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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062143
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】水性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/498 20060101AFI20230425BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230425BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230425BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230425BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61K31/498
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/20
A61P27/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023025162
(22)【出願日】2023-02-21
(62)【分割の表示】P 2018160272の分割
【原出願日】2018-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久我 宏彰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水性組成物中のブリモニジンの高温保存時の含量低下を抑制でき、安定性に優れる水性組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)アミノ化合物;
を含有する、水性組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリモニジン酒石酸塩(化学名:5-Bromo-N-(4,5-dihydro-1H-imidazol-2-yl)quinoxaline-6-amine mono-(2R,3R)-tartrate)等のブリモニジンは、アドレナリンα2受容体作動薬の一種であり、房水産生抑制作用及びぶどう膜強膜流出路からの房水流出促進作用等を有し、優れた眼圧下降効果を発揮することから、例えば高眼圧症・緑内障治療薬等の眼科用剤の有効成分として利用されている(非特許文献1)。眼科用剤は通常、水を含有する組成物(水性組成物)であり、ブリモニジンを含有する水性組成物について、種々検討がなされている(例えば、特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004-504279号公報
【特許文献2】特開2012-246304号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】アイファガン(登録商標)点眼液0.1% 医薬品インタビューフォーム、千寿製薬株式会社 2013年5月(改訂第4版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水性組成物は、水を含有するため眼組織等の生体に優しく安全性に優れ、また、製造時や使用時においても取扱い易い、というメリットを有するものの、水を介した反応等により有効成分が不安定化し易い。ブリモニジンを含有する水性組成物においても、その安定性を向上させることにより、より品質に優れる医薬品等の提供が可能となる。
従って、本発明は、水性組成物中の、ブリモニジンの安定性を向上させる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討したところ、驚くべきことに、ブリモニジンを含有する水性組成物に、さらにクロルへキシジンに代表されるアミノ化合物を含有せしめることにより、水性組成物中のブリモニジンの高温保存時の含量低下が抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)アミノ化合物;
を含有する、水性組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、次の成分(A):
(A)ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
を含有する水性組成物に、次の成分(B):
(B)アミノ化合物;
を含有せしめる、水性組成物中のブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の安定化方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水性組成物中のブリモニジンの高温保存時の含量低下を抑制でき、安定性に優れる水性組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物>
本明細書において「ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」には、ブリモニジンのみならず、ブリモニジンの薬理学上許容される塩、さらにはブリモニジンやその薬理学上許容される塩と、水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。薬理学上許容される塩としては、特に限定されないが、具体的には例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩等が挙げられ、中でも、酒石酸塩が好ましい。
【0011】
ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物としては、ブリモニジン、ブリモニジン酒石酸塩(ブリモニジン1酒石酸塩)(化学名:5-Bromo-N-(4,5-dihydro-1H-imidazol-2-yl)quinoxaline-6-amine mono-(2R,3R)-tartrate)が好ましい。
ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は公知であり、公知の方法により製造しても良く、市販品を使用しても良い。
【0012】
水性組成物中のブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量は特に限定されず、適用疾患や患者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定すればよいが、優れた薬理作用を得る観点から、水性組成物全容量に対して0.01~10w/v%含有するのが好ましく、0.02~1w/v%含有するのがより好ましく、0.06~0.5w/v%含有するのが特に好ましい。
【0013】
<アミノ化合物>
本明細書において「アミノ化合物」とは、1個以上のアミノ基を有する化合物及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。ここで、塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、具体的には例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩等が挙げられる。さらに、アミノ化合物は水和物やアルコール和物等の溶媒和物であってもよい。
【0014】
アミノ化合物としては、例えば、置換基を有していてもよい脂肪族アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上、置換基を有していてもよい芳香族アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上、置換基を有していてもよいカルバモイル基を有する化合物及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上等が挙げられる。なお、斯かる置換基としては特に限定されず、例えば、ハロゲノ基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、グアニジノ基、カルバモイル基、メルカプト基、イミダゾリル基、メチルチオ基、フェニル基、インドリル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が組み合わさって置換していてもよい。
【0015】
置換基を有していてもよい脂肪族アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上としては、具体的には例えば、置換基を有していてもよい脂肪族第1級アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上、置換基を有していてもよい脂肪族第2級アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上、置換基を有していてもよい脂肪族第3級アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。この場合において、脂肪族基としては特に限定されないが、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量低下の抑制作用の観点から、炭素数1~12の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族基が好ましく、炭素数2~10の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族基がより好ましく、炭素数2~6の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族基が特に好ましい。
【0016】
置換基を有していてもよい脂肪族第1級アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上としては、具体的には例えば、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸カリウム、L-アスパラギン酸マグネシウム、DL-アラニン、L-アラニン、L-アルギニン、L-アルギニン塩酸塩、イプシロン-アミノカプロン酸、グリシン、L-グルタミン、L-グルタミン酸、L-グルタミン酸塩酸塩、L-グルタミン酸カリウム、L-グルタミン酸ナトリウム、L-シスチン、L-システイン、L-システイン塩酸塩水和物、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物、L-フェニルアラニン、DL-メチオニン、L-メチオニン、L-リシン、L-リシン塩酸塩、dl-ロイシン、L-ロイシン等の、置換基として少なくともカルボキシル基を有する脂肪族第1級アミン(アミノ酸);トロメタモール、モノエタノールアミン等の、置換基として水酸基を有する脂肪族第1級アミン;タウリン等の、置換基としてスルホン酸基を有する脂肪族第1級アミン;ネタースジルメシル酸塩(好適には2メシル酸塩)などのネタースジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物等の、置換基として少なくともフェニル基を有する脂肪族第1級アミン;エチレンジアミン等の無置換脂肪族第1級アミン等が挙げられる。
置換基を有していてもよい脂肪族第2級アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上としては、具体的には例えば、カルテオロール塩酸塩(好適には1塩酸塩)などのカルテオロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、チモロールマレイン酸塩(好適には1マレイン酸塩)などのチモロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物等の、置換基として少なくとも水酸基を有する脂肪族第2級アミン;クロルヘキシジン塩酸塩(好適には2塩酸塩)、クロルヘキシジングルコン酸塩(好適には2グルコン酸塩)、クロルヘキシジン酢酸塩(好適には2酢酸塩)などのクロルヘキシジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物等の、置換基として少なくともグアニジノ基を有する脂肪族第2級アミン;オミデネパグイソプロピルなどのオミデネパグイソプロピル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物等の、置換基として少なくともイソプロポキシカルボニル基を有する脂肪族第2級アミン等が挙げられる。
置換基を有していてもよい脂肪族第3級アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上としては、具体的には例えば、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、エデト酸四ナトリウム等の、置換基としてカルボキシル基を有する脂肪族第3級アミン等が挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上としては、具体的には例えば、アミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
さらに、置換基を有していてもよいカルバモイル基を有する化合物及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上としては、具体的には例えば、エチル尿素、尿素、フェンプロバメート等が挙げられる。
なお、これらのアミノ化合物はいずれも公知であり、公知の方法により製造しても良く、市販品を使用しても良い。また、アミノ化合物としては、他の成分と塩や錯体を形成したものを用いても良い。
【0017】
アミノ化合物としては、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量低下の抑制作用の観点から、置換基を有していてもよい脂肪族アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、置換基を有していてもよい脂肪族第1~3級(好適には第2級)アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、置換基としてカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、グアニジノ基、カルバモイル基、メルカプト基、イミダゾリル基、メチルチオ基及びフェニル基(好適にはカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、グアニジノ基及びイミダゾリル基)よりなる群から選ばれる1種以上を(好適には1~4個)有してもよい、炭素数1~12(好適には2~10、特に好適には2~6)の脂肪族第1~3級(好適には第2級)アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イプシロン-アミノカプロン酸、エデト酸、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、リシン、ロイシン、トロメタモール、モノエタノールアミン、タウリン、エチレンジアミン、クロルへキシジン、エデト酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、アルギニン、イプシロン-アミノカプロン酸、グルタミン酸、タウリン、ヒスチジン、リシン、トロメタモール、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、クロルヘキシジン、エデト酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、クロルヘキシジン、エデト酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、クロルへキシジン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、クロルヘキシジン、クロルへキシジンの塩酸塩、クロルヘキシジンのグルコン酸塩及びクロルヘキシジンの酢酸塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、第十七改正日本薬局方に収載のクロルヘキシジン塩酸塩及びクロルヘキシジングルコン酸塩液よりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、第十七改正日本薬局方に収載のクロルヘキシジングルコン酸塩液が特に好ましい。
【0018】
水性組成物中のアミノ化合物の含有量は特に限定されないが、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量低下の抑制作用の観点から、水性組成物全容量に対して、合計で0.00001~10w/v%含有するのが好ましく、0.00005~5w/v%含有するのがより好ましく、0.0001~1w/v%含有するのが特に好ましい。特に、アミノ化合物として、クロルヘキシジン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を用いる場合においては、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量低下の抑制作用の観点から、水性組成物全容量に対して、合計で0.0001~0.1w/v%含有するのが好ましく、0.0005~0.05w/v%含有するのがより好ましく、0.001~0.01w/v%含有するのが特に好ましい。
【0019】
また、水性組成物中のブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とアミノ化合物の含有質量比率は特に限定されないが、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量低下の抑制作用の観点から、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をそのフリー体に換算して1質量部に対し、アミノ化合物を合計で0.00005~100質量部含有するのが好ましく、0.0005~50質量部含有するのがより好ましく、0.005~5質量部含有するのが特に好ましい。中でも、アミノ化合物がクロルヘキシジン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である場合においては、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量低下の抑制作用の観点から、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をそのフリー体に換算して1質量部に対し、クロルへキシジン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を合計で0.0001~10質量部含有するのが好ましく、0.001~1質量部含有するのがより好ましく、0.01~0.1質量部含有するのが特に好ましい。
【0020】
本明細書において「水性組成物」とは、少なくとも水を含有する組成物を意味し、その性状としては、液状(溶液又は懸濁液)、半固形状(軟膏)が挙げられ、液状が好ましい。なお、組成物中の水としては例えば、精製水、注射用水、滅菌精製水等を用いることができる。
水性組成物に含まれる水の含有量は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、90~99.9質量%が特に好ましい。
【0021】
水性組成物は、例えば、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に従って、種々の剤形とすることができる。剤形としては、例えば、注射剤、吸入液剤、点眼剤、眼軟膏剤、点耳剤、点鼻液剤、注腸剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、ゲル剤、経口液剤、シロップ剤等が挙げられる。剤形としては、ブリモニジンの有する薬理作用を有利に利用する観点から、眼科用剤、具体的には点眼剤、眼軟膏剤が好ましく、点眼剤が特に好ましい。
【0022】
水性組成物には、剤形に応じて、医薬品や医薬部外品等で利用される添加物を含んでいても良い。このような添加物としては、例えば、無機塩類、等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤、粘稠化剤、界面活性剤、可溶化剤、懸濁化剤、清涼化剤、分散剤、保存剤、油性基剤、乳剤性基剤、水溶性基剤等が挙げられる。なお、こうした添加物として、前記の「アミノ化合物」を更に用いてもよい。
こうした添加物としては、具体的には例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、アルギン酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、ウイキョウ油、エタノール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、カルボキシビニルポリマー、乾燥亜硫酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、d-カンフル、dl-カンフル、キシリトール、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、グリセリン、グルコン酸、クロロブタノール、結晶リン酸二水素ナトリウム、ゲラニオール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム水和物、酸化チタン、ジェランガム、ジブチルヒドロキシトルエン、臭化カリウム、臭化べンゾドデシニウム、酒石酸、水酸化ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル45、精製ラノリン、D-ソルビトール、ソルビトール液、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、チオ硫酸ナトリウム水和物、チメロサール、チロキサポール、デヒドロ酢酸ナトリウム、濃グリセリン、濃縮混合トコフェロール、白色ワセリン、ハッカ水、ハッカ油、濃ベンザルコニウム塩化物液50、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、ヒアルロン酸ナトリウム、人血清アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、氷酢酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、フェニルエチルアルコール、ブドウ糖、プロピレングリコール、ベルガモット油、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物液、ベンジルアルコール、ベンゼトニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物液、ホウ砂、ホウ酸、ポビドン、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレングリコール(70)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、d-ボルネオール、マクロゴール4000、マクロゴール6000、D-マンニトール、無水クエン酸、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、メタンスルホン酸、メチルセルロース、l-メントール、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ユーカリ油、ヨウ化カリウム、硫酸、硫酸オキシキノリン、流動パラフィン、リュウノウ、リン酸、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リンゴ酸、ワセリン等が例示される。
【0023】
添加物としては、例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、グリセリン、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム水和物、酒石酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、濃グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ホウ砂、ホウ酸、ポビドン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、マクロゴール4000、マクロゴール6000、無水クエン酸、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、メチルセルロース、リン酸、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、ヒアルロン酸ナトリウム、ブドウ糖、l-メントール等が好ましい。
【0024】
水性組成物は、さらに、上記した以外に、適用疾患等に応じて、他の薬効成分を含んでいても良い。このような薬効成分としては、例えば、ブナゾシン塩酸塩などのブナゾシン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むα1受容体遮断薬;アプラクロニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むα2受容体作動薬;ニプラジロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ベタキソロール塩酸塩などのベタキソロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、レボブノロール塩酸塩などのレボブノロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ベフノロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、メチプラノロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むβ遮断薬;ドルゾラミド塩酸塩などのドルゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ブリンゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、アセタゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ジクロルフェナミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、メタゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含む炭酸脱水酵素阻害剤;イソプロピルウノプロストン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、タフルプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、トラボプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ビマトプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ラタノプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、クロプロステノール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、フルプロステノール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むプロスタグランジン類;ジピベフリン塩酸塩などのジピベフリン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、エピネフリン、エピネフリンホウ酸塩、エピネフリン塩酸塩などのエピネフリン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含む交感神経作動薬;ジスチグミン臭化物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ピロカルピン、ピロカルピン塩酸塩、ピロカルピン硝酸塩などのピロカルピン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、カルバコール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含む副交感神経作動薬;ロメリジン塩酸塩などのロメリジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むカルシウム拮抗薬;デメカリウム若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、エコチオフェート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、フィゾスチグミン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むコリンエステラーゼ阻害剤などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合できる。なお、水性組成物は、リパスジル塩酸塩水和物等のリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含まないものでもよい。
他の薬効成分としては、ラタノプロスト、ニプラジロール、ドルゾラミド及びブリンゾラミド並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0025】
水性組成物のpH(25℃)は特に限定されないが、4~8.5が好ましく、5~8がより好ましく、6~7.5が特に好ましい。また、生理食塩水に対する浸透圧比は特に限定されないが、0.6~3が好ましく、0.6~2がより好ましい。
【0026】
水性組成物は、保存安定性、携帯性等の観点から、容器に収容されるのが好ましい。容器の形態は、水性組成物を収容可能であることを限度として特に限定されず、剤形等に応じて適宜選択、設定すればよい。このような容器の形態としては、具体的には例えば、注射剤用容器、吸入剤用容器、スプレー剤用容器、ボトル状容器、チューブ状容器、点眼剤用容器、点鼻剤用容器、点耳剤用容器、バッグ容器等が挙げられる。また、これらの容器はさらに箱、袋等によって包装されていてもよい。
【0027】
容器の材質(材料)は特に限定されず、容器の形態に応じて適宜選択すればよい。具体的には例えば、ガラス、プラスチック、セルロース、パルプ、ゴム、金属等が挙げられる。加工性、スクイズ性や耐久性の観点から、プラスチック製であるのが好ましい。プラスチック製容器の樹脂としては、熱可塑性樹脂であるのが好ましく、例えば、低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレナフタレート)等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;スチレン系樹脂などが挙げられ、これらの混合体(ポリマーアロイ)であってもよい。
【0028】
水性組成物の適用疾患は特に限定されず、ブリモニジンの薬理作用等に応じて適宜選択すればよい。
具体的には例えば、ブリモニジンの有するアドレナリンα2受容体活性化作用や眼圧低下作用に基づき、高眼圧症や緑内障の予防又は治療剤として利用できる。ここで、緑内障としては、より詳細には例えば、原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、plateau iris syndrome、混合型緑内障、ステロイド緑内障、水晶体の嚢性緑内障、色素緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障などが挙げられる。
【0029】
なお、水性組成物を眼疾患(好適には、高眼圧症、緑内障及び眼底疾患から選ばれる疾患:特に好適には、高眼圧症、及び緑内障から選ばれる疾患)の予防及び/又は治療剤として利用する場合においては、期待する薬効の程度に応じて、適量(例えば、点眼剤であれば1滴程度)を、1日1~3回程度、好適には1日1~2回程度投与すればよい。
【0030】
なお、本明細書は、これらに何ら限定されるものではないが、例えば以下の態様の発明を開示する。
[1A] 次の成分(A)及び(B):
(A)ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)アミノ化合物;
を含有する、水性組成物。
[2A] 成分(A)が、ブリモニジン酒石酸塩である、[1A]記載の水性組成物。
[3A] 成分(B)が、置換基を有していてもよい脂肪族アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]又は[2A]記載の水性組成物。
[4A] 成分(B)が、置換基としてカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、グアニジノ基、カルバモイル基、メルカプト基、イミダゾリル基、メチルチオ基及びフェニル基(好適にはカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、グアニジノ基及びイミダゾリル基)よりなる群から選ばれる1種以上を(好適には1~4個)有してもよい、炭素数1~12(好適には2~10、特に好適には2~6)の脂肪族第1~3級(好適には第2級)アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[3A]のいずれか記載の水性組成物。
[5A] 成分(B)が、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イプシロン-アミノカプロン酸、エデト酸、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、リシン、ロイシン、トロメタモール、モノエタノールアミン、タウリン、エチレンジアミン、クロルへキシジン、エデト酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[4A]のいずれか記載の水性組成物。
[6A] 成分(B)が、クロルヘキシジン、クロルへキシジンの塩酸塩、クロルヘキシジンのグルコン酸塩及びクロルヘキシジンの酢酸塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[5A]のいずれか記載の水性組成物。
[7A] 眼科用剤である、[1A]~[6A]のいずれか記載の水性組成物。
[8A] 点眼剤である、[7A]記載の水性組成物。
[9A] 高眼圧症、及び緑内障よりなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[1A]~[8A]のいずれか記載の水性組成物。
[10A] リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含まないものである、[1A]~[9A]のいずれか記載の水性組成物。
[11A] [1A]~[10A]のいずれか記載の水性組成物が、容器に収容されてなる、医薬品。
【0031】
[1B] 次の成分(A):
(A)ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
を含有する水性組成物に、次の成分(B):
(B)アミノ化合物;
を含有せしめる、水性組成物中のブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の安定化方法(好適には、含量低下の抑制方法)。
[2B] 成分(A)が、ブリモニジン酒石酸塩である、[1B]記載の方法。
[3B] 成分(B)が、置換基を有していてもよい脂肪族アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]又は[2B]記載の方法。
[4B] 成分(B)が、置換基としてカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、グアニジノ基、カルバモイル基、メルカプト基、イミダゾリル基、メチルチオ基及びフェニル基(好適にはカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、グアニジノ基及びイミダゾリル基)よりなる群から選ばれる1種以上を(好適には1~4個)有してもよい、炭素数1~12(好適には2~10、特に好適には2~6)の脂肪族第1~3級(好適には第2級)アミン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[3B]のいずれか記載の方法。
[5B] 成分(B)が、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イプシロン-アミノカプロン酸、エデト酸、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、ヒスチジン、フェニルアラニン、メチオニン、リシン、ロイシン、トロメタモール、モノエタノールアミン、タウリン、エチレンジアミン、クロルへキシジン、エデト酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[4B]のいずれか記載の方法。
[6B] 成分(B)が、クロルヘキシジン、クロルへキシジンの塩酸塩、クロルヘキシジンのグルコン酸塩及びクロルヘキシジンの酢酸塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[5B]のいずれか記載の方法。
[7B] 前記水性組成物が、眼科用剤である、[1B]~[6B]のいずれか記載の方法。
[8B] 前記眼科用剤が、点眼剤である、[7B]記載の方法。
[9B] 前記水性組成物が、高眼圧症、及び緑内障よりなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[1B]~[8B]のいずれか記載の方法。
[10B] 前記水性組成物が、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含まないものである、[1B]~[9B]のいずれか記載の方法。
【実施例0032】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0033】
[試験例1]保存試験(ブリモニジンの安定性評価)
水性組成物中のブリモニジンの安定性を評価するため、表1に示す成分及び分量を100mL当たりに含有する、実施例1及び比較例1の水性組成物を常法により調製した。
得られた各水性組成物を80℃で1日間保存し、保存後のブリモニジンの残存率を、以下の通り測定した。
すなわち、保存開始前、及び1日間保存後の各水性組成物について、HPLC装置を用いてピーク高さを測定し、以下の式に従い、ブリモニジンの残存率(%)を算出し、含量低下の指標とした。
【0034】
ブリモニジンの残存率(%)=保存後のブリモニジンのピーク高さ/保存開始前のブリモニジンのピーク高さ×100
【0035】
結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1記載の結果より、ブリモニジンのみ含有する水性組成物(比較例1)では、80℃で1日間保存するとブリモニジンの残存率が96.5%程度となり、含量低下が生じた。一方、ブリモニジンに加えてさらにクロルヘキシジングルコン酸塩を含有する水性組成物(実施例1)では、80℃で1日間保存後においても、実質的にブリモニジンの含量低下は認められなかった。
【0038】
以上の試験例1の結果から、ブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物に、さらにクロルヘキシジン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上に代表されるアミノ化合物を含有せしめることにより、ブリモニジンの含量低下を抑制できることが明らかとなった。
【0039】
[製造例1~27]
表2~表4に記載の成分及び分量(水性組成物100mL当たりの量(g))を含有する水性組成物を常法により製造できる。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、安定性に優れた水性組成物を提供でき、医薬品産業等において好適に利用できる。