(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061930
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H04M 1/11 20060101AFI20230425BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230425BHJP
G11B 33/02 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
H04M1/11 C
B60R11/02 W
G11B33/02 501Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005024
(22)【出願日】2023-01-17
(62)【分割の表示】P 2021074721の分割
【原出願日】2018-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2017119341
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】渡部 崇史
(72)【発明者】
【氏名】重田 浩典
(72)【発明者】
【氏名】松村 博史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】装置本体の正面表示部の面積を確保しつつ別体の被保持物を保持する保持装置を提供する。
【解決手段】保持装置1において、装置本体20の正面にフロントパネル部23が設けられ、スライド部11が装置本体20の正面から突没スライド自在に支持されるとともに、スライド部11及びチルト部12の幅がフロントパネル部23の幅よりも狭くなっている。これにより、フロントパネル部23の面積を確保しつつ、別体の被保持物であるスマートフォン5を保持することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保持物を保持する保持機構と、該保持機構を取付対象に取り付ける装置本体と、を備えた保持装置であって、
前記保持機構は、前記装置本体の正面から突没スライド自在に支持されるスライド部を備え、
前記装置本体の正面には、正面表示部が設けられ、
前記スライド部の幅が前記正面表示部の幅よりも狭く、
前記保持機構は、前記装置本体から引き出されて起立され、かつ、前記正面表示部が前記装置本体の正面壁をなした状態で、当該保持機構の上端部が前記装置本体上端よりも上に位置する、
ことを特徴とする保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイがスライド移動及びチルト移動可能に構成された電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された従来の電子機器では、不使用時にはディスプレイが本体に収納され、使用時にはディスプレイが本体の外側に向かってスライドするとともに起立し、表示画面が使用者に向けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画面を有する機器として、スマートフォン等の板状のものが知られており、特許文献1に記載された電子機器において、ディスプレイに代えて、画面を有する被保持物を用いる構成が考えられる。即ち、電子機器とは別体の被保持物を保持し、この画面に適宜な映像等を表示させることにより、使用者に情報を伝達してもよい。このように別体の被保持物を用いる場合も同様に、不使用時には被保持物を保持する機構を本体に収納することが好ましく、特許文献1の電子機器と同様のスライド機構を設ければよい。
【0005】
このような別体の機器を装置と連携して作動させたり、別体の機器を保持しない状態で装置自体を単独で使用したりする場合、装置本体の正面に、操作等のための表示部を設ける必要がある。このとき、装置本体の正面から保持機構を引き出そうとすると、正面表示部を設けるためのスペースが減少してしまう。
【0006】
したがって、本発明の課題は、装置本体の正面表示部の面積を確保しつつ別体の被保持物を保持することができる保持装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の保持装置は、被保持物を保持する保持機構と、該保持機構を取付対象に取り付ける装置本体と、を備えた保持装置であって、前記保持機構は、前記装置本体の正面から突没スライド自在に支持されるスライド部を備え、前記装置本体の正面には、正面表示部が設けられ、前記スライド部の幅が前記正面表示部の幅よりも狭く、前記保持機構は、前記装置本体から引き出されて起立され、かつ、前記正面表示部が前記装置本体の正面壁をなした状態で、当該保持機構の上端部が前記装置本体上端よりも上に位置する、ことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例に係る保持装置を示す正面図である。
【
図2】前記保持装置に被保持物を保持させた様子を示す斜視図である。
【
図5】前記保持装置の保持機構を示す正面図である。
【
図6】前記保持機構の保持部を回動させた様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る保持装置は、被保持物を保持する保持機構と、保持機構を取付対象に取り付ける装置本体と、を備えた保持装置である。保持機構は、装置本体の正面から突没スライド自在に支持されるスライド部を備える。装置本体の正面には、正面表示部が設けられる。スライド部の幅が正面表示部の幅よりも狭くなっている。
【0010】
スライド部が装置本体の正面から突没スライド自在に支持され、スライド部の幅が正面表示部よりも狭いことで、装置本体の正面表示部の面積を確保しつつ別体の被保持物を保持することができる。
【0011】
スライド部は、使用者に手動で操作される構成であることが好ましい。それにより、スライド動作のための電動機構を設ける必要がなく、スライド部の幅を容易に狭くすることができる。尚、後述のように保持機構がチルト部を備える場合、チルト部も使用者により手動で操作される構成であることが好ましい。
【0012】
正面表示部には、スライド部が配置される凹状の切欠き部が形成されていることが好ましい。それにより、正面表示部とスライド部との干渉を抑制することができる。
【0013】
保持機構は、起立角度を変更可能にスライド部に支持されるチルト部を備え、チルト部は、被保持物の背面に位置する矩形板状の保持板部と、保持板部から突出して被保持物を挟持する挟持部と、を有し、挟持部におけるチルト部の厚さが切欠き部の深さよりも大きく、正面表示部は、切欠き部側が装置本体から遠ざかる回動と、装置本体からの取り外しと、のうち少なくとも一方が可能に構成されていることが好ましい。それにより、挟持部の突出寸法を大きくして被保持物を挟持させやすくするとともに、挟持部が正面表示部を通過する際に、正面表示部を一時的に回動させるか又は取り外すことにより、挟持部と正面表示部との干渉を抑制することができる。従って、正面表示部を挟持部に合わせた形状とする必要がなく、正面表示部の面積を大きくすることができる。
【0014】
保持機構は、保持した被保持物の向きを変更可能に構成されていることが好ましい。それにより、使用者は被保持物を適宜な向きで使用することができる。
【0015】
保持機構は、被保持物として携帯機器を保持してもよいし、保持装置は、車両のインストルメントパネルに設けられてもよい。尚、ここにいう携帯機器とは、使用者によって携帯される電子機器であって、スマートフォンやタブレット端末やゲーム機器等が一例として挙げられる。
【実施例0016】
以下、本発明の実施例について図を参照して具体的に説明する。本実施例の保持装置は、車載機器であって、車両の運転席におけるインストルメントパネルに搭載されて使用される。また、本実施例の保持装置は、保持対象の被保持物として、携帯機器の一例であるスマートフォンを保持する。
【0017】
本実施例の保持装置1は、
図1~3に示すように、スマートフォン5の保持機構10と、インストルメントパネルに搭載される矩形箱状の装置本体20と、を備えている。
【0018】
保持機構10は、装置本体20に突没自在に保持される。また、保持機構10は、装置本体20に、正面から突没スライド自在に支持されるスライド部11と、このスライド部11に軸支されてスマートフォン5を保持するチルト部12と、を備えている。保持機構10は、スマートフォン5を保持させる際には、装置本体20から
図3に示されている突没方向D11における突出方向D111にスライド部11が引き出され、チルト部12が
図2示されている回動方向D12における起立方向D121に立てられる。チルト部12は、後述するように基部3及び保持部4を有しており、保持部4の起立角度を変更可能なようにスライド部11に支持されている。そして、この立てられたチルト部12にスマートフォン5を保持させるように構成されている。
【0019】
装置本体20は、矩形箱状の装置本体20における上壁と一対の側壁とをなす上シャーシ21と、下壁をなす下シャーシ22と、を備えている。上述の保持機構10のスライド部11は、上シャーシ21の上壁に突没スライド自在に支持されている。下シャーシ22には、矩形箱状の装置本体20における背面側の一端辺に、この装置本体20における背面壁をなす長方形状の背面基板221が立設されている。この背面基板221には、外部機器との各種接続コネクタや、スマートフォン5との間で、例えばブルートゥース(登録商標)規格等に則った短距離通信を行うためのアンテナ等が搭載されている。また、下シャーシ22の内面には、背面基板221と電気的に接続された内面基板222が取り付けられている。
【0020】
また、装置本体20は、装置本体20における正面壁をなして(即ちその正面に設けられて)使用者インタフェースの役割を担う正面表示部としての長方形板状の脱着可能なフロントパネル部23と、このフロントパネル部23を着脱自在、かつ、回動自在に保持するパネル部24と、を備えている。パネル部24は、上シャーシ21及び下シャーシ22に固定される。このパネル部24は、上シャーシ21に支持される保持機構10と干渉しないように切欠きが設けられた形状に形成されている。フロントパネル部23の長手方向の両端には、回動軸をなす一対の軸突起231が設けられ、これら一対の軸突起231が、パネル部24における一対の保持アーム241に、着脱自在かつ回動自在に保持される。即ち、フロントパネル部23は、装置本体20に対し、回動操作及び取り外し操作が可能となっている。
【0021】
本実施例の保持装置1では、上シャーシ21に支持される保持機構10と、パネル部24と、のそれぞれが、下シャーシ22の内面基板222に、ケーブル223で電気的に接続されている。本実施例では、
図2に示されているように保持されたスマートフォン5に対するタッチ操作や、フロントパネル部23に対するボタン操作により、例えばスマートフォン5の画面上への地図情報の表示や、車載オーディオ機器からの音楽の再生等を行うことができる。また、保持したスマートフォン5に対する充電を、保持機構10と内面基板222とを繋ぐケーブル223と、スマートフォン5から延伸して保持機構10に接続した充電ケーブルと、を介して行うこともできる。
【0022】
以上に説明した保持装置1は、次のような手順によってスマートフォン5を保持させる。
【0023】
図4は、
図1~
図3に示されている保持装置にスマートフォンを保持させるための一例の手順を示す模式図である。尚、この
図4では、図を見易くするために、装置本体20については、上シャーシ21のみが示されている。以下に説明する手順は、使用者の手作業(手動)によって行われる。
【0024】
まず、ステップS11及びステップS12において、装置本体20から突出方向D111に保持機構10が引き出される。このとき、本実施例では、フロントパネル部23は、保持機構10の動きの邪魔とならないように、
図3に示されている軸突起231を回動中心として回動されて前方に倒されるか、パネル部24から取り外される。即ち、フロントパネル部23は、後述する切欠き部232側が装置本体20から遠ざかる回動と、装置本体20からの取り外しと、の両方が可能となっている。またこのとき、保持機構10において、後述する保持爪421、431が引き出し方向に対向して(即ち並んで)いる。即ち、保持機構10の挟持方向と、スライド部11の突没スライド方向と、が一致した状態で保持機構10が装置本体20に収納されるようになっている。
【0025】
続くステップS13では、保持機構10において、チルト部12がスライド部11に対して起立方向D121に立てられる。このとき、チルト部12は、スライド部11に軸支された基部3と、基部3によって回動自在に支持される保持部4と、を備え、保持部4において、計3本の保持爪421、431によってチャッキング機構46が構成されている。本実施例では、このステップS13でチルト部12が立てられた状態では、チャッキング機構46は、1本の保持爪431が上部側に位置し、2本の保持爪421が下部側に位置する姿勢となっている。また、チャッキング機構46では、上部側となる1本の保持爪431が、下部側となる2本の保持爪421に向かってバネ付勢されている。
【0026】
ステップS14では、このチャッキング機構46におけるバネ付勢に抗して上部側の保持爪431が引上げ方向D131に引き上げられる。
【0027】
そして、ステップS15において、上記のように引き上げられた上部側の保持爪431と、下部側の保持爪421と、の間に、スマートフォン5が、その長手方向が水平方向を向く横向きで配置される。使用者が上部側の保持爪431を離すと、上記のバネ付勢により上部側の保持爪431が下降方向D132に動く。これにより、上部側の保持爪431と、下部側の保持爪421と、でスマートフォン5が挟持される。
【0028】
ここで、本実施例では、チルト部12において、チャッキング機構46を有する保持部4が、スマートフォン5の画面の面直方向に沿った回動軸O1を中心とした回動方向D14に回動自在に取り付けられている。上記のようにステップS15の段階では、スマートフォン5は横向き(その長手方向が水平方向を向いた状態)で保持されている。使用者が、このスマートフォン5を縦向き(その長手方向が上下方向を向いた状態)にして表示画面を見たいと考えた場合、次のステップS16によって、スマートフォン5を縦向きとすることができる。即ち、ステップS16では、スマートフォン5ごと、チャッキング機構46が、回動軸O1を中心として図中の時計回りに90°回動される。この回動によりスマートフォン5が縦向きとなる。また、この後、使用者が、スマートフォン5を横向きにして表示画面を見たいと考えた場合には、チャッキング機構46が図中の反時計回りに90°戻されて、スマートフォン5が横向きとされる。
【0029】
また、本実施例では、使用者は、保持機構10を引き出した後の任意のタイミングでフロントパネル部23を戻す。その結果、スマートフォン5の保持を行なった後の外観が、例えば
図2示されているような外観となる。スマートフォン5が外されて保持機構10が装置本体20に収納される際には、
図4に示されている手順とは逆の手順によって、保持機構10の収納が行われる。
【0030】
ここで、保持部4の詳細な形状について説明する。以下では、車両の前後方向(進行方向)をX方向とし、車幅方向(左右方向)をY方向とし、上下方向をZ方向とし、保持装置1は、スマートフォン5をX方向後方側に向けて(即ち画面がYZ平面に沿うように)保持するものとする。また、長方形状のスマートフォン5の短辺方向を幅方向とする。
【0031】
保持部4は、
図5に示すように、スマートフォン5の背面に位置してYZ平面に沿って延びる矩形板状の保持板部41と、保持板部41の一辺に配置された固定挟持部42と、保持板部41の背面に重ねられるとともに保持爪431を有する移動挟持部43と、移動挟持部43を固定挟持部42に近づけるように付勢する付勢手段と、を有する。尚、
図5は、スマートフォン5を保持していない状態(上記のステップS13の状態)を示しており、各部の寸法および位置関係については、特に説明がない限りこの状態を基準とする。
【0032】
固定挟持部42は、2つの保持爪421によって構成されている。2つの保持爪421は、保持板部41の外縁に沿って並ぶとともにスライド自在に設けられており、スマートフォン5の端縁に沿ってスライドして当接部として機能する。また、2つの保持爪421は、それぞれ範囲A1、A2においてスライド自在となっており、最接近状態において互いに所定の間隔をあけるとともに、最離隔状態において、保持板部41の隅部に位置する。また、固定挟持部42は、
図5に示す状態において、基部3の下端31と略同一高さ(同程度の高さ又はやや上方)に配置されている。
【0033】
保持部4が基部3によって軸支される回動軸(回動中心)O1は、矩形板状の基部3のY方向中央部に配置されている。また、回動軸O1は、挟持部42、43による挟持方向(Z方向)において、固定挟持部42よりも移動挟持部43の近くに配置されている。また、回動軸O1は、挟持方向との直交方向(Y方向)において、保持板部41の中央部に配置される。ここで、上記の直交方向における保持板部41の寸法の半分(即ち、回動軸O1からY方向における保持板部41の端縁411までの距離)をL1とし、Z方向における回動軸O1から固定挟持部42までの距離をL2とする。本実施例では、距離L2が距離L1よりも長い。また、距離L2は、所定寸法(例えば5インチ)のスマートフォン5の幅の略半分であるとともに、基部3のY方向寸法の略半分である。即ち、基部3のY方向寸法は、所定寸法のスマートフォン5の幅と略等しい。
【0034】
このような保持部4によって所定寸法のスマートフォン5を挟持するために移動挟持部43を移動させると、固定挟持部42と移動挟持部43との中間に回動軸O1が位置し、スマートフォン5の幅方向中央部と、回動軸O1と、が略一致する。
【0035】
ここで、
図5に示す状態から、保持部4を略90°回動させた様子(上記のステップS16の状態)を
図6に示す。このとき、固定挟持部42は、基部3のY方向一方側の端縁32に重なる。さらに、距離L2が距離L1よりも長いことから、回動後の保持板部41の端縁411は、回動前の固定挟持部42よりもZ方向において上方に位置する。
【0036】
図6に示す状態において、距離L2がスマートフォン5の幅の略半分であり、回動軸O1がY方向において基部3の中央部に配置され、固定挟持部42が基部3の端縁32に重なっていることから、所定寸法のスマートフォン5を挟持した際、移動挟持部43が他方側の端縁33に重なり、スマートフォン5及び基部3のY方向中央部同士が略一致する。また、所定寸法のスマートフォン5及び基部3のY方向両側の端縁同士が揃う。
【0037】
次に、フロントパネル部23及び保持機構10の詳細な形状及び寸法について、
図1、2に基づいて説明する。
【0038】
フロントパネル部23の上端面には、凹状の切欠き部232が形成されている。切欠き部232は、フロントパネル部23の幅方向(水平方向)中央部に配置され、フロントパネル部23の幅全体のうち1/3~1/2程度の範囲に形成されている。また、軸突起231はフロントパネル部23の下端近傍に配置されており、フロントパネル部23は、下端部を中心として、切欠き部232が形成された上端部が回動するようになっている。
【0039】
切欠き部232の深さD1は、スライド部11の厚さT1、及び、チルト部12のうち挟持部42、43以外の部分の厚さT2と略等しい。また、深さD1は、チルト部12のうち挟持部42、43における厚さT3よりも小さい。切欠き部232の幅W1は、スライド部11の幅W2、及び、チルト部12の幅W3と略等しい。即ち、スライド部11及びチルト部12の幅が、フロントパネル部23全体の幅よりも狭くなっている。尚、本実施例では、スライド部11及びチルト部はいずれも全体が板状に形成されており、これらの「幅」とは、幅方向(Y方向)寸法を意味する。また、スライド部が突没スライド方向(X方向)に沿って延びる一対のレール状部材によって構成される場合には、スライド部の「幅」は、一対のレール状部材の対向方向(Y方向)寸法を意味する。
【0040】
スライド部11及びチルト部12が装置本体20に収納された際、
図1に示すように、チルト部12が切欠き部232に位置付けられ、スライド部11及びチルト部12が装置本体20から引き出されてスマートフォン5を保持する際、
図2に示すように、スライド部11が切欠き部232に位置付けられる。尚、
図2に示すように、切欠き部232の幅W1よりも大きい長辺方向寸法を有するスマートフォン5を保持してもよいし、幅W1よりも小さい長辺方向寸法を有するスマートフォンを保持してもよい。
【0041】
上記の構成により、スライド部11及びチルト部12が装置本体20の正面から突没スライド自在に支持され、スライド部11の幅がフロントパネル部23の幅よりも狭いことで、フロントパネル部23の面積を確保しつつ別体のスマートフォン5を保持することができる。さらに、チルト部12の幅を狭くすると、チルト部12単体では、その背面に位置する構造物を隠しにくくなるものの、チルト部12にスマートフォン5を保持させることにより、その背面に位置する構造物を隠すことができ、意匠性を向上させることができる。
【0042】
スライド部11及びチルト部12は、使用者により手動で操作されることで、スライド動作およびチルト動作のための電動機構を設ける必要がなく、スライド部11及びチルト部12の幅を容易に狭くすることができる。
【0043】
フロントパネル部23に凹状の切欠き部232が形成されていることで、フロントパネル部23とスライド部11及びチルト部12との干渉を抑制することができる。
【0044】
フロントパネル部23が、装置本体20に対して回動および取り外し可能に構成されるとともに、挟持部42、43におけるチルト部12の厚さT3が切欠き部232の深さD1よりも大きいことで、スマートフォン5を挟持させやすくするとともに、挟持部42、43とフロントパネル部23との干渉を抑制することができる。フロントパネル部23を挟持部42、43に合わせた形状とする必要がなく、フロントパネル部23の面積を大きくすることができる。
【0045】
チルト部12が、保持部4と基部3とを備え、保持したスマートフォン5の向きを変更可能に構成されていることで、使用者はスマートフォン5を適宜な向きで使用することができる。
【0046】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、スライド部11及びチルト部12が使用者により手動で操作されるものとしたが、スライド動作やチルト動作のための電動機構が設けられてもよい。
【0048】
また、前記実施例では、フロントパネル部23に凹状の切欠き部232が形成されるものとしたが、フロントパネル部に貫通孔が形成されるとともに、この貫通孔にスライド部11又はチルト部12が配置されることにより、干渉が抑制されていてもよい。
【0049】
また、前記実施例では、挟持部42、43におけるチルト部12の厚さT3が切欠き部232の深さD1よりも大きいものとしたが、厚さT3が深さD1以下であってもよい。このような構成によれば、スライド部11をスライドさせてチルト部12を引き出す際に、フロントパネル部23を回動させたり取り外したりする必要がない。
【0050】
また、前記実施例では、チルト部12が保持したスマートフォン5の向きを変更可能に構成されているものとしたが、保持装置は、スマートフォンを一定の向きで保持して使用するものであってもよい。
【0051】
また、前記実施例では、保持機構10がスライド部11及びチルト部12を備えるものとしたが、保持機構は少なくともスライド部を備えていればよく、引き出されたスライド部に被保持部が載置されることにより、被保持部が保持される構成としてもよい。
【0052】
また、前記実施例では、保持装置1がスマートフォンを保持するものとしたが、保持対象である被保持物は、画面を有するものであればよく、例えば通信機能を有しておらず単に記録媒体に記憶された映像等を再生する再生機器であってもよい。また、被保持物が携帯機器である場合、その携帯機器は、本実施例のようにスマートフォンに限るものでもなく、例えばタブレット端末やゲーム機器等であってもよい。
【0053】
また、前記実施例では、保持装置が車両のインストルメントパネルに設けられるものとしたが、保持装置は、船舶や航空機等、車両以外の移動体に設けられてもよいし、建物内の壁や家具等に設けられてもよい。
【0054】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施例に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。