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特開2023-62198心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させるためのETC1002及び1種以上のスタチンを含む固定用量組合せ物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062198
(43)【公開日】2023-05-02
(54)【発明の名称】心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させるためのETC1002及び1種以上のスタチンを含む固定用量組合せ物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/20 20060101AFI20230425BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230425BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230425BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230425BHJP
   A61K 31/366 20060101ALI20230425BHJP
   A61K 31/22 20060101ALI20230425BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20230425BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20230425BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20230425BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61K31/20
A61P9/00
A61P3/06
A61P43/00 121
A61K31/366
A61K31/22
A61K31/404
A61K31/40
A61K31/505
A61K31/47
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028113
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2021031891の分割
【原出願日】2016-03-16
(31)【優先権主張番号】62/133,739
(32)【優先日】2015-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/277,403
(32)【優先日】2016-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516281436
【氏名又は名称】エスペリオン・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Esperion Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニュートン,ロジャー,スコフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンベルク,ノア,ラバン
(72)【発明者】
【氏名】マクドウガル,ダイアン,エレイン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】心血管状態を処置するか又は心血管状態のリスクを低減させるための方法及び組成物を提供する。
【解決手段】対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法であって、固定用量のETC-1002又はその類似体及び固定用量の1種以上のスタチン又はその類似体の固定用量組合せ物をそれを必要とする対象に投与することを含み、任意選択で、ETC-1002を120mgの固定用量又は180mgの固定用量で投与し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの間の固定用量で投与し、任意選択で、対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法であって、固定用量のETC-1002又はその類似体及び固定用量の1種以上のスタチン又はその類似体の固定用量組合せ物をそれを必要とする対象に投与することを含み、任意選択で、ETC-1002を120mgの固定用量又は180mgの固定用量で投与し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの間の固定用量で投与し、任意選択で、対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法。
【請求項2】
対象における総コレステロール及びnon-HDL-Cのレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象における低密度リポタンパク質(LDL)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
対象におけるLDL粒子の数が、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象におけるアポリポタンパク質B(ApoB)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のもの未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のもの未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比が、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1種以上のスタチンが、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、フルバスタチン、及びピタバスタチンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
対象が、高コレステロール血症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
対象が、動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
対象が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
治療量の固定用量のETC-1002及びそれぞれ固定用量の1種以上のスタチンを含む治療組成物。
【請求項13】
用量が、1種のスタチンについて2~80mgの間である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
量が、ETC-1002について120又は180mg用量及び1種以上のスタチンのそれぞれについて2~80mgの固定用量である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
用量が、1種のスタチンについて40~80mgの間である、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
1種以上のスタチンが、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、フルバスタチン、及びピタバスタチンからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、そのそれぞれが全体として参照により本明細書に組み込まれている、2015年3月16日出願の米国仮特許出願第62/133,739号及び2016年1月11日出願の米国仮特許出願第62/277,403号の利益を主張する。
【0002】
この出願は、心血管状態を処置するか又は心血管状態のリスクを低減させるために有用な方法及び組成物に関する。スタチンは、心血管疾患の予防及び処置の基本であるが、心血管疾患は、米国及び世界中の他の国々において、引き続き最も主要な死因である。米国だけでも、数百万人の人々が心血管疾患又は障害を患っている。
【背景技術】
【0003】
低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)は、心血管疾患に対する確立したリスク因子である。しかし、多くの患者、例えば高コレステロール血症を有する患者は、従来の療法でLDL-Cを所望のレベルまで低減させることに失敗している。新たなコレステロール降下薬の進歩にもかかわらず、依然として残っている心血管リスク、特に高コレステロール患者で観察される心血管リスクが存在することにより、新たな、従来にはない医薬の探索が促進されている。新たな医薬品が開発され、人体のコレステロールレベルを低減させるのに効果がある。残念なことに、これらの薬物もネガティブな副作用を誘発する。コレステロール生合成の酵素を阻害するのに有効であることが示された多くの化合物も全身毒性である。したがって、コレステロールを低減させるのに有効且つ安全な新規医薬製剤に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
この出願は、心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させるための、固定用量のETC-1002及びスタチンを含む方法及び組成物に関する。
【0005】
ETC-1002(ベンペド酸)は、アデノシン三リン酸(ATP)シトレートリアーゼ(ATPCL)を阻害することによりコレステロールを低下させる、経口による1日1回療法である。ATPCLは、コレステロール生合成経路において、HMG-CoAレダクターゼよりさらに上流にある。
【0006】
ETC-1002は、肝臓のアデノシン三リン酸シトレートリアーゼを直接阻害して、コレステロールのデノボ合成を低減させ且つLDL受容体発現を増加させることによって、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低下させる。1日120mg~240mgの用量で投与されたETC-1002は、2型糖尿病を有する患者及び筋肉に関連するスタチン不耐性を有する患者を含む種々の高コレステロール血症集団の第2a相臨床試験において、LDL-Cを27%~43%まで低減させた。
【0007】
「スタチン」の一般分類は、酵素3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼを阻害し、付随して、肝臓におけるコレステロールを合成するための経路を阻害することによって身体のコレステロールレベルを低下させる化合物である。「スタチン」の分類の一部である化合物の例として、これらに限定されないが、アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、及びプラバスタチンが挙げられる。処置では、通常、約2mg~80mgのスタチン化合物が投与される。
【0008】
本発明者らは、HMG-CoAレダクターゼの阻害により、LDL受容体の活性が増大されることを見出した。さらに、本発明者らは、これら2つの療法を組み合わせることにより、協同的な活性、及び好ましい臨床処置が導かれることを見出している。したがって、本発明は、スタチン及びETC-1002を含むコレステロール低下組成物を対象とする。これらの組成物は、患者の総コレステロール、具体的にはLDL-Cのさらなる低減を導く。
【0009】
本出願は、ETC-1002及び1種以上のスタチンの固定用量組合せ物を使用してコレステロールを低下させる方法も開示する。進行中の試験での観察に基づくと、ETC-1002及び固定の高投薬量の1種以上のスタチンの併用療法は、固定の低投薬量から中程度投薬量の1種以上のスタチンと組み合わせたETC-1002の併用療法に対して、比較的有効且つ安全である。当然のことながら、ETC-1002及び固定の高投薬量の1種以上のスタチンを用いる併用療法は、スタチンに関連する筋肉症状の病歴を有する又は有さない患者において、スタチン又はETC-1002の単剤療法(1日120mg又は180mg)に対しても有意に優れている。併用療法は、急性の高コレステロール血症患者においても、有意に優れた有効性及び安全性プロファイルを示す。
【0010】
一態様では、本発明の方法及び組成物は、この高投薬量での安定したスタチン療法にもかかわらず、持続的に上昇したLDL-Cを有する患者におけるコレステロールをさらに低下させる。
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、及び添付の図面を鑑みて、より理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】患者の配置を示す図である。*1人の患者は、無作為化されたが、試験薬を受ける前に中止した。AE=有害事象、mITT=修正治療意図。
図2】12週目までのベースラインからのLDL-Cの平均パーセント変化を示すグラフである。これらのデータは、修正治療意図集団に由来する。LDL-C=低密度リポタンパク質コレステロール、LS=最小二乗。プラセボに対して*p=0.0055、プラセボに対して†p<0.0001。エラーバーは標準誤差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
利点及び有用性
簡潔に言えば、以下により詳細に記載されているように、本明細書に記載されているのは、組成物、前記組成物を作製する方法並びに1種以上のスタチン及びETC-1002の固定用量組合せ物を使用して心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させるための方法である。この手法に対する利点は多数あり、これらに限定されないが、1種以上のスタチン及びETC-1002の固定用量組合せ物で処置した患者において、患者がスタチン又はETC-1002のいずれか単独で処置された場合よりも、コレステロール及び低密度リポタンパク質のレベルの低減が増大することを含む。上述したように、スタチンは、心血管疾患の予防及び処置の基本であるが、多くの患者において望ましくない副作用を生じさせる場合がある。このような副作用には、これらに限定されないが、肝臓酵素の濃度増大、筋肉の問題、及び糖尿病のリスクの増大が含まれる。高コレステロール血症患者においてスタチンを中止すると、心血管リスクが高まるため、スタチンに伴う筋肉症状は重要な臨床問題である。したがって、筋肉に関するスタチン不耐性を示す患者に対して、心血管療法に対する重大な必要性が存在する。
【0014】
定義
特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、他に特定されなければ、以下に示すように定義される。
【0015】
特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、他に特定されなければ、以下に示すように定義される。さらに、本明細書で使用される任意の用語又は記号が以下に示すように定義されていない場合、当技術分野における通常の意味を有する。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、要素を記載する文脈で(特に、以下の特許請求の範囲の文脈で)、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの単数形の冠詞及び同様の言及は、本明細書で他に示されていなければ又は文脈に明らかに矛盾しなければ、単数形及び複数形の両方を網羅するものと解釈されるべきである。本明細書において値の範囲についての記載は、本明細書で他に示されていなければ、範囲の上界及び下界を含む、範囲内にある個々の値を個別に指す簡略化方法として作用することを単に意図するのではなく、個々の値は、本明細書に個別に記載されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書で他に示されていなければ又は文脈に明らかに矛盾しなければ、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で与えられる任意の及び全ての実施例、又は例示の言語(例えば、「など」)の使用は、他に述べられていなければ、単に実施例をより説明することを意図するものであり、特許請求の範囲の範囲に制限をもたらすものではない。本明細書における言語は、本質的に、いかなる特許請求されていない要素も指すものとして解釈されるべきではない。
【0017】
一般的に、ある特定の要素、例えば水素又はHへの言及は、その要素の全ての同位体を含むことを意味する。例えば、R基が水素又はHを含むことが定義されている場合、重水素及びトリチウムも含む。したがって、トリチウム、C14、P32及びS35などの放射性同位体を含む化合物は、本技術の範囲内にある。このような標識を本技術の化合物に挿入するための手順は、本明細書の開示に基づいて当業者にとって容易に明らかとなる。
【0018】
用語「寛解」は、疾患状態、例えば炎症性疾患状態の処置における任意の治療上有益な結果を指し、疾患状態の重症度若しくは進行の減弱、緩解、又は治癒を含む。一部の実施形態では、「寛解」は、疾患状態の予防を含む。
【0019】
用語「インビトロ」は、生物から分離して増殖する、例えば組織培養で増殖する生細胞で生じるプロセスを指す。
【0020】
用語「インビボ」は、生物内で生じるプロセスを指す。
【0021】
用語「哺乳類」は、本明細書で使用する場合、ヒト及び非ヒトの両方を含み、これらに限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、及びブタを含む。
【0022】
用語「十分量」は、所望の効果を生じさせるのに十分な量、例えば、細胞におけるタンパク質凝集を調節するのに十分な量を意味する。
【0023】
用語「治療有効量」は、疾患の症状を寛解させるのに有効な量である。予防は療法と考えることができるので、治療有効量は、一部の実施形態では、「予防有効量」であってよい。
【0024】
本技術の化合物は、溶媒和物、特に水和物として存在することができる。水和物は、化合物又は化合物を含む組成物の製造中に形成する場合があり、又は水和物は、化合物の吸湿性により経時的に形成する場合がある。本技術の化合物は、とりわけDMF、エーテル、及びアルコール溶媒和物を含む有機溶媒和物としても存在することができる。任意の特定の溶媒和物の特定及び製造については、合成有機又は医薬品化学の当業者の技術の範囲内である。
【0025】
「対象」は、本発明の化合物を使用して処置される哺乳動物生物体を指す。「対象」は、ヒト又は非ヒト哺乳動物生物体であってよい。
【0026】
「互変異性体」は、エノール-ケト及びイミン-エナミン互変異性体などの、プロトンの位置が異なる化合物の代替形態、又はピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、及びテトラゾールなどの環NH部分及び環=N部分の両方に結合している環原子を含有するヘテロアリール基の互変異性形態を指す。
【0027】
対象の疾患又は障害を「処置すること(treating)」又は「処置(treatment)」は、1)疾患若しくは障害の影響を受けやすい又は疾患若しくは障害の症状を未だ呈していない対象において疾患又は障害が生じるのを予防すること、2)疾患若しくは障害を阻害すること又はその発症を阻止すること、或いは3)疾患又は障害の退行の原因を寛解させること又は緩和することを指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防的処置(prophylactic treatment)」などは、疾患、障害、又は状態を有していないが、発症するリスクを有するか又は発症しやすい対象の疾患、障害、又は状態を発症する可能性を低減させることを指す。したがって、一部の実施形態では、薬剤は、疾患、障害、若しくは状態の徴候を予防するために、又は疾患、障害、又は状態の再発を予防するために予防的に投与することができる。
【0029】
この明細書及び添付の特許請求の範囲の目的として、他に示されていなければ、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている量、サイズ、寸法、比率、形状、配合、パラメーター、パーセント、パラメーター、数量、特徴、及び他の数値を表現する全ての数値は、用語「約」が、値、量又は範囲を明示的に表していない場合でも、全ての場合に、用語「約」で修正されているものとして理解されるべきである。したがって、逆のことが示されていなければ、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメーターは、正確ではなく、正確である必要もないが、許容差、換算計数、丸め、測定誤差など、及び本開示の主題によって得られると考えられる所望の特性に応じて当業者に公知の他の因子を反映して、所望のように、およそであるか及び/又は大きいか若しくは小さくてもよい。例えば、用語「約」は、値を指す場合、ばらつきが、本開示の方法を実行するのに又は本開示の組成物を用いるのに適切であるように、特定の量から、一部の態様では±100%、一部の態様では±50%、一部の態様では±20%、一部の態様では±10%、一部の態様では±5%、一部の態様では±1%、一部の態様では±0.5%、及び一部の態様では±0.1%のばらつきを包含することを意味することができる。
【0030】
他に定義されていなければ、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味を有する。
【0031】
ここで、任意の及び全てのヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル置換基は、O、N、及びSからなる群から選択される4つまでのヘテロ原子を含有してよい。
【0032】
上記で定義された全ての置換基において、それら自体にさらなる置換基を有する置換基を定義することによって到達したポリマー(それ自体が置換アリール基で置換されている置換基としての置換アリール基を有する置換アリールなど)は、本明細書に含まれることを意図しないことを理解されたい。このような場合、このような置換基の最大数は、3である。すなわち、上記定義のそれぞれは、各官能基が置換されている(1~3つの位置で)及び任意及び全てのこれらの置換基はもう1回だけ置換されてもよい(1~3つの位置で)という制限によって拘束されている。
【0033】
上記定義は、容認できない置換パターン(例えば、5つのフルオロ基で置換されたメチル)を含むことを意図しないことを理解されたい。このような容認できない置換パターンは当業者によく知られている。
【0034】
この出願全体を通して、本文は、本発明の化合物、組成物、及び方法の種々の実施形態を指す。記載された種々の実施形態は、様々な実例を提供することを意味し、代替種の記載として解釈されるべきではない。むしろ、本明細書で提供される種々の実施形態についての記載が重複範囲のものであってもよいことに留意されたい。本明細書で説明される実施形態は、単に例示であり、本技術の範囲を制限することを意味するものではない。
【0035】
略語
AEは、有害事象に対する略語である
【0036】
CKは、クレアチンキナーゼに対する略語である
【0037】
HDL-Cは、高密度リポタンパク質コレステロールに対する略語である
【0038】
CRPは、高感度C反応性タンパク質に対する略語である
【0039】
LDL-Cは、低密度リポタンパク質コレステロールに対する略語である
【0040】
LSは、最小二乗に対する略語である
【0041】
NCEP ATP-IIIは、ナショナルコレステロール教育プログラムの成人治療の専門委員会III(National Cholesterol Education Program Adult Treatment Panel III)に対する略語である
【0042】
non-HDL-Cは、非高密度リポタンパク質コレステロールに対する略語である
【0043】
VLDLは、超低密度リポタンパク質に対する略語である
【0044】
療法
本明細書に開示されているのは、固定用量のETC-1002又はその類似体及び固定用量の1種以上のスタチン又はその類似体の固定用量組合せ物をそれを必要とする対象に投与することを含む方法であって、任意選択で、ETC-1002を180mgの固定用量又は120mgの固定用量で投与し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの固定用量で投与し、任意選択で、対象における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)のレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの間の固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させ、任意選択で、対象における心血管疾患のリスクを処置するか又は低減させる方法である。
【0045】
一部の態様では、ETC-1002は、180mgの固定用量又は120mgの固定用量で投与し、1種以上のスタチンはそれぞれ2~80mgの固定用量で投与する。
【0046】
一部の態様では、対象は、高コレステロール血症を有し、方法は、高コレステロール血症を処置することをさらに含む。
【0047】
一部の態様では、方法は、対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる。
【0048】
一部の態様では、方法は、対象におけるコレステロールのレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。
【0049】
一部の態様では、方法は、対象におけるLDL-Cのレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。一部の態様では、方法は、対象におけるC反応性タンパク質(hsCRP)のレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。一部の態様では、C反応性タンパク質の低減は、ベースラインに対して20%まで又は30%以上である。一部の態様では、方法は、対象におけるアポリポタンパク質B(ApoB)のレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。一部の態様では、方法は、対象における非高密度リポタンパク質コレステロールのレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。一部の態様では、方法は、対象におけるLDL粒子の数を、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。
【0050】
一部の態様では、方法は、用量依存的に、アポリポタンパク質Bを15%~17%以上、非高密度リポタンパク質コレステロールを14%~17%以上、総コレステロールを13%~15%以上、及びLDL粒子の数を17%~21%以上低減させる。
【0051】
一部の態様では、LDL-Cは、対象において、ベースラインに対して24%以上まで低下される。一部の態様では、non-HDL-Cは、対象において、ベースラインに対して少なくとも30、35、37、40、42、又は45%以上低下される。一部の態様では、hsCRPは、対象において、ベースラインに対して少なくとも20、25、26、30、35、38、又は40%以上低下される。
【0052】
一部の態様では、non-HDL-Cは、対象において、ベースラインに対して少なくとも30、35、40、43、45、48、又は50%以上低下される。他の態様では、HDL-Cは、対象において、ベースラインに対して低下される。
【0053】
一部の態様では、スタチン及びETC-1002は、それぞれ経口的に投与する。一部の態様では、1種以上のスタチン及びETC-1002は、それぞれ少なくとも1日に一回投与する。一部の態様では、1種以上のスタチン及びETC-1002は、それぞれ少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間、少なくとも1日に1回投与する。
【0054】
一部の態様では、対象は、脂質異常である。一部の態様では、対象は、高コレステロール血症を有する。一部の態様では、対象は、肥満であり、任意選択で、対象のBMIは18~45kg/m2である。一部の態様では、対象は、スタチン耐性である。一部の態様では、対象は、スタチン不耐性である。一部の態様では、FDAに承認された最低用量の1種以上のスタチンについて、対象は、筋肉に関連する痛み、うずき、筋力低下、及び痙攣からなる群から選択される有害事象を経験する。本発明者らは、スタチン療法の間に開始及び増大するこのような筋肉に関連する有害事象は、スタチン療法にETC-1002療法を追加した処置が用いられた場合に有意に低下するか、さらに解決される可能性があることを発見した。
【0055】
一部の態様では、対象は、115~220mg/dLのLDL-Cベースラインレベルを有する。一部の態様では、対象は、400mg/dL以下のトリグリセリドベースラインレベルを有する。
【0056】
一部の態様では、1種以上のスタチン及びETC-1002は、同時に投与する。一部の態様では、1種以上のスタチン及びETC-1002は、別々に投与する。
【0057】
本明細書で開示されているのはまた、対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法であって、固定用量のETC-1002又はその類似体及び固定用量の1種以上のスタチン又はその類似体の固定用量組合せ物をそれを必要とする対象に投与することを含み、任意選択で、ETC-1002を120mgの固定用量又は180mgの固定用量で投与し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの間の固定用量で投与し、任意選択で、対象における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)のレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させ、任意選択で、対象が高コレステロール血症を有する方法である。
【0058】
本明細書で開示されているのはまた、ETC-1002及び1種以上のスタチンを含む医薬組成物であって、任意選択で、ETC-1002が120mg又は180mgの固定用量で存在し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの間の固定用量で存在する、医薬組成物である。
【0059】
一部の態様では、組成物は、薬学的に許容されるビヒクルをさらに含む。一部の態様では、ETC-1002は、120mg又は180mgの固定用量で存在し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの間の固定用量で存在する。一部の態様では、組成物は、経口送達用に製剤化される。一部の態様では、組成物は、1日1回投与するために製剤化される。
【0060】
一部の態様では、方法は、対象におけるアポリポタンパク質B(ApoB)のレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。
【0061】
一部の態様では、方法は、対象におけるアポリポタンパク質A1(ApoA1)のレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。
【0062】
一部の態様では、方法は、対象におけるApoA1のレベルを、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものと比較して変化させない。
【0063】
一部の態様では、方法は、対象におけるApoA1に対するApoBの比を、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低下させる。
【0064】
別の態様では、方法は、薬物に関連するAEの数を少なくとも25%、35%、45%又は50%以上低下させる。別の態様では、方法は、筋肉に関連するAEの数を少なくとも50%、65%、75%又は85%以上低下させる。
【0065】
別の態様では、本明細書に開示されている方法は、対象における心血管事象のリスクを有意に低減させる。一部の態様では、このリスクを35%以上まで低減させる。
【0066】
一部の態様では、本明細書では、対象における心血管疾患を処置する及び/又は心血管疾患のリスクを低減させるための方法であって、急速に吸収され、4時間未満のTmaxを有するETC-1002を含む組成物の量を投与することを含む方法が提供される。
【0067】
一部の態様では、本明細書では、対象における心血管疾患を処置する及び/又は心血管疾患のリスクを低減させるための方法であって、QTc又はQT/QTc(TQT試験)を延長しないETC-1002を含む組成物の量を投与することを含む方法が提供される。一態様では、アドオンETC-1002療法は、対象の心拍数並びにPR及びQRS間隔に影響を与えない。
【0068】
一部の態様では、本明細書では、対象における心血管疾患を処置する及び/又は心血管疾患のリスクを低減させるための方法であって、全身曝露、AUCtau,ssが、t1/2およそ15~27時間で起こるETC-1002を含む組成物の量を投与することを含む方法が提供される。
【0069】
一部の態様では、本明細書では、対象における心血管疾患を処置する及び/又は心血管疾患のリスクを低減させるための方法であって、2つのレジメンが明らかな薬物相互作用を有さないことを示す曝露測定値AUC及び/又はCmaxを提供するスタチン療法にアドオン療法としてETC-1002を含む組成物の量を投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、1種以上のスタチンの曝露測定値もETC-1002の曝露測定値も、信頼区間によって確立された安全値の範囲外ではない。
【0070】
一態様では、組成物は、アトルバスタチン(10mg又は20mg)、シンバスタチン(5mg、10mg、又は20mg)、ロスバスタチン(5mg又は10mg)、及び/又はプラバスタチン(10mg、20mg、又は40mg)の固定投薬量によって定義された1種以上のスタチンを含む。別の態様では、方法は、アトルバスタチン(10mg又は20mg)、シンバスタチン(5mg、10mg、又は20mg)、ロスバスタチン(5mg又は10mg)、及び/又はプラバスタチン(10mg、20mg、又は40mg)の固定投薬量によって定義された1種以上のスタチンを含む。また別の態様では、アトルバスタチン(10mg又は20mg)、シンバスタチン(5mg、10mg、又は20mg)、ロスバスタチン(5mg又は10mg)、及び/又はプラバスタチン(10mg、20mg、又は40mg)の任意の組合せは、本明細書で開示されている任意の実施形態で使用されてもよい。
【0071】
一態様では、組成物は、以下の表1の固定投薬量によって定義された1種以上のスタチンを含む。
【0072】
【表1】
【0073】
化合物
1種以上のスタチン及びETC-1002の組合せ物が、本明細書に記載されている。一態様では、1種以上又は全てのスタチンは、アオカビ(Penicillium (Penecillium))及びコウジカビ(Aspergillus)菌などの天然源から単離された天然物である。別の態様では、1種以上又は全てのスタチンが合成物質であり、それらが、有機化学合成を介して石油化学出発材料を所望のスタチン化合物とすることによって作製されることを意味する。
【0074】
以下の式Iは、ETC-1002及びETC-1002の類似体を示す。
式I:
【0075】
【化1】
[式中、(a)mは、出現する毎に、独立して、0~5の範囲の整数であり、(b)nは、出現する毎に、独立して、3~7の範囲の整数であり、(c)Xは、(CH2)、又はPhであり、ここで、zは、0~4までの整数であり、Phは、1,2-、1,3-、又は1,4置換フェニル基であり、(d)R1、R2、R11、及びR12は、出現する毎に、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、フェニル、又はベンジルであり、ここで、R1、R2、R11、及びR12は、それぞれ同時にHではなく、(e)Y1及びY2は、出現する毎に、独立して、(C1~C6)アルキル、OH、COOH、COOR3、SO3H、
【0076】
【化2】
(式中、(i)Y1及びY2は、それぞれ同時に(C1~C6)アルキルではなく、(ii)R3は、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、(C2~C6)アルキニル、フェニル、又はベンジルであり、置換されていないか又は1つ以上のハロ、OH、(C1~C6)アルコキシ、若しくはフェニル基で置換されており、(iii)R4は、出現する毎に、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、又は(C2~C6)アルキニルであり、置換されていないか又は1つ若しくは2つのハロ、OH、C1~C6アルコキシ、若しくはフェニル基で置換されており、(iv)R5は、出現する毎に、独立して、H、(C1~C6)アルキル、(C2~C6)アルケニル、又は(C2~C6)アルキニルである)
である]。
【0077】
ETC-1002の構造:
【0078】
【化3】
【0079】
ETC-1002は、8-ヒドロキシ-2,2,14,14テトラメチルペンタデカン二酸と称される場合もある。
【0080】
スタチン化合物は、肝臓におけるHMGR酵素活性を阻害する。構造に関して、全てのスタチン化合物は、ジヒドロキシヘプタン酸基又はそのラクトン及び置換環系を有する(以下に示した)。
【0081】
【化4】
【0082】
しかし、スタチンは、置換環構造に関して異なる。いくつかのスタチンは、置換デカリン環構造を有するが、他のものは、置換アリール及びヘテロアリール環系を有する。代表的なスタチン化合物の構造を以下に示すが、このリストはいかなる意味でも限定ではない。
【0083】
【化5】
【0084】
式IによるETC-1002の任意及び全ての類似体は、本明細書で開示されている方法及び/又は組成物又は製剤のいずれにおいても使用することができることが認められる。上記記載によるスタチンの任意及び全ての類似体は、本明細書で開示されている方法及び/又は組成物又は製剤のいずれにおいても使用することができることが、さらに認められる。
【0085】
ETC-1002及びスタチンの合成
ETC-1002及びETC-1002の合成方法は、発行された米国特許第7,335,799号に開示されている。この方法の詳細は、公開された米国特許出願公開第2005-0043278号の明細書の段落[0247]~[0343]に見出すことができ、そのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれている。
【0086】
スタチンの合成は当技術分野で知られている。戦略的且つ一般的開示では、スタチンの合成は、参照により本明細書に組み込まれているWO2005047276A2に開示されている。特有の又は代替の環系を含む場合がある、スタチンに対する任意の他の合成法の修正(又は、これに関しては、ETC-1002の類似体に対する合成法の修正)は、当業者の範囲内である。例えば、当業者は、最終のスタチン化合物に、特有の又は所望の置換アリール、ヘテロアリール、及びデカリン環系を組み込むために合成についての参照テキストを使用することができる。このような参照文献には、これらに限定されないが、Fieser及びFieserのReagents for Organic Synthesis、1~15巻(John Wiley, and Sons、1991)、RoddのChemistry of Carbon Compounds、1~5巻、並びにSupplementals (Elsevier Science Publishers、1989)、Organic Reactions、1~40巻(John Wiley, and Sons、1991)、MarchのAdvanced Organic Chemistry、(John Wiley, and Sons、第5版、2001)、並びにLarockのComprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc.、1989)、T. W. Greene及びP.G.M. Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999が含まれる。
【0087】
使用方法
本発明は、心血管疾患を処置又は予防するための方法であって、対象に、固定用量の化合物又は本発明の化合物及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。本明細書で使用する場合、用語「心血管疾患」は、心臓及び循環器系の疾患を指す。これらの疾患は、異常リポタンパク血症及び/又は脂質異常を伴うことが多い。本発明の組成物が予防又は処置に有用である心血管疾患には、これらに限定されないが、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化、心発作、虚血、内皮機能不全、特に血管弾性に影響を及ぼす機能不全、末梢血管疾患、冠動脈心疾患、心筋梗塞、脳梗塞及び再狭窄が含まれる。
【0088】
本発明は、脂質異常を処置又は予防するための方法であって、対象に、固定用量の化合物又は本発明の化合物及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。本明細書で使用する場合、用語「脂質異常」は、脂質の血中レベル異常を導くか又は脂質の血中レベル異常によって現われる障害を指す。血中の脂質レベルが高すぎる程度に対して、本発明の組成物は、正常レベルを回復するまで患者に投与する。脂質の正常レベルは、当業者に公知の医学論文に報告されている。例えば、LDL、HDL、遊離トリグリセリド及び脂質代謝に関連する他のパラメーターの推奨血中レベルは、アメリカ心臓協会(American Heart Association)のウェブサイト及び国立心肺血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute)のナショナルコレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program)のウェブサイト(それぞれ、http://www.americanheart.org/cholesterol-/about_level.html及びhttp://www.nhlbi.nih.gov/health/public/heart/chol/hb-c_what.html)に見出すことができる。現時点で、血中のHDLコレステロールの推奨レベルは、35mg/dL超であり、血中のLDLコレステロールの推奨レベルは、130mg/dL未満であり、血中の推奨されるLDL:HDLコレステロール比は、5:1未満、理想的には3.5:1であり、血中の遊離トリグリセリドの推奨レベルは、200mg/dL未満である。
【0089】
本発明の組成物が予防又は処置に有用である脂質異常には、これらに限定されないが、高脂血症及び高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールの血中レベルの低下が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の化合物によって予防又は処置するための高脂血症は、家族性高コレステロール血症、家族性複合型高脂血症、リポタンパク質リパーゼ変異により生じる低減又は欠乏を含むリポタンパク質リパーゼレベル又は活性の低減又は欠乏、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、尿素体の高血中レベル(例えば、ベータ-OH酪酸)、Lp(a)コレステロールの高血中レベル、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールの高血中レベル、超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロールの高血中レベル及び非エステル化脂肪酸の高血中レベルである。
【0090】
本発明は、さらに、患者における脂質代謝を変更する、例えば患者の血中LDLを低減させる、患者の血中のLDLに対するHDLの比を増大させる、並びにけん化脂肪酸合成及び/又は非けん化脂肪酸合成を阻害するための方法であって、患者に、本発明の化合物又は本発明の化合物を含む組成物を脂質代謝を変更させるのに有効な量で投与することを含む方法を提供する。
【0091】
医薬組成物
心血管疾患を処置するための方法も本発明に包含される。本発明の前記方法は、治療有効量の1種以上のスタチン及びETC-1002を投与することを含む。1種以上のスタチン及びETC-1002の固定用量組合せ物は、医薬組成物において製剤化することができる。これらの組成物は、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤又は当業者によく知られた他の材料を含む。このような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の有効性を妨げない。担体又は他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば経口、静脈内、皮膚又は皮下、鼻、筋肉内、腹腔内経路によって変わりうる。
【0092】
経口投与用の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤又は液剤形態であってよい。錠剤又は丸剤は、ゼラチン又はアジュバントなどの固体担体を含むことができる。一般的に、液体医薬組成物は、水、石油、動物若しくは植物油、鉱油又は合成油などの液体担体を含む。生理食塩水、ブドウ糖若しくは他の糖類溶液又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコールなどのグリコールを含むことができる。
【0093】
一態様では、本発明の医薬組成物は、本明細書に開示されている1種以上の化合物から作成され、丸剤の形態である。
【0094】
別の態様では、本明細書で開示されているのは、コレステロール若しくは本明細書で開示されている関連マーカー(HDL-C、ApoA1など)を低下させるか又は心血管疾患若しくは異常リポタンパク血症及び/若しくは脂質異常を処置若しくは予防するための方法であって、対象に、120mg又は180mgの固定用量のETC-1002及び又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを含む丸剤の形態で、医薬組成物を投与することを含む方法である。
【0095】
静脈内、皮膚若しくは皮下注射、又は患部への注射では、活性成分は、パイロジェンフリーであり、適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容される水溶液の形態で存在する。当業者は、例えば生食水注射、リンゲル液、乳酸加リンゲル液などの等張ビヒクルを使用して、十分に、適切な溶液を調製することができる。必要であれば、保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤及び/又は他の添加剤を含むことができる。
【0096】
個体に与えられるものが小分子であるか本発明による他の薬学的に有用な化合物である場合、投与は、「治療有効量」又は「予防有効量」(現状では、予防は療法と考えることができるが)であることが好ましく、これは個体に利益を示すのに十分である。投与される実際の量、及び投与の速度及び時間経過は、処置されるタンパク質凝集疾患の性質及び重症度によって変わる。処置の処方、例えば投薬量の決定などは、一般開業医及び他の医師の責任の範囲内であり、典型的には、処置される障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法及び開業医に知られている他の要因を考慮する。上述の技術及びプロトコルの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.(編)、1980に見出すことができる。
【0097】
組成物は、処置される状態に応じて、同時に又は連続して、単独で又は他の処置と組み合わせて投与することができる。
【0098】
一態様では、本開示は、対象における心血管疾患を処置する及び/又は心血管疾患のリスクを低減させるための方法であって、固定用量のETC-1002又はその類似体及び固定用量の1種以上のスタチン又はその類似体の固定用量組合せ物をそれを必要とする対象に投与することを含み、任意選択で、ETC-1002を120mgの固定用量又は180mgの固定用量で投与し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの間の固定用量で投与し、任意選択で、対象における心血管疾患のリスクを処置するか又は低減させる方法を提供する。
【0099】
一態様では、本開示は、対象における総コレステロール及びnon-HDL-Cのレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い方法を提供する。
【0100】
一態様では、本開示は、対象における低密度リポタンパク質(LDL)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い方法を提供する。
【0101】
一態様では、本開示は、対象におけるLDL粒子の数が、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い方法を提供する。
【0102】
一態様では、本開示は、対象におけるアポリポタンパク質B(ApoB)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のもの未満である方法を提供する。
【0103】
一態様では、本開示は、対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のもの未満である方法を提供する。
【0104】
一態様では、本開示は、対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比が、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い方法を提供する。
【0105】
一態様では、本開示は、対象が、高コレステロール血症を有する方法を提供する。
【0106】
一態様では、本開示は、対象が、ヒトである方法を提供する。
【0107】
一態様では、本開示は、治療量の固定用量のETC-1002及びそれぞれ固定用量の1種以上のスタチンを含む治療組成物を提供する。
【0108】
一態様では、本開示は、量が、ETC-1002について120又は180mg用量及び1種以上のスタチンのそれぞれについて2~80mgの固定用量である組成物を提供する。
【0109】
[実施例]
以下は、本発明を実施するための具体的な実施形態の例である。例は、例示の目的のみで与えられ、いかなる意味においても本発明の範囲を制限することを意図しない。使用される数(例えば、量、温度など)に対して正確性を確保するために努力したが、いくらかの実験誤差及び逸脱は、当然のことながら許容されるべきである。
【0110】
本発明の実施には、他に示されなければ、当技術分野の技術の範囲内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び生理学の通常の方法を用いる。このような技術は文献において十分に説明されている。例えば、T.E. Creighton、Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H. Freeman and Company、1993);A.L. Lehninger、Biochemistry(Worth Publishers, Inc.、current addition);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Methods In Enzymology(S. Colowick及びN. Kaplan編、Academic Press, Inc.);Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版(Easton, Pennsylvania:Mack Publishing Company、1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry第3版(Plenum Press)A及びB巻(1992)を参照のこと。
【0111】
本明細書で直接定義されていないあらゆる用語は、本発明の技術の範囲内で理解されているものと通常関連する意味を有するものと理解される。ある特定の用語は、本明細書で説明され、本発明の態様の組成物、デバイス、方法など、及びそれらを作製又は使用する方法を記載して、開業医に追加の指針を提供する。同じことが複数の方法で説明されることがあることを理解されたい。結論として、代替言語及び同義語を本明細書で説明されている任意の1つ以上の用語に対して使用することができる。用語が本明細書で詳述又は説明されているか否かに重要性を置くべきではない。いくつかの同義語又は代用可能な方法、材料などが提供される。1つ又は少数の同義語又は均等物についての詳述は、明示的に述べられていなければ、他の同義語又は均等物の使用を除外しない。用語の例を含む、例の使用は、例示目的のみのためであり、ここで、本発明の態様の範囲及び意味を制限するものではない。
【0112】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈で他に明確に規定されていなければ、複数の対象を含む。
【0113】
[実施例1]
1.略語及び用語の定義のリスト
以下の略語及び専門用語が、この試験プロトコルで使用される。
【0114】
【表2】
【0115】
ETC-1002のバックグラウンド
作用機序
ETC-1002は、コレステロール生合成経路において、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼ(スタチンの分子標的)の上流の酵素である、アデノシン三リン酸(ATP)-シトレートリアーゼ(ACL)の小分子阻害剤である。ETC-1002は、ACLの競合阻害を媒介する。ACLの阻害は、肝臓におけるコレステロール合成を低下させ、LDLR発現及び血液からのLDL粒子のクリアランスを増加させる。したがって、ETC-1002によるACLの阻害は、スタチンによるHMG-CoAレダクターゼ阻害と同じ経路を介する。
【0116】
ETC-1002を識別する重要な特徴は、スタチンと異なり、骨格筋におけるコレステロール合成を阻害しないことである。したがって、ETC-1002は、骨格筋におけるコレステロール生合成経路の阻害に関連する有害事象を引き起こすとは予想されない。
【0117】
非臨床実験
ETC-1002の主要な薬理は、何匹化の十分に特徴付けられた脂質異常のげっ歯類の予測モデルにおいて評価した。これらの試験では、ETC-1002は、LDL-C及びトリグリセリド(TG)を低下させ、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)を増加させる。
【0118】
安全性薬理試験の結果は、臨床試験を意図した曝露の範囲で、患者に対するいかなる重大なリスクも特定しなかった。
【0119】
毒性試験では、12か月の持続時間までの経口試験において、マウス、ラット、及びサルにおけるETC-1002の評価を終了した。有意な中枢神経系、呼吸器の、又は心疾患の易罹病性は特定されなかった。反復投与試験で特定された標的器官はラットとサルにおいて肝臓と腎臓であり、変化は、処置の中断後可逆的であった。肝機能及び腎機能を示す臨床検査パラメーターにおける変化が、明らかな毒性と関連する用量より低い用量で、動物において観察された。日常的な臨床検査パラメーターは、臨床試験において、注意深く監視され続ける。
【0120】
インビトロ及びインビボの療法での遺伝毒性学アッセイにおいて、ETC-1002は、変異原性がなく、染色体異常誘発性でない。
【0121】
重要な6か月のラットの試験では、無毒性量(NOAEL)の投与は、雄及び雌のラットにおいて30mg/kg/日であり、ETC-1002及びESP15228の合計の24時間の対応する曲線下面積(AUC0~24)値は、最大528μg・hr/mLであった。重要な12か月のサルの試験では、NOAELの投与は、60mg/kg/日であり、ETC-1002及びESP15228の合計の対応するAUC0~24値は、最大4478μg・hr/mLであった。
【0122】
インビトロ試験は、ETC-1002が、臨床的に関連する血漿中濃度において、主要なチトクロームP450(CYP)酵素の阻害剤でも誘導物質でもないことを示した。さらにETC-1002は、主要な薬物の輸送体を阻害しないようである。
【0123】
以前のヒト実験
ETC-1002に対する全臨床プログラム(2009年から2015年の間に行われた)には、およそ1000の対象及び患者が含まれ、およそ700が最大12週にわたり、2.5~240mg/日までの範囲のETC-1002投与(複数回投与)を受けた。15回の終了した臨床試験(9回の第1相試験及び6回の第2相試験)が存在し、総合データのまとめは、6回の終了した第2相試験に基づく。
【0124】
6回の第2相試験の統合解析の結果は、ベースラインからのパーセント変化に対するプラセボで調整したLS平均が、ETC-1002 180mgの単剤療法ではおよそ32%、ETC-1002 180mg+エゼチミブ10mgでは50%、及び安定なスタチン療法の180mgに対しては22%であった。ETC-1002処置によるLDL-Cの低減は、一貫して、non-HDL-C、TC、LDL粒子数及びapoBにおいても対応する低減を伴った。注目すべきことに、試験を通して低下するhsCRPのパターンもまた、ベースラインからの20%~40%の中央値の変化の範囲で見られた。HDL-C及びTGに関するETC-1002の効果は、概して中立であった。
【0125】
PKデータは、ETC-1002が急速に吸収され、TmaxがETC-1002に対して4時間未満で、ESP15228に対して7時間未満で生じることを示す。ETC-1002及びESP15228のCmaxは、用量の増加に比例して増大する。しかし、全身曝露、AUCtau,ssは、1日に120mgまで、1日の用量140~220mgから直線的に用量を増加させることに伴い、用量に比例した増大をやや超えた増大を示す。平均t1/2は、およそ15~27時間である。代謝物、ESP15228は、患者の20%~40%の全身曝露を達成し、より低い用量で高いパーセンテージが観察され、平均t1/2は、患者のものよりやや長く、20~33時間の値である。
【0126】
薬物の相互作用は、ETC-1002とメトホルミン又はOrtho-Novum 1/35の組合せ、併用経口避妊薬に関しては実証されなかった。食物効果/生物学的同等性試験により、ETC-1002は食物と関係なく摂取することができることが実証された。カプセル剤及び錠剤製剤についても同様のPK結果が得られる。
【0127】
アトルバスタチンのPKに関するETC-1002の効果を試験1002~007で評価した。この試験では、全ての患者が、28日の導入期間(スタチン安定化)に10mg/日のアトルバスタチンを受け、その後の処置期間で、患者は、8週間、10mg/日のアトルバスタチンと1日用量のETC-1002を受けた。全ての患者は、60mg/日の用量でETC-1002を開始し、2週毎に、120mg/日、次いで180mg/日、次いで240mg/日まで増量させた。ETC-1002とアトルバスタチンの間の薬物相互作用を決定するために、1日目のアトルバスタチンとオルト-ヒドロキシアトルバスタチンのPKパラメーター(スタチン安定化期間の最終、基準)を、対応する4週目(ETC-1002用量が120mg/日となった時点、試験1)及び8週目(ETC-1002用量が240mg/日となった時点、試験2)のPKパラメーターと比較した。アトルバスタチンとオルト-ヒドロキシアトルバスタチンについては、曝露の測定値の比(AUC及び/又はCmax)の90%信頼区間(CI)が、80%から125%の間にあり、2つのレジメンは、薬物相互作用のないものと同様と考えられる。
【0128】
薬物相互作用評価の結果により、10mgのアトルバスタチンと120mgのETC-1002の毎日のレジメンにより10mgのアトルバスタチン単独の1日用量より、アトルバスタチン及びオルト-ヒドロキシアトルバスタチンに対するおよそ60%高い曝露をもたらすことが示される。アトルバスタチンと共に投与されたより高用量のETC-1002(240mg)もまた、アトルバスタチン単独の投与より、アトルバスタチン及びオルト-ヒドロキシアトルバスタチンに対する高い曝露をもたらした。120と240mgについての増加は、アトルバスタチンと代謝物に対するAUC及びCmaxの増大に対して同様である。この試験により、ETC-1002と組み合わせて与えた場合に、アトルバスタチン(1.4×~2.0×)の曝露において一過性の増大が示された。重要なことは、アトルバスタチン10mgと組み合わせたETC-1002は、安全であり、忍容性に優れ、アトルバスタチン単独よりも益々LDL-Cを低下させることである。
【0129】
シンバスタチン、プラバスタチン、及びロスバスタチンの単回用量のPKに関する定常状態のETC-1002の効果は、試験1002-012において評価した。この試験では、健康な対象を、3つのコホートのうちの1つに割り当て、5日目の朝に、シンバスタチン20mg(コホート1)、プラバスタチン40mg(コホート2)、又はロスバスタチン10mg(コホート3)のいずれかの単回経口用量を受けさせた。3日目の朝から、連続してPK血液試料を採取した。1日目から開始して、全ての対象は、16日間、1日に1回、経口のETC-1002を240mg受けた。12日目の朝に、ETC-1002に加えて、対象は、コホートの割り当てに基づき、単回用量のスタチン薬物を受け、連続したPK血液試料が採取された。
【0130】
この試験の結果により、単回用量のシンバスタチン20mg、プラバスタチン40mg、又はロスバスタチン10mgと組み合わせて1日240mg用量のETC-1002を12回後のETC-1002及びその代謝物であるESP15228の血漿中濃度及びPKパラメーターは、以前の単剤療法試験及びアトルバスタチンと組み合わせたETC-1002の複数回用量試験のものと一致していた。
【0131】
シンバスタチン及びシンバスタチンの曝露(AUC0-inf)は、シンバスタチン単独と比較して、定常状態のETC-1002の存在下で、それぞれ29%及び91%増大した。シンバスタチンのCmaxは、ETC-1002との共投与によって影響を受けないようであるが、シンバスタチンCmaxは、シンバスタチン単独に対して、毎日のETC-1002と組み合わせたシンバスタチンに対して43%増大した。活性代謝物であるシンバスタチンに対する基準(シンバスタチン単独)AUCに対する試験(ETC-1002とシンバスタチン)AUCの実測値の幾何平均比の大きさは、2倍未満の増加と一致し、相互作用の大きさは、プロドラッグ親化合物(シンバスタチン)に対して低かった。
【0132】
プラバスタチンの曝露(AUCinf及びCmax)は、プラバスタチン単独と比較して、定常状態のETC-1002の存在下で、それぞれ99%及び約2倍増加した。基準(プラバスタチン単独)AUCに対する試験(ETC-1002とプラバスタチン)AUCの実測値の幾何平均比の大きさは、約2倍未満の増加と一致した。
【0133】
ロスバスタチンの曝露(AUCinf及びCmax)は、ロスバスタチン単独と比較して、定常状態のETC-1002の存在下で、それぞれ69%及び208%増大した。基準(ロスバスタチン単独)AUCに対する試験(ETC-1002とロスバスタチン)AUCの実測値の幾何平均比の大きさは、2倍未満の増加と一致した。試験1002-007のように、ETC-1002とスタチン療法の組合せは、安全で忍容性に優れていた。
【0134】
総合的なQT/QTc(TQT)試験(1002-022)の結果により、QTcにおける有意な変化は示されなかった。毎日ETC-1002を240mg、9日間続けた後、ETC-1002はQT間隔持続期間を延長せず、心拍数並びにPR及びQRS間隔に臨床上有意な効果を有さない。
【0135】
6回の統合的な第2相試験における任意の処置群で、3人以上の患者で起こったTEAEの発生率を検討すると、ETC-1002処置群において、TEAEの頻度におけるいかなる用量に関する傾向も見られなかった。ETC-1002処置群の中で、少なくとも1つのTEAEを経験した患者の最大数は、ETC-1002 40mg用量群において生じ(75.6%)、この頻度は、プラセボ群で少なくとも1つのTEAEを経験した患者の頻度(74.2%)と同様であった。
【0136】
ETC-1002処置群において少なくとも1つのTEAEを経験した患者の最も高いパーセンテージを有する器官別大分類(SOC)は、感染症及び寄生虫症、並びに筋骨格系及び結合組織障害、並びに胃腸障害であった。
【0137】
感染症及び寄生虫症のSOCでは、少なくとも1つのTEAEを経験した患者のパーセントは、ETC-1002の80mg群で最も高かった(25.0%)。ETC-1002を含む処置群は、このSOCで、エゼチミブ10mgでの23.2%、ベースラインのスタチンでの14.8%、及びプラセボでの11.8%と比較して、11.6%~25%の範囲のTEAEの頻度を有した。このSOCの基本語で最も頻度の高いTEAE(任意の処置群で3人以上の患者で生じるもの)は、気管支炎、鼻咽頭炎、副鼻腔炎、上気道感染(URTI)及び尿路感染(UTI)であった。感染症及び寄生虫症のSOCの基本語による全てのTEAEは、任意の処置群の患者の8%以下で生じた。
【0138】
筋骨格系及び結合組織障害のSOCでは、ほとんど全てのETC-1002処置群で少なくとも1つのTEAEを経験した患者のパーセントは、ETC-1002 240mg群(32.4%)を除き、プラセボ群の頻度(23.7%)以下であった。このSOCの基本語で最も頻度の高いTEAE(すなわち、任意の処置群で3人以上の患者で生じる)は、関節痛、背部痛、筋痙縮、筋力低下、筋肉痛、及び四肢痛であった。ETC-1002処置群において、筋肉痛の頻度に用量に関連する傾向は存在しなかった。筋肉痛について最も頻度の高い報告は、ETC-1002 120mg+エゼチミブ群(7.7%)及びエゼチミブ10mg群(6.1%)においてであった。横紋筋融解については報告がなかった。筋骨格系及び結合組織障害のSOCの基本語によるほとんど全てのTEAEは、関節痛(プラセボ群の9.7%)、背部痛(エゼチミブ10mg群の8.1%)、及び筋痙縮(ETC-1002 240mg群の13.5%)を除き、任意の処置群の8%未満の患者で生じた。
【0139】
合計11個のSAEが6回の統合的な第2相試験で報告され、5つ(5/579、0.9%)はETC-1002を受けている患者においてであり、1つ(1/99、1%)はエゼチミブ10mgを受けている患者においてであり、2つ(2/61、3.3%)はプラセボ+ベースラインのスタチンを受けている患者においてであり、3つ(3/93、3.2%)はプラセボのみを受けている患者においてであった。基本語によるSAEは、事象を報告した患者の1人に過ぎなかった。筋肉に関連するSAEは存在しなかった。
【0140】
1人の患者は、原因不明で死亡した。ETC-1002 120mg処置群(試験1002-008)の高脂血症及びスタチン不耐性を有する55歳の白人男性である患者は、試験98日目に突然死した。彼は、プールの外で、無反応、脈拍なしで発見された。死亡診断書には死因が記載されなかった。治験責任医師は、時間的関係を除外できなかったので、突然死の事象(原因不明)と試験薬に関連する可能性を検討した。
【0141】
検査室の結果を含む安全性についての他の一般的な測定値は、プラセボ又は他の比較薬剤に対してETC-1002に関連する臨床上有意な傾向を示さなかった。
【0142】
用量選択
40~240mg/日の範囲のETC-1002の用量を第2相試験で評価した。安全性と有効性の統合解析からのデータに基づき、主要な有効性の評価項目である、陽性の安全性プロファイルを伴うLDL-Cにおける実測値及びパーセント変化は、第3相試験に対する180mg用量の選択を支持した。6回の第2相試験の統合解析により、ETC-1002 180mgの単剤療法でおよそ32%、ETC-1002 180mg+エゼチミブ10mgで50%、安定なスタチン療法の180mgで22%のベースラインからのパーセント変化に対するプラセボで調整した最小二乗平均(LSM)が得られた。180mg用量が優れた安全性プロファイルを有したことに注目されたい。全体として、有効性と安全性のバランスをとって、180mg用量が臨床開発のために選択された。
【0143】
基礎療法
この試験におけるETC-1002は、現在、高用量スタチン(アトルバスタチン80mg)療法に対するアドオンとして評価されている。
【0144】
リスクベネフィットの概要
今日までに、非臨床及び臨床データは、ETC-1002が好ましいリスクベネフィットプロファイルを有することを示している。様々な患者集団において好ましい耐用性プロファイルを示しながら、臨床的に意義のあるLDL-C低下反応を達成するETC-1002の能力により、ETC-1002、すなわち経口ACL阻害剤の開発の継続が支持されている。
【0145】
[実施例2]
ETC-1002/高用量スタチンの固定用量組合せ物
スタチン処置患者において、28日間、安定なアトルバスタチン80mgの基礎療法を与えた際の、プラセボに対するETC-1002 180mgのLDL-C低下有効性を評価する。
【0146】
多用量のアトルバスタチン80mg並びにその活性代謝物である、オルト-ヒドロキシアトルバスタチン及びパラ-ヒドロキシアトルバスタチンの、単独及び定常状態のETC-1002 180mgとの組合せの血漿中PKを評価する。
【0147】
本発明者らは、このアドオン療法が、前の試験と少なくとも同程度に有効であり、同じか又はより良好な安全性プロファイル/耐用性を生じると企図する。
【0148】
理論に拘泥されることを望むことなく、本発明者らは、安定な高用量スタチン(アトルバスタチン80mg)に加えて投与される、ETC-1002の180mgの錠剤が、アトルバスタチン単独に対してさらなるLDL-C低下の有効性と安全をもたらし、スタチンで処置した成人患者において耐性であると考える。組合せ物におけるETC-1002は、与えられた際のスタチン及び/又はその代謝物に対する構造、物理化学的特性又は用量に関係なく、スタチンに対して、1.4倍~2.0倍までのAUC及びCmaxの増加を示すであろう。
【0149】
患者は、スタチン療法に対するアドオンとして、二重盲検方式で、ETC-1002 180mgの錠剤又は適合するプラセボ錠剤のいずれかの処置を受けるために2:1の比に無作為化される。
【0150】
患者は、表3に示したように、高強度スタチン療法に対するアドオンとしてETC-1002を受ける。
【0151】
【表3】
【0152】
シンバスタチン80mgを摂取する患者は、筋肉毒性についていかなるエビデンスも有さず、最短で最後の12か月間、シンバスタチン80mgに耐性を示した経緯を有さなければならない。
【0153】
投与
患者は、活性な錠剤又はプラセボの錠剤を1日に1回経口で摂取する。
【0154】
患者は、摂取した各投与の時間及び日付、絶食の有無、並びに食事の時間を記録するために、日誌に投与について記録する。
【0155】
薬物動態評価
スタチン及び活性代謝物並びにETC-1002及び活性代謝物の血漿中濃度を測定するための全血試料を採取する。
【0156】
試料を採取し、LDL-C、TC、HDL-C、non-HDL-C、TG、apoB、apoA1、及びhsCRPの計算値を含む基本的な空腹時脂質について分析する。
【0157】
【表4】
【0158】
安全性パラメーターの評価
安全性の情報には、バイタルサイン、AE、併用薬、及びECG報告の記録が含まれる。
【0159】
バイタルサイン
バイタルサインは、し緩期及び収縮期血圧並びに心拍数が含まれる。
【0160】
心電図
心電図の収集は、示された試料採取点で行われ、マシンリーディングを使用して評価される。
【0161】
有害事象
AEは、患者が、対照を含む医薬品を投与された場合のあらゆる好ましくない医療上のできごとであり、必ずしも処置と因果関係を有するものではない。
【0162】
AEは、医薬品に関連するとみなされるか否かにかかわらず、医薬品の使用と時間的に関連する任意の望ましくない且つ意図しない徴候(異常な検査室所見を含む)、症状、若しくは疾患、任意の新たな疾患若しくは既存の疾患の悪化、検査室値若しくは症状を生じる他の臨床検査(例えば、ECG若しくはX線)のプロトコルを必要としない測定値における任意の低下、処置の変化、又は試験薬からの中止であってよい。
【0163】
TEAEは、IMPの最初の投与後に始まるか又は悪化するAEと定義される。
【0164】
有害薬物反応
任意の投与に関する医薬品に対する全ての有害な意図しない反応は、有害薬物反応(ADR)と考えられる。医薬品に対する「反応」は、医薬品とAEの間の因果関係が、少なくとも合理的な可能性にある(すなわち、関係性を除外できない)ことを意味する。
【0165】
予期しないADRは、有害反応と定義され、その性質又は重症度は、適用できる製品情報(例えば、承認されていない臨床試験用医薬品に対するIB又は承認された製品に対する製品特性の添付文書若しくは概要)と一致しない。
【0166】
AEの重症度は、以下の定義に従って軽度、中程度、又は重度と特徴付けられる。
【0167】
軽度:事象が通常一時的であり、患者の日々の活動を妨げない。
【0168】
中程度:患者に低レベルの不都合又は懸念をもたらし、日々の活動を妨げる場合がある。
【0169】
重度:事象が患者の通常の日々の活動を中断させ、通常の活動を不能にして無能力化し、臨床状態及び正当な介入及び/又は詳細な追跡研究に重大な影響を与える。
【0170】
注:重度のAEは重症である必要はなく、SAEは、定義によれば、重症である必要はない。
【0171】
重篤有害事象の定義
SAEは、以下のアウトカムのいずれかを生じる任意の用量で起こる任意のAEとして定義される。
【0172】
死亡をもたらす
【0173】
生命を脅かす
【0174】
患者の入院又は現在の入院の延長を要する
【0175】
継続的若しくは重大な障害/無能力、又は正常な生活機能を行う能力の実質的な崩壊
【0176】
先天性異常/先天性欠損である
【0177】
重要な医学的事象
【0178】
適切な医学的判断に基づき、患者を危険にさらし、この定義に列挙されたアウトカムの1つを予防するために医学的又は外科的介入を必要とする場合がある場合、死をもたらさない、生命を脅かす、又は入院を要する場合のある重要な医学的事象はSAEと考えられうる。このような医学的事象の例として、救急処置室で集中処置を必要とするアレルギー性気管支痙攣、血液疾患、入院患者の入院をもたらさない痙攣、又は薬物依存若しくは薬物乱用の発症が挙げられる。
【0179】
試料サイズの決定
LDL-C低下試験の目標に対して、アトルバスタチン80mg/日+ETC 1002の処置群の40人の患者及びアトルバスタチン80mg/日+プラセボの群の20人の患者(全体として60人の患者)の試料サイズは、アトルバスタチン80mg/日+ETC 1002及びアトルバスタチン80mg/日+プラセボの間のLDL Cの計算値において、ベースラインから29日目までのパーセント変化における15%の差を検出する80%の能力をもたらすことが期待される。この計算は、5%の有意差レベル、18%の通常の標準偏差及び10%のドロップアウト率での両側t検定に基づく。試料サイズの計算は、nQuery Advisor(登録商標)、バージョン7.0(Statistical Solutions)を使用して行った。
【0180】
PK薬物相互作用試験の目標に対して、アトルバスタチン80mg/日+ETC 1002の処置群の36人の患者の試料サイズ(4人の患者からのデータは含まれないと仮定する)は、曝露測定値の試験/基準比の予測値が100%であり(アトルバスタチン単独とアトルバスタチン+ETC 1002の間に差がない)、受入基準が90%信頼区間(CI)に対して80%~125%である場合、各パラメーター/分析物に対して79%以上の能力をもたらすことが期待される。したがって、1002 035で計画された36人の患者が、アトルバスタチンに関するETC 1002のPKへの効果を適切に特徴付けるために参加する。
【0181】
プロトコル適合解析セット(PPAS)は、全ての投与前PK試料>BLQ(プラセボ患者に対しては、アトルバスタチンPK試料>BLQ、ETC 1002患者に対しては、投与前アトルバスタチン及び投与前ETC試料>BLQ)をさらに有し、29日目の脂質評価を有するFASの患者のセットとして定義される。PPASは、脂質パラメーターの感受性解析を選択するために使用される。
【0182】
薬物動態解析
経時的な脂質(LDL-C、TC、HDL-C、non-HDL-C、TG、apoB、apoA1及びhsCRP)の概要が提供される。各パラメーターに対して、概要は、値と値におけるベースラインからのパーセント変化(ベースライン後の時点に対する)を含む。
【0183】
ベースラインからのパーセント変化は、LDL-Cと他のパラメーターに対して計算される。
【0184】
薬物動態及び薬物相互作用の解析
複数回投与後のアトルバスタチン、オルト-ヒドロキシアトルバスタチン、パラ-ヒドロキシアトルバスタチン、ETC 1002、及びESP15228に対する薬物動態パラメーターは、以下のような血漿中濃度-時間プロファイルに由来する。
【0185】
Cmax:最高血漿中濃度
【0186】
tmax:プロファイル内で最初に起こる時点で実測したCmaxに対する時間
【0187】
AUClast:線形/対数台形法を使用して計算した、時間0から最終定量可能濃度(Clast)時間までの血漿中濃度-時間プロファイル曲線下面積
【0188】
AUC24:線形/対数台形法を使用して計算した、時間0から24時間までの血漿中濃度-時間プロファイル曲線下面積
【0189】
CL/F:アトルバスタチン及びETC 1002のみについて、用量/AUC24から計算した見かけの経口クリアランス
【0190】
Cmin:薬物投与に先立って実測した最小血漿中濃度
【0191】
Cavg:投与間隔、24時間で割ったAUC24から計算した平均血漿中濃度
【0192】
C24:投与後24時間、又は次の投与前に採取した試料における濃度
【0193】
標準のノンコンパートメントPK解析を使用して、Cmax、tmax、AUClast、AUC24、Cmin、Cavg、及びC24を計算する。薬物動態パラメーターは、サンプリング日、及びPKパラメーター集団を使用するETC 1002の投与によって、記述統計を用いてまとめる。各分析物について、異なるPKパラメーター集団を使用してもよい。
【0194】
PK分析物からの薬物相互作用評価
【0195】
安全性評価
安全性評価には、AE、臨床安全性検査室、PE、バイタルサイン、及びECGが含まれる。
【0196】
本発明は、好ましい実施形態と種々の代替実施形態を参照して特に示され、記載されたが、形態及び詳細における種々の変更が本発明の精神及び範囲を逸脱することなくなされうることが当業者によって理解される。
【0197】
本明細書の本体で引用された全ての参照文献、発行された特許及び特許出願は、全ての目的に対して、その全体が参照により本明細書の本文中に組み込まれる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載される発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0197
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0197】
本明細書の本体で引用された全ての参照文献、発行された特許及び特許出願は、全ての目的に対して、その全体が参照により本明細書の本文中に組み込まれる。
(付記)
(付記1)
対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法であって、固定用量のETC-1002又はその類似体及び固定用量の1種以上のスタチン又はその類似体の固定用量組合せ物をそれを必要とする対象に投与することを含み、任意選択で、ETC-1002を120mgの固定用量又は180mgの固定用量で投与し、1種以上のスタチンをそれぞれ2~80mgの間の固定用量で投与し、任意選択で、対象における心血管疾患を処置するか又は心血管疾患のリスクを低減させる方法。
(付記2)
対象における総コレステロール及びnon-HDL-Cのレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、付記1に記載の方法。
(付記3)
対象における低密度リポタンパク質(LDL)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、付記1に記載の方法。
(付記4)
対象におけるLDL粒子の数が、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、付記1に記載の方法。
(付記5)
対象におけるアポリポタンパク質B(ApoB)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のもの未満である、付記1に記載の方法。
(付記6)
対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)のレベルが、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のもの未満である、付記1に記載の方法。
(付記7)
対象におけるアポリポタンパク質A-1(ApoA1)に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の比が、プラセボ、120mgの固定用量のETC-1002、180mgの固定用量のETC-1002、又はそれぞれ2~80mgの固定用量の1種以上のスタチンを受けている対照の対象のものより低い、付記1に記載の方法。
(付記8)
1種以上のスタチンが、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、フルバスタチン、及びピタバスタチンからなる群から選択される、付記1に記載の方法。
(付記9)
対象が、高コレステロール血症を有する、付記1に記載の方法。
(付記10)
対象が、動物である、付記1に記載の方法。
(付記11)
対象が、ヒトである、付記1に記載の方法。
(付記12)
治療量の固定用量のETC-1002及びそれぞれ固定用量の1種以上のスタチンを含む治療組成物。
(付記13)
用量が、1種のスタチンについて2~80mgの間である、付記12に記載の組成物。
(付記14)
量が、ETC-1002について120又は180mg用量及び1種以上のスタチンのそれぞれについて2~80mgの固定用量である、付記12に記載の組成物。
(付記15)
用量が、1種のスタチンについて40~80mgの間である、付記12に記載の組成物。
(付記16)
1種以上のスタチンが、ロスバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、フルバスタチン、及びピタバスタチンからなる群から選択される、付記12に記載の組成物。