IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コロナの特許一覧

<>
  • 特開-電源回路 図1
  • 特開-電源回路 図2
  • 特開-電源回路 図3
  • 特開-電源回路 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062227
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
H02M7/06 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172062
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(72)【発明者】
【氏名】野口 翔
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006BB05
5H006CA07
5H006CB01
5H006CB04
5H006CB09
5H006CC01
5H006CC08
5H006DC05
(57)【要約】
【課題】部品点数の増加を抑えつつ電圧バランスを保つことができる電源回路を提供する。
【解決手段】電源回路100は、整流回路40と、スイッチ44のオンとオフを切り替える制御を実行する制御回路21と、第1コンデンサC1と並列接続された第1抵抗R1と、第2負荷としてのポンプ14を駆動するための直流電圧V2を生成する第2負荷用回路と、を備える。第1負荷は、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2からなる直列回路の両端間に生じる直流電圧を用いて駆動される。第2負荷用回路は、整流ダイオードDと、整流ダイオードD及び第2負荷を接続する接続線61と、第2電源線52との間に接続された第3コンデンサC3と、第3コンデンサC3と並列接続された第2抵抗R2と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1負荷及び第2負荷の各々を駆動するための直流電圧を生成する電源回路であって、
ブリッジ接続された4個のダイオードを有し、交流電源から与えられる交流電圧を整流して出力するブリッジダイオードと、
前記ブリッジダイオードの各出力端子に接続された第1電源線及び第2電源線の間に直列接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
前記ブリッジダイオードの入力端子の一方と、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの中点との間に設けられたスイッチと、
前記スイッチのオンとオフを切り替える制御を実行する制御回路と、
前記第1電源線と、前記中点に接続された中点接続線との間に接続され、前記第1コンデンサと並列接続の関係にある第1抵抗と、
前記中点接続線と前記第2電源線に接続され、前記第2負荷を駆動するための直流電圧を生成する第2負荷用回路と、を備え、
前記第1負荷は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサからなる直列回路の両端間に生じる直流電圧を用いて駆動され、
前記第2負荷用回路は、
アノードが前記中点接続線の前記第1抵抗との接続箇所と導通接続され、カソードが前記第2負荷と導通接続された整流ダイオードと、
前記整流ダイオード及び前記第2負荷を接続する接続線と、前記第2電源線との間に接続された第3コンデンサと、
前記接続線と前記第2電源線との間に接続され、前記第3コンデンサと並列接続の関係にある第2抵抗と、を備える、
電源回路。
【請求項2】
前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサからなる直列回路の両端間に生じる直流電圧の電圧値を検出する電圧センサをさらに備え、
前記制御回路は、
前記スイッチをオフした状態で前記電圧センサから前記電圧値を取得し、
取得した前記電圧値に基づき、予め定められた系統の前記交流電源が接続されている正常状態であるか否かを判別し、
前記正常状態であると判別した場合、前記スイッチの状態をオフからオンに切り替え、
前記正常状態でないと判別した場合、前記正常状態になるまで前記スイッチをオフの状態に維持する、
請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
給湯機に備えられ、
前記交流電圧は、100V系であり、
前記第2負荷は、前記給湯機のポンプであり、
前記第1負荷は、前記給湯機のファンモータ及びコンプレッサの少なくともいずれかである、
請求項1又は2に記載の電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、4個のダイオードを有し、交流電圧を整流して出力するブリッジダイオードと、ブリッジダイオードの出力端間に直列接続された2つのコンデンサと、ブリッジダイオードの入力端子の一方と2つのコンデンサの中点との間に介在するスイッチとを備える電源回路が記載されている。この電源回路は、2つのコンデンサからなる直列回路の両端間に生じる直流電圧を負荷に供給する。この電源回路は、スイッチのオン時に、交流電圧の2倍分に相当する直流電圧を生成する、いわゆる倍電圧整流回路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-54537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記負荷としての第1負荷とは別に、倍電圧整流回路の2つのコンデンサの一方と並列に第2負荷を接続したい場合がある。しかしながら、このように第2負荷を接続すると、スイッチのオフ時に倍電圧整流回路の電圧バランスが崩れ、他方のコンデンサに耐圧以上の電圧が印加される虞がある。これを回避する手段として、2つのコンデンサの各々と並列に接続された2つのバランス抵抗を設けることが考えられる。しかしながら、電圧バランスを保つためにのみ専用のバランス抵抗を設けると、部品点数の増加に繋がる虞がある。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、部品点数の増加を抑えつつ電圧バランスを保つことができる電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電源回路は、
第1負荷及び第2負荷の各々を駆動するための直流電圧を生成する電源回路であって、
ブリッジ接続された4個のダイオードを有し、交流電源から与えられる交流電圧を整流して出力するブリッジダイオードと、
前記ブリッジダイオードの各出力端子に接続された第1電源線及び第2電源線の間に直列接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
前記ブリッジダイオードの入力端子の一方と、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの中点との間に設けられたスイッチと、
前記スイッチのオンとオフを切り替える制御を実行する制御回路と、
前記第1電源線と、前記中点に接続された中点接続線との間に接続され、前記第1コンデンサと並列接続の関係にある第1抵抗と、
前記中点接続線と前記第2電源線に接続され、前記第2負荷を駆動するための直流電圧を生成する第2負荷用回路と、を備え、
前記第1負荷は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサからなる直列回路の両端間に生じる直流電圧を用いて駆動され、
前記第2負荷用回路は、
アノードが前記中点接続線の前記第1抵抗との接続箇所と導通接続され、カソードが前記第2負荷と導通接続された整流ダイオードと、
前記整流ダイオード及び前記第2負荷を接続する接続線と、前記第2電源線との間に接続された第3コンデンサと、
前記接続線と前記第2電源線との間に接続され、前記第3コンデンサと並列接続の関係にある第2抵抗と、を備える。
【0007】
前記電源回路は、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサからなる直列回路の両端間に生じる直流電圧の電圧値を検出する電圧センサをさらに備え、
前記制御回路は、
前記スイッチをオフした状態で前記電圧センサから前記電圧値を取得し、
取得した前記電圧値に基づき、予め定められた系統の前記交流電源が接続されている正常状態であるか否かを判別し、
前記正常状態であると判別した場合、前記スイッチの状態をオフからオンに切り替え、
前記正常状態でないと判別した場合、前記正常状態になるまで前記スイッチをオフの状態に維持してもよい。
【0008】
前記電源回路は、給湯機に備えられ、
前記交流電圧は、100V系であり、
前記第2負荷は、前記給湯機のポンプであり、
前記第1負荷は、前記給湯機のファンモータ及びコンプレッサの少なくともいずれかであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品点数の増加を抑えつつ電圧バランスを保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る電源回路を示す図。
図2】同上実施形態に係る給湯機の構成を示す図。
図3】(a)は比較例1に係る回路構成を示し、(b)は比較例2に係る回路構成を示す図。
図4】同上実施形態に係る制御回路が実行する電源確認処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示す電源回路100は、例えば、図2に示す給湯機200に備えられる。まず、給湯機200の概略構成について説明し、続いて、電源回路100について説明する。
【0013】
(給湯機200)
給湯機200は、ヒートポンプ式の給湯機として構成され、図2に符号で示された各部を備える。コンプレッサ1は、冷媒を圧縮して吐出する。水冷媒熱交換器2は、一次側を流れる圧縮された高温高圧の冷媒と二次側を流れる湯水とを熱交換する。電子膨張弁3は、水冷媒熱交換器2で放熱した冷媒を減圧膨張する。空気熱交換器4は、低温低圧の冷媒を蒸発させる。ファン5は、空気熱交換器4に外気を送風する。ヒートポンプ回路6は、コンプレッサ1、水冷媒熱交換器2、電子膨張弁3、空気熱交換器4を冷媒配管7で環状に接続して構成される。
【0014】
貯湯タンク8は、給湯用の湯水を貯湯する。給水管9は、貯湯タンク8の下部に接続される。出湯管10は、貯湯タンク8上部に接続される。加熱循環回路11は、貯湯タンク8下部と水冷媒熱交換器2の入口側を接続する加熱往き管12と、水冷媒熱交換器2の出口側と貯湯タンク8上部を接続する加熱戻り管13とで構成される。ポンプ14は、加熱往き管12の途中に設けられた加熱循環ポンプであり、貯湯タンク8下部から取り出した湯水を水冷媒熱交換器2へ循環させ貯湯タンク8上部へ戻す。
【0015】
蒸発温度センサ15は、空気熱交換器4から流出した冷媒の温度を検出する。外気温度センサ16は、ファン5の送風経路に設けられて外気温度を検出する。入水温度センサ17は、水冷媒熱交換器2に流入する湯水の温度を検出する。沸き上げ温度センサ18は、水冷媒熱交換器2から流出する湯水の温度を検出する。貯湯温度センサ19は、貯湯タンク8の側面上下に複数設けられ貯湯温度を検出する。
【0016】
制御部20は、給湯機200の全体動作を制御する。制御部20は、図示しないリモコンと通信可能に接続され、リモコンからの操作に応じて給湯機200を動作させる。例えば、制御部20は、上記の各種センサの検出値を取得し、コンプレッサ1、電子膨張弁3、ファン5及びポンプ14の各々の動作を制御して貯湯タンク8内の湯水を沸き上げ目標温度に加熱する。制御部20は、給湯機200の動作を制御するためのプログラムが予め記憶されたメモリを有するコンピュータから構成される。
【0017】
(電源回路100)
電源回路100は、図1に示すように、整流回路40と、第1抵抗R1と、ポンプ用回路60と、電圧センサ70と、インバータ回路80と、制御回路21と、を備える。なお、図1の上部に示す回路と下部に示す回路とは、図の円内に示した「x」、「y」で接続されている。
【0018】
整流回路40は、商用電源等の交流電源41による交流電圧の2倍分に相当する直流電圧を生成可能な倍電圧整流回路として構成される。本実施形態の交流電源41は、例えば、交流電圧の実効値Viが100Vである、100V系の商用電源である。なお、交流電源41には電流容量が定められており、その容量以上で使用するとブレーカが働き、通電を遮断する。
【0019】
整流回路40は、ブリッジダイオード42と、平滑化回路43と、スイッチ44と、接地端子45と、を備える。
【0020】
ブリッジダイオード42は、ブリッジ接続された4個のダイオードを有し、交流電源41から与えられる交流電圧を整流して出力する。4個のダイオードは、例えば、半導体ダイオードである。ブリッジダイオード42の各入力端子Ti1,Ti2は交流電源41に接続される。ブリッジダイオード42の出力端子To1は、第1電源線51に接続される。ブリッジダイオード42の出力端子To2は、接地端子45と接続されるとともに、第2電源線52に接続される。
【0021】
平滑化回路43は、第1電源線51及び第2電源線52の間に直列接続された2つの電解コンデンサとして、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2を備える。第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、両者の接続点である中点Nを介して接続される。第1コンデンサC1は、第1電源線51と中点Nの間に位置する。第2コンデンサC2は、中点Nと第2電源線52の間に位置する。平滑化回路43は、ブリッジダイオード42からの脈動する出力を平滑化する。例えば、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、同一の静電容量を有するコンデンサである。
【0022】
スイッチ44は、ブリッジダイオード42の入力端子Ti2と、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の中点Nとの間に設けられる。スイッチ44は、制御回路21の制御によりオンとオフのいずれかの状態に制御される。
【0023】
第1抵抗R1は、第1コンデンサC1に対応したバランス抵抗であり、第1コンデンサC1よりも出力側(負荷側)に設けられる。具体的に、第1抵抗R1は、第1電源線51と、中点Nに接続された中点接続線54との間に接続されると共に、第1コンデンサC1と並列接続の関係にある。
【0024】
ポンプ用回路60(第2負荷用回路の一例)は、給湯機200のポンプ14(第2負荷の一例)を駆動するための直流電圧V2を生成する。ポンプ14は、図示せぬインバータ及びモータを有し、入力された直流電圧V2に基づきインバータがモータを駆動することで動作する。
【0025】
ポンプ用回路60は、中点接続線54と第2電源線52に接続される。ポンプ用回路60は、整流ダイオードDと、第3コンデンサC3と、第2抵抗R2と、を備える。
【0026】
整流ダイオードDは、例えば、半導体ダイオードである。整流ダイオードDのアノードは、中点接続線54の第1抵抗R1との接続箇所54cと導通接続される。整流ダイオードDのカソードは、ポンプ14と導通接続される。
【0027】
第3コンデンサC3は、整流ダイオードD及びポンプ14を接続する接続線61と、第2電源線52との間に接続される。
【0028】
第2抵抗R2は、第3コンデンサC3に対応したバランス抵抗であり、第3コンデンサC3よりもポンプ14側に設けられる。具体的に、第2抵抗R2は、接続線61と第2電源線52との間に接続されると共に、第3コンデンサC3と並列接続の関係にある。なお、第1抵抗R1、第2抵抗R2としては、周知の抵抗素子を適宜用いることができる。
【0029】
電圧センサ70は、周知の電圧センサから構成され、整流回路40が出力する直流電圧Vo(平滑化回路43の両端間に生じる電圧)の値を測定する。電圧センサ70は、直流電圧Voの値を示す検出信号を制御回路21に供給する。この実施形態は、電圧センサ70は、第1電源線51と第3電源線53との間に設けられる。第3電源線53は、第2電源線52と接続され、第2電源線52と同電位である。したがって、電圧センサ70は、平滑化回路43の両端間に生じる直流電圧Voを測定することに変わりはない。
【0030】
第1電源線51と第3電源線53との間には、給湯機200のファン5を駆動するファンモータ5aが接続されている。ファンモータ5aは、第1電源線51と第3電源線53との間に生じる直流電圧(つまり、平滑化回路43の両端間に生じる直流電圧Voと同じ)を用いて駆動される。ファンモータ5aは、直流電圧Voが入力される図示せぬインバータを介して駆動される。
【0031】
インバータ回路80は、3対のスイッチング素子を備えた周知の構成であって、制御回路21からのPWM(Pulse Width Modulation)信号に従って、直流入力電圧をU,V,Wの3相の出力電圧に変換して、駆動対象であるコンプレッサ1のモータに印加する。インバータ回路80は、例えば、IPM(Intelligent Power Module)から構成される。コンプレッサ1のモータは、例えば、3相ブラシレスモータである。コンプレッサ1は、当該モータの回転によって駆動される。
【0032】
制御回路21は、制御部20の少なくとも一部を構成する回路であり、電源回路100の動作を制御する。制御回路21は、内蔵のメモリに記憶しているプログラムを実行することにより、スイッチ44のオンとオフを切り替える制御を実行すると共に、後述の電源確認処理(図4)を実行可能である。なお、電源回路100は、例えば、PCB(Printed Circuit Board)に実装される。また、第1~第3電源線51~53、中点接続線54、接続線61などの各種配線は、例えば、PCBに設けられ、又は形成される。電源回路100の構成は以上である。
【0033】
(動作)
続いて、電源回路100の動作を、図3(a)、(b)に示す比較例1、2と適宜対比して説明する。なお、比較例1、2に係る回路については、上記電源回路100と一部の構成が共通するため、上記電源回路100と同一又は対応する符号を用いて説明する。
【0034】
整流回路40のスイッチ44がオフの場合を説明する。この場合、交流電源41の一端(図1の上端)から電流が流れる半サイクルでは、当該電流は、入力端子Ti1、出力端子To1、平滑化回路43、出力端子To2、入力端子Ti2の順で通って交流電源41に帰還する。一方、交流電源41の他端(図1の下端)から電流が流れる半サイクルでは、当該電流は、入力端子Ti2、出力端子To1、平滑化回路43、出力端子To2、入力端子Ti1の順で通って交流電源41に帰還する。そして、平滑化回路43の両端端には、Vo=√2×Viの直流電圧が印加される。この実施形態では、Vi=100Vであるため、直流電圧Voは、約140Vである。なお、Vo=V1+V2である。
【0035】
整流回路40のスイッチ44がオンの場合を説明する。この場合、交流電源41の一端から電流が流れる半サイクルでは、当該電流は、入力端子Ti1、出力端子To1、第1コンデンサC1、スイッチ44の順で通って交流電源41に帰還する。一方、交流電源41の他端から電流が流れる半サイクルでは、当該電流は、スイッチ44、第2コンデンサC2、出力端子To2、入力端子Ti1の順で通って交流電源41に帰還する。そして、平滑化回路43の両端端には、Vo=2√2×Viの直流電圧が印加される。この実施形態では、Vi=100Vであるため、直流電圧Voは、約280Vである。
【0036】
以上のように、整流回路40は、スイッチ44がオンの時は倍電圧整流回路として機能し、スイッチ44がオフの時はブリッジ整流回路として機能する。
【0037】
ここで、スイッチ44をオン時に、整流回路40の中点Nから、第2コンデンサC2と並列にポンプ14(第2負荷の一例)を接続するだけでは、コンプレッサ1が運転した場合に、約280Vの直流電圧が徐々に低下し、これに伴い、第2コンデンサC2の両端間に生じる約140Vの直流電圧も低下してしまう。そうすると、約140Vで正常に動作するように設定されたポンプ14に、十分な電圧が供給できない。この対策として、本願発明者は、図3(a)に示す比較例1の回路を考えた。
【0038】
図3(a)に示す比較例1の回路は、整流回路40の中点Nと、ポンプ14へ直流電圧V2を印加する回路とを切り分けるべく、中点Nよりも出力側に整流ダイオードDを設けたものである。直流電圧V2を保持するため、第3コンデンサC3も比較例1の回路に設けた。
【0039】
しかしながら、図3(a)の構成では、ブレーカが働いて通電が遮断された場合であっても、第3コンデンサC3に蓄えられた電荷が放出される経路がない。このままでは、給湯機200の修理時などに、蓄電された第3コンデンサC3による電圧で感電する虞がある。この対策として、本願発明者は、図3(b)に示す比較例2の回路を考えた。比較例2の回路は、第3コンデンサC3と並列接続の関係で、放電用の抵抗R(前述の第2抵抗R2に相当)を設けたものである。
【0040】
しかしながら、図3(b)の回路では、スイッチ44をオフした場合に、中点Nを挟んだ上下の構成でインピーダンスのバランスが崩れ、第1コンデンサC1に電圧が偏る。例えば、100V系ではなく、誤って、200V系(Vi=200V)の交流電源41が接続された場合、V1が約280Vとなり、第1コンデンサC1に耐圧以上の電圧が印加される虞がある。この対策として、本願発明者は、第1コンデンサC1と並列接続の関係でバランス抵抗を設けることで、図1に示す電源回路100の構成を想い到った。
【0041】
このように構成された電源回路100によれば、スイッチ44のオフ時に、Vi=100Vでは、直流電圧V1、V2ともに約70Vとなり、電圧バランスが崩れることを防止できる。また、電源回路100によれば、ポンプ14(第2負荷の一例)を駆動するために必要なポンプ用回路60(第2負荷用回路の一例)に設けられた第2抵抗R2の機能により、直流電圧V1、V2の電圧バランスを保つことができる。このように、第2コンデンサC2に専用のバランス抵抗に頼らずに電圧バランスを保つことができるため、当該専用のバランス抵抗1個分の部品点数を削減できる。また、電源回路100によれば、第2抵抗R2により第3コンデンサC3の電荷を接地端子45に放出することができるため、安全である。
【0042】
(電源確認処理)
続いて、制御回路21が実行する電源確認処理について図4を参照して説明する。この電源確認処理は、予め定められた系統の交流電源41(この実施形態では、交流電圧100V系)が接続されているかを確認するための処理であり、給湯機200の製品動作前に実行される。
【0043】
制御回路21は、スイッチ44をオフした状態を維持し(ステップS1)、電圧センサ70の検出値(直流電圧Voの電圧値)を取得する(ステップS2)。
【0044】
続いて、制御回路21は、直流電圧Voの電圧値に基づき、交流電圧は100V系か否かを判別する(ステップS3)。具体的に、制御回路21は、直流電圧Voの電圧値が、Vi×√2=100√2と見做せる、予めメモリに定めた範囲内にある場合は、交流電圧が100V系であると判別する。例えば、許容できる電圧変動分をα、βとすれば、制御回路21は、100√2-α≦Vo≦100√2+βが成立する場合に、交流電圧が100V系であると判別する。なお、αとβの値は同じであっても異なっていてもよい。
【0045】
交流電圧が100V系であり、正常状態と判別した場合(ステップS3;Yes)、制御回路21は、スイッチ44をオンとし、整流回路40を倍電圧整流回路として機能させ、ポンプ14、ファンモータ5a、コンプレッサ1に駆動電圧を印加する。
【0046】
一方、交流電圧が100V系ではなく、正常状態ではない判別した場合(ステップS3;No)、制御回路21は、エラー状態とする(ステップS5)。制御回路21は、エラー状態とすると、正常状態になるまで(つまり、適切に100V系の交流電源41が接続されるまで)スイッチ44をオフの状態に維持する。以上が電源確認処理である。
【0047】
ここで、給湯機は交流電圧200V系に設定されることが一般的であるが、本実施形態に係る給湯機200は、交流電圧100V系に設定されている。200V系の機器に100V系の交流電源41を接続したとしてもコンデンサ等に耐圧以上の電圧が印加される心配は無いが、100V系の機器に200V系の交流電源41を接続すると、耐圧以上の電圧がコンデンサ等に印加される虞がある。したがって、本実施形態のように、交流電圧100V系の給湯機200において電源確認処理を実行し、適切な電源が接続されているかを確認することは部品故障を防止する観点から非常に有用である。
【0048】
なお、電源回路100のスイッチ44がオフの場合に、交流電圧200V系の交流電源41が接続されても、スイッチ44をオフ状態に保ったままであれば、電源回路100及び給湯機200の安定動作は可能である。しかしながら、本実施形態によれば、上記の電源確認処理を実行することで、予め定められた系統(交流電圧100V)の交流電源41の接続を促すことにより、予期せぬトラブルを未然に回避できる。
【0049】
本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態に適宜の変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0050】
電源回路100は、給湯機200以外の機器に備えられてもよい。例えば、電源回路100は、空気調和機に備えられてもよい。また、交流電源41は、交流電圧200V系などの系統であってもよい。
【0051】
以上では、直流電圧Voを用いて駆動される第1負荷の例として、コンプレッサ1、ファンモータ5aを挙げ、直流電圧V2を用いて駆動される第2負荷の例としてポンプ14を挙げた。しかしながら、第1負荷及び第2負荷はこれらの例に限定されず、任意に選定可能である。
【0052】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0053】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0054】
100…電源回路
40…整流回路
41…交流電源
42…ブリッジダイオード、Ti1,Ti2…入力端子、To1,To2…出力端子
43…平滑化回路、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、N…中点
44…スイッチ
45…接地端子
51…第1電源線、52…第2電源線、53…第3電源線
54…中点接続線、54c…接続箇所
R1…第1抵抗
60…ポンプ用回路(第2負荷用回路の一例)
61…接続線、D…整流ダイオード、C3…第3コンデンサ、R2…第2抵抗
70…電圧センサ
80…インバータ回路
21…制御回路
200…給湯機
1…コンプレッサ(第1負荷の一例)、5a…ファンモータ(第1負荷の一例)
14…ポンプ(第2負荷の一例)
図1
図2
図3
図4