(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062098
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】神経ミクロ生理学的システム及びこれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0793 20100101AFI20230425BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230425BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20230425BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20230425BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20230425BHJP
G01N 33/92 20060101ALI20230425BHJP
C12N 13/00 20060101ALN20230425BHJP
【FI】
C12N5/0793
C12M1/34 D
C12Q1/04
C12N5/078
C12N5/071
G01N33/92 Z
C12N13/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023322
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2020171887の分割
【原出願日】2015-09-14
(31)【優先権主張番号】62/049,692
(32)【優先日】2014-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/138,258
(32)【優先日】2015-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502137178
【氏名又は名称】ザ アドミニストレイターズ オブ ザ テューレイン エデュケイショナル ファンド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャベ ロウリー カーリー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイムズ ムーア
(72)【発明者】
【氏名】パラストゥー クシャクラグ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジョン ホール
(57)【要約】
【課題】細胞培養システム、具体的には、細胞ミエリン形成を含む、インビボ末梢繊維の特性に擬する構造的及び機能的特性の両方を促進する、神経細胞のための三次元細胞培養システムを提供すること。
【解決手段】二重ヒドロゲル構築物及び神経細胞からの外植片を用いることで、本開示は、細胞内及び細胞外の電気生理学的測定及び記録を可能にする、インビトロの空間的に制御された三次元モデル用の方法、デバイス、及びシステムを提供する。この三次元ヒドロゲル構築物は、組み込まれる細胞の種類、幾何学的成型加工、及び電気的操作における柔軟性を可能にし、培養、摂動、及び生理学的に関連する結果を用いる、生物模倣型の神経成長の試験のための実行可能なシステムを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書および図面に記載の物、方法またはシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年9月12日に出願された米国仮出願第62/049,692号及び2015年3月25日に出願された米国仮出願第62/138,258号の優先権を主張し、これらの各々について、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、細胞培養システムに関し、具体的には、細胞ミエリン形成及び複合活動電位の伝播を含む、インビボ神経繊維の特性に擬する構造的及び機能的特性の両方を促進する、神経細胞のための三次元細胞培養システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ベンチトップ評価のために生理機能の機能的態様を複製することは、長距離にわたる生体電気的伝導が最も関連のある生理学的結果のうちの1つである、末梢神経組織に関しては特に困難である。この理由から、末梢神経の三次元組織モデルは、可溶性検体が適切なメトリックスとして機能する、上皮、代謝性、及び腫瘍組織のモデルに遅れを取っている。電気生理学的技法の応用は、最近になって、環境毒素のスクリーニングのため、ならびに疾患モデリング及び治療試験のための多電極アレイ技術を通じて可能になった。この応用は、末梢神経系(PNS)での用途及び中枢神経系(CNS)での用途の両方に関する研究の草分けであるが、培養物の解離性質により、末梢組織に重要な集合レベル環境及びメトリックスを複製することができない。代わりに、末梢神経障害及び神経保護を調査する臨床方法としては、皮膚生検の形態計測的解析を使用する、複合活動電位(CAP)及び神経繊維密度(NFD)の測定による神経伝導試験が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、臨床神経伝導及びNFDに擬する神経組織のインビトロ生理学的測定を可能にする、3Dヒドロゲルシステムの作製及び使用に対する必要性に対処するものである。
【0005】
本開示は、1つまたは複数の神経細胞の三次元培養物を、固体基板を備える培養容器において生成する方法であって、本方法が、(a)1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/またはオリゴデンドロサイトを、固体基板と接触させることであり、該基板が、少なくとも1つの外面と、少なくとも1つの内面と、少なくとも1つの内面によって画定され、かつ少なくとも1つの開口部を通じて、固体基板の外側の地点からアクセス可能である少なくとも1つの内室とを備える、接触させることと、(b)1つもしくは複数の単離された神経細胞または神経細胞を含む組織外植片を、少なくとも1つの内室に播種することと、(c)少なくとも1つの内室を被覆するのに十分な体積の細胞培地を、培養容器に適用することと、を含み、内面の少なくとも一部分が、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを備える、方法に関する。一部の実施形態において、ステップ(a)の前に、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを含む溶液を培養容器内に配置することと、内面の少なくとも一部の上に物理的に接着または化学的に結合するように、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを誘導することとが行われる。一部の実施形態において、固体基板は、外面及び内面の形状を画定する所定の形状を有するベースを備える。
【0006】
一部の実施形態において、ベースは、シリカ、プラスチック、セラミック、または金属のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含み、ベースは、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーが、ベースの内面を被覆し、円筒形または略円筒形の内室
または区画を画定するように、円筒形の形状または円筒形に実質的に類似する形状であり、かつ開口部は、円筒形の一端に位置付けられる。一部の実施形態において、ベースは、細胞培養培地の存在下において、固体基板を通じてタンパク質、栄養素、及び酸素を拡散させるのに十分なサイズ及び形状の、1つまたは複数の細孔を備える。
【0007】
一部の実施形態において、固体基板上に架橋するように、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを誘導するステップは、溶液を紫外光または可視光に曝露することを含む。一部の実施形態において、第1の細胞不透過性ポリマーは、溶液の約20重量容量%以下の濃度のポリエチレングリコール(PEG)である。一部の実施形態において、第1の細胞不透過性ポリマーは、溶液の約0.1重量容量%~約3.0重量容量%の濃度である。
【0008】
一部の実施形態において、本方法は、培養容器を、内室において軸索を成長させるのに十分な時間、摂氏37°及び約5.0%以下の二酸化炭素濃度に曝露するステップを更に含む。一部の実施形態において、固体基板の少なくとも一部分が、固体基板の内面の少なくとも一部分が、1つまたは複数のシュワン細胞が播種され、かつ1つまたは複数のニューロンが播種される、円筒形または略円筒形の内室を画定するように、円筒形または略円筒形である。
【0009】
一部の実施形態において、ステップ(c)は、単離された後根神経節、脊髄外植片、網膜外植片、及び皮質外植片のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される組織外植片を播種することを含む。一部の実施形態において、ステップ(c)は、運動ニューロン、皮質ニューロン、脊髄ニューロン、末梢ニューロンのうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される神経細胞の懸濁液を播種することを含む。
【0010】
一部の実施形態において、固体基板は、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーの混合物と架橋したプラスチックベースを備え、プラスチックベースは、約1ミクロン以下の直径を有する複数の細孔を備える。
【0011】
一部の実施形態において、本方法は、固体基板を形成し、該固体基板を培養容器内に位置付けるステップを更に含む。一部の実施形態において、固体基板を形成するステップは、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを含む溶液を、フォトリソグラフィによって硬化することを含む。
【0012】
一部の実施形態において、本方法は、ステップ(c)の後、約1日から約1年の期間、神経細胞に神経突起及び/または軸索を成長させるステップを更に含む。
【0013】
一部の実施形態において、本方法は、ステップ(a)の前に、1つもしくは複数のシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイトを試料から単離するステップを更に含む。
【0014】
一部の実施形態において、本方法は、ステップ(b)の前に、後根神経節(DRG)を1つまたは複数の哺乳動物から単離することを更に含む。
【0015】
一部の実施形態において、培養容器は、スポンジを含まない。
【0016】
一部の実施形態において、固体基板は、約15%以下のPEGと、約0.05%~約1.00%の、RAD16-I、RAD16-II、EAK16-I、EAK16-II、及びdEAK16から選択される自己組織化ペプチドのうちの1つまたはそれらの組み合わせとを含む。
【0017】
一部の実施形態において、培養容器は、ステップ(a)~(c)を順次または同時に実行できる約1~約1200個のウェルを備える。
【0018】
一部の実施形態において、前記基板の少なくとも一部が、内面によって画定され、かつ1つ以上の開口部によってアクセス可能である内室を備える、円筒形または直方柱の形状で形成される。
【0019】
一部の実施形態において、固体基板ポリマーは、PEGを含まない。
【0020】
一部の実施形態において、細胞培地は、約5~約20ピコグラム/ミリリットルの濃度の神経成長因子(NGF)、及び/または約0.001重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。
【0021】
一部の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの刺激電極を、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片の神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けることと、少なくとも1つの記録用電極を、神経細胞体から最も遠位の地点における軸索に、またはそれに近接して位置付けることとを更に含み、それにより、刺激電極に電流を導入する際に、記録用電極は、記録用電極において測定可能な1つまたは複数の電気生理学的メトリックスに対応するシグナルを受信可能である。一部の実施形態において、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスは、電気伝導速度、活動電位、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの待ち時間、及び1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。
【0022】
本開示はまた、(i)培養容器、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを含むヒドロゲルマトリクス、ならびに1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイト、ならびに1つもしくは複数の組織外植片またはその断片、あるいは(ii)培養容器、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを含むヒドロゲルマトリクス、ならびに1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイト、ならびに1つまたは複数の神経細胞を含む細胞の懸濁液、を備える、構成物に関する。
【0023】
一部の実施形態において、本構成物は、ヒドロゲルマトリクスが架橋される固体基板を更に備え、該固体基板は、直径が約1ミクロン~約5ミクロンの細孔を有する少なくとも1つの主としてプラスチック製の表面を備える。一部の実施形態において、本構成物は、ヒドロゲルマトリクスが架橋される固体基板を更に備え、該固体基板は、少なくとも1つの外面と、少なくとも1つの内面と、少なくとも1つの内面によって画定され、かつ少なくとも1つの開口部を通じて、固体基板の外側の地点からアクセス可能である少なくとも1つの内室とを備える。一部の実施形態において、本構成物は、細胞培養培地及び/または脳脊髄液を更に備える。
【0024】
一部の実施形態において、細胞外植片またはその断片は、DRG外植片、網膜組織外植片、皮質外植片、脊髄外植片、及び末梢神経外植片のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。
【0025】
一部の実施形態において、本構成物は、隣接する外面及び内面を有する固体基板を更に備え、かかる固体基板は、円筒形状または略円筒形状の少なくとも一部分と、縁部において内面の少なくとも一部分によって画定された少なくとも1つの中空内部とを備え、該内
面は、直径が約0.1ミクロン~約1.0ミクロンの1つまたは複数の細孔を備え、固体基板の中空内部は、少なくとも1つの開口部を通じて、固体基板の外側の地点からアクセス可能であり、中空内部部分は、開口部に近接する第1の部分と、開口部から遠位の少なくとも第2の部分とを備え、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片は、中空内部の第1の部分に、またはそれに近接して位置付けられ、かつヒドロゲルマトリクスと物理的に接触し、少なくとも1つの中空内部の第2の部分は、軸索が1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片から中空内部の第2の内部部分へと成長可能であるように、第1の部分と流体連通する。
【0026】
一部の実施形態において、本構成物は、スポンジを含まない。
【0027】
一部の実施形態において、少なくとも1つの細胞不透過性ポリマーは、約15%以下のPEGを含み、少なくとも1つの細胞透過性ポリマーは、約0.05%~約1.00%の、RAD16-I、RAD16-II、EAK16-I、EAK16-II、及びdEAK16から選択される自己組織化ペプチドのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0028】
一部の実施形態において、培養容器は、96、192、384個以上の内室を備え、これらの内室において、1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイトが、シュワン細胞またはオリゴデンドロサイトが、1つもしくは複数の単離された組織外植片及び/または1つもしくは複数の神経細胞からのミエリンから軸索への成長を定着させるように、組織外植片及び/または神経細胞に十分に近接する。
【0029】
一部の実施形態において、固体基板は、PEGを含まない。
【0030】
一部の実施形態において、該基板の少なくとも一部が、内面によって画定され、かつ1つ以上の開口部によってアクセス可能である空間を備える、円筒形または直方柱の形状で形成される。
【0031】
本構成物は、約5~約20ピコグラム/ミリリットルの濃度の神経成長因子(NGF)、及び/または約0.001重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む細胞培地を更に備える。
【0032】
一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞は、グリア細胞、胚細胞、間葉系幹細胞、及び人工多能性幹細胞に由来する細胞を含む群から選択される少なくとも1つの細胞を含む。一部の実施形態において、本構成物は、1つまたは複数の幹細胞または多能性細胞を更に備える。一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞は、哺乳動物の一次細胞を含み、該一次細胞は、哺乳動物の末梢神経系に由来する。
【0033】
一部の実施形態において、ヒドロゲルマトリクスは、少なくとも1%のポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0034】
一部の実施形態において、神経細胞及び/または組織外植片は、3、30、90、または365日以上培養される。
【0035】
一部の実施形態において、固体基板の少なくとも一部分が、固体基板の内面の少なくとも一部分が、1つまたは複数のシュワン細胞と1つまたは複数のニューロンとが接触する、円筒形または略円筒形の中空内室を画定するように、円筒形または略円筒形である。
【0036】
一部の実施形態において、1つまたは複数の組織外植片は、幅における約100ミクロンから約500ミクロンへの、及び長さにおける約0.11から約10000ミクロンへの軸索成長を有する、1つまたは複数のDRGを含む。
【0037】
一部の実施形態において、本構成物は、電気化学電池及び電圧計と連動する少なくとも2つの電極を更に備え、これらの電極が、組織外植片中の少なくとも1つの細胞の膜の距離に沿って電位差を形成するように、第1の刺激電極が、組織外植片の神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けられ、第2の記録用電極が、軸索の遠位端に、またはそれに近接して位置付けられる。
【0038】
本開示はまた、1つ以上の神経細胞からの応答を評価する方法であって、培養容器において1つ以上の神経細胞を成長させることと、1つ以上の神経細胞に対して1つ以上の刺激を導入することと、1つ以上の刺激に対する1つ以上の神経細胞からの1つ以上の応答を測定することと、を含む、方法に関する。一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞は、末梢性感覚ニューロンを含む。一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞は、脊髄運動ニューロン、交感神経ニューロン、及び中枢神経系(CNS)ニューロンから選択される細胞のうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0039】
一部の実施形態において、培養容器は、所定の形状を有する固体基板に架橋されたヒドロゲルマトリクスを備え、ヒドロゲルマトリクスは、少なくとも1つの細胞不透過性ポリマー及び少なくとも1つの細胞透過性ポリマーを備える。一部の実施形態において、ヒドロゲルマトリクスは、ピュラマトリクス、メタクリル化ヒアルロン酸、アガロース、メタクリル化ヘパリン、及びメタクリル化デキストランから選択される化合物のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0040】
一部の実施形態において、1つ以上の刺激は、電流を含み、1つ以上の応答は、電気生理学的メトリックスを含む。一部の実施形態において、応答は、光学記録技法によって測定される。
【0041】
一部の実施形態において、1つ以上の刺激は、1つもしくは複数のオプトジェネティクスアクチュエータ、1つもしくは複数のケージ化神経伝達物質、1つもしくは複数の赤外レーザー、または1つもしくは複数の光駆動性イオンチャネルのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0042】
一部の実施形態において、測定するステップは、電位感受性色素、カルシウム色素の動きを監視すること、またはラベルフリーのフォトニックイメージングを用いることを含む。一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞は、単離された一次神経節組織を含む。
【0043】
一部の実施形態において、固体基板の少なくとも一部が、フォトリソグラフィによってミクロパターン化され、かつ外面と、内面と、少なくとも1つの内面によって画定された少なくとも1つの内室とを備え、本方法は、1つ以上の神経細胞の成長が少なくとも1つの内室によって画定された特定の幾何学的形状に限局されるように、かかるミクロパターン化された固体基板に1つ以上の神経細胞を播種することを更に含む。一部の実施形態において、内室は、異なる場所における軸索突起から細胞体を分離する。一部の実施形態において、内室の形状は、該室内の別個の場所において検出及び使用される形態計測的メトリックスまたは電気生理学的メトリックスのうちのいずれかの照合を可能とする。典型的には、例えば、ヒドロゲルマトリクスの固体基板の内室または内部区画は、固体基板が使用されていない場合、マトリクスまたは基板内の1つまたは複数の場所が、異なる場所における細胞体及び軸索突起を取り扱うことを可能とする。
【0044】
一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞は、ヒト一次組織またはヒト幹細胞に由来する。一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞は、哺乳動物の一次ニューロンである。一部の実施形態において、少なくとも1つの神経細胞は、単離されたDRGまたはその断片を含み、1つ以上の神経細胞から刺激を誘導することが、刺激電極をDRGまたはその断片の細胞神経細胞体に、またはそれに近接して配置することと、記録用電極を神経細胞体から最も遠位の軸索突起に、またはそれに近接して配置することとを含む。
【0045】
一部の実施形態において、1つ以上の刺激は、電気的刺激または化学的刺激を含む。一部の実施形態において、1つ以上の刺激は、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、少なくとも1つの薬理活性化合物と接触させることを含む。
【0046】
本開示はまた、薬剤の毒性を評定する方法であって、(a)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)少なくとも1つの薬剤を、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片に曝露することと、(c)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を測定及び/または観察することと、(d)形態計測的変化が減少した細胞生存率を示す場合、薬剤は毒性があると特徴付けられ、形態計測的変化が無変化または増加した細胞生存率を示す場合、薬剤は無毒性であると特徴付けられるように、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、薬剤の毒性と関係付けることと、を含む、方法に関する。
【0047】
本開示はまた、第1の薬剤の、第2の薬剤と比較した相対的毒性度を評定する方法であって、(a)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)第1の薬剤及び第2の薬剤を、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片に、順次または期間的に並行して(同一の細胞のセットの場合は順次、または例えば多重化システムにおける第2の細胞のセットの場合は並行して)曝露することと、(c)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を測定及び/または観察することと、(d)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、第1の薬剤の毒性と関係付けることと、(e)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、第2の薬剤の毒性と関係付けることと、(f)第1及び第2の薬剤の毒性を比較することと、(g)第1または第2の薬剤を、第2の薬剤よりも毒性が強いか弱いか特徴付けることと、を含む、方法に関する。一部の実施形態において、第1または第2の薬剤を、第2の薬剤よりも毒性が強いか弱いか特徴付ける際に、第1の薬剤によって誘導された形態計測的変化が第2の化合物よりも重度であり、大幅に減少した細胞生存率が示される場合、第1の薬剤は第2の薬剤よりも毒性が強く、第1の薬剤によって誘導された形態計測的変化が第2の化合物と比較してより軽度であり、かつ/または増加した細胞生存率が示される場合、第2の薬剤が第1の薬剤よりも毒性が強い。電気生理学的メトリックスが観察及び/または測定される実施形態においても、同じ特性評価を適用することができる。
【0048】
一部の実施形態において、毒性度は、本明細書に適用されるステップのうちの任意の1つまたは2つ以上を繰り返すことによって、1回または一連の用量または量の薬剤を用いて判定される。2つの異なる薬剤間における相対的毒性を比較または対比するのではなく、当業者であれば、このようにして、異なる用量の同一の薬剤を添加して、いつ、どの用量で当該薬剤が1つまたは複数のニューロンに対して毒性を持ち得るかを特徴付けることができる。
【0049】
本開示はまた、薬剤の毒性を評定する方法であって、(a)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養す
ることと、(b)少なくとも1つの薬剤を、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片に曝露することと、(c)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを測定及び/または観察することと、(d)電気生理学的メトリックスが減少した細胞生存率を示す場合、薬剤は毒性があると特徴付けられ、電気生理学的メトリックスが無変化または増加した細胞生存率を示す場合、薬剤は無毒性であると特徴付けられるように、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを、薬剤の毒性と関係付けることと、を含み、ステップ(c)は、任意に、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を及び/または観察することを含み、ステップ(d)は、任意に、形態計測的変化が減少した細胞生存率を示す場合、薬剤は毒性があると特徴付けられ、形態計測的変化が無変化または増加した細胞生存率を示す場合、薬剤は無毒性であると特徴付けられるように、1つ以上の神経細胞及び/または組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、薬剤の毒性と関係付けることを含む、方法に関する。
【0050】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、低分子化学物質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの環境汚染物質または産業汚染物質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、化学療法剤、鎮痛剤、心血管調節物質、コレステロール値調節物質、神経保護薬、神経調節物質、免疫調節物質、抗炎症薬、及び細菌性抗生物質等の抗微生物薬から選択される低分子化学物質のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、治療有効量の、タイサブリといった臨床的に関連のあるモノクローナル抗体等の抗体を含む。
【0051】
一部の実施形態において、1つ以上の電気生理学的メトリックスは、電気伝導速度、活動電位、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの待ち時間、及び1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。一部の実施形態において、1つ以上の電気生理学的メトリックスは、組織外植片にまたがる複合活動電位を含む。
【0052】
本開示はまた、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄の量または度合いを測定する方法であって、本方法が、(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を測定及び/または観察することと、(c)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、神経細胞または組織外植片のミエリン形成の定量的変化または定性的変化と関係付けることと、を含む、方法に関する。
【0053】
本開示はまた、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄を測定する方法であって、本方法が(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを測定及び/または観察することと、(c)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを、神経細胞または組織外植片のミエリン形成の定量的変化または定性的変化と関係付けることと、を含み、ステップ(b)が、任意に、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以
上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を及び/または観察することを含み、ステップ(c)が、任意に、1つ以上の神経細胞及び/または組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、神経細胞または組織外植片のミエリン形成の定量的変化または定性的変化と関係付けることを含む、方法に関する。
【0054】
本開示はまた、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄を測定する方法であって、本方法が(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つまたは複数の軸索におけるミエリン形成量を検出することと、を含む、方法に関する。
【0055】
一部の実施形態において、1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つまたは複数の軸索におけるミエリン形成量を検出するステップは、細胞を、ミエリンに結合する抗体に曝露することを含む。
【0056】
一部の実施形態において、本方法は、(i)ステップ(a)及び(b)の後、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、少なくとも1つの薬剤に曝露することと、(ii)1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片からの、1つ以上の電気生理学的メトリックスを測定及び/もしくは観察すること、1つ以上の形態計測的変化を測定及び/もしくは観察すること、ならびに/またはミエリンの定量的量を検出することと、(iii)薬剤の存在下及び不在下における、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片からの、測定値、観測値、及び/またはミエリンの定量的量の変化を計算することと、(iv)1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片からの、測定値、観測値、及び/またはミエリンの定量的量の変化を、薬剤の存在または不在に関係付けることと、を更に含む。
【0057】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの環境汚染物質または産業汚染物質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、化学療法剤、鎮痛剤、心血管調節物質、コレステロール値調節物質、神経保護薬、神経調節物質、免疫調節物質、抗炎症薬、及び抗微生物薬から選択される低分子化学物質のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0058】
一部の実施形態において、1つ以上の電気生理学的メトリックスは、電気伝導速度、活動電位、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの待ち時間、及び1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。一部の実施形態において、1つ以上の電気生理学的メトリックスは、組織外植片にまたがる複合活動電位を含む。
【0059】
本開示はまた、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄を測定する方法であって、本方法が(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)かかる1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片において複合活動電位を誘導することと、(c)複合活動電位を測定することと、(d)複合活動電位に基づいて、かかる1つ以上の神経細胞のミエリン形成レベルを定量化
することと、を含む、方法に関する。一部の実施形態において、本方法は、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、薬剤に曝露することを更に含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの環境汚染物質または産業汚染物質を含む。
【0060】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、化学療法剤、鎮痛剤、心血管調節物質、コレステロール値調節物質、神経保護薬、神経調節物質、免疫調節物質、抗炎症薬、及び抗微生物薬から選択される低分子化学物質のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0061】
一部の実施形態において、本方法は、電気伝導速度、個々の活動電位、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの待ち時間、ならびに1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される、複合活動電位以外の、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することを更に含む。一部の実施形態において、本方法は、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片と関連付けられる1つ以上の形態計測的変化を測定することを更に含む。
【0062】
本開示はまた、固体基板を備える三次元培養容器において、1つまたは複数の神経細胞の成長を誘導する方法であって、本方法が、(a)1つまたは複数の単離されたシュワン細胞を、固体基板とともに播種することと、(b)懸濁液中の1つもしくは複数の単離された神経細胞、または外植片中の単離された神経細胞を、少なくとも1つの内室に播種することと、(c)少なくとも細胞を被覆するのに十分な体積の細胞培養培地を、培養容器に導入することと、を含み、固体基板は、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを備える、方法に関する。
【0063】
一部の実施形態において、本方法は、少なくとも1つの電極を固体基板の片方の端部または両方の端部に位置付けることを更に含む。これらの電極は、活動電位(AP)及びまたは複合活動電位(cAP)を刺激または記録するために使用され、AP/cAP伝播の測定を可能とすることができるように位置付けられる。
【0064】
一部の実施形態において、本構成物は、電気的刺激のための少なくとも1つの電極提供手段の配置を更に含み、この電極(複数可)は、神経突起/軸索の2地点間において電位差を形成して、伝播AP/cAPを誘起するように、DRGニューロンの神経細胞体に、またはそれから遠位に位置付けられる。
【0065】
本開示はまた、1つ以上の神経細胞に対する1つ以上の刺激の導入後の、培養容器における神経細胞の応答を評価し、1つ以上の刺激に対する1つ以上の神経細胞からのAPまたはcAP応答を、局所フィールド電位(LFP)または他の単一細胞記録方法を用いて測定する方法に関する。
【0066】
一部の実施形態において、固体基板は、外面及び内面を備え、かかる固体基板は、円筒形状または略円筒形状の少なくとも一部分と、縁部において内面の少なくとも一部分によって画定された少なくとも1つの中空内部とを備え、該内面は、直径が約0.1ミクロン~約1.0ミクロンの1つまたは複数の細孔を備え、固体基板の中空内部は、少なくとも1つの開口部を通じて、固体基板の外側の地点からアクセス可能であり、中空内部部分は、開口部に近接する第1の部分と、開口部から遠位の少なくとも第2の部分とを備え、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片は、中空内部の第1の部分に、またはそれに近接して位置付けられ、かつ第1の細胞不透過性ポリマーまたは第1の細胞透過性ポリマーのうちの少なくとも1つと物理的に接触し、少なくとも1つの中空内部の第2の部分は、軸索が1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片から中空内部の第2の内部部分へと成長可能であるように、第1の部分と流体連通する。
【0067】
一部の実施形態において、本方法は、1つまたは複数の神経細胞を、少なくとも1つの薬剤と接触させることを更に含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、1つまたは複数の幹細胞または改変T細胞である。一部の実施形態において、改変T細胞は、がん細胞に対して特異的なキメラ抗原受容体を発現する。一部の実施形態において、細胞培養培地は、ラミニン、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、BSA、FBS、アスコルビン酸、I型コラーゲン、及びIII型コラーゲンのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0068】
本開示はまた、神経細胞成長を検出及び/または定量化する方法であって、(a)1つまたは複数の神経細胞を定量化することと、(b)1つ以上の神経細胞を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(c)1つまたは複数の細胞を成長させるのに十分な期間培養した後に、構成物における神経細胞の数を計算することと、を含む、方法に関する。一部の実施形態において、ステップ(c)は、1つ以上の神経細胞を培養した後に、かかる1つ以上の神経細胞の内部記録及び/または外部記録を検出することと、該記録を、既知の数または対照数の細胞に対応する同じ記録の測定値と関係付けることとを含む。
【0069】
一部の実施形態において、本方法は、1つ以上の神経細胞を、1つ以上の薬剤に接触させることを更に含む。一部の実施形態において、本方法は、(i)1つ以上の神経細胞を、1つ以上の薬剤に接触させるステップの前後において、細胞内記録及び/または細胞外記録を測定することと、(ii)1つ以上の神経細胞を1つ以上の薬剤に接触させる前の記録における、1つ以上の神経細胞を1つ以上の薬剤に接触させた後の記録に対する差異を、細胞数における変化に関係付けることとを更に含む。
【0070】
本開示はまた、1つまたは複数の神経細胞の軸索変性を検出または定量化する方法であって、(a)1つまたは複数の神経細胞を、本明細書に開示される構成物のいずれかに播種することと、(b)1つまたは複数の神経細胞から少なくとも1つまたは複数の軸索を成長させるのに十分な期間及び条件の下、1つまたは複数の神経細胞を培養することと、(c)神経細胞から成長した軸索の数または密度を定量化することと、(d)1つまたは複数の神経細胞を、1つまたは複数の薬剤と接触させることと、(e)1つまたは複数の細胞を1つまたは複数の薬剤と接触させた後に神経細胞から成長した、軸索の数及び/または密度を定量化することと、(f)薬剤の存在下または不在下における、培養される軸索の数または密度における差異を計算することと、を含む、方法に関する。
【0071】
一部の実施形態において、1つもしくは複数の軸索及び/または神経細胞から成長した軸索の密度のステップは、1つまたは複数の神経細胞を、色素、フルオロフォア、または標識抗体で染色することを含む。
【0072】
一部の実施形態において、ステップ(c)、(e)、及び/または(f)は、顕微鏡法またはデジタルイメージングによって実行される。
【0073】
一部の実施形態において、ステップ(c)及び(e)は、1つまたは複数の神経細胞体に近接する1つまたは複数の軸索の一部から測定値を採取することと、1つまたは複数の神経細胞体から遠位の1つまたは複数の軸索の一部から測定値を採取することとを含む。
【0074】
一部の実施形態において、薬剤の存在下または不在下における、培養される軸索の数または密度における差異は、1つまたは複数の神経細胞の細胞本体に近接する軸索(複数可)の一部と、1つまたは複数の神経細胞の細胞本体から遠位の軸索の一部との間の差異である。
【0075】
一部の実施形態において、測定値を採取することは、形態計測的メトリックスまたは電気生理学的メトリックスの組み合わせのうちの任意の1つを測定することを含み、培養される軸索の数または密度における差異を計算するステップは、測定値のうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせを、軸索の数または密度に関係付けることを含む。一部の実施形態において、測定値を採取することは、電気生理学的メトリックスの組み合わせのうちの任意の1つを測定することを含み、培養される軸索の数または密度における差異を計算するステップは、電気生理学的メトリックスのうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせを、軸索の数または密度に関係付けることを含む。
【0076】
一部の実施形態において、本方法は、(g)薬剤の神経変性効果を、ステップ(c)及び(e)において採取された電気生理学的メトリックスに関係付けることを更に含む。
【0077】
本開示はまた、細胞内記録または細胞外記録を測定する方法であって、(a)1つまたは複数の神経細胞を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)1つまたは複数の神経細胞にまたがって電位を適用することと、(c)1つまたは複数の神経細胞から、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することと、を含む、方法に関する。一部の実施形態において、1つまたは複数の電気生理学的メトリックス他は、電気伝導速度、細胞内活動電位、複合活動電位、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの待ち時間、ならびに1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される。
【0078】
本開示はまた、薬剤の任意の神経保護効果を測定または定量化する方法であって、(a)薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて播種することと、(b)薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片にまたがって電位を適用することと、(c)薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片から、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することと、(d)薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、薬剤の存在下における電気生理学的メトリックスにおける減少が、不良な神経保護効果を示し、薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、薬剤の存在下における電気生理学的メトリックスにおける無変化または増加が、薬剤が神経保護効果を付与することを示すように、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を通じた、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスにおける差異を、薬剤の神経保護効果に関係付けることと、を含む、方法に関する。
【0079】
本開示はまた、薬剤の任意の神経調節効果を測定または定量化する方法であって、(a)薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて播種することと、(b)薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片にまたがって電位を適用することと、(c)薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片から、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することと、(d)薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、薬剤の存在下における電気生理学的メトリックスにおける変化が、神経調節効果を示し、薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、薬剤の存在下における電気生理学的メトリックスにおける無変化が、薬剤が神経調節効果を付与しないことを示すように、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を通じた、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスにおける差異を、薬剤の神経調節効果に関係付けることと、を含む、方法に関する。
【0080】
本開示はまた、軸索のミエリン形成または脱髄をインビトロで検出または定量化する方法であって、(a)1つまたは複数の神経細胞を、1つまたは複数の神経細胞が1つまたは複数の軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)1つまたは複数の神経細胞にまたがって電位を適用することと、(c)1つまたは複数の神経細胞を通じて、フィールド電位または複合活動電位を測定することと、(d)1つまたは複数の神経細胞を通じて、伝導速度を計算することと、(e)1つまたは複数の値または伝導速度を、1つまたは複数の軸索のミエリン形成量に関係付けることと、を含む、方法に関する。
【0081】
一部の実施形態において、本方法は、ステップ(d)の伝導速度を、既知の数または所定の数のミエリン形成された健常な神経細胞の伝導速度の値に関係付けることを更に含む。
【0082】
一部の実施形態において、本方法は、1つまたは複数の神経細胞を薬剤に曝露することを更に含み、ステップ(a)~(e)は、薬剤の存在下において実行され、本方法は、薬剤の存在に起因するミエリン形成量における差異を評価することを更に含み、この中で、薬剤の存在下における細胞の伝導速度が、薬剤の不在下における細胞の伝導速度と比較される。
【0083】
一部の実施形態において、本方法は、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片を、顕微鏡及び/またはデジタルカメラを用いて画像化することを更に含む。
【0084】
本開示はまた、幹細胞または免疫細胞を培養する方法であって、(a)1つもしくは複数の神経細胞及び/または細胞外植片を、本明細書に開示される構成物のいずれかにおいて培養することと、(b)単離された幹細胞または免疫細胞を構成物に曝露することと、を含む方法に関する。
【0085】
本開示はまた、(i)ヒドロゲルを備える細胞培養容器と、(ii)懸濁液中の、または組織外植片の構成成分としての、1つもしくは複数の神経細胞と、(iii)電流の発生装置を備える増幅器と、(iv)電圧計及び/または電流計と、(v)少なくとも第1の刺激電極及び少なくとも第1の記録用電極と、を備えるシステムであって、増幅器、電圧計及び/または電流計、ならびに電極は、回路を介して互いに電気的に接続されており、回路において、電流が増幅器から少なくとも1つの刺激電力に供給され、電流が記録用電極において受容され、電圧計及び/または電流計に供給され、刺激電極は、神経細胞の1つまたは複数の神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けられており、記録用電極は、細胞培養容器にまたがる電場が確立されるように、神経細胞体から遠位の所定の距離に位置付けられている、システムに関する。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
1つまたは複数の神経細胞の三次元培養物を、固体基板を備える培養容器において生成する方法であって、前記方法が、
(a)1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/またはオリゴデンドロサイトを、前記固体基板と接触させることであり、前記基板が、少なくとも1つの外面と、少なくとも1つの内面と、前記少なくとも1つの内面によって画定され、かつ少なくとも1つの開口部を通じて、前記固体基板の外側の地点からアクセス可能である少なくとも1つの内室とを備える、接触させることと、
(b)1つもしくは複数の単離された神経細胞または神経細胞を含む組織外植片を、前記少なくとも1つの内室に播種することと、
(c)前記少なくとも1つの内室を被覆するのに十分な体積の細胞培地を、前記培養容器に適用することと、を含み、
前記内面の少なくとも一部分が、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを備える、方法。
(項目2)
ステップ(a)の前に、前記第1の細胞不透過性ポリマー及び前記第1の細胞透過性ポリマーを含む溶液を前記培養容器内に配置することと、前記内面の少なくとも一部の上に物理的に接着または化学的に結合するように、前記第1の細胞不透過性ポリマー及び前記第1の細胞透過性ポリマーを誘導することとが行われる、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記固体基板が、前記外面及び内面の形状を画定する所定の形状を有するベースを備える、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記ベースが、シリカ、プラスチック、セラミック、または金属のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含み、前記ベースが、前記第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーが、前記ベースの前記内面を被覆し、円筒形または略円筒形の内室または区画を画定するように、円筒形の形状または円筒形に実質的に類似する形状であり、かつ前記開口部が、前記円筒形の一端に位置付けられる、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記ベースが、細胞培養培地の存在下において、前記固体基板を通じてタンパク質、栄養素、及び酸素を拡散させるのに十分なサイズ及び形状の、1つまたは複数の細孔を備える、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記固体基板上に架橋するように、前記第1の細胞不透過性ポリマー及び前記第1の細胞透過性ポリマーを誘導する前記ステップが、前記溶液を紫外光または可視光に曝露することを含む、項目2~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記第1の細胞不透過性ポリマーが、前記溶液の約20重量容量%以下の濃度のポリエチレングリコール(PEG)である、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記第1の細胞透過性ポリマーが、前記溶液の約0.1重量容量%~約3.0重量容量%の濃度である、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記培養容器を、前記内室において軸索を成長させるのに十分な時間、摂氏37°及び約5.0%以下の二酸化炭素濃度に曝露するステップを更に含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記固体基板の少なくとも一部分が、前記固体基板の前記内面の少なくとも一部分が、前記1つまたは複数のシュワン細胞が播種され、かつ1つまたは複数のニューロンが播種される、円筒形または略円筒形の内室を画定するように、円筒形または略円筒形である、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
ステップ(c)が、単離された後根神経節、脊髄外植片、網膜外植片、及び皮質外植片のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される組織外植片を播種することを含む、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
ステップ(c)が、運動ニューロン、皮質ニューロン、脊髄ニューロン、末梢ニューロンのうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される神経細胞の懸濁液を播種することを含む、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記固体基板が、前記第1の細胞不透過性ポリマー及び前記第1の細胞透過性ポリマーの混合物と架橋したプラスチックベースを備え、前記プラスチックベースが、約1ミクロン以下の直径を有する複数の細孔を備える、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。(項目14)
固体基板を形成し、前記固体基板を培養容器内に位置付けるステップを更に含む、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
固体基板を形成する前記ステップが、前記第1の細胞不透過性ポリマー及び前記第1の細胞透過性ポリマーを含む溶液を、フォトリソグラフィによって硬化することを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
ステップ(c)の後、約1日から約1年の期間、前記神経細胞に神経突起及び/または軸索を成長させるステップを更に含む、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
ステップ(a)の前に、1つもしくは複数のシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイトを試料から単離するステップを更に含む、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
ステップ(b)の前に、後根神経節(DRG)を1つまたは複数の哺乳動物から単離することを更に含む、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記培養容器が、スポンジを含まない、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記固体基板が、約15%以下のPEGと、約0.05%~約1.00%の、RAD16-I、RAD16-II、EAK16-I、EAK16-II、及びdEAK16から選択される自己組織化ペプチドのうちの1つまたはそれらの組み合わせとを含む、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記培養容器が、ステップ(a)~(c)を順次または同時に実行できる約1~約1200個のウェルを備える、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記固体基板ポリマーが、PEGを含まない、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記基板の少なくとも一部が、前記内面によって画定され、かつ1つ以上の開口部によってアクセス可能である内室を備える、円筒形または直方柱の形状で形成される、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記細胞培地が、約5~約20ピコグラム/ミリリットルの濃度の神経成長因子(NGF)、及び/または約0.001重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む、項目1~23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
少なくとも1つの刺激電極を、前記1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片の神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けることと、少なくとも1つの記録用電極を、前記神経細胞体から最も遠位の地点における軸索に、またはそれに近接して位置付けることとを更に含み、それにより、前記刺激電極に電流を導入する際に、前記記録用電極が、前記記録用電極において測定可能な1つまたは複数の電気生理学的メトリックスに対応するシグナルを受信可能である、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記1つまたは複数の電気生理学的メトリックスが、電気伝導速度、活動電位、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う前記電気的インパルスの待ち時間、及び1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う前記電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせである、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
(i)
培養容器、
少なくとも第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを含むヒドロゲルマトリクス、ならびに
1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイト、ならびに
1つもしくは複数の組織外植片またはその断片、あるいは
(ii)
培養容器、
少なくとも第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを含むヒドロゲルマトリクス、ならびに
1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイト、ならびに
1つまたは複数の神経細胞を含む細胞の懸濁液、を備える、構成物。
(項目28)
前記ヒドロゲルマトリクスが架橋される固体基板を更に備え、前記固体基板が、直径が約1ミクロン~約5ミクロンの細孔を有する少なくとも1つの主としてプラスチック製の表面を備える、項目27に記載の構成物。
(項目29)
前記ヒドロゲルマトリクスが架橋される固体基板を更に備え、前記固体基板が、少なくとも1つの外面と、少なくとも1つの内面と、前記少なくとも1つの内面によって画定され、かつ少なくとも1つの開口部を通じて、前記固体基板の外側の地点からアクセス可能である少なくとも1つの内室とを備える、項目27に記載の構成物。
(項目30)
細胞培養培地及び/または脳脊髄液を更に備える、項目27~29のいずれか一項に記載の構成物。
(項目31)
前記細胞外植片またはその断片が、DRG外植片、網膜組織外植片、皮質外植片、脊髄外植片、及び末梢神経外植片のうちの1つまたはそれらの組み合わせである、項目27~30のいずれか一項に記載の構成物。
(項目32)
隣接する外面及び内面を有する固体基板を更に備え、かかる固体基板が、円筒形状または略円筒形状の少なくとも一部分と、縁部において前記内面の少なくとも一部分によって画定された少なくとも1つの中空内部とを備え、前記内面が、直径が約0.1ミクロン~約1.0ミクロンの1つまたは複数の細孔を備え、前記固体基板の前記中空内部が、少なくとも1つの開口部を通じて、前記固体基板の外側の地点からアクセス可能であり、中空内部部分が、前記開口部に近接する第1の部分と、前記開口部から遠位の少なくとも第2の部分とを備え、前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または前記1つもしくは複数の組織外植片が、前記中空内部の前記第1の部分に、またはそれに近接して位置付けられ、かつ前記ヒドロゲルマトリクスと物理的に接触し、前記少なくとも1つの中空内部の前記第2の部分が、軸索が前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または前記1つもしくは複数の組織外植片から前記中空内部の第2の内部部分へと成長可能であるように、前記第1の部分と流体連通する、項目27~31のいずれか一項に記載の構成物。
(項目33)
スポンジを含まない、項目27~32のいずれか一項に記載の構成物。
(項目34)
前記少なくとも1つの細胞不透過性ポリマーが、約15%以下のPEGを含み、前記少なくとも1つの細胞透過性ポリマーが、約0.05%~約1.00%の、RAD16-I、RAD16-II、EAK16-I、EAK16-II、及びdEAK16から選択される自己組織化ペプチドのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目27~33のいずれか一項に記載の構成物。
(項目35)
前記培養容器が、96、192、384個以上の内室を備え、これらの内室において、1つもしくは複数の単離されたシュワン細胞及び/または1つもしくは複数のオリゴデンドロサイトが、前記シュワン細胞または前記オリゴデンドロサイトが、前記1つもしくは複数の単離された組織外植片及び/または前記1つもしくは複数の神経細胞からのミエリンから軸索への成長を定着させるように、前記組織外植片及び/または神経細胞に十分に近接する、項目27~34のいずれか一項に記載の構成物。
(項目36)
前記固体基板が、PEGを含まない、項目27~35のいずれか一項に記載の構成物。(項目37)
前記基板の少なくとも一部が、前記内面によって画定され、かつ1つ以上の開口部によってアクセス可能である空間を備える、円筒形または直方柱の形状で形成される、項目27~36のいずれか一項に記載の構成物。
(項目38)
約5~約20ピコグラム/ミリリットルの濃度の神経成長因子(NGF)、及び/または約0.001重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む細胞培地を更に備える、項目27~37のいずれか一項に記載の構成物。
(項目39)
前記1つ以上の神経細胞が、グリア細胞、胚細胞、間葉系幹細胞、及び人工多能性幹細胞に由来する細胞を含む群から選択される少なくとも1つの細胞を含む、項目27~38のいずれか一項に記載の構成物。
(項目40)
1つまたは複数の幹細胞または多能性細胞を更に備える、項目27~39のいずれか一項に記載の構成物。
(項目41)
前記1つ以上の神経細胞が、哺乳動物の一次細胞を含み、前記一次細胞が、前記哺乳動物の末梢神経系に由来する、項目27~40のいずれか一項に記載の構成物。
(項目42)
前記ヒドロゲルマトリクスが、少なくとも1%のポリエチレングリコール(PEG)を含む、項目27~41のいずれか一項に記載の構成物。
(項目43)
前記神経細胞及び/または組織外植片が、3、30、90、または365日以上培養される、項目27~42のいずれか一項に記載の構成物。
(項目44)
前記固体基板の少なくとも一部分が、前記固体基板の前記内面の少なくとも一部分が、前記1つまたは複数のシュワン細胞と1つまたは複数のニューロンとが接触する、円筒形または略円筒形の中空内室を画定するように、円筒形または略円筒形である、項目27~43のいずれか一項に記載の構成物。
(項目45)
前記1つまたは複数の組織外植片が、幅における約100ミクロンから約500ミクロンへの、及び長さにおける約0.11から約10000ミクロンへの軸索成長を有する、1つまたは複数のDRGを含む、項目27~44のいずれか一項に記載の構成物。
(項目46)
前記構成物が、電気化学電池及び電圧計と連動する少なくとも2つの電極を更に備え、これらの電極が、前記組織外植片中の少なくとも1つの細胞の膜の距離に沿って電位差を形成するように、第1の刺激電極が、前記組織外植片の神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けられ、第2の記録用電極が、軸索の遠位端に、またはそれに近接して位置付けられる、項目27~45のいずれか一項に記載の構成物。
(項目47)
1つ以上の神経細胞からの応答を評価する方法であって、
培養容器において1つ以上の神経細胞を成長させることと、
前記1つ以上の神経細胞に対して1つ以上の刺激を導入することと、
前記1つ以上の刺激に対する前記1つ以上の神経細胞からの1つ以上の応答を測定することと、を含む、方法。
(項目48)
前記1つ以上の神経細胞が、末梢性感覚ニューロンを含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記1つ以上の神経細胞が、脊髄運動ニューロン、交感神経ニューロン、及び中枢神経系(CNS)ニューロンから選択される細胞のうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目47または48に記載の方法。
(項目50)
前記培養容器が、所定の形状を有する固体基板に架橋されたヒドロゲルマトリクスを備え、前記ヒドロゲルマトリクスが、少なくとも1つの細胞不透過性ポリマー及び少なくとも1つの細胞透過性ポリマーを備える、項目47~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記ヒドロゲルマトリクスが、ピュラマトリクス、メタクリル化ヒアルロン酸、アガロース、メタクリル化ヘパリン、及びメタクリル化デキストランから選択される化合物のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目47~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記1つ以上の刺激が、電流を含み、前記1つ以上の応答が、電気生理学的メトリックスを含む、項目47~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記応答が、光学記録技法によって測定される、項目47~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記1つ以上の刺激が、1つもしくは複数のオプトジェネティクスアクチュエータ、1つもしくは複数のケージ化神経伝達物質、1つもしくは複数の赤外レーザー、または1つもしくは複数の光駆動性イオンチャネルのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目47~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
測定する前記ステップが、電位感受性色素、カルシウム色素の動きを監視すること、またはラベルフリーのフォトニックイメージングを用いることを含む、項目47~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記1つ以上の神経細胞が、単離された一次神経節組織を含む、項目47~55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記固体基板の少なくとも一部が、フォトリソグラフィによってミクロパターン化され、かつ外面と、内面と、少なくとも1つの内面によって画定された少なくとも1つの内室とを備え、前記方法が、前記1つ以上の神経細胞の成長が前記少なくとも1つの内室によって画定された特定の幾何学的形状に限局されるように、かかるミクロパターン化された固体基板に前記1つ以上の神経細胞を播種することを更に含む、項目47~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記内室が、異なる場所における軸索突起から細胞体を分離する、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記1つ以上の神経細胞が、ヒト一次組織またはヒト幹細胞に由来する、項目47~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記1つ以上の神経細胞が、哺乳動物の一次ニューロンである、項目47~59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
少なくとも1つの神経細胞が、単離されたDRGまたはその断片を含み、前記1つ以上の神経細胞から刺激を誘導することが、刺激電極を前記DRGまたはその断片の細胞神経細胞体に、またはそれに近接して配置することと、記録用電極を前記神経細胞体から最も遠位の軸索突起に、またはそれに近接して配置することとを含む、項目47~60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記1つ以上の刺激が、電気的刺激または化学的刺激を含む、項目47~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記1つ以上の刺激が、前記1つ以上の神経細胞及び/または前記1つもしくは複数の組織外植片を、少なくとも1つの薬理活性化合物と接触させることを含む、項目47~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
薬剤の毒性を評定する方法であって、
(a)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)少なくとも1つの薬剤を、前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片に曝露することと、
(c)前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を測定及び/または観察することと、
(d)前記形態計測的変化が減少した細胞生存率を示す場合、前記薬剤は毒性があると特徴付けられ、前記形態計測的変化が無変化または増加した細胞生存率を示す場合、前記薬剤は無毒性であると特徴付けられるように、前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、前記薬剤の毒性と関係付けることと、を含む、方法。
(項目65)
薬剤の毒性を評定する方法であって、
(a)1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)少なくとも1つの薬剤を、前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片に曝露することと、
(c)前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを測定及び/または観察することと、
(d)前記電気生理学的メトリックスが減少した細胞生存率を示す場合、前記薬剤は毒性があると特徴付けられ、前記電気生理学的メトリックスが無変化または増加した細胞生存率を示す場合、前記薬剤は無毒性であると特徴付けられるように、前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを、前記薬剤の毒性と関係付けることと、を含み、
ステップ(c)が、任意に、前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を及び/または観察することを含み、
ステップ(d)が、任意に、前記形態計測的変化が減少した細胞生存率を示す場合、前記薬剤は毒性があると特徴付けられ、前記形態計測的変化が無変化または増加した細胞生存率を示す場合、前記薬剤は無毒性であると特徴付けられるように、前記1つ以上の神経細胞及び/または組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、前記薬剤の毒性と関係付けることを含む、方法。
(項目66)
前記少なくとも1つの薬剤が、低分子化学物質を含む、項目64または65に記載の方法。
(項目67)
前記少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つの環境汚染物質または産業汚染物質を含む、項目64~66のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
前記少なくとも1つの薬剤が、化学療法剤、鎮痛剤、心血管調節物質、コレステロール値調節物質、神経保護薬、神経調節物質、免疫調節物質、抗炎症薬、及び抗微生物薬から選択される低分子化学物質のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目64~66のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記1つ以上の電気生理学的メトリックスが、電気伝導速度、活動電位、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う前記電気的インパルスの待ち時間、及び1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う前記電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせである、項目65~68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記1つ以上の電気生理学的メトリックスが、組織外植片にまたがる複合活動電位を含む、項目65~69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄を測定する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を測定及び/または観察することと、
(c)前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、前記神経細胞または組織外植片のミエリン形成の定量的変化または定性的変化と関係付けることと、を含む、方法。
(項目72)
1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄を測定する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを測定及び/または観察することと、
(c)前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の電気生理学的メトリックスを、前記神経細胞または組織外植片のミエリン形成の定量的変化または定性的変化と関係付けることと、を含み、
ステップ(b)が、任意に、前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を及び/または観察することを含み、
ステップ(c)が、任意に、前記1つ以上の神経細胞及び/または組織外植片の1つ以上の形態計測的変化を、前記神経細胞または組織外植片のミエリン形成の定量的変化または定性的変化と関係付けることを含む、方法。
(項目73)
1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄を測定する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つまたは複数の軸索におけるミエリン形成量を検出することと、を含む、方法。
(項目74)
前記1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片の1つまたは複数の軸索における前記ミエリン形成量を検出する前記ステップが、前記細胞を、ミエリンに結合する抗体に曝露することを含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
(i)ステップ(a)及び(b)の後、1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、少なくとも1つの薬剤に曝露することと、(ii)前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片からの、1つ以上の電気生理学的メトリックスを測定及び/もしくは観察すること、1つ以上の形態計測的変化を測定及び/もしくは観察すること、ならびに/またはミエリンの定量的量を検出することと、(iii)前記薬剤の存在下及び不在下における、前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または前記1つもしくは複数の組織外植片からの、測定値、観測値、及び/またはミエリンの定量的量の変化を計算することと、(iv)前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または前記1つもしくは複数の組織外植片からの、測定値、観測値、及び/またはミエリンの定量的量の前記変化を、前記薬剤の存在または不在に関係付けることと、を更に含む、項目71~74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つの環境汚染物質または産業汚染物質を含む、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記少なくとも1つの薬剤が、化学療法剤、鎮痛剤、心血管調節物質、コレステロール値調節物質、神経保護薬、神経調節物質、免疫調節物質、抗炎症薬、及び抗微生物薬から選択される低分子化学物質のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目75または76に記載の方法。
(項目78)
前記1つ以上の電気生理学的メトリックスが、電気伝導速度、活動電位、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う前記電気的インパルスの待ち時間、及び1つまたは複数の神経細胞の膜に沿う前記電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせである、項目72に記載の方法。
(項目79)
前記1つ以上の電気生理学的メトリックスが、組織外植片にまたがる複合活動電位を含む、項目72または78に記載の方法。
(項目80)
1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片の1つ以上の軸索のミエリン形成または脱髄を測定する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも1つの軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)かかる1つ以上の神経細胞及び/または1つ以上の組織外植片において複合活動電位を誘導することと、
(c)前記複合活動電位を測定することと、
(d)前記複合活動電位に基づいて、かかる1つ以上の神経細胞のミエリン形成レベルを定量化することと、を含む、方法。
(項目81)
前記1つ以上の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片を、薬剤に曝露することを更に含む、項目80に記載の方法。
(項目82)
少なくとも1つの薬剤が、少なくとも1つの環境汚染物質または産業汚染物質を含む、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記少なくとも1つの薬剤が、化学療法剤、鎮痛剤、心血管調節物質、コレステロール値調節物質、神経保護薬、神経調節物質、免疫調節物質、抗炎症薬、及び抗微生物薬から選択される低分子化学物質のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目81または82に記載の方法。
(項目84)
電気伝導速度、個々の活動電位、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う前記電気的インパルスの待ち時間、ならびに1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う前記電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される、複合活動電位以外の、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することを更に含む、項目80~83のいずれか一項に記載の方法。
(項目85)
前記1つ以上の神経細胞及び/または前記1つもしくは複数の組織外植片と関連付けられる1つ以上の形態計測的変化を測定することを更に含む、項目80~84のいずれか一項に記載の方法。
(項目86)
固体基板を備える三次元培養容器において、1つまたは複数の神経細胞の成長を誘導する方法であって、前記方法が、
(a)1つまたは複数の単離されたシュワン細胞を、前記固体基板とともに播種することと、
(b)懸濁液中の1つもしくは複数の単離された神経細胞、または外植片中の単離された神経細胞を、少なくとも1つの内室に播種することと、
(c)前記少なくとも前記細胞を被覆するのに十分な体積の細胞培養培地を、前記培養容器に導入することと、を含み、
前記固体基板が、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーを備える、方法。
(項目87)
前記固体基板が、外面及び内面を備え、かかる固体基板が、円筒形状または略円筒形状の少なくとも一部分と、縁部において前記内面の少なくとも一部分によって画定された少なくとも1つの中空内部とを備え、前記内面が、直径が約0.1ミクロン~約1.0ミクロンの1つまたは複数の細孔を備え、前記固体基板の前記中空内部が、少なくとも1つの開口部を通じて、前記固体基板の外側の地点からアクセス可能であり、
中空内部部分が、前記開口部に近接する第1の部分と、前記開口部から遠位の少なくとも第2の部分とを備え、前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または1つもしくは複数の組織外植片が、前記中空内部の前記第1の部分に、またはそれに近接して位置付けられ、かつ前記第1の細胞不透過性ポリマーまたは前記第1の細胞透過性ポリマーのうちの少なくとも1つと物理的に接触し、
前記少なくとも1つの中空内部の前記第2の部分が、軸索が前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または前記1つもしくは複数の組織外植片から前記中空内部の前記第2の内部部分へと成長可能であるように、前記第1の部分と流体連通する、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記1つまたは複数の神経細胞を、少なくとも1つの薬剤と接触させることを更に含む、項目86または87に記載の方法。
(項目89)
前記少なくとも1つの薬剤が、1つまたは複数の幹細胞または改変T細胞である、項目86~88のいずれか一項に記載の方法。
(項目90)
前記改変T細胞が、がん細胞に対して特異的なキメラ抗原受容体を発現する、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記細胞培養培地が、ラミニン、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、BSA、FBS、アスコルビン酸、I型コラーゲン、及びIII型コラーゲンのうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項目86~90のいずれか一項に記載の方法。
(項目92)
神経細胞成長を検出及び/または定量化する方法であって、
(a)1つまたは複数の神経細胞を定量化することと、
(b)前記1つ以上の神経細胞を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(c)前記1つまたは複数の細胞を成長させるのに十分な期間培養した後に、前記構成物における神経細胞の数を計算することと、を含む、方法。
(項目93)
ステップ(c)が、1つ以上の神経細胞を培養した後に、かかる1つ以上の神経細胞の内部記録及び/または外部記録を検出することと、前記記録を、既知の数または対照数の細胞に対応する同じ記録の測定値と関係付けることとを含む、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記1つ以上の神経細胞を、1つ以上の薬剤に接触させることを更に含む、項目92または93に記載の方法。
(項目95)
(i)前記1つ以上の神経細胞を、前記1つ以上の薬剤に接触させるステップの前後において、細胞内記録及び/または細胞外記録を測定することと、(ii)前記1つ以上の神経細胞を前記1つ以上の薬剤に接触させる前の前記記録における、前記1つ以上の神経細胞を前記1つ以上の薬剤に接触させた後の前記記録に対する差異を、細胞数における変化に関係付けることとを更に含む、項目92~94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
1つまたは複数の神経細胞の軸索変性を検出または定量化する方法であって、
(a)1つまたは複数の神経細胞を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物に播種することと、
(b)前記1つまたは複数の神経細胞から少なくとも1つまたは複数の軸索を成長させるのに十分な期間及び条件の下、前記1つまたは複数の神経細胞を培養することと、
(c)前記神経細胞から成長した軸索の数または密度を定量化することと、
(d)前記1つまたは複数の神経細胞を、1つまたは複数の薬剤と接触させることと、
(e)前記1つまたは複数の細胞を1つまたは複数の薬剤と接触させた後に神経細胞から成長した、前記軸索の数及び/または密度を定量化することと、
(f)前記薬剤の存在下または不在下における、培養される軸索の数または密度における差異を計算することと、を含む、方法。
(項目97)
前記1つもしくは複数の軸索及び/または神経細胞から成長した前記軸索の密度の前記ステップが、前記1つまたは複数の神経細胞を、色素、フルオロフォア、または標識抗体で染色することを含む、項目96に記載の方法。
(項目98)
ステップ(c)、(e)、及び/または(f)が、顕微鏡法またはデジタルイメージングによって実行される、項目96または97に記載の方法。
(項目99)
ステップ(c)及び(e)が、1つまたは複数の神経細胞体に近接する1つまたは複数の軸索の一部から測定値を採取することと、1つまたは複数の神経細胞体から遠位の1つまたは複数の軸索の一部から測定値を採取することとを含む、項目96~98のいずれか一項に記載の方法。
(項目100)
前記薬剤の存在下または不在下における、培養される軸索の数または密度における前記差異が、前記1つまたは複数の神経細胞の細胞本体に近接する軸索(複数可)の一部と、前記1つまたは複数の神経細胞の前記細胞本体から遠位の軸索の一部との間の差異である、項目96~99のいずれか一項に記載の方法。
(項目101)
測定値を採取することが、形態計測的メトリックスまたは電気生理学的メトリックスの組み合わせのうちの任意の1つを測定することを含み、培養される軸索の数または密度における差異を計算する前記ステップが、測定値のうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせを、軸索の数または密度に関係付けることを含む、項目99に記載の方法。
(項目102)
測定値を採取することが、電気生理学的メトリックスの組み合わせのうちの任意の1つを測定することを含み、培養される軸索の数または密度における差異を計算する前記ステップが、電気生理学的メトリックスのうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせを、軸索の数または密度に関係付けることを含む、項目99に記載の方法。
(項目103)
(g)薬剤の神経変性効果を、ステップ(c)及び(e)において採取された電気生理学的メトリックスに関係付けることを更に含む、項目96~101のいずれか一項に記載の方法。
(項目104)
細胞内記録または細胞外記録を測定する方法であって、
(a)1つまたは複数の神経細胞を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)前記1つまたは複数の神経細胞にまたがって電位を適用することと、
(c)前記1つまたは複数の神経細胞から、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することと、を含む、方法。
(項目105)
前記1つまたは複数の他の電気生理学的メトリックスが、電気伝導速度、細胞内活動電位、複合活動電位、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの通過と関連付けられる波の振幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う電気的インパルスの幅、1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う前記電気的インパルスの待ち時間、ならびに1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片の膜に沿う前記電気的インパルスの包絡線のうちの1つまたはそれらの組み合わせから選択される、項目104に記載の方法。
(項目106)
薬剤の任意の神経保護効果を測定または定量化する方法であって、
(a)前記薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)前記薬剤の存在下及び不在下において、前記1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片にまたがって電位を適用することと、
(c)前記薬剤の存在下及び不在下において、前記1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片から、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することと、
(d)前記薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、前記薬剤の存在下における前記電気生理学的メトリックスにおける減少が、不良な神経保護効果を示し、前記薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、前記薬剤の存在下における前記電気生理学的メトリックスにおける無変化または増加が、前記薬剤が神経保護効果を付与することを示すように、前記1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を通じた、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスにおける差異を、前記薬剤の神経保護効果に関係付けることと、を含む、方法。
(項目107)
薬剤の任意の神経調節効果を測定または定量化する方法であって、
(a)前記薬剤の存在下及び不在下において、1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)前記薬剤の存在下及び不在下において、前記1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片にまたがって電位を適用することと、
(c)前記薬剤の存在下及び不在下において、前記1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片から、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスを測定することと、
(d)前記薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、前記薬剤の存在下における前記電気生理学的メトリックスにおける変化が、神経調節効果を示し、前記薬剤の不在下において測定された電気生理学的メトリックスと比較した、前記薬剤の存在下における前記電気生理学的メトリックスにおける無変化が、前記薬剤が神経調節効果を付与しないことを示すように、前記1つもしくは複数の神経細胞または組織外植片を通じた、1つまたは複数の電気生理学的メトリックスにおける差異を、前記薬剤の神経調節効果に関係付けることと、を含む、方法。
(項目108)
軸索のミエリン形成または脱髄をインビトロで検出または定量化する方法であって、
(a)1つまたは複数の神経細胞を、前記1つまたは複数の神経細胞が1つまたは複数の軸索を成長させるのに十分な時間及び条件の下、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)前記1つまたは複数の神経細胞にまたがって電位を適用することと、
(c)前記1つまたは複数の神経細胞を通じて、フィールド電位または複合活動電位を測定することと、
(d)前記1つまたは複数の神経細胞を通じて、伝導速度を計算することと、
(e)前記1つまたは複数の値または伝導速度を、1つまたは複数の軸索のミエリン形成量に関係付けることと、を含む、方法。
(項目109)
ステップ(d)の前記伝導速度を、既知の数または所定の数のミエリン形成された健常な神経細胞の伝導速度の値に関係付けることを更に含む、項目108に記載の方法。
(項目110)
前記1つまたは複数の神経細胞を薬剤に曝露することを更に含み、ステップ(a)~(e)が、前記薬剤の存在下において実行され、前記方法が、前記薬剤の存在に起因するミエリン形成量における差異を評価することを更に含み、この中で、前記薬剤の存在下における細胞の伝導速度が、前記薬剤の不在下における細胞の伝導速度と比較される、項目108または109に記載の方法。
(項目111)
前記1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片を、顕微鏡及び/またはデジタルカメラを用いて画像化することを更に含む、項目47~110のいずれか一項に記載の方法。
(項目112)
幹細胞または免疫細胞を培養する方法であって、
(a)1つもしくは複数の神経細胞及び/または組織外植片を、項目27~46のいずれか一項に記載の構成物において培養することと、
(b)単離された幹細胞または免疫細胞を前記構成物に曝露することと、を含む、方法。
(項目113)
(i)ヒドロゲルを備える細胞培養容器と、
(ii)懸濁液中の、または組織外植片の構成成分としての、1つもしくは複数の神経細胞と、
(iii)電流の発生装置を備える増幅器と、
(iv)電圧計及び/または電流計と、
(v)少なくとも第1の刺激電極及び少なくとも第1の記録用電極、を備えるシステムであって、
前記増幅器、電圧計及び/または電流計、ならびに電極が、回路を介して互いに電気的に接続されており、前記回路において、電流が前記増幅器から前記少なくとも1つの刺激電力に供給され、電流が前記記録用電極において受容され、電圧計及び/または電流計に供給され、前記刺激電極が、前記神経細胞の1つまたは複数の神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けられており、前記記録用電極が、前記細胞培養容器にまたがる電場が確立されるように、前記神経細胞体から遠位の所定の距離に位置付けられている、システム。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1AB】ダイナミックマスク投影フォトリソグラフィを用いる、PEG構築物の例示的マイクロパターン化を示す。
図1Aは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)ダイナミックマスクフォトリソグラフィ法の例示的概略図を示す。
図1Bは、6ウェル細胞培養インサート内の例示的PEG構築物の巨視図を示す。
図1Cは、細胞培養インサート内の例示的PEG構築物の接写図を示す。
図1Dは、例示的DMDフォトマスクを示す。
図1Eは、接着したDRGの周りに架橋された例示的PEG構築物を示す。
【
図1C】ダイナミックマスク投影フォトリソグラフィを用いる、PEG構築物の例示的マイクロパターン化を示す。
図1Aは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)ダイナミックマスクフォトリソグラフィ法の例示的概略図を示す。
図1Bは、6ウェル細胞培養インサート内の例示的PEG構築物の巨視図を示す。
図1Cは、細胞培養インサート内の例示的PEG構築物の接写図を示す。
図1Dは、例示的DMDフォトマスクを示す。
図1Eは、接着したDRGの周りに架橋された例示的PEG構築物を示す。
【
図1DE】ダイナミックマスク投影フォトリソグラフィを用いる、PEG構築物の例示的マイクロパターン化を示す。
図1Aは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)ダイナミックマスクフォトリソグラフィ法の例示的概略図を示す。
図1Bは、6ウェル細胞培養インサート内の例示的PEG構築物の巨視図を示す。
図1Cは、細胞培養インサート内の例示的PEG構築物の接写図を示す。
図1Dは、例示的DMDフォトマスクを示す。
図1Eは、接着したDRGの周りに架橋された例示的PEG構築物を示す。
【
図2】添加されたPBSの量に対する例示的PEG構築物内のピュラマトリクスの安定性を示す。PEG内のゲル化後48時間でのFluosphereとラベル付けされたピュラマトリクスの蛍光マイクログラフの代表的画像(破断した白色輪郭は、PEG空隙を示す)及び二重ヒドロゲル構築物の概略図は、添加されたPBSの量に対するピュラマトリクス安定性のバープロットの上に示される(3つの実験の各々についてn=18、バーは、平均値の標準誤差を表す)。
【
図3ABC】二重ヒドロゲル構築物における例示的DRG神経突起成長及び細胞移行を示す。
図3Aは、培養中5日後の生/死染色構築物(生細胞及び細胞構造物、死細胞、明領域)を示す。
図3B及び3Cは、二重ヒドロゲル構築物内で7日間培養されたDRG外植片を示し、β-IIIチューブリン陽性神経突起及びDAPI染色核によって示される。
図3Dは、5日後のチャネル内の先頭成長(β-IIIチューブリン)の接写図を示す。
図3Eは、MAP2-陽性樹状突起及びβ-IIIチューブリン陽性神経突起が染色された、7日間培養されたDRG外植片を示す。
図3Fは、細胞培養インサート(β-IIIチューブリン)の表面に焦点を合わせた構築物の分岐部分を示す。
【
図3DEF】二重ヒドロゲル構築物における例示的DRG神経突起成長及び細胞移行を示す。
図3Aは、培養中5日後の生/死染色構築物(生細胞及び細胞構造物、死細胞、明領域)を示す。
図3B及び3Cは、二重ヒドロゲル構築物内で7日間培養されたDRG外植片を示し、β-IIIチューブリン陽性神経突起及びDAPI染色核によって示される。
図3Dは、5日後のチャネル内の先頭成長(β-IIIチューブリン)の接写図を示す。
図3Eは、MAP2-陽性樹状突起及びβ-IIIチューブリン陽性神経突起が染色された、7日間培養されたDRG外植片を示す。
図3Fは、細胞培養インサート(β-IIIチューブリン)の表面に焦点を合わせた構築物の分岐部分を示す。
【
図4ABC】β-IIIチューブリン及びDAPI(4Aのみ)染色された構築物の共焦点顕微鏡写真を示す。
図4Aは、分岐点付近の成長の三次元表示を示し、厚さを明示するために正射図及び側面図の両方を示す。スライス間の距離を説明するように画像スライスを補間する。
図4Bは、二重ヒドロゲル構築物内の神経突起成長の、マージしたz-スタック投影を示す。
図4Cは、ピュラマトリクスを含まないPEG構築物内の神経突起成長の、マージしたz-スタック投影を示す。
図4Dは、ピュラマトリクスを含まないPEG構築物内の神経突起成長の、深度をコード化したz-スタック投影を示す。
図4Eは、二重ヒドロゲル構築物内の神経突起成長の、深度をコード化したz-スタック投影を示す。
図4B~4Eでは、標準偏差投影を使用した。
【
図4DE】β-IIIチューブリン及びDAPI(4Aのみ)染色された構築物の共焦点顕微鏡写真を示す。
図4Aは、分岐点付近の成長の三次元表示を示し、厚さを明示するために正射図及び側面図の両方を示す。スライス間の距離を説明するように画像スライスを補間する。
図4Bは、二重ヒドロゲル構築物内の神経突起成長の、マージしたz-スタック投影を示す。
図4Cは、ピュラマトリクスを含まないPEG構築物内の神経突起成長の、マージしたz-スタック投影を示す。
図4Dは、ピュラマトリクスを含まないPEG構築物内の神経突起成長の、深度をコード化したz-スタック投影を示す。
図4Eは、二重ヒドロゲル構築物内の神経突起成長の、深度をコード化したz-スタック投影を示す。
図4B~4Eでは、標準偏差投影を使用した。
【
図5A】7日後のインビトロでの三次元二重ヒドロゲル構築物内のDRG神経突起成長及び細胞移行の蛍光顕微鏡観察、つまり、ピュラマトリクスで充填されたチャネル内に制限されたβ-IIIチューブリン陽性神経突起、DAPI染色核、及びS100-陽性グリア細胞;チャネルの端部付近、神経節を含有する円形区域の端部及び真っ直ぐなチャネルの開始部から測定して(C-D)、神経節から約1.875mmの支持細胞を示す。
【
図5B】7日後のインビトロでの三次元二重ヒドロゲル構築物内のDRG神経突起成長及び細胞移行の蛍光顕微鏡観察、つまり、ピュラマトリクスで充填されたチャネル内に制限されたβ-IIIチューブリン陽性神経突起、DAPI染色核、及びS100-陽性グリア細胞;チャネルの端部付近、神経節を含有する円形区域の端部及び真っ直ぐなチャネルの開始部から測定して(C-D)、神経節から約1.875mmの支持細胞を示す。
【
図5C】7日後のインビトロでの三次元二重ヒドロゲル構築物内のDRG神経突起成長及び細胞移行の蛍光顕微鏡観察、つまり、ピュラマトリクスで充填されたチャネル内に制限されたβ-IIIチューブリン陽性神経突起、DAPI染色核、及びS100-陽性グリア細胞;チャネルの端部付近、神経節を含有する円形区域の端部及び真っ直ぐなチャネルの開始部から測定して(C-D)、神経節から約1.875mmの支持細胞を示す。
【
図5D】7日後のインビトロでの三次元二重ヒドロゲル構築物内のDRG神経突起成長及び細胞移行の蛍光顕微鏡観察、つまり、ピュラマトリクスで充填されたチャネル内に制限されたβ-IIIチューブリン陽性神経突起、DAPI染色核、及びS100-陽性グリア細胞;チャネルの端部付近、神経節を含有する円形区域の端部及び真っ直ぐなチャネルの開始部から測定して(C-D)、神経節から約1.875mmの支持細胞を示す。
【
図6AB】共焦点画像の三次元表現を示す。3Dに示されるβ-IIIチューブリン陽性神経突起、DAPI染色核、及びS100-陽性グリア細胞の、チャネルの開始部(
図6A)、中間(
図6B)、及び端部(
図6C)であり、z平面において対応する断面は以下に示される。
【
図6C】共焦点画像の三次元表現を示す。3Dに示されるβ-IIIチューブリン陽性神経突起、DAPI染色核、及びS100-陽性グリア細胞の、チャネルの開始部(
図6A)、中間(
図6B)、及び端部(
図6C)であり、z平面において対応する断面は以下に示される。
【
図7A】神経培養物断面の透過電子顕微鏡観察を示す。
図7Aは、神経節から約1.875mmのチャネル内の高密度の平行な束状化したミエリン形成されていない神経突起を示し、
図7Bの差し込みは、ズームした図を示す。
図7Cは、神経節から約1mmのシュワン細胞(SC)によってカプセル化された軸索(Ax)を中心とした焦点を示す。
図7Dは、神経節において見出されるシュワン細胞核(SN)を示し、全ての測定値は、真っ直ぐなチャネルの開始部に神経節を含有する円形領域の端部から採取される。
【
図7B】神経培養物断面の透過電子顕微鏡観察を示す。
図7Aは、神経節から約1.875mmのチャネル内の高密度の平行な束状化したミエリン形成されていない神経突起を示し、
図7Bの差し込みは、ズームした図を示す。
図7Cは、神経節から約1mmのシュワン細胞(SC)によってカプセル化された軸索(Ax)を中心とした焦点を示す。
図7Dは、神経節において見出されるシュワン細胞核(SN)を示し、全ての測定値は、真っ直ぐなチャネルの開始部に神経節を含有する円形領域の端部から採取される。
【
図7C】神経培養物断面の透過電子顕微鏡観察を示す。
図7Aは、神経節から約1.875mmのチャネル内の高密度の平行な束状化したミエリン形成されていない神経突起を示し、
図7Bの差し込みは、ズームした図を示す。
図7Cは、神経節から約1mmのシュワン細胞(SC)によってカプセル化された軸索(Ax)を中心とした焦点を示す。
図7Dは、神経節において見出されるシュワン細胞核(SN)を示し、全ての測定値は、真っ直ぐなチャネルの開始部に神経節を含有する円形領域の端部から採取される。
【
図7D】神経培養物断面の透過電子顕微鏡観察を示す。
図7Aは、神経節から約1.875mmのチャネル内の高密度の平行な束状化したミエリン形成されていない神経突起を示し、
図7Bの差し込みは、ズームした図を示す。
図7Cは、神経節から約1mmのシュワン細胞(SC)によってカプセル化された軸索(Ax)を中心とした焦点を示す。
図7Dは、神経節において見出されるシュワン細胞核(SN)を示し、全ての測定値は、真っ直ぐなチャネルの開始部に神経節を含有する円形領域の端部から採取される。
【
図8AB】フィールド記録のために、それぞれチャネル内の神経節及び神経路内に配置された記録用(左)及び刺激(右)電極の配置を有する、ブロモフェノールブルーで染色された構築物を示す。
図8Bは、三次元神経構築物における良好なフィールド電位記録、及び複合活動電位(CAP)に特徴的な波形特性を明示する、集合応答の例示のトレースを示す。
図8Cは、近位(1.5mm)及び遠位(2.25mm)の場所(n=4)から三次元神経培養物の神経節内で誘発されたフィールド電位を示す(点線でマークされる)。平均トレースは、遠位に刺激したときの発生までの遅延の増加を強調する。
図8Dは、平均遅延時間が0.82msから2.88msへと増加する、発生までの遅延の有意な増加(p=0.02)、ならびに平均応答振幅の29.46%の減少を引き起こした遠位刺激を示す。刺激距離は、真っ直ぐなチャネルの開始部から刺激点までを測定した。発生の遅延は、応答の正のピークに対して刺激アーチファクトがベースラインに戻るまでの時間として測定した。
図8Eは、三次元神経構築物内で0.5μMテトロドトキシン(TTX)を使用するNa+チャネル活性の遮断を示す。平均トレースは、TTX(n=3)による集合応答の廃止を明示する。
図8Fは、応答振幅が、有意に異なっていたことを示し(p=0.029)、平均振幅は、TTX洗浄後に448.75μVから0.04μVへと減少する。振幅は、ピーク間で測定した。
【
図8C】フィールド記録のために、それぞれチャネル内の神経節及び神経路内に配置された記録用(左)及び刺激(右)電極の配置を有する、ブロモフェノールブルーで染色された構築物を示す。
図8Bは、三次元神経構築物における良好なフィールド電位記録、及び複合活動電位(CAP)に特徴的な波形特性を明示する、集合応答の例示のトレースを示す。
図8Cは、近位(1.5mm)及び遠位(2.25mm)の場所(n=4)から三次元神経培養物の神経節内で誘発されたフィールド電位を示す(点線でマークされる)。平均トレースは、遠位に刺激したときの発生までの遅延の増加を強調する。
図8Dは、平均遅延時間が0.82msから2.88msへと増加する、発生までの遅延の有意な増加(p=0.02)、ならびに平均応答振幅の29.46%の減少を引き起こした遠位刺激を示す。刺激距離は、真っ直ぐなチャネルの開始部から刺激点までを測定した。発生の遅延は、応答の正のピークに対して刺激アーチファクトがベースラインに戻るまでの時間として測定した。
図8Eは、三次元神経構築物内で0.5μMテトロドトキシン(TTX)を使用するNa+チャネル活性の遮断を示す。平均トレースは、TTX(n=3)による集合応答の廃止を明示する。
図8Fは、応答振幅が、有意に異なっていたことを示し(p=0.029)、平均振幅は、TTX洗浄後に448.75μVから0.04μVへと減少する。振幅は、ピーク間で測定した。
【
図8DE】フィールド記録のために、それぞれチャネル内の神経節及び神経路内に配置された記録用(左)及び刺激(右)電極の配置を有する、ブロモフェノールブルーで染色された構築物を示す。
図8Bは、三次元神経構築物における良好なフィールド電位記録、及び複合活動電位(CAP)に特徴的な波形特性を明示する、集合応答の例示のトレースを示す。
図8Cは、近位(1.5mm)及び遠位(2.25mm)の場所(n=4)から三次元神経培養物の神経節内で誘発されたフィールド電位を示す(点線でマークされる)。平均トレースは、遠位に刺激したときの発生までの遅延の増加を強調する。
図8Dは、平均遅延時間が0.82msから2.88msへと増加する、発生までの遅延の有意な増加(p=0.02)、ならびに平均応答振幅の29.46%の減少を引き起こした遠位刺激を示す。刺激距離は、真っ直ぐなチャネルの開始部から刺激点までを測定した。発生の遅延は、応答の正のピークに対して刺激アーチファクトがベースラインに戻るまでの時間として測定した。
図8Eは、三次元神経構築物内で0.5μMテトロドトキシン(TTX)を使用するNa+チャネル活性の遮断を示す。平均トレースは、TTX(n=3)による集合応答の廃止を明示する。
図8Fは、応答振幅が、有意に異なっていたことを示し(p=0.029)、平均振幅は、TTX洗浄後に448.75μVから0.04μVへと減少する。振幅は、ピーク間で測定した。
【
図8F】フィールド記録のために、それぞれチャネル内の神経節及び神経路内に配置された記録用(左)及び刺激(右)電極の配置を有する、ブロモフェノールブルーで染色された構築物を示す。
図8Bは、三次元神経構築物における良好なフィールド電位記録、及び複合活動電位(CAP)に特徴的な波形特性を明示する、集合応答の例示のトレースを示す。
図8Cは、近位(1.5mm)及び遠位(2.25mm)の場所(n=4)から三次元神経培養物の神経節内で誘発されたフィールド電位を示す(点線でマークされる)。平均トレースは、遠位に刺激したときの発生までの遅延の増加を強調する。
図8Dは、平均遅延時間が0.82msから2.88msへと増加する、発生までの遅延の有意な増加(p=0.02)、ならびに平均応答振幅の29.46%の減少を引き起こした遠位刺激を示す。刺激距離は、真っ直ぐなチャネルの開始部から刺激点までを測定した。発生の遅延は、応答の正のピークに対して刺激アーチファクトがベースラインに戻るまでの時間として測定した。
図8Eは、三次元神経構築物内で0.5μMテトロドトキシン(TTX)を使用するNa+チャネル活性の遮断を示す。平均トレースは、TTX(n=3)による集合応答の廃止を明示する。
図8Fは、応答振幅が、有意に異なっていたことを示し(p=0.029)、平均振幅は、TTX洗浄後に448.75μVから0.04μVへと減少する。振幅は、ピーク間で測定した。
【
図9AB】3D神経構築物(n=4)における興奮性グルタミン酸遮断剤DNQX及びAPVの効果がないことを示す。薬物洗浄前(t1~t5)及び後(t16~t20)の応答の平均トレースは、薬物からの応答振幅(
図9B)または期間(
図9C)の顕著な変化がないことを明示する。応答振幅及び期間には、DNQX及びAPV後に統計的有意差がなかった。振幅は、測定値間の偏差を最小限にするために、ピーク間及び半ピークでの期間で測定した。
図9Dは、三次元神経構築物(n=3)における高頻度刺激中の応答の一貫した発生を示す。例示のトレースは、50Hzトレイン中の電気的に誘発された集合スパイクの一貫性を明示し、比較のために最初と最後のトレースを拡大する。50Hzパルストレインの最後における応答の振幅(
図9E)及び期間(
図9F)は、最初のものとは有意に異なっていない。振幅は、測定値間の偏差を最小限にするために、ピーク間及び半ピークでの期間で測定した。
【
図9C】3D神経構築物(n=4)における興奮性グルタミン酸遮断剤DNQX及びAPVの効果がないことを示す。薬物洗浄前(t1~t5)及び後(t16~t20)の応答の平均トレースは、薬物からの応答振幅(
図9B)または期間(
図9C)の顕著な変化がないことを明示する。応答振幅及び期間には、DNQX及びAPV後に統計的有意差がなかった。振幅は、測定値間の偏差を最小限にするために、ピーク間及び半ピークでの期間で測定した。
図9Dは、三次元神経構築物(n=3)における高頻度刺激中の応答の一貫した発生を示す。例示のトレースは、50Hzトレイン中の電気的に誘発された集合スパイクの一貫性を明示し、比較のために最初と最後のトレースを拡大する。50Hzパルストレインの最後における応答の振幅(
図9E)及び期間(
図9F)は、最初のものとは有意に異なっていない。振幅は、測定値間の偏差を最小限にするために、ピーク間及び半ピークでの期間で測定した。
【
図9DEF】3D神経構築物(n=4)における興奮性グルタミン酸遮断剤DNQX及びAPVの効果がないことを示す。薬物洗浄前(t1~t5)及び後(t16~t20)の応答の平均トレースは、薬物からの応答振幅(
図9B)または期間(
図9C)の顕著な変化がないことを明示する。応答振幅及び期間には、DNQX及びAPV後に統計的有意差がなかった。振幅は、測定値間の偏差を最小限にするために、ピーク間及び半ピークでの期間で測定した。
図9Dは、三次元神経構築物(n=3)における高頻度刺激中の応答の一貫した発生を示す。例示のトレースは、50Hzトレイン中の電気的に誘発された集合スパイクの一貫性を明示し、比較のために最初と最後のトレースを拡大する。50Hzパルストレインの最後における応答の振幅(
図9E)及び期間(
図9F)は、最初のものとは有意に異なっていない。振幅は、測定値間の偏差を最小限にするために、ピーク間及び半ピークでの期間で測定した。
【
図10ABC】培養されたニューロンに関する電気生理学的実験を示す。
図10Aは、全細胞パッチクランプのための記録用(左)及び刺激(右)電極の配置を示す。
図10Bは、3D神経構築物における一次感覚ニューロンの良好な全細胞パッチクランプを示す。
図10Cは、シナプス活性の証拠を呈しない、3D神経培養物における良好な全細胞パッチクランプの記録を示す(n=3)。例示のトレースは、神経節内の細胞から記録された電気的に誘発された活動電位を示す。
図10Dは、応答の迅速な非段階的発生を明示する拡大トレースを示す。
図10Eは、自発電流を有しない電圧クランプトレースを示す。
図10Fは、電位の自発変化を呈しない電流クランプトレースを示す。
【
図10DEF】培養されたニューロンに関する電気生理学的実験を示す。
図10Aは、全細胞パッチクランプのための記録用(左)及び刺激(右)電極の配置を示す。
図10Bは、3D神経構築物における一次感覚ニューロンの良好な全細胞パッチクランプを示す。
図10Cは、シナプス活性の証拠を呈しない、3D神経培養物における良好な全細胞パッチクランプの記録を示す(n=3)。例示のトレースは、神経節内の細胞から記録された電気的に誘発された活動電位を示す。
図10Dは、応答の迅速な非段階的発生を明示する拡大トレースを示す。
図10Eは、自発電流を有しない電圧クランプトレースを示す。
図10Fは、電位の自発変化を呈しない電流クランプトレースを示す。
【
図11A】構築物内の神経突起成長の深度の解析を示す。
図11Aは、ピュラマトリクスを含む場合、及び含まない場合の両方の構築物内のβ-III標識された神経突起の平均高さを示す(p<0.005)。
図11Bは、総神経突起成長のパーセンテージとして、ピュラマトリクスの深度全体にわたる神経突起成長を示す。
【
図11B】構築物内の神経突起成長の深度の解析を示す。
図11Aは、ピュラマトリクスを含む場合、及び含まない場合の両方の構築物内のβ-III標識された神経突起の平均高さを示す(p<0.005)。
図11Bは、総神経突起成長のパーセンテージとして、ピュラマトリクスの深度全体にわたる神経突起成長を示す。
【
図12AB】インビトロで7日後の神経突起成長の蛍光顕微鏡観察を示す。
図12Aは、上焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Bは、下焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Cは、ピュラマトリクスを含まないチャネル内のインサート膜の表面に沿う、制限された神経突起成長を示す。
図12Dは、PEG境界に沿う優先成長を示す。
図12Eは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色前のミエリンの不在を示す。
図12Fは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色後のミエリンの不在を示す。
【
図12C】インビトロで7日後の神経突起成長の蛍光顕微鏡観察を示す。
図12Aは、上焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Bは、下焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Cは、ピュラマトリクスを含まないチャネル内のインサート膜の表面に沿う、制限された神経突起成長を示す。
図12Dは、PEG境界に沿う優先成長を示す。
図12Eは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色前のミエリンの不在を示す。
図12Fは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色後のミエリンの不在を示す。
【
図12DE】インビトロで7日後の神経突起成長の蛍光顕微鏡観察を示す。
図12Aは、上焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Bは、下焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Cは、ピュラマトリクスを含まないチャネル内のインサート膜の表面に沿う、制限された神経突起成長を示す。
図12Dは、PEG境界に沿う優先成長を示す。
図12Eは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色前のミエリンの不在を示す。
図12Fは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色後のミエリンの不在を示す。
【
図12F】インビトロで7日後の神経突起成長の蛍光顕微鏡観察を示す。
図12Aは、上焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Bは、下焦平面から示される、ピュラマトリクス中の先頭神経突起成長の分岐及びランダム配向を示す。
図12Cは、ピュラマトリクスを含まないチャネル内のインサート膜の表面に沿う、制限された神経突起成長を示す。
図12Dは、PEG境界に沿う優先成長を示す。
図12Eは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色前のミエリンの不在を示す。
図12Fは、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色後のミエリンの不在を示す。
【
図13】SC及びDRGを共培養するための方法論を示す。ステップ1は、PEG金型の形成であり、ステップ2は、DRGの挿入であり、ステップ3は、SCをゲル溶液と特定の細胞数で混合すること及び空隙へのゲル溶液の添加であり、ステップ4は、ネガマスクを使用する照射及びゲル形成である。
【
図14】4つの培養モデルの各々におけるニューロン成長の量の定量化(三次元)を示す。コラーゲンを用いる2つのシステムにおいて、より多くのニューロン成長が観察された。培地レジメンの変化に起因するニューロン増殖に対する有意な影響は検出されなかった。
【
図15】25日後のミエリンタンパク質(MBP)の発達を示す。DRG/SCを、固定されたニューロンで共培養し、抗MBP及びβ-IIIチューブリン抗体を用いて、コンパクトミエリン及びニューロフィラメントについて免疫標識した。対物20倍、スケールバーは、25μmを表す。SCは、25日後に軸索を完全に包絡し、全ての実験群においてMBP陽性軸索を形成する。
【
図16A】共焦点画像の三次元表現を示す。
図16Aは、MBPタンパク質の免疫組織化学を示す。
図16Bは、MAGの免疫組織化学を示す。両方の培養厚さは、190μmであり、インビトロシステムの三次元ミエリン形成能力を確認する。
【
図16B】共焦点画像の三次元表現を示す。
図16Aは、MBPタンパク質の免疫組織化学を示す。
図16Bは、MAGの免疫組織化学を示す。両方の培養厚さは、190μmであり、インビトロシステムの三次元ミエリン形成能力を確認する。
【
図17】ニューロフィラメントβ-III及びMBPの免疫組織化学を示す。
図17Aは、様々な培地中の免疫組織化学を視覚的に示す。これらの図は、共焦点顕微鏡を用いるz-スタック取得を使用して取得される。続いて最大投影を得た。密集した束状化成長は、25日後に観察され得る。スケールバー=500μm。
図17Bは、ミエリン形成の体積のグラフを示す。MBP陽性ミエリンの量は、コラーゲンの存在下で増加した。より少ないAA曝露でのNCol-15は、最小量のミエリンを有する。
図17Cは、ニューロフィラメントの量に対するMBP陽性ミエリンの量の比のグラフを示し、より長いAA曝露での培養物が、より多くのコンパクトミエリンを形成することを示す。全ての実験群において、ミエリン形成のパーセンテージは、対照群において激減し、外因性SCが、ミエリン形成プロセスにおいて主要な役割を有することを明示する。
【
図18】ニューロフィラメントβ-III及びPOの免疫組織化学を示す。
図18Aは、様々な培地内の免疫組織化学を視覚的に示す。スケールバー=500フィル。
図18Bは、ミエリン形成の体積のグラフを示す。PO陽性ミエリンの量は、コラーゲンの存在下で増加した。POは、PNSコンパクトミエリン内に存在し、したがって、PO陽性ミエリンは、PNSコンパクトミエリンを表す。より高いAA曝露及びコラーゲンの組み込みを伴うCol-25は、最大量のコンパクトミエリンを有する。減少傾向は、コラーゲンの存在及びより長いAAへの曝露の両因子を取り除くことによって、25日後に3D培養物中に最小のミエリン形成をもたらすことを示す。
図18Cは、ニューロフィラメントに対するPO陽性ミエリンのパーセンテージのグラフを示し、ニューロン生産量にも関わらず、ミエリン形成のみにおけるシステムの生産性を示す。ニューロン成長の体積を除外することにより、コラーゲンの存在または不在下で(ColまたはN-Col)、AAへの曝露が、3Dのミエリン形成において重要な役割を果たすことを示す。しかしながら、Col-15は、NCol-25と統計的に同等であり、コラーゲンの不在下におけるAA曝露の25日後の構築物の効率が、コラーゲンの存在下におけるAA曝露の15日後のものと同様であることを示す。これらの量は、
図18Bに示されるものとは実質的に異なることに留意されたい。
【
図19】ニューロフィラメントβ-III及びMAGの免疫組織化学を示す。
図19Aは、様々な培地内の免疫組織化学を視覚的に示す。MAGは、非コンパクトミエリンに存在する主要タンパク質のうちの1つである。スケールバー=500μm。
図19Bは、4つの実験群の全てにおけるコンパクトミエリンの量のグラフを示す。より高いAA曝露及びコラーゲンの組み込みを伴うCol-25は、最大量の非コンパクトミエリンを有する。
図19Cは、ニューロフィラメントに対するMAG陽性ミエリンの体積の比のグラフを示す、最短時間のAA曝露で、コラーゲンの不在下におけるNCol-15が、システム内の神経繊維の体積に関わらず、最低の非コンパクトミエリン形成効率を有する。
【
図20A】神経培養物断面の透過電子顕微鏡写真を示し、25日培養物、すなわち、(
図20A)NCol-25、(
図20B)NCol-15、(
図20D)Col-25、(
図20E)Col-15における個々の神経繊維の周りのミエリン鞘を明示する。
図20Cは、チャネル内の高密度の平行な束状化神経突起を示す。ニューロンがミエリン形成されるか、またはSCが神経繊維の周りに鞘形成を開始したかのいずれかであり、多量のミエリンタンパク質が免疫組織化学染色において陽性であることを説明する。
図20Fは、厚いミエリン鞘の拡大図を示す。A=軸索、M=ミエリン、S=シュワン細胞。
【
図20B】神経培養物断面の透過電子顕微鏡写真を示し、25日培養物、すなわち、(
図20A)NCol-25、(
図20B)NCol-15、(
図20D)Col-25、(
図20E)Col-15における個々の神経繊維の周りのミエリン鞘を明示する。
図20Cは、チャネル内の高密度の平行な束状化神経突起を示す。ニューロンがミエリン形成されるか、またはSCが神経繊維の周りに鞘形成を開始したかのいずれかであり、多量のミエリンタンパク質が免疫組織化学染色において陽性であることを説明する。
図20Fは、厚いミエリン鞘の拡大図を示す。A=軸索、M=ミエリン、S=シュワン細胞。
【
図20CD】神経培養物断面の透過電子顕微鏡写真を示し、25日培養物、すなわち、(
図20A)NCol-25、(
図20B)NCol-15、(
図20D)Col-25、(
図20E)Col-15における個々の神経繊維の周りのミエリン鞘を明示する。
図20Cは、チャネル内の高密度の平行な束状化神経突起を示す。ニューロンがミエリン形成されるか、またはSCが神経繊維の周りに鞘形成を開始したかのいずれかであり、多量のミエリンタンパク質が免疫組織化学染色において陽性であることを説明する。
図20Fは、厚いミエリン鞘の拡大図を示す。A=軸索、M=ミエリン、S=シュワン細胞。
【
図20E】神経培養物断面の透過電子顕微鏡写真を示し、25日培養物、すなわち、(
図20A)NCol-25、(
図20B)NCol-15、(
図20D)Col-25、(
図20E)Col-15における個々の神経繊維の周りのミエリン鞘を明示する。
図20Cは、チャネル内の高密度の平行な束状化神経突起を示す。ニューロンがミエリン形成されるか、またはSCが神経繊維の周りに鞘形成を開始したかのいずれかであり、多量のミエリンタンパク質が免疫組織化学染色において陽性であることを説明する。
図20Fは、厚いミエリン鞘の拡大図を示す。A=軸索、M=ミエリン、S=シュワン細胞。
【
図20F】神経培養物断面の透過電子顕微鏡写真を示し、25日培養物、すなわち、(
図20A)NCol-25、(
図20B)NCol-15、(
図20D)Col-25、(
図20E)Col-15における個々の神経繊維の周りのミエリン鞘を明示する。
図20Cは、チャネル内の高密度の平行な束状化神経突起を示す。ニューロンがミエリン形成されるか、またはSCが神経繊維の周りに鞘形成を開始したかのいずれかであり、多量のミエリンタンパク質が免疫組織化学染色において陽性であることを説明する。
図20Fは、厚いミエリン鞘の拡大図を示す。A=軸索、M=ミエリン、S=シュワン細胞。
【
図21】構造-機能の相関を示す。
図21Aは、β-IIIチューブリン神経突起、DAPI核、及びS100シュワン細胞が染色された、後根神経節に近位の、神経節から中間点及び遠位のミエリン形成されていない神経繊維路の共焦点画像スタックを示す。
図21Bは、近位に刺激された記録cAPが、遠位に刺激されたものよりも高い振幅及び短い待ち時間を示すことを示すデータを示す。
【
図22AB】高グルコース条件での毒性ストレス下における神経培養物の生理学的評価を示す。
図22Aは、25mM及び60mMグルコースの存在下で48時間の細胞培養の電気生理学的トレースを示す。
図22Bは、60mMグルコース条件への曝露が、複合活動電位の振幅の低減につながることを示すグラフを示す。
図22Bは、60mMグルコース条件への曝露が、複合活動電位の待ち時間の増加につながることを示すグラフを示す。
【
図22C】高グルコース条件での毒性ストレス下における神経培養物の生理学的評価を示す。
図22Aは、25mM及び60mMグルコースの存在下で48時間の細胞培養の電気生理学的トレースを示す。
図22Bは、60mMグルコース条件への曝露が、複合活動電位の振幅の低減につながることを示すグラフを示す。
図22Bは、60mMグルコース条件への曝露が、複合活動電位の待ち時間の増加につながることを示すグラフを示す。
【
図23AB】0.1μMパクリタキセルを用いる毒性ストレス下での神経培養物の生理学的評価を示す。
図23Aは、パクリタキセルの適用前及び適用後の細胞培養の電気生理学的トレースを示す。
図23Bは、パクリタキセルへの曝露が、複合活動電位の振幅を減少させることを示すグラフを示す。
図23Cは、パクリタキセルへの曝露が、複合活動電位の待ち時間を増加させることを示すグラフを示す。
【
図23C】0.1μMパクリタキセルを用いる毒性ストレス下での神経培養物の生理学的評価を示す。
図23Aは、パクリタキセルの適用前及び適用後の細胞培養の電気生理学的トレースを示す。
図23Bは、パクリタキセルへの曝露が、複合活動電位の振幅を減少させることを示すグラフを示す。
図23Cは、パクリタキセルへの曝露が、複合活動電位の待ち時間を増加させることを示すグラフを示す。
【
図24】神経節において、後根神経節の近位路において、路の中間点において、及び遠位路において取られ得る、形態学的及び生理学的測定値の一覧を示す。
【
図25】後根神経節、微小管、イオンチャネル、ミエリン、ミトコンドリア、及び小神経繊維における、化学療法により誘導された末梢神経毒性の候補標的の一覧を示す。
【
図26】ベースライン生理学的記録が、培養中の成長及びミエリン形成後に取られる、実験設計を示す。実験は、各薬物の急性(48時間)適用に続いて、生理学的記録(Rec)及びイメージング(CFM及びTEM)による即時または遅延(7日)アセスメントに限定される。対照群は、薬物を含まないビヒクル投与からなる。
【
図27A】網膜(CNS)組織の培養物を示す。胎生ラットからの網膜外植片を、CNTF(
図23A)またはBDNF(
図23B)のいずれかで補充された「neurobasal Sato」培地中の3Dマイクロパターン化ヒドロゲル内で培養した。β-IIIチューブリンで染色された、観察可能な網膜神経節細胞軸索の伸長を、培養の1週間後に可視化した。
【
図27B】網膜(CNS)組織の培養物を示す。胎生ラットからの網膜外植片を、CNTF(
図23A)またはBDNF(
図23B)のいずれかで補充された「neurobasal Sato」培地中の3Dマイクロパターン化ヒドロゲル内で培養した。β-IIIチューブリンで染色された、観察可能な網膜神経節細胞軸索の伸長を、培養の1週間後に可視化した。
【
図28】DRG神経突起が、BSAとは反対にNGFに向かって優先的に成長し、ヒドロゲル構築物内の貯留槽から拡散することを示す実験を示す。
【
図29】GFP及びChR2を発現する細胞内の個々の皮質ニューロンならびに個々の樹状突起の選択的照明及び同時活性化を特徴とするミクロ生理学的培養システム及び非侵襲性電気生理学的解析を示す。光学的神経活性化のためのDLP顕微鏡観察及びオプトジェネティクスのこの適用は、VF等の電圧感受性染料イメージングと組み合わされる。
【
図30】蛍光顕微鏡観察及び電気生理学を用いるマルチウェルフォーマットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0087】
本開示の方法及び他の態様に関して、様々な用語が、本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される。かかる用語は、別途指示されない限り、当該技術分野におけるそれらの通常の意味を付与されるものとする。他の具体的に定義される用語は、本明細書において提供される定義と一貫するように解釈されるものとする。
【0088】
本明細書及び添付の特許請求の範囲内で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別途指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0089】
本明細書において使用されるとき、「2より大きい」という用語は、2より大きい任意の全整数、例えば、3、4、または5として定義される。
【0090】
本明細書において使用されるとき、「複数」という用語は、1より大きい任意の量または数として定義される。
【0091】
「バイオリアクター」という用語は、細胞が、任意に懸濁液中で培養されるエンクロージャまたは部分エンクロージャを指す。一部の実施形態において、バイオリアクターは、細胞が培養されるエンクロージャまたは部分エンクロージャを指し、該細胞は、液体懸濁液中に存在してもよく、あるいは固体成長支持材料を含むが、これに限定されない別の非液体基材と接触して、その上、またはその中で成長してもよい。一部の実施形態において、固体成長支持材料または固体基板は、シリカ、プラスチック、金属、炭化水素、もしくはゲルのうちの少なくとも1つ、またはそれらの組み合わせを含む。本開示は、神経細胞が細胞成長培地の存在下で培養され得る、1つまたは複数の培養容器を含むバイオリアクターを備えるシステムに関する。
【0092】
本明細書において使用されるとき、「培養容器」という用語は、細胞を成長させる、培養する(culturing)、培養する(cultivating)、増殖させる、伝播する、または別途同様に操作するために適した任意の容器として定義される。培養容器は、本明細書において「培養インサート」と称される場合もある。一部の実施形態において、培養容器は、生体適合性プラスチック及び/またはガラスから作製される。一部の実施形態において、プラスチックは、1つまたは複数の細孔を備える薄層のプラスチックであり、それらの細孔を通じてタンパク質、核酸、栄養素(重金属及びホルモン等)抗生物質、及び他の細胞培養培地の構成成分の拡散を可能にする。一部の実施形態において、細孔の幅は、約0.1、0.5、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50ミクロン以下である。一部の実施形態において、ヒドロゲルマトリクス内の培養容器及びベースまたは任意の他の構造を含まない。一部の実施形態において、培養容器は、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクス及び様々な培養培地を格納するように設計される。一部の実施形態において、培養容器は、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスからなるか、または本質的になる。一部の実施形態において、培養容器の唯一のプラスチック構成成分は、細胞成長のウェルまたはゾーンの体積を培養容器の外側の点から分離する培養容器の側壁及び/またはベースを形成する培養容器の構成成分である。一部の実施形態において、培養容器は、ヒドロゲル及び1つまたは複数の単離されたグリア細胞を含む。一部の実施形態において、培養容器は、ヒドロゲル及び1つまたは複数の単離されたグリア細胞を含み、これに1つまたは複数の神経細胞が播種される。
【0093】
「電気刺激」という用語は、細胞が、交流(AC)または直流(DC)のいずれかの電流に曝露されるプロセスを指す。この電流は、固体基板に導入されても、または細胞培養培地もしくは細胞培養システムの他の好適な構成要素を介して適用されてもよい。一部の実施形態において、電気刺激は、1つまたは複数の電極を、細胞培養容器にまたがって電位を生じさせるようにデバイスまたはシステム内の異なる位置に位置付けることで、デバイスまたはシステムに提供される。電極は、1つまたは複数のワイヤによって、1つまたは複数の、増幅器、電圧計、電流計、及び/または電気化学システム(バッテリーもしくは発電機)と操作可能に接続されている。かかるデバイス及びワイヤは回路を創出し、この回路を通じて電流が生成され、この回路によって電位が組織培養システムにまたがって生成される。
【0094】
本明細書において使用されるとき、「ヒドロゲル」という用語は、水で充填されるか、または水で充填され得るポリマー鎖間の空隙を有する、ポリマー鎖の任意の不水溶性の架橋された三次元ネットワークとして定義される。本明細書において使用されるとき、「ヒドロゲルマトリクス」という用語は、任意の三次元ヒドロゲル構築物、システム、デバイス、または類似構造として定義される。ヒドロゲル及びヒドロゲルマトリクスは、当該技術分野において既知であり、様々な型が、例えば、米国特許第5,700,289号及び同第6,129,761号、ならびにCurley and Moore,2011、Curley et al.,2011、Irons et al.,2008及びTibbitt and Anseth,2009に記載されており、各々が参照によりそれら全体が組み込まれる。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、液化したプレゲル溶液を、紫外線、可視光、または約300nm、400nm、450nm、または500nmを超える波長の任意の光に供することによって固化され得る。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、様々な形状、例えば、神経路を擬するように設計された分岐形状に固化され得る。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEG)を含む。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、ピュラマトリクスを含む。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、グリシジルメタクリレート-デキストラン(MeDex)を含む。一部の実施形態において、神経細胞は、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスに組み込まれる。一部の実施形態において、神経系からの細胞は、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスに組み込まれる。一部の実施形態において、神経系からの細胞は、シュワン細胞及び/またはオリゴデンドロサイトである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、動物(哺乳動物等)の神経系からの組織外植片、及び神経系に由来するが、培養物中のその集合を富化するように単離されて培養された細胞の補集合を含む。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、網膜組織外植片、DRG、または脊髄組織外植片等の外植片、ならびに単離されて培養されたシュワン細胞、オリゴデンドロサイト、及び/またはマイクログリア細胞の集合を含む。一部の実施形態において、2つ以上のヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスが、細胞培養容器内で同時に使用される。一部の実施形態において、2つ以上のヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスが、同一細胞培養容器内で同時に使用されるが、これらのヒドロゲルは壁によって分離され、この壁が、組織培養容器内で独立してアドレス可能な、ウェル等の微小環境を創出する。多重化組織培養容器内では、一部の実施形態は、1つのウェルまたは場所におけるヒドロゲルマトリクスが細胞培養容器の別のウェルまたは場所におけるヒドロゲルマトリクスとは異なっていても同一であってもよいように、任意の数の前述のウェルまたは細胞培養容器内の独立してアドレス可能な場所を含むことが可能である。
【0095】
一部の実施形態において、2つ以上のヒドロゲルは、異なる量のPEG及び/またはピュラマトリクスを含み得る。一部の実施形態において、2つ以上のヒドロゲルは、様々な密度を有し得る。一部の実施形態において、2つ以上のヒドロゲルは、細胞がヒドロゲル内で成長するのを可能にすることができる様々な透過性を有し得る。一部の実施形態において、2つ以上のヒドロゲルは、様々な柔軟性を有し得る。
【0096】
「細胞透過性ポリマー」という用語は、固体基板上で固体または半固体状態で架橋する際に空間を創出するのに充分な濃度及び/または密度で、同一または混合モノマーサブユニットを有する親水性ポリマーを指し、かかる間隔は、細胞または細胞の一部が培養中に成長することができるように十分に生体適合性である。
【0097】
「細胞不透過性ポリマー」という用語は、固体基板上で固体または半固体状態で架橋する際に生体適合性の間隔または区画を創出しないために十分な濃度及び/または密度で、同一または混合モノマーサブユニットを有する親水性ポリマーを指す。換言すれば、細胞不透過性ポリマーは、特定濃度及び/または密度で架橋した後に、培養中の細胞または細胞の一部の成長を支持することができないポリマーである。
【0098】
当業者であれば、細胞不透過性ポリマー及び細胞透過性ポリマーが、同じか、または実質的に同じポリマーを含み得るが、架橋後の濃度または密度の差異は、培養中の細胞または細胞の一部の成長を促すいくつかの部分を有するヒドロゲルマトリクスを創出する。
【0099】
一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、様々な厚さを有し得る。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約150μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約200μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約250μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約300μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約350μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約400μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約450μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約500μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約550μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約600μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約650μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約700μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約750μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約750μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約700μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約650μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約600μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約550μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約500μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約450μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約400μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約350μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約300μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約250μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約200μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約150μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約300μm~約600μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約400μm~約500μmである。
【0100】
一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、様々な厚さを有し得る。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約10μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約150μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約200μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約250μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約300μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約350μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約400μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約450μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約500μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約550μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約600μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約650μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約700μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約750μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約800μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約850μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約900μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約950μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約1000μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約1500μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約2000μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約2500μm~約3000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約2500μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約2000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約1500μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約1000μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約950μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約900μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約850μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約800μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約750μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約700μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約650μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約600μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約550μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約500μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約450μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約400μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約350μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約300μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約250μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約200μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約100μm~約150μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約300μm~約600μmである。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスの厚さは、約400μm~約500μmである。
【0101】
一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、1つ以上の合成ポリマーを含む。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、以下の合成ポリマー、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、シリコーン、及びそれらの任意の誘導体または組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0102】
一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、1つ以上の合成及び/または天然多糖類を含む。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、以下の多糖類、ヒアルロン酸、ヘパリン硫酸塩、ヘパリン、デキストラン、アガロース、キトサン、アルギニン酸塩、及びそれらの任意の誘導体または組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0103】
一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、1つ以上のタンパク質及び/または糖タンパク質を含む。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、以下のタンパク質、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、タイチン、ラミニン、フィブロネクチン、フィブリン、ケラチン、絹フィブロイン、及びそれらの任意の誘導体または組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0104】
一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、1つ以上の合成及び/または天然ポリペプチドを含む。一部の実施形態において、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスは、以下のポリペプチド、ポリリジン、ポリグルタメート、またはポリグリシンのうちの1つ以上を含む。
【0105】
一部の実施形態において、ヒドロゲルは、Khoshakhlagh et al.,“Photoreactive interpenetrating network of hyaluronic acid and Puramatrix as a selectively tunable scaffold for neurite growth”Acta Biomaterialia,January 21,2015に公開されているものから選択されるポリマーのうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0106】
細胞成長に適した任意のヒドロゲルは、2つの別個の密度の架橋ポリマー(1つは細胞透過性及び1つは細胞不透過性)を創出するのに十分な濃度で、条件下で、及び十分な期間にわたって、本明細書に開示されるポリマーのうちのいずれか1つまたは組み合わせを配置することによって形成され得る。これらのポリマーは、合成ポリマー、多糖類、天然タンパク質もしくは糖タンパク質、及び/または以下から選択されるもの等のポリペプチドであってもよい。
【0107】
合成ポリマー
ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、シリコーン、それらの組み合わせ、及びそれらの誘導体等。
【0108】
多糖類(合成または天然源から誘導される)
ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸塩、ヘパリン、デキストラン、アガロース、キトサン、アルギニン酸塩、それらの組み合わせ、及びそれらの誘導体等。
【0109】
天然タンパク質または糖タンパク質
コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、タイチン、ラミニン、フィブロネクチン、フィブリン、ケラチン、絹フィブロイン、それらの組み合わせ、及びそれらの誘導体等。
【0110】
ポリペプチド(合成または天然源)
ポリリジン等、ならびに既に列挙されているRAD及びEAKペプチドの全て。
【0111】
「単離されたニューロン」という用語は、それらが本来成長する生物または培養物から除去または解離された神経細胞を指す。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、懸濁液中のニューロンである。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、組織試料または非神経細胞を含む懸濁液を含む、より大きな細胞の混合物の構成成分である。一部の実施形態において、神経細胞は、例えば組織外植片の場合において、それらが由来する動物から除去されるときに単離される。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、動物から切除されたDRG内のニューロンである。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、ヒツジ細胞、ヤギ細胞、ウマ細胞、ウシ細胞、ヒト細胞、サル細胞、マウス細胞、ラット細胞、ウサギ細胞、イヌ細胞、ネコ細胞、ブタ細胞、または他の非ヒト哺乳動物から選択される1つの種に由来するか、またはそれらの種の組み合わせである、少なくとも1つまたは複数の細胞を含む。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、ヒト細胞である。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、ヒト神経細胞に類似するか、または実質的に類似する分化表現型を有するように予め調整される幹細胞である。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、ヒト細胞である。一部の実施形態において、単離されたニューロンは、非ヒト神経細胞に類似するか、または実質的に類似する分化表現型を有するように予め調整される幹細胞である。一部の実施形態において、幹細胞は、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞、胚幹細胞、造血幹細胞、表皮幹細胞、哺乳動物の臍帯から単離された幹細胞、または内胚葉系幹細胞から選択される。
【0112】
「神経変性疾患」という用語は、中枢神経系及び/または末梢神経系への損傷によって引き起こされる疾患を説明するために本明細書全体で使用される。開示されるモデル、システム、またはデバイスを使用して研究され得る疾患の例であり得る例示の神経変性疾患としては、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)、アルツハイマー病、リソソーム蓄積症(「白質病」またはグリア/脱髄病、例えば、Folkerth,J.Neuropath.Exp.Neuro.,58,9,Sep.,1999に記載される)、タイ・サックス病(βヘキソサミニダーゼ欠損症)、他の遺伝病、多発性硬化症、虚血、事故、環境損傷等により引き起こされる脳傷害または外傷、脊髄損傷、運動失調、及びアルコール症が挙げられる。加えて、本発明は、神経変性疾患の治療に関する研究のために、培養中の神経細胞に対する薬剤の効能、毒性、または神経変性効果を試験するために使用することができる。神経変性疾患という用語は、例えば、自閉症、及びとりわけ統合失調症等の関連した神経性疾患を含む、神経発達障害も含む。
【0113】
本明細書において使用されるとき、「神経細胞」という用語は、樹状突起、軸索、及び細胞体のうちの少なくとも1つもしくは組み合わせ、あるいは神経系組織から単離された任意の細胞もしくは細胞の群を含む細胞として定義される。一部の実施形態において、神経細胞は、軸索を含むか、またはそれを形成することができる任意の細胞である。一部の実施形態において、神経細胞は、シュワン細胞、グリア細胞、神経膠、皮質ニューロン、神経組織から単離された、もしくはそれに由来する、またはニューロン表現型もしくは神経細胞の表現型に実質的に類似する表現型を有する細胞に分化した胚細胞、ニューロン表現型に分化した人工多能性幹細胞(iPS)、または神経組織に由来するか、もしくはニューロン表現型に分化される間葉系幹細胞である。一部の実施形態において、神経細胞は、成人、青年、小児、または胎児対象からの後根神経節(DRG)組織、網膜組織、脊髄組織、または脳組織からのニューロンである。一部の実施形態において、神経細胞は、対象の神経組織から単離された細胞のうちのいずれか1つまたは複数である。一部の実施形態において、神経細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態において、細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態において、細胞は、非ヒト哺乳動物細胞であるか、または非ヒト哺乳動物から単離された細胞に由来する。それらの細胞が由来する元の動物から単離または解離される場合、神経細胞は、複数の種から単離されたニューロンを含んでもよい。
【0114】
一部の実施形態において、神経細胞は、以下のニューロン、交感神経ニューロン、脊髄運動ニューロン、中枢神経系ニューロン、運動ニューロン、感覚ニューロン、コリン作動性ニューロン、GABA作動性ニューロン、グルタミン酸作動性ニューロン、ドーパミン作動性ニューロン、セロトニン作動性ニューロン、介在ニューロン、アドレナリン作動性ニューロン、及び三叉神経節ニューロンのうちの1つ以上である。一部の実施形態において、神経細胞は、以下のグリア細胞、星状細胞、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞、ミクログリア、上衣細胞、放射状グリア、随伴細胞、腸グリア細胞、及び下垂体細胞のうちの1つ以上である。一部の実施形態において、神経細胞は、以下の免疫細胞、マクロファージ、T細胞、B細胞、白血球、リンパ球、単球、肥満細胞、好中球、ナチュラルキラー細胞、及び好塩基球のうちの1つ以上である。一部の実施形態において、神経細胞は、以下の幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、脂肪由来幹細胞、骨髄由来幹細胞、人工多能性幹細胞、星状細胞由来人工多能性幹細胞、線維芽細胞由来人工多能性幹細胞、腎上皮由来人工多能性幹細胞、ケラチノサイト由来人工多能性幹細胞、末梢血由来人工多能性幹細胞、肝細胞由来人工多能性幹細胞、間葉系由来人工多能性幹細胞、神経幹細胞由来人工多能性幹細胞、脂肪幹細胞由来人工多能性幹細胞、前脂肪細胞由来人工多能性幹細胞、軟骨細胞由来人工多能性幹細胞、及び骨格筋由来人工多能性幹細胞のうちの1つ以上である。一部の実施形態において、神経細胞は、カルチノサイトである。一部の実施形態において、神経細胞は、内皮細胞である。
【0115】
「神経細胞培養培地」または単に「培養培地」という用語は、本明細書で使用する場合、神経細胞の成長、培養(culture)の支持、培養(cultivating)、増殖、伝播、または別途操作にとって好適な任意の栄養物質として定義される。一部の実施形態において、培地は、神経成長因子(NGF)で補充されたneurobasal培地を含む。一部の実施形態において、培地は、ウシ胎仔血清(FBS)を含む。一部の実施形態において、培地は、L-グルタミンを含む。一部の実施形態において、培地は、約0.001重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.001重量容量%~約0.008重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.001重量容量%~約0.006重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.001重量容量%~約0.004重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.002重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.003重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.004重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.006重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.008重量容量%~約0.01重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.002重量容量%~約0.006重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。一部の実施形態において、培地は、約0.003重量容量%~約0.005重量容量%の範囲の濃度のアスコルビン酸を含む。
【0116】
一部の実施形態において、ヒドロゲル、ヒドロゲルマトリクス、及び/または神経細胞培養培地は、以下の構成成分、アルテミン、アスコルビン酸、ATP、β-エンドルフィン、BDNF、ウシ胎仔血清、ウシ血清アルブミン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、カプサイシン、カラゲナン、CCL2、毛様体神経栄養因子、CX3CL1、CXCL1、CXCL2、D-セリン、ウシ胎仔血清、フルオロクエン酸塩、ホルマリン、グリア細胞系由来神経栄養因子、グリア線維酸性タンパク質、グルタミン酸塩、IL-1、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-10、IL-12、IL-17、IL-18、インスリン、ラミニン、リポキシン、mac-1-サポリン、メチオニンスルホキシミン、ミノサイクリン、ニューレグリン-1、ニューロプロテクチン、ニュールツリン、NGF、一酸化窒素、NT-3、NT-4、ペルセフィン、血小板溶解物、PMX53、ポリ-D-リジン(PLL)、ポリ-L-リジン(PLL)、プロペントフィリン、レゾルビン、S100カルシウム結合タンパク質B、セレニウム、基質P、TNF-α、I型-Vコラーゲン、及びザイモサンのうちのいずれか1つ以上を含む。
【0117】
本明細書に記載されるとき、「オプトジェネティクス」という用語は、光感受性イオンチャネルを発現するように遺伝子組み換えされた生組織内の細胞、通常はニューロンを制御するために光の使用を伴う、生物学的技法を指す。光学及び遺伝学からの技法の組み合わせを使用して、生組織(更には自由に動く動物)内の個々のニューロンの活動を制御及び監視し、そのような操作の効果をリアルタイムで正確に測定する、神経科学において用いられる神経調節方法である。オプトジェネティクスにおいて使用される重要な試薬は、光感受性タンパク質である。空間的に正確なニューロン制御は、チャネルロドプシン、ハロロドプシン、及びアーキロドプシンのようなオプトジェネティクスアクチュエータを使用して達成されるが、時間的に精密な記録は、カルシウム(Aequorin,Cameleon,GCaMP)、塩化物(Clomeleon)、または膜電圧(Mermaid)のオプトジェネティクスセンサーの助けを借りて行われ得る。一部の実施形態において、オプトジェネティクスアクチュエータ及び/またはセンサーで修飾された神経細胞は、本明細書に記載される培養システムにおいて使用される。
【0118】
「プラスチック」という用語は、炭化水素を含む生体適合性ポリマーを指す。一部の実施形態において、プラスチックは、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルピロリドン、ポリブタジエン(PVP)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルメチルエーテル(PVME)、ポリ乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)、ポリ(I-乳酸)、ポリエステル、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアニリン(PANI)、ポリフルオレン、ポリピロール(PPY)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、及び前述のポリマーのうちの2つまたはいずれかの混合物からなる群から選択される。
【0119】
本明細書において使用されるとき、「播種する」という用語は、一定量の細胞を新たな培養容器へと移すこととして定義される。この量は、定義されてもよく、細胞の量または数を定義された量の基礎として使用してもよい。細胞は、懸濁液の一部であり得る。
【0120】
本明細書において使用されるとき、「固体基板」という用語は、細胞毒素を含まないか、または実質的に含まない固体支持体である任意の物質を指す。一部の実施形態において、固体基板は、シリカ、プラスチック、及び金属のうちの1つまたは組み合わせを含む。一部の実施形態において、固体基板は、細胞培養培地の存在下で固体基板を通したタンパク質、栄養素、及びガスの拡散または非活性輸送を可能にするのに十分なサイズ及び形状の細孔を備える。一部の実施形態において、細孔サイズは、直径約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1ミクロン以下である。当業者であれば、細胞培養培地の含有物及び特定の微小環境において個体基板上で成長する細胞の曝露に基づいて、どれだけ大きい細孔サイズが必要であるかを判定することができるであろう。例えば、当業者であれば、システムまたはデバイス内の任意の培養された細胞が、固体基板が様々な直径の細孔を備える条件下で生存可能であるかどうかを観察することができる。一部の実施形態において、固体基板は、外面及び内面の形状を画定する所定の形状を有するベースを備える。一部の実施形態において、ベースは、シリカ、プラスチック、セラミック、または金属のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含み、ベースは、第1の細胞不透過性ポリマー及び第1の細胞透過性ポリマーが、ベースの内面を被覆し、円筒形または略円筒形の内室を画定するように、円筒形の形状または円筒形に実質的に類似する形状であり、かつ開口部は、円筒形の一端に位置付けられる。一部の実施形態において、ベースは、細胞培養培地の存在下において、固体基板を通じてタンパク質、栄養素、及び酸素を拡散させるのに十分なサイズ及び形状の、1つまたは複数の細孔を備える。一部の実施形態において、固体基板は、直径1ミクロン以下の細孔サイズを有するプラスチックベースを含み、ヒドロゲルマトリクスの少なくとも1つの層を含み、ヒドロゲルマトリクスは、少なくとも第1の細胞不透過性ポリマー及び少なくとも第1の細胞透過性ポリマーを含み、ベースは、その周りに第1の細胞不透過性ポリマー及び少なくとも第1の細胞透過性ポリマーが物理的に接着するか、または化学的に結合する所定の形状を含み、固体基板は、固体基板の内面の形状によって少なくとも部分的に画定され、任意に固体基板の一端に位置付けられた開口部によって固体基板の外側の地点からアクセス可能な少なくとも1つの区画を備える。固体基板が、少なくとも1つの内面によって画定された中空内部部分を備える実施形態において、懸濁液または組織外植片中の細胞は、開口部に、またはそれに近接して細胞を配置することによって播種されてもよく、それにより、細胞は、成長前に固体基板の内面の少なくとも一部分に接着することができる。固体基板の少なくとも1つの区画または中空内部は、内面固体基板の形状によって画定される特定の三次元形状での細胞の格納を可能にし、開口部から離れた細胞の指向性成長を促進する。神経細胞の場合において、少なくとも1つの区画の格納の程度及び形状は、少なくとも1つの区画内及び開口部に、またはそれに近接して位置付けられた神経細胞体からの軸索成長の助けとなる。一部の実施形態において、固体基板は、管状または略管状であり、それにより、内部区画は、円筒または部分的に円筒の形状である。一部の実施形態において、固体基板は、1つまたは複数の分岐した管状内部区画を含む。一部の実施形態において、固体の中空内部部分の分岐または複数分岐形状は、軸索が複数分岐パターンで成長するために構成されるか、またはそれを許す。電極が軸索の遠位端に、またはその付近に、及び神経細胞の神経細胞体に、またはそれに近接して配置される場合、細胞内活動電位等の電気生理学的メトリックスは、デバイスまたはシステム内で測定され得る。
【0121】
本開示はまた、
(i)ヒドロゲルマトリクス、
(ii)懸濁液中の、または組織外植片の構成成分としての、1つもしくは複数の神経細胞、
(iii)電流の発生装置、
(iv)電圧計及び/または電流計、
(v)少なくとも第1の刺激電極及び少なくとも第1の記録用電極、を備えるシステムであって、
発生装置、電圧計及び/または電流計、ならびに電極は、回路を介して互いに電気的に接続されており、回路において、電流が発生装置から少なくとも1つの刺激電力に供給され、電流が記録用電極において受容され、電圧計及び/または電流計に供給され、刺激電極は、神経細胞の1つまたは複数の神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けられており、記録用電極は、細胞培養容器にまたがる電位が確立されるように、神経細胞体から遠位の所定の距離に位置付けられている、システムに関する。
【0122】
一部の実施形態において、固体基板は、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスからなる。一部の実施形態において、固体基板は、ヒドロゲルまたはヒドロゲルマトリクスからなり、ガラス、金属、またはセラミックを含まない。一部の実施形態において、固体基板は、軸索成長に適した特定サイズの細胞を播種するために既定される形態または型に成形される。一部の実施形態において、固体基板または少なくとも1つのベース部分は、少なくとも1つの分岐した内部管様構造で成形され、管の位置が、組織外植片または神経細胞の播種が行われる位置からより遠位であるほど任意の直径の先細りを有する。例えば、本開示は、外面における開口部または穴によって固体基板の外側の地点にアクセス可能な固体基板の半円筒形または円筒形部分の一端に焦点を想到する。開口部または穴を使用して、細胞(神経細胞及び/またはグリア細胞のいずれか)を上記焦点に配置または播種することができる。細胞を数日間にわたって培養物中で成長させるとき、細胞は、軸索が神経細胞から成長するのに十分な濃度で、及び期間にわたって、本明細書に開示される構成成分のうちのいずれかを含む培養培地に曝露される。細胞がミエリン形成されるか、または研究のためにミエリン形成が所望される場合、グリア細胞が、同じ穴を通じて導入されるか、神経細胞または外植片の添加前に播種されてもよい。軸索が半円筒形または管様構造で成長するとき、軸索突起の成長は、焦点から次第に遠位で起こり得る。焦点(または播種点)から徐々に遠位の地点における固体基板のアクセス点または開口部を使用して、軸索状態の軸索成長をアドレスまたは観察することができる。本開示は、固体基板の構造が軸索成長を促進するために任意の形態を取ることを想到する。一部の実施形態において、軸索突起を収容する内室または区画は、半円形または略円筒形の直径を含む。一部の実施形態において、固体基板は、焦点から遠位の地点において2つ以上の内部区画に分岐される。一部の実施形態において、この分岐は、鍵穴形状または木に類似し得、互いに流体連通する2、3、4、5、6、7、または8つ以上の管様または略円筒形内室が存在し、それにより、軸索成長は、1つまたは複数の細胞体の播種点を起源として、内室に沿って長手方向に、任意の1つまたは複数の分岐へと延びる。一部の実施形態において、1つまたは複数の電極を、1つ以上の開口部に、またはそれに近接して配置することができ、それにより、軸索長に沿って1つまたは複数の位置にわたって記録を取ることができる。これを使用して、軸索の長さに沿って1つまたは複数の位置を調べることもできる。
【0123】
本明細書において使用されるとき、「記録する」という用語は、1つ以上の神経細胞の応答を測定することとして定義される。かかる応答は、電気生理学的応答、例えば、パッチクランプ電気生理学的記録またはフィールド電位記録であり得る。
【0124】
本開示は、臨床神経伝導及びNFD試験を擬するインビトロ神経組織のマイクロスケール器官型モデルの生理学的測定値を得るための方法及びデバイスを開示する。これらの方法及びデバイスの使用から得られる結果は、臨床転帰のより良い予測であり、より高い後期成功を有する有望なリード化合物を選択するためのより費用効果の高いアプローチを可能にする。本開示は、固有の密集した、高度に平行な神経繊維路の成長を可能にする、三次元の微小操作されたシステムの成型加工及び利用を含む。この路の限局性質に起因して、このインビトロモデルは、CAP及び細胞内パッチクランプ記録の両方を測定することが可能である。加えて、後次の共焦点及び透過電子顕微鏡(TEM)解析は、NFDを含む定量的構造解析を可能にする。まとめると、このインビトロモデルシステムは、臨床組織病理学及び神経伝導試験に類似する、組織形態学及び集合電気生理学を評価する新規の能力を有する。
【0125】
本開示はまた、本明細書に記載されるインビトロモデルを使用して創出された軸索のミエリン形成を測定するための方法も提供する。ヒト末梢求心性神経の構造と同様に、これらのインビトロ構築物内の後根神経節(DRG)ニューロンは、長く平行な束状化軸索を末梢に突き出す。天然組織において、様々に異なる直径の軸索及びミエリン形成の程度は、感覚情報を異なる速度で中枢神経系に戻す。シュワン細胞は、軸索をミエリン形成し、より速い伝導のために絶縁を提供することによって感覚リレーを支持する。同様に、このインビトロ構築物によって誘導される三次元成長は、様々な直径の軸索を、最大3mmの密集した平行配向のスパン距離で含む。シュワン細胞の存在及び鞘形成は、共焦点及びTEMイメージングにおいて観察された。
【0126】
ニューロン形態学は、表現型成熟度の有用な指標であるが、より明確な健康ニューロンの標示は、それらが活動電位を伝導する能力である。細胞死が現れる前に多くの病理学的変化が起こり得るため、アポトーシス単独は、ニューロンの健康の完全な尺度ではない。活動電位生成に関する電気生理学的研究は、観察された構造が、予測される機能を支持するかどうか、及び臨床的に関連するエンドポイントを測定する能力が、より予測的な結果をもたらすかどうかを判定することができる。同様に、イメージングから収集された情報は、ミエリン形成の程度についての定量的メトリックスを判定することができるが、CAP測定値は、ミエリンの全体的健康を明示し、関心対象の様々な薬剤または化合物の毒性及び神経保護的機序についての更なる洞察を加える。
【0127】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、低分子化学物質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの環境汚染物質または産業汚染物質を含む。一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、化学療法剤、鎮痛剤、心血管調節物質、コレステロール、神経保護薬、神経調節物質、免疫調節物質、抗炎症薬、及び抗微生物薬から選択される低分子化学物質のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0128】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、アクチノマイシン、アリトレチノイン、全トランス型レチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カペシタビン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エルロチニブ、エトポシド、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ニトロソウレア、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ロミデプシン、タフルポシド、テモゾロミド(経口ダカルバジン)、テニポシド、チオグアニン(以前のチオグアニン)、トポテカン、トレチノイン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビスモデギブ、及びボリノスタットから選択される化学療法薬のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0129】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、パラセトアモール、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、COX-2阻害剤、オピオイド、フルピルチン、三環系抗うつ薬、カルバマゼピン、ガバペンチン、及びプレガバリンから選択される鎮痛剤のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0130】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、ネピカスタット、コレステロール、ナイアシン、スクテラリア、プレニラミン、デヒドロエピアンドロステロン、モナテピル、エスケタミン、ニグルジピン、アセナピン、アトモキセチン、フルナリジン、ミルナシプラン、メキシレチン、アンフェタミン、チオペンタールナトリウム、フラボノイド、ブレチリウム、オキサゼパム、及びホノキロールから選択される心血管変調剤のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0131】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、トリプタミン、ガラニン受容体2、フェニルアラニン、フェネチルアミン、N-メチルフェネチルアミン、アデノシン、キプトルフィン、物質P、3-メトキシチラミン、カテコールアミン、ドーパミン、GABA、カルシウム、アセチルコリン、エピネフリン、ノルエピネフリン、及びセロトニンから選択される神経保護剤及び/または神経変調剤のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0132】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、クレノリジマブ、エノチクマブ、リゲリズマブ、シムツズマブ、バテリズマブ、パルサツズマブ、イムガツズマブ、トレガリズマブ(tregalizaumb)、パテクリズマブ、ナムルマブ、ペラキズマブ、ファラリモマブ、パトリツマブ、アチヌマブ、ウブリツキシマブ、フツキシマブ、及びズリゴツマブから選択される免疫変調剤のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0133】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、イブプロフェン、アスピリン、ケトプロフェン、スリンダク、ナプロキセン、エトドラク、フェノプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラク、ピロキシカム、インドメタシン、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ケトプロフェン、ファモチジン、メクロフェナム酸塩、トルメチン、及びサルサレートから選択される抗炎症薬のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0134】
一部の実施形態において、少なくとも1つの薬剤は、抗細菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、熱、放射線、及びオゾンから選択される抗菌薬のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0135】
本開示は、追加として、三次元培養プラットフォーム内の生物模倣型神経組織の細胞内記録及び細胞外記録の両方を測定する方法を開示する。これまでは、解離表面めっき培養物または器官型スライス調製物のいずれかにおいて、各方法に固有の制限とともに、電気生理学的実験が行われていた。解離細胞培養物における調査は、器官型調製物において見出されるように、組織化された多細胞神経突起アーキテクチャの欠失に起因して、通常は単一細胞記録に制限される。器官型調製物は、無傷の神経回路を有し、細胞内研究及び細胞外研究の両方を可能にする。しかしながら、急性脳スライスは、個々の因子を制御する手段なしに、変数の複雑な同時配列を提示し、したがって、スループット確率が固有に制限される。
【0136】
インビトロ三次元培養物における細胞内記録は、以前に明示されている。しかしながら、ニューロン増殖物は、細胞外集合調査を支持する解剖学的に関連のある構造に空間的に限局されなかった。集合レベル電気生理学的挙動の検査を可能にするために、より生物模倣型の三次元神経培養物が必要とされる。本開示は、全細胞パッチクランプ技法、及び三次元幾何学的形状の限局された神経突起成長から生じる細胞外フィールド記録における同期集合レベルの事象を支持する。本開示の前に、臨床神経伝導試験に直接類似するこれらのエンドポイントの測定値は、純粋に細胞性のインビトロ研究に対して明示されていなかった。
【0137】
本明細書に開示される方法及びデバイスを使用し、フィールド記録を用いて、全ての動員された繊維内のシグナル伝導によって引き起こされる電位の複合細胞外変化を測定する。電気刺激によって誘起される集合応答は、CAPである。電気的に誘発された集合スパイクは、本質的に段階的であり、遅繊維及び速繊維内の活動電位の複合効果を含む。スパイクは、CAPに特徴的な速い発生及び短い期間を有する単一の凝集性事象であるか、またはシナプス入力の不在下において、純粋に、迅速なシグナル伝導を有する活動電位からなる応答である。本開示によって開示される三次元神経構築物はまた、神経突起路またはチャネルに沿って、より遠くの距離から刺激されたCAPを支持し、神経培養物が、求心末梢神経のように遠位刺激からのシグナルを速く運ぶ能力を明示する。本開示の三次元神経培養物は、伝導特性を測定するのに有用な近位及び遠位刺激技法を支持する。
【0138】
本開示は、神経繊維路内で通常であるように、多くの繊維型の動員を誘導する1つ以上の成長因子とともに使用されてもよい。具体的に、神経成長因子(NGF)は、本明細書に提示されるデータに明示されるように、しばしば疼痛シグナル伝達と関連付けられる、小径繊維を優先的に動員する。脳由来神経栄養因子(BDNF)及び神経栄養因子3(NT-3)が、より大きな直径の自己受容性繊維を優先的に支持することが示された。生体活性分子及び薬剤のような成長に影響を与える因子を、電気生理学的調査に組み込み、反応機構研究のための条件の体系的操作を可能にすることができる。
【0139】
本開示を使用して創出された三次元神経培養物をプラットフォームとして使用し、神経培養物に対する既知のミエリン形成不全薬の効果、神経障害を誘導する培養条件、及び毒性神経障害を誘導する化合物を調査することによって、ミエリンを傷つける疾患及び末梢神経障害の根底にある機序を研究することができる。本開示は、伝導速度が、毒性条件及び治療条件下におけるミエリン及び神経繊維完全性の機能的尺度として使用されるのを許し、薬物の安全性及び効能に関する研究を促進する。本明細書に開示される技法を使用して生成された神経培養物への遺伝子変異及び薬物の組み込みは、制御下での疾患現象の再現を可能にすることができ、神経変性及び可能な治療療法に関するより良い理解につながる。
【0140】
本開示は、天然神経組織の解剖学を擬するように設計された微小操作構成の神経細胞の生成、維持、及び生理学的照合に関与するデバイス、方法、及びシステムを提供する。一部の実施形態において、これらのデバイス及びシステムは、培養もしく単離されたシュワン細胞のうちの1つもしくは複数、及び/または固体基板を備える細胞培養容器内の神経細胞のうちの1つもしくは複数と接触している、培養もしくは単離されたオリゴデンドロサイトのうちの1つまたは複数を含み、該基板は、少なくとも1つの外面と、少なくとも1つの内面と、少なくとも1つの内室とを備え、該内室の形状は、少なくとも一部が、少なくとも1つの内面によって画定され、固体基板の外側の地点から、外面の少なくとも1つの開口部を通じてアクセス可能であり、該神経細胞のうちの1つまたは複数の細胞体は、内室の一端に位置付けられ、軸索は、軸索の先端の位置が細胞体から遠位に延びるように、内室の少なくとも1つの長さに沿って内室内で成長することが可能である。一部の実施形態において、固体基板の内面は、円筒形の形状であるか、または略円筒形であり、それにより、神経細胞からの神経細胞体は、円筒形または略円筒形内面の一端における開口部の近位に位置付けられ、神経細胞の軸索は、神経細胞体の縁部における地点から内面の長さに沿って細胞体から遠位の地点へと延びる細胞質の長さを含む。一部の実施形態において、固体基板の内面は、円筒形の形状であるか、または略円筒形であり、それにより、神経細胞からの神経細胞体は、円筒形または略円筒形内面の一端における開口部の近位に位置付けられ、神経細胞の軸索は、神経細胞体の縁部における地点から内面の長さに沿って細胞体から遠位の地点へと延びる細胞質の長さを含む。一部の実施形態において、固体基板の内面は、円筒形の形状であるか、または略円筒形であり、それにより、神経細胞からの神経細胞体は、円筒形または略円筒形内面の一端における開口部の近位に位置付けられ、神経細胞の軸索は、神経細胞体の縁部における地点から内面の長さに沿って神経細胞体から遠位の地点へと延びる細胞質の長さを含み、細胞培養容器が、複数の神経細胞を含む場合、複数の軸索は、複数の細胞体(または神経細胞体)から延び、それにより、該複数の軸索は、内面の長さに沿って神経細胞体から遠位に成長することが可能な軸索の束を画定する。一部の実施形態において、神経細胞は、透過性ポリマー上及びその中で成長する。一部の実施形態において、電極のうちの1つまたは複数は、少なくとも1つの軸索の先端に、またはそれに近接して位置付けられ、電極のうちの1つまたは複数は、神経細胞のうちの1つまたは複数の長さにまたがる電位が確立されるように、神経細胞体に、またはそれに近接して位置付けられる。
【0141】
本開示の別の目的は、化学薬剤及び生物学的薬剤の薬理学的及び/または毒性学的特性のスクリーニングのために、神経学的機能の高スループットアッセイに培地を提供することである。一部の実施形態において、これらの薬剤は、本明細書に開示される任意の種類の細胞等の細胞、または臨床疾患を治療するために使用される抗体等の抗体である。一部の実施形態において、これらの薬剤は、ヒト疾患を治療するために使用される任意の薬物または薬剤であり、それにより、提案される哺乳動物治療である新たな薬剤及びヒト疾患からの既存の治療の間で毒性、効果、または神経変調を比較することができる。一部の実施形態において、ヒト疾患の治療のための新たな薬剤は、神経変性疾患のための治療であり、神経変性疾患のための既存の治療と比較される。非限定例として、多発性硬化症の場合、新たな薬剤(修飾された細胞、抗体、または小化学化合物)の効果は、コパキソン、レビフ、他のインターフェロン療法、タイサブリ、ジメチルフマル酸塩、フィンゴリモド、テリフルノミド、ミトキサントロン、プレドニゾン、チザニジン、バクロフェン等の、多発性硬化症のための既存の治療のその効果と比較対比されてもよい。
【0142】
本開示の別の目的は、神経細胞集合の電気生理学的刺激及び記録と併せて、二次元及び三次元の微小操作された神経束等の技術の固有のアセンブリを用いることである。
【0143】
本開示の別の目的は、複合活動電位(CAP)を臨床的に類似するメトリックとして使用して、現在の方法によって得られる結果よりも感受性が高く、予測的なヒト生理機能である結果を得る、神経生理学をインビトロで評価するための新規アプローチを提供することである。
【0144】
本開示の別の目的は、天然の解剖学的及び生理学的特徴を擬するものであり、かつ高スループット電気生理学的刺激及び記録方法を使用する評価に影響されやすい微小操作された神経組織を提供することである。
【0145】
本開示の別の目的は、ミエリンを傷つける疾患及び末梢神経障害の根底にある機序を複製、操作、修正、及び評価する方法を提供することである。
【0146】
本開示の別の目的は、化学薬剤及び生物学的薬剤の薬理学的及び/または毒性学的活性のスクリーニングのために、ヒト神経細胞における神経変調の高スループットアッセイに対する培地を可能にすることである。
【0147】
本開示の別の目的は、ヒト神経細胞集合の光刺激及び電気化学的刺激と併せて、2D及び3D微小操作された神経束等の技術の固有のアセンブリを用いることである。
【0148】
本開示の別の目的は、生物模倣型の操作された視床皮質回路において誘発されたシナプス後電位を定量化することである。神経路内の逆行的に生成された集合スパイクに関する我々の観察は、それらが、複合活動電位及びシナプス後電位の伝導等の集合レベルの生理機能が可能であることを示唆する。
【0149】
本開示の別の目的は、オプトジェネティクス法、照明のハードウェア及びソフトウェア制御、ならびに蛍光イメージングを用いて、神経回路内の誘発された電位に対するマルチユニット生理学的応答の非侵襲性刺激及び記録を可能にすることである。
【0150】
本開示の別の目的は、選択的5-HT再取り込み阻害薬(SSRI)及び第二世代抗精神病薬を試験する際に、微小操作された回路を使用して、それらが発達的成熟を変えるかどうかを見ることである。
【0151】
一実施形態において、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を使用する投影フォトリソグラフィを用いて、
図1に示されるように、ポリエチレングリコールジメタクリレート及びピュラマトリクスヒドロゲルの組み合わせをマイクロパターン化する。この方法は、従来の細胞培養材料の上に直接、1つ以上のヒドロゲルを急速にマイクロパターン化することを可能にする。フォトマスクがゲル材料と接触することはないため、複数のヒドロゲルは連続して急速に硬化することができ、大量のゲル構築物を、自動化なしに1時間以内で成型加工できるようにする。このアプローチは、神経突起成長を生物模倣型の成長伝導ゲル内で制約するように、ポリエチレングリコール(PEG)、機械的に頑強な細胞成長制限ゲルの使用を可能にする。一部の実施形態において、この成長伝導ゲルは、ピュラマトリクス、アガロース、またはメタクリレート化デキストランであってもよい。胎生後根神経節(DRG)外植片が、この制約された三次元環境内で成長するとき、軸索は、
図5及び
図6に示されるように、高密度及び束状化を有する神経節から成長する。軸索の大部分は、小径のミエリン形成されていない繊維として出現し、2~4週間で約1emの長さまで成長する。神経節から延びる密集した、高度に平行な三次元神経繊維路を有するこの培養モデルの構造は、末梢神経アーキテクチャに概ね類似する。その形態論は、神経形態計測を使用して評価されてもよく、伝統的な細胞アッセイには使用不可能な臨床的に類似する評価を可能にする。
【0152】
好ましい実施形態において、この培養モデルは、複合活動電位(CAP)から生じる電気的に誘発された集合フィールド電位を記録する能力を提供する。例示のトレースは、特徴的に均一な高速で短い待ち時間の集合スパイク応答を示し、これは、
図8Bに見られるように、依然として高周波(100Hz)刺激と一貫している。CAPは、
図8E及び8Fに示されるように、テトロドトキシン(TTX)によって可逆的に廃止され、薬物が適用され得ることを明示し、効果を有することが示される。
図8C及び8Dに見られるように、遠位路刺激と関連付けられる、発生までの遅延の測定可能な増加が存在する。応答は、神経伝達物質遮断剤に非感受性であり、誘発された応答が、主に、
図10に示されるシナプス電位以外のCAPであることを示す。胎生DRG培養物は、長年にわたって末梢神経生物学のモデルとして効果的に使用されてきた。モデルシステムとして極めて有用であるが、従来のDRG培養物は、伝統的な細胞生存性アッセイで評価されるとき、臨床毒性を予測するには不十分であることが知られている。単一細胞パッチクランプ記録をDRG培養物中で行うことは可能であるが、組織アーキテクチャの欠失に起因して、記録用CAPに関する報告はない。好ましい実施形態において、本開示は、臨床組織病理学及び神経伝導試験に類似して、組織形態計測及び集合電気生理学を評価する能力を提供する。
【0153】
いくつかの実施形態において、本開示は、ヒト神経細胞を使用して、三次元環境内で神経組織を成長させ、この環境において、神経細胞体は、まとめて束化され、軸索繊維路から別個の場所に位置し、天然の神経アーキテクチャを擬するものであり、CAPを含む形態計測的及び電気生理学的データの測定を可能にする。一部の実施形態において、本開示は、一次ヒト組織に由来する神経細胞及びグリア細胞を使用する。他の実施形態において、神経細胞及びグリア細胞は、人工多能性幹細胞を含む、ヒト幹細胞に由来してもよい。
【0154】
別の実施形態において、本開示は、毒性条件及び治療条件下における神経組織条件の機能的尺度として、伝導速度を使用する。ミエリン形成の程度、ミエリンの健康、軸索輸送、mRNA転写、及びニューロン損傷に関する情報は、電気生理学的解析から判定されてもよい。神経密度、ミエリン形成のパーセンテージ、及び神経繊維型の形態計測的解析と組み合わせて、関心対象の化合物に対する作用機序を判定することができる。一部の実施形態において、本明細書に開示されるデバイス、方法、及びシステムは、遺伝子変異及び薬物を組み込み、疾患現象を制御下で再現することができ、神経変性及び可能な治療療法に関するより良い理解につながる。
【0155】
以下の実施例は、本出願に開示される実施形態を作製し、使用する方法の非限定例であることを意味する。これらの実施例及び本明細書の本文に開示されるいかなる刊行物も、参照によりそれら全体が組み込まれる。
【実施例0156】
実施例1:ヒドロゲル構築物内の神経組織の成長及び生理学的評価(非予言的)
A.材料及び方法
ダイナミックマスク投影フォトリソグラフィ投影フォトリソグラフィを介して、ヒドロゲルマイクロパターンを形成した。USBコンピューターインターフェース(ALP3Basic)を有するDMD開発キット(Discovery(商標)3000、Texas Instruments,Dallas,TX)は、デジタル白黒画像をDMDアレイ上のマイクロミラーパターンに変換することによって、ダイナミックマスクとして機能し、個々のミラーは、反射の角度をそれぞれ+12°から-12°へと回転させることによって「オン」または「オフ」にすることができる。OmniCure 1000(EXFO,Quebec,Canada)Hg蒸気光源から320~500nmでフィルタリングされた紫外(UV)光を、調節可能なコリメーティングアダプター(EXPO)でコリメートし、DMDアレイの上に投影した。反射光を、開口数0.13の4倍Plan Fluor対物レンズ(Nikon Instruments,Melville,NY)を通じて投影し、
図1Aによって示されるように、光架橋性ヒドロゲル溶液の上に直接焦点を当てた。UV光源の虹彩を調節して、放射計(EXPO)で測定して、5.0ワット/cm2の照射出力を維持した。ヒドロゲル溶液を、約55秒間硬化させ、フリーラジカル連鎖反応を通じて架橋を誘導した。以前の報告とは異なり、この方法は、単一照射によりバルク全体で架橋を開始し、層ごとのアプローチの必要性をなくした。
【0157】
二重ヒドロゲル構築物の形成ダイナミックマスク投影フォトリソグラフィについて前述されるように、ヒドロゲル重合を行った。光架橋性溶液は、平均分子量(MW)1000Daを有するポリエチレングリコールジメタクリレート(PEG)(Polysciences,Warrington,PA)を、PBS、または0.5%(w/v)Irgacure 2959(1-2959)(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland)を光開始剤として含む成長培地のいずれかにおいて10%(w/v)に希釈することによって作製した。PEGの濃度及び分子量は、重合表面への細胞接着を最小限に抑え、かつヒドロゲル接着を最大化するように、以前に公開されたデータに基づいて選択された。マイクロパターン化されたPEG構築物は、3種類の透過性細胞培養インサート、ポリエステル、ポリカーボネート、及び直径24mmの膜及び0.411mの細孔を有するコラーゲンで被覆されたPTFE Transwell(登録商標)透過性支持体(Coming,Coming,NY)のうちの1つに直接架橋された。膜自体ではなく、培養インサートの内壁を、Rain-X(登録商標)(SO PUS Products,Houston,TX)で処理して、PEG溶液のメニスカス効果を低減した。各支持体を、リソグラフィ投影レンズの下に直接位置付けられる倒立顕微鏡のステージ上に配置した。架橋後に、支持体を濯ぎ、過剰な未架橋PEG溶液を除去したところ、マイクロパターン化されたPEGは、表面に付着したままであった。PEGゲルの水和は、即時に使用されない場合、緩衝生理食塩溶液(4℃)中で維持した。
【0158】
自己集合ペプチドゲル、ピュラマトリクス(BD Biosciences、Bedford,MA)を、使用前に脱イオン化H2O中で0.15%(w/v)に希釈し、神経突起増殖物実験に使用する場合、1μg/mLの可溶性ラミニン(Invitrogen,Carlsbad,CA)でプレゲル化補充した。この第2のゲルはまた、アガロース、ならびにメタクリル化版のヒアルロン酸、ヘパリン、及びデキストランで代用されてきた。ピュラマトリクスの濃度及びラミニンの添加の両方は、神経用途のための製造者の指示に従った。ピペットを使用し、この溶液を、マイクロパターン化されたPEGヒドロゲル内の空隙に慎重に添加した。PEGゲルを水和する塩溶液との接触が、ピュラマトリクスの自己集合を誘導し、これはPEG幾何学的形状内に限局されたままであった。ピュラマトリクスのゲル化は、37℃及び5% CO2でインキュベートすることによって維持した。
【0159】
組織採取及び培養実験動物の管理と使用に関するNIHガイドライン(NIH刊行物#85-23 改訂1985年)が観察された。胎生期15日目(E-15)の子を、時限妊娠ロングエバンスラット(Charles River,Wilmington,MA)から取り出し、ハンクス平衡塩類溶液に入れた。脊柱を胎児から単離し、そこから後根神経節(DRG)を採取し、神経成長因子(NGF)、10%ウシ胎仔血清(FBS)、及びペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)(Invitrogen)で補充されたNeurobasal培地に置いて接着を促進した。接着後、DRGをコラーゲンで被覆された細胞培養インサート上に置き、37℃及び5% CO2のインキュベータ内で、成長培地用のFBSの代わりにB-27及びL-グルタミンによって維持した。
【0160】
一次DRGニューロンは、トリプシン化及び粉砕に続いてフルオロデオキシウリジン及びウリジンを使用する支持細胞の後次除去によるDRGの解離を通じて得た(3日間の処理)。次いで、細胞を、製造者のプロトコルに従い、3×105細胞/mLの濃度でピュラマトリクス中に懸濁した。細胞懸濁液を、厚さ約480μmのヒドロゲルを得るために十分な量で、24ウェル細胞培養インサートまたは24ウェル組織培養プレート(Coming)のいずれかに添加し、成長培地の添加時に自己集合が開始された(n=4)。構築物を、細胞生存性を試験する前に約48時間インキュベートした。
【0161】
二重ヒドロゲル中の神経突起増殖物コラーゲンで被覆されたPTFE細胞培養インサートを、接着培地に終夜浸漬して膜を水和した。次いで、4つのDRGをインサートの表面に置き、培地を、FBSを含まない前述のような成長培地中500μLの10% PEGで置換する前に、約2時間接着させた。この量は、PEG構築物の厚さを変えるように調節することができる。DMDを可視光源で照明して、投影されたマスクと、接着された各DRGとの整列を助けた。次いで、可視光源をUV源で置き換え、PEGヒドロゲルは、組織外植片の周りで架橋した。DRGを含有するPEG構築物をPBSで3回洗浄して任意の未架橋PEG溶液を除去した。適用可能であるとき、修正されたピュラマトリクスを、PEGの内側の空隙に添加し、ピュラマトリクスの自己集合を誘導するために、1.5mLの成長培地をインサートの下に導入した。ピュラマトリクスなしと称される構築物は、ピュラマトリクスの添加がないことを除いて上記のように作製され、それにより、DRGをコラーゲンで被覆されたPTFE膜の二次元環境に制限する。構築物を、37℃及び5% CO2のインキュベータ内で7日間維持し、2日及び5日後に培地を変えた。
【0162】
構築物を調製し、形態学、生存性、神経突起増殖、及び格納について可視化した。PEG空隙上またはその外側で成長する神経突起が可視化されない場合、試料は、成長を含んでいたと見なした。これは、ピュラマトリクスが添加される場合及び添加されない場合の両方で個々のPEG構築物内で行い、上記の5つの異なるPEG高さに関して、各条件について12回の試行を試みた。試行は、不完全なPEG重合またはDRG接着の欠失の場合に破棄された。
【0163】
標本調製及び可視化生標本を、Live/Dead(登録商標)アッセイ(Invitrogen)を用いて、製造者の指示に従い、生存性について評価した。ピュラマトリクス中の細胞懸濁液の場合、広視野蛍光画像を、各ヒドロゲル標本の3つの異なる領域内で、ゲルの深度にわたって複数焦点面で捕捉した。次いで、標準偏差投影を、細胞培養インサート及び組織培養プレートの両方において、カルセインAM(生マーカー)及びエチジウムホモ二量体-1(死マーカー)を数えることによって細胞生存性について解析し、1条件当たり合計12個の試料を得た。免疫組織化学で評価された標本を、4%パラホルムアルデヒド中に約2時間固定した。細胞核を、製造者の指示に従い、DAPI核酸染色(Molecular Probes)で染色した。神経突起を、ニューロン特異的βIIIチューブリン一次抗体及びヤギ抗マウスIgG-H&L(CY2)二次抗体に対するマウスモノクローナル[2G10]を使用して染色し、MAP2一次抗体及びロバ抗ウサギIgG Dylight 594二次抗体(AbCam,Cambridge,MA)に対するウサギポリクローナルを使用して樹状突起染色を行った。各ステップは、0.1%サポニン及び2.0% BSAを含むPBS中で終夜行った後、0.1%サポニンを含むPBS中で3回洗浄した。明視野及び従来の蛍光画像を、蛍光キューブを備えるNikon AZ100立体ズーム顕微鏡(Nikon,Melville,NY)を用いて獲得し、一方で共焦点画像は、Zeiss LSM 510メタ顕微鏡(Zeiss,Oberkocken,Germany)を使用して獲得した。β-III標識された構造の平均深度を、共焦点画像から計算して、蛍光を含む最初の焦点面と最後の焦点面との間の距離を測定した(n=7)。共焦点画像スタックを3Dで可視化するために使用される、Image J(National Institutes of Health,Bethesda,MD)及びV3Dソフトウェア(Howard Hughes Medical Institute,Ashburn,VA)を用いて画像処理を行った。
【0164】
ゲルの深度にまたがる神経突起成長の割合を、手動で閾値化した共焦点スライスのピクセル数から定量化した。共焦点スライスを、総深度の10%増分でビニングし、ビニングされたスライスの測定された蛍光を、各z-スタックに関して測定された総計と比較して、構築物の深度全体の神経突起成長の割合を得た(n=3)。VolumeJプラグインを使用して、神経突起成長の深度をコード化したz-スタック投影を創出した。ピュラマトリクスを含有する構築物及びピュラマトリクスを含有しない構築物の両方について、3.0μm厚スライス(1024×1024×63)を用い、目に見える神経突起成長(186μm)の最大深度を通じて共焦点z-スタックを獲得した。スペクトル深度コード化LUTを有するZコードスタック機能を使用して色を加え、標準偏差z投影を使用してスタックをマージした。最後に、z-スタックを斑点除去して背景ノイズを除去した。低温走査電子顕微鏡(Cryo-SEM)を、流し込まれた液体窒素中で標本を冷凍し、Hitachi S4800電界放出SEM(Hitachi,Krefeld,Germany)及びGatan Alto 2500低温システム(Gatan,Warrendale,PA)を3kV及び-130℃で用いてイメージングを行った。
【0165】
後根神経節外植片の組み込み全ての動物取り扱い及び組織採取手順は、NIH(NIH刊行物#85-23 改訂1985年)によって設定されたガイドライン及びテュレーン大学の所内動物実験委員会(IACUC)の観察下で行った。神経外植片を、上記のように二重ヒドロゲル構築物に組み込んだ。手短に言えば、6ウェルのコラーゲンで被覆されたPTFE細胞培養インサートを、ペニシリン/ストレプトマイシン、神経成長因子(NGF)、10%ウシ胎仔血清(FBS)、及びL-グルタミン(Gibco-Invitrogen,Carlsbad,CA)で補充されたNeurobasal培地からなる接着培地に終夜浸漬した。ロングエバンスラットの胎生期15日目の子(Charles
River,Wilmington,MA)から単離された4つの後根神経節(DRG)を、水和した細胞培養インサート上に置き、接着培地中で約2時間、37℃及び5% CO2でインキュベートした接着させた。次いで、構築物重合のために、接着培地を、PBS中500μLの10% PEG/0.5% Irgacure 2959と置き換えた。
【0166】
PEG構築物の投影されたフォトマスクパターンは、可視光及び倒立顕微鏡を使用して接着されたDRGの周りに整列させた。UV光を使用して、上記のようにそのフォトマスクを55秒間投影し、DRGを、重合されたPEG構築物内に効果的に限局化した。組織培養物が生体安全性キャビネットの外側で費やす時間を最小限に保ち、汚染を防ぐのを助け、未架橋ヒドロゲル溶液を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco-Invitrogen,Carlsbad,CA)を含有するPBSで3回濯いで非重合PEG溶液を除去し、培養物の無菌状態を改善した。過剰なPBSを、PEGの内側のパターン化された空隙から除去し、ピュラマトリクスを、残りの空間に慎重にピペットで分注した。各々が生きたDRG外植片を有する、二重ヒドロゲル構築物を含有するインサートを、1.5mLの成長培地(NGF、ペニシリン/ストレプトマイシン、L-グルタミン、及びB27で補充されたNeurobasal培地、Gibco-Invitrogen,Carlsbad,CA)に即時に配置してピュラマトリクスの自己集合を開始し、37℃及び5% CO2で維持して、培地を約48時間ごとに変えた。7日後に実験を開始して、神経突起増殖及びニューロン成熟を許す。
【0167】
免疫細胞化学免疫組織化学で評価された標本を、4%パラホルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences,Hatfield,PA)中に約2時間、37℃で固定した。細胞核を、製造者の指示に従い(Molecular Probes,Eugene,OR)、DAPI核酸染色で染色した。神経突起は、モノクローナル[2G 10]ニューロン特異的β-IIIチューブリン一次抗体(1:200)を使用してタグ付けされ、続いてCy3.5複合ヤギ抗マウス免疫グロブリンG(H+L)二次抗体(1:100、Abeam,Cambridge,MA)で蛍光タグ付けされた。グリア細胞を、ウサギポリクローナルS100特異的一次抗体(1:500、Abeam,Cambridge,MA)及びCy2複合ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンG(H+L)二次抗体(1:100、Jackson ImmunoResearch Laboratories,Westgrove,PA)を使用して染色した。抗体タグ付けステップを、0.1%サポニン及び2%ウシ血清アルブミン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を含むPBS中で終夜4℃で行い、続いて0.1%サポニンを含むPBS中、室温で10分間の洗浄を3回行った。
【0168】
ミエリンについて染色された構築物の場合、神経突起は、マウスモノクローナル[2G
10]ニューロン特異的β-IIIチューブリン一次抗体(1:200)を使用してタグ付けされ、続いてCy2複合ヤギ抗マウス免疫グロブリンG(H&L)二次抗体(1:500、Abeam,Cambridge,MA)で蛍光タグ付けされた。ミエリンは、製造者の推奨する調製に従い、Fluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色(Molecular Probes,Eugene,OR)を使用して40分間染色した。
【0169】
蛍光顕微鏡及び画像処理明視野及び従来の蛍光画像を、1倍及び2倍対物レンズを使用するNikon AZ100立体ズーム顕微鏡(Nikon,Melville,NY)を用いて獲得し、一方で共焦点画像は、Leica TCS SP2レーザー走査顕微鏡及び20倍対物レンズ(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)を使用して撮影した。共焦点z-スタックを、55~65μmの範囲の厚さを有する、目に見える神経突起成長の最大深度を通じて獲得し、各512×512の、20枚のスライスにまたがって画像化された。画像処理は、ImageJ(National Institutes of Health,Bethesda,MA)を使用して行った。共焦点z-スタックにおける色コード化深度の場合、ImageJのMacBiophotonicsプラグインパッケージを使用して、Rainbow LUIを用いるZコードスタック機能が適用された。z-スタックの投影は、最大強度の投影として撮影された。V3D-ビューワーソフトウェア(Janelia Farm Research Campus,Howard Hughes Medical Institute,Ashburn,VA)は、3Dレンダリング及び共焦点z-スタック画像の可視化を可能にした。
【0170】
透過電子顕微鏡透過電子顕微鏡を使用して、神経培養物の形態学、空間分布、及びナノスケール特徴を定性的に評価した。インビトロで7日後に、構築物を4%パラホルムアルデヒド中に約2時間、37℃で固定し、PBSで10分間3回洗浄し、断片化して関心対象の区域を露出させた。1% OsO4を約1時間、及び2%酢酸ウラニルを約30分間使用する後固定を、制限された光設定で行い、その間に10分間のPBS洗浄を3回行った。試料を、エタノール(50、70、95、及び100%(2回)、それぞれ約30分)で脱水し、1:1プロピレンオキシド-スパー樹脂に約45分間、及び100%スパー樹脂に終夜埋め込んだ(低粘度埋め込みキット、Electron Microscopy Sciences,Hatfield,PA)。標本の重合は、70℃で24時間にわたって起こった。
【0171】
埋め込まれた試料をトリムし、Reichert Ultracut Sウルトラトーム(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)及びUltra 45°ダイアモンドナイフ(Diatome,Fort Washington,PA)を使用して80nm~100nmの異なる厚さにスライスした。スライスを、200メッシュを有するFormvarカーボンで被覆された銅グリッド上に配置し、2%酢酸ウラニル及び0.1%クエン酸鉛で染色した(それぞれ約20分)。試料を単一の傾斜したステージ上に載せ、FEI Tecnai G2 F30 Twin透過電子顕微鏡(FEI,Hillsboro,OR)を用いて、200kVの加速器電圧を使用して調べた。画像を、3,000倍~20,000倍の拡大で4000×4000ピクセル解像度で撮影した。試料調製に使用される全ての材料及び試薬は、Electron Microscopy Sciences(Hatfield,PA)から入手した。
【0172】
フィールド電位記録インビトロで7日後に、生DRG外植片を含有する二重ヒドロゲル構築物を、室温で保持された界面室に移し、124 NaCl、5 KCl、26 NaHCO3、1.23 NaHzPO4、4 MgSO4、2 CaClz、及び10グルコース(mM)で作製された重炭酸緩衝人工脳髄液(ACSF)によって潅流した。ACSFを95% Oz、5% COzで常時発泡させて一定の酸素化及びpHを維持した。構築物を、造影のために1%ブロモフェノールブルー(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)で染色し、SMZ 745立体顕微鏡(Nikon,Melville,NY)を使用して可視化した。薄壁化ホウケイ酸塩ガラスピペット(OD=1.5、ID=1.6、Warner Instruments,Hamden,CT)を、P-97 Flaming/Brownマイクロピペットプラー(Sutter Instrument Co.,Novato,CA)を使用して約3~約7MQの抵抗まで引き、ACSFで埋め戻した。
【0173】
図8Aに示されるように、記録用電極を、各神経節の付近の細胞神経細胞体の近くに置き、構築物を、同中心双極電極(CBARB75,FHC,Bowdoin,ME)により、神経突起路に沿って神経節から様々に異なる距離で刺激した。単離パルス刺激装置(モデル2100、A-M Systems,Sequim,WA)、PowerLab 26Tデジタイザー(AD Instruments,Colorado Springs,CO)、及びLabChartソフトウェア(AD Instruments,Colorado Springs,CO)と連結されたAxopatch-1C増幅器(Molecular Devices,Sunnyvale,CA) を、記録、刺激、及びデータ取得に使用した。記録を、5kHzでフィルタリングし、Tektronixオシロスコープ上に表示し、Igor Pro(WaveMetrics,Portland,OR)のカスタム書き込みルーチンを使用してオフラインで解析した。適切な場合、標準偏差を計算した。両側対検定を使用して統計値を計算し、p値<0.05を有意と見なした。全ての値は、平均値の標準誤差(SEM)としての誤差とともに報告される。
【0174】
20μM DNQX(6,7-ジニトロキノキサリン-2,3ジオン)及び50μM APV(2R)-アミノ-5-ホスホノペンタノエート)を使用して、シナプス活性を特定して遮断した。0.5μMテトロドトキシン(TTX)を、Na+チャネル活性の完全封鎖として使用した。実験溶液に使用される全ての薬物及び塩は、それぞれTocris(Minneapolis,MN)及びSigma-Aldrich(St.Louis,MO)から入手した。
【0175】
全細胞パッチクランプ記録インビトロで7日後に、構築物を水没記録室に室温で移し、20分間平衡させた。重炭酸緩衝ACSF溶液(mMで124 NaCl、5 KCl、26 NaHCO
3、1.23 NaH
2PO
4、1.5 MgCh、2 CaCh、及び10グルコースを含有する)を、95% 02、5% CO2で常時発泡させて一貫した酸素化及びpHを維持した。電圧クランプ記録の場合、ホウケイ酸塩ガラスピペットを、mMで120 CsMeSO3、1 NaCl、0.1 CaCh、2 ATP、0.3 GTP、10 HEPES、及び10 EGTAを含有する、セシウム置換された細胞内溶液で充填した。電流減衰記録の場合、ピペットを、mMで120 Kグルコン酸塩、1 KCl、10 Hepes、10 D-ソルビトール、1 MgCh*6H20、1 NaCl、1 CaCh、10 EGTA、2 ATPを含有するグルコン酸カリウム系内部溶液で充填した。ピペット抵抗は、約4~約7MQの範囲であった。直列アクセス抵抗は、約7~約15MQの範囲であり、一貫性について監視した。誘発された活動電位記録の場合、 同中心双極刺激電極(CBARC75,FHC,Bowdoin,ME)を、DRGの求心繊維内に置き、全細胞パッチを取得した後に、必要最小限の刺激、通常は<0.01mAを使用して活動電位を誘発した。記録用電極及び刺激電極の配置を、以下の
図10Aに示す。
【0176】
BX61 WI Olympus直立顕微鏡(Olympus,Center Valley,PA)を用いて、ライブ微分干渉コントラスト(DIC)イメージングとともに、DRGを可視化した。全細胞記録は、PC-505Bパッチクランプ増幅器(Warner Instruments,Harnden,CT)を用いて作製した。シグナルを、PowerLab 26Tデジタイザーを用いてデジタル化し、Lab Chart取得ソフトウェア(AD Instruments,Colorado Springs,CO)により収集した。シグナルを増幅させ、20kHzでサンプリングし、2kHzにフィルタリングし、Igor Pro(WaveMetrics,Portland,OR)のカスタム書き込みルーチンを使用して解析した。
【0177】
ラット神経節外植片及び電気生理学評価ラットE-15後根神経節外植片を、上記のダイナミックマスク投影リソグラフィ法によりマイクロパターン化された二重ヒドロゲル構築物内で培養した。神経構築物を、1週間または2週間にわたってインキュベートし、神経突起増殖を、ピュラマトリクスで充填した狭い路に限局化して、直径約200μm、厚さ約400μm、及び長さ最大約2mmを測定する。構築物を、重炭酸緩衝ACSF溶液で潅流された界面室に置き、電気生理学を、細胞外フィールド電位電極を用いて評価した。記録用電極を、各神経節の付近の細胞神経細胞体の近くに配置し、構築物を、双極電極により、神経突起路に沿って神経節から様々に異なる距離で刺激した。
【0178】
B.結果
二重ヒドロゲル中の神経突起増殖神経突起成長を制約するために必要なPEG厚さを、漸増する厚さを有する構築物内でDRG外植片を培養することによって調査した。このシステムがインビトロモデルとして確実に機能する能力が重要であるため、ここで格納を測定した。不偏重合は、しばしば厚さ233μmのPEGで起こり、使用不可能な構築物につながる。加えて、重合プロセス全体で、一部のDRGが膜の表面から離れることにより、解析のための試行回数が予想よりも少なくなる。ピュラマトリクスを含有する構築物の場合、表1に示されるように、ゲルの厚さが増加するにつれて、神経突起の格納の明らかな増加が見られた。233μmの厚さにおいて、どの構築物も神経突起の成長を制限しなかった。後次の高さ368、433、481、及び543μmの格納率は、10%、22.2%、63.6%、及び87.5%であった。全体として、より高い格納率が、ピュラマトリクスを欠失する構築物において見られた。神経突起は、両群においてある特定の厚さで傾斜するPEG壁にまたがって成長することができると思われるが、表1に列挙されるように、ピュラマトリクスを含まない構築物において、534μm以外の同様の高さでより効率的な格納、及びピュラマトリクスを含むPEGよりも低い高さでより効果的な格納が存在した。
【表1-1】
【0179】
空隙サイズ解像度及びパターン忠実性と、神経突起格納とを均衡させる試みにおいて、後次の神経突起成長実験は、平均PEG厚さ481μm(500μL溶液)を有する構築物内で実行された。5日後の細胞生存性に関して監視された構築物は、
図3Aに示されるように、圧倒的な量の生細胞を示し、極めて少量の死細胞がDRG自体に位置していた。7日目の固定及び染色後に、神経突起及び移行細胞は、図(Bに見られるように、β-IIIチューブリン及びDAPIでの二重標識化によって示唆される、PEGヒドロゲルの幾何学的形状によって制約された。神経突起増殖物は、一貫して頑強であり、全ての標識された構造は、
図1A~1E及び
図5A~5Dに示される、二重ヒドロゲルのピュラマトリクス部分の内側に集中していた。加えて、MAP2抗体標識化は、
図3Eに見られるように、構築物内の神経突起成長の大部分が樹状であると思われたことを示唆する。成長は、
図3Aに証明されるように、最初に2つのゲル間の境界に沿って起こると思われた。しかしながら、チャネルに沿って延びる神経突起の後ろで、成長は、これも
図3Aに示されるように、PEG間の内部空間を充填することが見られた。ピュラマトリクスの三次元バルク内の先頭神経突起成長の画像は、
図3Dに示されるように、ランダム方向に成長する傾向を示した。
【0180】
直接対比において、細胞培養インサートの表面に沿って成長する神経突起は、それ自体を斜めに配向し、
図3Fに示されるように、明らかにインサート膜の繊維に付き従う。増殖は、分岐点において広がり、明らかな優先方向を有しないことが観察された。相当量の分岐及び束状化が観察され、これは
図3Dに見られるように、成長の先頭縁部において特に明らかであった。約7日以内に、チャネルの長さ全体にわたって増殖が見られた。
図4B及び4Cに示されるように、ピュラマトリクスを含まない構築物において見られた明らかに未成熟の制限された成長と比較して、ピュラマトリクスで充填された構築物内では著しく多くの成長が観察された。共焦点イメージングは、
図7A~7Dに示されるように、神経突起成長が三次元で起こったことを確認した。β-III標識された構造の平均厚さは、ピュラマトリクスを含有する構築物内で159.8±23.9μmの厚であったが、ピュラマトリクスを含有しない構築物内の平均厚さは、85.4±38.6μmであり、この差異は、統計的に有意であることが見出され、
図11Aによって示される(p<0.005)。
【0181】
図4Dは、ピュラマトリクスを欠失する構築物内の成長の例を表し、成長は、密集しているように思われ、神経突起は、最大高さ54.0μmまで成長した。ピュラマトリクスを含まない構築物内の神経突起成長は、コラーゲンで被覆されたPTFEの膜に沿って成長することが可視化され、PEG自体では成長が起こらなかった。代替として、
図4Eは、二重ヒドロゲル構築物内の神経突起成長を明示し、顕著に低い神経突起の密集が観察され、個々の神経突起は、複数の焦点面においてピュラマトリクスを通じて成長し、最大高さ120.0μmに到達する。
図11Bは、総成長の7.3±2.9%及び4.9±1.3%のみが、底部及びスライスの上10%においてそれぞれ見られたため、神経突起成長が、ピュラマトリクスの膜または上面のいずれかに限局化されなかったことを更に明示した。神経突起とは異なり、DAPI染色は、移行細胞がピュラマトリクスへと移行するように影響を受けず、
図4Aに示されるように、支持表面の近くに限局化されたままであったことを示すが、以前の研究は、グリア細胞移行及び神経突起成長が、しばしば一緒に起こることを示唆する。
【0182】
三次元神経培養物の空間的及び形態学的特性本開示は、天然の求心末梢神経組織の細胞スケール及びマクロスケールアーキテクチャに近似する、インビトロ三次元神経培養物を開示する。三次元神経構築物は、ピュラマトリクスで充填されたパターン化空隙内の成長を許すPEG構築物によって含有される、細胞培養インサートの表面上で培養されたDRG組織外植片からなる。神経突起成長を神経節からx軸に沿って誘導する狭い路は、直径約490μm、厚さ最大約400μm、及び長さ約3mmと測定される。DRGニューロン、グリア、及び神経突起成長を含有する三次元二重ヒドロゲル構築物(インビトロで7日後)を
図12A~12Dに示す。
【0183】
神経突起及び支持グリア細胞は、PEGヒドロゲルの幾何学的形状によって効率的に制約された。抗β-IIIチューブリン、抗S100、及びDAPIとの同時標識化は、インビトロで7日後の増殖が、一貫して頑強であり、全ての標識化構造が、
図5A及び5Bに示されるように、構築物のピュラマトリクス部分内にあったことを確認した。グリア細胞を含む支持細胞の存在及び移行は、チャネルの長さの最大4分の3、
図5C及び5Dに示されるように、真っ直ぐなチャネルの開始部から測定して、神経節から約1.875mm離れたところにまで及ぶ。
【0184】
ピュラマトリクスの深度全体にわたる先頭神経突起成長は、チャネル内でランダムに起こり、
図6A~6Cに見られる、複数の焦点面に相当量の分岐及び束状化を有していた。逆に、ピュラマトリクスを枯渇したチャネル内の成長は、膜表面におけるインサートの繊維に沿って制限され、整列されるように思われる。画像における抗体標識化は、
図12Dに示されるように、チャネルの縁部に沿う、より密集した神経突起成長を示唆する。ミエリン形成がインビトロで14日後に始まることを示唆する文献と一貫して、三次元神経培養物は、
図12E及びFに示される、インビトロで7日目のFluoromyelin(商標)赤色蛍光ミエリン染色(Molecular Probes,Eugene,OR)での染色後のミエリンの不在を示した。共焦点イメージングは、β-IIIチューブリン陽性神経突起が、以前に明示されるように、チャネルの最初、中間、及び最後に三次元で起こったことを確認した。DAPI染色された核及びS100陽性グリア細胞は、
図6A~6Cに示されるように、z-スタック全体にわたって起こった。
【0185】
埋め込まれた生体試料に関する透過電子顕微鏡(TEM)のための試料調製プロトコルからの技法を使用して、後固定手順の数回の繰り返しを、認識できる構造を有するTEM画像を入手する前に、神経構築物に関して試行した。染色プロセスに対する追加の修正は、より明らかな可視化のためにより高い解像度を構造に提供することができる。TEMからの断面画像は、蛍光顕微鏡によって示される証拠を支持する。神経節内及び神経路内で撮影されたスライスは、
図7A及び7Bに見られるように、高密度の平行な、高度に束状化したミエリン形成されていない神経突起、
図7Dに見られるように、シュワン細胞の存在、及び
図7Cに見られるように、神経突起のシュワン細胞のカプセル化の始まりを示す。
【0186】
三次元構築物内のニューロンの電気生理学的特性三次元神経培養物の機能的特性を試験し、それが求心末梢神経組織の生理学的に活性かつ関連するモデルとして機能するかどうかを判定するために、細胞内及び細胞外電気生理学的実験を、インビトロで7日後に行った。急性齧歯類脳スライスにおける伝統的なフィールド電位記録から適応された技法を使用して、これらの構築物を、界面室上で研究し、細胞外記録のためのカスタムリグの使用を許す。各実験に対して、
図8Aに示されるように、記録用電極を、構築物の神経節または神経細胞体区域に配置し、チャネル内の刺激電極を、神経突起路に沿って挿入した。刺激に続いて、複合活動電位(CAP)は、神経細胞体区域へと逆行して伝播し、各構築物について、神経節内で結果として生じる細胞外電位変化として記録された(n=19)。三次元神経構築物は、1時間を超えるフィールド記録を支持し、刺激時のコヒーレント集合スパイクを一貫して示した。集合応答またはCAPの例示のトレースを
図8Bに示す。無傷の神経から記録された複合活動電位と同様に、応答は、発生までの短い待ち時間を一貫して呈し、続いて段階的性質を有する単一の凝集事象は、動員された軸索及び対応する細胞に対する各活動電位の効果の総和を表す。一貫した短い包絡線及び応答の発生の遅延もまたCAPに特徴的であり、活動電位によって純粋に駆動される高速事象を示唆する。神経刺激と同様に、より高い刺激強度を有するより多くの繊維が動員され、最大励起が起こるまで、より強い応答をもたらす。
【0187】
記録用電極と刺激電極との間の距離が拡大されたとき、
図8C及び8Dに示されるように、応答の発生までの遅延も増加し、幾何学的に限局化された核培養物が、その神経様路に沿って様々に異なる距離でシグナルを伝導する能力を確認する。平均として、応答は、真っ直ぐなチャネルの開始部から測定して、神経節区域から近位で、または1.5mm以内で刺激されたとき、0.82msの発生の遅延を示した。しかしながら、刺激電極を神経節から2.25mm動かしたとき、遠位刺激は、平均2.88msの発生の遅延をもたらし、これは近位刺激において観察されたもの[p=0.02、
図8D]から統計的に有意である(p<0.05)。蛍光顕微鏡において見られ、
図6A~6C及び
図12A及び12Bに示されるように、7日間のインビトロ成長は、神経突起がチャネルを完全に充填するのを可能にせず、遠位刺激において、29.46%の振幅減少が呈された。更に、Na+チャネル活性を阻害することによって、活動電位は、もはや刺激時に生成されなくなった。構築物からの応答は、0.5μM TTXの導入の2分以内に完全に廃止され得、応答の起源及び生物学的性質を確認する。TTX洗浄前及び後の応答は、
図8E及びFに示されるように、統計的に有意である(p=0.029、n=3)。
【0188】
応答が本質的にシナプス性であったかどうかを調査するために、グルタミン酸受容体阻害剤DNQX及びAPVを、それぞれ20及び50μMで導入して興奮性シナプス伝達を遮断した。実験を35分間継続し、単純参照のために毎分及びt1~t35と称される時点で記録を取った。薬物洗浄は、実験の5分後、t6で起こり、20分後または実験の25分後、t26で洗い出しが起こった。薬物洗浄前、t1~t5の応答を、10分間の薬物洗浄後、t16~t20に記録された応答と比較し、薬物が潅流し、効果を及ぼす十分な時間を許した。
図9A~9Cに示されるように、薬物の洗浄前及び洗浄後の応答振幅または期間に統計的有意差は観察されず、遮断する応答のシナプス構成要素がなかったことを示唆する。
【0189】
高周波トレインのパルスも誘導して、応答の特性を評価した。50Hzで20パルスが培養物に適用されたとき、集合スパイクは、一貫した発生の遅延、包絡線、及び振幅を維持し、シナプス入力により引き起こされる減退または促進なしに、強い応答が繰り返し発生可能であることを示唆する。高周波刺激前及び後の半ピークにおける応答振幅及び期間は、
図9D~9Fに示されるように、統計的に有意でなかった。
【0190】
細胞内記録も用いて、1時間超にわたって三次元神経構築物の内側の全細胞パッチクランプアクセスを可能にした。急性齧歯類脳スライスにおける全細胞パッチクランプから修正された技法は、電圧及び電流クランプ記録を可能にした。ピュラマトリクスゲルは、天然の脳組織よりも接着性であり、密集したDRG外植片は、結合組織を含有する。フィールド記録と同様に、これらの特徴は、電極の移動、置換、及び連続使用を困難にした。DRG内の細胞は、通常は異なる回折指標を有する特徴部によって取り囲まれる脳スライスにおいて、密集して集合し、コントラストが少なく、よりまばらに分散した細胞よりも可視化が困難であった。
図10A~10Fに示されるように、複数の焦点面における繰り返しの可視化、ゲルを通過する間の正の圧力、及び傾斜した電極アプローチ角を通じて、良好な全細胞パッチクランプ記録が可能であった。
【0191】
双極刺激電極を、
図10A及び10Bに示されるように、チャネル内の神経突起路に配置し、構築物の神経細胞体区域内の細胞から記録を取った。細胞は、
図10Cに示されるように、チャネル内の神経突起伸長から駆動される、電気的に誘発された活動電位を支持した。シナプス入力を欠失する応答に特徴的であるように、細胞内応答は、
図10Dに示されるように、ベースラインからピークまで平均2msの高速上昇時間を有し、明らかな非段階的発生を有していた。
図10Dに見られるように、応答の発生前の閾値につながる電位の上昇はなく、
図10Cに見られるように、応答に続く任意のより小さな段階的事象もなく、シナプス入力の証拠をもたらさなかった。更に、シナプス活性が応答の発生に寄与していた場合、活動電位の開始のための閾値は、過分極下で到達することが困難であろう。しかしながら、細胞は、静止膜電位(RMP)から-100mV(平均してRMPよりも1.95倍少ない)に過分極されたとき、依然として活動電位を支持することができ、RMPにおける場合と異ならない応答を示した。更に、シナプス活性化によって引き起こされる自発活性は、
図10E及び10Fに示されるように、電圧または電流クランプ下でのベースライン記録において観察されなかった。
【0192】
実施例2.ヒドロゲル構築物内のシュワン細胞による神経組織の成長及びミエリン形成及び脱ミエリン形成の評価(非予言的)
末梢神経系(PNS)内の良好な軸索再生は、ニューロン成長を選択された場所の方に適切に標的すること、及びシグナル伝播のための機能的シナプスを形成することに依存する。PNSに固有のシュワン細胞(SC)は、このプロセスにおいて主要な役割を果たす。SCは、ミエリン内の発達中の軸索に巻き付き、細胞外マトリクス(ECM)構成成分、細胞接着分子、及び神経栄養因子を生成する。これらの事象は、局所微小環境からの、SC-ニューロン、SC-SC、及びSC-ECM通信を含む、複雑なシグナルのネットワークに依存する。SC/ニューロン共培養物を格納する実験は、これらのプロセスに関する洞察をもたらし、神経系の病気に対する新たな臨床アプローチにつながる。
【0193】
一次ニューロン及びSCは、SC/ニューロンの組み込みに関与する機序を研究するために、二次元及び三次元システムにおいて以前に共培養されていた。SCが、発達中の軸索を、それらの所望の標的の方に配向することにおいて重要な役割を果たすことが明示され、次元数に関わらず、これらのモデルにおける機能的再神経支配につながる。しかしながら、形態学及び遺伝子発現等のSC/ニューロンの組み込みに関与する多くの特性は、システムアーキテクチャによって劇的に影響される。三次元システムは、ニューロン微小環境の構造及び機能のより正確な表示とともに、細胞-細胞及び細胞-ECM機序に関するより良い理解を提供する。静止電位、活動電位の伝播、及び電圧依存性チャネルの機能が、三次元モデルと比較して、二次元で有意に異なることが示された。三次元の生物模倣型神経系微小環境を用いることの重要性は明示されてきたが、共培養物中のSC/ニューロンの相互作用及びミエリン形成に対するそれらの影響を調査した研究はほとんどない。
【0194】
ここでは、所望の三次元ヒドロゲルをフォトパターン化する目的で、単純顕微鏡に組み込まれたデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を使用する、上記の安易かつ高速の技法を用いる。DMDは、構造的及び分子的三次元マイクロパターン化が可能である。このインビトロモデルは、固定されたまたは可溶性の化学生体分子、機械的キュー、及び薬物を独立して導入して、ニューロン挙動に対する各々の効果を評価する能力を有する、ECMの支持体及び三次元アーキテクチャを模倣する設定を提供する。このシステムは、より生物模倣型環境内でそれらを研究するために、1つの標本における三次元的に共培養の異なる細胞型にプラットフォームを提供する。このアプローチを使用して、機能化されたデキストランをフォトマイクロパターン化し、DRG及びSCを、それらの天然環境に近い条件で三次元共培養システムにカプセル化し、ミエリンの形成につながる要因を調査した。
【0195】
A.材料及び方法
二重ヒドロゲルシステムの成型加工二重ヒドロゲル培養システムは、上記のように、デジタル投影フォトリソグラフィを使用して成型加工した。このプロセスの概略は、
図13に見られる。簡潔に言えば、コリメートUV光源(320~500nmフィルターを有するOmniCure 1000、EXFO,Quebec,Canada)及び可視光源(375~650ランフィルターを有するSOLA光エンジン、Lumencor,OR,USA)、ダイナミックフォトマスクとしてのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)(Discovery(商標)3000,Texas Instruments,Dallas,TX)、及び2倍Plan Fluor対物レンズ(Nikon Instruments,Tokyo,Japan) で構成されたフォトリソグラフィ装置を用いて、0.4μm細孔サイズを有する透過性細胞培養インサートに格納された光硬化性ヒドロゲル溶液に照射した。インサートは、SC/ニューロンの組み込みに対するコラーゲン化された基板の影響を調査するために、コラーゲンで被覆されたPTFE Transwell(登録商標)透過性支持体またはTranswell(商標)クリアポリエステル膜インサート(Corning Inc.,Corning,NY,USA)のいずれかであった。二重ヒドロゲルシステムは、2つの区画、ニューロンを格納する細胞透過性区分、及びヒドロゲル金型として作用する細胞制限区分からなる。細胞制限区分を作製するために、
図13に示されるように、PBS中の10%(w/v)PEG-ジアクリレート(Mn 1000、Polysciences Inc.,Warrington,PA)及び0.5%(w/v)Irgacure 2959の溶液に、放射計(306 UV Powermeter、Optical Associates,San Jose,CA)により測定して、85mW/cm2 UV光を38秒間照射して、PEG微小金型を作製した。メニスカス挙動を回避するために、細胞培養インサートを、ゲル溶液の添加前にフィルタリングされたRain-X(登録商標)オリジナルガラス処理(RainX,Houston,TX)で処理した。0.5mLの溶液を、各6ウェルプレートインサートに添加した。0.5mL溶液の添加は、480μmのゲル厚さをもたらす。ヒドロゲル構築物を、1%抗生物質-抗真菌添加剤を含むDPBS中で洗浄して汚染を防いだ。
【0196】
デキストランの合成及び特徴付けならびにゲル構成物デキストラン(MW=70kDa)を、公開されたプロトコルに基づいて、グリシジルメタクリレート(GMA)によって移植した。最初に1gのデキストランを計量し、9mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に窒素下で添加した。0.2gの4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を、1mLのDMSOに溶解した。後次に、DMAP溶液をデキストラン溶液に滴下添加し、続いて232μLのGMAを窒素下で添加した。最終溶液を室温で48時間撹拌した。反応液を48時間後に急冷するために、280μLの37%塩酸(HCl)をこの溶液に添加し、結果として得られた産物を、脱イオン化水に対して約3日間透析し、約2日間凍結乾燥した。結果として得られた産物は、グリシジルメタクリレート-デキストラン(MeDex)であり、デキストランへのメタクリレート基の添加は、1H NMR[(D2O)δ6.1~5.7(m,2H,CH2)、δ5.2(m,1H,CH)、δ4.9(m,1H,CH)、δ1.9(s,3H,CH3))を使用し、置換度42%で確認された。MeDex 50%(w/v)、Arg 0.1%のMeDex(w/w)、RF0.001%のMeDex(w/w)、TEMED 0.2%の最終溶液(v/v)のゲル構成物を調製した。
【0197】
二重ヒドロゲルシステム内の一次組織培養物共培養の最初のステップとして、一次組織培養を行った。PEG構築物を調製し、接着培地に浸漬して、組織培養前に終夜インキュベートした(37℃、5% CO2)。接着培地は、B27(2% v/v)、L-グルタミン(0.25% v/v)、神経成長因子(NGF)(0.02μg/mL)、ウシ胎仔血清(FBS)(10% v/v)、及びペニシリン/ストレプトマイシン(1% v/v)(全てLife Technologies,CAから)で補充されたNeurobasal培地で構成された。次いで、構築物を、所内動物実験委員会のガイドラインに従い、ロングエバンスラット胎生後根神経節(DRG)組織で培養した。DRGを、胎生期15日目のラット胚から単離し、培養前にトリム処理した。単一のDRG外植片を、各構築物内に配置した。次いで、DRGを、新鮮な接着培地内で終夜インキュベートして組織をインサートに接着させた。
【0198】
シュワン細胞培養物新生ラット坐骨神経から単離されたSC細胞系(ScienCell Research Laboratories,CA)を購入した。>5×105細胞/mLを含む低温保存されたバイアルを、37℃の水浴で解凍した。次いで、このバイアルの内容物を、徐々に再懸濁し、平衡ポリ-L-リジンで被覆された培養容器に分注して、2:10,000細胞/cm2の播種密度で細胞付着を促進した。培養物は、少なくとも16時間後まで攪乱されなかった。残渣DMSO及び付着していない細胞を除去するために、最初に24時間後、その後1日おきに培養培地を変えた。培養培地は、FBS(5% v/v)、ペニシリン/ストレプトマイシン(1% v/v)、及びSC培地栄養補助剤(1% v/v)(全てScienCell Research Laboratories,CAから)を含むSC培地で構成された。培養物は、90%コンフルエンスに到達する度に継代培養し、第3継代後は使用しなかった。
【0199】
二重ヒドロゲルシステムにおけるSCカプセル化及び組み込みSCを、上記のようにSC培地中の50% MeDex溶液に分散させて20×106細胞/mLの細胞数に到達させた。均一に分散された単一細胞溶液を得るために、ゲル混合物を上下に激しく分注した。接着培地を、チャネルから静かに吸引して、接着されたDRGを攪乱するのを回避し、2μLのMeDex単一細胞溶液を各PEG微小金型に添加した。ネガフォトマスクを、DMD上に負荷し、チャネル内のゲル溶液を、可視光源(375~650nmフィルターを有するSOLA光エンジン、Lumencor,OR,USA)を使用する30秒の照射後に、放射計(306 UV Powermeter,Optical Associates,San Jose,CA)により測定して、85mW/cm2可視光で架橋した。上記の洗浄緩衝液を使用し、構築物を静かに3回洗浄した。
【0200】
3Dヒドロゲルシステム内のDRG/SC共培養のための培地レジメン三次元共培養物中のDRG及びSCの挙動に対する様々な培地レジメンの影響を理解するために、2つの異なる培養システムを適用した。培養システムを表2に記載する。培養システム1は、2つの相を有し、培地1(10日)及び2(15日)が、この順序で適用される。この培地レジメンは、成長及び神経突起伸長を促進するとともに、DRGバルクの内因性SCをミエリン形成プロセスに組み込むのを促進するために、以前に使用されていた。培養システム2は、ミエリンを誘導するために特殊化された培地2のみを適用する。各実験群の各標本に対して、培地を1日おきに変えた。
【表2】
【0201】
免疫組織化学神経突起成長及びミエリン形成を評価するために、免疫組織化学技法を用いた。最初に、組織を、4%のパラホルムアルデヒド(PFA)で2時間、37℃で固定し、続いて各染色手順の前に3回の洗浄ステップを行った。試薬の全ては、別途記載されない限り、AbCam(Cambridge,MA)から提供された。
【0202】
神経突起は、マウスモノクローナル[2G10]ニューロン特異的β-IIIチューブリン一次抗体及びCy3.5複合ヤギ抗マウス免疫グロブリンG(H+L)二次抗体(AbCam,Cambridge,MA)で標識化した。標識化ステップは、PBS中の2%ウシ血清アルブミン(BSA)及び0.1%サポニン中で終夜4℃で完了させ、ステップごとにPBSで3回の洗浄ステップが続いた。
【0203】
ミエリン形成を評価するために、構築物を3つのミエリンタンパク質、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、タンパク質ゼロ(PO)、及びミエリン関連糖タンパク質(MAG)を標識化した。一次抗体ニワトリポリクローナル抗ミエリン塩基性タンパク質、マウスモノクローナル抗ミエリン関連糖タンパク質、及びウサギポリクローナル抗ミエリンタンパク質ゼロを用いた。染料は、2% BSA/PBS溶液に1:500の濃度で希釈した。任意の非特異的タンパク質結合を回避するために、構築物を5%ヤギ血清に室温で30分間浸した。構築物は、一次抗体溶液中、4℃で終夜保管し、PBSで3回洗浄した。3回の洗浄サイクル後に、ヒドロゲルシステムを、二次抗体溶液中4℃でインキュベートした。二次溶液は、以下のように調製した。抗ニワトリIgY H&L、ヤギ抗マウスIgG H&L、及びヤギ抗ウサギIgGそれぞれの2% BSA溶液中の1:500抗体溶液。
【0204】
画像処理、神経突起成長、及びミエリン形成三次元ヒドロゲルへの成長の体積は、共焦点顕微鏡(Nikon AI,Tokyo,Japan)を用いて測定した。このモデルにおける、もつれて密集した神経突起のために、それが長さに沿って延びるとき、個々のニューロンの数を数えることは困難である。したがって、システムの成長を三次元で測定するために、二重ヒドロゲル培養システムにおける細胞塊の体積を取ることが最適である。各試料を、1試料当たり平均20枚のスライスを有する深度11μm以下の光スライスを用い、解像度1024×1024ピクセル、10倍対物レンズを用いて三次元で画像化した。閾値化及びバイナリ表示への変換を含む前処理ステップを、全ての画像に均一に適用した。ImageJ及びMatlab(Mathworks,Natick,MA)におけるカスタムアルゴリズムを使用して、データ解析を行った。神経突起成長は、ゲルの深度全体にわたって閾値スライスのピクセル数を使用して定量化した。25日後に、ミエリンは密集して分割され、深度全体にわたってミエリンの体積を評価するために、同じ画像処理手順を用いた。このプロセスは、培養物の三次元性質を考慮して、深度全体にわたる体積の測定を可能にする。構築物のサイズが大き過ぎて一度に画像化することができないため、上記の両方のイメージングプロセスに対して、大画像z-スタックを撮影した(1×5)。証明写真のために、試料を、1試料当たり平均20枚のスライスを有する深度11μm以下の光スライスを用い、解像度1024×1024ピクセル、20倍対物レンズを用いて三次元で画像化した。総成長の二次元画像を形成するために、最大投影取得を使用した。成長の体積についても同じ手順を用い、成長及びミエリン形成が深度全体にわたって起こることを確認するために、三次元体積取得を使用した。
【0205】
透過電子顕微鏡TEMを用いて、神経突起のナノスケール構造、SC、ならびにヒドロゲル培養物中のそれらの空間クロストーク、分布、及び形態学を調査した。この手順に使用された試薬の全ては、別途記載されない限り、Electron Microscopy Sciences(Hatfield,PA)から提供された。ヒドロゲル構築物を、37℃で約2時間、4% PFA溶液に沈めた後に固定した。次いで、これらの試料を15分間隔で3回、PBSで洗浄した。後固定ステップは、100mMの酢酸リン酸中の1%四酸化オスミウム(OsO4)で約2時間染色することに続いて、PBSによる4回の洗浄ステップを含んでいた。次いで、組織を、2%水性酢酸ウラニルで約30分間、室温、暗所で染色した。この手順の後に脱水ステップが続き、試料を50%及び70%エタノールに各々10分間浸し、次いで95%エタノールに終夜浸すことを含む。次いで、試料を、100%エタノールに浸し、これを分子篩、4Å(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)で2回の30分間隔で濾過した。関心対象の区域のみを維持するように、構築物を切断した後、樹脂の埋め込みを行った。浸潤ステップを、1:1プロピレンオキシド-スパー樹脂を使用して45分間行った。次いで、樹脂重合を完了させるために、試料を100%スパー樹脂に70℃で約48時間埋め込んだ。
【0206】
埋め込まれた試料をトリムし、Reichert Ultracut Sウルトラトーム(Leica Microsystems,Buffalo Grove,IL)及びUltra 45°ダイアモンドナイフ(Diatome,Fort Washington,PA)を使用して80nm~100nmの様々に異なる厚さにスライスした。これらのスライスを銅グリッド(Formvarカーボンで被覆された、200メッシュ)上に載せ、グリッドを2%酢酸ウラニルの液滴上に約20分間浮遊させて、1分間隔で3回、脱イオン化された水滴上に浮遊させることによって濯いだ。グリッドを単一の傾斜したステージ上に載せた後、FEI Tecnai G2 F30 Twin透過電子顕微鏡(FEI,Hillsboro,OR)を、100~200kVの加速器電圧で使用して、それらを画像化した。行数は、3,000倍~20,000倍の拡大で4000×4000ピクセル解像度で取った。
【0207】
B.結果
三次元二重ヒドロゲルシステム及びDRG/SC共培養本開示は、共培養用途に対する二重ヒドロゲルプラットフォームの使用を調査するための三次元モデル、及びDMDをダイナミックフォトリソグラフィツールとして使用する三次元ヒドロゲルシステムを提供する。このモデルを用いて、ニューロン増殖に対する、反発性及び誘引性生体分子を含む、機械的刺激及び化学的キューのインビトロでの影響を調査した。このモデルは、ECMの三次元構造を擬し、ニューロン微小環境をより正確に翻訳する。このシステムが単一培養物中で2つの細胞型を取り扱う能力、及び細胞挙動を調査する能力を評価した。SC及びニューロンを共培養して、それらの天然環境に近い条件でミエリン形成プロセスを調べた。このモデルは、三次元のSC-ニューロン共培養の結果として、ミエリン形成を可能にする。二重ヒドロゲルシステムのための方法論を
図13に示す。
【0208】
三次元共培養物中の神経突起成長に対するコラーゲンの影響コラーゲン被覆を有するか、または有しない透過性インサート内で形成されたヒドロゲル内の三次元培養物の形成を明示した。両方の培養物中の成長は、頑強であり、束状化して、整列していた。この特性は、成長がチャネル内に配向されるため、このシステムを以前に開発されたインビトロモデルから区別する。成長は、25日後に高度に密集するが、大部分は三次元ヒドロゲルシステムの細胞透過性区分に格納される。β-IIIチューブリン陽性ニューロンフィラメントを
図17A、
図18A、及び
図19Aに示す。コラーゲンを含まない培養物と比較して、コラーゲンを含む培養物中のニューロン増殖の体積は有意に高い(n=15~18構築物)。成長の量は、2つの培地レジメン間で大幅に異なっていなかった。
【0209】
二重ヒドロゲルシステムにおける三次元共培養モデルにおけるミエリンの発達本開示の共培養システムは、三次元のミエリン形成を促進する。ミエリンの形成を証明するために、免疫組織化学及びTEMを用いた。培養物を3つの抗体、MBP、MAG、及びPOで染色した。構築物は、MAG、MBlP、及びPOについて陽性であり、コンパクト及び非コンパクトミエリンの形成を確認する。
図17B及び
図18Bの両方は、β-IIIチューブリンが染色されたニューロフィラメントを示し、マージされた画像は、軸索伸長に沿ってMBP及びPOセグメントの形成を確認し、
図17Bは、MBP陽性の成熟ミエリン鞘を示し、
図18Bは、PO陽性の成熟ミエリン鞘を示す。
【0210】
上記のように、全ての画像は、z-スタック取得を通じて撮影された。共焦点イメージングは、神経突起成長がチャネル全体にわたって三次元で起こったことを確認した。これらの構築物の成長及びミエリン形成の深度は、88±15μmであった。TEM画像は、
図20A~20Fに見られるように、ミエリン形成を確認した。神経路内で取られたスライスは、高密度の平行な、高度に束状化かつミエリン形成された神経突起、シュワン細胞の存在、及び神経突起のシュワン細胞のカプセル化を示す。ミエリンセグメントは、TEM画像において一貫して特定され、コンパクトミエリン形成を確認した。これらの見出は、この三次元インビトロモデルにより、SCが神経突起の周りに成熟したミエリン層を形成できるようにすることを明示する。
【0211】
三次元ミエリン形成に対するアスコルビン酸(AA)の効果2つの培地レジメンを培養物に使用した。NCol-25及びCol-25の場合、AAを含有する25日目の培地は、ミエリンの量の大幅な増加をもたらした。ミエリンの量は、ニューロン成長の量に関わらず、培養物がミエリン鞘を形成する能力を明示する。ミエリン対ニューロン成長の比を測定したところ、構築物内のミエリンの割合が、AAへの曝露が長くなるにつれて増加することを示す。これは、MBP、MAG、及びPOの3つの免疫組織化学抗体の染色を通じて確認され、従ってこれがコンパクト及び非コンパクトミエリンの両方に対して正確であることを明示する。
【0212】
ミエリン発達に対するコラーゲンの影響コンパクト及び非コンパクトミエリン発達に対するコラーゲンI及びIIIの影響をシステム内で評価した。ミエリンタンパク質は、
図17A~17C、
図18A~18C、及び
図19A~19Cに示されるように、同様の傾向に従っていた。コラーゲンの添加は、システム内のミエリン形成の量を増加させた。ミエリン対神経突起成長の比は、Col-15及びNCol-25に関して同様であった。これは、NCol-25と比較して増加したCol-15中のミエリンの量が、ニューロン成長の量の増加に起因することを明示する。発達中のミエリンにおける2つのシステムの効率は、AA曝露に依存する。
図16A及び16Bは、コラーゲンがニューロン成長を劇的に増加させることを示す。NCol-15は、コラーゲンの不在下において、AAへの曝露が短い場合に、最小のミエリンが形成することを示す。
【0213】
C.考察
ミエリン鞘は、軸索を取り囲み、神経系の静電容量を低減する、多重膜らせん構造を有する特殊化された細胞膜である。十分にミエリン形成された神経は、細胞外環境に曝露されるランビエ節として知られる小さな周期的間隙を除いて、ミエリン鞘によって完全に取り囲まれる。ミエリンは、コンパクト及び非コンパクトの2つの形態で存在する。コンパクトミエリン超構造は、細胞質ならびに細胞外空間を欠失するが、2つの血漿膜を格納する、らせん状細胞鞘からなる。非コンパクトミエリンは、ミエリンのチャネル様セグメントであり、非凝集であり、シュミット・ランテルマン切痕、ミエリン層における周期的中断、及び傍絞輪部区域で形成される。
【0214】
コンパクトミエリン及び非コンパクトミエリンは各々が、CNS及びPNSコンパクトミエリンの必須構成成分である、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)等の様々なタンパク質を含有する。MBPは、ミエリン鞘の細胞質表面上に位置し、著しく帯電している。PNSにおける別の重要なミエリンタンパク質は、POであり、これは、細胞接着に影響を及ぼし、PNSコンパクトミエリンの主要密集線を維持し、コンパクトミエリン構築物間の空間を保持することにおいて重要な役割を果たす、膜貫通糖タンパク質である。非コンパクトミエリンの主要構成成分のうちの1つは、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)であり、これは、ミエリンの外層上に存在しないが、内層に存在する。軸索と接触して、それをコンパクトミエリンに結合する。これら3つのタンパク質は、ミエリンの形成及び保守に必須であり、培養物中のミエリンを検出するために広く用いられてきた。
【0215】
一次組織源または細胞系のいずれかに由来するSC及びニューロンの共培養システムは、天然のPNS及び複雑なミエリンアーキテクチャの事象を正確に描写することができる。PC12細胞系及びSCは、運動ニューロン疾患を研究するために、運動ニューロン/SC共培養モデルを確立する目的で以前に使用された。感覚ニューロン及びSCのインビトロモデルは、ミエリン形成の背後にある機序を理解するために、以前に使用された。DRGは、十分に研究され、PNSにおけるミエリン形成プロセスを評価するためにニューロン/SC共培養物の発達を用いる強力なインビトロモデルとして認識されているため、多くの以前の研究は、DRGを用いる。
【0216】
これらの以前のインビトロ共培養モデルは、大半が二次元細胞培養物及び三次元組織スライスにおいて行われてきた。ニューロン/SC共培養物の組み込み、及び三次元培養物中のミエリン形成に対するそれらの影響を調査する研究はほとんど存在しない。
【0217】
ニューロン/SC共培養物におけるミエリン形成を研究するために三次元生物模倣型ポリマーモデルを設計するために、フォトマイクロパターン化設定を用いた。フォトパターン化は、三次元の生物模倣型ニューロン微小環境の適切な翻訳を可能にするため、フォトパターン化は、神経系を研究するために使用されてきた。この研究に用いられたダイナミックマスク投影フォトリソグラフィ装置は、マイクロパターン化されたヒドロゲルを生成する目的で、容易な成型加工技法を提供した。これらのヒドロゲルは、神経再生実験の基礎を提供する、透過性細胞培養インサート上で創出された。
【0218】
これらの構築物を生成するために、DMDデバイスを用いてダイナミックフォトマスクを創出した。このマスクを、照射されたPEG溶液とともに使用して、DRGが最初に接着される金型を創出し、これに続いて光硬化性単一細胞MeDex溶液を添加した。ネガティブダイナミックフォトマスクを用いて、SCを三次元でカプセル化し、それらをDRGと統合した。短い(30秒)曝露長を有する可視光を用いることは、細胞傷害性を減少させるために、ヒドロゲル形成及び細胞のカプセル化に最も実践的であるため、これらの手順をこの設計に用いた。このモデルは、長期(25日)インビトロプラットフォームを提供し、三次元環境におけるニューロンの生存、それらの延伸、及びそれらのミエリン形成を保証する。
【0219】
これらのモデルは、表2に記載される2つの異なる細胞培養培地を使用した。培地1は、十分に特性化された因子で構成され、DRG及びSCの成長を支持することが知られている。この培地は、BSAを含み、SCの移行を支持することが示された。しかしながら、このシステムは、ミエリン形成を促進するために特殊化されていない。培地2は、アスコルビン酸と併せてFBSを含有し、これは、二次元培養物中のミエリン形成を促進することが明示された。ニューロンの存在下でのSCの以前の研究は、それらが、基底膜及びコラーゲンフィブリルを有する完全なECMをインビトロで創出することができることを示す。SC/DRG共培養物は、アスコルビン酸がSCを促進し、それらが基底膜を形成するのを可能にすることによってミエリンを生成し得ることを示した。培地2はまた、ITS(インスリン、トランスフェリン、及びセレニウム)を含有し、ラット細胞系におけるミエリン形成を促進することが示された。
【0220】
ラミニンは、ニューロン/SC共培養物において、ミエリン形成に必須であることが明示されたため、全ての実験群に用いた。インビボでのラミニンの不在は、マウス及びヒトの両方において末梢神経障害につながることが示された。ラミニンが不足している突然変異マウスは、神経内膜基底膜の崩壊を有することになり、後次に神経伝導速度を低減する。
【0221】
本明細書に開示されるシステムはまた、コラーゲンで被覆された基板の使用を通じてこの三次元モデルにおけるニューロン成長に対するコラーゲンの存在の効果を調べる。I型及びIII型コラーゲンをこれらの研究に用いた。III型コラーゲンは、シュワン細胞、Gpr56上の接着g-タンパク質に結合された受容体に結合して活性化し、これがGpr125の活性化につながり、ミエリン形成を開始することができる。I型及びIII型コラーゲンは、神経内膜の重要な構成成分であり、これは末梢神経及びミエリンを支持して取り囲む密集した組織の最外層である。
【0222】
神経細胞が三次元モデルにおいてミエリンを形成する能力を調査するために、2つの異なる培地の影響及びコラーゲンの影響を評価した。4つの培養システムは、コラーゲンの存在、及び共培養物が曝露された培地レジメンによって区別される。2つの培地レジメンを用いた。1つのレジメンは、培地1を10日間含み、次いで培地2を15日間含み(培養システム1)、第2のレジメンでは、細胞を培地2のみに25日間曝露した(培養システム2)。表3は、これらの群を説明する。ミエリン形成が外因性SCによって影響されたかどうかを判定するために、上記実験を、二重ヒドロゲルシステムへのカプセル化されたSCの添加なしに、全ての他の変数を一定に保持しながら行った。
【表3】
【0223】
ミエリンの形成は、免疫組織化学及び共焦点イメージングを使用して確認し、TEMによって更に検証した。20倍拡大の二次元画像は、
図15に示されるように、MBP/β-IIIチューブリン陽性培養物においてニューロン突出部に巻き付くミエリンセグメントの形成を示す。コンパクト及び非コンパクトミエリンの形成に起因してMBP及びMAGの両方が染色されたミエリンの三次元発達を、
図16A及び16Bに示す。TEM画像はまた、
図20A~20Dに示されるように、実験群の全てにおいて成熟したミエリン層の発生及び存在量を確認した。ミエリン層の拡大画像を
図20Fに示す。
図20Eは、培養25日後に、SCが、神経突起のうちの多くの周りにミエリン鞘を形成し、一部のSCが、神経繊維の周りの細胞質層を取り巻き始めていたことを示す。この画像は、ミエリンの量が著しいことと、培養物が、三次元の長期薬物評価を含む長期研究に用いられ得ることを明示する。
図20A~20Fはまた、高密度の、整列され、高度に束状化された培養物中のニューロンを示す。
【0224】
行われた第1の解析の組は、
図14に記載されるように、三次元の4つの培養システムの各々において、ニューロン成長を定量化した。コラーゲン及びそれらの受容体が神経突起増殖を促進することは十分に確立されている。本明細書に提示されるデータは、コラーゲンが存在する2つのシステムにおいて、著しく多いニューロン成長が存在することを明示する。しかしながら、用いられた培地レジメンに起因する、成長への著しい影響は存在せず、包含されるシステムにおいて25日後の神経突起伸長の量にほとんど影響しなかったことを明示する。
【0225】
ミエリンの量は、2つの異なるアプローチによって測定された。第1のアプローチは、ミエリン形成を独立変数として見ることであり、システム内のニューロン発達の量に関わらず、ミエリン形成の総量を綿密に調べることであった。第2のアプローチは、ミエリン対神経突起伸長の比を計算し、ミエリン発達の量を正規化することであった。これは、ミエリン形成の効率に関する理解を提供し、ミエリン鞘が周りに巻き付いたニューロン突出部のパーセンテージを説明する。MBP、MAG、及びPOの染色を用いて、4つの実験群によって生成されたミエリンの量を調査した。
【0226】
図17Cは、培養システム内で形成されたミエリンのパーセンテージを説明する。MBP抗体をこれらのデータに用いた。4つの試料は全て、培養の25日後にMBPについて陽性であったが、群間に有意差があった。MBPは、コンパクトミエリン内に存在するタンパク質であり、培養物中のその発現は、成熟したミエリン鞘のコンパクト化された膜セグメントの形成を実証する。AA曝露が増加されるとき、増加したミエリン形成がこれらのシステム内で起こる。これらの結果は、通常の二次元培養物または組織区分よりも密接に神経系の環境を擬する三次元インビトロモデルにおいて得られた。データは、ミエリン形成培地に25日間曝露されたとき、これらのシステムにおけるミエリン対ニューロン増殖の比が著しく増加したことを示す。培地レジメンは、培養物が、同じ曝露長にわたってコラーゲンの存在下にあるとき、増加したミエリン形成をもたらす。
【0227】
これらのデータに基づいて、コラーゲンの存在及びより長いAA曝露の2つの因子は、これらの培養物において役割を果たす。これらの因子(NCol-15)の両方を欠失する構築物は、最小にミエリン形成される。培養物に対するミエリン対ニューロン成長のパーセンテージは、同じAA曝露が、生成されたニューロンの数に関わらず、同様の効果を有していたことを示した。しかしながら、
図17Bは、両方の因子が、実験(Col-25)において存在するとき、相乗性応答が観察され、ミエリン規模の著しい増加をもたらすことを示す。z-スタック面の最大突出部は、これらのデータを支持するために含まれる。
【0228】
外因性SCがミエリン形成を著しく変えることを確認するために、追加のSCのない対照群を用いた。
図17Cにおけるデータは、全ての実験群が、その対応する対照に対してミエリン形成の著しい増加を有していたことを示し、外因性SCがシステムに大きな影響を及ぼしていたことを明示する。これらの結果は、コラーゲンが、対照群におけるミエリン形成を著しく増加させるが、AA曝露期間は、それよりも影響が少ないことを示す。
【0229】
ミエリン形成は、POタンパク質抗体を使用して三次元培養物中で測定した。PNSミエリンにおける総タンパク質の70%は、POからなり、このタンパク質の欠失は、非コンパクトミエリンの欠失を実証する。PO発現対β-IIIチューブリン陽性ニューロフィラメントの比を評価した。
図18Cに示される結果は、NCol-15が、全ての培養物からの最小量のPOを提示する。PO発現のパーセンテージは、AAの存在下で25日間の培養物において大幅に高く、これは、Col-25群においてMBPの最大発現を示す、MBP染色からの結果と一致する。これは、PO及びMBPの両方がPNSにおけるコンパクトミエリンの特徴的タンパク質であるが、異なる役割を有するため興味深い。POは、ECM及びミエリン膜の細胞質空間の両方の組織化された再発を保持するが、MBPは、細胞質融合において役割を果たす。この値は、NCol-25群と同等であり、培地2の25日後の培養物の効率が、コラーゲンが培養物中に存在するかどうかに関わらず同じであったことを示す。
【0230】
図18Bは、POで標識された培養物中のミエリンの量を示す。Col-25は、ニューロン成長の量に関わらず、最大量のコンパクトミエリンPO発達を示す。これらの結果は、培養物中のコラーゲンを有する試料が、より多くのニューロンにつながり、より大量のミエリンをもたらす。2つのコラーゲンを含有する試料間で、AAの曝露は、POの発生量を増加させる。これは、
図18Cに示されるように、ミエリン対ニューロフィラメントの量の比を計算することによって、コラーゲンを含有する試料中のミエリン値の量を正規化した後も維持される。これらの画像は、POの量が、コラーゲンを含まない構築物、NCol-15構築物、及びNCol-25構築物において劇的に減少したことを明示する。ニューロン成長の体積も減少し、結果として、コンパクトミエリン形成のパーセンテージは、Col-15からいかなる有意偏差も示さなかった。このような長期の三次元構築物において、培養物が25日間AAに曝露された後にPOを発現したコンパクトミエリンのパーセンテージは、AAの存在下で15日間コラーゲンを含む培養物中でPOを発現するコンパクトミエリンのパーセンテージとは実質的に異ならない。AAは、二次元培養物のための血清含有培地におけるミエリン形成に必須である。AA曝露の期間は、ミエリンの形成の効率において重要な役割を果たす。コラーゲンI及びIIIは、ニューロン成長を支持し、ミエリン形成プロセスを開始するのを助けることができる。このシステムにおけるコラーゲンの存在は、ニューロンの三次元伸長を増加させ、結果として三次元設定におけるミエリン形成の量を増加させる。
【0231】
ミエリンの異なる尺度は、非コンパクトミエリンに豊富に含まれるタンパク質である、MAGである。ラットDRG/SC共培養物が三次元構築物内でミエリンを形成する能力は、MAG免疫染色によって評価された。構築物の全ては、MAG陽性であり、PO及びMBPと同じパターンに従っていた。高レベルのミエリン合成は、PO及びMBPと同様に、MAGの共焦点顕微鏡解析によって明示された。MAGは、非コンパクトミエリンに特徴的なシュミット・ランテルマン切痕及び傍絞輪部を示す。非コンパクトミエリンの量は、ニューロン成長の量に関わらず、コラーゲンの存在下でより長くAA曝露したCol-25群において高かった。AAは、システムが基底膜を形成するのを助け、ミエリン形成を促進する。MAG標識された構造のパーセンテージは、AAへの同じ曝露を有する培養物(Col-25及びN-Col25)間で実質的に異ならない。しかしながら、成長の量は、コラーゲンがシステムに添加されない場合、大幅に減少する。
【0232】
本開示は、SC及びニューロンの組み込みを可能にする、新規の三次元インビトロ共培養モデルを開示する。三次元設定を提供した容易な高スループットフォトリソグラフィ方法を用いて、制御された微小環境下でニューロン現象を再現し、高度に解像された時空間的精度を有する機械的及び化学的キューを導入した。ここで、データは、この共培養設定が、整列され、高度に束状化されたニューロン成長を提供し、ミエリン鞘がそれらに沿ってきれいに巻かれていたことを明示する。ミエリン形成は、免疫組織化学及びTEMを通じて確認された。2つの培養システムを使用し、ニューロン成長及びミエリン形成に対するコラーゲンの影響を調査した。このプラットフォームは、薬物の発見及び評価に有用なデバイス、方法、及びシステムを提供する。
【0233】
実施例3.モデルの較正及び実行可能性(非予言的及び予言的)
薬物開発パイプラインは、大部分が開発の前臨床段階で特定されない毒性に起因する、許容されない減少率に悩まされる。化学療法薬は、特に、広範囲の癌に対して有効であるが、一般に用量限定的な全身毒性と関連付けられる。多くの場合、末梢神経系は、これらの有害作用の矛先となり、かかる毒性は、しばしば動物研究において最初に特定されだけであるか、または臨床治験まで見過ごされる。化学療法により誘導される末梢神経障害(CIPN)は、癌治療の一般的な副作用であり、多くの患者は用量レジメンの変更を強いられ、深刻な神経毒性損傷に起因して治療を全て中止しなければならない患者もいる。細胞モデルにおける末梢神経毒性のための薬物候補をスクリーニングする能力は、費用と時間のかかる動物研究を経る前に、企業が有望なリード化合物を特定するのを助けることによって、薬物発見プロセスを加速させるであろう。
【0234】
「オルガノイド・オン・チップ」技術は、ヒト生理機能または病理の予測的な情報を供給する限り、後期薬物開発に有用な培地スループット及びハイコンテンツデータを提供することができる、最新の細胞モデルとして極めて有望である。多くの委託研究機関は、かかるアッセイを様々な臓器システムに提供することに商業的成功を見た。しかしながら、末梢神経・オン・チップアッセイの開発は遅れている。一般に使用される末梢神経培養調製物は、一部に、それらが通常はアポトーシスまたは神経突起の延伸を測定可能なエンドポイントとして用いるが、成体末梢神経は、完全に成長しており、アポトーシスに耐えることが知られているため、臨床毒性に関して予測的でない。組織生検の神経伝導試験及び組織形態学は、神経障害の最も臨床的に関連のある尺度である。それにもかかわらず、かかるメトリックスを提供する培養モデルは現在存在しない。
【0235】
マイクロパターン化されたヒドロゲル構築物内で後根神経節を培養して、末梢神経解剖学に類似する3D配列に軸索成長を制約することによって、新規の感覚神経・オン・チップモデルを開発した。更に、複合活動電位(cAP)から生じる電気的に誘発された集合フィールド電位は、これらのモデルシステムにおいて再現可能に記録され得る。これらの早期結果は、臨床試験のものに類似する形態学的及び生理学的測定値に従う、微小操作された神経組織を使用することの実行可能性を明示する。我々は、化学療法により誘導された神経毒性が、臨床神経障害を擬するように、これらの測定値に現れると仮定する。この提案の目標は、複合活動電位波形を末梢神経毒性の尺度としてインビトロで使用することの実行可能性を明示することである。このために、既知の末梢神経毒性を有する化学療法薬を適用し、cAPの変化を測定し、形態学的変化と比較するとともに、臨床病理生理学を記録する。以下の特定の目的が、この目標を達成するのを可能にするであろう。
【0236】
目的1:重要な形態学的メトリックスを定量化し、複合活動電位(cAP)メトリックスと相関させることによって神経・オン・チップモデルを較正する。
・共焦点及び透過電子顕微鏡を使用し、インビトロで4週間にわたって、路に沿う3つの長さでの、細胞体サイズ及び密度、ならびに神経突起密度、直径、及びミエリン形成された神経突起の%を定量化する。
・4週間にわたって、誘発された集合活動電位応答の一貫性を判定する。
・cAP波形を形態計測的パラメータと相関させてベースライン構造-機能の関係を判定する。
【0237】
目的2:臨床神経障害を引き起こすことが知られている4つの化学療法薬の急性適用によって誘導された毒性を測定するために、cAP波形を使用することの実行可能性を明示する。
・パイロット研究における神経・オン・チップモデルに適切なオキサリプラチン、パクリタキセル、ビンクリスチン、及びボルテゾミブの投薬量及びインキュベーション時間を判定する。
・パイロット研究において判定されたエンドポイントにおける薬物投与後の、cAP伝導速度、振幅、待ち時間、及び積分を測定する。
・形態計測的変化を定量化し、cAP波形の変化との相関を判定する。
【0238】
発見から臨床使用に進むにつれて実験薬物の現在の減少率は、許容できないほど高く、単一薬物を市販するために最大26億ドルの費用がかかることが広く認識されている(DiMasiら 2014)。薬物開発中に発見されない用量限定的毒性は、市販後の退薬の第2の主な原因であると推定され、これらの後期欠陥は、一般に、薬物候補の毒性に関する信頼できるスクリーニング方法がないことと関連付けられる(Kola&Landis 2004、Li 2004、Schusterら 2005)。これにも関わらず、インビトロ-インビボ相関(IVIVC)に関するFDAからの最近のガイドラインは、薬物溶解とバイオアベイラビリティとの間の関係を強調し(Emami 2006)、インビトロでの毒性試験を用いて臨床毒性を相関させるために定義されたIVIVCガイドラインは存在しない。細胞ベースの毒性スクリーニングアッセイが、より毒性の低いリード化合物を企業が特定するのを助けるが、残念ながら臨床毒性学に関する確実に予測的なインビトロアッセイはなく、差し迫って必要であることは明らかである(Astashkina&Grainger 2014)。
【0239】
化学療法薬は、それらの性質が正に細胞毒性であるため、特別なクラスの薬物である。したがって、毒性副作用は避けられず、臨床的に耐えられる全身毒性のレベルが薬物投薬量を制限する。神経系は、特に有害作用に弱く、血液学的毒性に次いで発生率の高い、化学療法と関連付けられる神経毒性を有する(Malik&Stillman 2008、Windebank&Grisold 2008)。末梢神経は、恐らく保護的血液-脳障壁の外側にあること及びそれらの細胞体から遠くに到達する非常に長い軸索を有することに起因して、特に影響を受けやすい。化学療法により誘導される末梢神経障害(CIPN)は、治療を受けている患者の30~40%において起こることが推定され、感覚神経は、一貫して運動神経より深刻に影響を受ける(Windebank&Grisold 2008)。症状は、四肢の慢性疼痛から疼き、感覚または関節位置感覚の欠如、及び運動障害に及ぶ。国立癌研究所は、最も用量限定的な副作用、及び患者が投薬量を低減することを選ぶか、または治療を完全に停止する最も一般的な理由のうちの1つとしてCIPNを特定した(Moya del Pino 2010)。場合によっては、症状は治療の中止後に解消するが、多くの場合、CIPNは、部分的に可逆的であるにすぎず、一部の症状は永久的に残る。容易に治療され得る血液学的毒性とは異なり、CIPNの標準治療臨床治療は現在存在しない(Windebank&Grisold 2008)。
【0240】
末梢神経毒性に最大の危険性を投じることが知られている化学療法薬のクラスは、白金誘導体;ビンカアルカロイド、タキサン、及びエポチロンを含むチューブリン結合化合物;プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ;ならびにサリドマイドである。これらの薬物は、6つの最も一般的な悪性腫瘍の標準治療でもある(Argyriouら 2012、Cavaletti&Marmiroli 2010、Wangら 2012)。報告された一連の症状につながる正確な神経毒性分子機序は様々に異なり、一部の症例では依然として明らかでない。一般に、白金化合物は、DNAに結合し、アポトーシスを引き起こすが、抗チューブリンは、軸索輸送を含むチューブリンダイナミクスを妨害し(Malik&Stillman 2008)、ボルテゾミブは、mRNA転写及び神経節内の処理を妨害すると考えられ、サリドマイドの機序は不明であるが、脈管構造及び/または炎症性細胞との相互作用を伴い得る(Argyriouら 2012)。CIPNの特定の提示及び重症度は、神経伝導試験及び/または皮膚もしくは神経生検によって最も客観的かつ確実に診断され得る(Dyck&Thomas 2005)。これらの測定値は、現在、動物及びヒトにおける安全性試験からのみ入手可能である。そのため、大半の製薬企業は、末梢神経毒性が、開発の後期における障害の最も可能性のある原因のうちの1つであるにもかかわらず、単に、リード化学物の特定後まで末梢神経毒性に対して具体的にスクリーニングしていない。
【0241】
3D「オルガノイド・オン・チップ」モデルの使用は、薬物開発及び毒性スクリーニングに適した予測的細胞ベースアッセイを開発するための最高の望みとして承認を得ている(Ghaemmaghamiら 2012、Kimlinら 2013)。しかしながら、かかるモデルシステムが、毒性経路を特定するために評価され得る臓器生理機能の機能的側面を真に要約するモデルに対する従来の細胞生存性アッセイの3D版を超えることが重要である(Astashkina&Grainger 2014)。かかる生理学的アセスメントは、長距離にわたる生体電気的伝導が、間違いなく最も関連のある生理学的エンドポイントであり得る末梢神経組織には特に困難である。この理由から、末梢神経の三次元組織モデルは、可溶性検体が適切なメトリックスとして機能する、上皮、代謝性、及び腫瘍組織のモデルに遅れを取っている。臨床的に関連する毒性メトリックスを利用する神経・オン・チップモデルは、末梢神経毒性に起因する後期障害の可能性の低い有望なリード化合物の選択を可能にすることによって、前臨床薬物開発に極めて貴重になるであろう。更に、かかるモデルによって提供されるハイコンテンツ情報は、毒性の可能な機序についての洞察を提供することによって調査的毒性学にとって貴重となり、したがって再配合を誘導するであろう。我々のモデルシステムの実行可能性を明示することによって、我々は、末梢神経毒性に関する予測的スクリーニングにおける先市場的技術によって、商業的先駆者としての位置付けを堅持すると期待する。
【0242】
1つ以上のヒドロゲルを従来の細胞培養材料に直接急速にマイクロパターン化するためのデジタル投影リソグラフィの単純だが固有の方法を開発した(Curleyら 2011、Curley&Moore 2011)。我々の単純かつ急速なアプローチは、2つのゲル、制限的金型としてのポリエチレングリコール(PEG)、及び許容マトリクスとしての架橋メタクリル化ヘパリン(Me-Hep(以前はピュラマトリクスを使用した)を使用する。これらの二重ゲルは、特定の3D幾何学的形状内で胎生後根神経節(DRG)外植片からの神経突起の成長を効果的に制約し、高密度及び束状化を有する軸索成長をもたらす。ミエリン誘導培地内で培養されたとき、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)に陽性の膨大なミエリン染色を観察し、特徴的ならせん構造がTEM画像から明らかである、コンパクトミエリンを示す。神経節から延びる密集した、高度に平行なミエリン形成された3D神経繊維路を有する、この培養モデルの固有の構造は、末梢神経アーキテクチャに対応し、神経形態計測を使用して評価されてもよく、伝統的な細胞アッセイには使用不可能な臨床的に類似するアセスメントを可能にする。複合活動電位(cAP)から生じる電気的に誘発された集合フィールド電位を記録する能力は、我々の神経・オン・チップ培養モデルに対して最も固有である。トレースは、特徴的な均一の短い待ち時間の集合応答を示し、これは高周波(100Hz)刺激でも一貫したままであり、遠位路刺激(
図21A及び21B)と関連付けられる待ち時間の測定可能な増加を示し、テトロドトキシン(TTX)によって可逆的に廃止することができ、応答は、神経伝達物質遮断剤に非感受性であり、シナプス電位ではなくcAPを示す(Huvalら 2015)。予備的証拠は、高レベルのグルコース(60mM)が、中度のグルコースレベル(20mM)と比較して、増加した待ち時間とともに著しく低減したcAP振幅をもたらすことを示す(
図22A~22C)。予備的証拠は、0.1μMパクリタキセル(PTX)の急性(48時間)投与が、増加した待ち時間とともに著しく低減したcAP振幅をもたらす(
図23A~23C)。この濃度は、我々のモデルにおける著しい測定可能なcAP変化と比較して、従来のDRG培養物において以前に50%の細胞死をもたらしており、毒性の潜在的に情報量の多いメトリックを示唆する。胎生DRG培養物は、長年にわたって末梢神経生物学のモデルとして効果的に使用されてきた(Melli&Hoke 2009)。モデルシステムとして有用であるが、従来のDRG培養物は、伝統的な細胞死アッセイで評価されるとき、臨床毒性を予測するには不十分であることが知られている。単一細胞記録は、DRGから入手することができるが、組織アーキテクチャの欠失のために、我々は記録用cAPに関する報告を認識していない。我々のモデルシステムを革新的にするものは、臨床組織病理学及び神経伝導試験に類似して、組織形態計測及び集合電気生理学を評価する固有の能力である。
【0243】
このプロジェクトの目的は、ある特定の末梢的に神経毒性の化学療法薬が、臨床メトリックスに類似する形態学的及び生理学的尺度を使用して定量化され得る、微小操作された神経組織内で毒性を誘導するであろうことを明示することである。我々は、最初にモデルシステムを較正してベースライン変動制を判定し、構造-機能関係を特徴付けることによってこの目的にアプローチする。次いで、複合活動電位(cAP)波形を、神経毒性の前臨床アッセイとして使用する技術的メリットを明示するために、臨床神経障害を引き起こすことが知られている特定の化学療法薬の急性適用によって誘導された変化を定量化する。
【0244】
目的1 理論的根拠及び正当化:神経細胞生存性の伝統的なアッセイは、神経毒性に関する前臨床スクリーニングとして有用であると証明されていない。胎生後根神経節(DRG)ニューロンが、成熟した神経細胞よりもはるかにアポトーシスの影響を受けやすいことは十分に知られているため、これは驚くことではない(Koleら 2013)。DRG神経突起増殖のアッセイは、毒性に関する早期高スループットスクリーニングとして関連が高い場合がある(Melli&Hoke 2009)。しかしながら、潜在的な神経障害性症状を区別し、リード化合物の選択を通知するために有用なハイコンテンツアッセイは依然として理解し難い。3Dで培養された神経細胞は、2D培養物と比較して、より生物模倣的、形態学的、及び電気生理学的挙動を呈することが示されている(Desaiら 2006、Ironsら 2008、Laiら 2012、Paivalainenら 2008)。したがって、3D培養物における機能的測定値は、それらが臨床的に関連する臓器生理機能に相当する限り、かかるハイコンテンツ解析のための最も有望な候補であり得る。神経伝導試験は、症状が完全に現れる前でも臨床神経病理学の種類及び重症度を予測できることが示された(Velascoら 2014)。我々は、インビトロ設定において類似する電気生理学的メトリックを提案し、結果を解釈するために、最初にベースライン測定値を確立し、構造-機能相関を判定する必要がある。
【0245】
目的1 研究設計:ミエリン形成された、ならびにミエリン形成されていない神経組織構築物は、刊行された研究に改善を行って成型加工される(Curley&Moore 2011、Huvalら 2015)。二重ヒドロゲル構築物は、コラーゲン及びラミニンで補充されたMe-Hepゲルで充填されたPEGゲル微小金型から成型加工される。神経突起成長構築物は、幅約400μm及び長さ最大5mmに成型加工される。後根神経節(DRG)は、胎生期15日(E15)ラット胚から切除された脊髄の胸部レベルから採取され、二重ヒドロゲル構築物の延髄区域内に組み込まれる。ミエリン形成された組織構築物を、ITS栄養補助剤及び0.2% BSAを含むイーグル基底培地内で10日間培養して、シュワン細胞移行及び神経突起増殖を促進し、続いて追加で15% FBS及び50μg/mLのアスコルビン酸で補充された同じ培地内で更に最大4週間培養して、ミエリン形成を誘導する(Eshedら 2005)。ミエリン形成されていない構築物は、アスコルビン酸を欠失する以外は同じ培地レジメン(増殖誘導に続いてミエリン誘導)で培養することによって形成される。アスコルビン酸を含むミエリン誘導培地内で少なくとも2週間の培養は、コンパクトミエリンの実質的な形成に必要である。様々な成熟段階での組織形態学を評価するために、各々約12個のミエリン形成された、及びミエリン形成されていない組織構築物を、ミエリン形成誘導培地内で1、2、3、及び4週間目(またはインビトロで計17、24、31、及び38日、DIV)に4%パラホルムアルデヒド中に固定し、核(Hoechst)、神経突起(βIII-チューブリン)、シュワン細胞(S-100)、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、及びアポトーシス(アネキシン-V及びTUNEL)を染色する。DRG内の区域において、神経節の近位で、繊維路の中間点付近で、及び神経節に遠位の繊維路内で、共焦点顕微鏡により試料を画像化し、正確な距離は、各郡における平均最大神経突起伸長に比例する。共焦点イメージングの後に、試料を、2%四酸化オスミウム中に後固定し、脱水し、エポキシ樹脂に埋め込む。約10の極薄断面を、それぞれ画定された区域(すなわち、神経節、近位、中間点、遠位)において各試料から切り取り、TEMイメージングのためにクエン酸鉛及び酢酸ウラニルで染色する。
【0246】
生理学的解析は、前述のとおり行う(Huvalら 2015)。ミエリン形成された構造物及びミエリン形成されていない構築物の両方を培養物から除去し、人工脳髄液(aCSF)で潅流されたフィールド記録リグ上に配置する。
図24に示されるように、フィールド電位電極を、DRG外植片の神経細胞体区域内に配置し、双極刺激電極を、神経節の近位の距離に、その中間点付近に、及びその遠位において、深さ約300μmまでチャネルに挿入し、距離は、形態計測によって通知される。各刺激位置での各標本に対して、特徴的に速い(<5ms)、短い待ち時間、負の偏向電位が記録されるまで、刺激強度を増加させる。各刺激位置からのDRGスパイク記録は、17、24、31、及び38DIVにおいて約5~10個の標本から採取される。これらの同じ標本を、電気生理学的記録の直ぐ後に固定し、共焦点及びTEM解析のために処理する。
【0247】
形態学的解析は、
図24に要約されるように評価する。細胞体の密度及び直径分布を、神経節内で測定する。神経繊維路において、測定値は、軸索の密度及び直径分布、ミエリンを有する軸索の%、ならびにミエリン鞘の厚さ分布を含む。この解析は、形態学的変動性及び生理機能との相関に関する重要な定量的メトリックスを提供する。生理学的メトリックスもまた、
図24に要約される。cAPは、路の長さに沿って3つの時点で記録され、測定値は、cAP振幅の分布(及びピークの数)、包絡線(幅)、積分(曲線下面積)、及び(待ち時間からの)伝導速度を含む。記録された構築物の形態測定パラメータを、より大きな形態測定データのプールと比較して、それらが予想される変動性の範囲内であることを保証する。統計的相互相関を行い、どの形態学的測定値が、生理学的尺度と最良に相関するかを判定する(Manoliら 2014)。加えて、これらの実験は、目的2のための適切な試料サイズを判定するために統計的パワー解析に使用される変動性の尺度を提供し、それらを使用して、除外基準を定義し、例えば、平均から2標準偏差大きい/小さい神経突起成長を有する試料が除外される。
【0248】
目的1 予想される結果:記録されたcAP波形は、形態学的観察を反映すると仮定する。例えば、我々の予備的データは、培養の2週間後に、ヒドロゲルチャネル内の神経突起成長が、遠位よりも神経節の近位ではるかに密集していたことを示唆する(
図21A及び21B)。したがって、近位に刺激された場合及び遠位に刺激された場合、記録されたcAPは、より大きな振幅及び積分を示した。cAPの待ち時間は、遠位に刺激する場合、伝導時間を反映して、より長いと予想された。計算された伝導速度は、約0.5m/sであり、これは主に小径のミエリン形成されていない軸索を含む構築物において予想どおり遅い。
【0249】
提案される実験において、cAP伝導速度がミエリン形成%及び/または軸索直径と相関することを見ると予想するが、cAP振幅は、刺激位置における軸索密度と相関するはずである。我々はまた、ピークの数、包絡線、及び積分を観察することによって更なる相関を求め、形態学的メトリックスを用いて相関解析を行う。
【0250】
目的1 電位問題及び代替戦略:予備的見出は、この目的で提案される研究の技術的実行可能性を強く明示する。最も可能性の高い予期される落とし穴は、より多くの培養物を測定するにつれて、形態学的及び/または生理学的変動性が、多くの強い相関について高すぎて特定できない可能性があることを見出し得ることである。これが起こる場合、必要に応じて試料サイズを増加させ、及び/または最も強い相関を表すそれらのメトリックスに対する努力に集中する。培養条件を洗練させ、例えば、定義された培地を使用するか、または複数の動物からプールされた解離細胞を使用することによって、変動性を低減させるように試みることもできる。
【0251】
目的2 理論的根拠及び正当化:最も深刻な神経毒性が記録された最も一般的に投与される化学療法薬は、白金誘導体;ビンカアルカロイド、タキサン、及びエポチロンを含むチューブリン結合化合物;プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ;ならびにサリドマイドである(Argyriouら 2012、Cavaletti&Marmiroli 2010)。これらの薬剤の全ては、運動ニューロンまたは交感神経ニューロンよりも感覚ニューロンに対してより毒性であると思われるが、それらは各々が、
図25に要約されるように、神経の異なる部分を標的とし、臨床的に測定可能な組織学的及び生理学的変化の異なる組につながる。毒性に関するハイコンテンツの機能アッセイは、これらの化合物と関連付けられるインビボ効果の範囲を検出することができるはずである。管理可能な範囲を可能にするために、我々は、実験をオキサリプラチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、及びボルテゾミブに制限する。この一覧は、エポチロンを除いて各ファミリーの1つの化合物を含むため、サリドマイドを除いてタキサンと同様にチューブリンに結合するため、他の細胞型及びサイトカインとの相互作用を伴う可能性があるため、適切に多様な範囲の応答を保証する(Argyriouら 2012)。我々は更に、実験を、インビトロで神経毒性であることが確認された神経毒性用量の急性適用に制限する。慢性の低用量投与は、今後の詳細な研究のために保留する。
【0252】
4つの化学療法に対する形態学的及び生理学的応答を定量化することによって、cAPを毒性の尺度として使用することの実行可能性を明示することを提案する。提案される実験は、神経伝導試験ならびに臨床組織学に直接類似するアセスメントを用いるモデルを確立するように設計される。分子機序的研究は、この提案の範囲を超えるが、マイクロパターン化された培養物の疑似3D性質は、従来の細胞及び分子アッセイに適している。
【0253】
目的2 研究設計:最初に小パイロット研究を行い、有効用量の使用を保証する。急性適用(48時間)後にインビトロで統計的に有意な神経細胞死を誘導することが証明された用量から開始し、形態学的及び生理学的変化が、当モデルにおいてこれらの濃度で測定可能であることを証明する。全体的な実験設計を、
図26に要約する。DRG外植片(n=20)を、ミエリン形成誘導レジメンに従い、マイクロパターン化されたゲル内で(目的1に記載されるように)培養する。完全にミエリン形成された構築物を生成するために目的1から特定された時点において、十分な神経突起成長(Cell Tracker Green)及びミエリン形成(FluoroMyelin Red)に関して標本をチェックし、この時点で十分な神経突起成長及び/またはミエリン形成のない標本は、実験から除外する。健康な組織構築物の電気生理学的記録を取り、表4に要約されるように、翌日に神経毒性濃度の4つの薬物を48時間急激に適用する。対照は、薬物を含まないビヒクルを受ける。電気生理学を、48時間の投与期間の最後に外植片の半分(n=10)に対して行い、残りの半分には投与期間の7日後に行った。全ての標本を、最終記録の直ぐ後に固定し、染色し、
図24に要約されるように評価する。加えて、定量的観察は、神経細胞体及び軸索損傷、例えば、クロマチン凝縮、小疱形成、及び軸索分裂からなる。
【表1-2】
【0254】
このパイロット研究の結果を使用して、用量投与の妥当性を評価し、用量を完全研究(下記)に必要とされるように調節する。またパイロット研究結果を使用して、最も強く相関する形態学的及び生理学的尺度を判定し、統計的パワー解析を行って、それらの尺度における約10%の差異を検出するために必要とされる試料サイズを推定する。より大規模の研究において、急性薬物投与後のインビトロでの形態学的及び生理学的変化が、文献に報告されるように、インビボ神経障害と密接に相似すると仮定する。この実験の目的は、神経・オン・チップモデルにおける薬物の各々に関する定量可能な神経毒性サインを分類することである。フルスケールの実験設計は、
図26に示されるように、パイロット研究を反映するが、4つの薬物(オキサリプラチン、ビンクリスチン、パクリタキセル、ボルテゾミブ)全ての試料サイズ及び用量は、パイロット研究から決定される任意の変化を反映する。
【0255】
目的2 予想される結果:各薬物の急性投与は、ベースラインに対してcAPの変化を測定することによって検出され得る毒性を誘導すると仮定する。これらの変化の大部分は、我々の形態計測的解析によって定量化される、任意の形態学的損傷と相関すると予想する。例えば、
図25を参照すると、チューブリン結合薬ビンクリスチン及びパクリタキセルを用いる場合、減少した軸索直径及び密度によって測定されるように、軸索萎縮を見ると予想し、これは、cAP振幅の減少を伴うと予想する。ミエリン厚さ及びミエリン形成された軸索の%の減少も見ることができ、これらは、cAP伝導速度の減少を伴い得る。オキサリプラチンを用いる場合、より高いレベルのアポトーシスを見るが、より少ない軸索萎縮及びミエリン損傷を見ると予想する。したがって、cAP振幅は、Na+チャネルに対するオキサリプラチンの効果に起因して依然として減少し得るが、ミエリン毒性なしに伝導速度の減少をたびたび見るとは予想しない。我々は、生理学的及び形態学的変化が、神経伝導試験及び組織形態計測によって測定されるように、記録された臨床病理に類似すると更に予想する。
【0256】
目的2 電位問題及び代替戦略:試験される4つの化合物の神経毒性は、既にインビトロで観察されたが、生物学的効果は、3D調製物によって予測不可能に影響され得る。予想される形態学的及び生理学的病理の種類は、パイロット研究において出現しないか、またはそうでなければ細胞死が機能的尺度を圧倒することが可能である。その場合、用量を増加/減少させる、及び/または慢性適用(7日)に切り替えることができる。別の妥当なシナリオは、神経障害が明らかになるが、定量的尺度も様々に異なるため、10%の検出可能な差異を非実用的にする。その場合、実用的であるように、20%~30%の検出可能な差異を検出する、より大規模の研究を設計する。
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【0257】
実施例4:網膜外植片モデル(非予言的)
後根神経節モデルに関する研究及び実験データを本開示に提示する。中枢神経系モデルの場合、網膜外植片の成長も探索されてきた。
図27A~27Bは、網膜(CNS)組織の培養物を示す。胎生ラットからの網膜外植片を、毛様体神経栄養因子CNTF(
図23A)または脳由来の神経栄養因子BDNF(
図23B)のいずれかで補充された「neurobasal Sato」培地中の3Dマイクロパターン化ヒドロゲル内で培養した。β-IIIチューブリンで染色された、観察可能な網膜神経節細胞軸索の伸長を、培養の1週間後に可視化した。
【0258】
実施例5:視床皮質モデル(予言的)
本発明の一実施形態は、生物模倣型の操作された視床皮質回路内で誘発されたシナプス後電位を定量化する。DLPリソグラフィを使用して、厚さ約500μmの10%ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG)の微小金型を硬化させる。これらの金型は、幅約200μm及び長さ約1mmの路によって分離された直径約500μmの2つの貯留槽を含む。視床及び皮質ニューロンは、E18ラット胚から単離され、トリプシン/パパインで解離され、一般手順を使用してペレット状にする。ピュラマトリクスゲル中の濃縮された細胞懸濁液(約5E6細胞/mL)は、10%スクロース溶液にペレットを再懸濁すること、及び等量の0.3%ピュラマトリクス及び10%スクロースと組み合わせることによって形成される。それぞれの視床及び皮質細胞懸濁液を、マイクロピペットによって各金型内の個々の貯留槽に入れ、細胞を含まないピュラマトリクスをそれらの間の空間に入れる。マイクロパターン化された共培養構築物を、最長2週間にわたって培養し、回路を自発的に形成させる。約3日間隔で、構築物を固定し、回路の生成に必要な時間経過を判定するために、細胞核(DAPI)、神経突起(β3-チューブリン)、樹状突起(MAP2)、及びシナプス(シナプシン)を染色する。後次に、親脂性トレーシング染料Di-I及びDi-Oのペーストを、構築物のいずれかの端部に置き、いずれかの細胞集合からの神経突起成長の広がり及び組織化を判定するために、シナプス形成が起こる前に固定する。これらの形態学的パラメータを、共焦点解析によって定量化し、それらを使用して微小操作された回路の設計を完成させる。この手順は、シナプス後皮質ニューロンの画定された集合の上に、高く、再現可能に均一な密度の視床軸索シナプス化をもたらす一方で、皮質視床の再神経支配を最小限に抑える(シナプスの<10%)。
【0259】
次に、回路の電気生理学的特性を判定する。単一双極刺激電極を使用して、これらのTC回路において、逆行的に伝播する活動電位(AP)及び順行的に誘発される興奮性シナプス電位(EPSP)の両方を活性化する。フィールド電位及び全細胞電圧クランプ記録の両方によって応答を測定する。逆行的活動電位を記録して、これらの軸索内の活性電流の誘導及び伝播を確認する。我々のDRG構築物からの結果と一貫して、視床ニューロンプール内でフィールド電位電極を使用して逆行的APを記録することができると予想する。これは、短く一貫した待ち時間、TTX感受性の、負に偏向する短期間のフィールド電位として見られる。全細胞電圧記録を使用して、それらの動態、ベースラインからの直接発生、過分極に対する非感受性に基づいて、これらの逆行的APを検証する。次いで、皮質ニューロン集合内のグルタミン酸作動性EPSP及び興奮性シナプス後電位(EPSC)を、視床軸索の双極刺激に続いて確認する。1)皮質ニューロンプール内で記録されたフィールド電位応答の動態解析、2)AMPAR媒介性(過分極された保持電位における)及びAMPAR+NMDAR媒介性電流(正の保持電位における)を単離するための電圧クランプ戦略を用いる全細胞電流記録、ならびに3)AMPAR媒介性電流を選択的に遮断するためのDNQX(20μM)及びNMDAR媒介性電流に拮抗するためのd-APV(50μM)を含む、標準グルタミン酸作動性シナプス薬理学を使用して、EPSCを確認する。次いで、視床軸索刺激に応答するAMPAR及びNMDAR媒介性シナプス後電流が起こる。AMPAR対NMDAR媒介性電流の相対比を、インビボ状況を擬して、インビトロで2週間にわたって増加させる。
【0260】
これらの実施形態において、皮質視床の再神経支配は、一貫して10%を超えるか、または樹状アーバーが、2つの細胞集合間を接続する。これらのシナリオが望ましくない程度で観察される場合、各細胞型の導入のタイミングをずらし、それにより、視床ニューロンが導入され、皮質標的ニューロンの添加前に、軸索を生成して、皮質ニューロン貯留槽に向かって軸索が延びる時間が付与される。代替として、または併せて、ヒドロゲルのマイクロパターン化能力を使用して、培養中に人工栄養的シグナル伝達を導入する。我々は、
図28に示されるように、DRG神経突起が、BSAとは反対に、NGFに向かって優先的に成長し、ヒドロゲル構築物内の貯留槽から拡散することを示した。TC軸索の電位化学誘引性分子としては、ネトリン-1及びニューロトロフィン3が挙げられる。同様に、樹状突起を誘引し、軸索を防除することによって、皮質ニューロンを極性化することが示されたため、セマフォリン3Aを使用する。これらのアプローチが有効でない場合、光分解性版のPEGヒドロゲルを使用し、我々はこれを合成することができた。このゲルは、皮質プールと視床プールとの間のPEG障壁の配置を可能にし、これをUV光で分解して、所望されるときにシナプス形成を可能にすることができる。
【0261】
実施例6:ミクロ生理学的培養システム及び非侵襲性電気生理学的解析の組み合わせ(予言的)
本発明の一実施形態は、ミクロ生理学的培養システム及び非侵襲性電気生理学的解析の固有の組み合わせを用いることである。これは、集合レベル機能アッセイを生物模倣型構成においてインビトロで行うための、潜在的にパラダイムを変える能力を有する。蛍光顕微鏡記録リグ上にDLPデバイスを手動で構成し、GFP及びChR2を発現する細胞内の個々の皮質ニューロンならびに個々の樹状突起の選択的照明及び同時活性化を示した。ユーザーによって見られるように、顕微鏡カメラのライブフィードの直ぐ上の関心対象の区域の指定を可能にすることによって、照明の柔軟なユーザー制御のためのカスタムソフトウェアも開発した。光学的神経活性化のための、DLP顕微鏡及びオプトジェネティクスのこの強力かつ多方面にわたる用途は、新形態の電圧感受性染料イメージング、例えば、VFと組み合わされる。オプトジェネティクス及びVFイメージングとDLP顕微鏡とのこの固有かつタイムリーな組み合わせは、
図29の微小操作された回路の非侵襲性刺激に対する強力で完全に光学的な方法を表す。
【0262】
一実施形態において、DLP光学刺激及び記録プロトコルは、視床ニューロン及び皮質ニューロンそれぞれの伝統的な平坦解離された培養物中で実行される。皮質及び視床培養物は、上記の方法を使用して生成される。Optogenetics,Inc.から入手したChR2プラスミド及びレンチウイルスベースのDNA構築物を使用し、それらは赤色蛍光タンパク質(mCherry)を形質移入/感染されたレポーターとして含む。ニューロンをプレートに置き、ChR2に感染させた後、VF染料(2μM)で染色した。次いで、全細胞パッチ記録を、形質移入/感染された細胞上で確立した後、約475nm(青色-緑色)でDLP照明する。段階的電位及び活動電位は、照明強度及び拡大(4倍から40倍)を変えながら電流クランプモードで記録する。代替として、電圧を可変電位にクランプする一方で、再び励起強度及び拡大を変えながら、VF蛍光を約535nm(黄色-緑色、VFは、励起波長に対して比較的非感受性である)で監視する。これらの試験を繰り返して、照明及び電圧感受性の範囲及び限界を判定する。加えて、この実施例において、光学刺激及び記録のための同時照明(またはほぼ同時)のタイミング要件を判定する。シナプス電位を誘発して記録するために、低密度の皮質培養物を生成する。この操作(約10~100k細胞/mL)は、結合性を最大化し、これらの皮質培養物中の個々の視野におけるニューロンを結合させるために必要である。全細胞パッチを確立した後、次いで、形質移入/感染された近隣細胞をDLPで照明し、シナプス後電位を電流クランプモードで記録する。これらの実験を使用して、ChR2/光誘発されたシナプス後電位を検出するために必要とされる、精密な光学設定、照明、及び光学サンプリングのタイミングを判定する。
【0263】
次に、光学刺激及び記録プロトコルを、3D細胞集合内で実行する。刺激及び記録は、視床及び皮質プールが視野内で一度に目に見えるように、比較的低い拡大(10倍)で行う。TC回路を、上記の方法に従って微小操作する。しかしながら、PEG微小金型への注入前に、ピュラマトリクス溶液中の細胞懸濁液に粒子を添加することによって、視床細胞をChR2ウイルスに感染させた後、ゲルを数回洗浄して、皮質ニューロンの添加前に粒子を除去した。刺激フィールド電極を視床ニューロンプール内に、記録用電極を皮質ニューロンプール内に配置して、EPSPを誘発する能力を確認する。直ぐ後に、ChR2のDLP照明を使用して、視床ニューロンを刺激する一方で、皮質プール内の応答を記録する。異なる拡大(4倍~40倍)での様々に異なるシナプス前ChR2照明強度に対するEPSP応答を調査する。一部の実施形態において、VF染色された皮質ニューロンを有するTC回路内のフィールド記録によってEPSPを確認し、直ぐ後に、皮質プール内の電気的に誘発されたシナプス後応答を、フィールド電極による視床ニューロンの刺激時にVF蛍光によって測定する。EPSPの蛍光測定を、動態解析及びグルタミン酸作動性シナプス薬理学によって特徴付ける。最後に、フィールド刺激及び記録による確認の直ぐ後に、視床ニューロンをChR2で刺激する一方で、皮質EPSPをVFにより測定する。
【0264】
回路成型加工のために判定された技法に応じて、ヒドロゲル内のウイルスChR2感染は、低減された感染効率または皮質ニューロンの望ましくない感染を引き起こすゲル内の残留ウイルスのいずれかに起因して、問題を投じ得る。ウイルス感染は、最高の効率をもたらすことが予想されるため好ましいが、他の実施形態において、化学的形質移入及び電気穿孔法も同様に使用され得る。必要な場合、視床細胞を感染のために従来どおりプレートに置き、徹底的に洗浄した後、解離して、ピュラマトリクスに懸濁してもよい。TC回路全体の可視化に必要とされる低倍率を、高速でVF蛍光を解像するために必要とされるSNRと均衡させることは不可能であり、低倍率及び高細孔数の特殊化対物レンズを含む代替装置構成、及びより高速かつ感応性の高いカメラ(CCDまたはPMT)を使用する。代替として、他の実施形態において、顕微鏡光路から独立したChR2刺激の光の繊維光学適用を使用する。
【0265】
実施例7:培養システムの高スループットフォーマット(予言的)
本発明の一実施形態は、
図30に示されるように、マルチウェルフォーマット用である。一実施形態において、蛍光顕微鏡及び電気生理学リグを構成する。固定ステージ、デジタル干渉コントラスト(「DIC」)、及び蛍光オプティクスを有する直立顕微鏡、刺激電極及び記録用電極それぞれの配置のための粗雑及び精密微小操作装置を備える、落射蛍光顕微鏡及び記録プラットフォームを構成する。フィールド電位及び全細胞増幅器は、光学活性化及び記録の必要な確認のために、電極ベースの微小電極解析を可能にするデジタル刺激能力を有することが想到される。加えて、顕微鏡は、DLP適応性照明装置(Andor Technology,plc.)、高速固相多重スペクトル光源(Lumencor,Inc.によるSPECTRA X線エンジンTM等)、ならびにDLP、光源、及びカメラの同期のためのインターフェースを備える。システムの制御は、照明及びイメージングのためのカスタムLabViewインターフェースと連通する市販のソフトウェアと、データ取得及び解析のためのIgorProとの組み合わせを通じて達成される。
【0266】
微小操作されたDRG構築物は、上記のように成型加工され、成長され、標準6ウェル組織培養プレートフォーマットで記録され得る。これらの現行構築物のサイズは、高速スクリーニングに非常に適している。一実施形態において、培養された組織の密度を最大化することによって、シグナル一貫性を安定化させることが好ましい。単純な単シナプス性回路を生成することによって、標的細胞プールを増加させてこの問題を相殺することが可能である。照明に関して、刺激及び記録のために、DLPシステムの強みはその適応性である。ソフトウェアは、視野内で照明及び記録を空間的にパターン化する能力をもたらす。
【0267】
一実施形態において、構築物は、24ウェルプレートフォーマットで成型加工される。他の実施形態では、96ウェルプレートが使用される。各ステージにおいて、応答振幅及び応答の一貫性とともに、制御条件下でのウェル間の個々の変動性を調べる。シナプス伝達の生物学的に関連のある変化を見るのに十分な変動性を最小限に抑えるために記録される必要がある、解析の速度と構築物の数との間の均衡が判定される。このために、制御された修正を試験ウェルに行って判定された伝達の変化を調べる。例えば、これらの構築物における20μM DNQX+50μM APVの添加による伝達の100%抑制は、負の制御をもたらす。より微細なスケールの操作も行い、例えば、基底レベルのAMPAR脱感作を取り除くためのシクロチアジドの添加を使用して、これらのシナプスにおける伝達を約10~20%強化することができる。各操作のために、平均程度の伝達の抑制または強化を、電極ベースの電気生理学を使用して確認する。光学的に測定する必要がある構築物の数は、各条件に対するこの伝達の変化率%を確実に記録するために判定される。機能アセスメントに続いて、TC回路を固定し、ランダム試料を形態学的アセスメントのために選択する。構築物を、細胞核、神経突起、樹状突起、及びシナプスについて染色する。これらの形態学的パラメータの相対密度は、共焦点顕微鏡で定量化し、形態学的変動性と機能的変動性との相関を調査し、これが成型加工手順の洗練を助ける。このアッセイの主な利点は、微小電極配置のための要件を取り除いて生物学的に関連のあるシナプス電位を記録することによる、記録の進歩である。
【0268】
成型加工が制限因子であることが証明される一部の実施形態において、恐らく投影リソグラフィと組み合わせて、細胞のインクジェットスタイル蒸着による細胞プリンティングを使用する。流体の取り扱いが支障であることが証明される場合、ロボット分注システムまたは他の自動流体ハンドラーを用いる。
【0269】
実施例8:神経伝達物質に対する治療薬の効果(予言的)
一実施形態において、本発明を使用して、神経伝達に対する治療薬の効果を試験する。一実施形態において、慢性及び急性曝露の両方のために、TC構築物を調製する。慢性実験の場合、構築物は、実験培養物が、5-HTの外来供給源単独で、または我々のパネルからの医薬品のうちの1つと併せて処理される地点である、皮質ニューロンのTC軸索神経支配の開始点まで成長される(
図16)。皮質ニューロンの神経支配と関連付けられる地点は、実施例1及び2において判定される。対照として、5-HTの外来供給で供給されない培養物も含まれる。5-HTを欠失する培養物と5-HTのみを含む培養物との比較を使用して、これらのシナプスにおけるシナプス伝達の発達におけるこのセロトニン作動性シグナル伝達の要件を明示する。5-HTの任意の観察される効果は、5-HT受容体作動薬の共適用によりこれらの変化を反転させることによって確認する。培養された構築物は、実験変動性を最小限にするために、同一条件下で同時に生成され、維持される。
【0270】
正常シナプス機能の発達に対する5-HTの効果は、5-HT培養物と、5-HTを欠失する(培地のみ)培養物とを比較することによって調べる。実験薬物に関する慢性治療の期間は、シナプス応答に対する5-HT媒介性変化の時間経過及び強度に基づいて判定される。以下のシナプス応答パラメータは、VSD染色された皮質ニューロン及び視床軸索のチャネル-ロドプシン媒介性刺激を使用して、記録相において測定する:1)事象の頻度及び振幅の両方に関する自発的興奮性シナプス後電位のレベル、2)チャネル-ロドプシンにより誘発されたシナプス後電位の振幅及び動態ならびに刺激応答関係、ならびに3)興奮性シナプス電位の薬理学。これらの薬理学的測定値を使用して、発達につれて増加する、これらのシナプスにおけるAMPAR媒介性シナプス電流からNMDAR媒介性シナプス電流への適切な進行を検証する。1条件当たり複数の構築物を記録して、統計的測定を可能にする。5-HTは、自発活性及びAMPAR/NMDAR電流比の増加を含む、シナプス特性の発達を強化する。正の対照として自発活性を強化することが知られている処理を使用して、光学方法を使用するこれらの変化を記録する能力を確認する。例えば、3日間のTTX処理は、皮質培養されたニューロンにおける自発シナプス応答の振幅及び頻度の規模の両方を拡大することが知られている。
【0271】
本発明は、5-HTがこれらのシナプスにおけるシナプス伝達の正常な発達に必要であるかどうかを試験する。しかしながら、SERTを慢性的に遮断する効果がない場合、これは、急性神経伝達とこれらのシナプス入力の発達的空間パターニングとの間の興味深い分離を示唆する。フルオキセチン濃縮物を、以前の研究にしたがって1、3、及び5μg/mLで最初に試験する。各条件について、前述の実施例において開発された光学活性化及び記録技法を使用してデータを収集し、薬物を前述の文献に従って適用し、同じ3つのパラメータを測定する。
【0272】
軸索ガイダンスの変化(及びしたがって、視床ニューロンによる皮質神経支配の強度)に起因する応答パラメータにおける電位変動は、初期神経支配後に薬物を適用することによって(7~14 DIV)、及び1実験条件当たり複数の構築物を記録することによって最小化される。軸索増殖は、軸索タンパク質マーカー、τについて培養物を免疫染色することによって、及び各処理条件において皮質ニューロン内の染色の強度を定量的に測定することによって調べる。事後実験におけるシナプス染色は、シナプス数をこれらの操作と比較するのを可能にし、増加したシナプス数及び個々のシナプスの増加した強度に関して、電圧感受性染料記録を解釈する。シナプスは、シナプス前マーカー(Vglut 1/2混合抗体)及びPSD-95染色の共局在化を調べることによって判定して、シナプス後構造を特定する。加えて、必要に応じて、電気記録及び免疫組織化学によって、データを初期研究において確認する。
【0273】
セロトニンが、これらのシナプスにおけるシナプス機能を急速に修正する場合、ベースライングルタミン酸作動性伝達の双方向の対向する変化は、SSRIまたは5-HTアンタゴニストの適用に応答して観察されるはずである。興味深いことに、SSRIが、シナプス伝達に対して急速な効果を有する証拠があり、これはセロトニン再取り込みに対するそれらの効果から独立している。これらの効果は、はるかに速い時間の尺度中に起こることが予想される。例えば、フルオキセチンは、T型、N型、及びL型Ca2+電流、Na+電流、及びK+電流を阻害することができる。この理由から、興奮性シナプス伝達に対するこれら全ての薬物の急性効果を調べる。これらの急性実験において、ベースライン記録を10分間行い、次いで、薬物を10分間添加し、続いて10分間洗い出す。全体を通して0.1Hzで刺激を誘発し、記録する。このような急性記録の場合、シナプス後応答の振幅及び動態を測定して、シナプス伝達に対するこれらの薬物の効果を判定する。
【0274】
このアッセイにおける純粋に光学的な刺激及び記録の使用は、これらの薬物の急性曝露及び慢性曝露の両方の効果に関する急速スクリーニングを可能にし、興奮性シナプス機能に対するこれらの薬物の絶対感受性及び用量依存的効果の両方の試験を可能にする。自動化ルーチンによってコンパイルデータを解析し、それらの結果は、TCシナプスを発達させることにおけるグルタミン酸作動性シナプス機能に対するセロトニン変調の急性効果及び慢性効果の両方を理解するための基礎を提供する。一部の実施形態において、我々のシナプスアッセイにおけるこれらの薬物の変調電位を測定し、インビボでの副作用の罹患率と比較することによって、このアッセイを使用して、新規分子及びペプチドを、それらがセロトニン作動性機能を修飾する一方で、グルタミン酸作動性シナプス機能を改変する等の「オフターゲット」効果を最小限に抑える能力に関してスクリーニングする。
【0275】
大量の高スループットスクリーニングに加えて、一部の実施形態において、観察される効果に対する小分子及び既知の薬学的薬剤の効果を急速に調べることによって、このシステムを機械論的研究に使用することもできる。例えば、SSRIによってシナプス機能を調節することにおける異なる下流シグナル伝達経路の要件は、特定の細胞経路または受容体亜型を遮断する化合物を共適用することによって判定され得る。電圧記録に加えて、シナプス前またはシナプス後ニューロンのカルシウム負荷を適用して、末端カルシウム変化を観察し、これを伝達物質放出の機能的変化と比較することができる。更に、一部の実施形態において、代替刺激パラダイムの適用は、対合されたパルス比を測定すること、及び強直刺激を適用して電位を誘発し、可塑性の調節物質に関してスクリーニングすることによって、シナプス前放出の可能性等のパラメータの変化を試験するために、容易に適用され得る。一部の実施形態において、細胞インキュベータ用の自動分注マシン及び/または一体型流体室等の自動培地システムの使用は、薬物適用及び培地除去の手動操作の除去を可能にする。