(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023061965
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】スポーツ衣料用の緩衝要素及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A43B 13/04 20060101AFI20230425BHJP
A43B 5/00 20220101ALI20230425BHJP
A43B 7/32 20060101ALI20230425BHJP
A43B 13/18 20060101ALI20230425BHJP
A63B 71/12 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A43B13/04 A
A43B5/00
A43B7/32
A43B13/18
A63B71/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010390
(22)【出願日】2023-01-26
(62)【分割の表示】P 2019188956の分割
【原出願日】2014-02-06
(31)【優先権主張番号】10 2013 202 291.3
(32)【優先日】2013-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】14152906.5
(32)【優先日】2014-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】アンガス ワードロウ
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート デイビッド ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エドワード ホルムズ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルー リ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スポーツ衣料用の改良された緩衝要素、詳細にはスポーツシューズ用ソールが記載されている。
【解決手段】本発明のある態様によれば、第1の変形要素110を含むスポーツ衣料用の緩衝要素100が提供されている。該変形要素は、発泡材料の複数の無作為に配置された粒子を含み、該粒子の内部におよび/または該粒子間に第1の空隙120が存在する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ衣料用の緩衝要素(100;300;400;505;600;700;80
0;905)であって、
a.発泡材料の複数の無作為に配置された粒子(120;200;320;820;9
20)を含む第1の変形要素(110;310;410;510;610;710;81
0;910)
を含み、
b.前記粒子(120;200;320;820;920)の内部におよび/またはそ
れらの間に第1の空隙(130;230;330;830;930)が存在する、
緩衝要素。
【請求項2】
前記発泡材料の前記粒子(120;200;320;820;920)は、リング型、
長円形、四角形、多角形、円形、長方形、星型、の1つまたは複数の横断面形状を含む、
請求項1に記載の緩衝要素(100;300;400;505;600;700;800
;905)。
【請求項3】
前記第1の変形要素(110;310;410;510;610;710;810;9
10)は、前記発泡材料の前記粒子(120;200;320;820;920)を鋳型
内に挿入することと、前記鋳型内への前記挿入後、前記発泡材料の前記粒子を加熱工程お
よび/または加圧工程および/または蒸し加熱工程に晒すこととにより製造される、請求
項1または2に記載の緩衝要素(100;300;400;505;600;700;8
00;905)。
【請求項4】
前記鋳型内への前記挿入前に、前記粒子(120;200;320;820;920)
は、10~150g/l、好ましくは10~100g/l、特に好ましくは10~50g
/lの密度を含む、請求項3に記載の緩衝要素(100;300;400;505;60
0;700;800;905)。
【請求項5】
前記第1の変形要素(110;310;410;510;610;710;810;9
10)は、前記発泡材料の前記粒子(120;200;320;820;920)を、後
に除去されるかまたは前記第1の変形要素(110;310;410;510;610;
710;810;910)の前記第1の空隙の内部に少なくとも部分的に残存するさらな
る材料と混合することにより製造される、請求項1から4のいずれか一項に記載の緩衝要
素(100;300;400;505;600;700;800;905)。
【請求項6】
固化液(330)が前記第1の変形要素(310)の前記第1の空隙(330)内に存
在する、請求項5に記載の緩衝要素(300)。
【請求項7】
前記第1の空隙(130;230;830;930)は、空気が中に捕捉される1つま
たは複数の空洞を形成する、請求項1から6のいずれか一項に記載の緩衝要素(100;
400;505;600;700;800;905)。
【請求項8】
前記第1の空隙(130;230;830;930)は、空気および/または液体を通
す、前記第1の変形要素(110;410;510;610;710;810;910)
を貫通する1つまたは複数のチャネルを形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載
の緩衝要素(100;400;505;600;700;800;905)。
【請求項9】
補強要素(420;430;520;950)、詳細には織物補強要素(420)およ
び/または膜様補強要素(430)および/または繊維様補強要素(420)をさらに含
む、請求項1から8のいずれか一項に記載の緩衝要素(400;505;905)。
【請求項10】
前記補強要素は、熱可塑性ウレタンを含む膜(430)として設けられている、請求項
9に記載の緩衝要素(400)。
【請求項11】
前記補強要素(420;430;520)は、前記第1の変形要素(410;510)
内の前記1つまたは複数のチャネルを通過する空気および/または液体が前記補強要素の
少なくとも1つの開口部(530)を通って少なくとも一方向に通過することができるよ
うに配置されている前記少なくとも1つの開口部(530)を含む、請求項8と組み合わ
せて請求項9または10に記載の緩衝要素(400;505)。
【請求項12】
前記第1の変形要素(610;710)は前記緩衝要素(600;700)の第1の部
分領域を占め、前記緩衝要素は第2の変形要素(620;720)をさらに含む、請求項
1から11のいずれか一項に記載の緩衝要素(600;700)。
【請求項13】
前記第2の変形要素(620;720)は発泡材料の複数の無作為に配置された粒子を
含み、前記第2の変形要素(620;720)の前記粒子の内部におよび/または前記粒
子間に第2の空隙が存在し、前記第2の空隙は、前記第1の変形要素(610;710)
の前記第1の空隙より平均して小さい、請求項12に記載の緩衝要素(600;700)
。
【請求項14】
前記緩衝要素(505;905)は、シューズ(500;900)のソールの少なくと
も一部として、詳細にはミッドソールの少なくとも一部としてまたはインソールの少なく
とも一部として設けられている、請求項1から13のいずれか一項に記載の緩衝要素(5
05;905)。
【請求項15】
請求項14に記載の少なくとも1つの緩衝要素(505;905)を含む、シューズ(
500;900)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスポーツ衣料用の緩衝要素に関し、詳細には、スポーツシューズ用ソールに関
する。
【背景技術】
【0002】
緩衝要素がスポーツ衣料の分野で大きな役割を果たしており、極めて多様な種類のスポ
ーツ用の衣類に使用されている。代表的に、ウィンタースポーツ衣料、ランニングウェア
、アウトドア衣類、フットボールウェア、ゴルフ衣類、格闘技用衣料等がここで挙げられ
てもよい。一般に、緩衝要素は、例えば着用者が転んだ場合に着用者を衝撃または打撃か
ら保護し、かつ当て物をするのに役立つ。このため、緩衝要素は、通常、圧力または衝撃
という外的影響(external effect)下で変形し、それにより衝撃エネルギーを吸収する
1つまたは複数の変形要素を含む。
【0003】
特に重要な役割が、シューズ、特にスポーツシューズの構造における緩衝要素によるも
のである。ソールの形の緩衝要素により、シューズには、シューズの特定の種類によって
大きく異なる可能性がある多数の異なる特性が備わっている。主として、シューソールは
保護機能を有する。シューシャフトの剛性より高いシューソールの剛性により、それらは
、例えばシューズの着用者が踏む可能性がある先の尖った物体または鋭利な物体に起因す
る傷害に対して各着用者の足を保護する。さらに、シューソールは、その磨耗耐性の増強
によって、通常、過剰な磨耗からシューズを保護する。さらに、シューソールは各地面上
でのシューズの接触を向上させ、それにより、より速い動きを可能にする。シューソール
のさらなる機能が一定の安定性をもたらすことにあってもよい。さらに、シューソールが
、例えばシューズと地面との接触により生じる影響を緩和するために、緩衝効果を有する
可能性がある。最後に、シューソールは、泥または水しぶきから足を保護することができ
、および/または多種多様な他の機能を提供することができる。
【0004】
多数の機能に対応するために、スポーツ衣料用の緩衝要素を製造するために使用するこ
とができる様々な材料が、先行技術から既知である。
【0005】
代表的に、ここで、シューソールの形で、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポ
リウレタン(TPU)、ゴム、ポリプロピレン(PP)、またはポリスチレン(PS)で
作製されている緩衝要素を参照する。これら異なる材料の各々は、各シューズタイプの特
定の要件に応じて、特定のシューズタイプのソールに多かれ少なかれ適合した、異なる特
性の特定の組合せを実現する。例えば、TPUは非常に磨耗耐性かつ引裂耐性(tear-res
istant)である。さらに、EVAは、その高い安定性および比較的良好な緩衝特性によっ
て知られている。さらに、発泡材料、詳細には発泡熱可塑性ウレタン(eTPU)、の使
用は、シューソールの製造のために考慮に入れられた。発泡熱可塑性ウレタンは、低重量
、ならびに弾性および緩衝性の特に良好な特性を有する。さらに、国際公開第2005/
066250号パンフレットによれば、発泡熱可塑性ウレタンのソールを、付加的な接着
剤を用いずにシューシャフトに接続することができる。
【0006】
さらに、米国特許出願公開第2005/0150132A1号が、通常の使用中に使用
者の足による踏み面上の圧力によってビーズが周囲に移動することができるように、踏み
面内に詰め込まれている小ビーズで構築されている履き物(例えば、シューズ、サンダル
、ブーツ等)を開示している。独国特許出願公開第10 2011 108 744A1
号が、シューズのためのソールまたはソールの一部の製造のための方法を開示している。
国際公開第2007/082838A1号パンフレットが、熱可塑性ポリウレタンに基づ
く発泡体を開示している。米国特許出願公開第2011/0047720A1号が、履き
物品のためのソール組立体を製造する方法を開示している。最後に、国際公開第2006
/015440A1号パンフレットが、複合材料を形成する方法を開示している。
【0007】
しかし、先行技術から既知の緩衝要素、詳細には既知のシューソール、の1つの欠点が
、これらの通気性が低いことである。このことは、衣類の下での発汗または蓄熱を増大さ
せるので、緩衝要素を含むスポーツ衣類の着用の快適さをかなり抑制する可能性がある。
これは、特に衣類がより長期間に、例えば徒歩旅行もしくはゴルフのラウンド中またはウ
ィンタースポーツ中に、継続的に着用された場合、不利である。さらに、緩衝要素は、ス
ポーツ衣類の全重量を少なからず増加させることが多い。このことは、特に持久スポーツ
またはランニングにおいて、着用者のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/066250号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0150132A1号
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2011 108 744A1号
【特許文献4】国際公開第2007/082838A1号パンフレット
【特許文献5】米国特許出願公開第2011/0047720A1号
【特許文献6】国際公開第2006/015440A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術を発端として、したがって、本発明の目的は、スポーツ衣料用の、詳細にはス
ポーツシューズ用ソールのための、より良い緩衝要素を提供することである。本発明のさ
らなる目的が、そのような緩衝要素の通気性を向上させること、およびその重量をさらに
低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、この問題は、発泡材料の複数の無作為に配置された粒子
を有する第1の変形要素を含む、スポーツ衣料用の、詳細にはスポーツシューズのソール
のための、緩衝要素により解決され、粒子の内部におよび/または粒子間に第1の空隙が
存在する。
【0011】
スポーツ衣類の緩衝要素のための変形要素を構築するための発泡材料の使用は、この材
料が非常に軽く、同時に非常に良好な緩衝特性を有するので、特に有利である。粒子は特
に容易に取り扱うことができかつ製造中に配向が不要なので、発泡材料の無作為に配置さ
れた粒子の使用により、そのような緩衝要素の製造がかなり容易になる。そのため、例え
ば、圧力下でまたは搬送流体を使用することにより、変形要素もしくは緩衝要素それぞれ
を製造するために使用される鋳型内に粒子を充填することができる。発泡材料の粒子間の
またはそれらの内部の空隙によって、変形要素およびしたがって緩衝要素の重量はずっと
低減する。
【0012】
好適な実施形態では、発泡材料の粒子は以下の材料、すなわち発泡エチレン酢酸ビニル
、発泡熱可塑性ウレタン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリアミド、発泡ポリエーテルブロ
ックアミド、発泡ポリオキシメチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリ
オキシエチレン、発泡エチレンプロピレンジエンモノマー、の1つまたは複数を含む。特
定の要件プロファイル(requirement profile)によれば、これらの材料の1つまたは複
数を、それらの物質固有の特性によって、製造に有利に使用することができる。
【0013】
さらに好適な実施形態では、発泡材料の粒子は、以下の横断面形状、すなわちリング型
、長円形、四角形、多角形、円形、長方形、星型、の1つまたは複数を有する。粒子の形
態により、サイズ、配置、粒子間のまたはそれらの内部の空隙の形状、およびしたがって
完成変形要素の密度が影響を受ける可能性がある。このことは、それらとしては、緩衝要
素の重量、断熱、および通気性に影響を及ぼす可能性がある。
【0014】
本発明の別の態様によれば、第1の変形要素は、発泡材料の粒子を鋳型内に挿入するこ
とと、鋳型内への前記挿入後、それらを加熱工程および/または加圧工程および/または
蒸し加熱工程に暴露することとにより製造される。それにより、粒子の表面を少なくとも
部分的に融解することができ、その結果、粒子の表面は冷却後に結合する。さらに、また
、粒子は、加熱工程および/または加圧工程および/または蒸し加熱工程によって、化学
反応により結合を形成することができる。そのような結合は極めて強固で耐久性があり、
さらなる結合剤、例えば接着剤、の使用を必要としない。
【0015】
これにより、第1の変形要素の必要な安定性を失うおそれなしに、発泡材料の無作為に
配置された粒子の「緩い」配置を含む第1の変形要素を備え、無作為に配置された粒子間
に空隙およびまたチャネルもしくは空洞(以下を参照)、またはさらにはそのような空隙
、チャネルおよび空洞のネットワークがある、緩衝要素の製造が可能になる。少なくとも
部分的に粒子表面を溶解することにより、例えば蒸し加熱工程または何か他の工程により
、結果として得られる結合は、詳細にはそのような第1の変形要素または緩衝要素の表面
に配置されている粒子が該要素の使用中に「もぎ取られ」ないことを確実にするのに十分
に強い。
【0016】
さらに、これにより、製造が、とりわけより簡単に、より安全に、より費用効果的に、
より環境に優しくなる。例えば圧力または処理の継続時間を調整することにより、発泡材
料の粒子間の空隙のサイズおよび形状が影響を受ける可能性があり、それは、既に述べた
通り、緩衝要素の重量、断熱、および通気性に影響を及ぼす可能性がある。
【0017】
好適な実施形態では、粒子は、鋳型内に挿入される前に、10~150g/l、好まし
くは10~100g/l、および特に好ましくは10~50g/l、の密度を含む。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、第1の変形要素は、発泡材料の粒子を、後で除去され
るかまたは第1の変形要素の第1の空隙内に少なくとも部分的に残存するさらなる材料と
混合することにより製造することができる。これにより、一方で、粒子間に形成している
空隙の特性にさらに影響を及ぼすことが可能になる。他方では、第2の材料が空隙から完
全に除去されなかった場合、それにより変形要素の安定性を高めることができる。
【0019】
さらなる実施形態では、固化液が変形要素の第1の空隙内に存在する。この固化液は、
例えば、ある形態に発泡材料の粒子を充填するために使用されかつ加熱工程/加圧工程/
蒸し加熱工程中に固体化した搬送流体であってもよい。あるいは、また、鋳型内に挿入さ
れた粒子は、加熱処理/加圧処理/蒸し加熱処理中に該液体で継続的に被覆することがで
き、それにより前記液体は徐々に固体化する。
【0020】
第1の空隙は、空気が中に捕捉される1つまたは複数の空洞を形成することが好ましい
。このようにして、緩衝要素の断熱は高められる可能性がある。
【0021】
当然のことながら、空気が、固形物、例えば発泡材料の粒子より低い熱伝導を含むこと
ができる。したがって、第1の変形要素に空気で満たされた空洞を散在させることにより
、着用者の足が例えば足を通した体温の低下に対してより良く断熱されるように、第1の
変形要素およびしたがって緩衝要素の全体的な熱伝導を低減することができる。
【0022】
原則として、また、空洞は別の種類の気体または液体をそれらの内部に捕捉することが
でき、またはそれらは空にすることができる。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、第1の空隙は、空気および/または液体を通す、第1
の変形要素を貫通する1つまたは複数のチャネルを形成する。それにより、変形要素の通
気性が高まる。
【0024】
この場合、無作為に配置された粒子の使用は特に有利である。無作為の配置により、そ
のようなチャネルは、粒子が鋳型内に充填された場合、粒子の特定の配置を必要とせずに
、一定の統計的確率で単独で発達する。このことにより、そのような変形要素の製造経費
が大幅に低減する。
【0025】
当然のことながら、一般に、第1の空隙のいくつかは、それらの内部に空気を捕捉する
1つまたは複数の空洞を形成する可能性があり、第1の空隙のいくつかは、空気および/
または液体を通す、第1の変形要素にわたる1つまたは複数のチャネルを形成する可能性
がある。
【0026】
無作為に配置された粒子間の第1の空隙が、主に、それらの内部に空気を捕捉する空洞
を形成しているかどうか、または、主に、前述のチャネルを形成しているかどうかは、無
作為に配置された粒子のサイズ、形状、材料、密度等に、かつまた温度、圧力、粒子のパ
ッキング密度等のような製造パラメータに、左右される可能性がある。それはまた、第1
の変形要素上の圧負荷に左右される可能性がある。
【0027】
例えば、シューズのヒール領域または足前方部領域内に配置されている第1の変形要素
は、歩行周期中、例えばヒール上での着地または足前方部上での蹴出し(push-off)の間
に、強い圧縮を経るであろう。そのような圧負荷下で、第1の変形要素を貫通する可能性
のあるチャネルが、圧縮され変形した無作為に配置された粒子により封止される可能性が
ある。また、着地または蹴出しの間、足はシューズの内面に密接に接触している可能性が
ある。これにより、ソールの通気性が低減する可能性があると考えられる。しかし、チャ
ネルの封止は、第1の変形要素の内部でのさらなる空洞の形成を引き起し、それらの内部
に空気を捕捉する可能性があり、したがってソールの断熱を高める可能性があり、これは
、ここでは大量の体温が失われる可能性があり得るため、ソールが地面に接触している場
合に特に重要である。
【0028】
他方では、足の蹴出し後、第1の変形要素の無作為に配置された粒子は再膨張し、チャ
ネルを再度開かせる可能性があると考えられる。また、膨張状態では、負荷状態にある空
洞のいくつかが開き、空気および/または液体を通す、第1の変形要素を貫通するチャネ
ルを形成する可能性があると考えられる。また、足はもはや、歩行周期のような期間にシ
ューズの内面と密接に接触していない可能性がある。したがって、この段階の間に通気性
が高められる可能性があると考えられる一方、断熱が低下する可能性があると考えられる
。
【0029】
圧縮状態に応じた、第1の変形要素の内部でのチャネルの形成と空洞の形成の間のこの
相互作用は、第1の変形要素を通る空気流に対して好適な方向、例えば第1の変形要素の
圧縮および再膨張の方向、をもたらす可能性がある。シューズのソールに配置されている
第1の変形要素では、例えば、歩行周期中の足から地面への方向の圧縮および再膨張は、
地面から第1の変形要素を通って足またはシューズの外までの方向に空気流を誘導し制御
する可能性がある。
【0030】
そのような誘導された空気流を、詳細には、発泡材料の無作為に配置された粒子、例え
ばeTPU、を含む第1の変形要素によりもたらされる高いエネルギー戻し(energy ret
urn)と組み合わせて有利に利用することができる。例えば、eTPUの無作為に配置さ
れた粒子を含む足前方部領域に配置されている第1の変形要素は、一方では、爪先上で蹴
り出す場合、着用者の足に高いエネルギー戻しをもたらす。他方、また、蹴出し後の第1
の変形要素の再膨張は、足前方部領域内へ誘導されたまたは方向付けられた空気の流入を
引き起し、足の良好な換気および冷却をもたらすことができる。第1の変形要素の再膨張
は、さらに、吸引効果を引き起し、空気を第1の変形要素を通してチャネル内に吸引する
可能性があり、したがって、足の換気および冷却をさらに促進する可能性がある。そのよ
うな効率的な冷却は、着用者の足にさらなる「エネルギー」をもたらすことができ、一般
に、アスリートのパフォーマンス、健全性、持久力を向上させる。
【0031】
上記例は、具体的には、足前方部領域に配置されている第1の変形要素を対象にしたが
、その主目的は、第1の変形要素を備えた、発明の緩衝要素の実施形態により実現される
可能性があるエネルギー戻しと方向付けられた空気流との有利な組合せを例示することで
あった。この効果もまた、ソールの他の領域でまたは完全に異なるスポーツ衣料において
有利に用いることができることが当業者には明らかである。本明細書において、圧縮およ
び再膨張の方向ならびに空気流の誘導の方向は、第1の変形要素の特定の配置およびその
意図された用途に応じて変化する可能性がある。
【0032】
さらに、また、緩衝要素の製造は、空気および/または液体を通す、第1の変形要素を
貫通する1つまたは複数の所定のチャネルの構築を含むことが可能である。
【0033】
このことにより、例えば緩衝要素の通気性に対して、断熱特性の平衡をさらに保つこと
が可能になる。所定のチャネル(複数可)は、例えば、緩衝要素の製造に使用される鋳型
内の対応する突出部または針により構築されてもよい。
【0034】
さらなる自由選択の実施形態では、緩衝要素は、補強要素、詳細には織物補強要素およ
び/または膜様補強要素および/または繊維様補強要素をさらに含む。このことにより、
非常に低い密度/非常に低い重量および多数の空隙を有する変形要素を製造すること、な
らびに同時に変形要素の必要な安定性を確実にすることが可能になる。
【0035】
ある好適な実施形態では、補強要素は、熱可塑性ウレタンを含む膜として設けられる。
熱可塑性ウレタン膜は、発泡材料の粒子、特に発泡熱可塑性ウレタン粒子と組み合わせた
使用に特によく適する。
【0036】
さらに、好適な実施形態では、膜は、少なくとも一方向に空気および/または液体に透
過性で設けることができる。そのため、膜は、例えば、一方向または両方向に空気に透過
性であってもよいが、前記膜は、一方向のみに液体に透過性であってもよく、したがって
、外部からの水分、例えば水、に対して保護することができる。
【0037】
ある特に好適な実施形態では、第1の空隙が、第1の変形要素を貫通する、空気および
/または液体を通す1つまたは複数のチャネルを形成している緩衝要素が、補強要素、詳
細には織物補強要素および/または膜様補強要素、特に熱可塑性ウレタンを含む膜、およ
び/または繊維様補強要素と組み合わせられ、それにより、補強要素は、第1の変形要素
内の1つもしくは複数のチャネルを通過する空気および/または液体が補強要素の少なく
1つの開口部を通って少なくとも一方向に通過することができるように配置されている少
なくとも1つの開口部を含む。このことにより、チャネルによってもたらされる通気性に
影響を及ぼすことなく、変形要素の十分な安定性が可能になる。補強要素の少なくとも1
つの開口部が、例えば足から外部に向かう方向に液体のみを通す場合、補強要素はまた、
外部からの水分から保護するのに役立つことができる。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、第1の変形要素は緩衝要素の第1の部分領域を持ち上
げ、緩衝要素は第2の変形要素をさらに含む。それにより、緩衝要素の特性は異なる領域
において選択的に影響を受ける可能性があり、それにより、構造的自由および大きな影響
を及ぼす可能性が増大する。
【0039】
ある好適な実施形態では、第2の変形要素は、発泡材料の複数の無作為に配置された粒
子を含み、それにより、第2の変形要素の粒子の内部におよび/または粒子間に、平均し
て第1の変形要素の第1の空隙より小さい第2の空隙がもたらされる。この場合、平均し
てより小さい第2の空隙のサイズは、例えば、第2の変形要素の発泡材料の密度が高く、
したがって安定性および変形剛性がより高く、しかしまた通気性がより低い可能性がある
ことを意味する。異なる変形要素を(平均して)異なるサイズの空隙と組み合わせること
により、したがって、変形要素の特性は異なる領域において選択的に影響を受ける可能性
がある。
【0040】
例えば、第1の変形要素内に無作為に配置された粒子および製造パラメータは、空気お
よび/または液体を通し、したがってこの領域に良好な通気性を作り出す、第1の変形要
素全体にわたるチャネルを主に形成するように、第1の空隙が選択されることが考えられ
る。第2の変形要素内に無作為に配置された粒子および製造パラメータは、第2の空隙が
空気を内部に捕捉する空洞を主に形成し、したがってこの領域に良好な断熱を作り出すよ
うに選択されてもよい。逆もまた考えられる。
【0041】
ある特に好適な実施形態では、緩衝要素は、シューソールの少なくとも一部として、詳
細にはミッドソールの少なくとも一部として、設計される。さらに好適な実施形態では、
緩衝要素はシューズのインソールの少なくとも一部として設計される。本明細書により、
各々異なる特性を備えた変形要素の様々な実施形態を、互いに組み合わせることができお
よび/またはソールおよび/もしくはミッドソールおよび/もしくはインソールの好適な
領域に配置することができる。例えば、爪先領域および足前方部領域は、空気に対する透
過性が可能にされるべき好適な領域である。さらに、中間領域は、より良好な安定性を確
実にするために、より非柔軟に構成されていることが好ましい。シューズの歩行状態を最
適に支持するために、ソールのヒール領域および足前方部領域は、特定の詰め物を有する
ことが好ましい。異なるシューズタイプおよびスポーツの種類に関する極めて多様な要件
により、ソールを、本明細書に記載されている態様に従って、要件にちょうど適合させる
ことができる。
【0042】
本発明のさらなる態様によれば、異なる領域または異なる変形要素をそれぞれ緩衝要素
内に配置する可能性が、これらを製造工程において一体に製造することにある。これを行
うために、例えば、鋳型に発泡材料の1つまたは複数の種類の粒子と共に装填される。例
えば、鋳型の第1の部分領域に、発泡材料の第1の種類の粒子が装填され、鋳型の第2の
部分領域に、第2の種類の粒子が装填される。該粒子は、それらの出発材料、それらのサ
イズ、それらの密度、それらの色等が異なっている可能性がある。さらに、また、鋳型の
個々の粒子領域に、非発泡材料が装填されてもよい。粒子の挿入後、必要であれば、さら
なる材料が鋳型内に入れられ、本明細書に既に記載されている通り、これらは加圧工程お
よび/または蒸し加熱工程および/または加熱工程にかけられてもよい。鋳型の個々の部
分領域における、例えば圧力、処理の継続時間、温度等の、加圧工程および/または蒸し
加熱工程および/または加熱工程のパラメータの適切な選択により、かつ適切な道具調整
および機械調節により、製造された緩衝要素の特性は、個々の部分領域においてさらに影
響を受ける可能性がある。
【0043】
本発明のさらなる態様が、シューズ、詳細には前述の実施形態の1つによるソール、詳
細にはミッドソールおよび/またはインソールを備えたスポーツシューズに関する。本明
細書により、記載の実施形態の異なる態様および本発明の態様を、ソールおよびシューズ
に関する要件プロファイルに従って有利に組み合わせることができる。さらに、個々の態
様がシューズの各意図されている用途にとって重要でない場合、それらを除外することが
できる。
【0044】
以下の詳細な説明では、本発明による緩衝要素の現在好適な実施形態が、以下の図を参
照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】ミッドソールとして構成されている緩衝要素の実施形態の図である。
【
図2】長円形横断面形状を有する、発泡材料の粒子の実施形態の図である。
【
図3】ミッドソールとして提供されている緩衝要素の実施形態の図であり、固化液が第1の空隙内に存在する図である。
【
図4】第1の補強要素および第2の膜様補強要素を備えたミッドソールとして提供されている緩衝要素の実施形態の図である。
【
図5】ソールとして構成されている緩衝要素と、空気および液体を通す一連の開口部を含む補強要素とを備えた、本発明の態様によるシューズの横断面図である。
【
図6】ミッドソールとして提供されており、かつ緩衝要素の第1の部分領域を構成する変形要素を備えた、緩衝要素のさらなる実施形態の図である。
【
図7】本発明のさらなる態様による、第1の変形要素および第2の変形要素を含むミッドソールとして構成されている緩衝要素の図である。
【
図8a】無作為に配置された粒子の圧縮および再膨張の、第1の変形要素を通る空気流に対する影響の図である。
【
図8b】無作為に配置された粒子の圧縮および再膨張の、第1の変形要素を通る空気流に対する影響の図である。
【
図9a】本発明による緩衝要素の実施形態を含む、本発明によるシューズの実施形態の図である。
【
図9b】本発明による緩衝要素の実施形態を含む、本発明によるシューズの実施形態の図である。
【
図9c】本発明による緩衝要素の実施形態を含む、本発明によるシューズの実施形態の図である。
【
図9d】本発明による緩衝要素の実施形態を含む、本発明によるシューズの実施形態の図である。
【
図9e】本発明による緩衝要素の実施形態を含む、本発明によるシューズの実施形態の図である。
【
図9f】本発明による緩衝要素の実施形態を含む、本発明によるシューズの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の詳細な説明では、本発明の現在好適な実施形態が、ミッドソールに関して記載さ
れている。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが指摘される。例えば
、また、本発明は、インソールおよび他のスポーツウェア、例えばすね当て、格闘技用の
防護衣、ウィンタースポーツ衣料用の肘領域または膝領域の緩衝要素等、に使用されても
よい。
【0047】
図1は、変形要素110を含む、本発明の態様によるミッドソールの一部として構成さ
れている緩衝要素100を示している。変形要素110は、発泡材料の複数の無作為に配
置された粒子120を有し、それにより、第1の空隙130が、粒子120の内部におよ
び/またはそれらの間に含まれている。
【0048】
図1に示されている実施形態では、変形要素110は、緩衝要素100全体を構成して
いる。しかし、さらなる好適な実施形態では、変形要素110は、緩衝要素100の1つ
だけまたは複数の部分領域を占めている。また、緩衝要素100は、各々が緩衝要素10
0の部分領域を形成しているいくつかの変形要素110を含むことが可能である。それに
より、緩衝要素100の様々な部分領域内の異なる変形要素110は、同じ発泡材料また
は異なる発泡材料の粒子120を含んでいてもよい。各変形要素110の発泡材料の粒子
120間の空隙130は各々、平均して、同じサイズまたは異なるサイズを有していても
よい。
【0049】
空隙の平均サイズは、例えば、製造された変形要素の既定サンプル量、例えば製造され
た変形要素の1cm3における空隙の容積、を決定することにより、決定される。空隙の
平均サイズを決定するさらなる可能性が、例えば、特定の数の空隙、例えば10個の空隙
、の直径を測定することであり、その後、測定値の平均値を出すことである。空隙の直径
として、例えば各空隙の壁間の最大距離および最小距離が問題になる可能性があり、さも
なければ当業者が一貫して測定することができる別の値である。
【0050】
異なる発泡材料および/または空隙130の異なる平均サイズの適切な組合せにより、
緩衝要素100の構築に関する異なる特性を有する変形要素110は互いに組み合わせる
ことができる。それにより、緩衝要素100の特性は、選択により局所的に影響を受ける
可能性がある。
【0051】
ここで、
図1に示されている通り、本発明の1つまたは複数の態様による緩衝要素10
0は、シューソールの製造に適しているばかりでなく、他のスポーツ衣料の分野でも有利
に使用することができることが再度指摘されなければならない。
【0052】
ある好適な実施形態では、発泡材料の粒子120は、詳細には以下の材料、すなわち発
泡エチレン酢酸ビニル(eEVA)、発泡熱可塑性ウレタン(eTPU)、発泡ポリプロ
ピレン(ePP)、発泡ポリアミド(ePA)、発泡ポリエーテルブロックアミド(eP
EBA)、発泡ポリオキシメチレン(ePOM)、発泡ポリスチレン(ePS)、発泡ポ
リエチレン(ePE)、発泡ポリエチレン(ePOE)、発泡ポリオキシエチレン(eP
OE)、発泡エチレンプロピレンジエンモノマー(eEPDM)、の1つまたは複数を含
むことができる。
【0053】
これら材料の各々は、緩衝要素100の各要件プロファイルによれば、製造に有利に用
いることができる特定の性質を有する。そのため、詳細には、eTPUは、より高温また
はより低温でも不変のままである優れた緩衝特性を有する。さらに、eTPUは非常に弾
性で、圧縮中に蓄積されたエネルギーをその後の膨張中に殆ど完全に戻す。このことは、
シューソールに使用される緩衝要素100の実施形態において特に有利である。
【0054】
そのような緩衝要素100を製造するために、本発明のさらなる態様によれば、発泡材
料の粒子120を鋳型内に導入し、鋳型の充填後に加熱工程および/または加圧工程およ
び/または蒸し加熱工程に晒すことができる。加熱工程および/または加圧工程および/
または蒸し加熱工程のパラメータを変えることにより、製造された緩衝要素の特性はさら
に影響を受ける可能性がある。そのため、詳細には、粒子120が鋳型内で晒される圧力
により、製造された緩衝要素の結果として得られる厚さ、または空隙130の形状もしく
はサイズそれぞれに影響を及ぼすことが可能である。また、空隙130の厚さおよびサイ
ズは、それにより、粒子120を鋳型内に挿入するために用いられる圧力に左右される。
そのため、例えば、一実施形態では、粒子120は圧縮空気または搬送流体により鋳型内
に導入されてもよい。
【0055】
製造された緩衝要素100の厚さは、鋳型の充填前の発泡材料の粒子120の(平均)
密度によりさらに影響を受ける。一実施形態では、鋳型の充填前、この密度は、10~1
50g/l間の範囲、好ましくは10~100g/l間の範囲、特に好適には10~50
g/l間の範囲にある。これらの範囲は、スポーツ衣料用、特にシューズのソール用の緩
衝要素100の製造に特に有利であることが分かった。しかし、スポーツ衣料用の特定の
要件プロファイルによれば、他の密度もまた想像できる。そのため、より高い密度が、例
えばより高い力を吸収しなければならないすね当ての緩衝要素100のために考慮に入れ
られる一方、袖の緩衝要素100では、例えば、より低い密度もまた可能である。一般に
、粒子120の密度を適切に選択することにより、緩衝要素100の特性は、各要件プロ
ファイルに従って有利に影響を受ける可能性がある。
【0056】
当然のことながら、本明細書に記載されている製造の方法、選択肢、パラメータにより
、
図1に示されている通り、無作為に配置された粒子120の「緩い」配置を含む第1の
変形要素110を備えた緩衝要素100の製造が可能になる。チャネルまたは空洞(以下
を参照)またはさらには空隙ネットワークをさらに形成する可能性がある第1の空隙13
0、無作為に配置された粒子120間にあるチャネルおよび空洞の存在下においても、第
1の変形要素110の必要な安定性をもたらすことができる。例えば、粒子120の表面
を少なくとも部分的に融解することにより、例えば蒸し加熱工程または何か他の工程によ
り、結果として得られる結合は、詳細にはそのような第1の変形要素110または緩衝要
素100の表面に配置されている粒子120が使用中に「もぎ取られ」ないことを確実に
するのに十分強い。
【0057】
本発明のさらなる態様によれば、緩衝要素100の製造用の発泡材料の粒子120は、
第1に、さらなる材料と混合される。これは、別の発泡材料または非発泡材料の粒子、粉
末、ジェル、液体等である可能性がある。好適な実施形態では、ワックス含有材料または
ワックスのように作用する材料が使用される。好適な実施形態では、追加材料が、後の製
造ステップにおいて、例えば該混合物を鋳型内に充填するステップおよび/または加熱工
程および/または加圧工程および/または蒸し加熱工程の後、空隙130から除去される
。追加材料は、例えば、さらなる加熱処理により、圧縮空気により、または溶媒により、
空隙130から再度除去することができる。さらなる材料および粒子130の量とさらな
る材料の量との間の比の適切な選択、ならびにさらなる材料が再度除去される方法により
、変形要素110およびそれによる緩衝要素110の特性、詳細には空隙130の形状お
よびサイズ、は影響を受ける可能性がある。しかし、本発明の別の実施形態では、追加材
料は空隙130内に少なくとも部分的に残存している。このことは、例えば、緩衝要素1
00の安定性および/または引張強度に肯定的影響を及ぼす。
【0058】
本発明のさらなる態様によれば、また、粒子120は様々な横断面形状を示し得る。例
えば、リング型、長円形、四角形、多角形、円形、長方形、または星型の横断面を有する
粒子120が存在していてもよい。粒子120は、管状形状を有していてもよく、すなわ
ちチャネルを含んでいてもよく、あるいは内側の中空空間を取り囲んでいてもよい閉じた
表面を有していてもよい。粒子120の形状は、鋳型内への挿入後の粒子120のパッキ
ング密度に大きな影響を及ぼす。パッキング密度は、例えば粒子120が鋳型内に充填さ
れる際の圧力またはそれらが鋳型内で晒される圧力それぞれにさらに左右される。さらに
、粒子120の形状は、粒子120が連続チャネルまたは閉じた表面を含むかどうかに影
響を及ぼす。同じことは、鋳型の充填中に用いられる圧力または鋳型の内部の圧力にも当
てはまる。同様に、粒子120間の空隙130の形状および平均サイズもまた、影響を受
ける可能性がある。
【0059】
さらに、粒子120の構成および充填中におよび/または鋳型内で用いられる圧力は、
空隙130が、変形要素110を通る空気および/または液体を通す1つまたは複数のチ
ャネルを形成する尤度を決定する。本発明の態様によれば、粒子120が無作為に配置さ
れているので、特定の費用のかかる製造工程、例えば粒子120の整列または複雑な鋳型
の使用、を必要とすることなく、一定の統計的尤度で、それら自体で、そのような連続チ
ャネルが発現する。この尤度は、既に述べた通り、とりわけ、粒子120の形状に、詳細
には所与の形状の場合に粒子120の最大達成可能パッキング密度に左右される。そのた
め、例えば、一般に、立方体粒子120を、星型または円形/長円形粒子120より密に
パッキングすることができ、それにより、平均してより小さい空隙130がもたらされ、
空気および/または液体を通すチャネルの発現の尤度が低減する。また、空気はガス状で
あり、したがって液体の表面張力によって液体を通さない非常に小さいチャネルも通過す
ることができるため、空気を通すチャネルが発現するより高い可能性がある。このことは
、詳細には、本発明の態様によれば、製造努力を増大させることなく、粒子120の形状
およびサイズの適切な選択、ならびに/または粒子120の適切な充填圧力、ならびに/
または粒子120が鋳型内で晒される可能性がある加熱工程および/もしくは加圧工程お
よび/もしく蒸し加熱工程のパラメータの適用により、変形要素120を製造することが
できることを意味し、これらの変形要素110は確かに通気性であるが、同時に液体を通
さない。この特性の組合せは、屋外(outside closed room)で着用されるスポーツ衣料
に特に有利である。
【0060】
さらに、また、第1の空隙130は、空気が中に捕捉される1つまたは複数の空洞を形
成してもよい。このようにして、緩衝要素100の断熱は高められる可能性がある。当然
のことながら、空気が、固形物、例えば発泡材料の粒子120、より低い熱伝導を含む可
能性がある。したがって、第1の変形要素110に空気が充填された空洞を散在させるこ
とにより、第1の変形要素110およびしたがって緩衝要素100の全体的な熱伝導を、
例えば足による体温の低下に対して着用者の足がより良く絶縁されるように低減すること
ができる。
【0061】
一般に、第1の空隙130のいくつかは、空気を内部に捕捉する1つまたは複数の空洞
を形成してもよく、第1の空隙130のいくつかは、空気および/または液体を通す、第
1の変形要素110にわたる1つまたは複数のチャネルを形成してもよい。
【0062】
既に前段で示唆されている通り、無作為に配置された粒子120間の第1の空隙130
は主に空気を内部に捕捉する空洞を形成するかまたは主に空気および/もしくは液体を通
すチャネルを形成するかどうかは、無作為に配置された粒子120のサイズ、形状、材料
、密度等に、また温度、圧力、粒子120のパッキング密度のような製造パラメータに左
右される可能性がある。また、それは、第1の変形要素110または緩衝要素100への
圧負荷に左右され得る。
【0063】
例えば、第1の変形要素110の足前方部領域またはヒール領域は、歩行周期中、例え
ばヒール上での着地または足前方部上での蹴出しの間に、強い圧縮を経るであろう。その
ような圧負荷下で、第1の変形要素110を貫通する可能性のあるチャネルが封止される
可能性があると考えられる。また、着地または蹴出しの間、足は緩衝要素100の上面と
密接し得る。これは通気性を低減する可能性があると考えられる。しかし、チャネルの封
止は、第1の変形要素110の内部で付加空洞の形成を引き起し、それらの内部に空気を
捕捉し、したがって緩衝要素100の断熱を高める可能性があり、それは、ここで大量の
体温が失われる可能性があると考えられるため、地面接触中に特に重要である。
【0064】
足の蹴出し後、他方で、第1の変形要素110の無作為に配置された粒子120は再膨
張し、チャネルを再度開かせる可能性があると考えられる。また、膨張状態では、負荷状
態にある空洞のいくつかが開いて、空気および/または液体を通す、第1の変形要素11
0を貫通するチャネルを形成する可能性があると考えられる。また、足は、歩行周期のそ
のような期間に、もはや緩衝要素100の上面と密接していない可能性がある。したがっ
て、この段階の間に通気性が高まる可能性があると考えられる一方、断熱は低減する可能
性があると考えられる。
【0065】
圧縮状態に応じた、第1の変形要素110の内部でのチャネル形成と空洞形成の間のこ
の相互作用は、第1の変形要素110および緩衝要素100を通る空気流に好適な方向を
、例えば圧縮および再膨張の方向に与えることができる。シューズのソール内に配置され
ている緩衝要素100では、例えば、歩行周期中の足から地面への方向の圧縮および再膨
張は、緩衝要素内の空気流を誘導し制御する。
【0066】
図8a~
図8bは、前段で検討されている緩衝/変形要素を通って方向付けられた空気
流の図を示す。発泡材料の無作為に配置された粒子820を含む第1の変形要素810を
備えた緩衝要素800が示されている。また、粒子820間におよび/またはそれらの内
部に第1の空隙830がある。
図8aは圧縮状態を示し、圧縮は、ここに示されている例
では垂直方向に作用する圧力により影響を受ける。
図8bは第1の変形要素810の再膨
張状態を示し、再膨張の(主)方向は矢印850で示されている。
【0067】
図8a~
図8bが単に例示目的を果たしていること、およびこれらの図に示されている
状況は実際の緩衝要素に認められる正確な状態から逸脱している可能性があることは、熟
達を要する目的には明らかである。詳細には、実際の緩衝要素では粒子820および空隙
830は3次元構造を形成する一方、ここでは2次元しか示すことができない。このこと
は、詳細には、実際の緩衝要素では、空隙830により形成される可能性のあるチャネル
は、やはり、
図8a~
図8bの画像平面に対して垂直の方向を含めて、第1の変形要素8
10を「通って蛇行する」可能性があることを意味する。
【0068】
圧縮状態
図8aでは、個々の粒子820は圧縮され変形している。粒子820のこの変
形のため、第1の変形要素830内の空隙830はその寸法および配置を変える可能性が
ある。詳細には、無負荷状態下で第1の変形要素810を通って蛇行しているチャネルは
、ここで、変形した粒子820のいくつかにより遮断される可能性があると考えられる。
他方、付加空洞が、例えば、封止または遮断されたチャネルの部分により第1の変形要素
810の内部で形成される可能性がある。したがって、第1の変形要素を通る空気流が、
矢印860で示されている通り、減少するかまたは遮断される可能性があると考えられる
。
【0069】
第1の変形要素810の再膨張850、
図8b参照、により、また、粒子820は再膨
張し、圧縮前にそれらが有していた形態および形状に(多かれ少なかれ)戻る可能性があ
る。主に変形を引き起こした圧力が作用した方向(すなわち、ここに示されている場合に
は垂直方向、850参照)に起こる可能性があるこの再膨張により、先に遮断されたチャ
ネルは再開する可能性があると考えられ、また、先に存在している空洞は開き、第1の変
形要素810を通って付加チャネルに接続する可能性があると考えられる。再開した付加
チャネルは、本明細書において、主に第1の変形要素810の再膨張850の後に続き、
矢印870で示されている通り、第1の変形要素810を通って方向付けられた空気流を
もたらす。第1の変形要素810の再膨張は、さらに活発に空気を「吸引し」、空気流8
70をさらに増大させる。
【0070】
図1の検討に戻ると、前段で検討されている誘導された空気流が、詳細には、発泡材料
の無作為に配置された粒子120、例えばeTPU、を含む第1の変形要素110により
もたらされる高いエネルギー戻しと組み合わせて有利に利用される。例えば、足前方部領
域では、第1の変形要素110を備えた緩衝要素100は、一方で、爪先上に蹴り出す場
合に着用者の足に高いエネルギー戻しをもたらす可能性がある。他方、また、蹴出し後の
第1の変形要素110の再膨張は、足前方部領域内への誘導された空気流入を引き起こし
、足の良好な通気および冷却をもたらす可能性がある。第1の変形要素110の再膨張は
、さらに、吸引効果をもたらし、第1の変形要素110を通してチャネル内に空気を吸引
する可能性があり、したがって、足の通気および冷却をさらにもっと促進する可能性があ
る。そのような効率的な冷却が、着用者の足にさらなる「エネルギー」を与え、一般にア
スリートのパフォーマンス、健康安全および持久力を向上させることができる。
【0071】
同様の効果が、例えば緩衝要素100のヒール領域にももたらされる。
【0072】
さらなる選択肢として、また、緩衝要素100の製造が、空気および/または液体を通
す、第1の変形要素110を貫通する1つまたは複数の所定のチャネル(図示せず)を作
り出すことを含むことが可能である。このことにより、例えば緩衝要素100の通気性に
対する断熱特性の平衡をさらに保つことが可能になる可能性がある。所定のチャネル(複
数可)は、例えば、緩衝要素100の製造に使用される鋳型内の対応する突出部または針
により作り出されてもよい。
【0073】
図2は、長円形横断面を有する、発泡材料の粒子200の実施形態を示す。さらに、該
粒子は、壁210と連続チャネル220とを有する。発泡材料の粒子200の長円形形状
によって、空隙230が粒子間に発現する。これら空隙230の平均サイズは、既に前述
されている通り、所与の鋳型の場合、粒子200の形状によって、詳細には粒子200の
最大達成可能パッキング密度によって決まる。そのため、例えば、通例、立方体または立
方体型粒子を、球状のまたは長円形の粒子200より密にパッキングすることができる。
さらに、無作為に配置された粒子200から製造される変形要素では、粒子200の無作
為の配置によって、粒子等の整列を必要とすることなく、空気および/または液体を通す
1つまたは複数のチャネルが、一定の統計的尤度で発現する。このことは、製造努力を大
幅に促進する。
【0074】
図2に示されている粒子200の実施形態では、空気および/または液体を通すチャネ
ルは粒子の内部でチャネル220に沿ってかつ粒子間の空隙230に沿ってかつ粒子20
0の内部のチャネル230およびそれらの間の空隙220の組合せに沿って延在している
可能性があるので、そのようなチャネルの発現の尤度は、壁210と連続チャネル220
とを有する粒子200の管状構造によりさらに増大する。
【0075】
空隙220の平均サイズならびに完成変形要素内で空気および/または液体を通すチャ
ネルを発現する尤度は、製造に使用される鋳型内に粒子が充填される圧力に、および/ま
たは粒子が鋳型内で晒される可能性がある加熱工程および/または加圧工程および/また
は蒸し加熱工程のパラメータに、さらに左右される。さらに、粒子200は1つまたは複
数の異なる色を有することが可能である。このことは、完成変形要素または緩衝要素それ
ぞれの視覚的外見に影響を及ぼす。特に有利な実施形態では、粒子200は、発泡熱可塑
性ウレタンで作製されており、液体熱可塑性ウレタンを含む顔料で着色されている。これ
は粒子およびしたがって変形要素または緩衝要素それぞれの非常に褪せない着色に通じる
。
【0076】
図3は、本発明の態様による、ミッドソールとして構成されておりかつ変形要素310
を含む緩衝要素300のさらなる実施形態を示す。変形要素310は、発泡材料のいくつ
かの無作為に配置された粒子320を含み、それにより、第1の空隙330が粒子320
間に存在する。しかし、
図3に示されている実施形態では、空隙330間に固化液が存在
する。前記固化液330は、例えば、以下の材料、すなわち熱可塑性ウレタン、エチレン
酢酸ビニル、または粒子320の各発泡材料と互換性がある他の材料、の1つまたは複数
を含む固化液330であってもよい。さらに、ある実施形態では、固化液330は、緩衝
要素300の製造に使用される鋳型内に発泡材料の粒子320を充填する搬送流体として
の機能を果たし、それにより、搬送流体は、製造工程中に、例えば加熱工程および/また
は加圧工程および/または蒸し加熱工程の間に、固体化する。さらなる実施形態では、鋳
型内に導入される粒子320は、この工程の間に徐々に固体化する液体330で継続的に
被覆される。
【0077】
本発明の態様によれば、固化液により、変形要素330の安定性、弾性および/または
引張強度が高まり、したがって非常に薄い緩衝要素300の製造が可能になる。一方で、
このことは、さらに、そのような緩衝要素300の重量を低減する。さらに、そのような
緩衝要素300の薄さにより、過剰な厚さが着用者の重大な妨げとなるスポーツ衣料の領
域、例えばアウトドアスポーツ衣料および/もしくはウィンタースポーツ衣料の場合の肘
または膝の領域における、あるいはすね当て等のための、緩衝要素300の使用が可能に
なる。
【0078】
本発明による、変形要素310における粒子320の材料と固化液330との適切な組
合せおよび各パーセンテージの変化により、厚さ、弾性、引張強度、圧縮率、重量等の複
数の異なる特性を有する変形要素310を製造することができる。
【0079】
図4は、本発明の態様によるさらなる実施形態を示す。
図4は、ミッドソールとして構
成されている緩衝要素410を示す。緩衝要素400は、発泡材料のいくつかの無作為に
配置された粒子を含む変形要素410を含み、第1の空隙が、粒子の内部におよび/また
はそれらの間に存在する。緩衝要素400は、織物補強要素および/または繊維様補強要
素420であることが好ましい第1の補強要素420をさらに含む。補強要素420は、
選択された領域において、
図4に示されている実施形態では足中央部(midfoot)の領域
において、変形要素410の安定性を高めるのに役立つ。本発明の1つまたは複数の態様
によれば、変形要素410と組み合わせた織物補強要素および/または繊維様補強要素4
20の使用により、それでもなお必要な安定性を有する非常に軽い緩衝要素400の製造
が可能になる。そのような緩衝要素400の実施形態を、シューソール構造において特に
有利な方法で使用することができる。さらなる実施形態では、また、補強要素420は、
変形要素420または装飾要素等の安定性を高める別の要素とすることができる。
【0080】
本発明のさらなる態様によれば、
図4に示されている緩衝要素400は、膜様補強要素
430をさらに含む。特に好適な実施形態では、これは、熱可塑性ウレタンを含む膜であ
る。詳細には、発泡熱可塑性ウレタンを含む無作為に配置された粒子を含む変形要素41
0との組合せで、該膜は、極めて耐久性があり、抵抗性があり、付加的な接着剤の使用を
必要としない、発泡粒子との化学結合を形成することができるので、そのような膜430
は有利に使用することができる。これにより、そのような緩衝要素400の製造が容易に
、より費用効果的に、より環境に優しくなる。
【0081】
膜様補強要素430の使用は、一方で、緩衝要素400の(形状)安定性を高めること
ができ、他方、膜様補強要素430は、例えば磨耗、水分、UV光等の外的影響に対して
緩衝要素400を保護することができる。さらに好適な実施形態では、第1の補強要素4
20および/または膜様補強要素430は、前述の通り、本発明の態様によれば変形要素
410の内部で発現する可能性がある、空気および/または液体を通す1つまたは複数の
チャネルを通って流動する空気および/または液体が第1の補強要素420および/また
は膜様補強要素430の少なくとも1つの開口部を少なくとも一方向に通過することがで
きるように配置されている、少なくとも1つの開口部をさらに含む。これにより、例えば
、同時に前述の付加補強要素420、430の利点を用いる、同時に外部からの水分に対
して保護する、通気性のある緩衝要素400の製造が容易になる。それにより、特に好適
な実施形態では、膜様補強要素430は、通気性のある、しかし一方向のみに、好ましく
は足から外部の方向に、液体を通す膜として設計されており、その結果、外部からの水分
が外部からシューズ内に着用者の足まで染み込むことができず、同時に、該膜の空気に対
する透過性は通気性を確実にする。
【0082】
図5は、本発明の別の態様による、シューズ500の概略横断面図を示す。シューズ5
00は、ミッドソール505として設計されている緩衝要素を含み、その緩衝要素は、発
泡材料の無作為に配置された粒子を含む変形要素510を含む。ここに、粒子の内部にお
よび/またはそれらの間に空隙が存在する。前述の通り、空隙は、変形要素510を貫通
する、空気または液体を通す1つまたは複数のチャネルを発現させることが好ましい。特
に好適な実施形態では、材料および製造パラメータは、チャネルが前述の通り事実上空気
を通すが、液体を通さないように選択される。このことにより、通気性であるが、同時に
外部からの水分に対して着用者の足を保護する、シューズ500の製造が可能になる。
【0083】
図5に示されている緩衝要素505は、提示されている実施形態ではケージ要素として
構成されており、かつ例えばシューアッパーを3次元に包囲する補強要素520をさらに
含む。シューズの通気性への悪影響を回避するために、補強要素520は、変形要素51
0内のチャネルを通って流動する空気および/または流体が少なくとも一方向に、補強要
素520内の少なくとも1つの開口部530を通って、例えば内部から外部へ、流動する
ことができるように配置されている一連の開口部530を含むことが好ましい。さらに、
緩衝要素530は一連の外部ソール要素540を含むことが好ましい。これらは複数の機
能を果たす。そのため、外部ソール要素540は、有利な方法で水分および/またはシュ
ーズ500のソール505の緩衝特性の影響に対して着用者の足をさらに保護することが
でき、および/またはシューズ500の接地等をさらに増大する。
【0084】
図6および
図7は、ミッドソールとして提供されている緩衝要素600、700のさら
なる実施形態を示し、各々は、緩衝要素600、700の第1の部分領域を占める、第1
の変形要素610、710を含み、さらに、各々は、緩衝要素600、700の第2の部
分領域を占める第2の変形要素620、720を含む。異なる変形要素610、710、
620、720は各々、発泡材料の無作為に配置された粒子を含み、変形要素610、7
10、620、720の粒子の内部にかつ/または該粒子間に空隙が存在する。異なる変
形要素610、710、620、720では、同じ発泡材料または異なる材料の粒子が使
用されてもよい。さらに、粒子は、同じ横断面形状または異なる形状を有していてもよい
。また、粒子は、緩衝要素600、700の製造に使用される鋳型(図示せず)内への充
填の前に、異なるサイズ、密度、色等を有していてもよい。本発明のある態様によれば、
第1の変形要素610、710および第2の変形要素620、720のための粒子ならび
に製造パラメータは、第1の変形要素610または710の空隙がそれぞれ、第2の変形
要素620または720の空隙とは平均して異なるサイズを示すように選択される。
【0085】
例えば、粒子および製造パラメータ(例えば、加熱工程および/もしくは加圧工程およ
び/もしくは蒸し加熱工程の圧力、継続時間ならびに/または温度)は、第2の変形要素
620または720それぞれの空隙が第1の変形要素610または710の空隙より平均
して小さいように選択することができる。したがって、異なる変形要素、緩衝要素の例え
ば弾性、通気性、液体に対する透過性、断熱、密度、厚さ、重量等の特性を組み合わせる
ことにより、個々の部分領域において選択的に影響を受ける可能性がある。これにより、
構造的自由がかなりの程度まで増大する。さらに好適な実施形態では、緩衝要素は、各々
が緩衝要素の部分領域を占めるさらに多数(3つ以上)の異なる変形要素を含む。ここで
、全て変形要素は異なる特性(例えば、空隙のサイズ)を含んでいてもよく、いくつかの
変形要素は類似した特性を有しても、同じ特性を含んでいてもよい。
【0086】
一例として、第1の変形要素610、710内の無作為に配置された粒子および製造パ
ラメータは、第1の変形要素610、710の無作為に配置された粒子間のかつ/または
それらの内部の第1の空隙が、主に空気および/または液体を通す、第1の変形要素61
0、710にわたるチャネルを形成し、したがってこの領域に良好な通気性を作り出すよ
うに選択されてもよいと考えられる。第2の変形要素620、720内の無作為に配置さ
れた粒子および製造パラメータは、他方、第2の変形要素620、720の無作為に配置
された粒子の内部のかつ/またはそれらの間の第2の空隙が、主に空気を内部に捕捉する
空洞を形成し、したがってこの領域に良好な断熱を作り出すように選択されてもよい。反
対の状況もまた可能である。
【0087】
最後に、
図9a~
図9fは、本発明による緩衝要素905の実施形態を含む、本発明に
よるシューズ900の実施形態を示す。
【0088】
図9aはシューズ900の側面を示し、
図9bは内側面、
図9cはシューズ900の後
部を示し、
図9dは底面を示す。最後に、
図9eおよび
図9fは、シューズ900の緩衝
要素905の拡大写真を示す。
【0089】
緩衝要素905は、第1の変形要素910を含み、粒子920間に第1の空隙930を
備えた発泡材料の無作為に配置された粒子920を含む。緩衝要素100、300、40
0、505、600、700、800および第1の変形要素110、310、410、5
10、610、710、810の実施形態に関する前段で提示された全ての説明および考
察が、ここでまた適用される。
【0090】
さらに、例えば蒸し加熱工程または何か他の工程により、粒子表面を少なくとも部分的
に溶解することにより、結果として得られる結合が、粒子930がシューズ900の使用
中に「もぎ取られ」ないように十分に強いことが再度強調される。
【0091】
緩衝要素は、補強要素950とアウトソール層960とをさらに含む。補強要素950
およびアウトソール層960はどちらも、1つの一体部品を形成していてもいなくてもよ
いいくつかの従属構成要素を含んでいてもよい。ここに示されている実施形態では、補強
要素950は、中間ヒール領域内の回内サポートと足のアーチの領域内のトーションバー
とを含む。アウトソール層960は、ソールのリムに沿ってかつ足前方部領域内に配置さ
れているいくつかの個々の従属構成要素を含む。
【0092】
最後に、シューズ900はアッパー940を含む。
【0093】
緩衝要素905を備えたシューズ900は、詳細には、接地の間の良好な断熱特性と、
歩行周期の他の時間の間の方向付けられた空気流を用いる可能性がある高い通気との組合
せで、着用者の足に高いエネルギー戻しをもたらし、したがってアスリートの着用の快適
さ、持久力、パフォーマンス、一般的な健康安全を高めるように助けてもよい。
【0094】
以下にさらなる例を記載して、本発明の理解を促す。
1.スポーツ衣料用の緩衝要素であって、
a.発泡材料の複数の無作為に配置された粒子を含む第1の変形要素を含み、
b.粒子の内部におよび/または粒子間に第1の空隙が存在する、
緩衝要素。
2.発泡材料の粒子は以下の材料、すなわち発泡エチレン酢酸ビニル、発泡熱可塑性ウレ
タン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリアミド、発泡ポリエーテルブロックアミド、発泡ポ
リオキシメチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリオキシエチレン、発
泡エチレンプロピレンジエンモノマー、の1つまたは複数を含む、例1に記載の緩衝要素
。
3.発泡材料の粒子は、以下の横断面形状、すなわちリング型、長円形、四角形、多角形
、円形、長方形、星型、の1つまたは複数を含む、例1または2に記載の緩衝要素。
4.第1の変形要素は、発泡材料の粒子を鋳型内に挿入することと、鋳型内への挿入後、
発泡材料の粒子を加熱工程および/または加圧工程および/または蒸し加熱工程に晒すこ
ととにより製造される、例1~3の1つに記載の緩衝要素。
5.鋳型内への挿入前に、粒子は、10~150g/l、好ましくは10~100g/l
、特に好ましくは10~50g/lの密度を含む、例4に記載の緩衝要素。
6.第1の変形要素は、後に除去されるかまたは第1の変形要素の第1の空隙の内部に少
なくとも部分的に残存するさらなる材料と発泡材料の粒子を混合することにより製造され
る、例1~5の1つに記載の緩衝要素。
7.固化液が第1の変形要素の第1の空隙内に存在する、例6に記載の緩衝要素。
8.第1の空隙は、空気が中に捕捉される1つまたは複数の空洞を形成する、例1~7の
1つに記載の緩衝要素。
9.第1の空隙は、空気および/または液体を通す、第1の変形要素を貫通する1つまた
は複数のチャネルを形成する、例1~8の1つに記載の緩衝要素。
10.補強要素、詳細には織物補強要素および/または膜様補強要素および/または繊維
様補強要素をさらに含む、例1~9の1つに記載の緩衝要素。
11.補強要素は、熱可塑性ウレタンを含む膜として設けられている、例10に記載の緩
衝要素。
12.補強要素は、第1の変形要素内の1つまたは複数のチャネル通過する空気および/
または液体が補強要素の少なくとも1つの開口部を通って少なくとも一方向に通過するこ
とができるように配置されている少なくとも1つの開口部を含む、例9と組み合わせて例
10または11に記載の緩衝要素。
13.第1の変形要素は緩衝要素の第1の部分領域を占め、緩衝要素は第2の変形要素を
さらに含む、例1~12の1つに記載の緩衝要素。
14.第2の変形要素は発泡材料の複数の無作為に配置された粒子を含み、第2の変形要
素の粒子の内部におよび/またはそれらの間に第2の空隙が存在し、第2の空隙は、第1
の変形要素の第1の空隙より平均して小さい、例13に記載の緩衝要素。
15.緩衝要素は、シューズのソールの少なくとも一部として、詳細にはミッドソールの
少なくとも一部として設けられている、例1~14の1つに記載の緩衝要素。
16.緩衝要素はシューズのインソールの少なくとも一部として設けられている、例1~
14の1つに記載の緩衝要素。
17.例15および/または例16に記載の少なくとも1つの緩衝要素を含む、シューズ
。
【符号の説明】
【0095】
100、300、400、600、700、800、905 緩衝要素
110、310、410、510、610、620、710、720、810、910
変形要素
120、200、820、320、920 粒子
130、230、830、930 空隙
330 空隙、固化液
210 壁
220 連続チャネル
420 織物補強要素、繊維様補強要素、第1の補強要素
430 膜様補強要素、膜
500、900 シューズ
505 ミッドソール、緩衝要素
520、950 補強要素
530 開口部
540 外部ソール要素
850 再膨張
860、870 空気流
940 アッパー
960 アウトソール層
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-03
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズを含むスポーツ衣料用の緩衝要素であって、
a.発泡材料の複数の無作為に配置されて結合された粒子を含む第1の変形要素を含み、
b.前記緩衝要素の内部であって、前記粒子の内部におよびそれらの間に第1の空隙が存在し、
前記第1の空隙は、空気を通すが、液体を通さない、前記第1の変形要素を貫通する1つまたは複数のチャネルを形成する、
緩衝要素。
【請求項2】
前記発泡材料の前記粒子は、リング型、長円形、四角形、多角形、円形、長方形、星型、の1つまたは複数の横断面形状を含む、請求項1に記載の緩衝要素。
【請求項3】
請求項1に記載の緩衝要素を製造するための方法であって、
前記第1の変形要素は、前記発泡材料の前記粒子を鋳型内に挿入することと、前記鋳型内への前記挿入後、前記発泡材料の前記粒子を加熱工程および/または加圧工程および/または蒸し加熱工程に晒すこととにより製造される、緩衝要素の製造方法。
【請求項4】
前記鋳型内への前記挿入前に、前記粒子は、10~150g/lの密度を含む、請求項3に記載の緩衝要素の製造方法。
【請求項5】
前記第1の変形要素は、前記発泡材料の前記粒子を、後に除去されるかまたは前記第1の変形要素の前記第1の空隙の内部に少なくとも部分的に残存するさらなる材料と混合することにより製造される、請求項3または4に記載の緩衝要素の製造方法。
【請求項6】
固化液が前記第1の変形要素の前記第1の空隙内に存在する、請求項1または2に記載の緩衝要素。
【請求項7】
前記第1の空隙は、空気が中に捕捉される1つまたは複数の空洞を形成する、請求項1、2、または6に記載の緩衝要素。
【請求項8】
織物補強要素および/または膜様補強要素および/または繊維様補強要素をさらに含む、請求項1、2、6、および7のいずれか一項に記載の緩衝要素。
【請求項9】
前記補強要素は、熱可塑性ウレタンを含む膜として設けられている、請求項8に記載の緩衝要素。
【請求項10】
前記補強要素は、前記第1の変形要素内の前記1つまたは複数のチャネルを通過する空気が前記補強要素の少なくとも1つの開口部を通って少なくとも一方向に通過することができるように配置されている前記少なくとも1つの開口部を含む、請求項8または9に記載の緩衝要素。
【請求項11】
前記第1の変形要素は前記緩衝要素の第1の部分領域を占め、前記緩衝要素は第2の変形要素をさらに含む、請求項1、2、および6から10のいずれか一項に記載の緩衝要素。
【請求項12】
前記第2の変形要素は発泡材料の複数の無作為に配置された粒子を含み、前記第2の変形要素の前記粒子の内部におよび/または前記粒子間に第2の空隙が存在し、前記第2の空隙は、前記第1の変形要素の前記第1の空隙より平均して小さい、請求項11に記載の緩衝要素。
【請求項13】
前記スポーツ衣料はシューズであって、前記シューズはミッドソール及びインソールを含み、前記緩衝要素は、前記ミッドソールの少なくとも一部としてまたは前記インソールの少なくとも一部として設けられている、請求項1、2、および6から12のいずれか一項に記載の緩衝要素。
【請求項14】
前記スポーツ衣料はシューズであって、請求項1、2、および6から13のいずれか一項に記載の緩衝要素を含む、シューズ。
【請求項15】
前記スポーツ衣料はシューズであって、前記シューズは、前記第1の変形要素を有するソールを含み、歩行周期中の足から地面への方向に対する前記ソールの圧縮および再膨張が、前記1つまたは複数のチャネルを閉じおよび開かせ、これにより地面から前記第1の変形要素を通って足またはシューズの外までの方向に空気流を誘導し制御する請求項1、2、及び6から13のいずれか一項に記載の緩衝要素。
【請求項16】
前記スポーツ衣料はシューズであって、前記シューズは、前記第1の変形要素を有するソールを含み、前記第1の変形要素は前記ソールの足前方部領域に配置され、前記第1の変形要素は足の蹴り出しにより再膨張し、再膨張により前記1つまたは複数のチャネル内に空気を吸引し、これにより前記第1の変形要素の再膨張により空気が足に誘導される請求項1、2、及び6から13のいずれか一項に記載の緩衝要素。
【請求項17】
前記スポーツ衣料はシューズであって、前記シューズは、前記第1の変形要素を有するソールを含み、前記第1の変形要素は前記ソールの足前方部領域に配置され、足が蹴り出されるとき、前記第1の変形要素は、着用者の足に高いエネルギー戻しをもたらし、再膨張して前記1つまたは複数のチャネル内に空気を吸引し、これにより空気が足に誘導される請求項1、2、及び6から13のいずれか一項に記載の緩衝要素。
【請求項18】
前記スポーツ衣料はシューズであって、前記シューズは、前記第1の変形要素を有するソールを含み、
足の蹴り出しによる前記第1の変形要素の再膨張は、空気を前記第1の変形要素を通して前記チャネル内に吸引する吸引効果を引き起し、足の換気および冷却を促進する請求項1、2、及び6から13のいずれか一項に記載の緩衝要素。
【外国語明細書】