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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062137
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】目地部材及び目地構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/684 20060101AFI20230425BHJP
   E04B 1/68 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E04B1/684 B
E04B1/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025041
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2018071436の分割
【原出願日】2018-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390018245
【氏名又は名称】イワキ化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢悟
(72)【発明者】
【氏名】牛原 良浩
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガスケットの形状や大きさの影響を少なくして形成することができ、固定部を固定具で目地底に固定しやすい形状にベース材を形成することができ、施工しやすい目地部材を提供する。
【解決手段】隣り合うパネルの間の目地に設けられる目地部材100であって、ベース材10とカバー材とガスケットとを備えている。ベース材10は、カバー材が取り付けられていない状態で目地の目地底に固定具により固定可能な固定部13を有している。カバー材は、一対の突出部を有し、突出部は嵌合凸部を有する。ガスケットは一対の嵌合溝を有する。ガスケットは第一係止部及び第二係止部を有する。第一係止部は第二係止部よりも突出寸法が大きく形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合うパネルの間の目地に設けられる目地部材であって、
前記目地に固定可能なベース材と、前記ベース材に取り付け可能なカバー材と、前記カバー材に取り付け可能なガスケットとを備え、
前記ベース材は、前記カバー材が取り付けられていない状態で前記目地の目地底に固定具により固定可能な固定部を有しており、
前記カバー材は、一対の突出部を有し、前記突出部は嵌合凸部を有し、
前記ガスケットは、前記一対の突出部が差し込み可能な一対の嵌合溝を有し、
前記ガスケットは、前記嵌合溝に差し込まれた前記突出部の前記嵌合凸部に引っ掛かる第一係止部及び第二係止部を有し、
前記第一係止部は前記第二係止部よりも突出寸法が大きく形成されている、
目地部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベース材は、対向する複数の挟持片を有し、
前記カバー材は、前記対向する複数の挟持片で挟まれて前記ベース材に取り付け可能に形成され、
前記固定部は、前記対向する複数の挟持片の間から差し込まれた前記固定具が貫通可能な位置に形成されている
目地部材。
【請求項3】
請求項2において、
前記カバー材は、前記挟持片に引っ掛け可能な引掛け部を有している
目地部材。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記カバー材は、前記対向する複数の挟持片の間隙を覆って前記ベース材に取り付け可能に形成されている
目地部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の目地部材を備えた目地構造であって、
前記ベース材は、前記固定部が前記固定具により前記目地底に固定されており、
前記カバー材は、前記ベース材に取り付けられており、
前記ガスケットは、前記一対の突出部が前記一対の嵌合溝に差し込まれ、前記嵌合溝に差し込まれた前記突出部の前記嵌合凸部が前記第一係止部及び前記第二係止部に引っ掛かることにより、前記カバー材に取り付けられている
目地構造。
【請求項6】
請求項5に記載の目地構造において、
前記パネルの側端部には目地底片が設けられ、
前記隣り合うパネルのそれぞれに設けた目地底片が重なって、前記目地底が形成され、
前記各目地底片には、その先端を覆うようにして防水材が設けられている
目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地部材及び目地構造に関する。詳しくは、外壁材などの建材を複数並べて施工する場合に、隣り合う建材の間の目地に取り付けられる目地部材、及びこの目地部材を目地に取り付けた目地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外壁の防水性向上を目的として、目地に目地部材を設けることが行われている。例えば、特許文献1では、保持部材とガスケットを備えた目地部材が記載されている。保持部材はアルミニウムの押出成形品などであって、断面略コ字状に形成されている。ガスケットはエチレンプロピレンゴム(EPDM)の押出成形品などであって、その背面には係合部が突設されている。そして、保持部材はその底部が外壁材の側端に突出した支持片にビス止めにより固定されている。ガスケットは保持部材に保持されている。この場合、ガスケットの係合部を保持部材の一対の側壁の間に弾性的に係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-101697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の目地部材では、一対の側壁の間からビスをねじ込んでその底部を支持片に固定しているため、一対の側壁の間隔が狭くてビスをねじ込みにくく、施工しにくいという問題があった。特に、上記目地部材では、一対の側壁でガスケットの係合部を挟持しているため、一対の側壁の間隔を係合部の大きさに影響されないで設定することは難しかった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、施工しやすい目地部材及びこれを用いた目地構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る目地部材は、隣り合うパネルの間の目地に設けられる目地部材である。前記目地に固定可能なベース材と、前記ベース材に取り付け可能なカバー材と、前記カバー材に取り付け可能なガスケットとを備えている。前記ベース材は、前記カバー材が取り付けられていない状態で前記目地の目地底に固定具により固定可能な固定部を有している。
【0007】
本発明に係る目地構造は、前記目地部材を備えた目地構造である。前記ベース材は、前記固定部が前記固定具により前記目地底に固定されている。前記カバー材は、前記ベース材に取り付けられている。前記ガスケットは、前記カバー材に取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ベース材はガスケットが直接取り付けられるものではないため、ガスケットの形状や大きさの影響を少なくして形成することができる。従って、固定部を固定具で目地底に固定しやすい形状にベース材を形成することができ、施工しやすい目地部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施の形態で使用するベース材を示す一部省略した斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態で使用するカバー材を示す一部省略した斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施の形態で使用するガスケットを示す一部省略した斜視図である。
図4図4Aは、本発明の一実施の形態で使用するパネルを示す一部省略した斜視図である。図4Bは、本発明の一実施の形態で使用するパネルを示す一部省略した断面図である。
図5図5は、本発明の一実施の形態で使用するベース材を取り付けた状態を示す断面図である。
図6図6は、本発明の一実施の形態で使用するベース材及びカバー材を取り付けた状態を示す断面図である。
図7図7は、本発明の目地構造に係る一実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
<目地部材>
本実施形態の目地部材100は、ベース材10と、カバー材30と、ガスケット50とを備えている。図1~7において、矢印Xは水平方向であり、目地部材100、ベース材10、カバー材30、及びガスケット50の短手方向でもある。矢印Yは後方向であり、目地部材100、ベース材10、カバー材30、及びガスケット50の後方向を示し、矢印Yと反対方向が前方向である。また矢印Zは、矢印X及び矢印Yと直交する方向で、鉛直下向き方向であり、目地部材100、ベース材10、カバー材30、及びガスケット50の長手方向でもある。
【0012】
図1は、ベース材10の斜視図を示している。ベース材10はアルミニウムの押出成形品などであって、長尺に形成されている。ベース材10は一定の断面形状を有しており、固定片11と一対の挟持片12とを備えて断面コ字状に形成されている。
【0013】
固定片11は平板状に形成されている。また固定片11の短手方向の略中央部には固定部13が設けられている。固定部13は固定片11の他の部分よりも厚く形成され、固定片11の前方へ突出するように形成されている。また固定部13の短手方向の略中央部にはV字状の溝部14が設けられている。
【0014】
挟持片12は平板状に形成されている。また挟持片12は、固定片11の短手方向の端部に一つずつ設けられている。挟持片12は固定片11の端部から略垂直に前方へ突出している。従って、一対の挟持片12は互いに対向している。また一対の挟持片12の間に固定部13が位置している。各挟持片12の先端には係止部15が設けられている。各係止部15はベース材10の内方に向かって突出している。
【0015】
図2は、カバー材30の斜視図を示している。カバー材30はアルミニウムの押出成形品などであって、ベース材10と同様に、長尺に形成されている。カバー材30は一定の断面形状を有しており、カバー部31、引掛け部32、突出部33を備えて形成されている。
【0016】
カバー部31は弾性部34と一対の側片部35とを備えている。弾性部34は、カバー部31の短手方向の略中央部に形成されている。側片部35は弾性部34の短手方向の各端部から外側に突出して形成されている。弾性部34は一対の側片部35よりも後方に突出して形成されている。
【0017】
引掛け部32は各側片部35に一つずつ設けられている。各引掛け部32は各側片部35の後面から後方に突出して形成されている。各引掛け部32には短手方向の外方(側方)に突出する突起部36が設けられている。一対の引掛け部32は互いに対向している。
【0018】
突出部33は弾性部34と側片部35の境界付近に一つずつ設けられている。各突出部33は前方に突出して形成されている。各突出部33の先端には嵌合凸部37が設けられている。嵌合凸部37は突出部33の短手方向の両側に突出している。一対の突出部33は互いに対向している。
【0019】
図3は、ガスケット50の斜視図を示している。ガスケット50はEPDMやゴムなどの弾性体の押出成形品などであって、長尺に形成されている。ガスケット50は一定の断面形状を有しており、基板部51、第一防水片52、第二防水片53を備えて形成されている。
【0020】
基板部51は前面及び両側面が平坦面に形成され、一対の嵌合溝54が後面に開口して設けられている。一対の嵌合溝54は短手方向に並んで形成されており、長手方向に互いに平行に形成されている。各嵌合溝54の一方の開口縁部には第一係止部55が形成され、他方の開口縁部には第二係止部56が形成されている。第一係止部55は第二係止部56よりも突出寸法が大きく形成されている。
【0021】
第一防水片52は基板部51の一方の側面前部と他方の側面前部とに設けられている。各第一防水片52は基板部51の側面前部から短手方向に突出している。第二防水片53は基板部51の一方の側面後部と他方の側面後部とに設けられている。各第二防水片53は基板部51の側面後部から短手方向に突出している。第二防水片53は第一防水片52よりも突出寸法が大きく形成されている。
【0022】
<目地構造>
本実施形態の目地構造は外壁等に形成されるものであり、隣り合うパネルの間の目地に上記の目地部材100を配置することにより形成される。
【0023】
パネル200は外壁パネルであって、例えば、図4A及び図4Bに示すように、金属サンドイッチパネルを使用することができる。この場合、パネル200は表裏二枚の金属外皮201の間に芯材202を設けて形成することができる。金属外皮201としてはガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板などの鋼板を例示することができ、芯材202はロックウールなどの断熱材205と石膏ボードなどの耐火材206との複合材料である。
【0024】
パネル200の両方の側端部には箱折り部210が設けられている。箱折り部210は、表面側の金属外皮201に形成されており、パネル200の表面を構成する平面部203の側端部から後方に向かって略垂直に折れ曲がった目地側片211と、目地側片211の後端部から側方に向かって略垂直に折れ曲がった目地底片212とを有して形成されている。箱折り部210はパネル200に上下方向の略全長にわたって設けられている。また箱折り部210にはシーリングテープなどの防水材213が設けられている。防水材213は目地底片212の前面と先端面と後面の一部とを覆うように折り曲げられて貼り付けられている。
【0025】
そして、目地300は、二枚のパネル200を水平方向で隣接させることによって形成される。この場合、一方のパネル200の目地底片212と他方のパネル200の目地底片212とが防水材213を介して前後に重ねられ、目地底片212と防水材213とで目地300の目地底301が形成される。また一方のパネル200の目地側片211と他方のパネル200の目地側片211とが対向して配置され、これら目地側片211の間で目地底301の前側の空間が目地300として形成される。
【0026】
目地300に目地部材100を取り付けるにあたっては、次のようにして行う。
【0027】
まず、図5に示すように、ベース材10が目地300に設けられる。ベース材10は、カバー材30が取り付けられていない状態で、目地底301にビスなどの固定具302で固定される。この場合、目地300に前側開口からベース材10を差し込み、固定片11の後面を目地底301の表面の防水材213に接触した状態にし、一対の挟持片12の間に固定具302を差し込み、この固定具302を溝部14にねじ込んで固定部13を貫通させる。
【0028】
次に、図6に示すように、目地300に取り付けたベース材10にカバー材30を取り付ける。この場合、カバー材30を前方からベース材10に近づけていき、一対の引掛け部32が一対の挟持片12の間に嵌め込むようにする。各引掛け部32に設けた突起部36は挟持片12の係止部15に引っ掛けられる。このとき、ベース材10の方がカバー材30よりも変形しやすいので、係止部15に対して引掛け部32が嵌めやすい。またカバー部31はベース材10の前面開口を覆うように配置される。またカバー部31の前側に一対の突出部33が突出した状態となっている。
【0029】
次に、図7に示すように、ベース材10に取り付けたカバー材30にガスケット50を取り付ける。この場合、ガスケット50を前方からカバー材30に近づけていき、一対の突出部33の嵌合凸部37のそれぞれに嵌合溝54を一つずつ嵌め込んでいく。このとき、ガスケット50を目地300に押し込んでいく。嵌合溝54に嵌め込まれた嵌合凸部37には第一係止部55及び第二係止部56が引っ掛かってガスケット50がカバー材30から脱落しにくくなる。また、ガスケット50の第一防水片52及び第二防水片53が目地側片211に弾性変形しながら接触する。このようにして、目地300の上下方向の全長にわった目地部材100を設けることができる。
【0030】
本実施形態は、以下の特徴を有する。
【0031】
第一の態様の目地部材100は、隣り合うパネル200の間の目地300に設けられる目地部材100である。目地300に固定可能なベース材10と、ベース材10に取り付け可能なカバー材30と、カバー材30に取り付け可能なガスケット50とを備えている。ベース材10は、カバー材30が取り付けられていない状態で目地300の目地底301に固定具302により固定可能な固定部13を有している。
【0032】
この場合、ベース材10はガスケット50が直接取り付けられるものではないため、ガスケット50の形状や大きさの影響を少なくして形成することができ、固定部13を固定具302で目地底301に固定しやすい形状にベース材10を形成することができ、施工しやすい目地部材100を提供することができる。
【0033】
第二の態様の目地部材100は、第一の態様において、ベース材10は、対向する複数の挟持片12を有している。カバー材30は、対向する複数の挟持片12で挟まれてベース材10に取り付け可能に形成されている。固定部13は、対向する複数の挟持片12の間から差し込まれた固定具302が貫通可能な位置に形成されている。
【0034】
この場合、対向する複数の挟持片12の間から固定具302を貫通させて固定部13を固定することができ、ベース材10の取り付けが行いやすい。
【0035】
第三の態様は、第一又は第二の態様において、カバー材30は、挟持片12に引っ掛け可能な引掛け部32を有している。
【0036】
この場合、カバー材30をベース材10に引っ掛けにより取り付けることができ、カバー材30の取り付けが行いやすい。
【0037】
第四の態様は、第二又は第三の態様において、カバー材30は、対向する複数の挟持片12の間隙を覆ってベース材10に取り付け可能に形成されている。
【0038】
この場合、カバー材30をベース材10に取り付けた場合に、ベース材10の間隙から雨水が浸入しにくくなり、防水性が向上する。
【0039】
第五の態様は、第一乃至第四のいずれか一つにおいて、カバー材30は、突出部33を有している。ガスケット50は、突出部33が差し込み可能な嵌合溝54を有している。
【0040】
この場合、突出部33を嵌合溝54に差し込んでガスケット50をカバー材30に取り付けることができ、ガスケット50の取り付けが行いやすい。
【0041】
第六の態様は、第一乃至第五の態様の目地部材100を備えた目地構造である。ベース材10は、固定部13が固定具302により目地底301に固定されている。カバー材30は、ベース材10に取り付けられている。ガスケット50は、カバー材30に取り付けられている。
【0042】
この場合、ベース材10はガスケット50が直接取り付けられるものではないため、ガスケット50の形状や大きさの影響を少なくして形成することができ、固定部13を固定具302で目地底301に固定しやすい形状にベース材10を形成することができ、施工しやすい。
【0043】
第七の態様は、第六の態様において、パネル200の側端部には目地底片212が設けられている。隣り合うパネル200のそれぞれに設けた目地底片212が重なって、目地底301が形成されている。各目地底片212には、その先端を覆うようにして防水材213が設けられている。
【0044】
この場合、目地底301は、目地底片212と防水材213が密着した状態で形成され、目地300の防水性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 ベース材
12 挟持片
13 固定部
30 カバー材
32 引掛け部
33 突出部
50 ガスケット
54 嵌合溝
100 目地部材
200 パネル
212 目地底片
213 防水材
300 目地
301 目地底
302 固定具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7