(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062005
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】医療評価装置
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20230425BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61M11/00 Z
A61M15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014978
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2018541330の分割
【原出願日】2017-02-08
(31)【優先権主張番号】16154634.6
(32)【優先日】2016-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508048621
【氏名又は名称】パリ ファーマ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】フックス、カローラ
(72)【発明者】
【氏名】フィンケ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】エシュリッヒ、ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ロナルド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療プロトコルに従った液体薬剤を噴霧するための、エアロゾルジェネレーターを有するエアロゾルネブライザーを使用する際、治療プロトコル対する遵守を評価するための医療評価装置を提供する。
【解決手段】医療評価装置は、通信ユニットを備え、通信装置(20)を有する通信接続の確立を構成し、エアロゾルネブライザー(30)のネブライザー制御装置に第1構成データを提供し、第1構成データは治療プロトコルに従ってエアロゾルネブライザー(30)を構成し、通信装置(20)から動作を命令する噴霧データを受信し、さらに、評価ユニットは、治療プロトコル内で定義される各パラメータを有する受信された噴霧データの比較に基づく治療プロトコルに対する遵守を評価するように構成される。評価ユニットは、さらに、フィードバックデータに関する治療を行うように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療プロトコルに従って液体薬剤を噴霧するための、エアロゾルジェネレーター(31)を有するエアロゾルネブライザー(30)を使用するときの前記治療プロトコルに対する遵守を評価するための医療評価装置(10)であって、
前記医療評価装置(10)は、
通信装置(20)との通信接続を確立するように構成された通信ユニット(100)であって、前記通信接続が、
前記治療プロトコルに従って前記エアロゾルネブライザーを構成するための第1構成データを前記通信装置(20)を介して前記エアロゾルネブライザーのネブライザー制御装置(40)に供給し、
前記通信装置(20)から、前記エアロゾルネブライザーの動作を示す噴霧データを受信する、
ように構成される、通信ユニット(100)と、
前記受信した噴霧データと前記治療プロトコル内で定義されたそれぞれのパラメータとの比較に基づいて、前記治療プロトコルに対する前記遵守を評価するように構成された評価ユニット(110)と、を含み、
前記評価ユニット(110)は、治療関連のフィードバックデータを生成するためにさらに構成される、
医療評価装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療評価装置、特に、エアロゾルネブライザーを使用する場合の治療プロトコルに対する遵守を評価するための医療評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すような、従来のエアロゾルネブライザーは、液体薬剤からエアロゾルを生成するエアロゾルジェネレーター31を有するエアロゾルネブライザー30を有することが知られている。
【0003】
例えば、ネブライザーの更なる小型化および軽量の手で扱いやすい部分といったような、ユーザーのためにエアロゾルネブライザーの有用性を改良するために、外部制御装置40が使用され得る。そのような制御装置40は、コミュニケーションインターフェース400、プロセッサ410、例えば、揮発性および/または不揮発性のメモリー形態のような、メモリー420、ディスプレイ430、およびインプットユニット440を有するかも知れない。それは、キーボードの形態、個々のボタン、またはディスプレイの接触感受面を構成し得る。そのような外部制御装置40は、エアロゾルネブライザー30との無線通信接続を確立してエアロゾルネブライザー30に構成データを転送して、エアロゾルジェネレーター31の動作を適切に設定および制御するように動作することができる。同様に、エアロゾルネブライザーの動作を示す噴霧データおよび/またはユーザーによるエアロゾルネブライザーの使用を示す噴霧データは、エアロゾルネブライザー30から外部制御装置40への無線通信接続を介して生成し、転送することができる。吸入データおよび/または測定データを含み得るそのような噴霧データは、例えば、エアロゾル噴霧器を用いて、エアロゾルネブライザーの内部制御ユニットおよび/またはエアロゾルネブライザーに取り付けられる、および/またはエアロゾルネブライザーに接続された1つ以上のセンサーによって生成され得る。そのような外部制御装置の一例は、例えば特許文献1または特許文献2に記載されているようなスマートフォンまたはPDAの形態の外部計算装置である。そのような外部制御装置は、遠距離通信モジュールをさらに備え、例えば、遠隔医療および医療評価目的のため、および(集中した)電子健康記録の目的のために、インターネットを介して中央データベースに噴霧データを転送する機能をさらに提供し得る。
【0004】
しかし、遠隔医療機能を用いた改善された評価プロセスによる吸入治療の医学的成功を改善しようと試みる一方で、ユーザー/患者は、不明確で安全でないデータチャネルを介してエアロゾルネブライザーの動作および/または使用の変化に起因する所定の治療プロトコルを変更し得る対応するフィードバックの受信のため、および医療評価目的のために中央サーバに対して、上記の噴霧データを含む個人ヘルスケアデータの中央評価サーバへの転送に関して非常に敏感であり得る。したがって、エアロゾルネブライザーと中央サーバとの間でデータを慣習的に転送する場合には、個人の健康データの機密性および完全性ならびに信頼できる技術フィードバックは、保証されない重要な属性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10243371号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0237001号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景の下、本発明の目的は、上記の技術的な欠点を克服する医療評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医療評価装置の特徴は、請求項1に規定される。有利な実施形態は、従属項に記載される。本発明のコンピュータプログラムの特徴は、さらに請求項23に規定される。加えて、本発明のシステムの特徴は、さらに請求項24に規定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】エアロゾルネブライザー制御装置およびエアロゾルネブライザーの概略図を示す。
【
図2】通信装置、エアロゾルネブライザー制御装置、およびエアロゾルネブライザーとの伝達作用における医療評価装置の概略図を示す。
【
図3a】制御装置の識別値と通信装置の識別値との間の関連を示す。
【
図3b】制御装置の識別値と、通信装置の識別値とユーザー識別値との関連を示す。
【
図4】通信装置、エアロゾルネブライザー制御装置、およびエアロゾルネブライザーとの通信相互作用における医療評価装置の概略図を示す。
【
図5】一実施形態による医療評価装置で作成された吸入レポートの一例を示す。
【
図6】一実施形態による医療評価装置で作成される吸入レポートの別の例を示す。
【
図7】一実施形態による医療評価装置で作成される吸入レポートの別の例を示す。
【
図8】通信装置、エアロゾルネブライザー制御装置、エアロゾルネブライザー、および診断装置との通信相互作用における医療評価装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。以下および上記において、類似または同一の参照符号は、類似または同一の要素または動作を示す。
【0010】
図2は、通信装置20、エアロゾルネブライザー30、および制御装置40との関係および通信相互作用における一実施形態による医療評価装置10の概略図を示す。ここで、医療評価装置10は、後述するように、治療プロトコルに従って液体薬剤を噴霧するためにユーザー/患者によってエアロゾルネブライザー30が使用されるときに、治療プロトコルに対する遵守を評価するように構成される。治療プロトコルに対する遵守の評価とは、一般に、ユーザー/患者が治療プロトコルによって規定されるような吸入プロセスを実行するかどうか、および/またはエアロゾルネブライザー30が治療プロトコルによって必要に応じて動作するかどうかについての評価を指す。
【0011】
より具体的には、
図2の制御装置40は、エアロゾルジェネレーター31、例えば膜エアロゾルジェネレーターなどを含み得るエアロゾルネブライザー30と通信相互作用(無線または有線、または電子的に接続または直接一体化)しており、エアロゾルジェネレーター31は、エアロゾルネブライザー30のリザーバ(図示せず)に保持された液体薬剤を霧状にするのに適している。液体薬剤は、少なくとも1つの医療薬物、すなわち、活性物質または医薬成分を含む流体であってもよい。液体薬剤は、エアロゾルジェネレーター31によってエアロゾルに変換され、エアロゾルジェネレーター31は、続いて、マウスピース、顔面マスク、鼻プロングなどの患者インターフェース35に接続された吸入チャンバー34に入る。患者インターフェースから、患者/ユーザーは、エアロゾルを呼吸路に吸入して、(エアロゾル)治療プロトコルに従って肺、咽喉、鼻または副鼻腔の医療処置を行う。さらに、エアロゾルジェネレーター31は、エアロゾルネブライザー30の通信インターフェース33および操作ユニット32を介して制御装置40から提供され得る構成データに従って動作する。エアロゾルネブライザー30は、制御装置40との通信相互作用を介して、エアロゾルネブライザー30における1つまたは複数のセンサー(図示せず)によって生成された、および/またはエアロゾルネブライザー30に接続された、吸入データおよび/または測定データを含み得る噴霧データを提供する。そのようなセンサーの例は、膜エアロゾルジェネレーター31の状態を検出するための、エアロゾルネブライザー30のリザーバ内の液体薬剤の充填レベルを検出するための、ユーザー/患者のエアロゾルネブライザー30の使用中に吸入/吐出の流量/容量/時間特性を検出するための、センサーなどである。
【0012】
図2に示すように、制御装置40は、エアロゾルネブライザー30とは別個に設けられ、エアロゾルネブライザー30からできるだけ多くの制御機能を分離する。しかしながら、これは限定的なものではなく、制御装置40は、エアロゾルネブライザー30の一体部分として、例えば、エアロゾルネブライザーの一体ユニットの形態で、例えば、適切に適合された操作ユニット32として、提供されてもよい。そのような場合、通信インターフェース33は、(以下に説明するように)別個の通信装置20との無線通信相互作用を確立するように構成される。
【0013】
図2にさらに示すように、制御装置40は、別個の通信装置20との無線通信接続を確立し、確立された無線通信接続を介して通信装置20とのデータ(構成データおよび/または噴霧データ)通信を行うことができる。確立された無線通信接続は、Bluetooth(登録商標)接続、近距離接続、WiFi接続などであってもよい。確立された無線通信接続を介して、制御装置40と別個の通信装置20との間のデータ通信が実行され得、制御装置40が外部通信装置20との間でデータを送信/受信し得る。以下でさらに説明するように、そのようなデータ転送は、例えば、噴霧データの転送と同様に、制御装置40および/またはエアロゾルジェネレーター31の適切な動作のための構成データの転送を、例えば、測定データおよび/または吸入データの形式で含み得る。
【0014】
さらに、
図2の通信装置20は、カスタマイズされた通信ハブ、スマートフォン、タブレットなどのポータブル装置、またはカスタマイズされたアプリケーションプログラムを有するスマートウォッチまたは他のスマートウェアラブル装置などであってもよい。通信装置20はまた、入力ユニットおよび/または表示ユニットのないカスタマイズされた通信ハブであってもよい。さらに、通信装置20は、ネブライザー制御装置40と通信装置20(上述)との間の無線通信接続の確立をアクティブ化または非アクティブ化するために医療評価装置10からの命令を受信することができる。通信装置20自体は、エアロゾルネブライザー30の吸入治療および/または動作が評価ユニット110によって行われる評価(後述する)に基づいて適切に調整されるように、例えば、クラウドサーバ(図示せず)を介して医療評価装置10と接続して、制御装置40にフィードバックを提供する。
【0015】
図2によれば、治療プロトコルに対する遵守を評価するための医療評価装置10は、通信ユニット100と評価ユニット110とを含む。医療評価装置10は、例えば、中央サーバであってもよいし、分散コンピュータネットワークであってもよい。
【0016】
医療評価装置10の通信ユニット100は、通信装置20との通信接続を確立するように構成されている。この通信接続は、例えば、クラウドサーバを介する無線接続、SIMカードの有無にかかわらない、GSM(登録商標)モジュール、UMTSモジュール、LTEモジュールなどの無線通信モジュールを使用する無線接続であってもよい。通信接続は、通信装置20およびネブライザー制御装置40を介して、評価ユニット110によって生成され得る第1構成データをエアロゾルネブライザー30に提供するように構成することができる。ここで、第1構成データは、確立された治療プロトコルに従ってエアロゾルネブライザー30を構成するためのデータである。例えば、第1構成データは、現在の日付、現在の時刻、最大噴霧持続時間、最大記憶可能記録数、自動データ転送のアクティブ化または非アクティブ化、および液体薬剤に使用可能な1つまたは複数の薬物の識別のうちの少なくとも1つを含むことができる。以下に説明するように、第1構成データは、実行される各データ転送が、好ましくは、識別値が所定の関連付け(ホワイトリスト)と一致するかどうかのチェックを含むので、制御装置40の識別値も含むことができる。
【0017】
通信装置20と医療評価装置10の通信ユニット100との間の通信接続は、通信装置20からのエアロゾルネブライザー30の動作を示す噴霧データを受信するようにさらに提供されてもよい。噴霧データは、ユーザー/患者によるエアロゾルネブライザー30の使用を示す吸入データをさらに含むことができる。例えば、噴霧データは、噴霧日付、噴霧時刻、噴霧持続時間、エアロゾルネブライザーのスイッチオフのための1つ以上の中断基準、ユーザーによる使用状態、リザーバ内の液体薬剤の充填レベル、ユーザーの吸入/吐出の流量/容量/時間特性、および液体薬剤に使用された、または使用される1つまたは複数の薬物のリストの少なくとも1つを含み得る。そのような噴霧データは、例えば、取得されたセンサー信号の適切な処理によって、エアロゾルネブライザー30の操作ユニット32によって適切に生成されてもよい。
【0018】
さらに、医療評価装置10の評価ユニット110は、ユーザーおよび/またはエアロゾルネブライザー30の所定の治療プロトコルに対する遵守を評価するように構成することができる。この評価は、受信した噴霧データと所定の治療プロトコル内で定義されたそれぞれのデータ/パラメータとの比較に基づいてもよい。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、治療プロトコルは、特定の医療薬物での吸入を効果的に行うために必要とされると考えられる期間を示す最小吸入時間パラメータを定義することができる。そのようなパラメータの他の例は、1日に実行すべき吸入回数であってもよい。したがって、評価ユニット110は、受信した噴霧データを所定の(ユーザー特有の)治療プロトコルに対して定義されたそれぞれの(保存された)パラメータに割り当て、その後、受信した噴霧データが必要とされるパラメータに一致するかどうかを評価するために比較を行う。例えば、ユーザー/患者が最小吸入時間パラメータによって規定されるように十分に長い吸入プロセスを行った場合、そのような一致が生じると、この吸入プロセスは妥当な吸入プロセスであると判定される。そうでなければ、すなわち、ユーザー/患者が、最小吸入時間パラメータによって規定されるようには十分に長くない吸入プロセスを実行した場合、この吸入プロセスは、無効な吸入プロセスであると判定される。
【0019】
遵守を評価する際に上述した比較の結果として、評価ユニット110は、治療関連のフィードバックデータをさらに生成することができる。生成された治療関連のフィードバックデータは、確立された通信接続を介して通信ユニット100によって通信装置20に送信される。通信装置20は、例えば、Bluetooth(登録商標)接続、近距離接続、WiFi接続などの確立された無線通信接続を介して、制御装置40に治療関連のフィードバックデータを転送する。
【0020】
以下にさらに説明するように、治療関連のフィードバックデータは、ユーザー/患者が(例えば、ユーザーに設定されるパラメータの特定のセットに基づいて)規定された治療プロトコルに従わなかったことを視覚的におよび/または聴覚的にネブライザー制御装置40において示すことができ、ユーザー/患者にエアロゾルネブライザー30の使用を適切なように変更するように促す。
【0021】
さらなる実施形態によれば、通信ユニット100は、制御装置40の識別値と通信装置20の少なくとも1つの識別値との間の関連付け(ホワイトリストとも呼ばれる)を通信装置20にさらに送信することができる。この関連付けは、医療評価装置10での対応するユーザー入力に応じて通信ユニット100または一般的な制御ユニット(図示せず)によって生成され、例えば、関連表などの形式で医療評価装置10の記憶ユニット(図示せず)に格納されてもよい。
図3aは、制御装置40の識別値と通信装置20の識別値との間の関連付けの例を示しており、ここではMACアドレス40
MAC、Bluetooth(登録商標)名40
BT、および制御装置40のシリアルナンバー40
SN、MACアドレス20
MAC、Bluetooth(登録商標)名20
BT、および通信装置20のシリアルナンバー20
SNとを含む。そのような関連付けは、通信ユニット100から通信装置20に転送される。そのような転送は、例えば、通信装置20からの要求に基づいて行われてもよい。そのような要求は、通信装置20の識別値を含むことができ、それに基づいて医療評価装置は、関連表から対応する部分を抽出するように動作する。そのような転送された関連付けに基づいて、医療評価装置は、どの通信装置20がどの制御装置40と通信可能に接続されているかどうかについての外部制御を維持する。通信装置20(例えば、Qualcom 2net-Hub、Smartphoneなど)は、医療評価装置10の通信ユニット100から関連付けを受信すると、その関連付けを内部記憶素子(図示せず)、例えば、EEPROMやメモリーカードなどに保存する。さらに、通信装置20とネブライザー制御装置40との間の無線通信接続の確立をアクティブ化するために医療評価装置10から命令を受けると、通信装置20の制御ユニット(図示せず)は、無線通信接続の有効な確立が許可されているかどうかを判定するために保存された関連付けを参照する。このように、医療評価装置は、無線通信接続の確立および/または維持がアクティブ化または非アクティブ化されるかどうかについての外部制御も維持する。
【0022】
さらに
図3aに示すように、制御装置40と通信装置20との間の無線通信接続のタイプに応じて、関連付け(ホワイトリスト)をさらに生成することができる。例えば、この無線通信接続がBluetooth(登録商標)接続である場合、通信装置20の識別値は、通信装置20のMACアドレス、(Bluetooth(登録商標)フレンドリ)名、およびシリアルナンバーのうちの少なくとも1つを含むことができる。同様に、制御装置40の識別値は、上述したように、制御装置40のMACアドレス、(Bluetooth(登録商標)フレンドリ)名、およびシリアルナンバーの少なくとも1つを含むことができる。さらに、適切な識別値を定義し、WiFi接続、近距離接続などのための関連付けに格納することができる。関連付けはさらに、制御装置40と通信装置20との間の複数のタイプの無線通信接続のために生成され、送信されてもよい。結果として、異なるタイプの無線通信接続が制御装置40と通信装置20との間に確立されることが可能になり、制御装置は、Bluetooth(登録商標)などの第1無線通信接続と近距離通信接続のような第2の無線通信接続とを絶えず切り替える。
【0023】
この関連付け(ホワイトリスト)は、制御装置40と通信装置20の識別値の有効な組合せを定義し、これにより相互に無線通信接続を確立することを可能にする。制御装置40と通信装置20との間の無線通信接続の確立は、送信された関連付けによって許可/可能にされる。重要なのは、送信された関連付けにはいかなる個人データも含まれていないことである。個人データは、医療評価装置10内の関連付けにのみリンクされる。例えば、関連付けは、例えば
図3bに示されるような表内の対応するユーザー識別値と併せて医療評価装置10に格納されてもよい。この設定に基づいて、医療評価装置10は、関連データと共に受信された噴霧/吸入/測定データのユーザー/患者IDへのローカルマッピング(マッチング)を実行する。したがって、治療プロトコルの遵守は、ユーザー特有の方法で評価され得るが、医療評価装置10とネブライザー制御装置40との間の通信装置20を介するデータ転送には、いかなる個人データも含まれない。
【0024】
さらなる実施形態によれば、通信ユニット100は、通信装置20とネブライザー制御装置40との間の無線通信接続の確立をアクティブ化するための命令を通信装置20に送信するようにさらに構成されてもよい。この起動は、送信された関連付け(ホワイトリスト)に基づいて無線通信接続の確立を開始することを意味する。同様に、通信ユニット100は、通信装置20にアクティブ化または非アクティブ化の命令を送信するように構成されてもよい。このような非アクティブ化の命令を受信すると、通信装置20は、例えば、関連付けを取り除き、関連付けを非アクティブに設定することなどによって(例えば、対応するフラグ設定に基づいて)、通信装置20とネブライザー制御装置40との間の無線通信接続を非アクティブ化および/または無効化して応答する。このような無線通信接続の非アクティブ化/無効化は、治療プロトコルが終了したとき、エアロゾルネブライザー30および/または通信装置20を交換しなければならないときなどに実行することができる。したがって、医療評価装置10は、通信装置20とネブライザー制御装置40との間の無線通信接続にわたって制御機能を提供することができる。
【0025】
上記第1構成データは、エアロゾルネブライザー30を動作させるためのデータおよび/または制御装置40を動作させるためのデータであってもよく、医療評価装置10から通信接続を介して通信装置20に転送され、その後、確立された無線通信接続を介して制御装置40に転送される。
【0026】
一実施形態では、構成データは、制御装置40の識別値、現在の日付、現在の時刻、最大噴霧持続時間、最大記憶可能記録数、自動データ転送のアクティブ化または非アクティブ化、および治療プロトコルに従って液体薬剤に使用可能な1つ以上の薬物の識別、の少なくとも1つを含む。制御装置40の動作および/またはエアロゾルネブライザー30の動作を、噴霧データを受信および評価する(吸入/測定データ)医療評価装置10と時間的に同期させるために、現在の時間および日付の提供をすることができる。最大噴霧持続時間は、薬剤特有であって、エアロゾルジェネレーター30が液体薬剤からエアロゾルを発生させることが許容/予想される最大時間を規定し、したがって、制御装置40によってユーザー/患者に警告するために使用され、エアロゾルジェネレーターまたはエアロゾルネブライザーを適切に清掃または交換し、および/またはエアロゾルジェネレーター30を適切にスイッチオフして、ユーザーからの矛盾するコマンドをキャンセルすることができる。ユーザーは、ディスプレイ430を介して、制御装置40を介した許容最大/予想最大噴霧持続時間に達することおよび/またはそれを超えることにより、このようなスイッチオフが通知されてもよい。さらに、自動データ転送の非アクティブ化は、エアロゾル治療/吸入セッションの終了時に、通信装置20への吸入/測定データ転送を非アクティブにするように制御装置40に示すことができる。さらに、液体薬剤に使用可能な1つ以上の薬物の識別は、ディスプレイ430を介してユーザーに通知されてもよい。さらに、最大記憶可能記録数は、制御装置40に格納可能なデータ記録またはデータセットの最大数を示す。データ記録またはデータセットは、例えば、エアロゾル治療プロトコルの単一のセッションに関連する全てのデータを含む。ここでは、最大記憶可能記録数は通常一定であるが、ソフトウェアおよび/またはハードウェアの更新に従って変更されてもよい。最大記憶可能記録数は、格納されたデータ記録を転送するために無線通信接続が確立されるべきであることを示すために、ユーザーに視覚的および/または可聴的な警告をタイムリーに発行するために、制御装置40において使用され得る。このような警告は、所定の数のデータ記録、例えば、エアロゾル治療プロトコルの各セッションの90データ記録が記憶され、最大記憶可能記録数が100であるときに発行されてもよい。
【0027】
上述の噴霧データは、噴霧日付、噴霧時刻、噴霧持続時間、エアロゾルネブライザーのスイッチオフのための1つ以上の中断基準、ユーザー/患者による使用状況、リザーバ内の液体薬剤の充填レベル、ユーザー/患者の吸入/吐出の流量/容量/時間特性、および液体薬剤に使用されたまたは使用される1つまたは複数の薬物のリストの少なくとも1つを含むことができる。
【0028】
特に、ユーザー/患者による使用状態は、ユーザー/患者が実際に液体薬剤を含むエアロゾルを吸入するかどうかを検出するように適切に構成された、エアロゾルネブライザー30においておよび/またはエアロゾルネブライザー30と接続して、1つまたは複数のセンサーの提供に基づいて検出され得る。したがって、この検出は、生成されたエアロゾルが、ユーザー/患者によって吸入されることなくエアロゾルネブライザーから単に吐出される状況と区別することができる。そのような状況の検出は記録され、誤った吸入として医療評価装置に伝達される。実際の吸入を検出するためのセンサーは、例えば、熱線流速計、熱膜流速計または気圧計などの流量センサーとすることができる。さらに、このような検出は、マイクロフォンを用いることによって、またはエアロゾルネブライザーの患者インターフェース35に検出装置を設けてユーザー/患者との接触を検出することによって、および/またはエアロゾルネブライザーの混合チャンバー内のエアロゾル(例えば、密度)の存在および特徴を検出することによって行われ得る。検出装置および/または流量センサーは、異なる物理的技術に基づく。例えば、(例えば、光、発光ダイオード(LED)、レーザー、フォトダイオードを使用することによる)光検出、磁気検出、(例えば、マイクロフォンまたは拡声器と組み合わせてマイクロフォンを使用することによる)音響検出、(例えば、差圧センサーを使用する)圧力検出、(例えば、ダイナモ電気効果を使用すること、またはピエゾ電気素子を使用することによる)電気的検出、(例えば、熱変数を測定することによる)熱検出、および視覚的観察(例えば、ローターメーターによる)に基づき得る。あらゆる種類の実用可能なセンサー技術が適用可能であり、光学的、ピエゾ電気、音響的、熱膜流速計および/または圧力検出を用いるセンサー技術が好ましいが、堅牢で再現性のある動作特性を示す。例えば、吐出および吸入サイクルを検出するために、-100l/min~100l/minの流量範囲、好ましくは-60l/min~60l/minの範囲、より好ましくは-30l/min~30l/minの範囲である。
【0029】
更なる構成では、ゼロ(0l/min)~100l/minの流量範囲、好ましくは60l/分までの範囲、より好ましくは30l/分までの範囲のような他の流量範囲を使用することができる。さらに別の構成では、吸入サイクルを少なくとも検出するために、5l/min~100l/minの流量範囲、好ましくは5l/min~60l/minの範囲、より好ましくは5l/min~30l/minの範囲のような流入範囲を使用することができる。
【0030】
噴霧データは、例えば、エアロゾルジェネレーターおよびエアロゾルネブライザー30の動作を監視する制御装置40によって生成されてもよい。ここで、スイッチオフの理由は、ユーザーによる手動スイッチオフ、動作の最大持続時間(例えば、最大噴霧持続時間)に達することによる強制的なスイッチオフ、適切な量の液体薬剤の不足などである。ここで、ユーザーのユーザー接触または吸入操作の不在(吸入/吐出の流量、容量または時間特性)と同様、例えば、超過した最大噴霧持続時間、流体リザーバ内の液体の不在、限界以下の液体リザーバ内の液量または液面レベル、のようなスイッチオフのための所定の理由は、制御装置40に提供されてもよい。あるいは、ユーザーは、制御装置40の操作ユニット32を介して、スイッチオフの理由を入力してもよい。
【0031】
例えば、エアロゾルネブライザー30のユーザーによる使用状態は、エアロゾルネブライザー30に含まれるセンサー(図示せず)によって検出されてもよい。センサー(図示せず)は、混合チャンバー34、吸入/吐出バルブ、および/またはエアロゾルジェネレーター31を含む、患者インターフェース35に含まれてもよいし、患者インターフェース35に取り付けられてもよい。センサーは、ユーザー/患者が実際にネブライザー30を使用しているかどうかを評価する目的で、通信を介して制御装置40に信号を送る。例えば、エアロゾル治療の間に、ユーザー/患者は、(接触センサーによって測定された)患者インターフェースと接触しているか、(例えば、フローセンサーまたは密度センサーによって測定される)混合チャンバーまたは患者インターフェースを通じて吸入しているか、(例えば、流量センサーによって測定される)装置を通じて吸入流を生成し、それにより、医療評価装置10において通信され評価され得る1つ以上の対応するセンサー信号が生成される。
【0032】
さらなる実施形態では、医療評価装置10の通信ユニット100における噴霧データの上述の受信は、通信装置20の識別およびネブライザー制御装置40の識別を追加的に受信することに関連し得る。言い換えれば、通信装置は、通信装置20とネブライザー制御装置40の両方を識別するデータで噴霧データを補う。任意の個人データを特定しない追加の装置識別データは、単一の通信メッセージ、例えばそのペイロードに含まれてもよい。このように、噴霧データの関連する識別は、装置識別データによってのみ行われる。識別データと併せて噴霧データの受信に応じて、受信した識別データが、制御装置40と通信装置20との識別値の有効な組合せとして記録されているか否かを確認するために、医療評価装置10の評価ユニット110は、医療評価装置10の記憶ユニット(図示せず)に記憶されている上記の関連付け(ホワイトリスト)を参照してもよい。受信した識別データが、医療評価装置の記録ユニットに格納された制御装置40と通信装置20の識別値の有効な組み合わせと一致する場合、評価ユニット110は、噴霧データの評価に進む。
【0033】
受信された通信装置20の識別値および受信されたネブライザー制御装置40の識別値は、受信した識別ペアを定義し、この受信した識別ペアが上記の関連付け(ホワイトリスト)の識別ペアと一致する場合にのみ、受信された噴霧データは治療プロトコルに対する遵守を決定するために評価が開始される。さもなければ、受信された噴霧データは無視され、したがって、評価ユニット110によって廃棄されるか、さもなければキャンセルされ得る。さらに、受信した噴霧データは、受信した識別ペアとともに、個人データへのリンクなしで医療評価装置の記録ユニット(図示せず)に格納することができる。関連する識別は、例えば、治療関連のフィードバックデータを提供する目的で、上記の関連付け(ホワイトリスト)の識別ペアに基づいて実行されてもよい。
【0034】
図4は、さらなる実施形態による医療評価装置10を示す。
図1の医療評価装置10に加えて、医療評価装置10は、暗号化/復号化ユニット120を含む。ここで、暗号化/復号化ユニット120は、通信装置20との確立された通信接続を介した転送が行われる前に、上記構成データの暗号化処理を行う。同様に、暗号化/復号化ユニット120は、ネブライザー制御装置40によって暗号化されてもよい受信された噴霧データに対して復号化処理を実行する。ここで、暗号化/復号化処理は、医療評価装置10およびネブライザー制御装置40には知られているが、通信装置20には未知のままである暗号化/復号化キー(例えば、Advanced Encryption Standard:AES 128 Bitのようなアルゴリズム)を使用することによって実行することができる。
【0035】
さらなる実施形態によれば、評価ユニット110は、治療プロトコルの定義された期間(例えば、複数日間)の毎日の遵守率および/または累積遵守率を計算することができる。ここで、遵守率は、以下の式(1)に基づいて算出してもよい。
【数1】
ここで、N
IVは、規定された必要最小吸入時間に達するとき、例えば、N
ITが所定の治療プロトコルに従って定義されたときの有効吸入回数、すなわち吸入セッション数であり、nは、定義された期間の日数である。ここで、1日当たりの吸入セッション数および1回の有効な吸入の最小値は、薬物特有のもの、ユーザー特有のもの、または試験特有のもの(臨床試験用)であってもよい。上記の式(1)に基づいて、累積遵守率は、治療プロトコルの選択された期間内の各治療日の毎日の遵守率の合計と選択された期間の合計日数との間の比率を指す。上記の式(1)に基づいて、毎日の遵守率は、n=1についての遵守率を考慮することによって決定され得る。
【0036】
ここで、医療評価装置10によって受信された噴霧データは、それぞれの噴霧/吸入開始日/時間、噴霧/吸入終了日/時間、およびエアロゾルネブライザー30の連続的な動作のための噴霧持続時間を含むことができる。受信した噴霧データに基づいて、評価ユニット110は、治療プロトコルについて定義された最小吸入持続時間に、エアロゾルネブライザー30の連続的な動作が、それぞれ達したかどうか、すなわち、液体薬剤の噴霧/吸入が必要最小吸入持続時間に、実際に行われるかどうか、をさらに決定することができる。
【0037】
評価ユニット110が、エアロゾルネブライザー30の個々の噴霧/吸入動作のために必要最小吸入持続時間に達したと判定した場合、この噴霧/吸入動作は有効であると判定され、それに応じて治療プロトコルが遵守される。対照的に、エアロゾルネブライザー30の個々の噴霧/吸入動作のために必要な最小吸入持続時間に達しない場合、この噴霧/吸入動作は無効であると判定される。さらに、制御装置40およびエアロゾルネブライザー30が洗浄モードに関連して使用される場合、この洗浄モードに関連し、洗浄モードの成功、失敗、および/または進行を示すデータは、噴霧データから分離され、規定された治療プロトコルに対する遵守を決定するために使用されない。
【0038】
定義された期間のための計算された毎日の遵守率、および/または累積遵守率は、
図2または
図4に示すように、医療評価装置10の表示ユニット130に表示されてもよい。例えば、ユーザー(臨床試験担当者、医師、医者など)は、ウェブインターフェースを使用して噴霧データおよび計算された遵守データにアクセスし、データ、例えば、すべての吸入記録の表表示、すべての吸入記録のグラフ表示、および/または遵守報告(後で説明する)を視認することができる。そのような遵守報告は、医療評価装置に局所的に記憶されてもよく、または外部装置に書き出されてもよい。そのような報告は、対応する期間、患者識別、試験番号、および/または治療プロトコルの定義された期間にわたっての日毎/累積遵守率のグラフ表示のいずれかを含み得る。
【0039】
例えば、臨床試験において医療評価装置が使用される場合、複数のユーザー/患者に対して所定の治療プロトコル(治療レジメン)が定義され、医療評価装置は、複数のエアロゾルネブライザーからの噴霧データを受信するために、および複数のユーザー/患者のための治療プロトコルに対する遵守を評価するために使用することができる。他方、医療評価装置が個々のユーザー/患者の遵守を決定するために使用される場合、所定の治療プロトコルが各ユーザー/患者に対して個別に提供され、遵守率は個々のユーザー/患者基準で計算され得る。このように、上記の報告は、個々のユーザー/患者または定義されたユーザーグループ、例えば、臨床試験に参加するユーザー/患者のグループのために作成され得る。
【0040】
図5~
図7は、生成された遵守報告のさらなる例を示す。
【0041】
図5に示すように、個々の吸入報告は、吸入のそれぞれの開始日/時間および対応する終了日/時間を含むことができ、これらに基づいて、それぞれの吸入持続時間が、医療評価装置で決定されるか、または医療評価装置によって受信された噴霧データに含まれる。さらに、この報告は、吸入日、吸入の状態、およびスイッチオフの理由を示すことができる。さらに、
図6の例に示すように、個々の吸入報告は、日付横軸にわたって、それぞれの吸入回数(または、吸入の日付および/または時間、または1日当たりの吸入の合計)および吸入持続縦軸に各吸入の持続時間をグラフで表示してもよい。さらに、個々の吸入は、複数のスイッチオフ基準(例えば、カラーコードなどを介して)に関して区別することができる。さらに、
図7の例に示すように、遵守報告は、治療日横軸にわたって、1日当たりの個々の遵守および累積遵守をグラフで表示してもよい。示されているように、日ごとの遵守は、0%~約100%の間、例えば50%~100%の間で変動する可能性があり、したがって、累積遵守はそれに応じて変化する(すなわち増減する)。
図7の例では、累積遵守は、28日目に86%の最終遵守に達する。ここで、報告に含めることができる関連情報は、対応する期間、患者番号、試験番号、日毎/累積遵守率のグラフ表示、および選択された期間のための計算された累積遵守率の明示的提示のうちの少なくとも1つであることができる。更なる例(図示せず)では、累積遵守は、例えば、120%、130%、150%、またはさらには200%のように100%を超える値で報告されてもよく、この偏差は監視され、および/または患者/看護師/医師/サービスセンターは、過量投与を予防し相互に変更することができる。
【0042】
別の実施形態では、医療評価装置10の評価ユニット110は、毎日の遵守率および/または累積遵守率が治療プロトコルで定義されたそれぞれのパラメータと一致しない場合、治療関連のフィードバックデータを生成するようにさらに構成されてもよい。例えば、測定され算出された毎日および/または累積遵守率が、個々のユーザーまたはユーザーグループの治療プロトコル(例えば、臨床試験の場合)に対して規定されているそれぞれの遵守率よりも低い場合、または必要最小吸入持続時間に達していない場合、対応する治療関連のフィードバックデータが評価ユニット110によって生成され、その後確立された通信接続を介してネブライザー制御装置40に送信される。ネブライザー制御装置40は、さらに、受信した治療関連のフィードバックデータを処理して、ネブライザー制御装置40で命令を生成するように構成することができる。この命令は、信号がユーザーに遵守が達成されていないことを示すように、および/または必要最小限の噴霧/吸入持続時間に達していないことを示すように、ネブライザー制御装置40においてディスプレイ430および/またはブザー/スピーカー(図示せず)を介して提供される可聴および/または可視信号の形態であってもよい。生成されたフィードバックデータはまた、改善された治療評価のための追加の噴霧データを生成するために、または特定の噴霧データがもはや必要ではない場合に上記のセンサーのいずれかをスイッチオフするために、エアロゾルネブライザーの構成を変更し、および/または上述のセンサーのいずれかを選択的に動作させる。
【0043】
さらなる実施形態では、医療評価装置10の評価ユニット110は、所定の治療プロトコルに対する遵守を薬物特異的に評価するようにさらに構成されてもよい。特に、治療プロトコルが定義される関連期間、所定の日ごとの吸入セッション数、および/または1回の有効な吸入の必要最小持続時間は、特定の薬物製剤、すなわち、液体薬剤のタイプおよび/または必要量基づいて規定される。これは、ユーザーの、薬物特異的治療の遵守についての適切なフィードバックを提供する際の医療評価装置10の使いやすさおよび柔軟性を高める。
【0044】
さらに、エアロゾルネブライザー(または吸入装置)30および評価ユニット110は、異なる呼吸値および/または非呼吸値を評価することができ、これらの値は、以下の値(パラメータまたは変数)を含むがこれに限定されない。
【0045】
エアロゾルネブライザー(または吸入装置)は、例えば、ネブライザー、ジェットネブライザー、膜ネブライザー、超音波ネブライザー、電子ネブライザー、電子膜ネブライザー、乾燥粉末吸入器(DPI)、定量吸入器(MDI)と同様、ネブライザー制御装置40(例えば、eBase(登録商標)またはeTrack(登録商標)制御装置40)付きのPARI製のeFlowのような制御装置40(コントローラー)を備える振動する膜ネブライザーであり得る。医療評価装置10は、例えば、エアロゾルネブライザー、およびアドオン装置の形態の少なくとも1つのセンサー、および/またはコントローラ(すなわち、ネブライザー制御装置40)および/またはエアロゾルネブライザーに含まれる少なくとも1つのセンサーであってもよい。
【0046】
非呼吸値(パラメータまたは変数)は、(研究の)タイプ、ヘッダー(例えば、6文字(数字を含む))、研究名、患者番号、研究期間、治療日数、状態、報告の開始、報告の終了、吸入開始日、吸入終了日、薬剤ID、日ごとの治療、薬剤名、延長試験ID、装置シリアルナンバー、Bluetooth(登録商標)ネットワークID、現在の現地時間、現在の現地日付、アクティブ化時間、非アクティブ化時間、最小治療持続期間、最小吸入持続期間、最大治療持続期間、最大噴霧持続期間などを含むが、これらに限定されない。
【0047】
呼吸値は、吸入日、吸入時間、吸入持続期間、吸入流量、吸入容量、最小治療期間、最小吸入持続期間、最大治療持続期間、最大噴霧期間、肺活量値を含むが、これらに限定されない。すべての値(呼吸および非呼吸値)は、名目値、目標値、名目範囲、目標範囲などとして表現できる。さらに、提供されたセンサーデータに基づいて、1回呼吸量、吸入/吐出率、吸入休止および他の吸入特性が、評価ユニット110によって考慮され得る。
【0048】
評価に基づいて、治療関連のフィードバックデータは、動作周波数、エアロゾルジェネレーターの出力などの構成パラメータの変更、または、センサー動作パラメータに関しては、流体存在センサーの目標値などの構成パラメータの変更を含むこともできる。
【0049】
図8は、医療評価装置の別の実施形態を示す。
図2または
図4に示された実施形態と比較して、医療評価装置はさらに(通信装置20を介して)追加の診断装置50と通信し、追加の診断装置50を制御する。この診断装置50は、呼吸器系の状態および/またはユーザー/患者の肺の状態および/または機能を監視する装置であってもよい。そのような診断装置50の一例は、ユーザー/患者の肺によって吸入/吐出される空気量を測定することができる肺活量計である。さらに、肺活量計は呼吸、すなわち肺の内外への空気の動きを測定することができる。知られているように、例えば、圧力トランスデューサー、超音波トランスミッターなどの様々な種類の測定方法を使用する様々なタイプの肺活量計がある。代替的または追加的に、診断装置50は、非呼吸パラメータ(すなわち、全身のパラメータ)を取得するための装置であってもよい。
【0050】
ここで、医療評価装置10は、さらに、診断装置50を追加的に使用して患者の呼吸器系の状態および/または肺の状態および/または機能を監視する場合に、所定の治療プロトコルに対する遵守を評価するように適合されてもよい。ここで、診断装置50は、所定の治療プロトコルに従って使用することもできる。例えば、治療プロトコルは、診断装置50を用いた診断を実施すべき時点を示すことができる。このような所定の設定の例は、治療プロトコルで定義された期間中の特定の日付および/または時間であってもよく、定義された回数の吸入の後、例えば5回の吸入の後などに、それぞれ診断を行う。
【0051】
さらに、医療評価装置10は、診断装置50の第2構成データを生成するように構成されてもよい。第2構成データは、診断装置50の動作を適切に設定および制御するためのデータである。診断装置50の動作は、上述したように、所定の治療プロトコルに従って第2構成データによってさらに設定することができる。
【0052】
例えば、第2構成データは、呼吸値および追加の非呼吸値(例えば、心拍数、血圧、酸素飽和度などの全身値)の少なくとも1つを含むことができる。特に、呼吸値は、呼吸データ、特に呼吸周波数、吐出または吸入流量、または吸入容量の少なくとも1つを含むことができる。さらに、第2構成データは、(例えば、肺活量計などの)診断装置の適切な使用(「使用支援」)および/または適切な診断データに関する視覚的/光学的フィードバック表示に関する閾値を含むことができる。例えば、診断装置における赤色/黄色/緑色のフィードバック命令が提供されてもよい。それぞれの閾値(名目値、目標値)は、治療プロトコルに基づいて、例えば、医療評価装置において(のみ)提供/記憶されているが、本発明のコンセプトに従って転送されていない個人データに基づいて、医療評価装置によって適切に設定することができる。このような(ユーザー特有の)名目値は、所定の期間内の多くの診断測定値を示すことができる(例えば、1週間あたり1回の肺活量測定を行うために、そうでなければ評価ユニットによって督促メッセージまたは警告メッセージが引き金とされる)。さらに、適切な閾値の設定および/または適切な診断データの選択(例えば、一連のA、B、Cなどの特定の一連の、肺活量計のような診断装置に関して)は、例えば、データベースに定義された対応する設定に基づいて、自動的に実行されてもよく、または医師によって提供される。このように、評価ユニット110は、診断関連フィードバックデータを生成し、これを診断装置50に転送する。
【0053】
医療評価装置10の通信ユニット100は、医療評価装置10と通信装置20との間で確立された通信接続(上述)を利用することによって、および通信装置20と診断装置50のための制御装置(図示せず)との間の第2無線通信接続を使用することによって、生成した第2構成データを、通信装置20を介して診断装置50に送信してもよい。この第2通信接続は、エアロゾルネブライザー30のための通信装置20と制御装置40との間の上述した無線通信接続と同じ方法で確立される。さらに、医療評価装置10の通信ユニット100は、医療評価装置10と通信装置20との間で確立された通信接続を介して診断装置50によって取得された診断データ(呼吸値および/または非呼吸値)を受信してもよい。ここで、診断データは、患者の呼吸器系の状態および/または肺の状態または機能を示すことができる。加えて、または代替的に、診断データは、例えば、噴霧された液体薬剤の吸入中、または噴霧された液体薬剤の吸入後の特定の時点で、ユーザー/患者の心拍数、血圧、および/または酸素飽和度を示すことができる。さらに、診断データは、例えば、バイタル容量(VC)、強制バイタル容量(FVC)、総肺容量(TLC)、総容量(TC)、吸入容量(FVC)、1回呼吸量(TV, or AZV)、1秒における強制吐出量(FEV1)、1秒における相対容量(FEV1/FVC)、50%FVCによる最大吐出流量(FEF50)、75%FVCによる最大吐出流量(FEF75)、最大吐出圧力(MEP)、ピーク流(PEF)、「Z-スコア」=(y-Y)/RSD、すなわち、観測値(y)と予測値(Y)の差を、評価アシスタントとして使用された平均予測値、測定履歴、または評価または評価としての測定値の変化として使用された平均予測値についての残留標準偏差(RSD)で除算した値、の少なくとも1つに関する肺活量測定値を含むことができる。疾患の進行および/または患者遵守/受容(最良の場合には悪化の予測)に関するインテリジェントな予測と同様に、疾患の悪化または改善の指標として、例えば、酸素飽和度(O2)、パルス、体温、炎症値/マーカー(すなわち、白血球とも呼ばれる白血球細胞(WBC)、C-反応性タンパク質-CRP、α1-酸性糖タンパク質、ハプトグロビン、コエロロプラスミンおよびフィブリノゲン、ならびにインターロイキン-IL、すなわち、IL1からIL31まで、すなわち、肝臓のためのIL6、ならびに喘息のためのIL4、IL5、IL9およびIL13、および治療処置のためのそれらの抗ブロッカー)、咳モニター値(すなわち、咳の頻度)、および/または吐出値(例えば、悪化カウンター/マーカー、および/またはガス値、例えば、酸素-O2、画分吐出酸化窒素-「FENO」、窒素酸化物-「NOx」、二酸化炭素-「CO2」、インターロイキン-「IL」(上記参照)、および/または不活性ガス画分(すなわち、ヘリウム[He]、ネオン[Ne]、アルゴン[Ar]、クリプトン[Kr]、キセノン[Xe]、および放射性ラドン[Rn]))がある。
【0054】
FEV1、炎症値/マーカー範囲(値<26 ppb [parts per billion]=健康)などのより多くの値およびパラメータは、American Thorax Society(ATS)およびEuropean Respiratory Society(ERS)によって定義されている。
【0055】
上記の値の1つまたは組み合わせは、予測パラメータ範囲について評価ユニット110によって使用され、治療関連のフィードバックデータに基づいて、これは、ユーザーまたは患者への光学的または音響信号として示される。例えば、緑色、黄色、赤色の光信号の組み合わせは、緑色-最適吸入条件、黄色-限定付吸入条件(最適ではないが許容できる)、赤色-非許容吸入条件のような、正確な吸入の目盛(流量、時間および/または容量)を示すために使用され得る。
【0056】
治療に関連したフィードバックデータのために、広範囲の情報は、測定、適用、吸入および/またはネブライザー装置および診断装置の使用の、パーソナルベスト値について提供することもでき、家庭用途、診療所用途、病院用途、1つまたは複数のネブライザー/診断装置の使用に関して差別化できる。これは、噴霧/診断が行われている場所を監視するための追跡機能を備える噴霧装置および/または診断装置を提供することによって達成され得る。
【0057】
膜ネブライザーと共に使用される流体存在センサーについては、膜材料変更および/または設計変更および/または製造プロセスの変更と同様に、操作中の膜の閾値、周波数および電力消費のような、1つまたは複数の異なる薬物製剤に関するそれぞれ特別な値およびパラメータが、使用され、転送され、適合され得る。
【0058】
さらに、医療評価装置10の入力として、例えば、スマートフォン、タブレット、眼鏡(例えば、グーグルグラス)、スマートウォッチ、リストバンド装置(例えば、Google、Apple、Garmin)または他のスマートウェアラブル装置を介して、ユーザー/患者の摂食行動、移動行動、および/またはスポーツ/運動行動を追跡または測定することができる。
【0059】
さらに、医療評価装置10は、例えば、異なるユーザーまたは患者グループによるプライベート使用のための基準値に関して、1つまたは複数のデータベースを使用またはそれにアクセスすることができる。これらのデータベース(例えば、IBM WatsonまたはApple Healthのような医師、病院および匿名データバンク)は、疾患、年齢層、性別、民族集団などに関する情報データ(値またはパラメータ)を含み得る。
【0060】
さらに、医療評価装置10は、制御装置40および/または診断装置50において、督促機能および/または更新機能および/またはカレンダー機能を実施するために、確立された通信およびデータ転送機能を使用することができる。これは、アプリケーション、治療、測定および/または診断(例えば、治療プロトコル、すなわち、日ごとの吸入数および時間または詳細なスケジュール、肺活量計の測定間隔など)、構成要素の交換の必要性(例えば、エアロゾルネブライザーの変更、エアロゾルジェネレーターまたは他の交換品の変更)、洗浄および/または消毒間隔、サービスの必要性(例えば、センサー較正値のドリフト、例えば、+/-3%センサー変動)、サービスコンタクト情報、オプションの特徴、ソフトウェア更新、新しいソフトウェアの特徴、使用説明書の更新、および/または医師と調整された治療計画と同様に、温度、湿度、および/または圧力のような環境条件、のための督促または更新としてユーザーまたは患者のために使用される。これらの督促機能および/または更新機能および/またはカレンダー機能は、例えば、ディスプレイ、ライトインジケーター(例えば、LED)、ブザー、スピーカーだけではなく、外部のスマートフォン、タブレット、ノートパソコンおよび/またはコンピュータ(例えば、アプリケーション、プログラム、ウェブポータル、プッシュノート、Eメール、SMS、MMS、WhatsAppなど)を介して、光学的にまたは音響的に表示される。
【0061】
すべての値、パラメータおよび範囲は、通信装置20との通信接続を確立するように構成された通信ユニット100を用いて医療評価装置10を介して適合させることができる。これらの変化は、光学的または音響的に、例えば、ディスプレイ、ライトインジケーター(例えば、LED)、ブザー、スピーカー、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンおよび/またはコンピュータを介して、ディスプレイ上に表示することができる。これらの「インテリジェントな」装置はまた、医療評価装置10のアプリケーション、治療、測定および/または診断のアニメーション(「ゲーミフィケーション(gamification)」)のために使用されてもよい。
【0062】
上記に基づいて、評価ユニット110は、治療プロトコルを適合させるために、受信した診断データをさらに使用することができる。受信した診断データの追加の提供および使用に基づいて、吸入治療の有効性は潜在的にリアルタイムで判定および修正することができる。さらに、所定の吸入治療に対するユーザー/患者の拒絶反応または所定の吸入治療の有効/無効がリアルタイムで判定され、治療プロトコルは適切に修正される。治療プロトコルのそのような修正は、上述の治療関連のフィードバックデータの提供によって、および/または修正された第1構成データを制御装置40に送信することによって達成され得る。ここで、訂正された第1構成データは、同時診断により適合された構成データである。例えば、診断データおよび噴霧データの同時評価に基づいて、第1構成データを生成し、ネブライザー制御装置40に送信して、ディスプレイ430を介して患者に治療または診断を促し、ユーザー/患者が呼患者の吸器系の状態および/または肺の状態の診断を行うまで、エアロゾルの生成を抑制または中断するようにエアロゾルネブライザーに命令する。
【0063】
さらに、パーソナルベスト値は、評価ユニット110によって、噴霧データの評価と診断データの評価の両方に関して決定されてもよい。そのようなパーソナルベスト値は、エアロゾルネブライザーおよび/または診断装置の使用が家庭または診療所で行われるかどうかに関して決定されてもよい。好ましくは、家庭または診療所におけるエアロゾルネブライザーおよび/または診断装置の使用は、エアロゾルネブライザーと診断装置との固有の組み合わせを特定の通信装置と定義した、定義された関連付け(ホワイトリスト)に基づいて決定される(装置が使用されている場所を特定する)。
【0064】
フィードバックデータ(治療関連および/または診断関連)は、装置動作に関するサービスデータをさらに含むことができる。例えば、サービスデータは、センサーの有効性および/または有用性(これにより、更新が要求される)に関する命令を含むことができる。さらに、フィードバックデータは、診断装置またはエアロゾルネブライザーにおいて予測的なメンテナンス動作の引き金となることができる。例えば、このような予測的なメンテナンス動作は、それぞれの装置の現在の消費電力を決定することができる。さらに、フィードバックデータ(例えば、ディスプレイを介したビジュアルフィードバック、潜在的にはさらなるエアロゾル発生の遮断および/または診断装置のさらなる動作などと組み合わせたビジュアルフィードバック)は、それぞれの装置のタイムリーなクリーニングの引き金になることができる。さらに、フィードバックデータは、上述のセンサーの自己較正の引き金になることができ、それに基づいて、評価ユニット110は、センサー偏差が許容限界を超えているかどうかを判定する。そのような評価が、偏差が大きすぎることを示す場合、さらなるフィードバックメッセージは、ユーザーにサービスを通知/確認することを要求することができる。さらに、医療評価装置10からのフィードバックデータは、制御装置40、エアロゾルネブライザー30、および/または診断装置50への機能更新(ファームウェア更新など)を命令するプッシュメッセージを促すことができる。そのようなプッシュメッセージに基づいて、個々の装置が更新(サービス更新の成功/失敗を示す医療評価装置10に対する状態フィードバックを含む)を直接実行するための引き金となることができる。例えば、そのようなサービス更新は、例えば、エアロゾルジェネレーターの新しい/修正されたバージョン、または流体存在センサーのための新しい/修正された目標値のような新しいセンサー動作パラメータに適応するための新しい構成パラメータを含むことができる。
【0065】
さらに、モバイル装置上で動作するアプリケーションソフトウェア(「モバイルアプリケーション」)は、医療評価装置10へのアクセスを備えてもよく、医療評価装置10と診断装置50、ネブライザー制御装置40、およびエアロゾルネブライザー30との間で転送された対応するデータ、評価結果などを回収することができる。そのようなアプリケーションソフトウェアは、AppleなどによるHealthKitのような、より大きな健康管理関連アプリケーションソフトウェアに統合されてもよい。
【0066】
以下は、医療評価装置10で提供される、例えば、肺活量計に関する個人データおよび構成データの追加の例を提供する。
【0067】
個人データ:
・氏名:Mustermann, Manfred
・性別:男性
・生年月日/年齢:1978年8月1日/37歳
・身長:183cm
・患者ID:A123f4
・体重:72kg
・注意 患者は正しい吸入訓練を行うための集中的なサポートが必要
・割当装置:mySpiroSense 719
【0068】
構成データ:
・装置ID:719
・測定ユニットID:585
・装置タイプ:mySpiroSense(肺活量計)
・ファームウェアバージョン:1.0.17
・ハードウェアバージョン:1.0.2
・最終較正:09.10.2015
・較正有効:08.10.2016
・(参照)モード:FEVl
・タイプ1:カスタム(すなわち、医師によって設定、(他にはパーソナルベスト、基準値)
・標的値1:4,59 L
・計測数:35
【0069】
別の実施形態によれば、コンピュータプログラムが提供され、コンピュータプログラムは、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、データプロセッサまたは複数のデータプロセッサに上述のような医療評価装置10を実行させる命令を含む。
【0070】
したがって、医療評価装置10の上記の各モジュール/ユニットは、コンピュータプログラムによって定義され、メインメモリに記憶される命令を解釈し実行する1つまたは複数の処理装置、マイクロプロセッサまたは他の処理ロジックを含むそれぞれの処理ユニット(CPU)によって、実行される。メインメモリは、RAMまたは各モジュール/ユニットによる実行のための情報および命令を格納することができる他のタイプの動的記憶装置を含むことができる。例えば、上述の評価ユニットおよび/または暗号化/復号化ユニットは、処理ユニットによって実現されてもよい。ROMは、ROM装置または処理ユニットによる使用のための静的情報および命令を記憶することができる他のタイプの静的記憶装置を含むことができる。
【0071】
医療評価装置10は、主メモリ、ROMおよび/または記憶装置などのコンピュータ可読媒体に含まれるソフトウェアアルゴリズムを実行する処理ユニットに応答して、これらの動作を実行することができる。コンピュータ可読媒体は、物理的または論理的な記憶装置として定義することができる。例えば、論理メモリ装置は、単一の物理メモリ装置内にメモリを含むか、または複数の物理メモリ装置にわたって分散されてもよい。主メモリ、ROMおよび記憶装置の各々は、プログラムコードとしての命令を有するコンピュータ可読媒体を含むことができる。ソフトウェアアルゴリズムは、記憶装置などの別のコンピュータ可読媒体のための主メモリに、または通信インターフェースを介して別の装置から、読み込まれてもよい。
【0072】
主メモリに含まれるソフトウェアアルゴリズムは、処理ユニット上で実行されたときにデータプロセッサを含む処理ユニットに、本明細書で説明される動作またはプロセスを実行させることができる。あるいは、本明細書に記載のプロセスおよび/または動作を実行するために、ソフトウェアアルゴリズムの代わりに、またはソフトウェアアルゴリズムと組み合わせてハードワイヤード回路を使用してもよい。したがって、本明細書で説明される実施形態は、ハードウェアとソフトウェアとの特定の組み合わせに限定されない。
【0073】
さらに、医療評価装置の各ユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ファームウェアなどにおいて実行することができる。
【0074】
本発明の実体および方法、本発明の構成において、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0075】
本発明は、全ての態様において限定的ではなく例示的であることが意図される特定の実施形態および実施例に関連して説明された。当業者であれば、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの多くの異なる組合せが本発明を実施するのに適していることを理解するであろう。
【0076】
(付記)
(付記1)
治療プロトコルに従って液体薬剤を噴霧するための、エアロゾルジェネレーター(31)を有するエアロゾルネブライザー(30)を使用するときの前記治療プロトコルに対する遵守を評価するための医療評価装置(10)であって、
前記医療評価装置(10)は、
通信装置(20)との通信接続を確立するように構成された通信ユニット(100)であって、前記通信接続が、
前記治療プロトコルに従って前記エアロゾルネブライザーを構成するための第1構成データを前記通信装置(20)を介して前記エアロゾルネブライザーのネブライザー制御装置(40)に供給し、
前記通信装置(20)から、前記エアロゾルネブライザーの動作を示す噴霧データを受信する、
ように構成される、通信ユニット(100)と、
前記受信した噴霧データと前記治療プロトコル内で定義されたそれぞれのパラメータとの比較に基づいて、前記治療プロトコルに対する前記遵守を評価するように構成された評価ユニット(110)と、を含み、
前記評価ユニット(110)は、治療関連のフィードバックデータを生成するためにさらに構成される、
医療評価装置(10)。
【0077】
(付記2)
前記通信ユニット(100)は、前記制御装置(40)の識別値と前記通信装置(20)の識別値との間の関連付けを前記通信装置(20)に転送するようにさらに構成される、付記1に記載の医療評価装置(10)。
【0078】
(付記3)
前記通信ユニット(100)は、前記通信装置(20)と前記ネブライザー制御装置(40)との間の無線通信接続の確立をアクティブ化するために、前記通信装置(20)に命令を転送するようにさらに構成される、付記1または2に記載の医療評価装置(10)。
【0079】
(付記4)
前記通信ユニット(100)は、前記通信装置(20)と前記ネブライザー制御装置(40)との間の前記無線通信接続を非アクティブ化するために、前記通信装置(20)に非アクティブ化の命令を転送するようにさらに構成される、付記1~3のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0080】
(付記5)
前記第1構成データは、前記制御装置(40)の識別値、現在の日付、現在の時刻、最大噴霧持続時間、最大記憶可能記録数、自動データ転送の非アクティブ化、および前記液体薬剤に使用可能な1つまたは複数の薬物の識別、の少なくとも1つを含む、付記1~4のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0081】
(付記6)
前記噴霧データは、噴霧日付、噴霧時刻、噴霧持続時間、前記エアロゾルネブライザーのスイッチオフのための1つまたは複数の中断基準、ユーザーによる使用状態、リザーバ内の前記液体薬剤の充填レベル、前記ユーザーの吸入/吐出の流量/容量/時間特性、および前記液体薬剤に使用される1つまたは複数の薬物のリスト、の少なくとも1つを含む、付記1~5のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0082】
(付記7)
前記噴霧データを受信することは、前記通信装置(20)の識別と前記ネブライザー制御装置(40)の識別とを受信することに関連する、付記1~6のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0083】
(付記8)
前記評価ユニット(110)は、前記通信装置(20)の受信された前記識別と前記ネブライザー制御装置(40)の受信された前記識別が記憶された識別対と一致する場合にのみ、前記遵守を評価するようにさらに構成される、付記1~7のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0084】
(付記9)
暗号化/復号化ユニット(120)を含み、前記暗号化/復号化ユニット(120)は、前記構成データを暗号化し、前記噴霧データを復号化するようにさらに構成される、付記1~8のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0085】
(付記10)
前記評価ユニット(110)は、前記治療プロトコルの定義された期間における毎日の遵守率および/または累積遵守率を計算するようにさらに構成される、付記1~9のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0086】
(付記11)
前記評価ユニット(110)は、各ユーザーまたは定義されたユーザーグループの遵守報告を作成するようにさらに構成される、付記1~10のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0087】
(付記12)
前記噴霧データは、前記エアロゾルネブライザー(30)の連続的な動作のための噴霧開始時間および噴霧持続時間をそれぞれ含み、前記評価ユニット(110)は、必要最小吸入持続時間が前記エアロゾルネブライザー(30)の前記連続的な動作にそれぞれ達したかを判定するようにさらに構成される、付記1~11のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0088】
(付記13)
前記評価ユニット(110)は、前記毎日の遵守率および/または前記累積遵守率が前記治療プロトコルで定義された前記それぞれのパラメータと一致しない場合、前記治療関連のフィードバックデータを生成するようにさらに構成されている、付記1~12のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0089】
(付記14)
前記治療関連のフィードバックデータは、前記ネブライザー制御装置(40)で命令を生成するように構成される、付記1~13のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0090】
(付記15)
前記評価ユニット(110)は、前記治療プロトコルに対する前記遵守を薬物特異的に評価するようにさらに構成される、付記1~14のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0091】
(付記16)
前記医療評価装置(10)は、呼吸器系の状態ならびに/または患者の肺の状態および/もしくは機能を監視するための診断装置(50)を追加的に使用するとき、前記治療プロトコルに対する遵守を評価するようにさらに適合されている、付記1~15のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0092】
(付記17)
前記診断装置(50)は、肺活量測定装置および/または非呼吸パラメータを測定するための装置である、付記16に記載の医療評価装置(10)。
【0093】
(付記18)
前記通信接続は、
前記治療プロトコルに従って前記診断装置(50)を構成するための第2構成データを、前記通信装置(20)を介して前記診断装置(50)の診断制御装置に供給すること、および
前記呼吸器系の状態ならびに/または前記患者の肺の状態および/もしくは機能を示す診断データを受信すること、
のためにさらに確立される、付記16または17に記載の医療評価装置(10)。
【0094】
(付記19)
前記第2構成データは、呼吸値および非呼吸値の少なくとも1つを含む、付記18に記載の医療評価装置(10)。
【0095】
(付記20)
前記呼吸値は、呼吸データ、特に呼吸周波数、吐出流量または吸入流量、吸入/吐出の持続時間および/または吸入容量を含む、付記19に記載の医療評価装置(10)。
【0096】
(付記21)
前記医療評価装置(10)は、前記治療プロトコルを適合させるときに前記診断データを使用するようにさらに構成される、付記18~20のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0097】
(付記22)
前記医療評価装置(10)は、前記ネブライザー制御装置に前記第1構成データを適合させるときに、前記診断データを使用するようにさらに構成される、付記18~21のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)。
【0098】
(付記23)
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムが1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つのデータプロセッサまたは前記複数のデータプロセッサに付記1~22のいずれか1つに記載の医療評価装置(10)を実行させるように構成された、命令を含むコンピュータプログラム。
【0099】
(付記24)
付記1~22のいずれか1つに記載の医療評価機器(10)、
通信装置(20)、
ネブライザー制御装置(40)、および、
エアロゾルネブライザー(30)、
を備えるシステム。
【0100】
(付記25)
さらに診断装置(50)を備える、付記24に記載のシステム。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の医療評価装置の特徴は、請求項1に規定される。有利な実施形態は、従属項に記載される。本発明のコンピュータプログラムの特徴は、さらに請求項20に規定される。加えて、本発明のシステムの特徴は、さらに請求項21に規定される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療プロトコルに従って液体薬剤を噴霧するための、エアロゾルジェネレーター(31)を有するエアロゾルネブライザー(30)を使用するときの前記治療プロトコルに対する遵守を評価するための医療評価装置(10)であって、
前記医療評価装置(10)は、
通信装置(20)との通信接続を確立するように構成された通信ユニット(100)であって、前記通信接続が、
前記治療プロトコルに従って前記エアロゾルネブライザーを構成するための第1構成データを前記通信装置(20)を介して前記エアロゾルネブライザーのネブライザー制御装置(40)に供給し、
前記通信装置(20)から、前記エアロゾルネブライザーの動作を示す噴霧データを受信する、
ように構成される、通信ユニット(100)と、
前記受信した噴霧データと前記治療プロトコル内で定義されたそれぞれのパラメータとの比較に基づいて、前記治療プロトコルに対する前記遵守を評価するように構成された評価ユニット(110)と、を含み、
前記評価ユニット(110)は、治療関連のフィードバックデータを生成するためにさらに構成され、
前記評価ユニット(110)は、吸入の状態および/またはスイッチオフの理由のうち1つまたは複数を含む個々の吸入報告である遵守報告を作成するようにさらに構成される、
医療評価装置(10)。
【請求項2】
前記評価ユニット(110)は、前記治療プロトコルの定義された期間における毎日の遵守率および/または累積遵守率を計算するようにさらに構成され、
前記毎日の遵守率および/または前記累積遵守率は、規定された必要最小吸入時間を有する有効吸入に基づいており、前記毎日の遵守率および/または前記累積遵守率のために使用される前記有効吸入は、薬物特有のもの、ユーザー特有のもの、または試験特有のものである、請求項1に記載の医療評価装置(10)。
【請求項3】
前記第1構成データは、前記制御装置(40)の識別値、現在の日付、現在の時刻、最大噴霧持続時間、最大記憶可能記録数、自動データ転送の非アクティブ化、および前記液体薬剤に使用可能な1つまたは複数の薬物の識別、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の医療評価装置(10)。
【請求項4】
前記噴霧データは、噴霧日付、噴霧時刻、噴霧持続時間、前記エアロゾルネブライザーのスイッチオフのための1つまたは複数の中断基準、ユーザーによる使用状態、リザーバ内の前記液体薬剤の充填レベル、前記ユーザーの吸入/吐出の流量/容量/時間特性、および前記液体薬剤に使用される1つまたは複数の薬物のリスト、の少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項5】
暗号化/復号化ユニット(120)を含み、前記暗号化/復号化ユニット(120)は、前記構成データを暗号化し、前記噴霧データを復号化するようにさらに構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項6】
前記遵守報告は、吸入のそれぞれの開始日/時間および対応する終了日/時間もしくは期間、吸入日、のうち1つまたは複数をさらに含む、請求項1に記載の医療評価装置(10)。
【請求項7】
前記個々の吸入報告は個々の吸入を区別する、請求項6に記載の医療評価装置(10)。
【請求項8】
前記個々の吸入報告は、1日当たりの個々の遵守および累積遵守をグラフで表示する、請求項6に記載の医療評価装置(10)。
【請求項9】
前記噴霧データは、前記エアロゾルネブライザー(30)の連続的な動作のための噴霧開始時間および噴霧持続時間をそれぞれ含み、前記評価ユニット(110)は、必要最小吸入持続時間が前記エアロゾルネブライザー(30)の前記連続的な動作にそれぞれ達したかを判定するようにさらに構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項10】
前記評価ユニット(110)は、前記毎日の遵守率および/または前記累積遵守率が前記治療プロトコルで定義された前記それぞれのパラメータと一致しない場合、前記治療関連のフィードバックデータを生成するようにさらに構成されている、請求項2に記載の医療評価装置(10)。
【請求項11】
前記治療関連のフィードバックデータは、前記ネブライザー制御装置(40)で命令を生成するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項12】
前記評価ユニット(110)は、前記治療プロトコルに対する前記遵守を薬物特異的に評価するようにさらに構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項13】
前記医療評価装置(10)は、呼吸器系の状態ならびに/または患者の肺の状態および/もしくは機能を監視するための診断装置(50)を追加的に使用するとき、前記治療プロトコルに対する遵守を評価するようにさらに適合されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項14】
前記診断装置(50)は、肺活量測定装置および/または非呼吸パラメータを測定するための装置である、請求項13に記載の医療評価装置(10)。
【請求項15】
前記通信接続は、
前記治療プロトコルに従って前記診断装置(50)を構成するための第2構成データを、前記通信装置(20)を介して前記診断装置(50)の診断制御装置に供給すること、および
前記呼吸器系の状態ならびに/または前記患者の肺の状態および/もしくは機能を示す診断データを受信すること、
のためにさらに確立される、請求項13または14に記載の医療評価装置(10)。
【請求項16】
前記第2構成データは、呼吸値および非呼吸値の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の医療評価装置(10)。
【請求項17】
前記呼吸値は、呼吸データ、特に呼吸周波数、吐出流量または吸入流量、吸入/吐出の持続時間および/または吸入容量を含む、請求項16に記載の医療評価装置(10)。
【請求項18】
前記医療評価装置(10)は、前記治療プロトコルを適合させるときに前記診断データを使用するようにさらに構成される、請求項15~17のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項19】
前記医療評価装置(10)は、前記ネブライザー制御装置に前記第1構成データを適合させるときに、前記診断データを使用するようにさらに構成される、請求項15~18のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)。
【請求項20】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムが1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つのデータプロセッサまたは前記複数のデータプロセッサに請求項1~19のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)を実行させるように構成された、命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか1項に記載の医療評価装置(10)、
通信装置(20)、
ネブライザー制御装置(40)、および、
エアロゾルネブライザー(30)、
を備えるシステム。
【請求項22】
さらに診断装置(50)を備える、請求項21に記載のシステム。