0020】
この本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aを、屋根1上に設置されるソーラーパネル2の裏面の中心部付近の下方の屋根1上に固定して、前記固定部3の上部に設けられている支持部4でソーラーパネル2裏面の中心部付近を支持すると、このソーラーパネル2の中心部付近の耐荷重性能が補強されることとなり、ソーラーパネル2上に多く積雪した場合には、この積雪荷重が本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aに支えられてソーラーパネル2の撓み変形が防止される。
【0021】
また、屋根1は、例えば屋根1を構築する部品の精度の誤差や、気温の変化による屋根1構築部品の変形などの様々な要因によって、完全な平坦面(平坦傾斜面)ではなく、多少のうねりが存在している。
【0022】
そのため、ソーラーパネル2は、その設置箇所毎にソーラーパネル2裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が一定ではない場合があるが、この間隔の差異に対しては、高さ調整手段5で前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更することによって対応できる。
【0023】
具体的には、スペーサー6を固定部3の上部と支持部4の下部の間に配設することにより、固定部3に対する支持部4の高さを調整可能である。
【0024】
すなわち、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が大きい場合には、前記高さ調整手段5で前記固定部3に対する前記支持部4の高さを高めに調整変更し、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が小さい場合には、前記高さ調整手段5で前記固定部3に対する前記支持部4の高さを低めに調整変更することによって、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aでソーラーパネル2の裏面の中心部付近を確実に支持できることとなる。
【実施例0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、屋根1上に設置されるソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持してソーラーパネル2の下方への撓み変形を防止するソーラーパネル撓み防止用支持具Aであって、屋根1に固定される固定部3と、この固定部3の上部に設けられてソーラーパネル2の裏面の中心部付近を支持する支持部4と、前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な高さ調整手段5とから構成されている。
【0027】
また、図面の屋根1は、立平葺き屋根1が採用されており、本実施例の前記固定部3は、立平葺き屋根1への固定に適した構成が採用されているが、折板屋根への固定に適した構成の固定部3(例えば本実施例と同様に屋根のハゼ部を取付部11としてこのハゼ部に左右から締付挟持固定する構成の固定部3)や、横葺き屋根への固定に適した構成の固定部3(例えば横葺き屋根の接続用折返し部を取付部11としてこの折返し部に上下から締付挟持固定する構成の固定部3)も採用可能である。
【0028】
本実施例の前記固定部3は、立平葺き屋根1のハゼ部11を取付部11(以下、本実施例では、取付部11をハゼ部11と称して説明する。)として、このハゼ部11に挟持固定可能な固定手段10を備えている。尚、折板屋根固定用の固定部3は、本実施例と同様にハゼ部を取付部11として挟持固定可能な固定手段10を採用すると良く、横葺き屋根固定用の固定部3は、例えば屋根板材の接合用折返し部を取付部11として挟持固定可能な固定手段10を採用することができる。
【0029】
具体的には、固定部3は、前記ハゼ部11に外側から挟持する挟持部13を下部に備えた左右一対の対向挟持体12と、この左右の対向挟持体12間に架設状態に配設される締付ボルト14とから成り、前記締付ボルト14には締付ナット15が螺着されていて、この締付ナット15を締付けると、左右の前記対向挟持体12が接近して前記挟持部13同志が接近し、この左右の挟持部13が前記ハゼ部11を両外側から締付挟持してハゼ部11に取付固定される前記固定手段10が構成されている。
【0030】
また、本実施例の対向挟持体12について具体的に説明すると、一方の対向挟持体12Aは、水平方向に面方向を有し前記支持部4の下部(後述する基体7の底面20)と、後述するスペーサー6の下部(下面)を載置可能な天板部16と、この天板部16の一側(図1図3における左側)端部から垂設される一側脚板部18と、この一側脚板部18の下端部から前記天板部16と同方向に突設する前記挟持部13とを有する略転コ字板状体で構成されていると共に、天板部16も一側脚板部18も挟持部13も、屋根1の勾配方向、即ちハゼ部11に沿った長さを有する形状に形成されている。以下、本実施例では、この対向挟持体12の長さ方向を本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aの前後方向と定めて説明する。
【0031】
また、この一方の対向挟持体12Aの天板部16の中心部には、この天板部16上に載置した支持部4及び後述するスペーサー6を固定するための固定ボルト17が立設状態に設けられている。
【0032】
他方の対向挟持体12Bは、立板状の他側脚板部19と、他側脚板部19の下端部から前記一方の対向挟持体12Aに向かって突設する挟持部13とを有する略L字板状体で構成されていると共に、他側脚板部19も挟持部13も、屋根1のハゼ部11に沿った長さを有する形状に形成されている。
【0033】
そして、この他方の対向挟持体12Bの他側脚板部19の上端部が、前記一方の対向挟持体12Aの天板部16の他側端部にヒンジ接合されている。
【0034】
また、この左右の対向挟持体12間には、前記締付ボルト14が架設状態に配設されていると共に、この締付ボルト14の先端部には締付ナット15が螺着されている。
【0035】
そして、締付ボルト14に螺着されている締付ナット15を締付回動操作すると、左右の前記対向挟持体12が接近して他方の対向挟持体12Bの前記挟持部13が一方の対向挟持体12Aの前記挟持部13に接近し、この左右の挟持部13が前記ハゼ部11を両外側から締付挟持してハゼ部11(取付部11)に取付固定されるように構成されている(図3参照)。
【0036】
本実施例の支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に設けられている。
【0037】
具体的には、支持部4は、前記固定部3の上部に着脱自在に取付け可能な基体7上に、前記ソーラーパネル2の裏面を支持する緩衝材8が設けられている。
【0038】
基体7は、やや厚みのある板状体であって、前記天板部16の前後幅よりも前後幅がやや幅広で且つ天板部16の左右幅よりも二倍程度の左右幅を有する板状体に形成され、さらにこの基体7は、下方側ほど左右幅が幅狭くなり、下端の底面20の左右幅が前記天板部16の左右幅よりやや幅狭となる形状に形成されていて、この底面20を介して前記天板部16上に載置可能に構成されている。
【0039】
また、この基体7は、上面の左右方向中間部が前後方向に溝長を有する凹溝状に形成されていると共に、この凹溝21の前後中間位置に前記固定ボルト17を挿通する挿通孔22が貫通形成されていて、この挿通孔22に前記固定ボルト17を挿通した上で底面20を前記天板部16上に載置すると、天板部16上に基体7が水平方向に位置決め状態で載置され、この際、凹溝21から上方へ突出する前記固定ボルト17に上方から固定ナット23を螺着して締付けることにより基体7(支持部5)を固定部3(の天板部16)に取付けでき、固定ナット23を緩めて固定ボルト17から取外せば、固定ボルト17から挿通孔22を挿脱させて固定部3から基体7を取外しできるように構成されている。
【0040】
また、この基体7は、底面20の左右方向中間部が上方へ浅く凹む形状に且つ前後方向に沿った長さを有して凹む形状に形成されて、この凹みが後述するスペーサー6の位置決め部25(位置決め凸部25)を係合する係合部24(係合凹部24)として構成されている。
【0041】
緩衝材8は、スポンジや合成ゴムなどのクッション性(弾性)のある素材製であると共に、平面視形状が前記基体7の上面と同形状(方形状)の厚みのある板状体に形成されており、例えば、後述する高さ調整手段5を利用して支持部4の固定部3に対する高さを調整した後で、下面を前記基体7の上面に接着するなどして基体7に付設されている。尚、この緩衝材8は、基体7の上面に対して接着されずに単に載置される構成(基体7上面とソーラーパネル2下面との摩擦により緩衝材8が位置決めされる構成)が採用されていても良い。
【0042】
本実施例の前記高さ調整手段5は、図2に示すように、前記固定部3の上部と前記支持部4の下部の間に着脱自在に配設可能なスペーサー6を備えて、このスペーサー6を固定部3の上部と支持部4の下部の間に配設することにより固定部3に対する支持部4の高さを調整変更可能に構成されている。
【0043】
また、このスペーサー6は、上下に積み重ね可能な複数体を備えて、このスペーサー6の積み重ね数の変更により前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能に構成されている。尚、図1図3は、スペーサー6を一枚だけ使用した場合を示しているが、スペーサー6を使用せずに固定部3(天板部16)上に支持部4(基体7の底面20)を直接載置して取付けることもできるし、スペーサー6を複数積み重ねて使用することも可能である。
【0044】
本実施例のスペーサー6について具体的に説明すると、例えば合成樹脂製であって、前記基体7の底面20と同形状の長方形板状体に形成されており、さらに上面は、その左右方向中間部が上方へ低く凸出する形状に且つ前後方向に沿った長さを有して凸出する形状に形成されて、この凸部が前記係合凹部24及び後述する他のスペーサー6の位置決め凹部26に位置決め状態で係合する前記位置決め凸部25として構成されていると共に、下面は、その左右方向中間部が上方へ浅く凹む形状に且つ前後方向に沿った長さを有して凹む形状に形成されて、この凹みが他のスペーサー6の前記位置決め凸部25が位置決め状態で係合する位置決め凹部26として構成されている。そして、この位置決め凸部25と位置決め凹部26とを係合係止させることで前後方向を合致させた状態で上下に複数積み重ね可能、且つ位置決め凸部25を前記基体7の底面20の係合凹部24に係合係止させることで上部にスペーサー6の前後方向と基体7の前後方向を合致させた状態で基体7(支持部4)を載置可能に構成されている。
【0045】
また、このスペーサー6は、中心部に前記固定ボルト17を挿通可能な貫通孔27が貫通形成されていて、この貫通孔27に固定ボルト17を挿通させた状態で支持部4(基体7)と固定部3(天板部16)との間に配設し得るように構成されている。
【0046】
尚、図示していないが、厚みの異なる複数の前記スペーサー6を備えて、このスペーサー6を異なる厚みのものに取り換えることで前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な構成の前記高さ調整手段5が採用されていても良い。
【0047】
次に、本実施例のソーラーパネル撓み防止用支持具Aの使用方法を説明すると、図4に示すように、屋根1上に固定されたソーラーパネル取付用金具9(図面はハゼ部11に固定されるタイプのソーラーパネル取付用金具9を図示している。)に外周部の数箇所(図面は四箇所)を固定されることにより屋根1上に設置される前記ソーラーパネル2裏面の中心部付近を、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持する。詳しく図示していないが、このようにして屋根1上に設置されるソーラーパネル2一枚につき一体の本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aを使用してその裏面中心部を支持する。すると、このソーラーパネル2の中心部付近の耐荷重性能が補強されることとなり、ソーラーパネル2上に多く積雪した場合には、この積雪荷重が本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aに支えられてソーラーパネル2の撓み変形が防止される。
【0048】
具体的には、前記ソーラーパネル取付用金具9により前記屋根1上に固定された前記ソーラーパネル2の中心部付近の下方に存在しているハゼ部11に、前記固定部3の固定手段10を介して本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aを固定し、この本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aでソーラーパネル2裏面の中心部付近を支持する。
【0049】
この際、屋根1は、完全な平坦面(平坦傾斜面)ではなく、多少のうねりが存在しているために、ソーラーパネル2は、その設置箇所毎にソーラーパネル2裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が一定ではない場合が往々にしてあるが、この間隔の差異に対しては、前記固定部3に対する前記支持部4の高さを調整変更可能な高さ調整手段5で対応する。
【0050】
すなわち、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が大きい場合には、前記スペーサー6を多く(複数)使用して積み重ねることで前記固定部3に対する前記支持部4の高さを高めに調整変更し、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aで支持したいソーラーパネル2の裏面の中心部付近とその下方の屋根1との間の間隔が小さい場合には、前記スペーサー6を使用しないか若しくは少なく使用して前記固定部3に対する前記支持部4の高さを低めに調整変更することによって、本ソーラーパネル撓み防止用支持具Aでソーラーパネル2の裏面の中心部付近を確実に支持できる。
【0051】
また、この際、前記支持部4の緩衝材8がソーラーパネル2裏面に当接して多少圧縮する程度の高さとなるように高さ調整手段5を調整して、支持部4(緩衝材8)で確実にソーラーパネル2裏面を支持することが好ましい。
【0052】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0053】
1 屋根
2 ソーラーパネル
3 固定部
4 支持部
5 高さ調整手段
6 スペーサー
7 基体
8 緩衝材
9 パネル設置用金具
10 固定手段
11 取付部・ハゼ部
17 固定ボルト
22 挿通孔
24 係合部
25 位置決め部
27 貫通孔
A ソーラーパネル撓み防止用支持具