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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062207
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】積層シート
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/04 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
G01N27/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020019820
(22)【出願日】2020-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】生駒 光司郎
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AC01
2G060AC02
2G060AE11
2G060AE12
2G060AF07
2G060AG11
2G060FA01
2G060FA10
2G060KA05
(57)【要約】
【課題】設置箇所の形状及び大きさに応じた加工を比較的容易にし得る液体検知センサ用の積層シートを提供することを課題とする。
【解決手段】第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に配された絶縁層とを有し、前記第1の電極層及び前記絶縁層を貫通し前記第2の電極層を露出させる複数の開口が形成されており、液体の検知を行うための検知部を構成する積層シートであって、複数の前記開口を有する繰り返しユニットを複数有し、該繰り返しユニットが縦方向及び横方向に複数ずつ配列されている、積層シート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に配された絶縁層とを有し、前記第1の電極層及び前記絶縁層を貫通し前記第2の電極層を露出させる複数の開口が形成されており、液体の検知を行うための検知部を構成する積層シートであって、
複数の前記開口を有する繰り返しユニットを複数有し、該繰り返しユニットが縦方向及び横方向に複数ずつ配列されている、積層シート。
【請求項2】
前記繰り返しユニットは、矩形状に形成されており、縦方向の寸法と横方向の寸法との比が3:1~1:3である、請求項1に記載の積層シート。
【請求項3】
前記繰り返しユニットの前記第1の電極層は、導電性材料により形成された導電部と、前記開口が形成されて前記導電性材料が備えられていない開口部とを有し、
前記導電部には直径4.0mmの円領域よりも広い電線接続部が含まれている、請求項1又は2のいずれかに記載の積層シート。
【請求項4】
前記繰り返しユニットの複数の前記開口は、前記第2の電極層の露出面に電線を接続させるための接続開口を含み、
前記電線接続部と前記接続開口とが、前記繰り返しユニットにおいて縦方向又は横方向に並んでいる、請求項3に記載の積層シート。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の積層シートから切り取られたシート片で構成された前記検知部と、一対の電線とを備え、
前記シート片における前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれに前記電線が電気的に接続されている、液体検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートに関し、具体的には、液体検知センサの検知センサ部として用いられる積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種製品には、漏液を検知するために液体検知センサが使用されている。例えば、液体検知センサは、サーバの冷却水や電気自動車におけるバッテリーの冷却水の漏液を検知するために使用されている。
【0003】
液体検知センサとしては、第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に配された絶縁層とを有し、前記第1の電極層及び前記絶縁層を貫通し前記第2の電極層を露出させる複数の開口が形成された、液体の検知を行うための検知部を構成する積層シート、並びに、前記第1の電極層及び前記第2の電極層のそれぞれに接続された電線を備えたものが知られている。かかる液体検知センサによれば、前記開口に侵入した液体により、第1の電極層と第2の電極層とが電気的に接続され、それによって該液体が検知される。
【0004】
また、特許文献1には、前記積層シートとして、複数の前記開口を有する繰り返しユニットを複数有し、該繰り返しユニットが横方向に複数配列された帯状の積層シートが記載されている。かかる積層シートによれば、設置箇所の長さに応じて必要分だけ切り取ったシート片を液体検知センサの検知部として用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-109110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の積層シートは繰り返しユニットが一列につながった帯状であるため、設置箇所の形状及び大きさに応じたシート片の柔軟な加工がしにくいという問題点を有している。特に最近では、液体検知センサが用いられる製品が多用化してきており、上記のような積層シートでは、このような製品の設置箇所の形状及び大きさに合わせたシート片の加工が困難になるという問題点がある。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、設置箇所の形状及び大きさに応じた加工を比較的容易にし得る液体検知センサ用の積層シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る積層シートは、
第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に配された絶縁層とを有し、前記第1の電極層及び前記絶縁層を貫通し前記第2の電極層を露出させる複数の開口が形成されており、液体の検知を行うための検知部を構成する積層シートであって、
複数の前記開口を有する繰り返しユニットを複数有し、該繰り返しユニットが縦方向及び横方向に複数ずつ配列されている。
【0009】
斯かる構成によれば、繰り返しユニットが縦方向及び横方向に複数ずつ配列されているため、従来技術と比較して、設置箇所の形状及び大きさに応じたシート片の加工が容易となる。
【0010】
また、前記積層シートは、好ましくは、
前記繰り返しユニットが、矩形状に形成されており、縦方向の寸法と横方向の寸法との比が3:1~1:3である。
【0011】
斯かる構成によれば、繰り返しユニットの縦方向の寸法と横方向の寸法との比が3:1~1:3であることによって、設置箇所の形状及び大きさに応じたシート片の加工がさらに容易になり得る。
【0012】
前記積層シートは、好ましくは、
前記繰り返しユニットの前記第1の電極層は、導電性材料により形成された導電部と、前記開口が形成されて前記導電性材料が備えられていない開口部とを有し、
前記導電部には直径4.0mmの円領域よりも広い電線接続部が含まれている。
【0013】
斯かる構成によれば、導電部に直径4.0mmの円領域よりも広い電線接続部が含まれていることによって、第1の電極層への電線の接続が容易になり、特に、はんだ付けによる電線の接続が容易になる。
【0014】
前記積層シートは、好ましくは、
前記繰り返しユニットの複数の前記開口が、前記第2の電極層の露出面に電線を接続させるための接続開口を含み、
前記電線接続部と前記接続開口とが、前記繰り返しユニットにおいて縦方向又は横方向に並んでいる。
【0015】
斯かる構成によれば、電線接続部と接続開口とが繰り返しユニットにおいて縦方向又は横方向に並んでいるため、積層シートから切り取ったシート片の形状及び大きさに関わらず、第1の電極層及び第2の電極層への電線の接続が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
以上の通り、本発明によれば、設置箇所の形状及び大きさに応じた加工を比較的容易にし得る液体検知センサ用の積層シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態に係る積層シートの斜視図である。
図2図2は、図1の積層シートの平面図である。
図3図3は、図1の積層シートの底面図である。
図4図4は、図1の積層シートの正面図である。
図5図5は、図1の積層シートの左側面図である
図6図6は、図1の積層シートの右側面図である
図7図7は、図2のVII-VII線断面図である
図8図8は、図1の積層シートから切り取られたシート片を検知部として備えた液体検知センサの斜視図である。
図9図9は、積層シートを挟み込むように構成された、接続材としての端子の斜視図である。
図10図10は、繰り返しユニットの平面図であり、繰り返しユニットの変形例を示す図である。
図11図11は、繰り返しユニットの平面図であり、繰り返しユニットの変形例を示す図である。
図12図12は、繰り返しユニットの平面図であり、繰り返しユニットの変形例を示す図である。
図13図13は、ハーフユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る積層シートについて説明する。
【0019】
本実施形態の積層シート1は、液体検知センサ100の検知部として用いられるものであり、図8に例示されるように、その一部がシート片2として切り取られて一対の電線3が接続されることにより、液体検知センサ100を構成するものである。
【0020】
図1図7に示されるように、積層シート1は、第1の電極層10と、第2の電極層20と、第1の電極層10及び第2の電極層20の間に配された絶縁層30とを有し、第1の電極層10及び絶縁層30を貫通し第2の電極層20を露出させる複数の開口40が形成されている。図8に示されるように、本実施形態では、第1の電極層10が最も外側に配されており、その表面に一対の電線3の一方が電気的に接続される。より具体的には、第1の電極層10は、導電性材料により形成された導電部11と、開口40が形成されて前記導電性材料が備えられていない開口部12とを有しており、導電部11に電線3が電気的に接続される。また、第2の電極層20は、開口40から露出した露出面21を有しており、露出面21に一対の電線3の他方が電気的に接続される。
【0021】
本実施形態では、図2に示されるように、積層シート1は、第1の電極層10側から見たときに(平面視において)、長方形状に形成されている。よって、以下では、積層シート1の短手方向を縦方向、積層シート1の長手方向を横方向と呼ぶことがある。また、積層シート1のうち、開口40の開口側の面を表面、表面の反対側の面を裏面と呼ぶことがある。
【0022】
積層シート1の表面の全ての位置において液体を検知可能とすべく、第1の電極層10の導電部11及び第2の電極層それぞれは、途切れることなくつながっている。このため、第1の電極層10及び第2の電極層20それぞれは、1枚の導電性シートにより構成されていることが好ましい。
【0023】
積層シート1と電線3とは、導電性材料により構成された接続材6によって電気的に接続される。コスト面から、接続材6としては、はんだ6aが好ましい。この他、接続材6は、電線3の両接続端部に接続された端子6bであってもよい。また、図9に示されるように、端子6bは、積層シート1を挟み込むように構成されていることが好ましい。より具体的には、端子6bは、積層シート1を挟み込むための挟持体60を備えており、挟持体60の内側に、第1の電極層10と接触し得る第1の導通部61及び第2の電極層20と接触し得る第2の導通部62を有しており、第1の導通部61は、第1の開口41内に入り込まない大きさに形成されており、それによって第2の電極層20と接触しないように構成されている。
【0024】
上記のような構成により、液体検知センサ100は、開口40に侵入した液体によって第1の電極層10及び第2の電極層20が電気的に接続され、それに伴い、電極層間の導通状態が変化することで、液体の存在を検知するようになっている。
【0025】
液体検知センサ100は、液体が開口40に侵入していないときの絶縁抵抗が通常1MΩ以上であり、10MΩ以上であることが好ましい。これによって、設置された環境の温度変化や湿度変化に起因する誤検知が抑制される。
【0026】
液体検知センサ100が検知し得る液体としては、各電極層を導通させる導電性の液体が想定され、例えば、水を含む液体が挙げられる。また、該液体は、酸性又は塩基性であってもよい。
【0027】
積層シート1は、複数の開口40を有する繰り返しユニット50を複数有し、繰り返しユニット50が縦方向及び横方向に複数ずつ配列されている。積層シート1において、繰り返しユニット50は、すきまなく連続するように配列されている。図2に示されるように、本実施形態の繰り返しユニット50は、第1の電極層10側から見たときに(平面視において)、矩形状に形成されており、内側に複数の開口40が形成されている。積層シート1において、繰り返しユニット50は、縦方向に2つずつ以上横方向に3つずつ以上配列されることが好ましく、縦方向に3つずつ以上横方向に4つずつ以上配列されることがより好ましい。本実施形態の積層シート1は、繰り返しユニット50が縦方向に3つずつ、横方向に8つずつ配列されている。
【0028】
繰り返しユニット50は、縦方向の寸法が通常15~30mm及び横方向の寸法が通常5~270mmとなるように形成されている。また、繰り返しユニット50は、縦方向の寸法と横方向の寸法との比が3:1~1:3となるように形成されていることが好ましい。これによって、設置箇所の形状及び大きさに応じたシート片2の加工が容易になる。
【0029】
繰り返しユニット50は、複数の開口40として、点在するように形成された複数の第1の開口41と、第2の電極層20の露出面21に電線3を接続させるための接続開口としての複数の第2の開口42とを有している。第2の開口42は、第1の開口41よりも大きく形成されており、それによって露出面21に電線3を接続させ易くなっている。
【0030】
第1の開口41は、液体が内部に侵入可能な大きさであればよく、通常、直径2.0mm以上の円形状に形成されている。
【0031】
第2の開口42は、第2の電極層20の露出面21が直径7.0mmの円よりも広くなるように形成されている。これによって、特にはんだ付けによる第2の電極層20への電線3の接続が容易になる。本実施形態の第2の開口42は、四隅が丸みを帯びた矩形状に形成されている。
【0032】
繰り返しユニット50において、隣り合う開口40の開口縁の最短距離は、液体検知センサ100の検知精度を高める観点から、2.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがさらに好ましい。
【0033】
繰り返しユニット50における第1の電極層10の導電部11には、電線3を接続するための複数の電線接続部51であって、直径4.0mmの円領域510よりも広い電線接続部51が含まれている。言い換えれば、円領域510、延いては電線接続部51には、開口40が形成されていない。円領域510の直径は、5.0mmの円領域510よりも広い電線接続部51が含まれることがより好ましく、6.0mmの円領域510よりも広い電線接続部51が含まれることがさらに好ましい。また、電線接続部に含まれる円領域510の直径は21.0mm以下であることが好ましい。第1の電極層10に電線3が接続される際、電線接続部51内に接続材6が収まるように電線3が接続されることが好ましく、円領域510内に接続材6が収まるように電線3が接続されることが好ましい。ここで、比較的低コストで液体検知センサ100を各種製品に組み込むことが可能になるという観点から、電線3を各電極層に接続する際の方法としては、はんだ付けが好ましい。電線3の接続方法にはんだ付けが採用される場合、繰り返しユニット50に電線接続部51が設けられていないと、はんだが導電部11からはみ出して開口40に侵入し易くなるため、第1の電極層10への電線3の接続が困難となる。これに対して、電線接続部51が設けられた構成によれば、はんだ付けによる第1の電極層10への電線3の接続が容易になる。
【0034】
また、繰り返しユニット50に電線接続部51が設けられていないと、接続材6が図9に示されるような端子6bである場合、第1の電極層10の表面が接続材6に押圧されることにより、積層シート1が変形するおそれがある。より具体的には、かかる押圧が加わった部分において、積層シート1の厚みが縮小したり、第1の開口41が拡大したりするおそれがあり、これに伴って第1の導通部61が第1の開口41を介して第2の電極層20に接触してしまい、誤検知が生じるおそれがある。これに対して、電線接続部51が設けられていれば、かかる誤検知が抑制され得る。
【0035】
繰り返しユニット50において、第2の開口42と電線接続部51とは、点対称の関係を有するように配されていることが好ましい。このような構成の場合、第2の開口42と電線接続部51とが、縦方向及び横方向に並ぶこととなる。これによって、繰り返しユニット50に一対の電線3が接続される際、四方(繰り返しユニット50の各端縁に対応する方向)のうちのいずれの方向からであっても、電線3の両接続端部をそろえて接続することが可能となるため、設置箇所の形状及び大きさに応じた液体検知センサ100の柔軟な設置が容易となる。
【0036】
また、繰り返しユニット50において、複数の開口40が、点対称の関係を有するように配されていてもよい。このような構成の場合にも、第2の開口42と電線接続部51とが、縦方向及び横方向に並ぶこととなる。これによって、繰り返しユニット50に一対の電線3が接続される際、四方のうちのいずれの方向からであっても、電線3の両接続端部をそろえて接続することが可能となるため、設置箇所の形状及び大きさに応じた液体検知センサ100の柔軟な設置が容易となる。
【0037】
また、繰り返しユニット50において、複数の開口40が点対称の関係を有するように配される場合、図13に示されるように、繰り返しユニット50は、繰り返しユニット50を縦方向又は横方向に二等分する二等分線により区画される2つのハーフユニット52を有することとなる。この場合、該二等分線上に、複数の第1の開口41が配されていてもよい。これによって、該二等分線に沿った積層シート1の切り取りが容易となる。
【0038】
また、繰り返しユニット50のいずれかの端縁、対向する端縁又は全ての端縁に沿って、複数の第1の開口41が形成されていることが好ましい。これによって、隣り合う繰り返しユニット50の間の部分であって、複数の第1の開口41の間に延在した部分が、隣り合う繰り返しユニット50の切り取りの目安となるため、シート片2の加工が容易になる。さらに、隣り合う繰り返しユニット50の境界線上に、複数の第1の開口41が形成されていてもよい。
【0039】
上記構成を備えた積層シート1は、設置箇所の形状及び大きさに応じたシート片2の加工を容易にする。例えば、積層シート1から切り取られるシート片2は、図8に例示されるように、矩形状に加工されてもよく、その際、縦方向及び横方向の長さの両方が調節されてもよい。また、シート片2は、L字状やU字状のような1つ以上の曲がり部を有するように加工されてもよい。
また、シート片2の加工の際、繰り返しユニット50を縦方向又は横方向に二等分する二等分線に沿って、積層シート1からシート片2が切り取られてもよい。すなわち、シート片2の外周部に、ハーフユニット52が配されるように積層シート1が切り取られてもよい。
このように、積層シート1によれば、シート片2が有する繰り返しユニット50の配列パターンに比較的多くのバリエーションを持たせることができる。
【0040】
次に、積層シート1を構成する各層について説明する。
【0041】
第1の電極層10及び第2の電極層20それぞれは、カーボンコートされた1枚の金属箔により形成されている。金属箔としては、例えば、銅箔やアルミニウム箔が挙げられる。第1の電極層10及び第2の電極層20のそれぞれの厚みは、通常10~20μmである。
【0042】
絶縁層30は、難燃性不織布31と両面が粘着性を有する難燃性テープ32とにより構成されており、難燃性不織布31が難燃性テープ32によって第1の電極層10及び第2の電極層20に接着されている。
【0043】
絶縁層30の厚み調整のために、複数の難燃性不織布31及び複数の難燃性テープ32が交互に配されるように積層されてもよい。本実施形態の絶縁層30は、2層の難燃性不織布31からなる層及び3層の難燃性テープ32からなる層を有している。絶縁層30の厚みは、通常300μm以上であり、好ましくは500μm以上である。これによって、各電極層が適度に離間することとなるため、誤検知が抑制され得る。
【0044】
難燃性不織布31は、絶縁層30の絶縁性を確保すべく、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。難燃性不織布31は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂により形成されている。
【0045】
難燃性テープ32は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂などの熱硬化性樹脂により形成されている。
【0046】
さらに、本実施形態の積層シート1は、設置箇所に貼り付けるために、第2の電極層20を被覆する難燃性テープ32を有している。また、積層シート1は、難燃性テープ32の粘着性が低下しないように、裏面が剥離シート5により被覆されている。
【0047】
剥離シート5は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)などにより形成されていることが好ましい。
【0048】
以上のように、例示として実施形態を示したが、本発明に係る積層シートは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係る積層シートは、上記作用効果により限定されるものでもない。本発明に係る積層シートは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態では、円形状の第1の開口41及び四隅が丸みを帯びた矩形状の第2の開口42を示したが、これらを含む開口40は、図10図12に例示されるような形状であってもよい。例えば、第1の開口41又は第2の開口42のいずれかが矩形状であってもよく、(図10(a)、図11(a))、第1の開口41及び第2の開口42の両方が円形状であってもよい(図10(b))。
【0050】
また、上記実施形態では、すべての第1の開口41が同じ形状に形成された態様を示したが、第1の開口41の一部の形状が異なっていてもよい。このような異なった開口の形状としては、長円形状などが挙げられる(図12(b))。
【0051】
また、上記実施形態の繰り返しユニット50における開口40の配置に代えて、電線接続部51を取り囲むように、開口40が配されていてもよい(図11(b)、(c)、図12(a))。また、第1の開口41の数が減らされてもよい(図12(c))。
【実施例0052】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。
【0053】
[製造例]
カーボンコートされた銅箔(厚み17μm)に、両面がPET製の剥離シート(厚み38μm)により被覆された難燃性テープ(厚み100μm)によって、難燃性不織布(厚み250μm)を接着し、接着された難燃性不織布(厚み250μm)に難燃性テープ(厚み100μm)によって難燃性不織布(厚み250μm)を接着し、さらに、接着された難燃性不織布に難燃性テープ(厚み100μm)を接着し、カーボンコートされた銅箔からなる第1の電極層、及び、難燃性不織布及び難燃性テープからなる絶縁層を形成した。最も外側に配された難燃性テープの片方の剥離シート(厚み38μm)は剥離せずに残し、第1のシート部材とした。
次に、別のカーボンコートされた銅箔(厚み17μm)に難燃性テープ(厚み100μm)を貼り付けた。難燃性テープの片方の剥離シートは剥離せずに残し、第2のシート部材とした。
第1のシート部材を打ち抜き加工することにより、図1に示すような配列の複数の開口を形成した。すなわち、円形状の第1の開口(直径2.5mm)、及び、四隅が丸みを帯びた矩形状の第2の開口(縦方向の寸法7mm、横方向の寸法8.5mm)を第1のシート部材に形成した。また、繰り返しユニットの縦方向と横方向の寸法の比は、4:7とした。また、繰り返しユニットの電線接続部は、直径6.0mmの円領域を形成した。
複数の開口が形成された第1のシート部材の剥離シートを剥離し、第2のシート部材の銅箔の表面に貼り付け、積層シートとした。
上記積層シートから60mm×122.5mmのシート片を切り取り、第1の電極層の電線接続部及び第2の電極層の露出面に電線を接続し、液体検知センサとした。
【0054】
[検知特性の評価]
上記製造例にて製造した50個の液体検知センサの検知特性を評価した。多回路漏水検知器(タツタ電線株式会社製、AD-AS-5RDM)に液体検知センサを接続し、試験水として100μS/cmの食塩水を0.05mL/sの速度で滴下した。液体検知センサに試験水が5mL滴下されるまでに、電極間の抵抗値が25kΩ以下となれば、良好な検知特性を有するものと判断した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示されるように、電極間の抵抗値が25kΩ以下となったときの試験水の滴下量の平均値が1.21mLであり、最大でも2.25mLであった。よって、上記液体検知センサは、良好な検知特性を有することが認められた。
【0057】
[絶縁抵抗の評価]
絶縁抵抗計を用い、50個の液体検知センサの絶縁抵抗を測定した。その結果、50個全ての液体検知センサの絶縁抵抗は、いずれも4000MΩ以上であった。従って、上記液体検知センサは、誤検知が生じにくいものであることが認められた。
【符号の説明】
【0058】
1:積層シート、2:シート片、3:電線、5:剥離シート、6:接続材、6a:はんだ、6b:端子、
10:第1の電極層、11:導電部、12:開口部、
20:第2の電極層、21:露出面、
30:絶縁層、31:難燃性不織布、32:難燃性テープ、
40:開口、41:第1の開口、42:第2の開口、
50:繰り返しユニット、51:電線接続部、510:円領域、52:ハーフユニット、
60:挟持体、61:第1の導通部、62:第2の導通部、
100:液体検知センサ
図1
図2
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図5
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図13