(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000618
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/042 20140101AFI20221222BHJP
H02S 40/22 20140101ALI20221222BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20221222BHJP
【FI】
H01L31/04 500
H02S40/22
H02S20/10 A
H02S20/10 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101550
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】392032085
【氏名又は名称】睦技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 睦
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151JA01
5F151JA13
5F151JA14
5F151JA23
5F151JA28
(57)【要約】
【課題】平面上に1面の太陽光発電パネルが設けられた太陽光発電よりも設置面積当たりの発電量を大きくでき、様々な角度から入射される太陽光を太陽光発電パネルに照射でき、空間を立体的に有効利用できる太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】複数の多面体1と、各々の多面体1の2以上の面に設けてなる太陽光発電パネル3とを備え、多面体1が、多面体1の頂点2aで連結されてなることを特徴とする太陽光発電装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多面体と、
各々の前記多面体の2以上の面に設けてなる太陽光発電パネルと、
を備え、
前記多面体が、前記多面体の頂点で連結されてなることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体が、六面体であることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体が、直方体であることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
さらに、前記多面体を支持する支持部を備え、
前記支持部が、1または複数の前記多面体の対角線上にある頂点を挟んで支持することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽光発電装置であって、
前記支持部が、前記多面体の対角線上にある頂点を挟んで支持する支持バーと、前記支持バーに連結されて前記多面体の対角線上にある2の頂点に接触する支持調整部とを有し、
前記支持調整部が、その位置や姿勢を変更して、前記多面体の姿勢、位置を調整することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体の上方に、少なくとも1以上の通気口を設けてなることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体の面と、隣接する他の前記多面体の面が、面的に非平行状態に配置されることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体の連結位置が、直線上に位置することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体の連結位置が、前記多面体の対角線上に位置することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体が、連結シャフトを介して、前記多面体の頂点で連結されてなり、
前記連結シャフトが前記多面体を貫通することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体が、連結シャフトを介して、前記多面体の頂点で連結されてなり、
前記連結シャフトが中空状であることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体が、連結シャフトを介して、前記多面体の頂点で連結されてなり、
前記多面体が連結される頂点側及び前記連結シャフト側のいずれか一方に雌ネジが、他方に雄ネジが設けられ、
前記雄ネジが前記雌ネジに挿入されて、前記多面体が前記連結シャフトを介して、前記多面体の頂点で連結されることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
垂直方向に複数の前記多面体を配列することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
複数の前記多面体を間隔を開けて連結することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記多面体の姿勢を変更する多面体姿勢変更機構を有することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
さらに、太陽光を反射させる鏡面を有する反射板を備え、
前記反射板により太陽光を前記多面体に照射することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
前記反射板の姿勢を変更する反射板姿勢変更機構を有することを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項18】
請求項1ないし15のいずれか一項に記載の太陽光発電装置であって、
さらに、前記太陽光発電パネルからの電力によって充電できる1以上のバッテリーを備えることを特徴とする太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多面体の表面に太陽光発電パネルを備える太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池パネルを利用した発電システムの需要が高まっている。従来の太陽光発電パネルは発電量に対して大型である。平面的に太陽光発電パネルを設ける太陽光発電装置の発電量は、太陽光発電パネルの枚数とパネル面積に比例することから、発電効率と経済性の観点からある程度広い設置面積が必要とされ、大型化する傾向がある。本来、自然エネルギーである太陽光を活用して発電する太陽光発電であるが、大規模な固定式のメガソーラー建設は、近年森林伐採して広大な設置場所を確保するなど、環境保全や防災面で近隣住民の反対運動が起こるなど問題が表面化しており、地方公共団体が森林伐採を伴う開発を規制する動きが見られる。他方で、地球環境問題、省エネルギー化への関心はより高まり、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、時間的余裕はなく、一施策として、新築住宅への太陽光パネル設置義務化などの議論も行われている。
【0003】
太陽光発電が可能な日の出から日の入りまで、地球の自転により太陽の位置が移動し、太陽光の照射方位と角度は時間とともに変化するところ、太陽電池パネルに安定して太陽光を入射させるのが難しい問題点がある。太陽電池パネルに対する太陽光の入射角が大きくなると発電効率が低下するからである。
【0004】
携帯型太陽光発電装置は開発されている(特許文献1参照)。しかし、筒形状の側面に垂直方向に配設される太陽電池パネルでは日中の太陽光の入射角度が大きくなって発電効率が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その一目的は、従来の太陽光発電よりも設置面積当たりの発電量を大きくでき、様々な角度から入射される太陽光を照射できる位置に太陽光発電パネルを配設し、空間を立体的に有効利用できる太陽光発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の一実施態様に係る太陽光発電装置は、複数の多面体と、各々の多面体の2以上の表面に設けてなる太陽光発電パネルとを備え、多面体が、多面体の頂点で連結されてなる。
【0008】
上記構成により、平面上に1面の太陽光発電パネルが設けられた太陽光発電よりも設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。多面体の複数の面に太陽光発電パネルが設けられて、多面体の上方の面のみならず、その他の面も含めて各々の面に設けられた太陽光発電パネルが発電できるからである。また、多面体の複数の面に太陽光発電パネルが設けられることで、様々な角度から入射される太陽光に対しいずれかの面で効率良く発電できる。太陽の日照時間内において、太陽の高度、方位を問わず、様々な位置、角度、方位を向いた多面体の面のいずれかに太陽光を効率良く入射できるからである。上記構成により、1の多面体より設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。例えば、垂直方向に複数の多面体を配置することで各々の多面体の面で発電でき、また他の多面体の面に反射した太陽光を間接的に照射することもできるからである。
【0009】
また上記構成により、筒状または柱状の表面に太陽光発電パネルが設けられた従来の太陽光発電よりも設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。複数の多面体が多面体の頂点で連結されることで、筒状または角柱状の平坦な側面と異なり、連結される多面体の頂点とそれ以外の頂点を結ぶ複数の多面体の側面を凹凸にでき、太陽光発電パネルが設けられる多面体の表面積を大きくできるからである。また、太陽光発電パネルが設けられる多面体の面を垂直方向ではなく、水平方向に傾いた傾斜面にでき、発電量を大きくできる。例えば、多面体を立方体とする場合、立方体の上方の各面は上向きの45度の傾斜面となり、日中太陽光が上方から入射する場合により効率良く発電できるからである。
【0010】
さらに、上記構成により、太陽光が直接照射される面以外の多面体の部分が温度上昇による発電量の低下を抑制できる特長がある。多面体を厚み、容量のある立体とすることで、平板よりも太陽光が直接照射される面以外の多面体の部分が温度上昇を抑制できる効果は大きくなる。さらにまた、上記構成により、例えば垂直方向に複数の多面体を配置することで、設置面積当たりの発電量を大きくすると共に、空間を立体的に利用でき、特に狭小の場所を立体的に有効活用できる特長がある。
【0011】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体が、六面体である。
【0012】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体の各々の面が4直角の四角形である。
【0013】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、さらに、前記多面体を支持する支持部を備え、支持部が、1または複数の多面体の対角線上にある頂点を挟んで支持する。
【0014】
上記構成により、設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。多面体の対角線上の2点を挟んで支持することで、多面体に接触する面積を小さくして、太陽光発電パネルの設置面積を小さくすることなく、また太陽光を遮る影を小さくできるからである。また上記構成により、多面体を安定的に支持できる特長がある。1または複数の多面体の対角線上に位置する2頂点を両側から挟んで支持するからである。また上記構成により、多面体を所定の位置に容易にセットでき、多面体の姿勢、角度、位置などを微調整できる。支持部が多面体の対角線上にある頂点を挟んで支持できるからである。
【0015】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、支持部が、多面体の対角線上にある頂点を挟んで支持する支持バーと、支持バーに連結されて多面体の対角線上にある2の頂点に接触する支持調整部とを有している。支持調整部が、その位置、姿勢を変更して、多面体の姿勢、位置を調整できる。
【0016】
上記構成により、多面体を最適の位置に調整して、設置面積当たり発電量を大きくできる特長がある。支持調整部が、その位置や姿勢、2の支持調整部間の幅や2の支持調整部の位置関係、多面体の頂点との接触態様などを変更でき、多面体の姿勢、方向、位置を細かく調整できるからである。また上記構成により、先に多面体を所定の位置に取り付けた後に、配線を繋ぐ、多面体の姿勢を調整するなど他の作業を行うことが容易である。多面体の取付け、取り外し、交換が容易で、メンテナンス、組み立て、分解、持ち運びに便利な構造にできる。
【0017】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体の上方に、少なくとも1以上の通気口を設けてなる。
【0018】
上記構成により、太陽電池モジュールの過度な温度上昇による発電効率の低下を抑制できる特長がある。通気口を通して空気が出入りすることで、多面体内部の温度を外気温度に近づけ、多面体の過度な温度上昇を抑制できるからである。
【0019】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体の面と、隣接する他の多面体の面が、面的に非平行状態に配置される。
【0020】
上記構成により、複数の多面体の各々の面の太陽光パネルに違う方向からの太陽光を照射でき、1の多面体より発電量を大きくできる特長がある。ある多面体のある面と、隣接する他の多面体の面が、面的に非平行状態に配置されることで、多面体の各々の面が異なる方向を向いて配置され、いずれかの面が時間により照射方位と照射角度が変化する太陽光から効率良く発電できるからである。上記構成により、同じ形状で同じ大きさの複数の多面体で構成される多面体のある面と、これに対応する隣接する他の多面体の面が面的に平行状態に位置する場合よりも、発電量の変化を小さくして安定的な発電ができる特長がある。ある多面体のある面と、これに対応する隣接する他の多面体の面が面的に平行状態に位置する場合、ある多面体のある面とこれに対応する隣接する他の多面体の面が同じ方向を向いて配置されるため、太陽光の照射方位及び照射角度に応じて、ある多面体と隣接する他の多面体との発電量が同じように増減する。これに対し、ある多面体のある面と、隣接する他の多面体の面が、面的に非平行状態に位置する場合は、多面体の各々の面が異なる方向を向いて配置されて、いずれかの面が時間により照射方位と照射角度が変化する太陽光から効率良く発電できるため、発電量の減少の幅を小さくできるからである。また、他の多面体の面に反射した太陽光の角度を間接的に照射するのも、面により不均一にすることで発電量の減少の幅の減少に寄与し得る。
【0021】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体の連結位置が、直線上に位置する。
【0022】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体の連結位置が、多面体の対角線上に位置する。
【0023】
上記構成により、平面上に1面の太陽光発電パネルが設けられた太陽光発電、または多面体の1面を下にして地面と平行に設置した場合よりも設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。まず、上側の多面体で下側の多面体が影になる領域を小さくできる。多面体の連結位置が多面体の対角線上の頂点に位置することで、頂点に隣接する各面が対角線上に対して垂直にならず、斜めに交わることとなるからである。例えば、複数の立方体が垂直に並び、連結位置の対角線が垂直方向に伸びる場合、この頂点に隣接する各面は垂直方向に対して上方向または下方向に45度傾いた斜面になる。次に、平板状の太陽光発電パネルの下面、または多面体の一面を設置面上に設置した場合の多面体の下面のように完全な日陰となり発電しないデッドスペースを生じさせないからである。例えば複数の立方体が垂直に配置される場合に、最下部の多面体の下の頂点に隣接する面も垂直方向の対角線に対し斜めに交わることで、完全に日陰になることがないからである。
【0024】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体が、連結シャフトを介して、多面体の頂点で連結されてなり、連結シャフトが多面体を貫通する。
【0025】
上記構成により、設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。例えば垂直方向に上下に積層された多面体の場合に、上の多面体の影が下の多面体にかかる部分を小さくできるからである。また、各々の多面体の耐荷重性及び強度が向上でき、多面体を所定の姿勢及び位置に安定的に固定、支持できる。複数の多面体を安定的に固定できる特長がある。多面体の対角線を貫通する連結シャフトが、複数の多面体を連結するとともに、多面体を支持するシャフトととして併用できるからである。
【0026】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体が、連結シャフトを介して、多面体の頂点で連結されてなり、連結シャフトが中空状である。
【0027】
上記構成により、トンネル効果で中空状の連結シャフト内の空気の流れで、太陽光発電パネルが高温化して発電効率が低下することを抑制できる特長がある。また、電気配線を連結シャフト内に配置でき、配線を物理的、外的障害から守り、外観的デザイン性を向上できる。
【0028】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体が、連結シャフトを介して、多面体の頂点で連結されてなり、多面体が連結される頂点側及び連結シャフト側のいずれか一方に雌ネジが、他方に雄ネジが設けられ、雄ネジが雌ネジに挿入されて、多面体が連結シャフトを介して、多面体の頂点で連結される。
【0029】
上記構成により、取付け及び取り外しが容易にでき、様々な位置に配置する多面体を簡単な構造で実現できる。
【0030】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、垂直方向に複数の多面体を配列する。
【0031】
上記構成により、設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。太陽の日照時間内において、太陽の高度、方位を問わず、いずれかの多面体の面に太陽光を照射できるからである。また、複数の多面体の一面を水平に配置して間隔を開けずに近接した状態の場合に比較して、複数の多面体を垂直方向に配列し多面体の頂点で連結されることで、上に位置する多面体による陰が下に位置する多面体にかかる面積を減少できるからである。上記構成により、1の多面体より設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。各々の多面体の各面で発電でき、他の多面体の面に反射した太陽光を間接的に照射することもできるからである。また、垂直方向に複数の多面体を配列することで、空間を立体的に利用でき、特に狭小の場所を立体的に有効活用できる特長がある。
【0032】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、複数の多面体を間隔を開けて連結する。
【0033】
上記構成により、設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。太陽の高度、方位を問わず、いずれかの多面体の表面に太陽光を照射できる。複数の多面体を上下に配置する場合に、上の多面体の陰が下の多面体にかかる面積をより減少できるからである。また、デザインの多様性が広がる。
【0034】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、多面体の姿勢を変更する多面体姿勢変更機構を有する。
【0035】
上記構成により、設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。多面体を回転、上下動、傾動、またはこれらの組み合わせにより、姿勢を変えることで、影になる部分を所定時間以下とする、万遍なく多面体全体に太陽光を照射する、直接照射される部分を増やす、入射角度を調整する、より効率的に発電できる面積、時間を増やすなどが可能となるからである。また、太陽光が偏りなく照射されることで、太陽光発電パネルの過度な温度上昇を抑制できるからである。
【0036】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、さらに、太陽光を反射させる鏡面を有する反射板を備え、反射板により太陽光を多面体に照射する。
【0037】
上記構成により、設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。多面体に太陽光が直接照射されることに加えて、反射板で反射された太陽光を多面体に照射できるからである。影になる部分に反射光を照射でき、また直接照射される部分の照射量を増加できる。
【0038】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、反射板の姿勢を変更する反射板姿勢変更機構を有する。
【0039】
上記構成により、設置面積当たりの発電量を大きくできる特長がある。反射板で反射して太陽光を多面体に照射する領域、角度を変更して、影になる部分により効率的に反射できる、万遍なく多面体全体に太陽光を照射する、より効率的に発電できる面積、時間を増やすなどが可能となるからである。
【0040】
本発明の他の実施態様に係る太陽光発電装置は、さらに、前記太陽光発電パネルからの電力によって充電できる1以上のバッテリーを備える。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の実施形態1に係る太陽光発電装置を示す概略側面図である。
【
図2】立方体の面が隣接する立方体の面と面的に非平行状態に配置された太陽光発電装置の例を示す概略側面図である。
【
図3】支持部が支持調整部を有する太陽光発電装置の例を示す概略側面図である。
【
図4】連結シャフト及び支持部の例を示す概略断面図である。
【
図5】複数の多面体の配置例を示す概略斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る太陽光発電装置を示す概略斜視図である。
【
図7】反射板を備える太陽光発電装置の例を示す概略斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る太陽光発電装置を示す概略斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る太陽光発電装置を示す概略斜視図である。
【
図10】反射板姿勢変更機構の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の太陽光発電装置の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一若しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0043】
本発明の実施形態1に係る太陽光発電装置100を
図1~
図5に示す。
図1は太陽光発電装置100の概略側面図を、
図2は立方体2の面が隣接する立方体2の面と面的に非平行状態に配置された例の太陽光発電装置100の概略側面図を、
図3は支持部20が支持調整部23を有する例の太陽光発電装置100の概略側面図を、
図4は連結シャフト5及び支持バー21の例の概略断面図を、
図5は複数の多面体1の配置例の概略断面図を、それぞれ示す。
【0044】
本発明の実施形態1に係る太陽光発電装置100は、複数の立方体2と、立方体2を支持する支持部20とを備え、各々の立方体2の各面に太陽光発電パネル3が設けられてなり、立方体2の頂点2aで連結されてなる。
(多面体1、立方体2)
【0045】
本発明において多面体1は、複数の平面または曲面で囲まれた立体であり、各々の面は多面体1の辺または/及び頂点で連結される。多面体1は、例えば立方体のように、各面を同じ形状及び面積の正多角形とする正多面体、例えば正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体にできる。多面体1を、正多面体とすることで、各面に均等に太陽光発電パネルを設けることができる。ただし、例えば立方体を除く直方体のように、各面を正多角形としない、または同じ面積、形状でない多角形からなる多面体にすることもできる。本発明において、直方体とは、全ての面が長方形(正方形も長方形の一種とする)で構成され、隣接する面が直角に交わる直六面体をいう。直方体には、6面の全てが正方形の立方体も含まれる。多面体1の面を平面にすることで太陽光発電パネル3の設置が容易となる。ただし、多面体の一部の面または面の一部を曲面にできる。例えば、面取りすることで、多面体の辺や頂点に丸みをもたせることもできる。また、多面体の全部または一部の面または面の一部の表面上の凹凸を設けることもできる。また、多面体1を支持部20や他の多面体1に連結する頂点2aにおいて、一部切除することもできる。
図1をはじめ太陽光発電装置100は、多面体1を立方体2とする。以下の実施形態においても同様である。ただし、本発明の多面体1は立方体2に限定されるものではない。
【0046】
図1に示す立方体2は、6枚の正方形の平面で囲まれてなる。立方体2は、下地板の上に太陽光発電パネル3を貼り付けるなどして組み立てできる。また、太陽光発電パネル3が設けられたパネル板を6枚連結することで組み立てすることもできる。さらにまた、パネル板の連結部や骨組みなどを用いて6枚の平面を取り付ける、骨組みに6枚の平面を差し込むなどすることで立方体2にもできる。さらにまた、立方体2の下地板は平面を折り曲げて、また連結して組立できる。例えば、長方形の平板をコ字状に折り曲げて3面として2対を組み合わせたり、長方形の平板をL字状に折り曲げて2面として3対を組み合わせることもできる。立方体2は6面の平面で囲まれ各面へのパネルの取り付けが容易である他、各々の辺で2面が直角に連結され、各々の頂点で3面が直角に連結され強度をもたせ易い形状であり、製造が容易で低コストで製造できる。
【0047】
図1に示す立方体2は、立方体2の内側に太陽光パネル3からの電線を配線する。図示しないが、太陽光パネルからの電線の全部または一部を立方体の外に配置することもできる。この場合、例えば、立方体の辺などに沿わせて配置したり、立方体が連結される頂点付近以外の部分、例えば頂点、辺、面などに配線開口を設けて配置したり、コネクタなどで接続可能にするなどにより、メンテナンス、交換、組み立てが容易となる。
【0048】
図示しないが、立方体は、1または複数の面を開閉自在に取付けできる。立方体2の内側にリード線を配線する場合はメンテナンスなどに便利に使用できる。また、1または複数の面を取り外し可能とすることで、故障や汚れなど不具合が一部の面に生じた際に容易に面ごとに交換対応できる。
【0049】
太陽光の日射量は昼12時太陽が真南にある時に最大となり、平面状の太陽光発電パネルが設置される方位は南向きが望ましい。太陽光発電パネルの設置方位による発電量の違いは、南向きを100%とした場合、西向き及び東向きは約85%、北向きは約60~65%、南東向き及び南西向きは、約96%とされる。太陽光発電パネルの設置角度は、日照に対して垂直に設置することで発電量を最大化できる。一般的に太陽の方位や高度が変わることを前提に、日本の緯度(日本の中央で北緯35度)を考慮すると、平面状の太陽光発電パネルの設置角度は30度程度が望ましいとされる。真南向きで設置角度を30度を基準とすると、設置角度を20~40度の範囲で変えても発電量は約1~2%しか減少しないが、垂直(90度)にすると約30~40%減少する。また夏至周辺は0~5度、冬至周辺は55~65度に傾けて設置することで日射を最大利用できる。ただし、いずれの場合も地域差が生じる。
【0050】
太陽発電は太陽光の強さ、日射量に比例する。影がかかると光量が減少して発電量が減少する。影に面積と、影に覆われる時間、影の濃さが影響する。影の面積による影響は直列に接続されているパネル全体に及ぶため、影の面積に比例する数値以上の発電量の減少が生じ得る。影に覆われる時間については、短時間、一時的な影の場合影響は小さく、長時間影になる場合は、影の影響が大きくなる。影の濃さについては、パネルが何かに覆われたり、地面に接する面など全く日照がない、濃い影ができる場合は発電量がほぼ0になるが、薄い影ができる場合その濃淡により影響の大きさが異なる。太陽光を遮る障害物との距離と障害物の面積、パネルの法線の向き、垂直または斜めに配置されるかなどでも時間により影の濃淡は異なる。
【0051】
立方体の各面に太陽光発電パネルを貼り、設置方向による日射量を日射量データベース(NEDO)により算出した結果を以下に示す。計算条件を徳島県徳島市、4月とする。面の法線が地面を向く場合の日射量データはないため0とする。法線とは、面上のある点において面に垂直な線をいう。以下、立方体をサイコロにみたて、サイコロの目が1の面を面1とし、面1の裏が面6、面2の裏が面5、面3の裏が面4とする。立方体の面6を下として地面に接地させる。単位はkWh/m2とする。なお、最適傾斜角度は18.7度(真南向き)で、その日射量は4.81となる。
(1)面2が真南の場合
面1(天頂)4.66
面2(南)2.43
面3(東)2.53
面4(西)2.53
面5(北)1.30
面6(地面)0
合計 13.45
(2)面2が南西の場合
面1(天頂)4.66
面2(南西)2.65
面3(南東)2.65
面4(北西)1.85
面5(北等)1.85
面6(地面)0
合計 13.66
【0052】
以下の条件で実測した発電量を示す。本発明において、設置面積当たりの発電量とは、太陽光発電パネルが設置された水平方向の面積当たりの発電量を示す。
(試験1)室内で蛍光灯のみを220LX照射を縦20cm、横30cmの平板(600cm2)、一辺10cmの立方体(表面積600cm2、水平断面積20cm2)に照射した。縦20cm、横30cmの平板の場合、発電電圧は3.04V、設置面積当たりの発電量5.07mV/cm2であるのに対し、一辺10cmの立方体の場合、発電電圧は1.3~1.8V、水平断面積200cm2で計算した設置面積当たりの発電量は、6.5~9.0mV/cm2となり、約28%~77%向上した。
【0053】
(試験2)室内でハロゲンビームランプ(150形)をパネルからの距離約25cmから18,000LXを、縦20cm、横10cmの平板(200cm2)、一辺10cmの立方体(表面積600cm2、水平断面積200cm2)に照射した。縦20cm、横10cmの平板の場合、発電電圧は6.2V、設置面積当たりの発電量31mV/cm2であるのに対し、一辺10cmの立方体の場合、発電電圧は約11V、水平断面積200cm2で計算した設置面積当たりの発電量は、平板が55mV/cm2となり、約77%向上した。
【0054】
(試験3)屋外の太陽光(40,000LX以上で計測不能)で計測した(2021年5月)結果、縦20cm、横30cmの平板(600cm2)、立方体の6面分を平面状にした場合と比較して、一辺10cmの立方体(表面積600cm2、水平断面積20cm2)は約半分の発電量が得られた。一辺10cmの立方体を水平断面積200cm2となり、設置面積当たりの発電量は約40~50%向上した。
【0055】
図1に示す太陽光発電装置100は、立方体2の6面全部に太陽光発電パネル3を設ける。ただし、図示しないが、立方体の一部の面を太陽光発電パネルを設けないこともできる。例えば、立方体の下方の3面は下向きの45度の傾斜面となり、上向きの面より発電量は小さくなることから、太陽光発電パネルを上側3面にのみ設け、下側3面には太陽光発電パネルを設けないこともできる。
【0056】
図1に示す立方体2のように、多面体1の形状を厚みのある立体形状とすることで、平板上に太陽光発電パネルが設けられた場合に比べ、太陽光が直接照射される部分以外により多面体の温度上昇による発電効率の低下を抑制できる。
【0057】
立方体2の1辺は、好ましくは1cm~30cm、より好ましくは5cm~15cmとする。立方体2の材質は特に限定されない。立方体2は樹脂製とすることが好ましいが、アルミなど金属製にすることもできる。小さいサイズは全体を小型化、軽量化でき、移動、持ち運びが容易である。自家消費用に自宅の庭や室内での使用に便利であり、またアウトドアや災害時用に携帯端末など一時的な充電機能を果たすことができる。大きいサイズは立方体2の表面積を大きくして発電量を大きくできる。
【0058】
図1に示す太陽光発電装置100は、2個の立方体2が垂直方向に上下に積層して配置する多段式である。ただし、太陽光発電装置100は、3以上の立方体を多段に積層でき、また複数の立方体を垂直方向以外の方向に配置することもできる。図の太陽光発電装置100は、上下に配置された立方体2の頂点2aで連結され、連結される頂点2aを通る上の立方体2の対角線(頂点対角線)と下の立方体2の対角線(頂点対角線)が同一直線状の垂直軸上に位置し、垂直方向に伸びる。立方体2の最上位置の頂点2aと、立方体2の最下位置の頂点2aが垂直軸上に位置する。各々の立方体2の最上位置となる頂点2aに接する立方体2の上側の各々3面は頂点対角線から45度上向きに傾いた傾斜面として配置され、上側の各々3面が連結する辺は平面視において120度ごとに位置し、立方体2の上側の3面が360度方向をカバーする。したがって、立方体2の上側の3面が太陽の方位、高さにかかわらずいずれかの面で日射量を確保して、発電量を大きくできる。また、立方体2の頂点2aで複数の立方体2を連結することで、同じ高さの角柱や円柱など筒状の立体よりも表面積、つまり太陽光パネルの設置面積を大きくできる。また、立方体2の上側の各々3面を上向きの傾斜面にでき、角柱や円柱など筒状の立体のように垂直方向に太陽光パネルが設けられた場合よりも、特に日中上方からの太陽光の照射で発電量を大きくできる。立方体2の最下位置となる頂点2aに接する立方体2の下側の3面は、頂点対角線から45度下向きに傾いた傾斜面として配置され、下側の各々3面が連結する辺は平面視において120度ごとに位置し、立方体2の下側の3面が360度方向をカバーする。立方体2の上側の3面及び下側の3面は、各面の法線に対して0~90度の範囲、すなわち、各面と同一水平面よりも太陽光パネル3が設けられた各面の表面側に太陽が位置している限り太陽光が太陽光パネル3に照射されて太陽光発電を行うことができる。以上のように、太陽光発電装置100は、平面上や筒状の立体の側面の太陽光パネルが設けられた場合よりも、設置面積当たりの発電量を大きくできる。
【0059】
図1の太陽光発電装置100は、立方体2の対角線上の頂点2aで立方体2を連結し、2個の立方体2を垂直方向に配置している。仮に、上側の立方体の下面と下側の立方体の上面を地面と平行に水平となるように配置した場合、上の立方体の影が下の立方体を覆う、特に発電効率のよい上向き面である下の立方体の上側面に影がかかることになる。この場合は影の部分を減少するために上下の立方体の間に間隔を設ける必要がある。これに対し、
図1の太陽光発電装置100は、立方体2の対角線上の頂点2aで2の立方体2を連結していることで、上の立方体2の影が下の立方体2にかかる部分を小さくできる。立方体2の上側3面及び下側3が傾斜面となっており、太陽光の入射角が45度以下の場合は、上の立方体2の影が下の立方体2にかかることはない。
【0060】
また例えば、立方体の1面が下になるように設置面上に設けた場合、下面の1面は設置面と接し完全に日陰となることから太陽光発電は行えない、または太陽光パネルは設置されないことで、デッドスペースが生じる。これに対し、
図1の太陽光発電装置100は、対角線上の頂点2aで立方体2を連結し、その延長線上にある立方体2の最下部の頂点2aを支持台に連結することで、立方体2の下面が支持台に接面してデッドスペースを生じさせることがない。これらの点も、設置面積当たりの発電量を大きくすることに寄与する。
【0061】
図1の太陽光発電装置100は、垂直方向に上下に配置された2個の立方体2が頂点2aで連結され、連結された頂点2aを通る上下の立方体2の対角線が垂直方向に伸びる同一直線上に位置する。
図1に示す上下の立方体2は、固定具22で所定に位置及び姿勢に固定される。図に示すように、ネジ山を有するボルトシャフトを後述する支持バー21、連結シャフト5に用いる場合は、固定具22にナットを使用できる。固定具22は、その他、リング、キャップなど、立方体2を所定に位置及び姿勢に固定する構造及び部材、形状を使用できる。立方体2の頂点2a、支持バー21、連結シャフト5、支持台24など連結される部分については、位置決めや位置ずれ防止のため連結態様に合わせた形状とすることができる。
【0062】
図1の太陽光発電装置100の2個の立方体2は、同一形状で同一の大きさとする。複数の多面体1は、3以上とすることができ、同一形状で同一の大きさの多面体に限られない。図示しないが、例えば、立方体の他に直方体、正四面体、正八面体などを配置し、形状の異なる多面体にできる。また、他よりも大きな多面体をメインの発電部分としたり、異なるサイズ多面体を混ぜてデザインのメリハリ、アクセント的に用いたり、一定の方向に大きさが徐々に大きくまたは小さくするなど、大きさの異なる多面体にすることもできる。
【0063】
図1の太陽光発電装置100は、2個の立方体2を垂直方向に上下に配列するが、複数の立方体2の配列はこれに限定されることなく、立方体2を水平方向、または垂直及び水平方向以外の斜め方向に配置でき、さらにこれらを組み合わせた位置に配置にできる。複数の立方体2を様々に配置できることで、太陽光発電パネル3が平面上に一面で設置される場合に比べ、空間をより立体的に有効活用でき、発電量を大きくできる。また、複数の立方体2を一定の方向に整列させ、また一定のパターンに配置して連結するなど複数の立方体2を様々な方向に組み合わせることで、立体的な空間利用が可能となり、デザインの多様性を広げることができる。
【0064】
図1に示す太陽光発電装置100は、上の立方体2と下の立方体2が同じ姿勢で同じ方向を向いて配置される。つまり、上の立方体2のある面とこれに対応する下の立方体2の面の法線が同じ方向を向いており、上の立方体2のある面は、これに対応する下の立方体2の面と面的に平行状態に配置されている。これに対し、
図2に示すように、太陽光発電装置100は、上の立方体2のある面とこれに対応する下の立方体2の面の法線が異なる方向を向くように配置できる。これにより上の立方体2のある面は、下の立方体2の面と面的に非平行状態に配置できる。
図2に示すように、同じ大きさの2の立方体2が頂点2aで連結されて垂直に配置する場合に、連結する頂点2aを通る垂直軸を中心として上側の立方体2または下側の立方体2のいずれかを回転させて、垂直軸上の頂点2a以外の上側と下側の立方体2の頂点2aの位置をズラすことで、立方体2を上方から見た平面視において垂直軸上の連結される頂点2a以外の上側の立方体2の頂点2aと下側の立方体2の頂点2aが重ならないように上側及び下側の立方体2を配置することで、上側の立方体2の面と下側の立方体2の面を面的に非平行状態にできる。この場合、
図1のように、上の立方体2の面が下の立方体2の面と面的に平行状態となるよう配置された場合に比べ、発電量の変化を小さくして安定的な発電ができる。
図1のように立方体2のある面が他の立方体2の面と面的に平行状態となるよう配置された場合、立方体2のある面とこれに対応する他の立方体2の面は、同じ角度、同じ方向を向いていることから、下側が上側の影になることを除き、一方向から太陽光の照射に対して同じ発電量となる。太陽光の照射方位と角度は時間と共に変化するため、同じ発電量の変化を示す。発電量の変化を立方体2の個数分乗算した数値が全体の発電量の変化となり、発電量の最大と最小の差が大きくなる。これに対し、
図2のように、立方体2のある面が他の立方体2の面と面的に非平行状態に位置することで、多面体の各々の面が異なる方向を向いて配置され、いずれかの面が時間により照射方位と照射角度が変化する太陽光から効率良く発電でき、発電量の最小値を引き上げることができ、発電量の変化を小さくして安定的な発電が可能となる。
【0065】
図1及び
図2のように太陽光発電装置100は、支持台シャフト24aを介して支持バー21または連射シャフト5と支持台24を連結する。この構造は、例えば立方体2を回転、上下動、傾動するなど姿勢を手動で変更する機構の取付けが容易にできる。ただし、図示しないが、立方体の最下部の頂点を支持台シャフトを介することなく、支持バーまたは連射シャフトを支持台に直接連結できる。支持柱を支持台に直接連結することもできる。
図1及び
図2の太陽光発電装置100は、連結された立方体2の上部を支持バー21で、下部を支持台24で支持する。ただし、図示しないが、連結された立方体2を下側から支持台24のみで支持でき、さらに連結された立方体2を立方体2または支持バー21にフックなど引っ掛ける部位を設けることにより連結された立方体2を上側から、またはその引っ掛ける部位の位置から支持することもできる。
(通気口4)
【0066】
図3及び
図4Dに示すように、立方体2には、通気口4を設けることができる。立方体2の内部と外部で通気できるように通気口4を設け、通気口4を通して空気が出入りすることで、立方体2の内部の温度を外気温度に近づけ、立方体2の過度な温度上昇を抑制し、太陽光発電パネル3の過度な温度上昇による発電効率の低下を抑制できる。通気口4を設ける場合は、立方体2の上部に、少なくとも1以上設ける。通気口4の個数は、少なくとも1以上とし、好ましくは2以上とする。通気口4の位置は、好ましくは立方体2の上方及び下方に各々1以上設けるものととする。通気口4は、立方体2の上方及び下方に各々複数の通気口4を設けることができ、立方体2の上方以外に下方、中部などに設けることもできる。立方体2の上方とは立方体2の中位より上の部分を、立方体2の下方とは立方体2の中位より下の部分を示す。
図4Dの立方体2は、通気口4を立方体2の上方の頂点2a付近及び下方頂点2a付近に設ける。立方体2内の温度上昇した空気を立方体2の上方の通気口4から排出し、外気を立方体2の下方の通気口4から吸入して、空気の流れができることが望ましいからである。
【0067】
通気口4は、立方体2の頂点2a及びその付近、辺及びその付近、その他の面、またはこれらをまたいで設けることができる。通気口4の大きさは、立方体2の大きさ、温度上昇及びその抑制の程度などに応じて、立方体2内の空気が出入りできる適切な大きさとする。埃、水滴、虫、異物など不必要なものが入らないために、必要以上に大きくする必要はない。通気口4の形状は特に限定されない。通気口4は、丸孔以外にも四角、三角、扇形、スリット状などの整形、さらに不整形まで含め、通気口4を設ける位置の合わせた形状にできる。太陽光発電パネル3や下地板で段差や凹凸などにより隙間を設けたり、太陽光発電パネル3の連結部や骨組みに通気口4を設けることもできる。通気口4は、その設ける位置、開口の大きさ及び方向などに合わせて、埃、水滴、虫、異物など不必要なものが入ることを防止するために、蓋やキャップ、ネット、庇、立ち上がりなどを設けることができ、これらの組み合わせることもできる。その他にも、例えば、通気口4に中空状のパイプを連結して上方向に開口しないなど、埃、水滴、虫、異物など不必要なものが入ることを防止できる構造を採用し得る。例えば、
図4Dにおいて、立方体2の上方頂点2a付近の通気口4はワッシャを庇とし、立方体2の下方頂点2a付近の通気口4には特段何も設けていない。ただし、立方体2の下方頂点2a付近の通気口4を立方体2の上方頂点2a付近の通気口4と同様の構造にし、また例えば、立ち上がりを設けるなど立方体2の上方頂点2a付近の通気口4と異なる構造にできる。通気口4は、冬場、雨天など開口する必要がない場合は閉口できる開閉式にもできる。立方体2の下地材の上に太陽光発電パネル3が取り付けられる場合には、通気口4が下地材を貫通するものとするが、さらにパネルと下地材の間に隙間など通気路を設けることもできる。
(太陽光発電パネル3)
【0068】
図1ないし
図3の太陽光発電装置100は、太陽光発電パネル3が立方体2の面に設けられる。図に示すように、太陽光発電装置100は、例えば点線の矢印方向から太陽光が太陽光発電パネル3に照射されて発電する。2個の立方体2が積層し、立方体2の面に設けられた太陽光発電パネル3が様々な方向を向いていることで、太陽光の照射角度及び方位が変化してもいずれかの太陽光発電パネル3が効率的に発電でき、また発電量の低下を抑制でき、設置面積当たりの発電量を大きくできる。本発明は、太陽光発電パネルを特定のものに限定しない。単結晶、多結晶、HIT、アモルファスなどのシリコン系の他、シリコンを使用しない化合物系のCISなどを使用できる。太陽光発電パネルは、現在既に市販されている製品のほか、今後開発、改良される製品を使用できる。
(支持部20)
【0069】
図1ないし
図3の太陽光発電装置100は、立方体2を支持する支持部20を備えている。支持部20は、1または複数の立方体2の対角線上にある頂点2aを挟んで支持する。支持部20は、各々の立方体2の対角線上にある頂点2aを挟んで支持でき、複数の立方体2の同一直線の対角線上にある両端の頂点2aを挟んで支持できる。
図1及び
図2の支持部20は、連結された2個の立方体2の対角線上にある最上位置の頂点2a及び最下位置の頂点2aを挟んで支持する支持バー21と、支持バー21に連結されて複数の立方体2を支持する支持柱25とを備える。
図1及び
図2の支持部20は、支持バー21が2個の立方体2の対角線上の最上位の頂点2aから最下位の頂点2aを貫通するシャフトであって、支持バー21が支持柱25に連結されて2個の立方体2を支持する。図において、立方体2を所定の位置、姿勢に固定する固定部22が設けられる。各々の立方体2は、固定部22で所定の位置、姿勢に固定される。この場合、立方体2を対角線上に貫通する支持バー21でまず複数の立方体2を連結してまとめた上で、次に複数の立方体2をまとめて支持柱25に連結できる。ただし、支持バー21は立方体2の対角線上に貫通せずに立方体2を支持することもでき、
図4に後述する例のように立方体2を支持できる。
図1ないし
図3において、支持柱25及び支持バー21が、支持台シャフト24aを介して支持台24に固定されてなる。ただし、図示しないが、支持台シャフトを介することなく、支持柱または支持バーを直接支持台に固定することもできる。
【0070】
図3の支持部20は、同一直線の対角線上にある各々の立方体2の頂点2aを挟んで支持する支持バー21を備え、各々の支持バー21が支持柱25に連結されて複数の立方体2を支持する。
図3の支持部20は、さらに、立方体2の頂点2aに接する支持調整部23を備える。
図4Dは、
図3の要部拡大断面図である。支持調整部23は、各々の立方体2の対角線上にある頂点2aを挟んで支持する支持バー21に連結されて、立方体2の頂点2aに接して挟着する。支持調整部23は、立方体2を所定の位置、姿勢に容易にセットでき、立方体2の位置、姿勢、角度、挟んで固定する強度などを微調整でき、また各々の立方体2を必要に応じて容易に取り外すことが可能となる。装置の組み立て、各々の立方体2の交換、メンテナンスなどの際において、例えば、先に立方体2を仮止めしておいて配線できる、立方体2に位置、姿勢を調整できるなど他の作業を立方体2を取り付けた上で行える、各々の立方体2を別々に取付け、または取り外しができることは極めて便利である。
【0071】
支持バー21に連結される支持調整部23は、例えば、
図3及び
図4Dに示すように、支持バー21側にネジ山(雌ネジ)を設けることで、支持調整部23にボルトを使用できる。ボルトのネジ頭部23aをいずれかの方向に回すだけで、ボルトがねじ込まれた雌ネジの支持バー21の先端面と、ネジ頭部23aが立方体2の頂点2aに接する面との距離を、ネジ山部23bの長さで簡単に調整できる。ボルトは締め具合で、立方体2の固定程度を容易に微調整できるとともに、立方体2の位置や姿勢も容易に微調整できる。ボルトのネジ頭部23aの形状を立方体2の頂点2aに合わせる、または立方体2の頂点2aに合わせたキャップなどを取り付けることで、支持調整部23が立方体2の位置や姿勢のズレを防止して、支持部20が立方体2をより強固に支持することもできる。支持調整部23は
図3及び
図4Dに示す構造に限定されることなく、支持バー21に連結されて立方体2の頂点2aに接して挟着する構造を使用できる。
【0072】
図3の支持部20は、各々の立方体2の頂点2aを挟んで支持する支持バー21に連結され、立方体2の頂点2aに接する支持調整部23を備える。図示しないが、複数、例えば2個の立方体の両端の頂点を挟んで支持する支持バーとして、2個の立方体ごとに取り外し、位置と姿勢、固定程度の微調整をすることもできる。
【0073】
図1ないし
図3の太陽光発電装置100は、2個の立方体2が連結される頂点を通る対角線上の垂直軸を装置の中心とし、その中心の垂直軸から支持柱25を離れた位置に配置し、支持バー21を介して立方体2を支持する。ただし、図示しないが、装置の中心を支持柱とすることもできる。また、装置の中心を支持柱とせず、かつ立方体が連結される頂点を通る対角線上の垂直軸ともしないように配置することもできる。
(連結シャフト5)
【0074】
図1及び
図2の太陽光発電装置100は、上下に配置された立方体2が連結シャフト5を介して、立方体2の頂点2aで連結されてなる。上下に配置された立方体2の間隔を繋ぐのが連結シャフト5である。連結シャフト5の長さ(d)で各々の立方体2の間隔を調整できる。各々の立方体2の間に間隔を設けて連結することで、太陽光が上方から照射され上側の立方体2の影が下側の立方体2にかかる領域を少なくして、また風通しをよくして通気口5による太陽光発電パネル3の過度な温度上昇を抑制して、設置面積当たりの発電量を増加できる。連結シャフト5の長さ(d)は、立方体2の大きさ、個数、装置全体の大きさ、設置場所、設置環境などに応じて最適に定めるものとし、例えば、立方体2の1辺を10cmとする場合、好ましくは2cm~15cm、より好ましくは5cm~10cmとする。ただし、図示しないが、連結シャフトを介することなく、または連結シャフトを殆ど設けず、各々の立方体2の頂点2aを隣接または直接連結するように配置することもできる。
【0075】
連結シャフト5は、立方体2の頂点2aに連結される形状を、立方体2が所定の姿勢に位置決めして連結される形状にでき、また位置ずれを防止できる形状にできる。立方体2の頂点2aと連結シャフト5の連結方法により、立方体2を所定の向きに配置したり、立方体2の方向を一定に揃えたり、立方体2の姿勢、向きなど精度を上げた連結が可能となる。連結シャフト5は、支持バー21を兼用できる。立方体2同士の間隔の繋ぎである場合は連結シャフト5であり、1または複数の立方体2の対角線上にある頂点2aを挟んで支持する場合は支持バー21となる。連結シャフト5が、立方体2を対角線上に貫通することで立方体2の連結強度、さらには装置全体の強度を向上できる。
【0076】
図4A~
図4Dは、連結シャフト5及び支持バー21の態様の例を示す。
図4Aの連結シャフト5は、各々の立方体2の間隔を繋ぐだけでなく、立方体2の対角線上の頂点2aを貫通する。複数の立方体2が各々の立方体2の対角線上に貫通する連結シャフト5に連結固定されることで、立方体2の連結強度を高めることができる。連結シャフト5は、立方体2が所定の姿勢及び位置に連結される構造を立方体2の上下の頂点2aに連結される位置または片方に設けることができる。また別部材を取り付けることもできる。
図4Bは、連結シャフト5側に雄ネジを、立方体2の頂点2a側に雌ネジを設けて、雄ネジが雌ネジに挿入されて連結シャフト5が立方体2の頂点2aに連結される。図示しないが、逆に立方体2の頂点2a側に雄ネジを、連結シャフト5側に雌ネジを設けて連結することもできる。
図4Cのように、ネジ山を設けたボルトシャフトをそのまま使用することもできる。上下の立方体2の頂点2aを連結シャフト5を介して連結するため、
図4A~
図4Cに示すように、連結シャフト5が立方体2に連結される頂点2aに連結シャフト5が挿入される穴が設けられる。連結シャフト5を立方体2から取り外し可能とすることで、持ち運びや部品交換に便利に使用できる。連結シャフト5は、円柱状、角柱状などの棒状、中空状にした筒状などにできる。
図4Dは、
図3の要部拡大断面図である。
図4Dの連結シャフト5は立方体2同士の間隔を繋ぐ部分であると共に、各々の立方体2の対角線上にある頂点2aを挟んで支持する支持バー21でもある。
【0077】
連結シャフト5は、中空状にできる。太陽光の照射が特定部分に一定時間以上行われ、太陽光発電パネル3(立方体2)の照射面の温度が上昇すると、連結シャフト5が温められて連結シャフト5の中空内で温められた空気が上昇し排出されると、連結シャフト5の下方から新たな空気が流れ込んで連結シャフト5を冷却するというトンネル効果が生じる。トンネル効果により連結シャフト5が冷却され一定温度以上になることを防止でき、太陽光発電パネル3が高温化して発電効率が低下することを抑制できる。太陽電池において、太陽光パネルの表面温度は25度程度で発電量が最大となり(国際基準により太陽光発電パネルのカタログ性能は25度で計測する)、それ以上に温度が上昇すると発電量は減少する。具体的には、1度上昇ごとに0.4~0.5%発電量が減少する。夏の外気温が30度、さらに40度を超える場合、パネル表面温度は70~80度まで上昇し、最大発電量に対し20~30%ほど発電量が減少することがある。
【0078】
また、中空状の連結シャフト5内に太陽光発電パネル3からの電線を配線することで、外観のデザイン性を向上でき、外部環境の影響や物理的障害を防止できる。トンネル効果用に効率良く空気を循環させるため、仕切りを設けたり電線配線をとは別に中空状の通路を設けることもできる。また、支持部20、例えば、支持バー21または支持柱25、もしくは双方を中空状として電線を配線することもできる。
【0079】
図1ないし
図3は垂直方向に2個の立方体2を配列し、連結シャフト5を介して連結する例を示す。複数の立方体2は垂直方向、水平方向、それ以外の方向に様々に配置でき、さらに立方体2と連結シャフト5を組み合わせにより、より多様に複数の立方体2を配置でき、デザイン性、意匠性、これらの多様性も向上できる。さらに、芸術作品、オブジェなどシンボリックな置物として、さらには矢印など記号、ロゴ、文字などの形状にして看板、案内表示として使用でき、また、看板、交通標識などに電源供給装置として併設することもできる。
【0080】
図5Aは水平方向に複数の立方体2を配列した例を、
図5Bは立方体2を水平面状に配列した例を、
図5Cは立方体2を立体的に配列した例を、それぞれ示している。
図5Dは、立方体2を立体的に配列しつつ、安定的に自立できるようにした例である。
図5Dにおいて、中央に位置する立方体2の下面側の4頂点2aから各々4本の連結シャフト5を下斜め方向に伸ばすことで、支持台を設けることなく安定的に自立できる。さらに、図に示すように、4本の連結シャフト5の各々に立方体2を連結することもできる。
【0081】
図示しないが、太陽光発電装置100は、1以上の出力端子やバッテリーを備えることができる。出力端子により発電と同時に携帯電話、スマートフォンなどに充電できる。バッテリーに充電することで、場所や時間を問わず発電した電気を使用できる。バッテリーは、1以上の立方体や支持台などに内蔵でき、また別途外付けできるなど、様々な態様に設けることができる。出力端子を立方体や支持台に設けて発電した電気を使用でき、また外付けバッテリーに接続することもできる。
[実施形態2]
【0082】
本発明の実施形態2に係る太陽光発電装置200を
図6及び
図7に示す。
図6は反射板7を備える太陽光発電装置200の例を示す概略斜視図を、
図7は反射板7の配置例を示す概略斜視図である。
【0083】
本発明の実施形態2に係る太陽光発電装置200は、頂点2aで連結される複数の立方体2と、各々の立方体2の各表面に設けられた太陽光発電パネル3と、さらに、太陽光を反射させる鏡面を有する反射板7とを備えている。
図6に示す太陽光発電装置200は、点線で示す太陽光が直接太陽光パネル3に照射されるとともに、反射板7により反射された太陽光も太陽光パネル3に照射できる。反射板7は、立方体2の上方、側面、下方の各面に太陽光を反射して太陽光の照射量を増大できる。立方体2の下方の面に効率よく太陽光を反射することでより設置面積当たりの発電量を大きくできる。
図6及び
図7のように、例えば立方体2を垂直方向に上下に2個配置する場合、太陽光が上方向から各々の立方体2の上方の3面に照射されると、各々の立方体2の下方の3面が影になる。そこで、反射板7で各々の立方体2の下方の3面に太陽光を照射することで、設置面積当たり発電量を大きくできる。反射板7が設けられていない太陽光発電装置100に比べ設置面積当たりの発電量を大きくできる。実測データによると、1枚の反射板7で複数の立方体2に反射する太陽光発電装置200は、反射板7のない状態の太陽光発電装置100と比較して、発電量が約10~35%向上した。
(反射板7)
【0084】
反射板7は、太陽光を反射させる鏡面を立方体2に面する側に備えており、反射板7は反射させた太陽光を立方体2に照射する位置に設けられる。
図6の太陽光発電装置200は、2個の立方体2に各々の反射板7を備え、反射板7は反射板支持部8に連結されて、所定の位置及び姿勢に配置されてなる。反射板7の枚数、サイズ、形状などは、立方体の大きさ、立方体との距離、位置関係、立方体以外の多面体の場合はその形状、サイズ、装置全体のサイズなどに応じて適切な範囲に定める。各々の立方体2に対応する反射板7を設けることで、反射板7の鏡面の面積を小さくして、立方体2に合わせたサイズ、形状にでき、各々の反射板7の角度、位置などの姿勢を立方体2及び太陽光に合わせて容易に調整もでき、また材料コストを下げることができる。ただし、反射板7を複数の立方体2をカバーするサイズ、形状にできる。また、1個の立方体2に対し2以上の反射板7を設ける、異なるサイズ、形状の反射板7を設けるなど、立方体2の面、立方体2との位置関係に合わせた反射板7のサイズ、形状にすることもできる。
【0085】
図6の反射板7は、支持台24に連結された反射板支持部8に連結されて所定の位置及び姿勢に固定される。ただし図示しないが、反射板を立方体を支持する支持柱を含めた支持部に連結して、別途反射板支持部を設けることなく、支持部が立方体及び反射板を支持する構造にできる。また逆に、反射板支持部が、立方体及び反射板を支持する構造にもできる。
【0086】
図7A~
図7Cは反射板7の形状、設置方法の例を示す。上方からの太陽光を立方体2に反射させるためには、反射板7を複数の立方体2の下方に設ける必要がある。
図7Aは立方体2の周囲を曲面状の反射板7が囲み、
図7B及び
図7Cは平板を折り曲げまたは連結されて反射板7が立方体2の周囲を多角形状に囲んでいる。この他、平面と曲面を組み合わせる、太陽光の照射方位、角度に合わせた不整形など様々な形状で立方体2を囲むことができる。
図7A及び
図7Bに示すように、反射板7は立方体2の全周を囲むことができ、また
図7Cに示すように、部分的に囲むように立方体2の周辺に配置することもできる。
図7Cのように、立方体2の一部を囲むように反射板7を配置する場合、立方体2に太陽光が直接照射される方位を除いて反射板7を配置する。立方体2を基準に太陽の反対側に反射板7を設けて、反射板7が太陽光の照射を遮らないようにできる。反射板7は
図7A~
図7Cのように連続的に立方体2の周囲に設けることができる他、非連続的に間隔を設けて立方体2の周囲に設けることができる。反射板7は1または複数の平面状、曲面状、またはその組み合わせとすることができる。
【0087】
反射板7が設けられる立方体2の周囲とは、立方体2の側面に対応する面のみならず、下面に対応する面も含めた領域をいう。上方向からの太陽光を立方体2に反射できるように立方体2の下方にも鏡面を有する反射板7を設けることが好ましい。立方体2の半分より下方は、特に昼間上方から照射される太陽光で立方体2の上方の陰になるが、立方体2の下方側の面に対応する面、すなわち支持台24の上面側に反射板7を設けることで、太陽光を反射させて立方体2の半分より下方に照射できるからである。反射板7の下方は、半球状、半楕円などの他、円錐状、角錐状など下すぼみの形状にでき、曲面、平面、または曲面と平面を組み合わせることもできる。
【0088】
反射板7の高さは、立方体2の高さ・大きさ、予定される発電量、装置全体のサイズ、さらにはデザイン性も含めて、最適に定められる。反射板7の高さを低くすることで太陽光の照射を阻害しないようにでき、高くすることで反射光を上側からも照射できる。また反射板7を立方体2との比較である程度の高さとすることで、パネルの反射光による光害を可及的に抑制防止したり、立方体2のカバーにすることもできる。反射板7の高さは、
図7A~
図7Cのように一定の高さにできる他、立方体2、太陽光の照射及び反射方向に合わせて異なる高さとすることもできる。
【0089】
反射板7の鏡面は、平面に限定されず、曲面の他、三角形を組み合わせた複雑な形状など凹凸にもできる。曲面の鏡面は、照射された太陽光を集光または分散して立方体2に反射できる。図示しないがレンズを用いて太陽光を集光または分散することもできる。
【0090】
反射板7は、連続的に立方体2の周囲に設け、また非連続的に間隔を設けて配置できる。
図7Cのように、一方向に反射板7のない領域を設けることができ、また、後述する
図8ないし
図10のように、複数の反射板7の間に間隔を設けることもできる。反射板7により太陽光が遮られ日射量が減少すると発電量が減少するため、反射板7の高さを立方体2より低くして立方体2の周囲全体を囲むことができる。その他に、反射板7のない領域を設け、または複数の反射板7の間に間隔を設けて、太陽光が立方体2に直接照射されるようにできる。反射板7のない領域または複数の反射板7の間に間隔を設けて、立方体2が見える状態にでき、また風通しを良くできる。
[実施形態3]
【0091】
図8に示す本発明の実施形態3に係る太陽光発電装置300は、さらに、立方体2の姿勢を変更する多面体姿勢変更機構11を有する。立方体2の姿勢を変更するとは、立方体2の位置、角度、向きなどの姿勢を変えることをいい、立方体2を回転させ、または傾動させ、もしくは上下方向に移動することを含む。多面体姿勢変更機構11は、立方体2を単純に回転、傾動、上下動できる他、これらを組み合わせて立方体2の姿勢を変更できる。例えば、立方体2を上下動しながら回転させたり、立方体2を傾動しながら回転させたり、立方体2を所定の角度に傾動させた上で回転させたりできる。立方体2が回転、傾動する角度を所定の範囲に限定することもできる。
(多面体姿勢変更機構11)
【0092】
多面体駆動機構11は、立方体2の姿勢を変更できる機構である。多面体駆動機構11は、手動または電動などで多面体の姿勢を変更できる。手動の場合、実際に太陽の位置を見ながら太陽光発電パネル3に効率的に太陽光の照射がなされる最適な位置に合わせることができる。さらに、装置の状態、充電態様、気温、設置場所、時間など見ながら微調整も可能である。手動の場合、構造を簡素化して安価に製造でき、モータや電源など必要とせず装置を軽量化できる。持ち運びが容易で、分解組み立て式にすることもできる。手動の構造として、例えば、中心軸となる連結シャフト5もしくは支持バー21などにベアリングを配置しで立方体2を回動自在に支持台24に連結する、支持台24に連結シャフト5が上下動して貫通できる穴やシャフトを設けてカムを使用してスライド式またはハンドル式で立方体2を上下動したり、エアシリンダやスプリングを使用して連結シャフト5の上端または下端の位置をレールなど沿って変更して立方体2を傾動したり、ゼンマイ、バネ、ゴムなどの弾性力を使用したり、所定の位置で立方体2の姿勢を保持できるストッパ機構、姿勢変更の範囲を限定する機構を設けるなどできる。
【0093】
電動の場合、例えば、モータを使用して立方体2を回転、上下動、傾動するなど姿勢を変更する。電動の場合、所定のスピードで立方体2の位置、姿勢などを変更でき、また太陽の方位、位置、太陽光が照射される方向、日陰ができる領域などに合わせて駆動させることもできる。立方体2を対角線上に貫通して頂点2aで連結する連結シャフト5をモータで回転させて立方体2を回転でき、カムを使用して立方体2を上下動、傾動させたりできる。ストッカを上下させる駆動部分にステッピングモータを使用するなども可能である。図示しないが、さらに風力、水力など自然エネルギーにより立方体の姿勢を変更する構造とすることも可能である。多面体姿勢変更機構11は、手動、電動も含め現在製品化されている立方体2の姿勢を変更できる機構のほか、今後改良、開発される様々な機構を使用できる。
[実施形態4]
【0094】
図9Aは、反射板姿勢変更機構12を有する太陽光発電装置400の例の概略斜視図を、
図9B及び
図9Cは反射板7の固定方法の例の概略斜視図を、
図10は反射板姿勢変更機構12の例の概略斜視図を、それぞれ示す。
図9及び
図10に示す本発明の実施形態4に係る太陽光発電装置400は、反射板7の姿勢を変更する反射板姿勢変更機構12を有する。反射板7の姿勢を変更するとは、反射板7の位置、角度、向きなどの姿勢を変えることをいい、反射板7を回転させ、または傾動させ、もしくは上下方向に移動する、これらを組み合わせることを含む。
(反射板姿勢変更機構12)
【0095】
反射板姿勢変更機構12は、反射板7の姿勢を変更する機構である。反射板姿勢変更機構12は、手動または電動などで反射板の姿勢を変更できる。反射板姿勢変更機構12の構造は、多面体駆動機構11と同様にできる他、異なる構造にできる。
【0096】
例えば、
図9B及び
図9Cの反射板7は、反射板支持バー8aに回動自在に連結されて、反射板支持バー8aが連結具8bを介して反射板支持部8に連結されてなる。連結具8bは、反射板支持バー8aを反射板支持部8に連結し、その連結角度を最適に定めることができる。例えば、連結具8bは、
図9Bに示すように反射板支持バー8aと反射板支持部8が垂直に交わるように連結でき、
図9Cに示すように、反射板支持バー8aと反射板支持部8が斜めに交わるように連結できる。連結具8bは、反射板支持バー8aと反射板支持部8の連結角度を可変式にもできる。また例えば、
図9Bに示すように連結具8bを反射板支持バー8aの中央付近や、
図9Cに示すように連結具8bを反射板支持バー8aの端よりに配置できる。これらをはじめ反射板支持バー8aと反射板7との連結位置、姿勢、態様などにより、立方体2に対する反射板7の姿勢、位置、反射板支持バー8aが反射板7に連結される点を軸として回動、姿勢の変更方向、範囲、態様を変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の太陽光発電装置は、従来の太陽光発電よりも設置面積当たりの発電量を大きくし、様々な角度から入射される太陽光を太陽光発電パネルに照射でき、しかも、空間を立体的に有効利用できる太陽光発電装置に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0098】
100、200、300、400…太陽光発電装置
1…多面体
2…立方体
2a…頂点
3…太陽光発電パネル
4…通気口
5…連結シャフト
7…反射板
8…反射板支持部
8a…反射板支持バー
8b…連結具
11…多面体姿勢変更機構
12…反射板姿勢変更機構
20…支持部
21…支持バー
22…固定部
23…支持調整部
23a…ネジ頭部
23b…ネジ山部
24…支持台
24a…支持台シャフト
25…支持柱