(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062069
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】感放射線性樹脂組成物、及びマイクロレンズの形成方法
(51)【国際特許分類】
G02B 1/04 20060101AFI20230425BHJP
G03F 7/023 20060101ALI20230425BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20230425BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230425BHJP
C08G 59/17 20060101ALI20230425BHJP
C08G 65/22 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G02B1/04
G03F7/023
G03F7/40 501
G02B3/00 A
G02B3/00 Z
C08G59/17
C08G65/22
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021487
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2018239400の分割
【原出願日】2018-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】松村 信司
(72)【発明者】
【氏名】浜口 仁
(57)【要約】 (修正有)
【課題】140℃以下での加熱処理によっても、良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができ、感度、保存安定性、並びに形成されるマイクロレンズの耐薬品性及び透明性も良好である感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたマイクロレンズの形成方法を提供する。
【解決手段】環状エーテル構造及び環状カーボネート構造からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(a1)と、フェノール性水酸基及び下記式(1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(a2)と、炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基を含む構造単位(a3)とを有する重合体、及び感放射線性酸発生剤を含有し、全形成工程中の最大の加熱温度が140℃以下であるマイクロレンズの形成に用いられる感放射線性樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状エーテル構造及び環状カーボネート構造からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(a1)と、
フェノール性水酸基及び下記式(1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(a2)と、
炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基を含む構造単位(a3)と
を有する重合体、及び
感放射線性酸発生剤
を含有し、全形成工程中の最大の加熱温度が140℃以下であるマイクロレンズの形成に用いられる感放射線性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。但し、R
1及びR
2のうち、少なくともいずれかは、ハロゲン原子又は炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。)
【請求項2】
上記感放射線性酸発生剤が2種以上の化合物を含む、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
上記感放射線性酸発生剤が、キノンジアジド化合物と、pKaが4.0以下の酸を発生する化合物とを含む、請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
上記重合体の重量平均分子量が3,000以上30,000以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
上記重合体における上記構造単位(a3)の含有割合が5質量%以上40質量%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
上記重合体におけるカルボキシ基を含む構造単位(a4)の含有割合が5質量%以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項7】
上記構造単位(a1)が、オキシラニル基、オキセタニル基又はテトラヒドロピラニル基を含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項8】
重合性化合物をさらに含有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項9】
上記重合性化合物が、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物及び多官能メラミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項10】
(1)基板上に請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、
(4)上記現像された塗膜の少なくとも一部にさらに放射線を照射する工程、及び
(5)上記(4)工程後の塗膜を140℃以下の温度で加熱する工程
を備える、マイクロレンズの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性樹脂組成物、及びマイクロレンズの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等の結像光学系などにおける光学系材料として、1~100μm程度のレンズ径を有するマイクロレンズ、又はそれらのマイクロレンズを規則的に配列したマイクロレンズアレイが使用されている。また、表示装置においては、光取り出し効率を向上させるために、各画素に対してその光出射側にマイクロレンズが設けられた構造も採用されている。
【0003】
このようなマイクロレンズの形成には、マイクロレンズに相当するパターンを形成した後、加熱処理することによってメルトフローさせ、そのままレンズとして利用する方法等が知られている。上記マイクロレンズの形成には、感放射線性樹脂組成物が広く使用されている(特開平6-18702号公報、特開平6-136239号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-18702号公報
【特許文献2】特開平6-136239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、マイクロレンズの形成においては、マイクロレンズに相当するパターンを形成した後、加熱処理する工程を備える方法が広く採用されている。しかし、CMOSイメージセンサや有機発光ダイオード等、熱に強くない素子が備わる基板上にマイクロレンズを形成する場合、高温で加熱処理をすることは好ましくない。そのため、例えば140℃以下といった比較的低温で加熱することが望まれるが、従来の感放射線性樹脂組成物を用いた場合、このような低温での加熱では、十分なメルトフローが生じないことなどにより、良好な形状を有するマイクロレンズを形成することが困難である。また、マイクロレンズ形成用の感放射線性樹脂組成物においては、放射線に対する感度、保存安定性、形成されるマイクロレンズの耐薬品性及び透明性などが要求される。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、140℃以下での加熱処理によっても、良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができ、感度、保存安定性、並びに形成されるマイクロレンズの耐薬品性及び透明性も良好である感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたマイクロレンズの形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、環状エーテル構造及び環状カーボネート構造からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(a1)と、フェノール性水酸基及び下記式(1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(a2)と、炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基を含む構造単位(a3)とを有する重合体(以下、「(A)重合体」ともいう。)、及び感放射線性酸発生剤(以下、「(B)酸発生剤」ともいう。)を含有し、全形成工程中の最大の加熱温度が140℃以下であるマイクロレンズの形成に用いられる感放射線性樹脂組成物である。
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。但し、R
1及びR
2のうち、少なくともいずれかは、ハロゲン原子又は炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。)
【0008】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、(1)基板上に当該感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、(2)上記塗膜の一部に放射線を照射する工程、(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、(4)上記現像された塗膜の少なくとも一部にさらに放射線を照射する工程、及び(5)上記(4)工程後の塗膜を140℃以下の温度で加熱する工程を備える、マイクロレンズの形成方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、140℃以下での加熱処理によっても、良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができ、感度、保存安定性、並びに形成されるマイクロレンズの耐薬品性及び透明性も良好である感放射線性樹脂組成物、及びそれを用いたマイクロレンズの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、マイクロレンズの断面形状の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<感放射線性樹脂組成物>
本発明の一実施形態に係る放射線性樹脂組成物は、マイクロレンズの形成材料として用いられるものである。具体的には当該感放射線性樹脂組成物は、全形成工程中の最大の加熱温度が140℃以下であるマイクロレンズの形成に用いられる。全形成工程中の最大の加熱温度の上限は、130℃が好ましく、125℃がより好ましく、115℃が特に好ましい場合もある。当該感放射線性樹脂組成物によれば、このように比較的低温の加熱によっても良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができる。このため、当該感放射線性樹脂組成物によれば、熱に弱い素子への影響を抑えながら、マイクロレンズを形成することができる。全形成工程中の最大の加熱温度の下限としては、例えば80℃であり、100℃が好ましく、110℃がより好ましい場合もある。全形成工程中の最大の加熱温度が上記下限以上のマイクロレンズの形成に用いることで、形状や耐薬品性等がより良好なマイクロレンズを形成することができる。
【0012】
当該感放射線性樹脂組成物は、(A)重合体及び(B)酸発生剤を含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、(C)重合性化合物をさらに含有することが好ましい。また、当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有してもよい。また、各成分は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。以下、各成分について詳述する。
【0013】
<(A)重合体>
(A)重合体は、構造単位(a1)と、構造単位(a2)と、構造単位(a3)とを有する。(A)重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の構造単位を有していてもよい。(A)重合体は、各構造単位を2種以上有していてもよい。
【0014】
[構造単位(a1)]
構造単位(a1)は、環状エーテル構造及び環状カーボネート構造からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位である。この環状エーテル構造及び環状カーボネート構造においては、(B)酸発生剤からの酸を触媒とするカチオン重合が生じる。また、加熱等により、後述する構造単位(a2)が有する水酸基と反応し、架橋構造を形成することもできる。これにより、耐薬品性等が良好なマイクロレンズを形成することなどができる。一方、この反応は、無酸触媒下及び常温では生じ難いため、良好な保存安定性を発揮することができ、感度や得られるマイクロレンズの形状や透明性も良好なものとなる。
【0015】
環状エーテル構造(環状エーテル基)の環員数としては、3~8が好ましく、3~6がより好ましく、3~4がさらに好ましい。環状エーテル構造を有する基としては、例えばオキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、脂環式エポキシ基等を挙げることができる。ここで、「オキシラニル基」とは、オキシラン(エチレンオキシド)から1個の水素原子を除いた基であり、その他の水素原子が、炭化水素基等の置換基で置換されているものも含む。炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基等のエテニル基等の脂肪族炭化水素基、及びフェニル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。「オキセタニル基」とは、オキセタン(トリメチレンオキシド)から1個の水素原子を除いた基であり、その他の水素原子が、炭化水素基等の置換基で置換されているものも含む。「脂環式エポキシ基」とは、脂環式構造を構成する炭素原子のうち、隣接する2個の炭素原子に酸素原子1個が結合して形成されるエポキシ基をいい、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシル基、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル基、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル基等が挙げられる。
【0016】
環状カーボネート構造(環状カーボネート基)の環員数としては、3~8が好ましい。環状カーボネート構造を有する基としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等から1個の水素原子を除いた基を挙げることができる。
【0017】
環状エーテル構造及び環状カーボネート構造の中でも、環状エーテル構造であることが好ましく、非脂環式の環状エーテル構造であることがより好ましく、オキシラニル基、オキセタニル基及びテトラヒドロピラニル基がさらに好ましく、オキシラニル基及びオキセタニル基がよりさらに好ましく、オキシラニル基が特に好ましい。このような構造は低温での硬化性等に優れ、140℃以下の加熱によって、形状性等により優れるマイクロレンズを形成することができる。
【0018】
構造単位(a1)は、下記式(2)で表されることが好ましい。
【0019】
【0020】
式(2)中、R3は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R4は、カルボニル基(-CO-)、p-フェニレン基又は単結合である。R5は、環状エーテル構造又は環状カーボネート構造を有する1価の基である。nは、1又は2である。
【0021】
R3としては、水素原子及びメチル基が好ましい。
【0022】
R4としては、カルボニル基及びp-フェニレン基が好ましく、カルボニル基がより好ましい。
【0023】
R5で表される環状エーテル構造及び環状エーテル構造を有する基の具体的形態及び好ましい形態は、上述した通りである。さらにR5としては、下記式(3-1)~(3-3)で表される基が好ましい。
【0024】
【0025】
式(3-1)~(3-3)中、R6~R8は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。R6~R8としては、水素原子、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0026】
nとしては、1が好ましい。
【0027】
構造単位(a1)としては、下記式(i-1)~(i-16)で表される構造単位等が挙げられる。
【0028】
【0029】
式(i-1)~(i-16)中、R3は、式(2)中のR3と同義である。
【0030】
構造単位(a1)の含有割合の下限としては、10質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましく、40質量%がよりさらに好ましく、50質量%が特に好ましい。一方、この含有割合の上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、65質量%がさらに好ましい。構造単位(a1)の含有割合を上記範囲とすることで、得られるマイクロレンズの形状性及び耐薬品性、保存安定性等を向上させることができる。なお、各構造単位の質量基準の含有割合は、(A)重合体を構成する全構造単位に対する含有割合と同義である。
[構造単位(a2)]
構造単位(a2)は、フェノール性水酸基及び下記式(1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位である。
【0031】
【0032】
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。但し、R1及びR2のうち、少なくともいずれかは、ハロゲン原子又は炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。
【0033】
構造単位(a2)中の水酸基は、加熱等により、構造単位(a1)中の環状エーテル構造又は環状カーボネート構造と反応し、架橋構造を形成することができる。また、(A)重合体が構造単位(a2)を有することにより、当該感放射線性樹脂組成物は、アルカリ現像液に対する良好な現像性を発揮することもできる。得られるマイクロレンズの透明性がより高まるといった点からは、構造単位(a2)は、式(1)で表される基を含む構造単位であることが好ましい。得られるマイクロレンズの耐薬品性がより高まるといった点からは、構造単位(a2)は、芳香環を含む構造単位であることが好ましい。また、得られるマイクロレンズの形状性がより高まるといった観点からは、構造単位(a2)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位(a2)としては、後述する式(4-1)で表される構造単位及び式(5-1)で表される構造単位が挙げられる。
【0034】
R1~R2で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。R1~R2で表される炭素数1~4のアルキル基としては、R6等で表される炭素数1~6のアルキル基として例示したうちの炭素数1~4のアルキル基等が挙げられる。R1~R2で表される炭素数1~4のフッ素化アルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換した基である。
【0035】
R1~R2としては、炭素数1~4のフッ素化アルキル基、及びハロゲン原子が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。上記炭素数1~4のフッ素化アルキル基としては、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
【0036】
構造単位(a2)のうち、フェノール性水酸基を含む構造単位としては、下記式(4-1)又は式(4-2)で表される構造単位が好ましい。中でも、得られるマイクロレンズの形状性や透明性がより高まるなどといった点からは、式(4-1)で表される構造単位がより好ましい。
【0037】
【0038】
式(4-1)及び(4-2)中、R9は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基である。R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のフッ素化アルキル基である。
【0039】
R9としては、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0040】
R10及びR11としては、水素原子が好ましい。
【0041】
構造単位(a2)のうち、式(1)で表される基を含む構造単位としては、下記式(5-1)又は式(5-2)で表される構造単位が好ましい。
【0042】
【0043】
式(5-1)及び(5-2)中、R9は、式(4-1)及び(4-2)中のR9と同義である。R1及びR2は、式(1)中のR1及びR2と同義である。R12及びR13は、それぞれ独立して、(m+1)価の有機基である。なお、R13において、主鎖側末端が*-COO-(*は、主鎖との結合手を表す)であるものは除く。mは、それぞれ独立して、1~5の整数である。mが2以上の場合、複数のR1及びR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0044】
R12及びR13で表される(m+1)価の有機基としては、(m+1)価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素-炭素間又は末端にヘテロ原子含有基を含む基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。(m+1)価の炭化水素基としては、例えば炭素数1~20の鎖状の(m+1)価の炭化水素基、炭素数3~20の(m+1)価の脂環式炭化水素基、若しくは炭素数6~20の(m+1)価の芳香族炭化水素基、又は炭素数1~20の鎖状の炭化水素基、炭素数3~20の脂環式炭化水素基及び炭素数6~20の芳香族炭化水素基のうちの2種以上を組み合わせた(m+1)価の基等が挙げられる。
【0045】
炭素数1~20の鎖状の(m+1)価の炭化水素基としては、例えば炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキル基から水素原子をm個除いた基等が挙げられる。炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、2-メチルプロピル基、1-メチルプロピル基、t-ブチル基等が挙げられる。
【0046】
炭素数3~20の(m+1)価の脂環式炭化水素基としては、例えば炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基から水素原子をm個除いた基等が挙げられる。炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0047】
炭素数6~20の(m+1)価の芳香族炭化水素基としては、例えば炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基から水素原子をm個除いた基等が挙げられる。炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0048】
ヘテロ原子含有基とは、構造中に2価以上のヘテロ原子を有する基をいう。ヘテロ原子含有基はヘテロ原子を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。また、ヘテロ原子含有基は、1個のヘテロ原子のみから構成されるものであってもよい。
【0049】
ヘテロ原子含有基が有する2価以上のへテロ原子としては、2価以上の原子価を有するヘテロ原子であれば特に限定されず、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子等が挙げられる。
【0050】
ヘテロ原子含有基としては、例えば
-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-SO2O-、-SO3-等のヘテロ原子のみからなる基;
-CO-、-COO-、-COS-、-CONH-、-OCOO-、-OCOS-、-OCONH-、-SCONH-、-SCSNH-、-SCSS-等の炭素原子とヘテロ原子とを組み合わせた基などが挙げられる。
【0051】
これらの中で、R12としては、鎖状の炭化水素基、脂環式炭化水素基及びこれらの基を組み合わせた基が好ましく、鎖状の炭化水素基がより好ましい。R12で表される有機基の炭素数としては、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0052】
R13としては、鎖状の炭化水素基、鎖状の炭化水素基の炭素-炭素結合間に酸素原子(-O-)を含む基、及び芳香族炭化水素基が好ましく、芳香族炭化水素基がより好ましい。R13で表される有機基の炭素数としては、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0053】
また、mは、1が好ましい。
【0054】
構造単位(a2)としては、例えば、下記式(ii-1)~(ii-16)で表される構造単位等が挙げられる。
【0055】
【0056】
式(ii-1)~(ii-16)中、R9は、式(4-1)、(4-2)、(5-1)及び(5-2)中のR9と同義である。
【0057】
構造単位(a2)の含有割合の下限としては、例えば5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。一方、この含有割合の上限としては、例えば60質量%が好ましく、50質量%がより好ましくり、40質量%がさらに好ましい。構造単位(a2)の含有割合を上記範囲とすることで、感度、保存安定性、得られるマイクロレンズの形状性、耐薬品性、透明性等をより高めることができる。
【0058】
[構造単位(a3)]
構造単位(a3)は、炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基を含む構造単位である。(A)重合体は、このように炭素数の多いアルキル基を含む構造単位(a3)を有するため、ガラス転移温度が比較的低い。従って、(A)重合体を含む当該感放射線性樹脂組成物は、140℃以下といった比較的低温で加熱処理しても十分なメルトフローが生じ、良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができる。
【0059】
炭素数が8以上20以下の鎖状のアルキル基としては、オクチル基、デシル基、ドデシル基(ラウリル基)、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。鎖状のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
【0060】
炭素数が8以上20以下の環状のアルキル基としては、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル基等を挙げることができる。環状のアルキル基は、単環であってもよく、多環であってもよい。
【0061】
140℃以下の加熱によって得られるマイクロレンズの形状性をより高める点からは、鎖状又は環状のアルキル基が有する炭素数の下限は、10が好ましく、12がより好ましい。一方、この炭素数の上限は、16であってもよく、14であってもよい。また、鎖状又は環状のアルキル基のうちでは、鎖状のアルキル基であることが好ましい。
【0062】
構造単位(a3)としては、下記式(6)で表される構造単位が好ましい。
【0063】
【0064】
式(6)中、R14は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R15は、カルボニルオキシ基(-COO-)、アミド基(-CONR-:Rは水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基である。)、酸素原子(-O-)又は単結合である。R16は、炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基である。
【0065】
R14としては、水素原子及びメチル基が好ましい。
【0066】
R15としては、カルボニルオキシ基が好ましい。カルボニルオキシ基においては、カルボニル基(-CO-)側が主鎖と結合していることが好ましい。すなわち、構造単位(a3)は、炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位であることが好ましい。
【0067】
R16で表される炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基の好適な形態は、上述した通りである。
【0068】
構造単位(a3)の含有割合の下限としては、5質量%が好ましく、8質量%がより好ましい。一方、この含有割合の上限としては、40質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましく、18質量%がよりさらに好ましい。構造単位(a3)の含有割合を上記範囲とすることで、得られるマイクロレンズの形状性をより高めつつ、感度、保存安定性、得られるマイクロレンズの耐薬品性、透明性等をより良好なものとすることができる。
【0069】
[その他の構造単位]
その他の構造単位を与える単量体としては、例えば炭素数が7以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸鎖状アルキルエステル、炭素数が7以下の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和芳香族化合物、共役ジエン、マレイミド化合物、カルボキシ基を有する単量体等が挙げられる。
【0070】
炭素数が7以下の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸鎖状アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0071】
炭素数が7以下の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
【0072】
(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0073】
不飽和芳香族化合物としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、N-フェニルマレイミド、N-トリルマレイミド、N-ナフチルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等が挙げられる。
【0074】
共役ジエンとしては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
【0075】
マレイミド化合物としては、例えばN-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシベンジル)マレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等が挙げられる。
【0076】
カルボキシ基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸等が挙げられる。
【0077】
その他の構造単位の含有割合は、求められる機能や用途等によって適宜設定され、特に限定されない。その他の構造単位の含有割合の下限としては、例えば1質量%であってもよく、3質量%であってもよい。一方、この含有割合の上限としては、10質量%が好ましい場合があり、5質量%がより好ましい場合があり、1質量%及び0.1質量%がさらに好ましい場合がある。その他の構造単位が実質的に含有されていない場合が好ましい場合もある。ここで、上記「実質的に含有されていない」とは、含有量が0.01質量%以下のことを指す。
【0078】
その他の構造単位の中でも、カルボキシ基を含む構造単位(a4)の含有割合は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、実質的に含有していないことが好ましい場合もある。カルボキシ基を含む構造単位(a4)の含有割合を低くすることにより、保存安定性がより高まり、長期間保存後も良好な性質が維持される。
【0079】
(A)重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、下限としては3,000が好ましく、5,000がより好ましく、7,000がさらに好ましい。(A)重合体の重量平均分子量を上記下限以上とすることで、得られるマイクロレンズの耐薬品性等をより高めることができる。一方、この重量平均分子量の上限としては、30,000が好ましく、20,000がより好ましく、15,000がさらに好ましい。(A)重合体の重量平均分子量を上記上限以下とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の感度をより高めることなどができる。
【0080】
(A)重合体のMwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、1以上3以下が好ましく、1.5以上2.5以下がより好ましい。
【0081】
<(A)重合体の合成方法>
(A)重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
【0082】
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常30℃~180℃であり、40℃~160℃が好ましく、50℃~140℃がより好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常、30分~8時間であり、45分~6時間が好ましく、1時間~5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常、30分~8時間であり、45分~7時間が好ましく、1時間~6時間がより好ましい。
【0083】
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)等が挙げられる。これらの開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
重合溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば限定されない。重合溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル・ラクトン系溶媒、ニトリル系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち、重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
【0086】
(A)重合体を製造するための重合反応においては、分子量を調整するために、分子量調整剤を使用できる。分子量調整剤としては、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;ターピノーレン、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0087】
<(B)酸発生剤>
(B)酸発生剤は、放射線の照射により酸を発生する化合物である。(B)酸発生剤は、加熱によってさらに酸を発生してもよい。当該放射線性樹脂組成物が(B)酸発生剤を含有することで、放射線の露光部分が現像工程で除去されるポジ型の感放射線特性を有すると共に、後の加熱工程における加熱で発生した酸が架橋触媒として機能し、架橋反応を促進して高い耐薬品性性等を有するマイクロレンズを形成することができる。(B)酸発生剤の含有形態としては、後述するような化合物の態様でも、重合体の一部として組み込まれた態様でも、これら両方の態様でもよい。なお、上記放射線は、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を含む概念である。
【0088】
(B)酸発生剤としては、2種以上の化合物を含むことが好ましい。具体的には(B)酸発生剤は、キノンジアジド化合物と、その他の酸発生剤とを含むことが好ましい。その他の酸発生剤としては、例えばpKaが4.0以下の酸を発生する化合物が挙げられる。(B)酸発生剤としてキノンジアジド化合物を用いた場合、良好なポジ型の感光特性を発揮することができる。一方、(B)酸発生剤として例えばpKaが4.0以下の酸を発生する化合物を用いた場合、加熱処理時に、この比較的強い酸の存在により、環状エーテル構造等のカチオン重合が効果的に進行する。従って、キノンジアジド化合物とpKaが4.0以下の酸を発生する化合物とを併用することで、感度、得られるマイクロレンズの耐薬品性、形状性等をより高めることができる。
【0089】
キノンジアジド化合物は、キノンジアジド基を有する化合物である。キノンジアジド化合物としては、例えばフェノール性化合物又はアルコール性化合物(以下、「母核」ともいう)と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライド又は1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドとの縮合物を用いることができる。
【0090】
母核としては、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、上記母核以外のその他の母核等が挙げられる。
【0091】
母核の具体例としては、例えば
トリヒドロキシベンゾフェノンとして、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン等;
テトラヒドロキシベンゾフェノンとして、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’-テトラヒドロキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシ-3’-メトキシベンゾフェノン等;
ペンタヒドロキシベンゾフェノンとして、2,3,4,2’,6’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン等;
ヘキサヒドロキシベンゾフェノンとして、2,4,6,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等;
(ポリヒドロキシフェニル)アルカンとして、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-〔1-〔4-〔1-〔4-ヒドロキシフェニル〕-1-メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインデン-5,6,7,5’,6’,7’-ヘキサノール、2,2,4-トリメチル-7,2’,4’-トリヒドロキシフラバン等;
その他の母核として、2-メチル-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)-7-ヒドロキシクロマン、1-[1-(3-{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル}-4,6-ジヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-3-(1-(3-{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル}-4,6-ジヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル)ベンゼン、4,6-ビス{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル}-1,3-ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0092】
これらの中で、母核としては、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1,1-トリス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、及び4,4’-〔1-〔4-〔1-〔4-ヒドロキシフェニル〕-1-メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノールが好ましい。
【0093】
1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましく、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドがより好ましく、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドがさらに好ましい。
【0094】
1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドとしては、2,3,4-トリアミノベンゾフェノン-1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸アミドが好ましい。
【0095】
フェノール性化合物又はアルコール性化合物(母核)と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合反応においては、フェノール性化合物又はアルコール性化合物中のOH基数に対して、好ましくは30モル%以上85モル%以下、より好ましくは50モル%以上70モル%以下に相当する1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドを用いることができる。なお、上記縮合反応は、公知の方法によって実施することができる。
【0096】
具体的なキノンジアジド化合物以外の(B)酸発生剤としては、オキシムスルホネート化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、オニウム塩等を挙げることができる。なお、非イオン性の酸発生剤を用いることで、得られるマイクロレンズの透明性を高めることなどができる。これらの中では、オキシムスルホネート化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、及びスルホン酸エステル化合物が非イオン性の化合物である。一方、オニウム塩がイオン性の化合物である。また、これら酸発生剤は、通常、pKaが4.0以下の酸を発生する化合物である。
【0097】
(オキシムスルホネート化合物)
オキシムスルホネート化合物は、オキシムスルホネート基を含む化合物である。オキシムスルホネート化合物としては、(5-プロピルスルフォニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、5H-オクチルスルフォニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、カンファースルフォニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-p-トルエンスルフォニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-オクチルスルフォニルオキシイミノ)-(4-メトキシフェニル)アセトニトリル等を挙げることができる。
【0098】
(スルホンイミド化合物)
スルホンイミド化合物としては、例えばN-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-1,8-ナフタレンジカルボイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、等を挙げることができる。特開2015-194583号公報、特開2016-206503号公報等に記載のスルホンイミド化合物も光酸発生剤として用いることができる。
【0099】
(ジアゾメタン化合物)
ジアゾメタン化合物としては、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロへキシルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。特開2015-18131号公報、特開2016-87486号公報等に記載のジアゾメタン化合物も酸発生剤として用いることができる。
【0100】
(スルホン化合物)
スルホン化合物としては、例えばβ-ケトスルホン化合物、β-スルホニルスルホン化合物、ジアリールジスルホン化合物等を挙げることができる。
【0101】
(スルホン酸エステル化合物)
スルホン酸エステル化合物としては、例えばアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
【0102】
(オニウム塩)
オニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩等を挙げることができる。
【0103】
ジフェニルヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート等を挙げることができる。特開2014-174235号公報、特開2016-87486号公報等に記載のジフェニルヨードニウム塩も酸発生剤として用いることができる。
【0104】
トリフェニルスルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム-p-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムブチルトリス(2、6-ジフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
【0105】
スルホニウム塩としては、例えばアルキルスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ジベンジルスルホニウム塩、置換ベンジルスルホニウム塩等を挙げることができる。
【0106】
アルキルスルホニウム塩としては、例えば4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート等を挙げることができる。特開2014-157252号公報、特開2016-87486号公報等に記載のアルキルスルホニウム塩も酸発生剤として用いることができる。
【0107】
ベンジルスルホニウム塩としては、例えばベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等を挙げることができる。特開2015-18131号公報、特開2016-87486号公報等に記載のベンジルスルホニウム塩も酸発生剤として用いることができる。
【0108】
ジベンジルスルホニウム塩としては、例えばジベンジル-4-ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル-4-ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等を挙げることができる。特開2015-18131号公報、特開2016-87486号公報等に記載のジベンジルスルホニウム塩も酸発生剤として用いることができる。
【0109】
置換ベンジルスルホニウム塩としては、例えばp-クロロベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p-ニトロベンジル-4-ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。特開2014-157252号公報、特開2016-87486号公報等に記載の置換ベンジルスルホニウム塩も酸発生剤として用いることができる。
【0110】
ベンゾチアゾニウム塩としては、例えば3-ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3-ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、3-ベンジルベンゾチアゾニウムテトラフルオロボレート、3-(p-メトキシベンジル)ベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3-ベンジル-2-メチルチオベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3-ベンジル-5-クロロベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
【0111】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば4,7-ジ-n-ブトキシ-1-ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウム-10-カンファースルホネート、等を挙げることができる。特開2014-157252号公報、特開2016-87486号公報等に記載のテトラヒドロチオフェニウム塩も酸発生剤として用いることができる。
【0112】
キノンジアジド化合物以外のこれらの酸発生剤の中でも、非イオン性の光酸発生剤が好ましく、オキシムスルホネート化合物及びスルホンイミド化合物がより好ましく、スルホンイミド化合物がより好ましい。
【0113】
(B)酸発生剤の含有量の下限としては、(A)重合体100質量部に対して、1質量部が好ましく、3質量部がより好ましい。一方、(B)酸発生剤の含有量の上限としては、50質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。
【0114】
(B)酸発生剤のうち、キノンジアジド化合物の含有量の下限は、5質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましい。この含有量の上限は、30質量部が好ましく、25質量部がより好ましい。
【0115】
また、(B)酸発生剤のうち、キノンジアジド化合物以外の酸発生剤の含有量の下限は、1質量部が好ましく、1.5質量部がより好ましい。この含有量の上限は、10質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、2.5質量部がさらに好ましい。
【0116】
(B)酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、感度、得られるマイクロレンズの透明性等をより良好なものとすることができる。特に、キノンジアジド化合物以外の酸発生剤の含有量を上記上限以下とすることで、得られるマイクロレンズの透明性を高めることができる。
【0117】
<(C)重合性化合物>
(C)重合性化合物は、複数の重合性基を有する、(A)重合体以外の化合物である。当該感放射線性樹脂組成物が(C)重合性化合物をさらに含むことで、得られるマイクロレンズの耐薬品性等を高めることができる。重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基、イソプロペニル基、アルコキシメチル化されたアミノ基、メチロール基、アルコキシ化メチル基等を挙げることができる。これらの中でも、複数のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物、複数のオキセタニル基を有する多官能オキセタン化合物、メチロール基及びアルコキシ化メチル基の両方、または、これら2種の基のいずれか一方を2個以上有する多官能メラミン化合物、並びに複数の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタニル化合物及び多官能メラミン化合物がより好ましい。これらの重合性化合物を用いることで、得られるマイクロレンズの耐薬品性等がより向上する。また、(C)重合性化合物として多官能(メタ)アクリレート化合物を用いた場合、感度や得られるマイクロレンズの透明性が向上する傾向がある。(C)重合性化合物として多官能エポキシ化合物を用いた場合、得られるマイクロレンズの形状性等がより向上する。
【0118】
なお、エポキシ基とは、3員環の環状エーテル構造を含む基を意味し、脂環式エポキシ基も含む。エポキシ基としては、オキシラニル基、3,4-エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。これらのエポキシ基は、水素原子の一部又は全部がアルキル基等の置換基で置換されたものであってもよい。
【0119】
多官能エポキシ化合物のうち、複数のオキシラニル基を有する化合物としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル等のビスフェノールのポリグリシジルエーテル類;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールの脂肪族ポリグリシジルエーテル類;分子内に2個以上の3,4-エポキシシクロヘキシル基を有する化合物;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ポリフェノール型エポキシ樹脂;環状脂肪族エポキシ樹脂;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等を挙げることができる。
【0120】
多官能エポキシ化合物のうち、複数の3,4-エポキシシクロヘキシル基を有する化合物としては、例えば3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等を挙げることができる。
【0121】
多官能オキセタン化合物としては、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,3-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)プロパン、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシメチル)ベンゼン、1,2-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシメチル)ベンゼン、4,4’-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシメチル)ビフェニル、2,2’-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシメチル)ビフェニル、1,6-ビス((3-メチルオキセタン-3-イル)メトキシ)ヘキサン、1,6-ビス((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)ヘキサン、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン等を挙げることができる。
【0122】
多官能メラミン化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン(2,4,6-トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン)、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン等を挙げることができる。
【0123】
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、2官能(メタ)アクリル酸エステル及び3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
【0124】
2官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート等が挙げられる。
【0125】
3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(2-アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、トリ(2-メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、側鎖アクリロイル基ビスF樹脂、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの他、直鎖アルキレン基及び脂環式構造を有し、かつ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上のヒドロキシ基とを有し、かつ3個、4個又は5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物と反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート系化合物等が挙げられる。
【0126】
多官能アクリレート化合物の市販品としては、東亞合成社のアニロックス(登録商標)M-350、M-450、M-400、M-510、M-520等、三菱化学社のSA1002等、大阪有機化学工業社のビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP等を挙げることができる。
【0127】
(C)重合性化合物の含有量の下限としては、(A)重合体100質量部に対して、1質量部が好ましく、5質量部がより好ましい。一方、(C)重合性化合物の含有量の上限としては、30質量部が好ましく、20質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましい。(C)重合性化合物の含有量を上記範囲とすることで、得られるマイクロレンズの形状性、耐薬品性、透明性等をより高めることなどができる。
【0128】
<(D)増感剤>
当該感放射線性樹脂組成物は、(D)増感剤をさらに含むことが好ましい。(D)増感剤を用いることで、(B)酸発生剤の使用量が少なくても十分な量の酸を発生させることができ、その結果、得られるマイクロレンズの透明性をより高めることなどができる。
【0129】
(D)増感剤としては、例えばピレン、ペリレン、トリフェニレン、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン,3,7-ジメトキシアントラセン、9,10-ジプロピルオキシアントラセン等の多核芳香族類;
フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等のキサンテン類;
キサントン、チオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン(2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン等)、イソプロピルチオキサントン(2-イソプロピルチオキサントン等)等のキサントン類;
チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等のシアニン類;
メロシアニン、カルボメロシアニン等のメロシアニン類;
ローダシアニン類;
オキソノール類;
チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等のチアジン類;
アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等のアクリジン類;
アクリドン、10-ブチル-2-クロロアクリドン等のアクリドン類;
アントラキノン等のアントラキノン類;
スクアリウム等のスクアリウム類;
スチリル類;
2-[2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]ベンゾオキサゾール等のベーススチリル類;
7-ジエチルアミノ4-メチルクマリン、7-ヒドロキシ4-メチルクマリン、2,3,6,7-テトラヒドロ-9-メチル-1H,5H,11H[l]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-ノン等のクマリン類等を挙げることができる。
【0130】
これらの(D)増感剤の中でも、多核芳香族類、アクリドン類、スチリル類、ベーススチリル類、クマリン類及びキサントン類が好ましく、キサントン類がより好ましい。
【0131】
(D)増感剤の含有量の下限としては、(A)重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましい。一方、(D)増感剤の含有量の上限としては、3質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。(D)増感剤の含有量を上記範囲とすることで、得られるマイクロレンズの形状性、耐薬品性、透明性等をより高めることなどができる。
【0132】
<(E)溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物は、通常(E)溶媒を含有する。(E)溶媒は、(A)重合体、(B)酸発生剤、及び必要に応じて含有される任意成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。
【0133】
(E)溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0134】
アルコール系溶媒としては、例えば
モノアルコール系溶媒として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、2-メチルブタノール、sec-ペンタノール、tert-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等;
多価アルコール系溶媒として、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等;
多価アルコール部分エーテル系溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
【0135】
エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0136】
ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
【0137】
アミド系溶媒としては、例えばN,N’-ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0138】
エステル系溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸sec-ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸3-メチル-3-メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n-ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、酢酸エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸i-アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
【0139】
炭化水素系溶媒としては、例えば
脂肪族炭化水素系溶媒として、n-ペンタン、i-ペンタン、n-ヘキサン、i-ヘキサン、n-ヘプタン、i-ヘプタン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、i-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等;
芳香族炭化水素系溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、i-プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i-ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ-i-プロピルベンセン、n-アミルナフタレン等が挙げられる。
【0140】
(E)溶媒としては、これらの中でも、エーテル系溶媒が好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル及びジエチレングリコールジエチルエーテルがより好ましい。また、(E)溶媒は、上記溶媒と共に、カプロン酸、カプリル酸、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の高沸点溶媒を含有してもよい。
【0141】
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物が含有してもよいその他の任意成分としては、例えば接着助剤、界面活性剤、酸化防止剤、酸拡散制御剤等が挙げられる。
【0142】
[接着助剤]
接着助剤は、得られるマイクロレンズと基板との接着性を向上させる成分である。上記接着助剤としては、カルボキシ基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、オキシラニル基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましい。
【0143】
官能性シランカップリング剤としては、例えばトリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0144】
接着助剤の含有量の下限としては、(A)重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、10質量部が好ましく、4質量部がより好ましく、2質量部がさらに好ましい。接着助剤の使用量を上記上限以下とすることで、現像残りを抑制することができる。また、接着助剤の含有量を比較的抑えることで、(A)重合体及び(B)酸発生剤の機能がより効果的に奏されることなどにより、感度、形状性、耐薬品性等をより高めることもできる。
【0145】
[界面活性剤]
界面活性剤は、当該感放射線性樹脂組成物の塗膜形成性を向上させる成分である。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びその他の界面活性剤が挙げられる。
【0146】
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルキレン基を有する化合物が好ましく、例えば、1,1,2,2-テトラフロロ-n-オクチル(1,1,2,2-テトラフロロ-n-プロピル)エーテル、1,1,2,2-テトラフロロ-n-オクチル(n-ヘキシル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3-ヘキサフロロ-n-ペンチル)エーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2-テトラフロロ-n-ブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3-ヘキサフロロ-n-ペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2-テトラフロロ-n-ブチル)エーテル、パーフロロ-n-ドデカンスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,3,3-ヘキサフロロ-n-デカン、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10-デカフロロ-n-ドデカンや、フロロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フロロアルキルリン酸ナトリウム、フロロアルキルカルボン酸ナトリウム、ジグリセリンテトラキス(フロロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フロロアルキルアンモニウムヨージド、フロロアルキルベタイン、他のフロロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフロロアルキルポリオキシエタノール、パーフロロアルキルアルコキシレート、カルボン酸フロロアルキルエステル等が挙げられる。
【0147】
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばBM-1000、BM-1100(以上、BM CHEMIE製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F471、同F476(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC-170C、同-171、同-430、同-431(以上、住友スリーエム製)、サーフロンS-112、同-113、同-131、同-141、同-145、同-382、サーフロンSC-101、同-102、同-103、同-104、同-105、同-106(以上、旭硝子製)、エフトップEF301、同303、同352(以上、新秋田化成製)、フタージェントFT-100、同-110、同-140A、同-150、同-250、同-251、同-300、同-310、同-400S、FTX-218、同-251(以上、ネオス製)等が挙げられる。
【0148】
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えばトーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH-190、同SH-193、同SZ-6032、同SF-8428、同DC-57、同DC-190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4446、TSF-4460、TSF-4452(以上、GE東芝シリコーン製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業製)等が挙げられる。
【0149】
その他の界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン-n-オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン-n-ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステルなどのノニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0150】
その他の界面活性剤の市販品としては、例えば(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、同No.95(以上、共栄社化学製)等が挙げられる。
【0151】
界面活性剤の含有量の下限としては、(A)重合体100質量部に対して、0.01質量部が好ましく、0.1質量部がより好ましい。一方、この含有量の上限としては、3質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、0.4質量部がさらに好ましい。界面活性剤の含有量を上記範囲とすることで、効果的に膜形成性を向上させることができる。
【0152】
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、露光若しくは加熱により発生したラジカル、又は酸化によって生成した過酸化物を分解し、重合体分子の結合の開裂を防止することができる成分である。その結果、得られる硬化膜は経時的な酸化劣化が防止され、例えば、マイクロレンズの形状変化を抑制することができる。
【0153】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール構造を有する化合物、ヒンダードアミン構造を有する化合物、アルキルホスファイト構造を有する化合物、チオエーテル構造を有する化合物等が挙げられる。これらの中で、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール構造を有する化合物が好ましい。
【0154】
[酸拡散制御剤]
酸拡散制御剤は、露光により(B)酸発生剤から生じる酸の塗膜中における拡散現象を制御し、未露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0155】
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、2-(4-アミノフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4-ビス(1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3-ビス(1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル)ベンゼン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジエチルアミノエチル)エーテル、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン、2-キノキサリノール、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0156】
アミド基含有化合物としては、例えばN-t-ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N-メチルピロリドン、N-アセチル-1-アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0157】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア、1,1,3,3-テトラメチルウレア、1,3-ジフェニルウレア、トリ-n-ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0158】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3-ピペリジノ-1,2-プロパンジオール、モルホリン、4-メチルモルホリン、1-(4-モルホリニル)エタノール、4-アセチルモルホリン、3-(N-モルホリノ)-1,2-プロパンジオール、1,4-ジメチルピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0159】
また、酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。この光崩壊性塩基は、未露光部ではアニオンによる高い酸捕捉機能が発揮されクエンチャーとして機能し、露光部から拡散する酸を捕捉する。すなわち、未露光部のみにおいてクエンチャーとして機能するため、脱保護反応のコントラストが向上し、結果として解像度をより向上させることができる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。
【0160】
なお、(A)重合体、(B)酸発生剤、(C)重合性化合物、(D)増感剤及び(E)溶媒以外の成分の含有量の上限としては、(A)重合体100質量部に対して5質量部以下が好ましいこともあり、3質量部以下が好ましいこともある。任意成分の含有量を抑えることで、(A)重合体等の機能がより効果的に奏されることなどにより、得られるマイクロレンズの形状性等をより高めることもできる。
【0161】
当該型感放射線性樹脂組成物は、140℃以下での加熱処理によっても、良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができ、感度、保存安定性、並びに形成されるマイクロレンズの耐薬品性及び透明性も良好である。
【0162】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、(A)重合体、(B)酸発生剤、必要に応じてその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。調製した感放射線性樹脂組成物は、例えば孔径0.2μm以下のフィルタでろ過することが好ましい。
【0163】
<マイクロレンズの形成方法>
本発明の一実施形態に係るマクロレンズの形成方法は、
(1)基板上に当該感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、
(4)上記現像された塗膜の少なくとも一部にさらに放射線を照射する工程、及び
(5)上記(4)工程後の塗膜を140℃以下の温度で加熱する工程
を備える。
【0164】
当該マイクロレンズの形成方法によれば、140℃以下で加熱を行っているにも拘らず、良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができ、形成されるマイクロレンズの耐薬品性及び透明性も良好である。また、当該形成方法によれば、140℃以下で加熱を行うため、基板や基板に備わる素子の熱劣化が抑制される。なお、当該感放射線性樹脂組成物を用いて、上記形成方法以外の方法でマイクロレンズを形成してもよい。例えば、上記工程(4)を備えない方法でマイクロレンズを形成してもよい。以下、各工程について詳述する。
【0165】
[工程(1)]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物を用い、基板上に塗膜を形成する。具体的には、当該感放射線性樹脂組成物を基板表面に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより溶媒を除去して感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する。基板としては、例えばガラス基板、シリコンウエハ、プラスチック基板、及びこれらの表面に着色レジスト、オーバーコート、反射防止膜、各種金属薄膜が形成された基板等が挙げられる。プラスチック基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板が挙げられる。
【0166】
基板には、各種素子が予め設けられていてもよい。基板に設けられる素子としては、フォトダイオード等の受光素子、有機発光素子等の発光素子、カラーフィルター等の色素含有素子等が挙げられる。上述のように、当該形成方法によれば、これらの素子の加熱による劣化が抑制できる。
【0167】
塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができる。これらの中で、塗布方法としては、スピンコート法、バー塗布法、スリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件としては、各成分の種類、使用割合等によっても異なるが、例えば60℃~130℃で30秒間~10分間程度とすることができる。形成される塗膜の膜厚は、プレベーク後の値として、0.1μm~8μmが好ましく、0.2μm~5μmがより好ましく、0.4μm~3μmがさらに好ましい。
【0168】
[工程(2)]
本工程では、塗膜の一部に放射線を照射(露光)する。具体的には、工程(1)で形成した塗膜に所定のマイクロレンズのパターンを有するマスクを介して放射線を照射する。このとき用いられる放射線としては、例えば紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等が挙げられる。また、用いられるマスクは、ハーフトーンマスクやグレイトーンマスク等の多階調マスクであってもよい。
【0169】
紫外線としては、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)等が挙げられる。X線としては、例えばシンクロトロン放射線等が挙げられる。荷電粒子線としては、例えば、電子線等が挙げられる。これらの放射線のうち、紫外線が好ましく、波長200nm以上380nm以下の紫外線がより好ましい。放射線の露光量としては、1,000J/m2~20,000J/m2が好ましい。
【0170】
また、場合によっては、露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うこともできる。
【0171】
[工程(3)]
本工程では、放射線が照射された塗膜を現像する。具体的には、工程(2)で放射線が照射された塗膜に対し、現像液により現像を行って放射線の照射部分を除去する。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕-5-ノナンなどのアルカリ(塩基性化合物)の水溶液等が挙げられる。また、アルカリの水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、又は当該感放射線性樹脂組成物を溶解する各種有機溶媒を少量含むアルカリ水溶液を現像液として使用してもよい。
【0172】
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を採用することができる。現像時間としては、当該感放射線性樹脂組成物の組成によって異なるが、例えば30秒~120秒とすることができる。
【0173】
[工程(4)]
本工程では、現像された塗膜の少なくとも一部にさらに放射線を照射する。この照射は、現像された塗膜の全部(全面)に行うことが好ましい。この照射(ポスト露光)により、塗膜中に残存する(B)酸発生剤の分解が処理される。例えば(B)酸発生剤としてキノンジアジド化合物を用いる場合、非露光部が赤色を呈する。そのため、現像後の非露光部に対して照射することにより、塗膜を無色化することができる。この際の照射(ポスト露光)条件としては、例えば上述した工程(2)と同様の条件とすることができる。
【0174】
[工程(5)]
本工程では、上記(4)工程後の塗膜を加熱する。具体的には、工程(4)で照射(ポスト露光)された塗膜を、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用い、加熱処理(ポストベーク)することによって塗膜の硬化を行う。また、この加熱により現像後の塗膜はメルトフローし、
図1(a)に示すような半凸レンズ形状(マイクロレンズ形状)となる。
【0175】
本工程における加熱温度の上限は140℃であり、130℃であってもよく、125℃であってもよく、115℃であってもよい。当該形成方法によれば、このように比較的低温の加熱によっても良好な形状を有するマイクロレンズを形成することができる。本工程における加熱温度の下限としては、例えば80℃であり、100℃が好ましく、110℃がより好ましい場合もある。加熱工程における加熱温度を上記下限以上とすることで、形状や耐薬品性等がより良好なマイクロレンズを形成することができる。
【0176】
加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えばホットプレート上で加熱を行う場合には5~30分間、オーブン中で加熱を行う場合には10~90分間とすることができる。この際に、2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。
【0177】
このようにして得られるマイクロレンズは、良好なレンズ形状を有する。当該マイクロレンズの直径としては、例えば1μm以上100μm以下程度である。また、当該マイクロレンズは、耐薬品性に優れ、透明性も高い。従って、当該マイクロレンズは、固体撮像素子、表示素子等のマイクロレンズとして好適に使用できる。当該形成方法を固体撮像素子の製造に採用する場合、CMOSイメージセンサ等の受光素子などの熱劣化が抑えられる。また、当該形成方法を表示素子の製造に採用する場合、有機発光ダイオード等の発光素子などの熱劣化が抑えられる。
【実施例0178】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。各物性値の測定方法を以下に示す。
【0179】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりMw及びMnを測定した。また、分子量分布(Mw/Mn)は得られたMw及びMnより算出した。
装置:GPC-101(昭和電工)
GPCカラム:GPC-KF-801、GPC-KF-802、GPC-KF-803及びGPC-KF-804を結合(島津ジーエルシー)
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0180】
<(A)重合体の合成>
各実施例及び比較例の重合体の合成で用いた単量体化合物を以下に示す。
【0181】
[構造単位(a1)を与える単量体化合物]
下記式(a1-1)~(a1-3)でそれぞれ表される単量体化合物(a1-1)~(a1-3)
【0182】
【0183】
[構造単位(a2)を与える単量体化合物]
下記式(a2-1)~(a2-4)でそれぞれ表される単量体化合物(a2-1)~(a2-4)
【0184】
【0185】
[構造単位(a3)等を与える単量体化合物]
(a3-1):アクリル酸ラウリル
(a3-2):メタクリル酸オクチル
(a3’):メタクリル酸ブチル
【0186】
[構造単位(a4)を与える単量体化合物]
(a4-1):メタクリル酸
【0187】
[合成例1](重合体(A-1)の合成)
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)11質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込んだ。次いで、構造単位(a1)を与える化合物(a1-1)57質量部、構造単位(a2)を与える化合物(a2-1)25質量部、構造単位(a3)を与える化合物(a3-1)15質量部、及び構造単位(a4)を与える化合物(a4-1)3質量部を仕込み、窒素置換し、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより重合体(A-1)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は34.1質量%であり、重合体(A-1)のMwは9,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
【0188】
[合成例2~13](重合体(A-2)~(A-13)の合成)
下記表1に示す種類及び使用量の単量体化合物を用いた以外は、合成例1と同様に操作し、重合体(A-2)~(A-9)及び(A-12)~(A-13)を合成した。また重合体(A-10)は2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を15質量部に、重合体(A-11)は2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を6質量部に変更した以外は上記と同様に操作し合成した。なお、表1中の空欄は、該当する単量体化合物を配合しなかったことを示す。また、得られた各重合体の各構造単位の質量基準の含有割合は、用いた単量体化合物の配合割合と実質的に等しかった。
【0189】
【0190】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
各感放射線性樹脂組成物の調製に用いた(B)酸発生剤、(C)重合性化合物及び(D)増感剤を以下に示す。
【0191】
(B)酸発生剤
B-1:1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドと4,4’-{1-{4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル}エチリデン}ビスフェノールの反応生成物
B-2:N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-1,8-ナフタレンジカルボイミド
B-3:オニウム塩系光酸発生剤(サンアプロ社製「CPI-210S」)
B-4:4,7-ジ-n-ブトキシ-1-ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート
【0192】
[C]重合性化合物
C-1:多塩基酸変性アクリルオリゴマー(東亞合成社製「アロニックスM510」)
C-2:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート
C-3:3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン
C-4:2,4,6-トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン
【0193】
[D]増感剤
D-1:2-イソプロピルチオキサントン
【0194】
[実施例1]
(A)重合体としての(A-1)100質量部(固形分)を含有する重合体溶液、(B)酸発生剤としての(B-1)20質量部及び(B-2)2質量部、(D)増感剤としての(D-1)0.5質量部、接着助剤(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部、並びに界面活性剤(ネオス社製「FTX-218」)0.2質量部を混合し、さらに固形分濃度が17質量%となるように(E)溶媒としてのジエチレングリコールメチルエチルエーテルを添加した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過することにより実施例1の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0195】
[実施例2~18、比較例1~3及び参考例1]
(A)重合体、(B)酸発生剤、(C)重合性化合物及び(D)増感剤の種類及び配合量(質量部)を表2の通りとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~18、比較例1~3及び参考例1の各感放射線性樹脂組成物を調製した。表2において、(A)重合体の配合量は100質量部である。なお、これらの各感放射線性樹脂組成物には、同じ組成のものも含む。
【0196】
【0197】
<評価>
調製した各感放射線性樹脂組成物を用い、下記評価方法に従い評価した。その評価結果を表3に示す。
【0198】
〔感度〕
実施例1~18、比較例1~3及び参考例1の各感放射線性樹脂組成物を、クリーントラックを用いてシリコン基板上に塗布した。その後、90℃にて90秒間プレベークして膜厚1.0μmの塗膜を形成した。ニコン社製「NSR2205i12D」縮小投影露光機(NA=0.63、λ=365nm)を用い、露光時間を変化させて、1.0μmスペース・2.0μmドットのパターンを有するマスクを介して塗膜に露光を行った。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(現像液)を用い、液盛り法によって25℃、1分間現像処理を行った。現像処理後、塗膜を水でリンスし、乾燥させてウェハー上にパターンを形成した。このような露光及び現像処理において1.0μmスペース・2.0umドットが形成されるのに必要な最小の露光量を感度(mJ/cm2)とした。
【0199】
〔形状性〕
実施例1~18、比較例1~3及び参考例1について、上記感度の評価で形成した1.0μmスペース・2.0μmドットパターンに対して、キヤノン社製「PLA-501F」露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、積算照射量が500mJ/cm2となるようにさらに露光を行った。次いで、ホットプレートを用い、表3記載のポストベーク条件にてそれぞれポストベークを実施し、パターンをメルトフローさせてマイクロレンズを形成した。形成されたマイクロレンズの断面形状を表3に示す。形状は、(a)のような半凸レンズ形状であるときに良好であり、判定を○、(b)のような略台形状の場合は不良であると判断し判定を×とした。また、(a)のような半凸レンズ形状を形成したものの中で、ポストベーク後のドッドパターンサイズが2.2μm以上となるものが最も形状良好であり、判定を◎とした。
【0200】
〔耐薬品性〕
スピンナーを用い、実施例1~18、比較例1~3及び参考例1の各感放射線性樹脂組成物をシリコン基板上に塗布した後、90℃にて90秒間ホットプレート上でプレベークして膜厚1.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が500mJ/cm2となるように紫外線を照射した。次いで、この塗膜が形成されたシリコン基板をホットプレートを用い、表3記載のポストベーク条件にてポストベークし硬化膜を得た。得られた硬化膜の膜厚(T1)を測定した。そして、この硬化膜が形成されたシリコン基板を、アセトン中に5分間浸漬させた後、上記浸漬後の硬化膜の膜厚(t1)を測定し、膜厚変化率を下記式から算出し、これを耐薬品性の指標とした。
膜厚変化率={(t1-T1)/T1}×100(%)
この値の絶対値が2%未満の場合◎、2%以上5%未満の場合○、5%以上10%未満の場合△と判定した。
【0201】
〔透明性〕
ガラス基板を用いる以外は耐薬品性の評価と同様の方法を用いて硬化膜を作成した。得られた硬化膜の透過率を、紫外可視分光光度計(日本分光社製「V-630」)を用いて測定した。このとき、波長400nmの光の透過率が95%以上の場合を◎、92%以上95%未満の場合を○、90%以上92%未満の場合を△と判定した。
【0202】
〔保存安定性〕
実施例1~18、比較例1~3及び参考例1の各感放射線性樹脂組成物を室温で1カ月保管した後、上記方法にて感度を測定した。調製直後の感度(S1)と室温で1カ月保管した後の感度(S2)とから下記式を用いて感度変化率を算出し、保存安定性の指標とした。
感度変化率={(S2-S1)/S1}×100(%)
この感度変化率が5%未満の場合を◎、5%以上10%未満の場合を○、10%以上の場合を×と判定した。
【0203】
【0204】
表3に示されるように、実施例1~18においては、140℃以下での加熱処理(ポストベーク)であるにも拘らず、得られたマイクロレンズの形状性並びに硬化膜の耐薬品性及び透明性が良好であった。また、実施例1~18においては、感度及び保存安定性も良好であった。一方、比較例1~3においては、良好な形状を有するマイクロレンズを得ることができなかった。
【0205】
また、参考例1及び比較例3から、炭素数が8以上20以下の鎖状又は環状のアルキル基を含む構造単位を有さない重合体(A-13)を用いた感放射線性樹脂組成物において、150℃で加熱処理した場合(参考例1)は良好な形状を有するマイクロレンズが得られているのに対し、120℃で加熱処理した場合(比較例3)は良好な形状を有するマイクロレンズが得られない結果となっている。すなわち、従来の感放射線性樹脂組成物では良好な形状を有するマイクロレンズを得ることができないという本発明の課題は、高温で加熱処理する形成方法では生じず、低温で加熱処理する形成方法の場合に初めて生じる特有の課題であるといえる。
上記重合性化合物が、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物及び多官能メラミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の感放射線性樹脂組成物。