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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062234
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】運行管理システム、及び運行管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230426BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230426BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 C
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172082
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】澤村 慧
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138CC01
3E138GA02
3E138MA02
3E138MB03
3E138MB08
3E138MB10
3E138MC03
3E138MD05
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】必要のないトリガ記録を削減することが可能な運行管理システムを提供する。
【解決手段】運行管理システム1は、センサ情報取得部211と、トリガ情報生成部213と、トリガ情報を反映させたマップ情報を生成するマップ生成部113とを備える。センサ情報取得部211は、車両20に生じた急加減速に関する加速度情報を取得する。トリガ情報生成部213は、加速度情報に基づいて、車両20が走行する経路の段差に起因する段差トリガ、及び車両20が危険状態である場合の危険走行トリガが発生したか否かを示すトリガ情報を生成する。また、トリガ情報生成部213は、危険走行トリガが発生した場合には、車両20に設けられたカメラにより撮像された、危険走行トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録する。一方で、トリガ情報生成部213は、段差トリガが発生した場合には、段差トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録しない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたセンサを介して、前記車両に生じた急加減速に関する加速度情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記加速度情報に基づいて、前記車両が走行する経路の段差に起因する段差トリガ、及び前記車両が危険状態である場合の危険走行トリガが発生したか否かを示すトリガ情報を生成するトリガ情報生成部と、
前記トリガ情報を反映させたマップ情報を生成するマップ生成部と、を備え、
前記トリガ情報生成部は、前記危険走行トリガが発生した場合には、前記車両に設けられた車載カメラにより撮像された前記危険走行トリガの発生前後の前記車両の走行状況を記録し、
前記トリガ情報生成部は、前記段差トリガが発生した場合には、前記車載カメラにより撮像された前記段差トリガの発生前後の前記車両の走行状況を記録しない、運行管理システム。
【請求項2】
前記マップ生成部で生成された前記マップ情報を取得するマップ情報取得部と、
前記車両の走行位置を取得する位置情報取得部と、
前記車両の前記走行位置が、前記マップ情報に反映された前記トリガ情報の場所に近づいた場合に、警報を発する制御を行う警報制御部と、を備える請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
前記センサは、前記車両の進行方向に対応するX軸方向における加速度を検知するX軸加速度センサ、前記車両の鉛直方向に対応するZ軸方向における加速度を検知するZ軸加速度センサ、及び前記X軸方向及び前記Z軸方向と垂直の関係となるY軸方向における加速度を検知するY軸加速度センサによって構成される3軸加速度センサである、請求項1又は2に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記トリガ情報生成部は、前記X軸加速度センサによって検知された値が、閾値より大きい状態で継続する時間が、所定の時間以上の場合に、前記危険走行トリガが発生したと判定し、前記危険走行トリガが発生したこと示す前記トリガ情報を生成し、
前記トリガ情報生成部は、前記X軸加速度センサによって検知された値が前記閾値より大きい状態で継続する時間が、前記所定の時間より短い場合に、前記段差トリガが発生したと判定し、前記段差トリガが発生したこと示す前記トリガ情報を生成する、請求項3に記載の運行管理システム。
【請求項5】
前記トリガ情報生成部は、前記Y軸加速度センサ又は前記Z軸加速度センサによって検知された値が前記閾値より大きい場合に、前記危険走行トリガが発生したと判定し、前記危険走行トリガが発生したこと示す前記トリガ情報を生成する、請求項4に記載の運行管理システム。
【請求項6】
コンピュータによって実行される運行管理方法であって、
車両に設けられたセンサを介して、前記車両に生じた急加減速に関する加速度情報を取得し、
前記加速度情報に基づいて、前記車両が走行する経路の段差に起因する段差トリガが発生した場合には、前記車両に設けられた車載カメラにより撮像された前記段差トリガの発生前後の前記車両の走行状況を記録しないで、前記段差トリガが発生したことを示すトリガ情報を生成し、
前記加速度情報に基づいて、前記車両が危険状態である場合の危険走行トリガが発生した場合には、前記車載カメラにより撮像された前記危険走行トリガの発生前後の前記車両の走行状況を記録し、前記危険走行トリガが発生したことを示す前記トリガ情報を生成し、前記トリガ情報を反映させたマップ情報を生成する、運行管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理システム、及び運行管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が走行する道路や倉庫等の構内における危険箇所を検知し、検知した危険箇所に関する情報に基づいて、車両の安定した運行を管理するシステムが提案されている。特許文献1には、車載カメラを用いた運行支援装置が開示されている。特許文献1に開示された運行支援装置は、車両の衝突や急ブレーキ操作に対しトリガを発生させ、トリガに応じて車両に搭載された車載カメラからの画像を記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-28482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された運行支援装置においては、画像記録用のトリガを発生させるための閾値を、車両の走行状態や移動体の検知によって変更させる。例えば、車両がバック走行等の閾値の感度が高い状態においては、路面の凹凸や車体の振動に起因する加速度のノイズに反応して画像が記録される。すなわち、運行支援装置においては、路面の少しの段差などに応じてトリガが発生し、その都度、記録の必要がない映像がトリガ情報として記録される。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、必要のないトリガ記録を削減することが可能な運行管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る運行管理システムは、車両に設けられたセンサを介して、車両に生じた急加減速に関する加速度情報を取得するセンサ情報取得部と、加速度情報に基づいて、車両が走行する経路の段差に起因する段差トリガ、及び車両が危険状態である場合の危険走行トリガが発生したか否かを示すトリガ情報を生成するトリガ情報生成部と、トリガ情報に基づいて、マップ情報を生成するマップ生成部と、を備え、トリガ情報生成部は、危険走行トリガが発生した場合には、車両に設けられた車載カメラにより撮像された危険走行トリガの発生前後の車両の走行状況を記録し、トリガ情報生成部は、段差トリガが発生した場合には、車載カメラにより撮像された段差トリガの発生前後の車両の走行状況を記録しない。
【0007】
本発明の他の態様に係る運行管理方法は、コンピュータによって実行される運行管理方法であって、車両に設けられたセンサを介して、車両に生じた急加減速に関する加速度情報を取得し、加速度情報に基づいて、車両が走行する経路の段差に起因する段差トリガが発生した場合には、車両に設けられた車載カメラにより撮像された段差トリガの発生前後の車両の走行状況を記録しないで、段差トリガが発生したことを示すトリガ情報を生成し、加速度情報に基づいて、車両が危険状態である場合の危険走行トリガが発生した場合には、車載カメラにより撮像された危険走行トリガの発生前後の車両の走行状況を記録し、危険走行トリガが発生したことを示すトリガ情報を生成し、トリガ情報を反映させたマップ情報を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、必要のないトリガ記録を削減することが可能な運行管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る運行管理システムの構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る運行管理システムにおける車両に対応する座標軸を説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る運行管理システムの構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る車載器の制御部における機能的構成を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る閾値の判定について説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る運行管理システムにおいて表示される構内マップの一例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る判定処理の一例を示すフローチャートである。
図8】第1の実施形態に係るサーバにおける処理を説明するためのフローチャートである。
図9】第2の実施形態に係る車載器における処理を説明するためのフローチャートである。
図10】第2の実施形態に係る車載器における処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る運行管理システム1について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る運行管理システム1の構成を示す図である。運行管理システム1は、サーバ10と、車両20と、ネットワーク40とを含んで構成される。また、運行管理システム1は、ユーザ端末30、及び/又は基地局50を含んでもよい。
【0012】
運行管理システム1は、車両20で取得及び解析した車両20の走行に関する情報をサーバ10に送信する。サーバ10は、ネットワーク40を介して、車両20から送信された車両20の走行に関する情報を取得し、車両20の走行箇所における危険箇所の判定を行うシステムである。また、運行管理システム1は、取得した情報に基づいて、運行マップを作成する。さらに、車両20は作成された運行マップに基づいて走行することで、危険箇所を避けた、又は危険箇所に注意した適切な運転を実施することが可能となる。
【0013】
サーバ10は、運行管理装置100を機能として備える。運行管理装置100は、図1に示すように、例えば、制御部110、記憶部120、入出力IF130、及びネットワークIF140を備える一般的なコンピュータによって実現される。
【0014】
制御部110は、オペレーションシステムを動作させて、サーバ10全体を制御する。さらに、制御部110は、記憶部120に格納されたプログラム(図示なし)に基づいて動作し、図3に示す走行情報取得部111と、トリガ情報解析部112と、マップ生成部113と、に備える各機能を実行する。なお、プログラムは、記憶部120に格納される形態に限定されず、例えば、運行管理装置100内の、ROM等(図示なし)に記憶された構成としてもよい。
【0015】
記憶部120は、図3に示すように、トリガ情報DB121(DB:Database)と、マップ情報DB122とに含まれる情報をデータとして格納する。なお、これらの各データを格納する記憶部120は、1つであっても複数であってもよい。例えば、1つの記憶部120に対し、領域を分けて記憶する構成としてもよい。あるいは、物理的に離れた場所に設置された複数の記憶装置に、データが分散して格納されていてもよい。なお、記憶部120には、これ以外のデータベース(DB)が設けられていてもよい。
【0016】
また、記憶部120は、制御部110で実施される走行情報取得部111、トリガ情報解析部112、及びマップ生成部113に備える各機能に関するプログラムを格納してもよい。
【0017】
入出力IF130は、例えば、ユーザがサーバ10との間においてデータをやり取りするための構成要素(Interface、インタフェース)である。入出力IF130は、入力部と、出力部とを備える(図示なし)。
【0018】
入出力IF130における入力部は、ユーザによるさまざまな情報を入力するためのインタフェース機能を有し、サーバ10の外部より情報が入力される。入力部には、サーバ10と接続された、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボール、及び、音声認識デバイス等を通じてユーザによって情報が入力される。また、入力部は、外部記憶装置(図示なし)等からデータを入力するためのデータ入力端子として、情報を入力することができる。
【0019】
入出力IF130における出力部は、サーバ10に接続された表示装置(図示なし)に、構内マップ等を表示させる。表示装置は、例えば、ディスプレイ装置、プロジェクター装置などである。なお、構内マップ等が表示される表示装置は、ユーザ端末30又は車載器200に備えられた表示部236(図3参照)とすることも可能であり、その場合、ネットワークIF140を介して、構内マップ等が、ユーザ端末30又は車載器200に送られる。
【0020】
ネットワークIF140は、ネットワーク40を介して、運行管理装置100と、車載器200及びユーザ端末30との相互の通信を可能とするためのインタフェースである。
【0021】
車両20は、本実施形態において、例えば、フォークリフトであり、車載器200を備える。フォークリフトは、一般的に車両構造として、ホイールベースが短く、車高が高いことを特徴とする。また、本実施形態において車載器200は、図1に示すように車両20の上部に設けられる。そのため、車両20が路面上の段差を通過する場合、後述の各種センサによって加速度が検出される。
【0022】
車載器200は、車両20の運行に関する情報を取得し、ネットワーク40を介して、取得した情報を送る。なお、車載器200とネットワーク40との通信は、直接行われてもよいし、基地局50を介して行われてもよい。車載器200の詳細については、後述する。
【0023】
図2は、本実施形態における車両20と、座標軸との対応関係を説明するために、車両20と、座標軸とを模式的に示した図である。本実施形態においては、図2に示すように、車両20の前後方向(進行方向)に対応する方向をX軸方向とし、車両20の横方向に対応する方向をY軸方向とし、車両20の上下方向(鉛直方向)に対応する方向をZ軸方向として定める。すなわち、本実施形態においてY軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と垂直の関係となる方向である。
【0024】
ユーザ端末30は、ユーザが使用する端末であり、例えば、PC(Personal Computer)、及びモバイル端末を含む。ユーザは、ユーザ端末30を介して、サーバ10に格納された車両20の走行予定の経路に対するマップ情報を確認することが可能となる。
【0025】
ネットワーク40は、サーバ10と、車両20及びユーザ端末30とが、相互に通信可能な通信網であり、例えば、携帯電話網であるキャリア網、又はインターネットで構成される。
【0026】
図3は、運行管理システム1における運行管理装置100及び車載器200の構成を示すブロック図である。まず車載器200の構成について説明する。
【0027】
(車載器200の構成)
車載器200は、マイクロコンピュータ210(CPU)と、車載器電源221と、位置情報取得部222と、時刻情報取得部223と、3軸Gセンサ224と、3軸ジャイロセンサ225と、近距離無線通信機226とを備える。また、車載器200は、広域無線通信モジュール231と、不揮発性メモリ232と、揮発性メモリ233と、SDカード234と、スイッチ入力部235と、表示部236と、音声入出力IF237と、カメラ238と、を備える。なお、車載器200は、上記以外の構成を備えてもよい。
【0028】
マイクロコンピュータ210は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、車載器200に必要とされる様々な機能を実現する。マイクロコンピュータ210の主要な動作については後述する。
【0029】
車載器電源221は、車両20のイグニッションスイッチのオン又はオフに応じて車載器200の電源をオン又はオフする。
【0030】
位置情報取得部222は、車両20の走行位置を取得する。具体的には、位置情報取得部222は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)又はビーコンによって構成される。本実施形態においては、位置情報取得部222がGNSSである場合について説明する。位置情報取得部222は、図示しないGNSS受信機からの信号をマイクロコンピュータ210に入力するために利用される。GNSS受信機は複数のGNSS衛星からの電波を受信して、受信地点である車両20の現在位置を算出できる。マイクロコンピュータ210は、現在位置の情報を、位置情報取得部222を経由してGNSS受信機から取得できる。
【0031】
時刻情報取得部223は、車両20の走行時刻を計時することが可能なタイマ等によって構成される。
【0032】
3軸Gセンサ224は、図2に示すX軸、Y軸、及びZ軸の3軸方向のGセンサ(3軸加速度センサ)である。3軸Gセンサ224で取得した各軸に対する加速度は、マイクロコンピュータ210に入力される。3軸Gセンサ224は、車両20の進行方向に対応するX軸方向における加速度を検知するX軸加速度センサを含む。また、3軸Gセンサ224は、車両20の鉛直方向に対応するZ軸方向における加速度を検知するZ軸加速度センサを含む。さらに、3軸Gセンサ224は、X軸方向及びZ軸方向と垂直の関係となるY軸方向における加速度を検知するY軸加速度センサを含む。すなわち、3軸Gセンサ224は、X軸加速度センサ、Y軸加速度センサ、及びZ軸加速度センサによって構成される。
【0033】
3軸ジャイロセンサ225は、図2に示すX軸、Y軸、及びZ軸の3軸回りの角速度を計測可能なジャイロセンサである。3軸ジャイロセンサ225で取得した各軸に対する角速度は、マイクロコンピュータ210に入力される。
【0034】
近距離無線通信機226は、車載器200の外部から所定の情報をマイクロコンピュータ210に入力するためのインタフェース、又は外部に所定の情報を出力するためのインタフェースである。
【0035】
広域無線通信モジュール231は、例えば移動体通信事業者などが提供する基地局50などとの間で無線通信回線を確保し、広域の無線通信を可能にするための機能を有している。広域無線通信モジュール231は、アンテナ250を介して基地局50と通信することができる。なお、広域無線通信モジュール231は、基地局50を介さず、直接、ネットワーク40と通信可能とする構成としてもよい。
【0036】
不揮発性メモリ232は、マイクロコンピュータ210のアクセスにより、データの読み出し及び保持しているデータの書き換えが可能なフラッシュメモリのような電子デバイスである。不揮発性メモリ232は、車載器200が使用する様々なパラメータ、定数データ、プログラムなどのデータを保持するために利用される。
【0037】
揮発性メモリ233は、マイクロコンピュータ210のアクセスにより、データの読み出し及び書き込みが自在な半導体メモリデバイスである。揮発性メモリ233は、マイクロコンピュータ210が扱う様々なデータを一時的に保持するために利用される。
【0038】
SDカード234は、図示しない所定のカードインタフェースを利用して、着脱自在な状態で車載器200に接続される。マイクロコンピュータ210は、装着されたSDカード234にカードインタフェースを経由してアクセスし、データの読み出し及び書き込みを行うことができる。
【0039】
スイッチ入力部235は、車両20の運転者などの入力操作を受け付けるための、複数のボタンの操作状態を表す信号を生成するスイッチを備えている。各ボタンの操作状態の信号は、スイッチ入力部235からマイクロコンピュータ210に入力される。
【0040】
表示部236は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、車載器200の筐体前面の運転者から見やすい位置に配置された表示部(図示なし)とのインタフェースである。表示部236は、マイクロコンピュータ210の制御により、表示部236に構内マップ等のマップ情報を表示させることができる。
【0041】
音声入出力IF237は、例えば、マイク及び/又はスピーカにより構成される。スピーカは、警報等の音声を発する。また、マイクは、トリガ発生時の音を記録するために用いられる。
【0042】
カメラ238は、車載カメラであり、例えば車両20の進行方向前方の道路等の背景を撮影できる向きで固定した状態で設置される。カメラ238は、例えば魚眼レンズを通して撮像されるイメージセンサを有する。イメージセンサは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサやCCD(電荷結合素子)センサなど公知のセンサで構成される。
【0043】
車載器200のマイクロコンピュータ210は、図4に示すように、センサ情報取得部211と、時間情報取得部212と、トリガ情報生成部213と、走行情報送信部214と、を機能として備える。
【0044】
センサ情報取得部211は、車両20に設けられたセンサを介して、車両20に生じた急加減速に関する加速度情報を取得する。具体的には、センサ情報取得部211は、3軸Gセンサ224、及び/又は3軸ジャイロセンサ225によって、車両20に設けられた車載器200に対して発生した加速度情報を取得する。
【0045】
時間情報取得部212は、時刻情報取得部223で取得された時刻情報に基づいて、例えば、センサ情報取得部211で取得した加速度に関する経過時間を取得する。具体的には、時刻情報取得部223は、車載器200に対して発生した加速度が、どのくらいの時間において、継続して発生したかを取得する。
【0046】
トリガ情報生成部213は、取得した加速度情報及び時間情報に基づいて、トリガ情報を生成する。具体的には、トリガ情報生成部213は、加速度情報及び時間情報に基づいて、車両20が走行する経路の段差に起因する段差トリガ、及び車両20が危険状態である場合の危険走行トリガが発生したか否かを示すトリガ情報を生成する。
【0047】
本実施形態において、トリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が、閾値より大きい状態で継続する時間が、所定の時間以上の場合に、危険走行トリガが発生したと判定する。この場合、トリガ情報生成部213は、危険走行トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成する。また、トリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい状態で継続する時間が、所定の時間より短い場合に、段差トリガが発生したと判定する。この場合、トリガ情報生成部213は、段差トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成する。具体的には、運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい状態が1秒間以上継続する場合には、危険走行トリガが発生したと判定する。一方で、運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい状態が1秒間継続しない場合には、段差トリガが発生したと判定する。本実施形態においては、トリガ情報生成部213は、以下の式(1)の関係を満たす場合に、段差トリガ情報又は危険走行トリガ情報としてトリガ情報を生成する。GxはX軸方向の加速度センサ(X軸加速度センサ)によって検知された値を示す。また、Sxは、トリガ情報を判定するための所定の閾値を示す。
Gx > Sx ・・・(1)
【0048】
本実施形態において、段差トリガ情報は、車両20が走行中に段差により加速度センサの値が閾値を超えた場合に段差であると判定された情報である。また、危険走行トリガ情報は、車両20が走行中に何かしらの危険状態により加速度センサの値が閾値を超えた場合に、危険状態であると判定された情報である。本実施形態における危険状態とは、例えば、倉庫内の棚等を回避するために左右に急ハンドルを切った場所、あるいは構内の交差点で他の車両20と出合い頭に急ブレーキをかけた場合における状態である。すなわち、危険走行トリガ情報とは、車両20が、上述の危険状態であると判定された場合の情報である。
【0049】
この段差トリガ情報と、危険走行トリガ情報とは、上述の式(1)の条件を1秒間以上継続して満たすか否かにより判定される。例えば、トリガ情報生成部213は、上記式(1)の状態が1秒間以上継続した場合、トリガ情報として危険走行トリガ情報を生成する。一方で、トリガ情報生成部213は、上記式(1)の状態が1秒間継続しない場合、トリガ情報として段差トリガ情報を生成する。なお、本実施形態において、所定の時間である1秒間は実施形態の構成を限定するものではなく、任意の値に設定可能である。
【0050】
また、トリガ情報生成部213は、Y軸加速度センサ又はZ軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい場合に、危険走行トリガが発生したと判定し、危険走行トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成する。具体的には、トリガ情報生成部213は、以下の式(2)及び式(3)の関係を満たす場合に、危険走行トリガ情報としてトリガ情報を生成する。GyはY軸方向の加速度センサ(Y軸加速度センサ)の値を示す。また、Syは、トリガ情報を判定するための所定の閾値を示す。同様に、GzはZ軸方向の加速度センサ(Z軸加速度センサ)の値を示す。また、Szは、トリガ情報を判定するための所定の閾値を示す。
Gy > Sy ・・・(2)
Gz > Sz ・・・(3)
【0051】
また、トリガ情報生成部213は、危険走行トリガが発生した場合には、車両20に設けられたカメラ238(車載カメラ)により、危険走行トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録する。一方で、トリガ情報生成部213は、段差トリガが発生した場合には、段差トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録しない。これにより、運行管理システム1は、段差トリガにおける映像の記録を行わないため、必要のないトリガ記録を削減することが可能となる。なお、本実施形態において車両20の走行状況を記録する場合、危険走行トリガの発生前後の時間は、例えば、危険走行トリガの発生前の数秒間、及び発生後の数秒間である。また、本実施形態において、カメラ238は、撮像した車両20の走行状況の情報を一時的に揮発性メモリ233等に保存する。トリガ情報生成部213は、危険走行トリガの発生時には、カメラ238によって撮像された危険走行トリガの発生前後の車両20の走行状況を不揮発性メモリ232又は揮発性メモリ233に記録する。
【0052】
走行情報送信部214は、トリガ情報生成部213で生成されたトリガ情報を、サーバ10に送信する。このトリガ情報には、段差トリガであるか否か、及び各センサの値が含まれる。各センサの値は、3軸Gセンサ224によって取得された加速度センサの値である。また、走行情報送信部214は、位置情報取得部222で取得した車両20の位置情報をサーバ10に送信する。
【0053】
(運行管理装置100の構成)
次にサーバ10に備えられた運行管理装置100について説明する。運行管理装置100の制御部110は、図3に示すように走行情報取得部111と、トリガ情報解析部112と、マップ生成部113とを機能として備える。また、運行管理装置100は、記憶部120に、トリガ情報DB121と、マップ情報DB122と、を備える。
【0054】
走行情報取得部111は、ネットワーク40を介して、車両20に備えられた車載器200からの走行情報を取得する。ここで走行情報は、上述の車載器200の走行情報送信部214によって送信された、トリガ情報と、位置情報取得部222で取得した位置情報とを含む。
【0055】
トリガ情報解析部112は、走行情報取得部111で取得したトリガ情報に基づいて、トリガ情報を解析し、トリガレベルを割り当てる。
【0056】
図5は、トリガ情報解析部112におけるトリガレベルを判定するための条件の一例を示す表である。本実施形態においてトリガレベルは、図5に示すように、加速度センサの値が閾値を超えた度合いに応じてトリガレベルとして1から4までの値が割当てられる。
【0057】
例えば、図5に示す例において、加速度センサGxの値が「0.6」であり、閾値が「0.3」の場合、加速度センサGxの値(0.6)が、「0.5以上、0.8未満」に当てはまるため、トリガレベルは、「2」となる。なお、トリガ情報解析部112は、加速度センサGy及び加速度センサGzの場合についても同様にトリガレベルを判定する。
【0058】
マップ生成部113は、トリガ情報解析部112で判定されたトリガレベルに応じて、マップ情報DB122に格納されたマップ情報に、段差トリガ情報、及び危険走行トリガ情報を追加する。すなわちマップ生成部113は、トリガ情報を反映させたマップ情報を生成する。
【0059】
図6は、運行管理装置100のマップ生成部113において生成された構内マップの一例を示す図である。図6に示すように構内マップには、走行路、倉庫内、及び荷物等の障害物を示す構内情報と、車載器200により取得し、サーバ10で判定された段差箇所、及び危険走行箇所が示される。
【0060】
図6に示す例においては、この段差箇所及び危険走行箇所は、記号等を割り当てその違いが示されている。例えば、図6に示す例において「段差箇所」は、三角の形状のマークが割当てられ、「危険走行箇所」は丸の形状のマークが割当てられている。さらに、この「段差箇所」及び「危険走行箇所」を示すマークは、そのトリガレベルに応じて、それぞれ三角、及び丸の形状の大きさが異なっている。すなわち、「段差箇所」及び「危険走行箇所」の度合い(トリガレベル)が大きいほど、構内マップに示される形状の大きさが大きくなる。
【0061】
(運行管理システム1の処理フローの概略)
次に、図7及び図8に示すフローチャートを用いて運行管理システム1における処理の流れを示す。図7及び図8のフローチャートに示す運行管理システム1の一連の動作は、車載器200及び/又は運行管理装置100が起動されると開始され、車載器200及び/又は運行管理装置100が終了することにより処理が終了する。また、図7及び図8に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の運行管理システム1及び運行管理装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0062】
図7は、車載器200における処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS701において、車両20は走行を開始する。これに伴い車載器電源221がオンとなり、各センサからの情報の取得が開始される。その後、処理はステップS702に進む。
【0064】
ステップS702において、トリガ情報生成部213は、取得したセンサ情報及び時間情報に基づいて、トリガ情報を生成する。具体的には、トリガ情報生成部213は、上述の式(1)を満たすか否かを判定する。ステップS703において、トリガ情報生成部213は、X軸に対する加速度センサの値Gxが閾値Sxを超えたと判定した場合(ステップS702:YES)には、処理は、ステップS703に進む。一方で、ステップS702において、トリガ情報生成部213は、X軸に対する加速度センサの値Gxが閾値Sx以下であると判定した場合(ステップS702:NO)には、処理は、ステップS704に進む。
【0065】
ステップS703において、トリガ情報生成部213は、上述の式(1)を満たす状態が1秒間継続したか否かを判定する。ステップS703において、トリガ情報生成部213は、上述の式(1)を満たす状態が1秒間以上継続したと判定した場合(ステップS703:YES)には、処理は、ステップS705に進む。一方で、ステップS703において、トリガ情報生成部213は、上述の式(1)を満たす状態が1秒間継続していないと判定した場合(ステップS703:NO)には、処理は、ステップS706に進む。
【0066】
ステップS704において、トリガ情報生成部213は、Y軸及びZ軸に対する加速度センサの値Gy及びGzが、所定の閾値Sy及びSzを超えたか否かを判定する。ステップS704において、トリガ情報生成部213は、上述の式(2)又は式(3)を満たすと判定した場合(ステップS704:YES)には、処理はステップS705に進む。一方で、ステップS704において、トリガ情報生成部213は、上述の式(2)及び式(3)の関係を満たさないと判定した場合(ステップS704:NO)には、処理はステップS708に進む。
【0067】
ステップS705において、トリガ情報生成部213は、車両20が危険走行であったと判定し、トリガ情報として危険走行トリガ情報を生成する。その後処理はステップS707に進む。
【0068】
ステップS706において、トリガ情報生成部213は、車両20が段差のある箇所を走行したと判定し、トリガ情報として段差トリガ情報を生成する。その後処理はステップS707に進む。
【0069】
ステップS707において、走行情報送信部214は、トリガ情報生成部213で生成されたトリガ情報、及び車両20の位置情報をサーバ10に送信する。その後処理は、ステップS708に進む。
【0070】
ステップS708において、マイクロコンピュータ210は、車両20の走行が終了したか否かを判定する。ステップS708において、マイクロコンピュータ210は、車両20の走行が終了したと判定した場合(ステップS708:YES)には、処理は終了する。一方で、ステップS708において、マイクロコンピュータ210は、車両20の走行が終了していないと判定した場合(ステップS708:NO)には、処理はステップS702に戻り、ステップS702からの処理が繰り返し実施される。
【0071】
図8は、サーバ10に設けられた運行管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
ステップS801において、制御部110は、車載器200との通信を開始する。その後、処理は、ステップS802に進む。
【0073】
ステップS802において、走行情報取得部111は、車載器200から送信されたトリガ情報を取得する。その後処理は、ステップS803に進む。
【0074】
ステップS803において、走行情報取得部111は、車載器200から送信された車両20の位置情報を取得する。その後処理は、ステップS804に進む。
【0075】
ステップS804において、トリガ情報解析部112は、トリガG値レベル付けを行う。具体的には、トリガ情報解析部112は、上述の図5に示す判定式に基づいて、トリガレベルを判定する。その後処理はステップS805に進む。
【0076】
ステップS805において、トリガ情報解析部112は、トリガ情報が段差走行に関するか否かを判定する。具体的には、トリガ情報解析部112は、トリガ情報が段差走行に関する段差トリガ情報か否かを判定する。ステップS805において、トリガ情報解析部112は、トリガ情報が段差走行に関するものであると判定した場合(ステップS805:YES)には、処理はステップS806に進む。一方で、ステップS805において、トリガ情報解析部112は、トリガ情報が段差走行に関するものでないと判定した場合(ステップS805:NO)には、処理はステップS807に進む。
【0077】
ステップS806において、マップ生成部113は、構内マップにトリガ発生位置、及びトリガレベルを段差情報として追加する。具体的には、図6に示すような構内マップに、段差情報を示す図形をトリガレベルに応じた大きさで追加する。その後処理は、ステップS808に進む。
【0078】
ステップS807において、マップ生成部113は、構内マップにトリガ発生位置、及びトリガレベルを危険情報(危険走行情報)として追加する。具体的には、図6に示すような構内マップに、危険走行情報を示す図形をトリガレベルに応じた大きさで追加する。その後処理は、ステップS808に進む。
【0079】
ステップS808において、制御部110は、通信が終了するか否かを判定する。ここで通信の終了は、例えば、対象となる車両20の走行が終了した場合や、サーバ10の入出力IF130を介して、ユーザにより処理の終了が設定された場合に、運行管理装置100における処理が終了する。ステップS808において、制御部110は、通信が終了すると判定した場合(ステップS808:YES)には、処理は終了する。一方で、ステップS808において、制御部110は、通信が終了しないと判定した場合(ステップS808:NO)には、処理はステップS802に戻り、ステップS802からの処理が繰り返し実行される。
【0080】
上述の通り、第1の実施形態における運行管理システム1は、センサ情報取得部211と、トリガ情報生成部213と、トリガ情報を反映させたマップ情報を生成するマップ生成部113とを備える。センサ情報取得部211は、センサを介して、車両20に生じた急加減速に関する加速度情報を取得する。トリガ情報生成部213は、加速度情報に基づいて、車両20が走行する経路の段差に起因する段差トリガ、及び車両20が危険状態である場合の危険走行トリガが発生したか否かを示すトリガ情報を生成する。また、トリガ情報生成部213は、危険走行トリガが発生した場合には、車両20に設けられたカメラ238により撮像された危険走行トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録する。一方で、トリガ情報生成部213は、段差トリガが発生した場合には、カメラ238により撮像された段差トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録しない。
【0081】
この構成により、運行管理システム1は、段差トリガにおける映像の記録を行わないため、必要のないトリガ記録を削減することが可能となる。
【0082】
また、運行管理システム1のセンサは3軸Gセンサ224であって、車両20の進行方向に対応するX軸方向における加速度を検知するX軸加速度センサを含む。また、運行管理システム1のセンサは3軸Gセンサ224であって、車両20の鉛直方向に対応するZ軸方向における加速度を検知するZ軸加速度センサを含む。さらに、運行管理システム1のセンサは3軸Gセンサ224であって、X軸方向及びZ軸方向と垂直の関係となるY軸方向における加速度を検知するY軸加速度センサを含む。すなわち、運行管理システム1のセンサは3軸Gセンサ224であって、X軸加速度センサ、Y軸加速度センサ、及びZ軸加速度センサによって構成される3軸加速度センサである。
【0083】
この構成により、運行管理システム1は、車両20に対する3軸の方向における加速度を検出することが可能となり、車両20の走行における複雑な走行状態に対して、検知することが可能となる。
【0084】
また、運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が、閾値より大きい状態で継続する時間が、所定の時間以上である場合に、危険走行トリガが発生したと判定してもよい。この場合、トリガ情報生成部213は、危険走行トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成してもよい。また、トリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい状態で継続する時間が、所定の時間より短い場合、すなわち、所定の時間継続しない場合に、段差トリガが発生したと判定してもよい。この場合、トリガ情報生成部213は、段差トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成してもよい。具体的には、運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい状態が1秒間以上継続する場合には、危険走行トリガが発生したと判定する。一方で、運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい状態が1秒間継続しない場合には、段差トリガが発生したと判定する。この構成により、運行管理システム1は、段差による段差トリガと、危険走行による危険走行トリガとの判定において、より精度の高い判定が可能となる。
【0085】
さらに、運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、Y軸加速度センサ又はZ軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい場合に、危険走行トリガが発生したと判定し、危険走行トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成する。この構成により、運行管理システム1は、危険走行トリガの判定において、Y軸加速度センサ又はZ軸加速度センサにより、多くの危険走行を検知することが可能となり、危険走行トリガの判定の漏れを防ぐことが可能となる。
【0086】
(第2の実施形態)
以上の通り、具体的な実施形態を一つ説明したが、上述した実施形態は例示であって実施形態を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では、車載器200によって取得した走行情報に基づき運行管理装置100がマップを生成するシステムを例示した。ここではさらに、車載器200において、マップ情報に基づいて、経路に危険箇所がある場合に警報を発する運行管理システム1について、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0087】
第2の実施形態に係る運行管理システム1における車載器200のマイクロコンピュータ210は、図9に示すように、機能としてマップ情報取得部215と、経路判定部216と、警報制御部217とを備える点で、上述の第1の実施形態とは異なる。
【0088】
マップ情報取得部215は、サーバ10からマップデータを取得する。具体的には、マップ情報取得部215は、運行管理装置100のマップ生成部113で生成され、マップ情報DB122に格納されたマップ情報を、ネットワーク40を介して取得する。
【0089】
経路判定部216は、走行中の車両20の位置が、マップ情報に示される段差箇所の周辺又は危険走行箇所の周辺であるか否かを判定する。
【0090】
警報制御部217は、車両20の走行位置が、マップ情報に反映されたトリガ情報の場所に近づいた場合に、警報を発する制御を行う。具体的には、警報制御部217は、経路判定部216において走行中の車両20の位置が、マップ情報に示される段差箇所の周辺又は危険走行箇所の周辺であると判定された場合、音声入出力IF237を介して、警報を発する。なお、警報制御部217による警報は、音声入出力IF237を介して行われる構成に限定するものではなく、例えば、警報制御部217は、表示部236を介して、画面上に警報を表示する構成としてもよい。さらには、警報制御部217は、音声入出力IF237及び表示部236の両方から警報を発する構成としてもよい。
【0091】
次に、図10に示すフローチャートを用いて、第2の実施形態に係る運行管理システム1における処理の流れを示す。図10のフローチャートに示す運行管理システム1の一連の動作は、車載器200が起動されると開始され、車載器200が終了することにより処理が終了する。また、図10に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の運行管理システム1及び運行管理装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0092】
ステップS1001において、車載器200は、サーバ10との通信を開始する。その後、処理は、ステップS1002に進む。
【0093】
ステップS1002において、マップ情報取得部215は、サーバ10からマップデータを取得する。具体的には、ステップS1002において、マップ情報取得部215は、運行管理装置100のマップ情報DB122に格納されたマップ情報を、ネットワーク40を介して取得する。その後、処理は、ステップS1003に進む。
【0094】
ステップS1003において、車載器200は、各種センサ情報の測定を開始する。その後、処理は、ステップS1004に進む。
【0095】
ステップS1004において、車両20は、走行を開始する。その後、処理は、ステップS1005に進む。
【0096】
ステップS1005において、経路判定部216は、走行中の車両20の位置がマップ情報に示される段差箇所の周辺であるか否かを判定する。ステップS1005において、経路判定部216は、走行中の車両20の位置がマップ情報に示される段差箇所の周辺であると判定した場合(ステップS1005:YES)には処理はステップS1006に進む。一方で、ステップS1005において、経路判定部216は、走行中の車両20の位置がマップ情報に示される段差箇所の周辺でないと判定した場合(ステップS1005:NO)には処理はステップS1007に進む。
【0097】
ステップS1006において、警報制御部217は、段差警報を行う。具体的には、警報制御部217は、音声入出力IF237のスピーカを介して、車両20の近辺に段差箇所がある旨、運転者に警報を発する。その後処理は、ステップS1007に進む。
【0098】
ステップS1007において、経路判定部216は、走行中の車両20の位置がマップ情報に示される危険走行箇所の周辺であるか否かを判定する。ステップS1007において、経路判定部216は、走行中の車両20の位置がマップ情報に示される危険走行箇所の周辺であると判定した場合(ステップS1007:YES)には処理はステップS1008に進む。一方で、ステップS1007において、経路判定部216は、走行中の車両20の位置がマップ情報に示される危険走行箇所の周辺でないと判定した場合(ステップS1007:NO)には処理はステップS1009に進む。
【0099】
ステップS1008において、警報制御部217は、危険走行警報を行う。具体的には、警報制御部217は、音声入出力IF237のスピーカを介して、車両20の近辺に危険走行箇所がある旨、運転者に警報を発する。その後処理は、ステップS1009に進む。
【0100】
ステップS1009において、車載器200は、判定処理を行う。具体的には、車載器200は、図7に示す判定処理のステップS702からステップS707が実施される。ステップS1009における処理は、上述の図7におけるステップS702からステップS707までの処理と同じであるため、ここでは説明を省略する。その後、処理は、ステップS1010に進む。
【0101】
ステップS1010において、マイクロコンピュータ210は、走行が終了したか否かを判定する。ステップS1010において、マイクロコンピュータ210は、走行が終了したと判定した場合(ステップS1010:YES)には、処理はステップS1011に進む。一方で、ステップS1010において、マイクロコンピュータ210は、走行が終了していない判定した場合(ステップS1010:NO)には、処理はステップS1005に戻り、ステップS1005からの処理が繰り返し実行される。
【0102】
ステップS1011において、車載器200は、各センサによる測定を終了する。その後処理は、ステップS1012に進む。
【0103】
ステップS1012において、車載器200は、サーバ10との通信を終了する。その後処理は終了する。
【0104】
上述の通り、第2の実施形態に係る車載器200は、マップ生成部113で生成されたマップ情報を取得するマップ情報取得部215を備える。また、車載器200は、車両の走行位置を取得する位置情報取得部222を備える。さらに、第2の実施形態に係る車載器200は、車両20の走行位置が、マップ情報に反映されたトリガ情報の場所に近づいた場合に、警報を発する制御を行う警報制御部217を備える。
【0105】
この構成により、運行管理システム1における車両20は、マップ情報に反映されたトリガ情報に基づいて、警報が発せられるため、車両20の操作者は、段差箇所及び危険走行箇所を認識することができる。よって、運行管理システム1により、適切な運行管理を行うことが可能となる。
【0106】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0107】
上述の実施形態において、運行管理システム1は、車両20に設けられた車載器200においてトリガ情報を判定し、サーバ10において車載器200から送信されたトリガ情報に基づいてマップを生成する構成を示した。しかし、運行管理システム1の構成は、これに限定されない。例えば、運行管理システム1は、3軸Gセンサ224で取得したデータをサーバ10で収集し、サーバ10でトリガ情報の判定、及びマップの生成を行う、いわゆるクラウドコンピューティングとして構成してもよい。このように運行管理システム1をクラウドコンピューティングとして構成することにより、情報の一元化を図り、各車両20への適切な運行管理が可能となる。また、運行管理システム1をクラウドコンピューティングとして構成することにより、車載器200より性能が高いサーバ10によってトリガ情報を判定することが可能となり、トリガ情報の判定結果に対して、より精度を高めることが可能となる。
【0108】
あるいは、運行管理システム1は、例えば、トリガ情報の判定、及びマップの生成を車両20ごとの車載器200で実施する、いわゆるエッジコンピューティングとして構成してもよい。その場合、ネットワーク40は、有線又は近距離通信用の無線で構成された車内ネットワークとして構成することもできる。このように、運行管理システム1をエッジコンピューティングとして構成することにより、車両20と、サーバ10との通信の必要はなく、車両20とサーバ10との間の通信遅延や通信障害の影響をなくすことが可能となる。
【0109】
また、上述した運行管理システム1における処理(運行管理方法)をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(運行管理プログラム)、及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0110】
以下に、運行管理システム1、及び運行管理方法の特徴について記載する。
【0111】
第1の態様に係る運行管理システム1は、車両20に設けられたセンサを介して、車両20に生じた急加減速に関する加速度情報を取得するセンサ情報取得部211を備える。また、運行管理システム1は、加速度情報に基づいて、車両20が走行する経路の段差に起因する段差トリガ、及び車両20が危険状態である場合の危険走行トリガが発生したか否かを示すトリガ情報を生成するトリガ情報生成部213を備える。また、運行管理システム1は、トリガ情報を反映させたマップ情報を生成するマップ生成部113を備える。運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、危険走行トリガが発生した場合には、車両20に設けられた車載カメラにより撮像された危険走行トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録する。また、運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、段差トリガが発生した場合には、車載カメラにより撮像された段差トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録しない。
【0112】
上記構成によれば、運行管理システム1は、段差トリガにおける映像の記録を行わないため、必要のないトリガ記録を削減することが可能となる。
【0113】
第2の態様に係る運行管理システム1は、マップ生成部113で生成されたマップ情報を取得するマップ情報取得部215を含んでもよい。また、運行管理システム1は、車両20の走行位置を取得する位置情報取得部222を含んでもよい。さらに運行管理システム1は、車両20の走行位置が、マップ情報に反映されたトリガ情報の場所に近づいた場合に、警報を発する制御を行う警報制御部217を含んでもよい。
【0114】
上記構成によれば、運行管理システム1における車両20は、マップ情報に反映されたトリガ情報に基づいて、警報が発せられるため、車両20の操作者は、段差箇所及び危険走行箇所を認識することができる。よって、運行管理システム1により、適切な運行管理を行うことが可能となる。
【0115】
第3の態様に係る運行管理システム1のセンサは、車両20の進行方向に対応するX軸方向における加速度を検知するX軸加速度センサを含んでもよい。また、運行管理システム1のセンサは、車両20の鉛直方向に対応するZ軸方向における加速度を検知するZ軸加速度センサを含んでもよい。さらに、運行管理システム1のセンサは、X軸方向及びZ軸方向と垂直の関係となるY軸方向における加速度を検知するY軸加速度センサをふくんでもよい。すなわち、運行管理システム1のセンサは、X軸加速度センサ、Y軸加速度センサ、及びZ軸加速度センサにより構成される3軸加速度センサであってもよい。
【0116】
上記構成によれば、運行管理システム1は、車両20に対する3軸の方向における加速度を検出することが可能となり、車両20の走行における複雑な走行状態に対して、検知することが可能となる。
【0117】
第4の態様に係る運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が、閾値より大きい状態で継続する時間が、所定の時間以上の場合に、危険走行トリガが発生したと判定してもよい。この場合、トリガ情報生成部213は、危険走行トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成してもよい。また、第4の態様に係る運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、X軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい状態で継続する時間が、所定の時間より短い場合に、段差トリガが発生したと判定してもよい。この場合、トリガ情報生成部213は、段差トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成してもよい。
【0118】
上記構成によれば、運行管理システム1は、段差による段差トリガと、危険走行による危険走行トリガとの判定において、より精度の高い判定が可能となる。
【0119】
第5の態様に係る運行管理システム1のトリガ情報生成部213は、Y軸加速度センサ又はZ軸加速度センサによって検知された値が閾値より大きい場合に、危険走行トリガが発生したと判定し、危険走行トリガが発生したこと示すトリガ情報を生成してもよい。
【0120】
上記構成によれば、運行管理システム1は、危険走行トリガの判定において、Y軸加速度センサ又はZ軸加速度センサにより、多くの危険走行を検知することが可能となり、危険走行トリガの判定の漏れを防ぐことが可能となる。
【0121】
第6の態様に係る運行管理方法は、コンピュータによって実行される運行管理方法であって、車両20に設けられたセンサを介して、車両20に生じた急加減速に関する加速度情報を取得する。また、運行管理方法は、加速度情報に基づいて、車両が走行する経路の段差に起因する段差トリガが発生した場合には、車載カメラにより撮像された段差トリガの発生前後の車両の走行状況を記録しないで、段差トリガが発生したことを示すトリガ情報を生成する。また、運行管理方法は、加速度情報に基づいて、車両20が危険状態である場合の危険走行トリガが発生した場合には、車両20に設けられた車載カメラにより撮像された危険走行トリガの発生前後の車両20の走行状況を記録する。また、運行管理方法は、加速度情報に基づいて、車両20が危険状態である場合の危険走行トリガが発生した場合には、危険走行トリガが発生したことを示すトリガ情報を生成する。さらに、運行管理方法は、トリガ情報を反映させたマップ情報を生成する。
【0122】
上記構成によれば、運行管理方法は、段差トリガにおける映像の記録を行わないため、必要のないトリガ記録を削減することが可能となる。
【符号の説明】
【0123】
1 運行管理システム
100 運行管理装置
111 走行情報取得部
112 トリガ情報解析部
113 マップ生成部
200 車載器
211 センサ情報取得部
212 時間情報取得部
213 トリガ情報生成部
214 走行情報送信部
図1
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