(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062233
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】生産ライン設計装置、生産ライン設計システムおよび生産ライン設計方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230426BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230426BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20230426BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172081
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】堤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆宏
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA42
3C100AA43
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB14
5L049AA06
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】簡便に精度よく運用コストを抑えた生産ライン設計を立案する技術を提供する。
【解決手段】 生産ライン設計装置であって、設計対象の生産ラインのリソース構成情報と、生産リソース間のリソース配置制約情報と、設計対象の生産ラインが満たすべき生産条件と、生産リソースに割り付けられたワークおよび該ワークの数量を含む作業割付情報と、生産ラインの段取り作業において使用する生産リソースと段取り作業の順序とを含む作業順序情報と、生産リソースの仕様を定義するリソース候補情報と、を記憶する記憶部と、リソース構成情報ごとに、生産リソース間の配置制約と、生産条件と、を満たすレイアウト候補を複数生成するレイアウト生成部と、リソース構成情報と、作業割付情報と、作業順序情報と、リソース候補情報と、を用いてレイアウト候補ごとに段取り時間を算出する段取り時間算出部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計対象の生産ラインを構成する生産リソースを定義するリソース構成情報と、
前記生産リソース間の配置制約を定義したリソース配置制約情報と、
前記設計対象となる生産ラインが満たすべき生産条件と、
前記生産リソースに割り付けられたワークおよび該ワークの数量を含む作業割付情報と、
前記生産ラインの段取り作業において使用する前記生産リソースと前記段取り作業の順序とを含む作業順序情報と、
前記生産リソースの仕様を定義するリソース候補情報と、
を記憶する記憶部と、
前記リソース構成情報ごとに、前記生産リソース間の配置制約と、前記生産条件と、を満たすレイアウト候補を複数生成するレイアウト生成部と、
前記リソース構成情報と、前記作業割付情報と、前記作業順序情報と、前記リソース候補情報と、を用いて前記レイアウト候補ごとに段取り時間を算出する段取り時間算出部と、
を備える生産ライン設計装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
前記記憶部には、
前記ワークの寸法または形状を含むワーク特性情報と、
前記生産リソースを主要リソースと付帯リソースに分けて構成上の制約条件を定義するリソース構成制約と、
前記ワークの生産期間と生産量を含む生産計画と、
前記ワークごとの作業時間を含む作業時間と、
が記憶され、
前記ワーク特性情報と、前記リソース構成制約と、前記生産条件と、を用いて前記リソース構成情報を複数生成し、各リソース構成情報に対して、前記生産計画と前記作業時間を用いて前記作業割付情報を算出するリソース構成生成部と、
を備えることを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項3】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
選択された前記レイアウト候補ごとに、前記リソース候補情報に含まれる前記生産リソースの寸法を用いて、セルごとの横幅、縦幅および占有面積を算出するセルサイズ算出部、
を備えることを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項4】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
前記生産条件には、少なくともセルの占有面積の制約が含まれ、
前記レイアウト生成部は、前記リソース構成情報について、前記セルの占有面積の制約を満足する前記レイアウト候補が1つも生成しえない場合には、該リソース構成情報とは異なるリソース構成情報を用いて、前記レイアウト候補を生成する、
ことを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項5】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
前記段取り時間算出部は、選択された前記レイアウト候補ごとに、前記生産リソースによる段取りの作業回数と、最小時間と、前記生産リソースの把持部の移動速度および移動距離と、を用いて前記段取り時間を算出する、
ことを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項6】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
前記段取り時間を用いて前記レイアウト候補を評価するレイアウト評価部、
を備えることを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項7】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
セルの占有面積を用いて前記レイアウト候補を評価するレイアウト評価部、
を備えることを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項8】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
前記記憶部には、
前記ワークの寸法または形状を含むワーク特性情報と、
前記生産リソースを主要リソースと付帯リソースに分けて構成上の制約条件を定義するリソース構成制約と、
前記ワークの生産期間と生産量を含む生産計画と、
前記ワークごとの作業時間を含む作業時間と、
が記憶され、
前記ワーク特性情報と、前記リソース構成制約と、前記生産条件と、を用いて前記リソース構成情報を複数生成し、各リソース構成情報に対して、前記生産計画と前記作業時間を用いて、前記生産リソースに含まれるすべての前記主要リソースにおける加工時間を平準化して前記作業割付情報を算出するリソース構成生成部、
を備えることを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項9】
請求項1に記載の生産ライン設計装置であって、
前記記憶部には、
前記ワークの寸法または形状を含むワーク特性情報と、
前記生産リソースを主要リソースと付帯リソースに分けて構成上の制約条件を定義するリソース構成制約と、
前記ワークの生産期間と生産量を含む生産計画と、
前記ワークごとの作業時間を含む作業時間と、
が記憶され、
前記ワーク特性情報と、前記リソース構成制約と、前記生産条件と、を用いて前記リソース構成情報を複数生成し、各リソース構成情報に対して、前記生産計画と前記作業時間を用いて前記作業割付情報を算出するリソース構成生成部と、を備え、
前記リソース構成生成部は、
前記生産条件を満たすリソース構成候補が存在する場合には、レイアウト生成部の処理を開始させ、前記生産条件を満たすリソース構成候補が存在しない場合には、前記生産条件の変更を受け付けて、再度リソース構成候補を生成する、
ことを特徴とする生産ライン設計装置。
【請求項10】
生産ライン設計装置を含む生産ライン設計システムであって、
前記生産ライン設計装置は、
設計対象の生産ラインを構成する生産リソースを定義するリソース構成情報と、
前記生産リソース間の配置制約を定義したリソース配置制約情報と、
前記設計対象となる生産ラインが満たすべき生産条件と、
前記生産リソースに割り付けられたワークおよび該ワークの数量を含む作業割付情報と、
前記生産ラインの段取り作業において使用する前記生産リソースと前記段取り作業の順序とを含む作業順序情報と、
前記生産リソースの仕様を定義するリソース候補情報と、
を記憶する記憶部と、プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記リソース構成情報ごとに、前記生産リソース間の配置制約と、前記生産条件と、を満たすレイアウト候補を複数生成するレイアウト生成ステップと、
前記リソース構成情報と、前記作業割付情報と、前記作業順序情報と、前記リソース候補情報と、を用いて前記レイアウト候補ごとに段取り時間を算出する段取り時間算出ステップと、
を実施する生産ライン設計システム。
【請求項11】
生産ライン設計装置を用いる生産ライン設計方法であって、
前記生産ライン設計装置は、
設計対象の生産ラインを構成する生産リソースを定義するリソース構成情報と、
前記生産リソース間の配置制約を定義したリソース配置制約情報と、
前記設計対象となる生産ラインが満たすべき生産条件と、
前記生産リソースに割り付けられたワークおよび該ワークの数量を含む作業割付情報と、
前記生産ラインの段取り作業において使用する前記生産リソースと前記段取り作業の順序とを含む作業順序情報と、
前記生産リソースの仕様を定義するリソース候補情報と、
を記憶する記憶部と、プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記リソース構成情報ごとに、前記生産リソース間の配置制約と、前記生産条件と、を満たすレイアウト候補を複数生成するレイアウト生成ステップと、
前記リソース構成情報と、前記作業割付情報と、前記作業順序情報と、前記リソース候補情報と、を用いて前記レイアウト候補ごとに段取り時間を算出する段取り時間算出ステップと、
を実施する生産ライン設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ライン設計装置、生産ライン設計システムおよび生産ライン設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「対象部品を加工して製品を生産する生産システムの工程設計情報を生成する設計情報生成装置であって、前記製品の幾何情報、組立情報及び作業工程情報に基づいて、目標状態に到達するために前記対象部品に施される操作を示す必要操作情報を生成する必要操作情報生成部と、前記幾何情報、前記組立情報及び前記作業工程情報に基づいて、前記対象部品の位置又は作用力の少なくともいずれか1つの制約条件を決定して作業制約情報を生成する作業制約生成部と、前記必要操作情報、前記作業制約情報及び作業主体情報に基づいて、前記必要操作情報を実現するための必要操作能力及び前記制約条件の双方を満たす複数の作業主体を選定して、選定された前記複数の作業主体の情報を含む工程設計情報を生成する作業主体選定部とを備えることを特徴とする設計情報生成装置」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の技術では、所望の作業を実行するための必要能力情報と、所与の制約条件情報の双方を満たす作業主体を選定している。ここで、作業主体とは、当該工程を実行する主要なリソース(以下、主要リソース)である。一方で、精度よく作業時間の見込みを算出するためには、作業主体が行う作業時間以外にも、段取りのための時間を精度よく算出する必要がある。上記技術では、そのような点に言及はなく、精度よく最良の設計結果を得ることはできない。
【0005】
本発明の目的は、簡便に精度よく運用コストを抑えた生産ライン設計を立案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の手段を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、生産ライン設計装置であって、設計対象の生産ラインを構成する生産リソースを定義するリソース構成情報と、前記生産リソース間の配置制約を定義したリソース配置制約情報と、前記設計対象となる生産ラインが満たすべき生産条件と、前記生産リソースに割り付けられたワークおよび該ワークの数量を含む作業割付情報と、前記生産ラインの段取り作業において使用する前記生産リソースと前記段取り作業の順序とを含む作業順序情報と、前記生産リソースの仕様を定義するリソース候補情報と、を記憶する記憶部と、前記リソース構成情報ごとに、前記生産リソース間の配置制約と、前記生産条件と、を満たすレイアウト候補を複数生成するレイアウト生成部と、前記リソース構成情報と、前記作業割付情報と、前記作業順序情報と、前記リソース候補情報と、を用いて前記レイアウト候補ごとに段取り時間を算出する段取り時間算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡便に精度よく運用コストを抑えた生産ライン設計を立案する技術を提供することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】生産ライン設計システムの構成例を示す図である。
【
図2】生産計画情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図3】ワーク特性情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図4】作業時間情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図5】リソース候補情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図6】生産条件情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図7】作業順序情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図8】リソース構成情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図9】作業割付情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図10】コスト情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図11】レイアウト情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図12】段取り時間情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図13】生産ライン設計装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図14】生産ライン設計処理のフローの例を示す図である。
【
図15】リソース構成生成処理のフローの例を示す図である。
【
図16】レイアウト生成処理のフローの例を示す図である。
【
図17】段取り時間算出処理のフローの例を示す図である。
【
図19】レイアウト案詳細表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0011】
また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0012】
さらに、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0013】
同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
また、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。ただし、同一の部材であっても環境変更等により変更前の部材と称呼を共有すると混乱を生ぜしめるおそれが高い場合、別の異なる符号や名称を付すことがある。以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
主要リソース(例えば、加工機、溶接機、それらへのワーク(被加工物)取付やハンド(把持部ともいう)交換等を行うロボット等を含む)が工程を実行する際に必要となる付帯的なリソースを付帯リソースと呼ぶものとすると、ライン設計において精度よく運用効率のよい設計を得るためには、付帯リソースの設計も併せて行う必要があるとともに、主要リソースだけでなく付帯リソースも含めたレイアウトを生成する必要がある。レイアウトによっても、段取り作業時間に変動が出るためである。例えば、付帯リソースには、加工機が加工作業を実行するために必要な治具やハンドストッカ、あるいはロボットが段取り作業を実行するために必要なハンドやハンドストッカ等が含まれる。
【0016】
一般的に、能力の高い主要リソースを使用すれば作業時間は短くなることが期待されるが、能力の高い主要リソースほど投資コストや運用コストが高くなるため、工程全体の運用コストを比較して工程計画を行う必要がある。精度よく運用コストを算出するためには、付帯リソースも含めて具体的にラインを設計しその設計を評価するのが合理である。
【0017】
特に、近年では、加工機とロボットとを組み合わせて自律稼働させるライン設計の需要が多くなり、運用コストを抑える必要性も高まっている。つまり、主要リソースだけでなく付帯リソースを含む効率的なレイアウトを生成することで、段取り時間の見積もりの精度を高めることができ、それにより運用コストを抑えた生産ライン設計を立案することができるといえる。
【0018】
以下の実施形態では、ワークを切削加工する加工機と、加工工程の前および後にワークを加工機へ搬入および搬出する作業者やロボット等からなる生産ラインにおいて、リソース構成とレイアウトを設計する問題を対象とする。本発明が対象とする生産ラインの作業工程は、加工だけでなく、組立や溶接等でもよい。
【0019】
このような生産ラインを構成するリソースを例示する。まず、加工工程を実行する主要リソースである加工機がある。そして、加工機の付帯リソースとして、チャック爪とチャック爪置き場等がある。また、加工の前後工程で必要となるワーク取り付け作業やチャック爪交換作業といった段取り作業を実行する主要リソースとして、作業者とロボットがある。さらに、ロボットの付帯リソースとして、ハンドやハンド置き場等がある。
【0020】
生産ラインは、1つまたは複数のセルという単位から構成される。各セルは加工工程を実行する一台又は複数台の加工機と、加工工程の段取り作業を実行する1台のロボットまたは1人の作業者を必須として構成されるものとする。段取り作業を実行する主要リソースとしてのロボットは、ワークを把持するためのハンドを1つ以上必要とする。ハンドを2つ以上要する場合には、一時的に使用していない方のハンドを格納するための1つ以上のハンド置き場を要する。このような主要リソース同士の関係、主要リソースと付帯リソースとの関係、付帯リソース同士の関係は、リソース構成制約として数式を用いて定義することができる。なお、レイアウト上でのリソース間の配置上の制約については、リソース配置制約として定義されうる。
【0021】
リソース構成設計においては、様々な種類のリソース候補のなかから、対象工場の生産ラインを構成する主要リソースと付帯リソースの組合せを一つ以上決定することとなる。続くレイアウト設計においては、リソース構成設計で決定したリソース構成に対して、リソースを配置する位置と向きを決定する。一般的に、能力の高い主要リソースを使用すれば、より大きな寸法のワークをより短時間で作業完了できるが、より大きな占有面積とより高い購入価格を要する。
【0022】
以下の実施形態では、作業能力、作業時間、スペース、コストといった多岐の変数のトレードオフ関係を考慮して、必要な生産量を満足するとともに運用コストを抑えたリソース構成を決定し、段取り時間をも抑えたレイアウトを決定する生産ライン設計装置について説明する。なお、運用コストは設定した期間における設備償却費と人件費の総和として定義される。
【0023】
なお、以下の実施形態においては、「入力部」、「出力部」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/Oインターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0024】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0025】
また、以下の説明では、「外部記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0026】
また、以下の説明では、「記憶部」または「外部記憶装置」は、メモリと永続記憶装置のうちメモリかまたは両方であればよい。
【0027】
また、以下の説明では、「処理部」または「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0028】
また、以下の説明では、「生産ライン設計システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。生産ライン設計システムが表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0029】
図1は、生産ライン設計システムの構成例を示す図である。生産ライン設計システム1は、生産ライン設計装置100を含み、製造現場(エリア)あるいは製造現場外の施設に設けられる。生産ライン設計システム1には、図示しないネットワークを介して通信可能に接続された表示用計算機等の利用環境に応じた装置群が含まれる。
【0030】
図示しないが、ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等の一般公衆回線を一部または全部に用いた通信網、携帯電話通信網等、のいずれかまたはこれらの複合したネットワークである。なお、ネットワークは、Wi-Fi(登録商標)や5G(Generation)等の無線による通信網であってもよい。
【0031】
生産ライン設計装置100は、入力部110と、出力部120と、処理部140と、記憶部150と、を備える。記憶部150には、生産計画情報151と、ワーク特性情報152と、作業時間情報153と、リソース候補情報154と、生産条件情報155と、作業順序情報156と、リソース構成情報157と、作業割付情報158と、コスト情報159と、レイアウト情報160と、段取り時間情報161と、が含まれる。処理部140には、リソース構成生成部141と、レイアウト生成部142と、段取り時間算出部143と、セルサイズ算出部144と、レイアウト評価部145と、が含まれる。
【0032】
図2は、生産計画情報のデータ構造の例を示す図である。生産計画情報151は、ワークの生産期間と生産量を定義する情報である。生産計画情報151には、生産対象のワークID151aに対して、生産期間ごとの生産量151bが対応付けて格納される。生産期間は、年や月、週の単位であってもよい。また、生産期間は1つ以上あればよい。
【0033】
図3は、ワーク特性情報のデータ構造の例を示す図である。ワーク特性情報152は、ワークの寸法または形状を定義する情報である。ワーク特性情報152には、生産対象ワークのワークID152aに対して、各ワークの直径152bと、軸長152cと、重量152dと、が対応付けて格納される。なお、ワーク特性情報152には、これらに限られず、材質や形状、要求精度、穴あけ有無、焼き入れ有無等の他の特性についての情報が含まれるものとしてもよい。すなわち、ワーク特性情報152を用いることで、ワークに対して加工や段取り作業が可能である主要リソースおよび付帯リソースの候補を絞るための判断が可能となるといえる。
【0034】
図4は、作業時間情報のデータ構造の例を示す図である。作業時間情報153は、ワークごとの作業時間を定義する情報である。作業時間情報153には、対象ワークのワークID153aに対して、各ワークに対する加工時間153bと、ワーク取り付け時間153cと、ワーク取り出し時間153dと、チャック爪交換時間153eと、ハンド交換時間153fと、が対応付けて格納される。例えば、ワークID=「1」を3000RPM(Revolutions Per Minute)という作業速度で加工した場合の加工時間153bは、1個あたり「132」分となる。また、ワークID=「2」を、Robotによってワーク取り付け作業を実行した場合のワーク取り付け時間153cは、ワーク1個あたり「2」分となる。
【0035】
また、作業時間情報153には、ワーク洗浄時間やハンド爪交換時間など対象とする生産ラインに応じた作業時間情報が含まれるようにしてもよい。作業時間情報153の加工時間153bを用いて、生産計画情報151で指定された生産量を満足するリソース構成情報157および作業割付情報158を生成することができる。
【0036】
また、各作業時間は、過去の同一作業の作業実績を用いてもよいし、同一作業の実績がない場合は、類似の作業から類推した値を用いてもよい。あるいは、シミュレーション等により試算した作業時間として用いてもよい。類推やシミュレーションにより試算した値を作業時間に用いることで、実績のないワークに対しても生産ラインを設計することが可能となる。なお、作業時間情報153の各作業時間は、作業実績に基づき、随時更新されるものであってもよい。
【0037】
図5は、リソース候補情報のデータ構造の例を示す図である。リソース候補情報154は、生産リソースの仕様を定義する情報である。リソース候補情報154には、候補となるリソースのID154aごとに、名前154bと、主要リソースか付帯リソースかを示すリソース区分154cと、作業速度154dと、購入価格154eと、外形横幅154f、外形縦幅154g、重量154h、ワーク軸長下限154j、ワーク軸長上限154k、ワーク直径下限154m、ワーク直径上限154p、ワーク重量上限154r、リーチ上限154s、移動速度154t等の仕様情報と、が対応付けられて格納される。
【0038】
ここで、リソース候補情報154に、撤去コストの情報が含まれるものとしてもよい。撤去コストの情報を用いることで、既存のリソースを撤去して新しいリソースを配置する場合や、将来的にリソースを撤去する可能性がある場合に、撤去に要する費用も考慮したコスト情報を算出することができる。
【0039】
また、リソース候補情報154に、外形高さの情報が含まれるものとしてもよい。外形高さの情報を用いることで、工場の高さ方向のスペースに制約がある場合に、高さの制約を満足するリソース構成候補を生成することができる。
【0040】
図6は、生産条件情報のデータ構造の例を示す図である。生産条件情報155は、設計の対象となる生産ラインが満たすべき生産条件を定義する情報である。生産条件情報155には、生産条件ID155aごとに、項目155bと、項目155bの設定値155cとが対応付けて格納される。例えば、生産条件ID155aが「2」である条件では、項目155bによると「加工機の稼働率」は設定値155cのとおり「70」%に設定される。ここで、項目155bに含まれる「セル横幅上限」と「セル縦幅上限」という項目については、複数のセルに対して設定値155cを個別に設定するものであってもよい。また、生産条件には、少なくともセルの占有面積の制約が含まれる。
【0041】
また、項目155bに含まれる「減価償却期間」という項目については、それぞれのリソースに対して設定値155cを個別に設定するものであってもよい。生産条件情報155において生産条件を複数パターン設定することにより、それぞれのパターンに対して最適なリソース構成情報157やレイアウト情報160を選定可能となり、細やかな生産条件に応じて最適な設計解を比較することが容易になるといえる。
【0042】
また、生産条件情報155の項目155bとして「セル占有面積上限」を設けてもよい。セル占有面積は、配置したリソースを内包する長方形をセルとみなしたとき、その長方形の面積、すなわちセル横幅とセル縦幅の積として定義することができる。セル占有面積を定義することで、工場の設計対象エリアの面積に制約があるときでも、その制約を満たすレイアウト情報160を生成することができるようになる。
【0043】
図7は、作業順序情報のデータ構造の例を示す図である。作業順序情報156は、生産ラインの段取り作業において使用する生産リソースと段取り作業の順序とを定義する情報である。作業順序情報156には、作業ID156aごとに、作業名156bと、作業が必要となる作業頻度156cと、作業を構成する順序156eと、作業においてロボットが使用する論理リソース156fと、作業者が使用する論理リソース156gと、が対応付けられて格納される。なお、論理リソースとは、論理的にリソースの分類を特定する便宜上の分類であり、実体としてはいずれかのリソース機種(物理リソースとも称呼する)が割り当てられるものである。
【0044】
作業順序情報156を用いることで、論理的にリソースの使用順序を規定することが可能となるため、論理リソースに割り当てられる物理リソースのレイアウトに応じて、段取り作業の経路と移動距離をそれぞれ算出することが可能となる。ここで、作業として、ハンド爪交換作業やワーク洗浄作業といった情報を定義してもよい。また、ワーク取り付け作業を複数のパターンにより定義して、リソース構成に応じて選択できるようにしてもよい。
【0045】
図8は、リソース構成情報のデータ構造の例を示す図である。リソース構成情報157は、設計対象の生産ラインを構成する生産リソースを定義する情報である。リソース構成情報157には、セルID157aに対して、セル内に配置するリソースのIDを特定する配置リソースID157bと、配置するリソースの論理リソース157cと、リソース機種名157dとが対応付けられて格納される。
【0046】
図9は、作業割付情報のデータ構造の例を示す図である。作業割付情報158は、生産リソースに割り付けられたワークおよび該ワークの数量を定義する情報である。作業割付情報158には、加工機ID158cと、加工機が配置されているセルID158bと、ある生産期間(生産月158a)において加工機に割り付けられたワークのワークID158dと、ワークの生産量158eと、が対応付けて格納される。
【0047】
図10は、コスト情報のデータ構造の例を示す図である。コスト情報159には、あるセルID159aのセルに配置されるリソースのリソースIDを示す配置リソースID159bと、当該リソースの購入価格159cと、減価償却費159dと、人件費159eと、減価償却費と人件費の総和として算出される運用コスト159fと、が対応付けて格納される。
【0048】
図11は、レイアウト情報のデータ構造の例を示す図である。ここで、レイアウトは、セルを上方から見下ろした場合のセルの左下角を原点として、右方向(横方向)をx方向、x方向に直交する上方向(縦方向)をy方向とする座標で示される。レイアウト情報160には、対象セルのセルID160aごとに、当該セルに配置されたリソースのリソースIDを示す配置リソースID160bと、リソース機種名160cと、該リソースの中心のX座標を特定する中心X座標160dと、該リソースの中心のY座標を特定する中心Y座標160eと、該リソースの向き160fと、該リソースの横幅を特定するリソース横幅160gと、該リソースの縦幅を特定するリソース縦幅160hと、該リソースの右上頂点のX座標を特定する右上頂点X座標160jと、該リソースの右上頂点のY座標を特定する右上頂点Y座標160kと、が対応付けられて格納される。
【0049】
セルのサイズを考えるとき、セル内に配置されるリソースがすべて含まれる最小の長方形をセルの占有領域と考え、その面積を占有面積として考える。
図11のセルIDが「1」となるセルのサイズとしては、当該セル内のすべての配置リソースのなかで右上頂点のx座標が最大なのは、配置リソースID160bが「2」である「チャック爪置台A」であるので、セル横幅は「8.1」mとなる。同様に、当該セル内のすべての配置リソースのなかで右上頂点のy座標が最大なのは配置リソースID160bが「1」である「加工機A」であるので、セル縦幅は「10.5」mとなる。
【0050】
図12は、段取り時間情報のデータ構造の例を示す図である。段取り時間情報161には、ある生産期間(生産月161a)のセルID161bのセル内において発生する段取り作業の作業ID161cと、該段取りの作業名161dと、単位作業時間161eと、単位作業の発生回数である作業回数161fと、当該作業回数の実施による最小段取り時間161gと、単位回数あたりの単位移動距離161hと、移動速度161jと、移動時間161kと、最終的に算出される段取り時間161mと、が対応付けて格納される。
【0051】
なお、ここで、リソース構成情報157を用いて、予め作業回数の算出方法を複数パターン定義しておいてもよい。例えば、リソース構成上、ハンドが1つしか存在しないリソースの場合には、当然にハンド交換作業は存在しないので、ハンド交換回数はゼロと定義しておいてもよい。そうすることで、小さなサイズのワークを把持できる安価なハンドを複数購入する場合と、高価だが把持可能なワークサイズの範囲がより広範なハンドを1つだけ購入する場合の比較が、段取り時間に関して行えるようになる。
【0052】
また、図示しないが、記憶部150には、生産リソースを主要リソースと付帯リソースに分けて構成上の制約条件を定義するリソース構成制約情報およびリソースの配置に関する制約条件を定義するリソース配置制約情報が格納される。
【0053】
図1の説明に戻る。処理部140には、リソース構成生成部141と、レイアウト生成部142と、段取り時間算出部143と、セルサイズ算出部144と、レイアウト評価部145と、が含まれる。
【0054】
リソース構成生成部141は、ワーク特性情報152と、リソース構成制約と、生産条件情報155と、を用いてリソース構成情報157を複数生成し、各リソース構成情報157に対して、生産計画情報151と作業時間情報153とを用いて作業割付情報158を算出する。また、リソース構成生成部141は、各リソース構成情報157に対して、生産計画情報151と作業時間情報153とを用いて生産リソースに含まれるすべての主要リソースにおける加工時間を平準化して作業割付情報158を算出するようにしてもよい。ここで、平準化とは、すべての加工時間の加工時間を算出したとき、加工時間の最大値がなるべく小さくなるように加工機とワークの組合せを求めることを意味する。加工時間を平準化することで、生産計画情報151で指定されたすべての生産量を生産完了するまでの所要時間を短くできる。
【0055】
また、リソース構成生成部141は、ワークを加工機に割り付ける方法として、なるべく使用する加工機の台数を少なくするようにワークを割り付けてもよい。使用する加工機台数を絞ることで、品質のばらつきの抑制や、設備の消費電力の抑制などの効果が期待される。また、リソース構成生成部141は、生産条件情報155を満たすリソース構成候補が存在する場合には、レイアウト生成部142の処理を開始させ、生産条件情報155を満たすリソース構成候補が存在しない場合には、生産条件情報155の変更を受け付けて、再度リソース構成候補を生成する。
【0056】
レイアウト生成部142は、リソース構成情報157ごとに、生産リソース間の配置に関する制約であるリソース配置制約と、生産条件情報155と、を満たすレイアウト候補を複数生成する。また、レイアウト生成部142は、リソース構成情報157について、セルの占有面積の制約を満足するレイアウト候補が1つも生成しえない場合には、該リソース構成候補とは異なるリソース構成候補を用いて、レイアウト候補を生成する。
【0057】
段取り時間算出部143は、リソース構成情報157と、作業割付情報158と、作業順序情報156と、リソース候補情報154と、を用いてレイアウト候補ごとに段取り時間を算出する。また、段取り時間算出部143は、選択されたレイアウト候補ごとに、生産リソースによる段取りの作業回数と、最小時間と、生産リソースの把持部の移動速度および移動距離と、を用いて段取り時間を算出する。
【0058】
セルサイズ算出部144は、選択されたレイアウト候補ごとに、リソース候補情報154に含まれる生産リソースの寸法を用いて、セルごとの横幅、縦幅および占有面積を算出する。
【0059】
レイアウト評価部145は、段取り時間あるいは占有面積を用いて前記レイアウト候補を評価する。
【0060】
入力部110は、例えば画面上で表示・操作され、キーボードあるいはマウスにて操作され入力された入力情報を受け取る。
【0061】
出力部120は、例えば、所定の処理を行った結果出力する情報が含まれる画面情報を作成し、表示用計算機に出力する。
【0062】
図13は、生産ライン設計装置のハードウェア構成例を示す図である。生産ライン設計装置100は、プロセッサ(例えば、CPU、あるいはGPU)901と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ902と、ハードディスク装置(HDD)やSSDなどの外部記憶装置903と、CDやDVDなどの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読む読取装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダ、タッチパネルなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、LANやインターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900、あるいはこのコンピュータ900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。なお、読取装置905は、可搬性を有する記憶媒体904の読取だけでなく、書き込みも可能なものであっても良いことは言うまでもない。
【0063】
例えば、処理部140に含まれるリソース構成生成部141と、レイアウト生成部142と、段取り時間算出部143と、セルサイズ算出部144と、レイアウト評価部145とは、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてプロセッサ901で実行することで実現可能であり、入力部110は、プロセッサ901が入力装置906を利用することで実現可能であり、出力部120は、プロセッサ901が出力装置907あるいは通信装置908を利用することで実現可能であり、記憶部150は、プロセッサ901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
【0064】
この所定のプログラムは、読取装置905を介して可搬性を有する記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてプロセッサ901により実行されるようにしてもよい。また、読取装置905を介して可搬性を有する記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、プロセッサ901により実行されるようにしてもよい。なお、これに限られず、生産ライン設計装置100は、例えばヘッドセットやゴーグル、眼鏡、インカム等の、作業者が身に着けられるウェアラブルコンピュータであってもよい。
【0065】
図14は、生産ライン設計処理のフローの例を示す図である。生産ライン設計処理は、インターフェース装置を介してユーザにより開始指示を受け付けると開始される。
【0066】
まず、入力部110は、生産計画情報151の入力を受け付ける(ステップS001)。生産計画情報151は、生産対象とするワークごとに定義される。
【0067】
そして、入力部110は、ワーク特性情報152の入力を受け付ける(ステップS002)。ワーク特性情報152は、生産対象とするワークごとに定義される。
【0068】
そして、入力部110は、作業時間情報153の入力を受け付ける(ステップS003)。作業時間情報153は、生産対象とするワークごとに定義してもよい。
【0069】
そして、入力部110は、リソース候補情報154の入力を受け付ける(ステップS004)。リソース候補情報154は、生産ラインを構築する際の候補となるリソースを定義する。
【0070】
そして、リソース構成生成部141は、入力を受け付けた各情報を用いて、後述するリソース構成生成処理を実行する(ステップS005)。
【0071】
そして、レイアウト生成部142は、後述するレイアウト生成処理を実行する(ステップS006)。そして、段取り時間算出部143は、後述する段取り時間算出処理を実行する(ステップS007)。そして、出力部120は、取得した結果を表示する(ステップS008)。
【0072】
以上が、生産ライン設計処理のフローの例である。生産ライン設計処理のフローによれば、簡便に精度よく運用コストを抑えた生産ライン設計を立案することができる。
【0073】
図18は、候補表示画面の例を示す図である。候補表示画面500は、生産ライン設計処理のステップS008において表示される画面の例である。候補表示画面500には、表510と、運用コスト比較グラフ521と、段取り時間比較グラフ522と、レイアウト詳細表示ボタン530と、が含まれる。
【0074】
表510には、リソース構成候補とそのリソース構成候補を採用する場合のレイアウト候補の組合せが、運用コストの低い順に画面上から下へと表示される。さらに、レイアウト情報は、段取り時間の短い順に画面左から右に表示される。
【0075】
表510のリソース構成候補とレイアウト候補の組合せIDを示すチェックボックスにチェックを入れると、選択した候補の組み合わせを比較するよう運用コスト比較グラフ521と、段取り時間比較グラフ522とが更新される。
【0076】
また、レイアウト詳細表示ボタン530は、入力を受け付けると、チェックボックスにチェックが入っているレイアウトIDについて詳細を表示するレイアウト案詳細表示画面600に画面遷移する。候補表示画面500を用いることで、ユーザはコストや段取り時間に基づいて複数の生産条件の結果を定量的に比較できるようになる。
【0077】
図19は、レイアウト案詳細表示画面の例を示す図である。レイアウト案詳細表示画面600は、候補表示画面500のレイアウト詳細表示ボタン530への入力を受け付けると、表示される。
【0078】
レイアウト案詳細表示画面600には、レイアウト候補のリソース配置と、作業経路と、段取り時間とが表示される。具体的には、レイアウト案詳細表示画面600には、レイアウト候補IDが記載されているエキスパンダー610、620、630が含まれ、それぞれは押下されると、当該レイアウト候補IDのレイアウト図と作業経路情報、段取り時間の内訳(ワークに係る段取り時間、付帯リソースに係る段取り時間等の内訳)を表示するグラフ611が表示される。
【0079】
また、レイアウト図には、ワーク、付帯リソースの作業経路を表示または非表示にするためのチェックボックスが含まれ、チェックされたワークまたは付帯リソースについて、レイアウト図に作業経路を示す矢印が重畳表示される。レイアウト案詳細表示画面600によれば、ユーザはレイアウトの詳細と、段取り作業の経路を視覚的に素早く理解することができ、複数人の設計者と画面を共有することでレイアウトの変更案を迅速かつ簡便に精度よく検討することが可能になる。
【0080】
図15は、リソース構成生成処理のフローの例を示す図である。リソース構成生成処理は、生産ライン設計処理のステップS005において開始される。
【0081】
まず、入力部110は、生産条件情報155の入力を受け付ける(ステップS101)。そして、リソース構成生成部141は、リソース候補情報154に記憶されているリソースのなかからリソース構成制約を満たす全てのリソース構成候補をN個(Nは1以上の整数)生成し、リソース構成情報157に格納する(ステップS102)。
【0082】
ここで、リソース構成制約について説明する。リソース構成制約は、リソース同士の関係、リソースとワークの関係等における制約を、満たすべき数式として具体化したものである。例えば、リソース構成制約の例を式(1)(2)に示す。下式(1)は、主要リソースとワークに関するリソース構成制約の例である。
【0083】
LM > LP ×αMP・・・式(1)
【0084】
上式(1)において、LMは加工機のワーク軸長上限(リソース候補情報154のワーク軸長上限154k)、LPは対象ワークの軸長(ワーク特性情報152の軸長152c)、αMPは加工機にワークを装着させる際に設ける余裕代(安全率)である。
【0085】
上式(1)では、加工工程における主要リソースである加工機にワークを取り付ける作業を考えるとき、加工機が加工可能な最大のワーク軸長であるワーク軸長上限は、その加工機に割り付けられたワークの軸長よりも大きくなければならないという制約が制約式として定義されている。本制約により、当該作業における主要リソースの選択においては、上式(1)の制約を満たす加工機を選択することができるようになる。
【0086】
下式(2)は、主要リソースと付帯リソースおよびワークに関するリソース構成制約の例である。
【0087】
PWR > (WP+WH+WHC) ×αR・・・式(2)
【0088】
上式(2)において、PWRはロボットの可搬重量(リソース候補情報154のワーク重量上限154r)、WPは対象ワークの重量(ワーク特性情報152の重量152d)、WHはハンドの重量(リソース候補情報154の重量154h)、WHCはハンド爪の重量(リソース候補情報154の重量154h)、αRはロボットが搬送する総重量に対する安全率である。
【0089】
上式(2)では、ロボットが加工機へのワーク取り付けおよびワーク取り出し作業を実行する場合、ワーク重量とハンド重量とハンド爪重量の総和に安全率を乗じた値が、ロボットの可搬重量上限を超えてはならないという制約が制約式として定義している。本制約により、段取り作業を実行する主要リソースとしてロボットを選択する際に、上式(2)の重量制約を満たすロボットだけを選定することができるようになる。
【0090】
同様に、生産ラインは複数のセルから構成され、各セルは少なくとも1台以上の複数台の加工機と、1台のロボットまたは1人の作業者のいずれかと、を含んで構成されるというリソース構成の前提条件を制約式として定義することもできる。このような制約式を定義することで、加工工程を実行する主要リソースと、加工の前後工程の段取り作業を実行する主要リソースが満たすべき関係を定義することができる。
【0091】
また、ロボットにはワークを把持するためのハンドが1つ以上必要、という制約式を設けてもよい。このように制約式を定義することで、主要リソースと付帯リソースの関係を定義することができる。
【0092】
さらに、ハンドが2つ以上ある場合は1つ以上のハンド置き場が必要、という制約式を設けてもよい。このように制約式を定義することで、付帯リソースと付帯リソースの関係を定義することができる。
【0093】
そして、リソース構成生成部141は、生成したN個のリソース構成候補から処理対象とするリソース構成候補を選択するための変数n(nは1以上の整数)を初期化し、n=1とする(ステップS103)。
【0094】
そして、リソース構成生成部141は、n番目のリソース構成候補に対して、作業時間情報153に基づいて生産計画情報151で指定された生産量を満足するように対象ワークを加工機に割り付けることで、作業割付情報158を生成する(ステップS104)。なお、リソース構成生成部141は、ワークを加工機に割り付ける方法として、なるべく使用する加工機の台数を少なくするようにワークを割り付けることができる。
【0095】
そして、リソース構成生成部141は、リソース候補情報154を用いて、n番目のリソース構成候補のコスト情報159を算出する(ステップS105)。具体的には、リソース構成生成部141は、n番目のリソース構成候補についてリソース構成情報157からリソース機種名157dを取得し、リソース候補情報154の名前154bと一致する購入価格154eを取得し、取得した値をコスト情報159の購入価格159cに挿入する。リソース構成生成部141は、購入価格を生産条件情報155の減価償却期間(「60」月)で除すことで、減価償却費159dを算出する。
【0096】
ロボットではなく作業者がリソースとして用いられるリソース構成候補については、リソース構成生成部141は、生産条件情報155の人件費単価と生産期間を乗じることで、人件費159eを算出する。そして、リソース構成生成部141は、減価償却費159dと人件費159eを加算することで運用コスト159fを算出する。リソース構成生成部141は、n番目のリソース構成候補を構成するすべてのリソースそれぞれに対して、運用コスト159fを算出してコスト情報159をそれぞれ生成する。
【0097】
そして、リソース構成生成部141は、N個のリソース構成候補のうち、すべてのリソース構成候補に処理を行ったか否かを判定する(ステップS106)。
【0098】
未処理のリソース構成候補がある場合(ステップS106にて「No」の場合)には、リソース構成生成部141は、リソース構成候補の処理数nをインクリメントして、ステップS104に制御を戻す。
【0099】
未処理のリソース構成候補がない場合(ステップS106にて「Yes」の場合)には、リソース構成生成部141は、N個のリソース構成候補のうち、生産条件情報155で指定された条件を満足するリソース構成候補が1つ以上存在するか否かを判定する(ステップS107)。
【0100】
生産条件情報155で指定された条件を満足するリソース構成候補が1つもない場合(ステップS107において「No」の場合)には、リソース構成生成部141は、生産条件情報155の変更を受け付け、ステップS101に制御を戻す。例えば、生産条件の設定値を大きな値に変更する等の条件緩和ができる。
【0101】
生産条件情報155で指定された条件を満足するリソース構成候補が1つ以上存在する場合(ステップS107において「Yes」の場合)には、リソース構成生成部141は、N個のリソース構成候補を運用コストが小さい順にソートする(ステップS108)。なお、運用コストが小さい順にリソース構成候補をソートすることに限られず、リソース構成生成部141は、他の指標に基づいてリソース構成候補をソートしてもよい。例えば、リソース構成生成部141は、加工時間の最大値を指標とすることで、生産計画情報151のすべてのワークを加工完了するまでの時間を最小化する結果を得ることができる。また、リソース構成生成部141は、占有面積の合計値を指標とすることで、制約を満足しつつリソースの占有面積が最小になる結果を得ることができる。さらに、リソース構成生成部141は、コストと加工時間とセル占有面積にそれぞれ重みづけ係数を設けることで、コストと加工時間と占有時間の重み付き線形和に基づき最適な結果を得てもよい。
【0102】
以上が、リソース構成生成処理のフローの例である。リソース構成生成処理によれば、生産計画を満たしつつ、生産条件を満たすN個のリソース構成候補を生成することができる。
【0103】
図16は、レイアウト生成処理のフローの例を示す図である。レイアウト生成処理は、生産ライン設計処理のステップS006において開始される。
【0104】
まず、入力部110は、運用コストが小さい順にソートされたN個のリソース構成候補の入力を受け付ける(ステップS201)。そして、レイアウト生成部142は、N個のリソース構成候補のなかから処理対象とするリソース構成候補を選択するための変数n(nは整数)を初期化し、n=1とする(ステップS202)。
【0105】
そして、レイアウト生成部142は、n番目のリソース構成候補に対して、リソース配置制約を満足する全てのレイアウト候補を生成して、記憶部150のレイアウト情報160に格納する(ステップS203)。ここで生成したレイアウト候補の数をM(Mは整数)個とする。
【0106】
ここで、リソース配置制約について説明する。リソース配置制約は、リソース同士の関係、リソースとセルとの関係等におけるレイアウト配置上の制約を、満たすべき数式として具体化したものである。例えば、リソース配置制約の例を式(3)、(4)に示す。下式(3)、(4)は、リソースとセル外形に関するリソース配置制約の例である。
【0107】
Xi > Wi /2・・・式(3)
【0108】
上式(3)において、Xiはリソースi(iはセル内の特定のリソース)の中心点のx座標(レイアウト情報160の中心X座標160d)、Wiはリソースiの横方向の外形寸法(リソース横幅160g)である。つまり、上式(3)は、x座標において、リソースの左端の座標が、セル外形の原点よりも大きな値でなければならないという制約を定義していることを示す制約式である。
【0109】
Xi +Wi/2 < Wc ・・・式(4)
【0110】
上式(4)において、Wcはセルの外形横幅の上限(生産条件情報155のセル横幅上限[m]の設定値155c)である。つまり、上式(4)は、x座標において、リソースの右端の座標が、セル横幅上限の値を超えてはならないという制約を定義していることを示す制約式である。
【0111】
すなわち、上式(3)(4)のリソース配置制約を用いることで、生産条件情報で指定されたセル横幅上限を満足するリソースのレイアウトを生成することができる。同様にy座標についての同様のリソース配置制約を用いることで、セル縦幅上限を満足するようなレイアウトを生成することができる。
【0112】
その他にも、同様に、リソースは他のリソースと重複しないように配置しなければならないという制約や、リソース間には最低限必要なスペースを確保しなければならない、といった制約を制約式として立てることでリソース配置制約を定義してもよい。つまり、制約式を定義することでレイアウトを生成する際のリソースの配置ルールを定義することができるといえる。
【0113】
そして、セルサイズ算出部144は、n番目のリソース構成候補についてのM個のレイアウト候補に対して、リソース構成候補の構成情報に基づきセル占有面積を算出する(ステップS204)。具体的には、セルサイズ算出部144は、レイアウト候補ごとに、セルごとの横幅、縦幅および占有面積を算出する。
【0114】
そして、レイアウト生成部142は、生産条件情報155で指定されたセル横幅上限および縦幅上限から求められる占有面積の制約を満足するレイアウト候補がn番目のリソース構成候補に一つ以上存在するか否かを判定する(ステップS205)。
【0115】
占有面積の制約を満足するレイアウト候補がn番目のリソース構成候補に一つ以上存在しない場合(ステップS205にて「No」の場合)には、レイアウト生成部142は、リソース構成候補の処理数nをインクリメントして(つまり、該リソース構成候補とは異なるリソース構成候補を用いるように変更して)、ステップS203に制御を戻しレイアウト候補を再生成する。
【0116】
占有面積の制約を満足するレイアウト候補がn番目のリソース構成候補に一つ以上存在する場合(ステップS205にて「Yes」の場合)には、レイアウト生成部142は、レイアウト候補を占有面積が小さい順にソートしてレイアウト情報160に格納する(ステップS206)。
【0117】
なお、すべてのリソース構成候補について生成されたすべてのレイアウト候補が占有面積の制約を満足しない場合には、レイアウト生成部142は、占有面積の上限の設定値をより大きな値に変更することで生産条件を緩和して、再度レイアウト候補を生成するようにしてもよい。
【0118】
なお、ステップS206においてレイアウト候補を占有面積の小さい順にソートしておくことで、以降に算出する段取り時間が同一となるレイアウト候補が複数存在する場合であっても、占有面積が小さいものを優先して順位付けすることができる。ただし、これに限られず、セルの縦幅に比べて横幅の制約が厳しい場合等には、より厳しい制約であるセル横幅をソートの評価指標としてもよい。セル横幅を評価指標とすることで、以降に算出する段取り時間が同一となるレイアウト候補が複数存在する場合であっても、セル横幅が小さいレイアウト候補を優先して順位付けすることができる。
【0119】
以上が、レイアウト生成処理のフローの例である。レイアウト生成処理によれば、N個のリソース構成候補を用いて所定の生産条件を満たすM個のレイアウト候補を生成することができる。
【0120】
図17は、段取り時間算出処理のフローの例である。段取り時間算出処理は、生産ライン設計処理のステップS007において開始される。
【0121】
まず、入力部110は、作業順序情報156の入力を受け付ける(ステップS301)。そして、入力部110は、セル占有面積が小さい順にソートされたM個のレイアウト候補の入力を受け付ける(ステップS302)。
【0122】
そして、段取り時間算出部143は、m番目のレイアウト候補に対して、作業順序情報156と作業割付情報158と、段取り時間情報161に基づいて段取り作業ごとの作業回数を算出する(ステップS303)。具体的には、段取り時間情報161における生産月161aが「1」、セルID161bが「1」、作業ID161cが「1」である「ワーク取り付け作業」および作業ID161cが「2」である「ワーク取り出し作業」の作業回数を算出する場合を説明する。この場合、段取り時間算出部143は、作業ID156aが「1」であるワーク取り付け作業と作業ID156aが「2」であるワーク取り出し作業の回数は、作業頻度156cが「ワーク毎」であるので、作業割付情報158においてセルID158bが「1」である各ワークIDの生産量を合計して「440」回と算出する。
【0123】
そして、段取り時間算出部143は、作業割付情報158と作業時間情報153に基づき、レイアウト情報160に依らず必要となる最小段取り時間を算出する(ステップS304)。具体的には、上述の場合では、段取り時間算出部143は、最小段取り時間を、単位作業時間と作業回数の積により算出する。ここで、単位作業時間は、作業時間情報153で事前に定義されている値であり、段取り作業を実行する主要リソースの種類に応じて取得される。例えば、セルID「1」に選択された主要リソースはロボットなので、ワーク取り付け時間153cによれば、単位作業時間は「2」分となる。以上より算出された作業IDの単位作業回数「440」回と、単位作業時間「2」を乗じると、最小段取り時間は「880」分と算出される。
【0124】
そして、段取り時間算出部143は、リソース候補情報154を用いてリソースごとの移動速度を取得する(ステップS305)。
【0125】
そして、段取り時間算出部143は、ステップS302で入力を受け付けたレイアウト候補のなかから、処理対象とするレイアウト候補を選択するための変数mを初期化し、m=1とする(ステップS306)。
【0126】
そして、段取り時間算出部143は、レイアウト情報160に格納されているm番目のレイアウト候補に対して、作業順序情報156で規定される順序での段取り作業の単位移動距離を算出する(ステップS307)。単位移動距離は、段取り作業において使用されるリソースの中心座標間距離の合計である。
【0127】
例えば、上述の場合、作業IDが「1」のワーク取り付け作業をロボットで実行する場合のリソースの使用順序は、作業順序情報156で定義されているように、ロボット、ワーク置き場、把持位置調整装置、加工機、ロボットの順となる。そして、段取り時間算出部143は、リソース構成情報157の論理リソース157cと照合させて、各リソースのリソース機種名157dがそれぞれ「Robot1」、「ワーク置き台A」、「把持位置調整装置A」、「Machine1」、「Robot1」であることを特定する。
【0128】
そして、段取り時間算出部143は、リソース機種名を用いてレイアウト情報160と照合して、各リソースの中心座標の値(x、y)を特定する。そして、段取り時間算出部143は、下式(5)を用いて、単位移動距離をユークリッド距離として算出する。
【0129】
【0130】
上式(5)において、UHDは単位移動距離、xiはリソースiの中心点のx座標、yiはリソースiの中心点のy座標、Nは段取り作業で使用するリソースののべ数(作業順序情報156の順序156eの作業内の最大値)である。
【0131】
例えば、上式(5)を用いて、ロボットとワーク置き場の間のユークリッド距離を局所的に算出すると「3.64」となる。ここで、リソース間の距離はマンハッタン距離として算出してもよい。マンハッタン距離として算出することで、二次式ではなく一次式で距離を表現できるため、整数計画法などで解くことができるようになる利点がある。同様に作業順序に含まれるすべてのリソース間の距離を算出して合計すると、単位移動距離は「17.5」となる。
【0132】
そして、段取り時間算出部143は、m番目のレイアウト候補に対して、ステップS303で算出した作業回数と、ステップS304で算出した最小段取り時間と、ステップS305で取得した移動速度と、ステップS307で算出した移動距離とを用いて段取り時間を算出し段取り時間情報161に格納する(ステップS308)。具体的には、段取り時間算出部143は、下式(6)を用いて段取り時間を算出する。
【0133】
HT = HN ×(UHTmin + UHD/HV)・・・式(6)
【0134】
上式(6)において、HTは段取り時間、HNは段取り作業の回数、UHTminはレイアウトに依存せずに必要となる最小段取り時間、UHDは作業1回あたりの単位移動距離、HVは段取り作業を実行する主要リソースの移動速度である。
【0135】
そして、段取り時間算出部143は、全M個のレイアウト候補のうち、未処理のレイアウト候補が存在するか否かを判定する(ステップS309)。未処理のレイアウト候補がある場合(ステップS309にて「Yes」の場合)には、段取り時間算出部143は、レイアウト候補の処理数mに1加算し、ステップS307に制御を戻す。
【0136】
未処理のレイアウト候補がない場合(ステップS309にて「No」の場合)には、段取り時間算出部143は、全M個のレイアウト候補を段取り時間が小さい順にソートして、レイアウト情報160に格納する(ステップS310)。段取り時間が小さい順にソートすることで、ユーザは段取り時間が最小となるレイアウト情報を容易に確認でき、段取り時間が2番目や3番目に短いレイアウト情報などと容易に比較することができる。また、占有面積が小さい順にソートしてもよい。レイアウト候補を占有面積の小さい順にソートすることで、段取り時間が小さくなるレイアウトよりも占有面積が小さくなるレイアウトを求めたいとき、占有面積の小さいレイアウト情報を容易に比較できるようになる。
【0137】
以上が、段取り時間算出処理のフローの例である。段取り時間算出処理によれば、M個のレイアウト候補に対して、段取り時間を算出することができる。
【0138】
以上が、実施形態に係る生産ライン設計システム1の構成である。生産ライン設計システム1によれば、エンジニアのノウハウに依存せず手戻りをなくし、短時間で段取り時間が最小となるライン設計を立案できる。つまり、簡便に精度よく運用コストを抑えた生産ライン設計を立案することができる。
【0139】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能である。また、実施形態の構成の一部について、削除をすることも可能である。
【0140】
また、上記の各部、各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各部、各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に置くことができる。
【0141】
なお、上述した実施形態にかかる制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0142】
1:生産ライン設計システム、100:生産ライン設計装置、110:入力部、120:出力部、140:処理部、141:リソース構成生成部、142:レイアウト生成部、143:段取り時間算出部、144:セルサイズ算出部、145:レイアウト評価部、150:記憶部、151:生産計画情報、152:ワーク特性情報、153:作業時間情報、154:リソース候補情報、155:生産条件情報、156:作業順序情報、157:リソース構成情報、158:作業割付情報、159:コスト情報、160:レイアウト情報、161:段取り時間情報