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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006211
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】W/Oエマルション組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230111BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230111BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230111BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/06
A61Q17/04
A61K8/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021108691
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼崎 友美
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC262
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC552
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD262
4C083BB11
4C083BB21
4C083BB34
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】フレッシュな感覚等の改善された質感を有し、良好な安定性を有し、マイクロプラスチックフィラーを含まない、耐水性W/Oエマルション組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、
(b)マイクロプラスチックフィラー以外の少なくとも1種の粉末、
(c)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び
(d)少なくとも1種の油
を含むW/Oエマルション組成物であって、マイクロプラスチックフィラーを5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の量で含む、又はマイクロプラスチックフィラーを含まない、組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、
(b)マイクロプラスチックフィラー以外の少なくとも1種の粉末、
(c)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び
(d)少なくとも1種の油
を含むW/Oエマルション組成物であって、マイクロプラスチックフィラーを5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の量で含む、又はマイクロプラスチックフィラーを含まない、組成物。
【請求項2】
(b)粉末が、タルク、マイカ、シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸シリカ、カオリン、ベントン、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フルオロフロゴパイト、セリサイト、焼成タルク、焼成マイカ、焼成セリサイト、合成マイカ、パーライト、ラウロイルリジン、金属石けん、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及び天然ポリマー粉末、例えば、多糖粉末、例えば、デンプン、セルロース粉末、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(b)粉末の平均粒径が、50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下であり、且つ0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(c)カチオン性ポリマーが、少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基で修飾されている四級化ヒドロキシエチルセルロースから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(c)カチオン性ポリマーが、C8~C30脂肪鎖を含有する四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
マイクロプラスチックフィラーを含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(a)親油性有機UV遮蔽剤が、少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤と少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤との組合せを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(a)親油性有機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上であり、且つ50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更により好ましくは25質量%以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(b)粉末の量が、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更により好ましくは8質量%以上、特に10質量%以上であり、且つ30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは18質量%以下、特に15質量%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(c)カチオン性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、且つ5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.5質量%以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(d)油の量が、組成物の総質量に対して、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上、特に20質量%以上であり、且つ50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更により好ましくは30質量%以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
無機UV遮蔽剤が、200nm未満の平均粒径を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
無機UV遮蔽剤の量が、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、且つ15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更により好ましくは5質量%以下である、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等のケラチン物質のための、W/Oエマルション組成物、特にW/Oエマルションの形態のサンケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サンケア製品は、ケラチン物質、特に皮膚をUV照射によって引き起こされる損傷から保護するために広範に使用されている。サンケア製品の中でも、W/Oエマルションサンケア組成物は、一般に耐水性であり、そのため水又は汗に暴露された後でも皮膚の表面上に保持されうることから、広く流通している。
【0003】
例えば、JP-A-2009-191033は、(A)部分的に架橋したポリエステルで修飾されているオルガノポリシロキサン;(B)有機チタン酸塩で処理された微粒子酸化亜鉛及び/又は有機チタン酸塩で処理された微粒子酸化チタン;(C)シリコーン油;(D)トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル-カプリン酸)グリセリル、並びにジオクタン酸ネオペンチルから選択される1種又は複数の油剤(oily agent)を含む、油中水型日焼け止め化粧品を開示している。
【0004】
近年、マイクロプラスチックによる海洋環境の汚染及び海洋生態系の破壊は、深刻な懸念となってきている。したがって、少量のマイクロプラスチックフィラーを含むにとどまる化粧料又はマイクロプラスチックフィラーを含まない化粧料が提案されてきた。
【0005】
例えば、JP-A-2020-97552は、以下の成分(a)~(d): (a)6~10wt%の疎水性ヒュームドシリカ;(b)5~20wt%のオクタメチルトリシロキサン及び/又はデカメチルテトラシロキサン;(c)バチルアルコール;並びに(d)10~30wt%の、マイクロプラスチックビーズを含有しない(a)以外の粉末を含有する、凹凸を補償するための化粧品(マイクロプラスチックビーズを含有しない、凹凸を補償するための化粧品)を開示している。
【0006】
サンケア化粧料において、UV保護特性をサンケア組成物に付与するために有機UV遮蔽剤が広く使用される。しかしながら、有機UV遮蔽剤の使用は、塗布中に油っぽい、脂っぽい、及びべたつきの感覚を付与する等の悪影響を有しうる。また、W/Oエマルション中の油は、塗布時に油っぽい、脂っぽい、及びべたつきの感覚を引き起こしうる。更に、W/Oエマルションが、そのエマルションの形態を経時的に維持するために充分な安定性に欠けうるという問題がある。
【0007】
したがって、耐水性に優れ、フレッシュな感覚等の改善された質感を付与し、経時的に相分離を引き起こさずに良好な安定性を有する、有機UV遮蔽剤を含むW/Oエマルション組成物が求められている。更に、マイクロプラスチックフィラーを含有しないサンケア化粧用組成物も、環境的に持続可能な製品として望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】JP-A-2009-191033
【特許文献2】JP-A-2020-97552
【特許文献3】欧州特許出願第0 080 976号
【特許文献4】仏国特許第2 077 143号
【特許文献5】仏国特許第2 393 573号
【特許文献6】仏国特許第1 492 597号
【特許文献7】WO2005/000903
【特許文献8】米国特許第4,131,576号
【特許文献9】米国特許第3,589,578号
【特許文献10】米国特許第4,031,307号
【特許文献11】仏国特許第2 162 025号
【特許文献12】仏国特許第2 280 361号
【特許文献13】仏国特許第2 252 840号
【特許文献14】仏国特許第2 368 508号
【特許文献15】仏国特許第1 583 363号
【特許文献16】米国特許第3,227,615号
【特許文献17】米国特許第2,961,347号
【特許文献18】仏国特許第2 080 759号
【特許文献19】仏国追加特許第2 190 406号
【特許文献20】仏国特許第2 320 330号
【特許文献21】仏国特許第2 270 846号
【特許文献22】仏国特許第2 316 271号
【特許文献23】仏国特許第2 336 434号
【特許文献24】仏国特許第2 413 907号
【特許文献25】米国特許第2,273,780号
【特許文献26】米国特許第2,375,853号
【特許文献27】米国特許第2,388,614号
【特許文献28】米国特許第2,454,547号
【特許文献29】米国特許第3,206,462号
【特許文献30】米国特許第2,261,002号
【特許文献31】米国特許第2,271,378号
【特許文献32】米国特許第3,874,870号
【特許文献33】米国特許第4,001,432号
【特許文献34】米国特許第3,929,990号
【特許文献35】米国特許第3,966,904号
【特許文献36】米国特許第4,005,193号
【特許文献37】米国特許第4,025,617号
【特許文献38】米国特許第4,025,627号
【特許文献39】米国特許第4,025,653号
【特許文献40】米国特許第4,026,945号
【特許文献41】米国特許第4,027,020号
【特許文献42】欧州特許出願第0 122 324号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、フレッシュな感覚等の改善された質感を有し、良好な安定性を有し、マイクロプラスチックフィラーを含まない、耐水性W/Oエマルション組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、
(b)マイクロプラスチックフィラー以外の少なくとも1種の粉末、
(c)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び
(d)少なくとも1種の油
を含むW/Oエマルション組成物であって、マイクロプラスチックフィラーを5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の量で含む、又はマイクロプラスチックフィラーを含まない、組成物によって達成することができる。
【0011】
(b)粉末は、タルク、マイカ、シリカ、ケイ酸シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カオリン、ベントン、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フルオロフロゴパイト、セリサイト、焼成タルク、焼成マイカ、焼成セリサイト、合成マイカ、パーライト、ラウロイルリジン、金属石けん、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及び天然ポリマー粉末、例えば、多糖粉末、例えば、デンプン、セルロース粉末、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0012】
(b)粉末の平均粒径は、50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下であってもよく、且つ0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であってよい。
【0013】
(c)カチオン性ポリマーは、少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基で修飾されている四級化ヒドロキシエチルセルロースから選択することができる。
【0014】
(c)カチオン性ポリマーは、C8~C30脂肪鎖を含有する四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースから選択することができる。
【0015】
本発明による組成物は、マイクロプラスチックフィラーを含有しなくてもよい。
【0016】
(a)親油性有機UV遮蔽剤は、少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤と少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤との組合せを含んでもよい。
【0017】
(a)親油性有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上であってもよく、且つ/又は50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更により好ましくは25質量%以下であってもよい。
【0018】
(b)粉末の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更により好ましくは8質量%以上であってもよく、特に10質量%以上であってもよく、且つ/又は30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは18質量%以下、特に15質量%以下であってもよい。
【0019】
(c)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であってもよく、且つ/又は5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.5質量%以下であってもよい。
【0020】
(d)油の量は、組成物の総質量に対して、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上、特に20質量%以上であってもよく、且つ/又は50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更により好ましくは30質量%以下であってもよい。
【0021】
本発明による組成物は、少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を更に含んでよい。
【0022】
無機UV遮蔽剤は、200nm未満の平均粒径を有しうる。
【0023】
無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であってもよく、且つ15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0024】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質(keratin substrate)のための美容方法であって、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者らは、驚くべきことに、少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、少なくとも1種の、マイクロプラスチックフィラー以外の粉末、及び少なくとも1種のカチオン性ポリマーの組合せを水性相中に含むW/Oエマルション組成物が、マイクロプラスチックフィラーを含まなくても、改善された耐水性、塗布時のフレッシュな感覚、及び良好な安定性を示すことができることを発見し、したがって本発明が完了される。
【0026】
したがって、本発明は、
(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、
(b)マイクロプラスチックフィラー以外の少なくとも1種の粉末、
(c)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び
(d)少なくとも1種の油
を含むW/Oエマルション組成物であって、マイクロプラスチックフィラーを5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の量で含む、又はマイクロプラスチックフィラーを含まない、組成物に関する。
【0027】
以下、本発明によるW/Oエマルション組成物及び美容方法を、より詳細に説明する。
【0028】
[組成物]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、(b)マイクロプラスチックフィラー以外の少なくとも1種の粉末、(c)少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び(d)少なくとも1種の油を含む。組成物中の成分については、以下で詳細に説明することにする。
【0029】
(親油性有機UV遮蔽剤)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤を含む。2種以上の親油性有機UV遮蔽剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの親油性有機UV遮蔽剤、又は異なるタイプの親油性有機UV遮蔽剤の組合せを使用することができる。
【0030】
用語「UV」は、本明細書では、UV-Bの領域(波長260~320nm)、UV-Aの領域(波長320~400nm)、及び高エネルギー可視光領域(波長400~450nm)を含む。したがって、UV遮蔽剤は、UV線の波長、詳細にはUV-A、UV-B、及び高エネルギー可視光領域の波長における遮蔽効果を有する任意の材料を意味する。
【0031】
本発明のために使用されるUV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-Bの領域において、好ましくはUV-A及びUV-B領域の単独又は組合せのそれぞれにおいて、活性でありうる。したがって、本発明において使用されるUV遮蔽剤としては、320~400nmのUV照射を吸収することが可能なUV-A遮蔽剤、280~320nmのUV照射を吸収することが可能なUV-B遮蔽剤、及び280~400nmのUV照射を吸収することが可能なUV-A及びUV-B遮蔽剤が挙げられる。
【0032】
用語「親油性UV遮蔽剤」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、油の総質量に対して少なくとも1質量%の濃度で油に可溶であるUV遮蔽剤を意味する。
【0033】
親油性有機UV遮蔽剤は、固体又は液体であってよい。用語「固体」及び「液体」は、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)での固体及び液体を意味する。
【0034】
本発明において使用される親油性有機UV-A遮蔽剤としては、アミノベンゾフェノン化合物、ジベンゾイルメタン化合物、アントラニル酸化合物、及び4,4-ジアリールブタジエン化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0035】
アミノベンゾフェノン化合物として、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(その代替名は、BASF社から「Uvinul A+」という商品名で販売されているジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(DHHB)である)を挙げることができる。
【0036】
ジベンゾイルメタン化合物として、Merck社から「Eusolex 8020」という名称で販売されている4-イソプロピルジベンゾイルメタン、Quest社から「Pongamol」という名称で販売されている1-(4-メトキシ-1-ベンゾフラン-5-イル)-3-フェニルプロパン-1,3-ジオン、1-(4-(tert-ブチル)フェニル)-3-(2-ヒドロキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、及びHoffmann-La Roche社から「Parsol 1789」という商品名で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタンを挙げることができる。
【0037】
アントラニル酸化合物として、Symrise社によって「NEO HELIPAN MA」という名称で市販されているアントラニル酸メンチルを挙げることができる。
【0038】
4,4-ジアリールブタジエン化合物として、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン及びマロン酸ジフェニルブタジエン及びマロノニトリルを挙げることができる。
【0039】
本発明において使用される親油性有機UV-B遮蔽剤としては、トリアジン化合物、パラアミノ安息香酸化合物、サリチル酸化合物、シンナメート化合物、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、ベンジリデンカンファー化合物、フェニルベンズイミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、ベンザルマロネート化合物、及びメロシアニン化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0040】
トリアジン化合物として、BASF社によって「UVINUL T-150」という名称で市販されているエチルヘキシルトリアゾン、SIGMA 2Vによって「UVASORB HEB」という名称で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、及び2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジンを挙げることができる。
【0041】
パラアミノ安息香酸誘導体として、パラ-アミノベンゾエート(PABA)、例えば、エチルPABA(パラ-アミノベンゾエート)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、及びISP社から「ESCALOL 5972」という名称で市販されているエチルヘキシルジメチルPABAを挙げることができる。
【0042】
サリチル酸化合物として、Rona/EM industries社によって「Eusolex HMS」という名称で市販されているホモサレート、及びSymrise社によって「NEO HELIOPAN OS」という名称で市販されているサリチル酸エチルヘキシルを挙げることができる。
【0043】
シンナメート化合物として、DSM NUTRITIONAL PRODUCTS社によって「PARSOL CX」という名称で市販されているエチルヘキシルメトキシシンナメート、イソプロピルエトキシシンナメート、Symrise社によって「NEO HELIOPAN E 1000」という名称で市販されているイソアミルメトキシシンナメート、ジイソプロピルメチルシンナメート、シノキセート及びグリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメートを挙げることができる。
【0044】
β,β-ジフェニルアクリレート化合物として、BASF社によって「UVINUL N539」という名称で市販されているオクトクリレン、及びBASF社によって「UVINUL N35」という名称で市販されているエトクリレンを挙げることができる。
【0045】
ベンジリデンカンファー化合物として、CHIMEX社から「MEXORYL SD」という名称で市販されている3-ベンジリデンカンファー、MERCK社によって「EUSOLEX 6300」という名称で市販されているメチルベンジリデンカンファー、CHIMEX社によって「MEXORYL SW」という名称で市販されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、及びCHIMEX社によって「Mexoryl SX」という名称で市販されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸を挙げることができる。
【0046】
フェニルベンズイミダゾール化合物として、Merck社によって「Eusolex 232」という名称で市販されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan AP」という名称で市販されているフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムを挙げることができる。
【0047】
イミダゾリン化合物として、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシルを挙げることができる。
【0048】
ベンザルマロネート化合物として、ベンザルマロネート部分を含有するポリオルガノシロキサン、例えばDSM NUTRITIONAL PRODUCTS社によって「Parsol SLX」という名称で市販されているポリシリコーン-15、及びジ-ネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネートを挙げることができる。
【0049】
本発明の親油性有機UV遮蔽剤は、UV-A及びUV-B領域を対象とする親油性有機UV-A及びUV-B遮蔽剤を含んでもよい。以下は、親油性有機UV-A及びUV-B遮蔽剤の非限定的な例である:
- ベンゾフェノン化合物、例えばBASF社によって「UVINUL 400」という名称で市販されているベンゾフェノン-1、BASF社によって「UVINUL 500」という名称で市販されているベンゾフェノン-2、BASF社によって「UVINUL M40」という名称で市販されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、Norquay社によって「Helisorb 11」という名称で市販されているベンゾフェノン-6、American Cyanamid社によって「Spectra-Sorb UV-24」という名称で市販されているベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-10、ベンゾフェノン-11、及びベンゾフェノン-12、
- ベンゾトリアゾール化合物、例えばRhodia Chimie社によって「Silatrizole」という名称で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン、CIBA-GEIGY社によって「TINOGUARTD AS」という名称で市販されているブメトリゾール、並びにフェニルベンゾトリアゾール誘導体:分枝状及び直鎖状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノ、
- ビス-レゾルシニルトリアジン化合物、例えば、CIBA-GEIGY社によって「TINOSORB S」という名称で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、並びに、
- ベンゾオキサゾール化合物、例えば、Sigma 3V社によって「Uvasorb K2A」という名称で市販されている2,4-ビス[5-(1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0050】
好ましくは、親油性有機UV遮蔽剤は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(DHHB)等のアミノベンゾフェノン化合物、ブチルメトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン化合物、エチルヘキシルトリアゾン等のトリアジン化合物、ホモサレート等のサリチル酸化合物、オクトクリレン等のβ,β-ジフェニルアクリレート化合物、及びドロメトリゾールトリシロキサン等のベンゾトリアゾール化合物、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0051】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の親油性有機UV遮蔽剤は、少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤と少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤との組合せを含む。
【0052】
したがって、本発明の別の好ましい実施形態において、親油性有機UV遮蔽剤は、アミノベンゾフェノン化合物及びジベンゾイルメタン化合物から選択される少なくとも1種の親油性有機UV-A遮蔽剤、並びにトリアジン化合物、サリチル酸化合物、β,β-ジフェニルアクリレート化合物、及びベンゾトリアゾール化合物から選択される少なくとも1種の親油性有機UV-B遮蔽剤を含む。
【0053】
本発明による組成物中の親油性有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上であってもよい。組成物中の親油性有機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更により好ましくは25質量%以下であってもよい。
【0054】
本発明の特定の一実施形態において、組成物中の親油性有機UV-A遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、且つ15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。
【0055】
本発明の別の特定の実施形態において、組成物中の親油性有機UV-B遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上であり、且つ30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
【0056】
本発明の更に別の特定の一実施形態において、組成物中の親油性有機UV-A及びUV-B遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、且つ10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0057】
(マイクロプラスチックフィラー以外の粉末)
本発明による組成物は、(b)マイクロプラスチックフィラー以外の少なくとも1種の粉末を含む。2種以上の粉末を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの粉末、又は異なるタイプの粉末の組合せを使用できる。
【0058】
「粉末」という用語は、組成物が製造される温度にかかわりなく、組成物の媒体に不溶性である、無色又は白色の、鉱物又は天然の、任意の形状の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0059】
(b)粉末は、マイクロプラスチックフィラー以外の粉末から選択される。
【0060】
「マイクロプラスチックフィラー」という用語は、本明細書では、5mm以下の平均粒径を有する合成ポリマーフィラーを意味する。また、「マイクロプラスチックフィラー」という用語は、本明細書では、5mm未満のサイズ(全寸法)を有し、ライフサイクルを通して安定性である、水に不溶性の高分子固体粒子を意味すると理解される。
【0061】
マイクロプラスチックフィラーとしては、これらに限定されないが、アクリルポリマー粉末、シリコーン粉末、ワックス粉末、ポリアミド粉末、ウレタンポリマー粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、ポリアクリロニトリル粉末、ポリ-β-アラニン粉末、ポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ラウロイルリジン、テトラフルオロエチレンポリマー粉末を挙げることができる。
【0062】
(b)粉末は、結晶形(例えば、層状、立方晶、六方晶、斜方晶等)にかかわりなく、いずれの形状でもよく、血小板形状、球状、又は長楕円形でもよい。
【0063】
(b)粉末の平均粒径は、一般に50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下であるが、これらに限定されない。(b)粉末の平均粒径は、0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。本明細書で使用される「平均粒径」という用語は、集団の半数に対して統計的粒径分布によって与えられる数平均粒子径を表し、D50と称される。例えば、数平均粒子径は、レーザー回折粒径分布アナライザー、例えばMalvern Corp社によるMastersizer 2000で測定することができる。
【0064】
(b)粉末は、表面被覆されていても表面被覆されていなくてもよい、無機又は有機粉末であってもよい。
【0065】
無機粉末として、タルク、マイカ、シリカ、ケイ酸シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カオリン、ベントン、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フルオロフロゴパイト、セリサイト、焼成タルク、焼成マイカ、焼成セリサイト、合成マイカ、パーライト、ラウロイルリジン、金属石けん、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及びこれらの混合物を挙げることができ、これらは任意選択により親水性処理又は疎水性処理がされている。
【0066】
有機粉末として、多糖粉末及びその誘導体等の天然ポリマー粉末、例えば、デンプン、セルロース粉末、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0067】
本発明の(b)粉末が、酸化チタン等の、いわゆる「無機UV遮蔽剤」と異なると言及することは重要であると考えられる。(b)粉末は、本発明による組成物によって、皮膚等のケラチン物質上への均一且つ微細な膜の形成に寄与しうるが、活性の実質的なUV遮蔽効果を持たない。したがって、本発明の(b)粉末は、酸化チタン等の無機UV遮蔽剤ではない。典型的には、無機UV遮蔽剤は、微粒子粒径によって特徴付けられ、一般に200nm未満の平均粒径を有する。
【0068】
(b)粉末は、表面被覆されていても表面被覆されていなくてもよい。コーティングは、無機物質及び/又は有機物質であってもよい。本発明の一実施形態では、(b)粉末は表面被覆されていない。
【0069】
無機コーティングは、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化クロム、及び酸化鉄等の金属酸化物、並びに水酸化アルミニウム等の金属水酸化物から選択することができる。
【0070】
有機コーティングは、脂肪酸又はその塩(ナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩等)、脂肪族アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、ビーズワックス等のワックス、(メタ)アクリルポリマー、及び(ペル)フルオロ化合物から選択することができる。
【0071】
本発明の一実施形態において、(b)粉末は、マイクロプラスチックフィラーと同様に環境問題を引き起こしうる合成コーティングを含まない。
【0072】
本発明による組成物中の(b)粉末の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更により好ましくは8質量%以上、特に10質量%以上であってもよく、且つ30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは18質量%以下、特に15質量%以下であってもよい。
【0073】
(カチオン性ポリマー)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。2つ以上のタイプのカチオン性ポリマーを組み合わせて使用することができる。そのため、単一のタイプのカチオン性ポリマー、又は異なるタイプのカチオン性ポリマーの組合せを使用することができる。
【0074】
カチオン性ポリマーは、正電荷密度を有する。カチオン性ポリマーの電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gでありうる。
【0075】
カチオン性ポリマーは、親水性又は水溶性である。したがって、カチオン性ポリマーは、本発明によるW/Oエマルション組成物の水性相中に存在する。
【0076】
カチオン性ポリマーの分子量は、500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更により好ましくは5000以上であることが好ましい。
【0077】
本明細書おいて別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量を意味する。
【0078】
カチオン性ポリマーは、第一級、第二級又は第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基及びピリジル基からなる群から選択される少なくとも1つの正電荷を有することができる及び/又は正電荷を有する部分を有してもよい。本明細書における(第一級)「アミノ基」という用語は、-NH2基を意味する。
【0079】
カチオン性ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。「コポリマー」という用語は、2種類のモノマーから得られるコポリマーと、3種類以上のモノマーから得られるコポリマー、例えば3種類のモノマーから得られるターポリマーの両方を意味すると理解される。
【0080】
カチオン性ポリマーは、天然の及び合成のカチオン性ポリマーから選択することができる。カチオン性ポリマーの非限定的な例は、以下の通りである。
【0081】
(1)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアミドに由来し、以下の式
【0082】
【化1】
【0083】
(式中、
R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~6個の炭素原子を含むアルキル基、例としてはメチル基及びエチル基から選択され、
R3は、同一であっても異なっていてもよく、水素及びCH3から選択され、
記号Aは、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、例えば2~3個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のアルキル基、及び1~4個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選択され、
R4、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよく、1~18個の炭素原子を含むアルキル基、及びベンジル基から選択され、少なくとも1つの実施形態では、1~6個の炭素原子を含むアルキル基であり、
Xは、無機又は有機酸に由来するアニオン、例えばメト硫酸アニオン及びハロゲン化物アニオン、例えば塩化物及び臭化物アニオンである)
の単位から選択される少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。
【0084】
ファミリー(1)のコポリマーはまた、コモノマーに由来する少なくとも1つの単位も含んでよく、これは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素原子が(C1~C4)低級アルキル基で置換されているアクリルアミド及びメタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸及びそのエステルに由来する基、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン及びビニルカプロラクタム、並びにビニルエステルから選ぶことができる。
【0085】
ファミリー(1)のコポリマーの例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:
アクリルアミドと、硫酸ジメチル又はハロゲン化ジメチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、例えば欧州特許出願第0 080 976号に記載されているもの、
アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルフェートとのコポリマー、
四級化又は非四級化ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、例えば仏国特許第2 077 143号及び第2 393 573号に記載されているもの、
ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、
ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー、四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、並びに
架橋メタクリロイルオキシ(C1~C4)アルキルトリ(C1~C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー、例えば塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートの単独重合によって、又はアクリルアミドと、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合によって、その単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を含有する化合物、例えばメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られるポリマー。
【0086】
好ましくは、ファミリー(1)のコポリマーは、ビニルピロリドンに由来する単位を有する。より好ましくは、ファミリー(1)のコポリマーは、ビニルピロリドンに由来する少なくとも1つのペンダント環構造を有する。その一方で、ファミリー(1)のコポリマーがポリマーの主鎖中に環構造を含まないことが好ましい。
【0087】
ビニルピロリドン単位を有するファミリー(1)のコポリマーは、以下から選択することができる:
(i)ビニルピロリドン単位とジメチルアミノエチルメタクリレート単位とを含むコポリマー、例えば、
- ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、例えば、I.S.P.社により商品名Copolymer 845で販売されているビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(質量により20/80)、
- 硫酸ジエチルで四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、例えば、I.S.P.社により商品名Gafquat 734、755、755S及び755Lで販売されている、硫酸ジエチルで四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、
- ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/親水性ポリウレタンコポリマー、例えば、U.C.I.B.社により商品名Pecogel GC-310で、又はBlagden Chemicals社により商品名Aquamere C1031及びC1511で販売されている、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/親水性ポリウレタンコポリマー、
- 四級化されているか又は四級化されていないビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/C8~C16オレフィンコポリマー、例えば、I.S.P.社によりGanex ACP1050~1057、1062~1069、及び1079~1086の商品名で販売されている、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/C8~C16オレフィンコポリマー、
並びに
ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、例えば、I.S.P社により商品名Gaffix VC713で販売されているビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムコポリマー、
(ii)ビニルピロリドン単位及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム(MAPTAC)単位を含むコポリマー、例えば、
- ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムコポリマー、例えば、I.S.P.社により商品名Gafquat ACP1011及びGafquat HS100で販売されているビニルピロリドン/MAPTACコポリマー、
並びに
- ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/ビニルカプロラクタムターポリマー、例えば、I.S.P社により商品名Polymer ACP 1059、1060及び1156で販売されている、ビニルピロリドン/MAPTAC/ビニルカプロラクタムターポリマー、並びに
(iii)ビニルピロリドン単位及びメチルビニルイミダゾリウム単位を含むコポリマー、例えば、
- ビニルピロリドン/メチルビニルイミダゾリウムクロリドコポリマー、例えば、BASF社により商品名Luviquat FC370、FC550、FC905及びHM552で販売されているビニルピロリドン/メチルビニルイミダゾリウムクロリドコポリマー、
- ビニルピロリドン/メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルイミダゾールコポリマー、例えば、BASF社により商品名Luviquat 8155で販売されているビニルピロリドン/メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルイミダゾールコポリマー、
並びに
- ビニルピロリドン/メト硫酸メチルビニルイミダゾリウムコポリマー、例えば、BASF社により商品名Luviquat MS370で販売されているビニルピロリドン/メト硫酸メチルビニルイミダゾリウムコポリマー。
【0088】
ファミリー(1)のコポリマーが、ビニルピロリドン単位とジメチルアミノエチルメタクリレート単位とを含むコポリマーから選ばれることが、より好ましくは硫酸ジエチルで四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選ばれることが、更により好ましくはポリクオタニウム-11から選ばれることが好ましい。
【0089】
(2)カチオン性セルロース誘導体、例えば第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えば仏国特許第1 492 597号等に記載されているもの、例えばUnion Carbide Corporation社により名称「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)又は「LR」(LR 400、LR 30M)で販売されているポリマー。これらのポリマーはまた、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されているエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第四級アンモニウムとして定義されている。
【0090】
カチオン性セルロース誘導体が、少なくとも8個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル又はアルキルアリールの各基又はそれらの混合物等の少なくとも1つの脂肪鎖を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基で修飾されている、四級化されたヒドロキシエチルセルロースであることが好ましい。第四級アンモニウム基によって保持されているアルキル基は、好ましくは8~30個の炭素原子、特に10~30個の炭素原子を含有しうる。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリルの各基を示す。
【0091】
より好ましくは、カチオン性セルロース誘導体は、少なくとも1つのC8~C30炭化水素基を含む少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含んでもよい。
【0092】
挙げることができるC8~C30脂肪鎖を含有する四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例には、Amerchol社によって販売されている製品Quatrisoft LM 200、Quatrisoft LM-X 529-18-A、Quatrisoft LM-X 529-18B(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(C18アルキル)又はSoftcat Polymer SL100、Softcat SX-1300X、Softcat SX-1300H、Softcat SL-5、Softcat SL-30、Softcat SL-60、Softcat SK-MH、Softcat SX-400X、Softcat SX-400H、SoftCat SK-L、Softcat SK-M、及びSoftcat SK-H、並びにCroda社によって販売されている製品Crodacel QM、Crodacel、QL(C12アルキル)及びCrodacel QS(C18アルキル)が含まれる。
【0093】
カチオン性ポリマーは、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。ポリクオタニウム-67が最も好ましい。
【0094】
別の観点から、カチオン性セルロース誘導体はまた、4000~10000のアンヒドログルコース単位を含むカチオン性セルロースエーテルの中から選択されることが可能であり、前記アンヒドログルコース単位は、少なくとも以下で置換されている。
(i)次式
[R4R5R6R9N+](X2 -)
(式中、
R4及びR5は、互いに独立して、メチル又はエチル基を表し、
R6は、直鎖状若しくは分枝状のC8~C24アルキル基、又は直鎖状若しくは分枝状アルキル部分がC8~C24であるアラルキル基を表し、
R9は、アンヒドログルコース基への結合を可能にする、-(B)q-CH2-CHOH-CH2-及び-CH2CH2-から選択される二価基を表し、
qは、0又は1を示し、
Bは、二価基-(CH2CH2O)n'-を示し、
n'は、1~100の範囲の整数であり、
X2 -は、アニオンを表す)
の1つの置換基、及び
(ii)次式
[R1R2R3R8N+](X1 -)
(式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立して、メチル又はエチル基を表し、
R8は、アンヒドログルコース基への結合を可能にする、-(A)p-CH2-CHOH-CH2-及び-CH2CH2-から選択される二価基を表し、
pは、0又は1を示し、
Aは、二価基-(CH2CH2O)n-を示し、
nは、1~100の範囲の整数であり、
X1 -は、アニオンを表す)
の1つの置換基。
【0095】
好ましくは、式[R4R5R6R9N+](X2 -)の置換基(i)は、平均して、アンヒドログルコース単位1モル当たり0.0003~0.08モルで存在する。
【0096】
本発明による組成物中で使用されうるカチオン性セルロースエーテルは、好ましくはヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースである。本発明による組成物中で使用されうるカチオン性セルロースエーテルは、4500超の、有利には5000超の、より好ましくは6000超のアンヒドログルコース単位を好ましくは含む。
【0097】
好ましくは、本発明による組成物中で使用されうるカチオン性セルロースエーテルは、9000までの、より好ましくは8000までの、アンヒドログルコース単位を含む。
【0098】
これらのカチオン性セルロースエーテル、及びこれらの調製方法は、特許出願WO 2005/000903に記載されている。
【0099】
好ましい一変形によれば、本発明による組成物中で使用されうるカチオン性セルロースエーテルは、少なくとも1つの単位(IV)、並びに以下の単位(I)、(II)及び(III)のうちの少なくとも1つから形成される。
【0100】
【化2】
【0101】
以下を条件とする:
単位(I)+(II)+(III)+(IV)の総数は、4000から10000の間であり、
比[(III)+(IV)]/[(I)+(II)+(III)+(IV)]は、0.0003~0.8を範囲とし、
比[(II)+(IV)]/[(I)+(II)+(III)+(IV)]は、0.02~0.9を範囲とし、
整数n及びn'は、互いに独立して、0~5を範囲とし、
R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立して、メチル又はエチル基を表し、
R6は、直鎖状若しくは分枝状の、C8~C24、好ましくはC10~C24、より好ましくはC12~C24、更に良好にはC12~C15のアルキル基、又は直鎖状若しくは分枝状アルキル部分がC8~C24であるアラルキル基を表し、
X1 -及びX2 -は、互いに独立して、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン及びハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、F-、I-)から好ましくは選択されるアニオンを表す。
【0102】
特定の一変形によれば、本発明による組成物中で使用されうるカチオン性セルロースエーテルは、上記の、少なくとも1つの単位(IV)、及び単位(I)、(II)又は(III)のうちの少なくとも1つから形成され、式中、R6は直鎖状ドデシル基である。
【0103】
本発明の組成物中で使用されうるカチオン性セルロースエーテルの中で挙げることができるのは、Amerchol社により販売されているSoftcat SL-5、SL-30、SL-60及びSL-100のタイプのポリマー(INCI:ポリクオタニウム-67)である。とりわけ好ましいカチオン性セルロースエーテルは、SL-60及びSL-100のタイプのポリマーである。
【0104】
(3)カチオン性セルロース誘導体、例えば、第四級アンモニウムの水溶性モノマーでグラフト化されたセルロースコポリマー及びセルロース誘導体、例えば米国特許第4,131,576号に記載のもの、例えばヒドロキシアルキルセルロース、例としては、例えばメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、及びジメチルジアリルアンモニウム塩から選択される塩でグラフト化されたヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-、及びヒドロキシプロピルセルロース。
【0105】
これらのポリマーに相当する市販製品には、例えば、National Starch社により名称「Celquat(登録商標)L 200」及び「Celquat(登録商標)H 100」で販売されている製品が挙げられる。
【0106】
(4)非セルロース系カチオン性多糖、米国特許第3,589,578号及び第4,031,307号に記載されているもの、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を含むグアーガム、カチオン性ヒアルロン酸及びデキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド。2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムの塩、例えば塩化物で修飾されているグアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)もまた、使用することができる。
【0107】
このような製品は、例としては、MEYHALL社により商品名JAGUAR(登録商標)C13 S、JAGUAR(登録商標)C15、JAGUAR(登録商標)C17及びJAGUAR(登録商標)C162で販売されている。
【0108】
(5)ピペラジニル単位と、酸素、硫黄、窒素、芳香環及び複素環から選ばれる少なくとも1つの要素により任意選択で割り込まれた直鎖又は分枝鎖を含む二価のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基とを含むポリマー、更にはこれらのポリマーの酸化及び/又は四級化生成物。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2 162 025号及び第2 280 361号に記載されている。
【0109】
(6)例えば酸性化合物をポリアミンと重縮合させることによって調製される水溶性ポリアミノアミドであり、これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン;ジエポキシド;二無水物;不飽和二無水物;ビス不飽和誘導体;ビスハロヒドリン;ビスアゼチジニウム;ビスハロアシルジアミン;ビスアルキルハライド;ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド及びビス不飽和誘導体から選ばれる要素と反応性である二官能性化合物の反応から得られるオリゴマーから選ばれる要素で架橋されている場合があり;その架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基1つ当たり0.025~0.35molの範囲の量で使用され;これらのポリアミノアミドは、任意選択でアルキル化されているか、又はこれらが少なくとも1つの第三級アミン官能基を含む場合、それらは、四級化されていてもよい。このようなポリマーは、例えば仏国特許第2 252 840号及び第2 368 508号に記載されている。
【0110】
(7)ポリアルキレンポリアミンをポリカルボン酸と縮合させ、続いて二官能性作用剤でアルキル化することから得られるポリアミノアミド誘導体、例えば、メチル、エチル及びプロピルの各基のようにアルキル基が1~4個の炭素原子を含み、エチレン基のようにアルキレン基が1~4個の炭素原子を含む、アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー。このようなポリマーは、例としては仏国特許第1 583 363号に記載されている。少なくとも1つの実施形態では、これらの誘導体は、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンポリマーから選択することができる。
【0111】
(8)2つの第一級アミン基及び少なくとも1つの第二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンを、ジグリコール酸、及び3~8個の炭素原子を含む飽和脂肪族ジカルボン酸から選ばれるジカルボン酸と反応させることによって得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンの、ジカルボン酸に対するモル比は、0.8:1~1.4:1の範囲であることができ、それから得られるポリアミノアミドを、エピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリンの、ポリアミノアミドの第二級アミン基に対するモル比0.5:1~1.8:1の範囲で反応させる。このようなポリマーは、例えば、米国特許第3,227,615号及び第2,961,347号に記載されている。
【0112】
(9)アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリル-アンモニウムのシクロポリマー、例えば、鎖の主要構成要素として、以下の式(Ia)及び(Ib)
【0113】
【化3】
【0114】
(式中、
k及びtは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく、和k+tは、1に等しく、
R12は、水素及びメチル基から選ばれ、
R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~6個の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が例えば1~5個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基、及び低級(C1~C4)アミドアルキル基から選ばれ、又はR10及びR11は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、複素環式基、例えばピペリジニル及びモルホリニルを形成してもよく、
Y'は、アニオン、例えば臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、硫酸イオン及びリン酸イオンである)
の単位から選ばれる少なくとも1つの単位を含むホモポリマー及びコポリマー。これらのポリマーは、例えば仏国特許第2 080 759号及びその仏国追加特許(Certificate of Addition)第2 190 406号に記載されている。
【0115】
一実施形態では、R10及びR11は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれる。
【0116】
このようなポリマーの例としては、(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、例えばCALGON社により名称「MERQUAT(登録商標)100」で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(及び低質量の平均分子量のその同族体)、並びに名称「MERQUAT(登録商標)550」で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。
式(II):
【0117】
【化4】
【0118】
[式中、
R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式及びアリール脂肪族の各基、並びに低級ヒドロキシアルキル脂肪族基から選ばれ、或いは、R13、R14、R15及びR16は、それらが結合している窒素原子と一緒になって又は別々に、窒素以外の第2のヘテロ原子を任意選択で含む複素環を形成してもよく、或いは、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、ニトリル基、エステル基、アシル基、アミド基、-CO-O-R17-E基及び-CO-NH-R17-E基(式中、R17は、アルキレン基であり、Eは、第四級アンモニウム基である)から選ばれる少なくとも1つの基で置換されている直鎖状又は分枝状C1~C6アルキル基から選ばれ、
A1及びB1は、同一であっても異なっていてもよく、2~20個の炭素原子を含むポリメチレン基から選ばれ、これは、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であってよく、これは、芳香環、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基、ジスルフィド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、第四級アンモニウム基、ウレイド基、アミド基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの要素を、主鎖中に、連結されて又は挿入されて含んでよく、
X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンであり、
A1、R13及びR15は、それらが結合している2個の窒素原子と一緒になってピペラジン環を形成してよく、
A1が、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基から選ばれる場合、B1は、以下:
-(CH2)n--CO-E'-OC-(CH2)n-
(式中、E'は、以下:
a)式-O-Z-O-(式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基、及び以下の式:
-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2-
-[CH2-CH(CH3)-O]y-CH2-CH(CH3)-
(式中、x及びyは、同一であっても異なっていてもよく、定義された独自の重合度を表す1~4の範囲の整数、及び平均重合度を表す1~4の範囲の数から選ばれる)の基から選ばれる)のグリコール残基、
b)ビス-第二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体、
c)式-NH-Y-NH-(式中、Yは、直鎖状又は分枝状の炭化水素系基及び二価基-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-から選ばれる)のビス-第一級ジアミン残基、並びに
d)式-NH-CO-NH-のウレイレン基
から選ばれる)
から選ぶことができる]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む第四級ジアンモニウムポリマー。
【0119】
少なくとも1つの実施形態では、X-は、アニオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオンである。
【0120】
このタイプのポリマーは、例えば、仏国特許第2 320 330号、第2 270 846号、第2 316 271号、第2 336 434号、及び第2 413 907号、並びに米国特許第2,273,780号、第2,375,853号、第2,388,614号、第2,454,547号、第3,206,462号、第2,261,002号、第2,271,378号、第3,874,870号、第4,001,432号、第3,929,990号、第3,966,904号、第4,005,193号、第4,025,617号、第4,025,627号、第4,025,653号、第4,026,945号、及び第4,027,020号に記載されている。
【0121】
このようなポリマーの非限定的な例としては、式(III):
【0122】
【化5】
【0123】
(式中、R13、R14、R15及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含むアルキル基及びヒドロキシアルキル基から選ばれ、n及びpは、同一であっても異なっていてもよく、2~20の範囲の整数であり、X-は、無機又は有機酸に由来するアニオンである)
の、少なくとも1つの繰り返し単位を含むものが挙げられる。
(11)式(IV)
【0124】
【化6】
【0125】
[式中、
R18、R19、R20及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、β-ヒドロキシエチル基、β-ヒドロキシプロピル基、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基(式中、pは、0~6の範囲の整数から選ばれる)から選ばれ、但し、R18、R19、R20及びR21が同時に水素であることはなく、
r及びsは、同一であっても異なっていてもよく、1から6の範囲の整数から選択され、
qは、0から34の範囲の整数から選択され、
X-は、アニオン、例えばハロゲン化物イオンであり、
Aは、ジハライドの基及び-CH2-CH2-O-CH2-CH2-基から選ばれる]
の単位を含むポリ四級アンモニウムポリマー。
【0126】
このような化合物は、例としては欧州特許出願第0 122 324号に記載されている。
【0127】
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマー。
好適なカチオン性ポリマーの他の例としては、カチオン性タンパク質及びカチオン性タンパク質加水分解物、ポリアルキレンイミン、例えばポリエチレンイミン、ビニルピリジン単位及びビニルピリジニウム単位から選ばれる単位を含むポリマー、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、第四級ポリウレイレン、並びにキチン誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0128】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1種のカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体、例えばUNION CARBIDE CORPORATION社により名称「JR 400」で販売されている製品、カチオン性シクロポリマー、例としてはCALGON社により名称MERQUAT(登録商標)100、MERQUAT(登録商標)550及びMERQUAT(登録商標)Sで販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー及びコポリマー、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩で修飾されているグアーガム、並びにビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの第四級ポリマーから選ばれる。
【0129】
(13)ポリアミン
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基を有する、ホモポリマー又はコポリマーでありうる(コ)ポリアミンを使用することもまた可能である。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基でありうる。アミノ基は、(コ)ポリアミンのポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在してよい。
【0130】
(コ)ポリアミンの例として、キトサン、(コ)ポリアリルアミン、(コ)ポリビニルアミン、(コ)ポリアニリン、(コ)ポリビニルイミダゾール、(コ)ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、(コ)ポリビニルピリジン、例えば(コ)ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、(コ)ポリイミン、例えば(コ)ポリエチレンイミン、(コ)ポリピリジン、例えば(コ)ポリ(第四級ピリジン)、(コ)ポリビグアニド、例えば(コ)ポリアミノプロピルビグアニド、(コ)ポリリジン、(コ)ポリオルニチン、(コ)ポリアルギニン、(コ)ポリヒスチジン、アミノデキストラン、アミノセルロース、アミノ(コ)ポリビニルアセタール、及びそれらの塩を挙げることができる。
【0131】
(コ)ポリアミンとしては、(コ)ポリリジンを使用することが好ましい。ポリリジンは周知である。ポリリジンは、細菌発酵によって生成されうるL-リジンの天然ホモポリマーであることができる。例えば、ポリリジンは、食品中の天然保存料として典型的に使用されるε-ポリ-L-リジンであることができる。ポリリジンは、水等の極性溶媒に可溶である高分子電解質である。ポリリジンは、ポリD-リジン及びポリL-リジン等の様々な形態で市販されている。ポリリジンは、塩及び/又は溶液の形態であることができる。
【0132】
(14)カチオン性ポリアミノ酸
カチオン性ポリマーとして、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有する、カチオン性ホモポリマー又はコポリマーでありうるカチオン性ポリアミノ酸を使用することが可能でありうる。アミノ基は、第一級、第二級、第三級又は第四級アミノ基でありうる。アミノ基は、カチオン性ポリアミノ酸のポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在してよい。カルボキシル基は、存在する場合はカチオン性ポリアミノ酸のペンダント基中に存在してよい。
【0133】
カチオン性ポリアミノ酸の例としては、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク等を挙げることができる。
【0134】
カチオン性ポリマーが、アルキルジアリルアミンのシクロポリマー、及びジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えば(コ)ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、(コ)ポリアミン、例えば(コ)ポリリジン、カチオン性(コ)ポリアミノ酸、例えばカチオン化コラーゲン、並びにそれらの塩からなる群から選択されることが好ましい場合がある。
【0135】
カチオン性ポリマーが、ポリクオタニウムポリマー又は重合性第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
【0136】
重合性第四級アンモニウム塩は、少なくとも1個の四級化された窒素原子を含むカチオン性ポリマーである。重合性第四級アンモニウム塩として、主として泡の質に、及び使用後の皮膚の感触に、特定すると使用後の皮膚の感触に寄与するポリクオタニウム製品(CTFA名)を具体的に挙げることができる。これらのポリマーは、好ましくは以下のポリマーから選択することができる:
ポリクオタニウム-5、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 5;
ポリクオタニウム-6、例えばBASF社により販売されている製品Salcare SC 30、及びNalco社により販売されている製品Merquat 100;
ポリクオタニウム-7、例えばNalco社により販売されている製品Merquat S、Merquat 2200、Merquat 7SPR及びMerquat 550、並びにBASF社により販売されている製品Salcare SC 10;
ポリクオタニウム-10、例えばAmerchol社により販売されている製品Polymer JR400;
ポリクオタニウム-11、例えばISP社により販売されている製品Gafquat 755、Gafquat 755N及びGafquat 734;
ポリクオタニウム-15、例えばRohm社により販売されている製品Rohagit KF 720 F;
ポリクオタニウム-16、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat FC905、Luviquat FC370、Luviquat HM552及びLuviquat FC550;
ポリクオタニウム-28、例えばISP社により販売されている製品Styleze CC10;
ポリクオタニウム-44、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Care;
ポリクオタニウム-46、例えばBASF社により販売されている製品Luviquat Hold;
ポリクオタニウム-47、例えばNalco社により販売されている製品Merquat 2001;
ポリクオタニウム-67、例えばAmerchol社により販売されている製品Softcat。
【0137】
本発明による組成物中のカチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であってもよく、且つ5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.5質量%以下であってもよい。
【0138】
(油)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の油を含む。2種以上の油を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの油、又は異なるタイプの油の組合せを使用することができる。
【0139】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品において一般に使用されるものを、単独で、又はそれらの組合せで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0140】
油は、本発明によるW/Oエマルション組成物の油性相を形成する。
【0141】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油、植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0142】
油は、植物又は動物由来の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、脂肪族アルコール及び脂肪酸からなる群から選択されうる。
【0143】
植物油の例として、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、コーン油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0144】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0145】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0146】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸のうち、少なくとも1種は分枝状である。一酸及び一価アルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0147】
特に以下:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0148】
エーテル油の例として、例えば、炭化水素の短鎖を有するエーテル油、例えばジカプリリルエーテルを挙げることができる。
【0149】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0150】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、とりわけ、液状ポリジメチルシロキサン(PDMS、ジメチコーン)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選択される。これらのシリコーン油はまた、有機修飾されていてよい。本発明に従って使用することができる有機修飾シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0151】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる;
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアレン;
- アルカンの混合物、例えばC9~12アルカン、C10~13アルカン、C13~14アルカン、C13~15アルカン、C14~17アルカン、C14~19アルカン、C15~19アルカン、C15~23アルカン、C18~21アルカン、C8~9アルカン/シクロアルカン、C9~10アルカン/シクロアルカン、C9~11アルカン/シクロアルカン、C9~16アルカン/シクロアルカン、C10~12アルカン/シクロアルカン、C11~14アルカン/シクロアルカン、C11~15アルカン/シクロアルカン、及びC12~13アルカン/シクロアルカン。
【0152】
脂肪族アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的大きい数の炭素原子を包含することを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0153】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていても置換されていなくてもよい。脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。脂肪族アルコールは飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。したがって、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0154】
本開示の組成物中で使用できる脂肪酸は、飽和又は不飽和であってよく、6~30個の炭素原子、例えば9~30個の炭素原子を含む。非限定的な例として、脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びイソステアリン酸から選択されうる。
【0155】
本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上、特に20質量%以上であってもよく、且つ50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更により好ましくは30質量%以下であってもよい。
【0156】
(その他の成分)
・化粧品として許容される親水性有機溶媒
本発明による組成物は、少なくとも1種の、化粧品として許容される親水性有機溶媒を含んでもよい。化粧品として許容される親水性有機溶媒としては、例えば、1~8個の炭素原子を有する実質的に直鎖状又は分枝状の低級一価アルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、及びイソブタノール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ポリオール又はポリオールエーテル、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ソルビトール、エチレングリコールのモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールのモノエチルエーテル又はモノブチルエーテル;ポリエチレングリコール、例えばPEG-4、PEG-6、及びPEG-8、並びにこれらの誘導体、並びにこれらの組合せを挙げることができる。
【0157】
本発明による組成物中の化粧品として許容される親水性有機溶媒の量は、組成物の総質量に対して、1~30質量%、好ましくは2~25質量%、より好ましくは3~20質量%の範囲であってもよい。
【0158】
・界面活性剤
本発明による組成物は、単独で若しくは混合物として使用される、両性、アニオン性、カチオン性又は非イオン性の界面活性剤から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。好ましくは、組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。
【0159】
本発明の組成物中で使用することができる非イオン性界面活性剤の例としては、ポリエトキシル化脂肪族アルコール又はポリグリセロール化脂肪族アルコール、例えばラウリルアルコールとのエチレンオキシド付加物、特に9~50個のオキシエチレン単位を含有するもの(INCI名はラウレス-9からラウレス-50)、具体的にはラウレス-9;例えば8~24個の炭素原子を含む飽和鎖又は不飽和鎖を有する、ポリオールと脂肪酸とのエステル及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、即ちオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を含むもの、例えばグリセロールとC8~C24脂肪酸とのエステル及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、具体的にはポリオキシエチレン化ステアリン酸(モノ-、ジ-及び/又はトリステアリン酸)グリセリル、例えばPEG-20トリイソステアリン酸グリセリル;糖とC8~C24脂肪酸とのエステル及びそれらのオキシアルキレン化誘導体、例えばC8~C24脂肪酸のポリエトキシル化ソルビトールエステル、具体的にはCroda社によって名称「TWEEN(登録商標) 80」で市販されている製品等のポリソルベート80;糖とC8~C24脂肪族アルコールとのエーテル、例えばカプリリル/カプリルグルコシド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド;アルキルアミンオキシド;アルキルポリグリコシド、並びにシリコーン界面活性剤、例えばオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含有するポリジメチルシロキサン、例えば、PEG-10ジメチコーン、ビス-PEG/PPG-14/14ジメチコーン、ビス-PEG/PPG-20/20ジメチコーン、及びPEG/PPG-20/6ジメチコーン、並びにアルキルジメチコーンコポリオール、特に10~22個の炭素原子を有するアルキル基を有し、2~50個のオキシエチレン基及び2~50個のオキシプロピレン基を有するもの、例えばセチルジメチコーンコポリオール(INCI名:セチルPEG/PPG-10/1ジメチコーン)、及びラウリルジメチコーンコポリオール(INCI名:ラウリルPEG/PPG-18/18メチコーン);並びにポリグリセリル脂肪酸エステル、例えばカプリン酸ポリグリセリル-4、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-2、及びポリリシノール酸ポリグリセリル-6、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0160】
加えて、非イオン性界面活性剤として、以下の一般式(1):
R-O-(G)x(1)
(式中、Rは、14から24個の炭素原子を含む分枝状及び/又は不飽和アルキル基を表し、Gは、5又は6個の炭素原子を含む還元糖を表し、xは、1から10、好ましくは1から4の範囲の値であり、Gは、特にグルコース、フルクトース、又はガラクトースを示す)
によって表されるアルキルポリグリコシドを挙げることができる。このタイプのアルキルポリグリコシドとして、アルキルポリグルコシド(G=式(I)中のグルコース)、特に式(I)の化合物であって、Rがより詳細にはオレイル基(不飽和C18基)又はイソステアリル基(飽和C18基)を表し、Gがグルコースを示し、xが1から2の範囲の値である化合物、特にイソステアリルグルコシド、オレイルグルコシド、及びこれらの混合物を挙げることができる。このアルキルポリグルコシドは、補助乳化剤との混合物、より特定すると脂肪族アルコール、特にアルキルポリグルコシドと同じ脂肪鎖を有する、即ち14~24個の炭素原子を含み、分枝鎖及び/又は不飽和鎖を有する脂肪族アルコール、例えばアルキルポリグルコシドがイソステアリルグルコシドである場合のイソステアリルアルコール及びアルキルポリグルコシドがオレイルグルコシドである場合のオレイルアルコールとの混合物として使用されうる。例えば、Seppic社により名称Montanov WO 18で販売されているイソステアリルグルコシドとイソステアリルアルコールとの混合物、及びSeppic社により名称Fludanov 20Xで販売されているオクチルドデカノールとオクチルドデシルキシロシドとの混合物が使用されうる。
【0161】
組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%であってよい。
【0162】
・増粘剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含みうる。2種以上の増粘剤を組み合わせてもよい。増粘剤は、親水性であっても親油性であってもよく、親油性であることが好ましい。
【0163】
親油性増粘剤は、ポリマー又は粒子の形態であってもよい。
【0164】
親油性ポリマー増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、例えばCarbopol製品(カルボマー)及びPemulen製品(アクリレート/C10~C30-アルキルアクリレートコポリマー)又はINCI名「ポリC10~30アルキルアクリレート」を有するポリマー、例えばAir Products社製のIntelimer(登録商標)製品、例えばポリステアリルアクリレートである製品Intelimer(登録商標)IPA 13-1若しくはベヘニルポリマーである製品30 Intelimer(登録商標)IPA 13-6から選択することができる。
【0165】
本発明による親油性増粘剤は、以下から選択することができる:
- 有機修飾クレイ、特に第四級アミン及び第三級アミンから選択される化合物で処理されたクレイ。挙げることができる有機修飾クレイには、有機修飾ベントナイト、例えばRheox社により名称Bentone 34で販売されている製品、及び有機修飾ヘクトライト、例えばRheox社により名称Bentone 27及びBentone 38で販売されている製品が含まれる。特に挙げることができるのは、修飾クレイ、例えば修飾ケイ酸マグネシウム[Rheox社からのBentone gel(登録商標)VS38]、C10~C22脂肪酸塩化アンモニウムで修飾されたヘクトライト等の修飾ヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライト(ジステアルジモニウムヘクトライト)、例えばElementis社により名称Bentone 38VCGで販売されている製品、又はRheox社により名称Bentone 38 CEで販売されている製品、又はElementis社により名称Bentone Gel(登録商標)V5 5Vで販売されている製品、又はElementis社により名称Bentone gel(登録商標)ISD Vで販売されている製品である;
- 及びこれらの混合物。
【0166】
組成物中の増粘剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1~10質量%、好ましくは0.2~5質量%、より好ましくは0.3~3質量%であってよい。
【0167】
・無機UV遮蔽剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含んでもよい。2種以上の無機UV遮蔽剤を組み合わせてもよい。
【0168】
本発明に使用される無機UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であってよい。無機UV遮蔽剤は、親水性及び/又は親油性であってもよい。無機UV遮蔽剤は、好ましくは、化粧品中で一般に使用される水及びエタノール等の溶媒に不溶性である。
【0169】
本発明に使用される無機UV遮蔽剤は、本発明の(b)粉末とは異なる。
【0170】
無機UV遮蔽剤は、その平均(一次)粒子直径が1nmから150nm、好ましくは5nmから100nm、より好ましくは10nmから50nmの範囲であるような微粒子の形態であることが好ましい。本明細書における平均(一次)粒径又は平均(一次)粒子直径は、算術平均直径である。
【0171】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていても被覆されていなくてもよい金属酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0172】
好ましくは、無機UV遮蔽剤は、金属酸化物で形成された顔料(平均一次粒径:一般的に5nmから50nm、好ましくは10nmから50nm)、例えば、酸化チタン(非晶質又はルチル及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムで形成された顔料等から選択することができ、これらは全て、それ自体が周知のUV光保護剤である。好ましくは、無機UV遮蔽剤は、酸化チタン、酸化亜鉛から選択することができ、より好ましくは酸化チタンである。
【0173】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていても被覆されていなくてもよい。無機UV遮蔽剤は、少なくとも1つのコーティングを有してもよい。コーティングは、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコーン、シラン、脂肪酸又はその塩(例えばナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、又はアルミニウム塩)、脂肪族アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、ワックス、例えばビーズワックス、(メタ)アクリルポリマー、有機UV遮蔽剤、及び(ペル)フルオロ化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
【0174】
公知のように、コーティング中のシリコーンは、様々な分子量の直鎖状又は環状及び分枝状又は架橋した構造を含む有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであってよく、これは好適な官能性シランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに接合(シロキサン結合)され、任意選択で置換された炭化水素基が炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接接合されている、主要繰り返し単位から本質的に構成される。
【0175】
コーティングに使用されるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択することができる。更に好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択される。
【0176】
当然ながら、金属酸化物で作製された無機UV遮蔽剤は、シリコーンによるその処理の前に、他の表面処理剤(surfacing agent)、特に、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又はそれらの混合物で処理されていてもよい。
【0177】
組成物中の無機UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であってもよく、且つ15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0178】
・水
本発明による組成物は、水を含んでもよい。
【0179】
組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、2質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更により好ましくは15質量%以上であってもよく、且つ60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更により好ましくは30質量%以下であってもよい。
【0180】
・補助剤
本発明による組成物は、サンケア製品のための組成物中に従来から使用されてきた様々な補助剤も含有してもよく、それらは、生理学的に許容される媒体、アニオン性、非イオン性、両性若しくは両性イオンポリマー又はこれらの混合物、酸化防止剤、中和剤、アルカリ剤、例えば水酸化ナトリウム、金属イオン封鎖剤、例えばエチレンジアミン二コハク酸三ナトリウム、EDTA二ナトリウム、及びフィチン酸、緩衝剤、例えばトロメタミン、香料、皮膚軟化剤、分散剤、染料及び/又は顔料、成膜剤及び/又は増粘剤、セラミド、保存料、例えばフェノキシエタノール及びカプリリルグリコール、補助保存料及び乳白剤から選択することができる。
【0181】
補助剤は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して、好ましくは0.01質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~20質量%、更により好ましくは0.5質量%~10質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0182】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.05質量%以下、特に0.01質量%の量のマイクロプラスチックフィラーを含む。
【0183】
より好ましくは、本発明による組成物は、マイクロプラスチックフィラーを含有しない。
【0184】
本発明による組成物は、局所用の化粧用組成物としての使用を意図されていてもよい。そのため、本発明による組成物は、ケラチン物質への塗布が意図されていてもよい。本明細書におけるケラチン物質は、ケラチンを主要構成要素として含有する材料を意味し、その例としては、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が挙げられる。詳細には、本発明による組成物は、皮膚をUV線から防御するための皮膚のサンケア化粧用組成物であってもよい。
【0185】
本発明による組成物の粘度は特に限定されない。好ましくは、本発明による組成物の粘度は、25℃で、1~1,000,000mm2/s、より好ましくは2mm2/s~500,000mm2/s、更により好ましくは5mm2/s~100,000mm2/sの範囲である。本発明による組成物の粘度は、25℃の温度で、規格ASTM-D445-97に準拠して、Poiseuilleレオメーターを使用して測定することができる。
【0186】
本発明による組成物は、必須成分としての成分(a)から(d)、並びに上記で説明した任意選択の成分を混合して調製することができる。
【0187】
[美容方法]
本発明はまた、
皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【0188】
本発明による組成物は、好ましくは化粧用組成物として使用されうる。化粧用組成物は、皮膚等のケラチン物質を、UV線から防御するためのサンケア組成物とすることができる。
【0189】
本明細書における美容方法とは、皮膚等のケラチン物質の表面をケア及び/又はメイクアップするための非治療的美容法を意味する。
【0190】
したがって、本発明は、ケラチン物質をUV照射から防御する美容方法であって、本発明による組成物を、皮膚等のケラチン物質へ塗布する少なくとも1つの工程を含む美容方法に関する。
【実施例0191】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0192】
[組成物]
実施例1及び2(Ex. 1及びEx. 2)並びに比較例1~8(Comp. Ex. 1~Comp. Ex. 8)による各W/Oエマルション組成物を、以下のTable 1(表1)及びTable 2(表2)に列挙した成分を混合することによって調製した。詳細には、W/Oエマルション組成物は、先ず「油性相」の成分と「水性相」の成分を混合し、次いで「粉末」成分及びエタノールを混合物に添加し、次いでそれを均一になるまで混合することによって調製した。粉末成分における括弧内の数値は、粉末成分の平均粒径を示す。油性相中の二酸化チタン及び酸化亜鉛を無機UV遮蔽剤として使用した。成分の量の数値は、全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0193】
[評価]
(耐水性)
各組成物の耐水性を決定するために、以下の評価を実施した。
【0194】
- 皮膚の色の変化
各組成物1gを手の甲に塗布した後、組成物を1~2分間乾燥した。後続して、2Lの水道水を含有するビーカー中に手を1分間入れた後、皮膚の色の変化を肉眼で観察した。各組成物についての皮膚の色の変化を、以下の基準で評価した。
1:皮膚の色の変化は観察されなかった。
2:皮膚の色に若干の変化が観察された。
3:皮膚の色に中程度の変化が観察された。
4:皮膚の色に明確な変化が観察された。
【0195】
- 水の透明度
各組成物1gを手の甲に塗布した後、組成物を1~2分間乾燥した。後続して、2Lの水道水を含有するビーカー中に手を1分間入れた後、水面の変化を肉眼で観察した。各組成物についての水面の変化を、以下の基準で評価した。
1:水面の変化は観察されなかった。
2:水面に若干の変化が観察された。
3:水面に中程度の変化が観察された。
4:水面に明確な変化が観察された。
【0196】
(フレッシュな感覚)
各組成物30mgを、指で、パネリストらの前腕(n=5)の30mm×30mm面積及びその周囲に塗布した。各組成物についてのフレッシュな感覚を、以下の基準で評価した。
1:水分が多く、フレッシュ
4:脂っぽい
【0197】
(安定性)
得られたエマルション組成物100mLを、製造後、25℃で24時間維持した。次いで、各試料の外観を肉眼で観察した。各組成物について安定性を、以下の基準で評価した。
1:相分離は観察されなかった。
3:若干の相分離が観察された。
4:相分離が明らかに観察された。
【0198】
結果を以下のTable 3(表3)に示す。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
Table 3(表3)における評価の結果から見てわかるように、少なくとも1種の親油性有機UV遮蔽剤、少なくとも1種の、マイクロプラスチックフィラー以外の粉末、及び少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む実施例1及び2によるW/Oエマルション組成物は、改善された耐水性、塗布時のフレッシュな感覚、及び良好な安定性を発揮した。
【0203】
一方、マイクロプラスチックフィラー以外の粉末を一切含まないがマイクロプラスチックフィラーを含む比較例1による組成物は、水の透明度が劣っていた結果のため、良好な耐水性を示さなかった。カチオン性ポリマーを一切含まない比較例2及び3による組成物は、良好な耐水性を示さず、劣ったW/Oエマルション安定性を示した。大量のマイクロプラスチックフィラーを含む比較例4~6による組成物は、水の透明度が劣っていた結果のため、不良の耐水性を示した。
【0204】
したがって、本発明によるW/Oエマルション組成物は、サンケア化粧用組成物として非常に好ましいと結論付けることができる。
【外国語明細書】