IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧

<>
  • 特開-作業監視システム 図1
  • 特開-作業監視システム 図2
  • 特開-作業監視システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062238
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】作業監視システム
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
E21D11/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172088
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】東 努
(72)【発明者】
【氏名】樋下 祐輔
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA06
2D155DB02
2D155LA10
2D155LA12
2D155LA17
(57)【要約】
【課題】作業部分を確認しながら作業機を操作する作業員の作業環境を向上させることのできる作業監視システムを提供する。
【解決手段】作業監視システム20は、相互通信可能な監視用移動体21と遠隔指示装置22とを備える。監視用移動体21は、走行装置25と、撮像範囲を変更可能に構成され、作業部分を撮像する作業用カメラ28と、作業用カメラ28が撮像した作業画像データを遠隔指示装置22に伝送する移動体伝送機29と、を有する。遠隔指示装置22は、作業画像データを受信する指示装置伝送機と、作業画像データに基づく作業画像を表示するモニタと、オペレータの指示が入力されるコントローラや音声指示部と、を有する。入力された指示を示す指示信号が遠隔指示装置22から監視用移動体21に送信されると、その指示信号にしたがって走行装置25の駆動または作業用カメラ28の撮像範囲の変更が行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視用移動体と遠隔指示装置とを備えた作業監視システムであって、
前記監視用移動体と前記遠隔指示装置とは、前記監視用移動体に搭載された移動体通信機と前記遠隔指示装置に搭載された指示装置通信機とによって相互通信可能に構成され、
前記監視用移動体は、
走行装置と、
撮像範囲を変更可能に構成され、作業機による作業部分を撮像する作業用カメラと、
前記作業用カメラが撮像した作業画像データを前記遠隔指示装置に伝送する伝送機と、を有し、
前記遠隔指示装置は、
前記作業画像データを受信する受信機と、
前記受信機が受信した作業画像データに基づく画像を表示する作業画像モニタと、
前記監視用移動体へのオペレータの指示が入力される指示入力部と、を有し、
前記遠隔指示装置において、前記指示入力部に入力された指示を示す指示信号が前記指示装置通信機から前記移動体通信機に送信されると、
前記監視用移動体において、前記移動体通信機が受信した指示信号にしたがって前記走行装置の駆動または前記作業用カメラの撮像範囲の変更が行われる
作業監視システム。
【請求項2】
前記監視用移動体は、
前記監視用移動体の周辺を撮像する周辺カメラを有し、前記周辺カメラが撮像した周辺画像を示す周辺画像データを前記移動体通信機から前記指示装置通信機に送信し、
前記遠隔指示装置は、
前記指示装置通信機が受信した前記周辺画像データを表示する周辺画像モニタを有する
請求項1に記載の作業監視システム。
【請求項3】
前記遠隔指示装置は、
前記オペレータの音声を電気信号に変換した音声信号を入力する前記指示入力部である音声指示部と、
前記音声信号が入力されるとともに前記音声信号に基づく前記オペレータの指示を示す指示信号を前記指示装置通信機から前記移動体通信機に送信する音声処理部と、を有する
請求項1または2に記載の作業監視システム。
【請求項4】
前記監視用移動体は、
前記監視用移動体の前方に位置する物体との距離を測定するための測定用カメラを有し、前記測定用カメラが撮像した測定用画像を示す測定用画像データを前記移動体通信機から前記指示装置通信機に送信し、
前記遠隔指示装置は、
前記指示装置通信機が受信した前記測定用画像データに基づいて前記物体との距離を測定するとともにその測定結果を表示する測定用画像モニタを有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の作業監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機による作業を監視する作業監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、トンネルの建設現場においては、切羽に対してコンクリートを吹き付ける吹付け作業が行われる。こうした吹付け作業は、例えば、作業員が遠隔操作する吹付作業機よって行われる。作業員は、吹付け部分の目視確認のため、吹付作業機の近くで遠隔操作を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-006870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トンネルの建設現場においては吹付け作業にともなって粉塵が飛散するため、その粉塵が飛散した環境下に作業員が置かれることもある。また、吹付け部分の目視確認のために作業員が切羽に近づくこともある。こうしたことから、作業員の衛生面や安全面の観点から作業員の作業環境についてさらなる向上が望まれている。なお、こうしたことは、トンネルの建設現場に限らず、作業部分を確認しながら作業機を作業員が操作する他の建設現場にも共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する作業監視システムは、監視用移動体と遠隔指示装置とを備える。前記監視用移動体と前記遠隔指示装置とは、前記監視用移動体に搭載された移動体通信機と前記遠隔指示装置に搭載された指示装置通信機とによって相互通信可能に構成されている。前記監視用移動体は、走行装置と、撮像範囲を変更可能に構成され、作業機による作業部分を撮像する作業用カメラと、前記作業用カメラが撮像した作業画像データを前記遠隔指示装置に伝送する伝送機と、を有する。前記遠隔指示装置は、前記作業画像データを受信する受信機と、前記受信機が受信した作業画像データに基づく画像を表示する作業画像モニタと、前記監視用移動体へのオペレータの指示が入力される指示入力部と、を有する。前記遠隔指示装置において、前記指示入力部に入力された指示を示す指示信号が前記指示装置通信機から前記移動体通信機に送信されると、前記監視用移動体において、前記移動体通信機が受信した指示信号にしたがって前記走行装置の駆動または前記作業用カメラの撮像範囲の変更が行われる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業部分を確認しながら作業機を操作する作業員の作業環境を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】作業監視ステムの一実施形態の概略構成を示す図。
図2】遠隔指示装置の概略構成を示すブロック図。
図3】各種モニタの配置の一例を模式的に示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図3を参照して、作業監視システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、作業監視システムは、作業機を遠隔操作するオペレータが作業機の作業部分を監視・確認できるシステムである。
【0009】
本実施形態の作業監視システム20は、トンネル坑内を作業ヤード11とする切羽12へのコンクリートの吹付け作業において、操作ヤード13に設置された遠隔操作装置14で吹付作業機15を遠隔操作するオペレータが、ノズル16から切羽12に吹き付けられるコンクリートの吹付け状況を監視・確認できるシステムである。
【0010】
操作ヤード13は、必ずしも限定しなくてもよいが、例えば、切羽12に対する発破作業を考慮して作業ヤード11から少なくとも100m離れた場所に設置されることが好ましい。また、操作ヤード13は、トンネル坑内を移動可能な車両に設置されてもよい。
【0011】
(作業監視システム)
作業監視システム20は、監視用移動体21と遠隔指示装置22とを備えている。
監視用移動体21は、作業ヤード11において、吹付作業機15を遠隔操作するオペレータの指示にしたがって移動や作業部分の撮像(又は撮影)を行い、操作ヤード13に設置された遠隔指示装置22に、撮像した画像(以下、撮像画像という)を伝送する。
【0012】
遠隔指示装置22は、監視用移動体21が伝送した撮像画像を表示するとともにオペレータの指示を監視用移動体21に送信する。なお、遠隔指示装置22は、遠隔操作装置14に組み込まれてもよい。
【0013】
(監視用移動体)
監視用移動体21は、走行装置25と架台26とを備えている。
走行装置25は、監視用移動体21を走行させる装置である。走行装置25は、例えば、クローラ式の走行装置である。走行装置25がクローラ式であることにより、凹凸のあるような不整地であってもスムーズに走行することができる。また、走行装置25の幅は、80cm程度であることが好ましい。これにより、例えば、監視用移動体21が前傾姿勢になったとしても監視用移動体21の姿勢を安定させることができる。さらに、吹付作業機15が坑内に停車していても側壁との間を走行することができ、スムーズな機械の入れ替えが可能になる。
【0014】
架台26は、走行装置25に固定されている。架台26は、例えば、直線状の鋼管などが連結金具や溶接によって連結されることにより構成される。
架台26の前方上部には、作業用カメラ28が取り付けられている。作業用カメラ28は、吹付作業機15の作業部分を撮像する。作業用カメラ28は、ズーム、パン、チルトなどによって撮像範囲が変更可能に構成されている。作業用カメラ28は、撮像した作業画像(撮像画像)を示す作業画像データを移動体伝送機29に出力する。作業用カメラ28は、その高さ位置が130cm程度であることが好ましい。こうした高さ位置であれば、実際に作業員が作業部分を目視しているのと同様の視線を具現化することができる。また、監視用移動体21の全体高さを抑えることができるため、作業ヤード11において監視用移動体21が移動しやすくなる。
【0015】
移動体伝送機29は、架台26の左側側部に取り付けられている。移動体伝送機29は、無線接続により、遠隔指示装置22との間で通信可能に構成されている。移動体伝送機29は、監視用移動体21から遠隔指示装置22へと作業画像データを伝送する専用の機器である。移動体伝送機29は、作業用カメラ28からの作業画像データを、ほとんど遅延を生じさせることなく遠隔指示装置22に伝送可能な装置の適用が特に望ましい。
【0016】
架台26の前方上部には、測定用カメラ30が取り付けられている。測定用カメラ30は、監視用移動体21の前方を撮像する。測定用カメラ30は、監視用移動体21の前方にある物体との距離の測定に利用される。測定用カメラ30は、撮像した測定用画像(撮像画像)を示す測定用画像データを移動体通信機32に出力する。
【0017】
架台26の後方上部には、周辺カメラ31が取り付けられている。周辺カメラ31は、監視用移動体21の周辺を撮像した周辺画像(撮像画像)を示す周辺画像データを移動体通信機32に出力する。
【0018】
移動体通信機32は、架台26の後方上部に取り付けられている。移動体通信機32は、無線接続により、遠隔指示装置22と相互通信可能に構成されている。移動体通信機32は、複数のインターフェースを有している。移動体通信機32には、作業用カメラ28、測定用カメラ30、周辺カメラ31のほか、走行装置25が接続されている。
【0019】
移動体通信機32は、遠隔指示装置22から作業用カメラ28への撮像範囲指示信号を受信すると、その受信した撮像範囲指示信号を作業用カメラ28に入力する。作業用カメラ28は、撮像範囲指示信号に基づいて撮像範囲を変更する。
【0020】
移動体通信機32は、測定用カメラ30からの測定用画像、および、周辺カメラ31からの周辺画像を遠隔指示装置22へ送信する。移動体通信機32は、遠隔指示装置22から走行装置25への走行指示信号を受信すると、その走行指示信号を走行装置25に入力する。走行装置25は、入力された走行指示信号に基づいて監視用移動体21を走行させる。
【0021】
また、監視用移動体21は、各種機器への電力供給を行うバッテリー33を有している。バッテリー33は、走行装置25の台座に載置された状態で架台26に取り付けられている。バッテリー33は、監視用移動体21の重量バランスを考慮して、走行装置25の中心に近い位置に配置されることが好ましい。
【0022】
(遠隔指示装置)
図2に示すように、遠隔指示装置22は、指示装置伝送機35、指示装置通信機36、コントローラ37、音声指示部38、モニタ39,40,41、および、情報処理部42を備えている。
【0023】
指示装置伝送機35は、移動体伝送機29が伝送した作業画像データを、受信機として受信して情報処理部42に入力する。指示装置伝送機35は、移動体伝送機29からの作業画像データを受信する専用の機器である。
【0024】
指示装置通信機36は、移動体通信機32が送信した測定用画像データや周辺画像データを受信して情報処理部42に入力する。また、指示装置通信機36は、監視用移動体21への各種指示信号を移動体通信機32に送信する。
【0025】
コントローラ37および音声指示部38は、監視用移動体21に対する各種指示を入力可能な指示入力部を構成している。
コントローラ37は、オペレータが操作可能な操作レバーなどで構成されている。コントローラ37は、オペレータの操作に基づく操作信号を情報処理部42に入力する。
【0026】
音声指示部38は、マイクロフォンや発音器などで構成されている。音声指示部38は、オペレータの音声に基づく音声信号を情報処理部42に入力するとともに情報処理部42からの各種信号に基づく音声を発音器から発音する。
図3に示すように、モニタ39は、操作ヤード13において吹付作業機15を遠隔操作するオペレータ43の正面に配置されるモニタである。モニタ40は、オペレータ43の右側前方に配置されるモニタである。モニタ41は、オペレータ43の左側前方に配置されるモニタである。なお、これらのモニタ39,40,41の各々は、オペレータによる設定によって、作業画像モニタ、測定用画像モニタ、および、周辺画像モニタとして機能させることができる。
【0027】
情報処理部42は、各種処理を実行する。情報処理部42は、たとえばcircuitry、すなわち、ASICのような1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上の処理回路、或いは両者の組み合わせによって実現することができる。処理回路は、CPUと、CPUによって実行されるプログラムを記憶したメモリ(ROM及びRAM等)と、を有する。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0028】
情報処理部42は、作業画像処理部45、測定用画像処理部46、周辺画像処理部47、操作処理部48、および、音声処理部49を備えている。
作業画像処理部45は、作業画像データに基づいて、作業用カメラ28が撮像した作業画像(撮像画像)を作業画像モニタに設定されたモニタに表示する。例えば、作業画像処理部45は、作業画像をモニタ39に表示する。
【0029】
測定用画像処理部46は、測定用画像データに基づいて、測定用カメラ30が撮像した測定用画像(撮像画像)を測定用画像モニタに設定されたモニタに表示する。例えば、測定用画像処理部46は、測定用画像をモニタ39に表示する。また、測定用画像処理部46は、測定用画像データを画像処理することにより、測定用画像に含まれる各物体との距離を計測する。測定用画像処理部46は、その計測した距離を測定用画像の各物体に合わせてモニタに表示する。この際、測定用画像処理部46は、その計測した距離に応じて色分けしてモニタに表示することが好ましい。
【0030】
周辺画像処理部47は、周辺画像データに基づいて、周辺カメラ31が撮像した周辺画像(撮像画像)を周辺画像モニタに設定されたモニタに表示する。例えば、周辺画像処理部47は、監視用移動体21の前方をモニタ39に、監視用移動体21の右側をモニタ40に、監視用移動体21の左側をモニタ41に表示する。なお、上述した作業画像や測定用画像は、モニタ39に表示された周辺画像上に表示されてもよい。
【0031】
操作処理部48は、コントローラ37からの操作信号に基づく各種指示信号を指示装置通信機36から監視用移動体21に送信する指示処理部である。例えば、操作処理部48は、コントローラ37から走行装置25の駆動に関する操作信号が入力されると、その操作信号に基づく走行指示信号を監視用移動体21に送信する。操作処理部48は、コントローラ37から作業用カメラ28の撮像範囲に関する操作信号が入力されると、その操作信号に基づく撮像範囲指示信号を監視用移動体21に送信する。
【0032】
音声処理部49は、音声指示部38からの音声信号を解析することにより、オペレータからの指示内容に基づく各種指示信号を指示装置通信機36から監視用移動体21に送信する指示処理部である。例えば、音声処理部49は、各種の指示内容を示す音声信号の見本波形を予め保持している。音声処理部49は、音声指示部38からの音声信号の波形と予め記憶した音声信号の見本波形とを比較することにより、オペレータの指示内容を把握する。また例えば、音声処理部49は、音声認識により、オペレータの支持内容を把握する。音声処理部49は、把握した指示内容が監視用移動体21の移動に関するものである場合には、その指示内容を示す走行指示信号を監視用移動体21に送信する。音声処理部49は、把握した指示内容が作業用カメラ28の撮像範囲に関するものである場合には、その指示内容を示す範囲指示信号を監視用移動体21に送信する。
【0033】
なお、音声処理部49は、監視用移動体21の停止を示す音声信号については、そのままオペレータの指示内容を把握してもよい。これにより、不測の事態が生じたときに、音声によって監視用移動体21を緊急停止させることができる。また、音声処理部49は、音声信号に基づく指示内容について音声処理部49に確認信号を送信し、その確認信号に対する返答を待ってオペレータの指示内容を把握してもよい。これにより、音声による監視用移動体21の誤動作を回避することができる。
【0034】
(作用)
操作ヤード13にいるオペレータは、遠隔操作装置14で吹付作業機15を遠隔操作しながら、モニタに表示された作業画像に基づいて吹付作業機15による作業部分を監視する。オペレータは、遠隔操作装置14で吹付作業機15の作業部分を変更した場合には、遠隔指示装置22で監視用移動体21の位置や作業用カメラ28の撮像範囲を指示して引き続き吹付作業機15の作業部分を監視する。
【0035】
本実施形態の効果について説明する。
(1)作業監視システム20は、監視用移動体21と遠隔指示装置22とを備える。監視用移動体21と遠隔指示装置22とは、監視用移動体21に搭載された移動体通信機32と遠隔指示装置22に搭載された指示装置通信機36とによって相互通信可能に構成されている。監視用移動体21は、走行装置25と、撮像範囲を変更可能に構成され、吹付作業機15による作業部分を撮像する作業用カメラ28と、作業用カメラ28が撮像した作業画像データを遠隔指示装置22に伝送する移動体伝送機29と、を有する。遠隔指示装置22は、作業画像データを受信する指示装置伝送機35と、指示装置伝送機35が受信した作業画像データに基づく作業画像を表示可能なモニタ39と、監視用移動体21へのオペレータの指示が入力されるコントローラ37や音声指示部38と、を有する。そして、遠隔指示装置22において、入力された指示を示す指示信号が指示装置通信機36から移動体通信機32に送信されると、監視用移動体21において、移動体通信機32が受信した指示信号にしたがって走行装置25の駆動または作業用カメラ28の撮像範囲の変更が行われる。
【0036】
これにより、オペレータは、操作ヤード13において、モニタ39に表示される作業画像に基づいて吹付作業機15による作業部分を確認することができる。また、オペレータは、作業部分を確認しやすいように、監視用移動体21の移動や作業用カメラ28の撮像範囲の変更を操作ヤード13で指示することができる。その結果、吹付作業機15を用いた作業を行う作業員の作業環境を向上させることができる。
【0037】
(2)また、作業画像データの伝送に関して、監視用移動体21および遠隔指示装置22に専用の機器を搭載した。これにより、作業画像データの伝送について、より伝送速度の速い伝送機器を採用することができる。その結果、モニタ39に対して遅延のすくない作業画像を表示することができる。
【0038】
(3)監視用移動体21は、監視用移動体21の周辺を撮像する周辺カメラ31を有する。周辺カメラ31が撮像した周辺画像を示す周辺画像データは、移動体通信機32から指示装置通信機36に送信される。遠隔指示装置22は、指示装置通信機36が受信した周辺画像データを表示するモニタ39,40,41を有する。
【0039】
これにより、オペレータは、モニタ39,40,41に表示される周辺画像により、監視用移動体21の周辺状況を確認しながら監視用移動体21を移動させることができる。その結果、監視用移動体21の移動を円滑に行うことができる。
【0040】
(4)遠隔指示装置22は、オペレータの音声を電気信号に変換した音声信号を入力する指示入力部である音声指示部38と、音声信号が入力されるとともに、音声信号に基づくオペレータの指示を示す指示信号を指示装置通信機36から移動体通信機32に送信する音声処理部49を有する。
【0041】
これにより、オペレータは、監視用移動体21に対して音声を用いた指示を行うことができる。その結果、遠隔操作装置14の操作中にあるオペレータであっても、監視用移動体21の移動や作業用カメラ28の撮像範囲の変更を容易に行うことができる。
【0042】
(5)監視用移動体21は、監視用移動体21の前方に位置する物体との距離を測定するための測定用カメラ30を有して、測定用カメラ30が撮像した測定用画像を示す測定用画像データを移動体通信機32から指示装置通信機36に送信する。遠隔指示装置22は、指示装置通信機36が受信した測定用画像データに基づいて物体との距離を測定するとともにその測定結果を表示するモニタ39を有する。
【0043】
これにより、オペレータは、モニタ39によって監視用移動体21の前方に位置する物体との距離を把握できることから、前方における障害物との接触を回避するように監視用移動体21を移動させることができる。
【0044】
以上、作業監視システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
・作業監視システム20において、監視用移動体21の前方に位置する物体との距離を測定するための測定用画像は、作業用カメラ28によって撮像されてもよい。
・作業監視システム20において、監視用移動体21の周辺は、吹付作業機15の作業中断時などに、作業用カメラ28によって撮像されてもよい。
【0046】
・作業監視システム20においては、監視用移動体21に対する指示はコントローラ37のみで行われてもよいし、音声指示部38のみで行われてもよい。
・監視用移動体21は、走行装置25の前面に排土板が設けられていてもよい。これにより、監視用移動体21は、前方にある排土をかき分けて移動することができる。
【0047】
・遠隔指示装置22は、ノズル16の位置に応じて、走行指示信号や撮像範囲指示信号を監視用移動体21に送信してもよい。例えば、遠隔指示装置22は、遠隔操作装置14における操作や周辺画像に対する画像処理に基づいてノズル16の位置を追尾する。そして遠隔指示装置22は、追尾したノズル16の位置や監視用移動体21の周辺状況に応じた走行指示信号や撮像範囲指示信号を監視用移動体21に送信する。
【0048】
・走行装置25は、クローラ式に限られない。例えば、走行装置25は、監視用移動体21の前後方向に並んだ複数の車輪(例えば、複数の駆動輪、複数の駆動輪及び従動輪)が監視用移動体21の幅方向に複数設けられる構成であってもよい。すなわち、クローラ式ではなくホイール式の走行装置25であってもよい。
【0049】
・作業用カメラ28は、例えば、伸縮可能なアームを有する多関節アームに支持されることにより、周辺画像に基づいて配置位置が変更可能であってもよい。こうした構成によれば、作業用カメラ28で撮像可能な作業部分の位置についての自由度が向上する。
【0050】
・作業機は、吹付作業機15に限られない。作業機は、オペレータの遠隔操作によって作業を行う作業機であれば何でもよく、例えば、資材などを所定位置に搬送するクレーンなどであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
11…作業ヤード、12…切羽、13…操作ヤード、14…遠隔操作装置、15…吹付作業機、16…ノズル、20…作業監視システム、21…監視用移動体、22…遠隔指示装置、25…走行装置、26…架台、28…作業用カメラ、29…移動体伝送機、30…測定用カメラ、31…周辺カメラ、32…移動体通信機、33…バッテリー、35…指示装置伝送機、36…指示装置通信機、37…コントローラ、38…音声指示部、39,40,41…モニタ、42…情報処理部、43…オペレータ、45…作業画像処理部、46…測定用画像処理部、47…周辺画像処理部、48…操作処理部、49…音声処理部。
図1
図2
図3