IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産トーソク株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電磁弁モジュール 図1
  • 特開-電磁弁モジュール 図2
  • 特開-電磁弁モジュール 図3
  • 特開-電磁弁モジュール 図4
  • 特開-電磁弁モジュール 図5
  • 特開-電磁弁モジュール 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006183
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】電磁弁モジュール
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20230111BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F16K27/00 B
F16H61/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108647
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】縫谷 沙欧里
(72)【発明者】
【氏名】田邊 翔
【テーマコード(参考)】
3H051
3J552
【Fターム(参考)】
3H051BB03
3H051CC14
3J552MA02
3J552MA11
3J552NA01
3J552NB01
3J552PA60
3J552QA02A
(57)【要約】
【課題】ソレノイドバルブが装着される装置におけるメンテナンス性の向上。
【解決手段】電磁弁モジュールの一態様は、着脱可能に装着される電磁弁によって流体を制御する流体制御装置を内包する筐体の一部として、当該筐体の取付部に対して着脱可能に取り付けられるカバーと、上記カバーに取り付けられ、当該カバーの上記取付部に対する取付けに伴って上記流体制御装置に装着される電磁弁と、を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能に装着される電磁弁によって流体を制御する流体制御装置を内包する筐体の一部として、当該筐体の取付部に対して着脱可能に取り付けられるカバーと、
前記カバーに取り付けられ、当該カバーの前記取付部に対する取付けに伴って前記流体制御装置に装着される電磁弁と、
を備える電磁弁モジュール。
【請求項2】
前記電磁弁は、前記流体制御装置に装着される一端側に弁部を有し、当該弁部よりも他端側が前記カバーの固定部に固定され、
前記カバーは、前記取付部に対し、前記他端側から前記一端側に接近して取り付けられる請求項1に記載の電磁弁モジュール。
【請求項3】
前記流体制御装置は、流体が流れる流路を有し、
前記電磁弁は、前記流路を開閉するものである請求項1または2に記載の電磁弁モジュール。
【請求項4】
前記カバーは、前記筐体の内外に貫通した配線を有し、
前記電磁弁は、前記配線と電気的に接続され、当該配線を介して駆動電力を得る請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁弁モジュール。
【請求項5】
前記流体制御装置は、流体制御によってトランスミッションを制御するものであり、
前記筐体は、前記トランスミッションの筐体である請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁弁モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソレノイドバルブに代表される電磁弁が、例えば自動変速機における、変速制御用のライン圧や変速時のクラッチ圧の制御に使用される。
【0003】
例えば特許文献1では、ソレノイドバルブをバルブボディの嵌合孔に挿入して取付けるようにしたソレノイドバルブの取付構造において、ソレノイドバルブの誤組付を防止可能とする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-168052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般的なソレノイドバルブの取付構造では、ソレノイドバルブに不具合が生じた場合、不具合を生じたソレノイドバルブのみを交換することが困難で、バルブボディ全体を自動変速機から取り外す必要があるのでメンテナンス性や作業性が悪い。
そこで、本発明は、ソレノイドバルブが装着される装置におけるメンテナンス性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電磁弁モジュールの一態様は、着脱可能に装着される電磁弁によって流体を制御する流体制御装置を内包する筐体の一部として、当該筐体の取付部に対して着脱可能に取り付けられるカバーと、上記カバーに取り付けられ、当該カバーの上記取付部に対する取付けに伴って上記流体制御装置に装着される電磁弁と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ソレノイドバルブが装着される装置のメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の電磁弁モジュールの一実施形態が組み込まれた自動変速機(トランスミッション)を示す模式的構造図。
図2図2は、電磁弁モジュールと流体制御装置とが組み合わさった状態を示す図。
図3図3は、電磁弁モジュールと流体制御装置とが離間した状態を示す図。
図4図4は、流体制御装置の装着部を示す図。
図5図5は、電磁弁の構造を示す斜視図。
図6図6は、電磁弁の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の電磁弁モジュールの実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
図1は、本発明の電磁弁モジュールの一実施形態が組み込まれた自動変速機(トランスミッション)を示す模式的構造図である。
トランスミッション10は、筐体300内にギア集合体100と油圧制御装置200とを備える。
ギア集合体100は、ドライブギア110や遊星ギア120がクラッチ130およびシャフト140を介して連結された構造を有する。
【0010】
油圧制御装置200は、流体(一例としてオイル)が流れる油路220を有し、電磁弁400は油路220を開閉する。より詳細には、油圧制御装置200は、ギア集合体100の各部に至る複数の油路220を有し、電磁弁400によって油路220を開閉してオイルの流れを変更することで、ギア集合体100におけるギアの連結構造を変更して減速比などを切り替える。
【0011】
油圧制御装置200は、着脱可能に装着される電磁弁400によって流体を制御する本発明にいう流体制御装置の一例に相当し、本実施形態における油圧制御装置200は、流体制御によってトランスミッション10を制御するものである。電磁弁400は本発明にいう電磁弁の一例に相当し、本実施形態における電磁弁400は流体の一例としてオイルの流れを制御する。電磁弁400は配線コード313によって筐体300外から電力が供給されて動作する。
【0012】
なお、図1では、油圧制御装置200の機能を示すために複数箇所に油圧制御装置200が示されるが、実際には筐体300の着脱カバー310の内側に1つの油圧制御装置200が備えられる。
【0013】
着脱カバー310は、流体制御装置200およびギア集合体100を内包する筐体300の一部として、当該筐体300の取付部320に対して着脱可能に取り付けられる。
【0014】
後で説明するように、電磁弁400は着脱カバー310に取り付けられ、当該着脱カバー310の取付部320に対する取付けに伴って流体制御装置200に装着される。
【0015】
着脱カバー310と電磁弁400とを併せたものが、本発明の電磁弁モジュール20(図2)の一実施形態に相当し、着脱カバー310は、本発明にいうカバーの一例に相当する。
【0016】
図2および図3は、電磁弁モジュール20と流体制御装置200を示す図である。図2には、電磁弁モジュール20と流体制御装置200とが組み合わされた状態が示され、図3には、電磁弁モジュール20と流体制御装置200とが分離された状態が示される。図3の一点鎖線は、流体制御装置200に対する電磁弁モジュール20の分離・装着方向を示している。なお、着脱カバー310は電磁弁モジュール20の一部であるので、図3の一点鎖線は、取付部320に対する着脱カバー310の分離・装着方向も示している。
【0017】
以下の説明では、一例として3つの電磁弁400を備えた電磁弁モジュール20が示される。電磁弁400は着脱カバー310に固定され、筐体300の取付部320に対する着脱カバー310の着脱に伴って流体制御装置200に電磁弁400が着脱される。
【0018】
流体制御装置200には、電磁弁400が装着される装着部210が備えられる。装着部210は、電磁弁モジュール20の電磁弁400に対して装着方向(取付部320に対する着脱カバー310の装着方向)前方に位置する。
【0019】
電磁弁モジュール20の採用により着脱カバー310の着脱に伴って電磁弁400が流体制御装置200に対して着脱されるので、流体制御装置200側に電磁弁400が固定された構造に較べて電磁弁400のメンテナンス性が向上する。
【0020】
また、本実施形態では、本発明にいう筐体の一例に相当するトランスミッション10の筐体300に電磁弁モジュール20が適用されるため、トランスミッション10におけるメンテナンス性が向上する。
図4は、流体制御装置200の装着部210を示す図である。
【0021】
流体制御装置200の装着部210には、3つの電磁弁400の先端部分がそれぞれ挿入される3つ挿入孔211が設けられる。各挿入孔211には上述した油路220が繋がっており、各電磁弁400によって各油路220の開閉が行われる。
図5および図6は電磁弁400の構造を示す図である。図5には電磁弁400の斜視図が示され、図6には電磁弁400の断面図が示される。
電磁弁400は、外観上、本体部410と、出力部420と、コネクタ部430とを有し、内部にはソレノイドコイル412、押しバネ414、プランジャ440、弁部422、流入路423,流出路424等を有する。
本体部410は、電力の供給を受けてプランジャ440を駆動する。
出力部420は、上述した油圧制御装置200に挿入されてプランジャ440の移動により上述の油路220を開閉する。
コネクタ部430には、本体部410に電力を供給する配線コード313(図3参照)が接続される。
【0022】
プランジャ440は、一端側が出力部420内に延び、他端側が本体部410内に挿入され、プランジャ440の軸方向(プランジャ440の一端側と他端側とにより規定される方向)に移動する。以下の説明ではプランジャ440を軸方向の基準とし、図6の右側を「軸方向一端側」と称し、図6の左側を「軸方向他端側」と称する場合がある。
【0023】
本体部410はソレノイドコイル412と押しバネ414とを有し、プランジャ440はソレノイドコイル412で発生された磁界によって軸方向他端側へと引きつけられる。押しバネ414は、ソレノイドコイル412の磁界が切れたときにプランジャ440を軸方向一端側へと押し戻す。
出力部420は、筒部421と弁部422を有する。
筒部421は樹脂製で本体部410に対し軸方向一端側へと延びた筒状の構造を有する。筒部421は内部に流入路423と流出路424を有する。
【0024】
弁部422は、筒部421の流入路423と流出路424との間に設けられ、プランジャ440の先端が弁部422内の球体422aを押していると弁部422は閉まって流入路423と流出路424との間を遮る。プランジャ440の先端が弁部422内の球体422aから離れると弁部422は開き、流入路423と流出路424とが繋がってオイルが流れる。
【0025】
コネクタ部430は、ソレノイドコイル412の巻線の一端に接続された端子432を有し、コネクタ部430を介してソレノイドコイル412へ容易に電力が供給できる。
図3に戻って説明を続ける。
【0026】
電磁弁400は、保持板311によって保持され、保持板311がボルト312で着脱カバー310に固定される。着脱カバー310は筐体300の内部側に向かって台状に突き出した固定部315を有し、電磁弁400は、ボルト312による保持板311の固定によって着脱カバー310の固定部315に固定される。
【0027】
電磁弁400は、流体制御装置200に装着される軸方向一端側に上述した弁部422を有し、図3に示すように電磁弁400は当該弁部422よりも軸方向他端側が着脱カバー310の固定部315に固定される。そして、着脱カバー310は、取付部320に対し、軸方向他端側から軸方向一端側に接近して取り付けられる。この結果、着脱カバー310が取付部320に装着される直線的な動きに伴って電磁弁400の弁部422が装着部210の挿入孔211内に容易に挿入される。
【0028】
電磁弁400は、配線コード313によって着脱カバー310側から電力が供給されて駆動する。配線コード313はコネクタ314を介して筐体300の内外を貫通し、電力はトランスミッション10外の電源(図示せず)から供給される。即ち、着脱カバー310は、筐体300の内外に貫通した配線コード313を有し、電磁弁400は、配線コード313と電気的に接続され、当該配線コード313を介して駆動電力を得る。これにより、簡素な配線構造で電磁弁400に電力が供給される。配線コード313は本発明にいう配線の一例に相当する。また、配線コード313が着脱カバー310に設けられることで、着脱カバー310と共に配線コード313も筐体300に対して着脱されるので、メンテナンス性がより向上する。
【0029】
なお、ここでは、本発明の電磁弁モジュールにおける使用方法の一例としてトランスミッションが挙げられるが、本発明の電磁弁モジュールの使用方法は上記に限定されず、油圧で動作するロボット、水や空気などを制御する流体制御装置など広範囲に使用可能である。
【0030】
上述した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0031】
10 :トランスミッション
20 :電磁弁モジュール
100 :ギア集合体
200 :油圧制御装置
210 :装着部
220 :油路
300 :筐体
310 :着脱カバー
313 :配線コード
315 :固定部
320 :取付部
400 :電磁弁
410 :本体部
420 :出力部
421 :筒部
422 :弁部
430 :コネクタ部
440 :プランジャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6