(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062252
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】水圧式圧縮空気装置
(51)【国際特許分類】
F04B 9/08 20060101AFI20230426BHJP
F03B 13/14 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
F04B9/08 Z
F03B13/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172114
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】521335742
【氏名又は名称】株式会社マツバヤシ
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】松林 順治
【テーマコード(参考)】
3H074
3H075
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA12
3H074BB30
3H074CC02
3H074CC34
3H075AA18
3H075BB20
3H075CC40
3H075DA02
3H075DA19
3H075DB01
3H075DB10
3H075DB50
(57)【要約】
【課題】大容量の圧縮空気を噴射できる水圧式圧縮空気装置を提供することを課題とする。
【解決手段】水上に浮かぶ浮体間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気を圧縮可能な容器体を対で備えた水圧式圧縮空気装置であって、前記容器体が、下側に水に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部と、該浸漬部の上側に空気を貯留可能な貯留部を有し、前記貯留部の天壁に圧縮空気を噴出可能な第一噴出口を1つ以上設け、前記貯留部の周壁に空気を流入可能な入気口を2つ以上設けて、前記浸漬部の周壁にガイド用突起及びワイヤー係止用突起を突設し、前記ワイヤー係止用突起に係止したワイヤーの巻き出し巻き取りをするウインチ装置を設置し、前記ガイド用突起をシーソー式に滑動させるガイド構造とすることによって交互に昇降させて圧縮空気を継続的に製造することができる水圧式圧縮空気装置により課題解決できた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に浮かぶ浮体間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気を圧縮可能な容器体を対で備えた水圧式圧縮空気装置であって、
前記容器体が、下側に水に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部と、該浸漬部の上側に空気を貯留可能で上方になるほど水平断面を狭くした周壁と天壁を有する貯留部とを有し、前記天壁に、流路断面積を縮小する流路縮小部と開閉手段を備えた、圧縮空気を噴出可能な第一噴出口を1つ以上設け、前記貯留部の周壁に、逆止弁及び/又は開閉手段を備えた、空気を流入可能な入気口を2つ以上設けて、
前記浸漬部の周壁の上部であって、前記浸漬部の両側の前記浮体側にそれぞれガイド用突起及びワイヤー係止用突起を突設し、
対の前記容器体の前記ワイヤー係止用突起それぞれに係止したワイヤーの巻き出し巻き取りを可能とするウインチ装置をそれぞれ前記浮体上に設置し、
対の前記容器体の両側にある前記浮体上にそれぞれ立設した柱体から前記対の容器体の間にかつ水平方向に突設した軸に、対の前記容器体それぞれの前記ガイド用突起を挿通させる2つのガイド用長孔を有する、長尺状のガイド板部を上下方向回転自在に取り付けて、対の前記容器体をそれぞれ交互に昇降可能とし、
制御部が、
対の前記容器体の一方側の前記容器体が上昇端位置まで上昇すると、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、一方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記一方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御と、
一方側の前記容器体が下降端位置まで下降すると、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、他方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記他方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御とを、
繰り返す制御を実施することを特徴とする水圧式圧縮空気装置。
【請求項2】
水上に浮かぶ浮体間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気を圧縮可能な容器体を対で備えた水圧式圧縮空気装置であって、
前記容器体が、下側に水に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部と、該浸漬部の上側に空気を貯留可能で上方になるほど水平断面を狭くした周壁と天壁を有する貯留部とを有し、前記天壁に、流路断面積を縮小する流路縮小部と開閉手段を備えた、圧縮空気を噴出可能な第一噴出口を1つ以上設け、前記貯留部の周壁に、逆止弁及び/又は開閉手段を備えた、空気を流入可能な入気口を2つ以上設けて、
前記容器体の前記第一噴出口に下端側を接続させて立設させた筒状の周壁を有する圧縮空気流路の内部に、回転軸の上端部を発電機と連結させた、圧縮空気の下方から上方に向けての流動により回転するスクリューを内設し、かつ、前記圧縮空気流路の上端部近傍の周壁に圧縮空気を噴出させる第二噴出口を設けて、
対の前記容器体の前記第二噴出口にそれぞれ接続した2本の可撓性を有する第一圧縮空気用ホースを流路切替手段を介して圧縮空気の流れの下流側で1本の可撓性を有する第二圧縮空気用ホースに接続し、
前記浸漬部の周壁の上部であって、前記浸漬部の両側の前記浮体側にそれぞれガイド用突起及びワイヤー係止用突起を突設し、
対の前記容器体の前記ワイヤー係止用突起それぞれに係止したワイヤーの巻き出し巻き取りを可能とするウインチ装置をそれぞれ前記浮体上に設置し、
対の前記容器体の両側にある前記浮体上にそれぞれ立設した柱体から前記対の容器体の間にかつ水平方向に突設した軸に、対の前記容器体それぞれの前記ガイド用突起を挿通させる2つのガイド用長孔を有する、長尺状のガイド板部を上下方向回転自在に取り付けて、対の前記容器体をそれぞれ交互に昇降可能とし、
制御部が、
対の前記容器体の一方側の前記容器体が上昇端位置まで上昇すると、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、さらに第二圧縮空気用ホースを一方側の容器体側の第一圧縮空気用ホースに流路切替手段により切り替えて連通させ、一方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記一方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御と、
一方側の前記容器体が下降端位置まで下降すると、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、さらに第二圧縮空気用ホースを他方側の容器体側の第一圧縮空気用ホースに流路切替手段により切り替えて連通させ、他方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記他方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御とを、
繰り返す制御を実施することを特徴とする水圧式圧縮空気装置。
【請求項3】
前記ガイド用突起及びワイヤー係止用突起の形態は、前記容器体の前記浮体側の周壁の水平方向で略中央に1か所の前記ガイド用兼ワイヤー係止用突起を突設した形態、又は、前記容器体の前記浮体側の周壁の水平方向で略中央に1か所の前記ガイド用突起、及び、前記ガイド用突起を中心に水平方向の略等間隔で計2か所のワイヤー係止用突起を突設した形態を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の水圧式圧縮空気装置。
【請求項4】
前記発電機と前記ウインチ装置の作動電源を接続し、前記発電機で発生させた電力で前記ウインチ装置を作動させ、かつ前記制御部が、前記一方側の容器体用の前記ウインチ装置と前記他方側の容器体用のウインチ装置とを前記容器体の上昇端又は下降端で交互に作動可能に切り替える制御をすることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の水圧式圧縮空気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海域などにおいて、空気に水圧をかけて圧縮空気を大量に製造する水圧式圧縮空気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体で満たされた管と、上記管の中に形成される気泡流によって上記管の中に一方通行の流れが生じるように、上記管の中に気泡として気体を注入する気体注入部と、上記気泡流に伴って生じる上記液体の流れによって駆動されるタービンとを備える発電装置が開示されている。そして、圧縮空気は外部電力を使用するエアポンプを設置し圧縮空気を貯めるエアタンクも設置している。
【0003】
特許文献2には、水面に浮かべるための浮体と、該浮体の上面に設けられる発電機と、該浮体の下方に吊下されると共に、水底に係留されるケージと、該ケージ内が区画され、区画されたケージ内に設けられる一対のフロート体と、両端がケージに固定されると共に、該フロート体の端部に設けられるプーリに巻回され、且つ、前記発電機に設けたプーリに巻回されるワイヤロープと、前記フロート体に空気を充填するための空気充填装置とを備えた発電装置であって、前記空気充填装置は、付勢された回転体によって空気充填用の開口部が常時閉塞されており、前記フロート体の下降によって該回転体が回転すると該開口部が開口し、該フロート体内に空気を充填するように構成され、前記フロート体がケージの下部に位置する時、前記空気充填装置によってフロート体内に空気を充填し、フロート体がケージの上 部に位置する時、該フロート体内の空気を排気させることにより、一対のフロート体を継 続的に交互に上昇下降させ、該フロート体の上昇下降移動に伴う前記ワイヤロープの移動によって前記発電機を回転させて発電するように構成されている発電装置が開示されている。そして、空気充填装置は圧縮空気ボンベであると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-183643号公報
【特許文献2】特許第3708947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明は、圧縮空気装置がエアポンプであるので大量の圧縮空気を造り出すことは困難であることから、大きな発電量が得られないという問題があった。
【0006】
特許文献2の発明は、圧縮空気装置が圧縮空気ボンベであるので、大量の圧縮空気を造り出すことは困難であることから、大きな発電量が得られないという問題があった。
【0007】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、大きな発電量を得ることが可能となる、大量の圧縮空気を製造できる水圧式圧縮空気装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の水圧式圧縮空気装置は、水上に浮かぶ浮体間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気を圧縮可能な容器体を対で備えた水圧式圧縮空気装置であって、前記容器体が、下側に水に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部と、該浸漬部の上側に空気を貯留可能で上方になるほど水平断面を狭くした周壁と天壁を有する貯留部とを有し、前記天壁に、流路断面積を縮小する流路縮小部と開閉手段を備えた、圧縮空気を噴出可能な第一噴出口を1つ以上設け、前記貯留部の周壁に、逆止弁及び/又は開閉手段を備えた、空気を流入可能な入気口を2つ以上設けて、前記浸漬部の周壁の上部であって、前記浸漬部の両側の前記浮体側にそれぞれガイド用突起及びワイヤー係止用突起を突設し、対の前記容器体の前記ワイヤー係止用突起それぞれに係止したワイヤーの巻き出し巻き取りを可能とするウインチ装置をそれぞれ前記浮体上に設置し、対の前記容器体の両側にある前記浮体上にそれぞれ立設した柱体から前記対の容器体の間にかつ水平方向に突設した軸に、対の前記容器体それぞれの前記ガイド用突起を挿通させる2つのガイド用長孔を有する、長尺状のガイド板部を上下方向回転自在に取り付けて、対の前記容器体をそれぞれ交互に昇降可能とし、制御部が、対の前記容器体の一方側の前記容器体が上昇端位置まで上昇すると、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、一方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記一方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御と、一方側の前記容器体が下降端位置まで下降すると、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、他方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記他方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御とを、繰り返す制御を実施することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の水圧式圧縮空気装置は、水上に浮かぶ浮体間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気を圧縮可能な容器体を対で備えた水圧式圧縮空気装置であって、前記容器体が、下側に水に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部と、該浸漬部の上側に空気を貯留可能で上方になるほど水平断面を狭くした周壁と天壁を有する貯留部とを有し、前記天壁に、流路断面積を縮小する流路縮小部と開閉手段を備えた、圧縮空気を噴出可能な第一噴出口を1つ以上設け、前記貯留部の周壁に、逆止弁及び/又は開閉手段を備えた、空気を流入可能な入気口を2つ以上設けて、前記容器体の前記第一噴出口に下端側を接続させて立設させた筒状の周壁を有する圧縮空気流路の内部に、回転軸の上端部を発電機と連結させた、圧縮空気の下方から上方に向けての流動により回転するスクリューを内設し、かつ、前記圧縮空気流路の上端部近傍の周壁に圧縮空気を噴出させる第二噴出口を設けて、対の前記容器体の前記第二噴出口にそれぞれ接続した2本の可撓性を有する第一圧縮空気用ホースを流路切替手段を介して圧縮空気の流れの下流側で1本の可撓性を有する第二圧縮空気用ホースに接続し、前記浸漬部の周壁の上部であって、前記浸漬部の両側の前記浮体側にそれぞれガイド用突起及びワイヤー係止用突起を突設し、対の前記容器体の前記ワイヤー係止用突起それぞれに係止したワイヤーの巻き出し巻き取りを可能とするウインチ装置をそれぞれ前記浮体上に設置し、対の前記容器体の両側にある前記浮体上にそれぞれ立設した柱体から前記対の容器体の間にかつ水平方向に突設した軸に、対の前記容器体それぞれの前記ガイド用突起を挿通させる2つのガイド用長孔を有する、長尺状のガイド板部を上下方向回転自在に取り付けて、対の前記容器体をそれぞれ交互に昇降可能とし、制御部が、対の前記容器体の一方側の前記容器体が上昇端位置まで上昇すると、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、さらに第二圧縮空気用ホースを一方側の容器体側の第一圧縮空気用ホースに流路切替手段により切り替えて連通させ、一方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記一方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御と、一方側の前記容器体が下降端位置まで下降すると、他方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を開にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を閉にし、一方側の前記容器体の前記第一噴出口の開閉手段を閉にし、前記入気口の開閉手段が有の場合は該開閉手段を開にし、さらに第二圧縮空気用ホースを他方側の容器体側の第一圧縮空気用ホースに流路切替手段により切り替えて連通させ、他方側の前記容器体用の前記ウインチ装置を前記他方側の容器体が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御とを、繰り返す制御を実施することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の水圧式圧縮空気装置は、請求項1又は2において、前記ガイド用突起及びワイヤー係止用突起の形態は、前記容器体の前記浮体側の周壁の水平方向で略中央に1か所の前記ガイド用兼ワイヤー係止用突起を突設した形態、又は、前記容器体の前記浮体側の周壁の水平方向で略中央に1か所の前記ガイド用突起、及び、前記ガイド用突起を中心に水平方向の略等間隔で計2か所のワイヤー係止用突起を突設した形態を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の水圧式圧縮空気装置は、請求項1~3のいずれかにおいて、前記発電機と前記ウインチ装置の作動電源を接続し、前記発電機で発生させた電力で前記ウインチ装置を作動させ、かつ前記制御部が、前記一方側の容器体用の前記ウインチ装置と前記他方側の容器体用のウインチ装置とを前記容器体の上昇端又は下降端で交互に作動可能に切り替える制御をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の水圧式圧縮空気装置は、所定の圧力の圧縮空気を継続的に大量につくることができることから、例えば海中に大量の圧縮空気を噴出させて海水の流れを誘発させて、この海流で大きな電力を発電させる大型海流発電を実現させることができるという顕著な効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載の水圧式圧縮空気装置は、対の容器体を交互に昇降させることによって製造した圧縮空気を継続的に1本のホースで大量に噴出させることができるという効果を奏する。
【0014】
請求項3の記載の水圧式圧縮空気装置は、容器体の大きさや、浸漬部の四角形状又は円形状などの形態に応じて、安定して容器体が昇降できるようにガイド用突起やワイヤー係止用突起を設定することができるという効果を奏する。
【0015】
請求項4に記載の水圧式圧縮空気装置は、ウインチ装置で消費する電力を自己発電で賄うことができることから海上でも電力確保に困らないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の水圧式圧縮空気装置でガイド用突起とワイヤー係止用突起を1カ所で兼用させた形態の場合で、1カ所設けた第一噴出口より上方を省略した平面視の説明図である。
【
図2】本発明の水圧式圧縮空気装置でガイド用突起1カ所とワイヤー係止用突起2か所の形態の場合で、1カ所設けた第一噴出口より上方を省略した平面視の説明図である。
【
図3】本発明の水圧式圧縮空気装置でガイド用突起とワイヤー係止用突起を1カ所で兼用させた形態の場合で、3か所設けた第一噴出口より上方を省略した平面視の説明図である。
【
図4】本発明の水圧式圧縮空気装置で、一方側の容器体が上昇端に存するときの浮体より上方における側面視の説明図である。
【
図5】本発明の水圧式圧縮空気装置で、一方側の容器体が下降端に存するときの浮体より上方における側面視の説明図である。
【
図6】本発明の水圧式圧縮空気装置で、一方側の容器体が上昇端に存するときの
図1におけるA―A断面に、柱体、ガイド板部、ガイド用突起、ワイヤー及びウインチ装置を付加させた正面視の説明図である。
【
図7】本発明の水圧式圧縮空気装置の設置状態の一方側の容器体が下降端に存するときの
図1におけるA―A断面に、柱体、ガイド板部、ガイド用突起、ワイヤー及びウインチ装置を付加させた正面視の説明図である。
【
図8】本発明の水圧式圧縮空気装置で、1容器体当り2か所のワイヤー係止用突起を設けた場合の一方側の容器体が下降端に存するときの浮体より上方における側面視の説明図である。
【
図9】本発明の水圧式圧縮空気装置で、1容器体当り2か所のワイヤー係止用突起を設けた場合の一方側の容器体が上昇端に存するときの浮体より上方における側面視の説明図である。
【
図10】貯留部の平面視の説明図で、(a)は第一噴出口が1か所の場合の説明図で、(b)は第一噴出口が3か所の場合の説明図である。
【
図11】本発明の水圧式圧縮空気装置の一方側の容器体が下降中における、
図1におけるA―A断面の一方側の容器体の断面説明図である。他方側の容器体の場合も同じである。
【
図12】本発明の水圧式圧縮空気装置の一方側の容器体が上昇中における、
図1におけるA―A断面の一方側の容器体の断面説明図である。他方側の容器体の場合も同じである。
【
図15】1事例としての流路縮小部の平面視の説明図である。
【
図16】本発明の第一噴出口及び圧縮空気流路がそれぞれ3か所ある形態の水圧式圧縮空気装置の、
図1におけるA―A断面の一方側又は他方側の容器体の断面説明図である。
【
図18】流路切替手段の説明図で、(a)は一方側の第一圧縮空気用ホースと第二圧縮空気用ホースを圧縮空気が流動する説明図で、(b)は他方側の第一圧縮空気用ホースと第二圧縮空気用ホースを圧縮空気が流動する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の水圧式圧縮空気装置1は、
図1~
図3、
図6又は
図7に示すように、海域に浮かべて作動させて大容量の圧縮空気を継続的に製造できる水圧式圧縮空気装置1である。
【0018】
本発明の水圧式圧縮空気装置1は、
図1~
図9に示すように、水上に浮かぶ浮体80間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気40を圧縮可能な容器体2、3を対で備えた水圧式圧縮空気装置1であって、前記容器体2、3が、下側に水81に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部4と、該浸漬部4の上側に空気を貯留可能で上方になるほど水平断面を狭くした周壁と天壁18を有する貯留部5とを有し、前記天壁18に、流路断面積を縮小する流路縮小部15と開閉手段31を備えた、圧縮空気を噴出可能な第一噴出口8を1つ以上設け、前記貯留部5の周壁に、逆止弁(図示なし)及び/又は開閉手段32を備えた、空気40を流入可能な入気口10を2つ以上設けて、前記浸漬部4の周壁の上部であって、前記浸漬部4の両側の前記浮体80側にそれぞれガイド用突起12及びワイヤー係止用突起14を突設し、対の前記容器体2、3の前記ワイヤー係止用突起14それぞれに係止したワイヤー21の巻き出し巻き取りを可能とするウインチ装置20をそれぞれ前記浮体80上に設置し、対の前記容器体2、3の両側にある前記浮体80上にそれぞれ立設した柱体25から前記対の容器体2、3の間にかつ水平方向に突設した軸26に、対の前記容器体2、3それぞれの前記ガイド用突起12を挿通させる2つのガイド用長孔13を有する、長尺状のガイド板部11を上下方向回転自在に取り付けて、対の前記容器体2、3をそれぞれ交互に昇降可能とし、制御部(図示なし)が、対の前記容器体2、3の一方側の前記容器体2が上昇端位置まで上昇すると、一方側の前記容器体2の前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、他方側の前記容器体3の前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にし、一方側の前記容器体2用の前記ウインチ装置20を前記一方側の容器体2が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御と、一方側の前記容器体2が下降端位置まで下降すると、他方側の前記容器体3の前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、一方側の前記容器体2の前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にし、他方側の前記容器体3用の前記ウインチ装置20を前記他方側の容器体3が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御とを、繰り返す制御を実施する。
【0019】
また、本発明の水圧式圧縮空気装置1は、
図1~
図9、
図13に示すように、水上に浮かぶ浮体80間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気40を圧縮可能な容器体2、3を対で備えた水圧式圧縮空気装置1であって、前記容器体2、3が、下側に水40に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部4と、該浸漬部4の上側に空気40を貯留可能で上方になるほど水平断面を狭くした周壁と天壁18を有する貯留部5とを有し、前記天壁18に、流路断面積を縮小する流路縮小部15と開閉手段31を備えた、圧縮空気を噴出可能な第一噴出口8を1つ以上設け、前記貯留部5の周壁に、逆止弁(図示なし)及び/又は開閉手段32を備えた、空気40を流入可能な入気口10を2つ以上設けて、前記容器体2、3の前記第一噴出口8に下端側を接続させて立設させた筒状の周壁を有する圧縮空気流路6の内部に、回転軸56の上端部を発電機50と連結させた、圧縮空気の下方から上方に向けての流動により回転するスクリュー55を内設し、かつ、前記圧縮空気流路6の上端部近傍の周壁に圧縮空気を噴出させる第二噴出口9を設けて、対の前記容器体2、3の前記第二噴出口9にそれぞれ接続した2本の可撓性を有する第一圧縮空気用ホース41を流路切替手段7を介して圧縮空気の流れの下流側で1本の可撓性を有する第二圧縮空気用ホース42に接続し、前記浸漬部4の周壁の上部であって、前記浸漬部4の両側の前記浮体80側にそれぞれガイド用突起12及びワイヤー係止用突起14を突設し、対の前記容器体2、3の前記ワイヤー係止用突起14それぞれに係止したワイヤー21の巻き出し巻き取りを可能とするウインチ装置20をそれぞれ前記浮体80上に設置し、対の前記容器体2、3の両側にある前記浮体80上にそれぞれ立設した柱体25から前記対の容器体2、3の間にかつ水平方向に突設した軸26に、対の前記容器体2、3それぞれの前記ガイド用突起12を挿通させる2つのガイド用長孔13を有する、長尺状のガイド板部11を上下方向回転自在に取り付けて、対の前記容器体2、3をそれぞれ交互に昇降可能とし、制御部(図示なし)が、対の前記容器体2、3の一方側の前記容器体2が上昇端位置まで上昇すると、一方側の前記容器体2の前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、他方側の前記容器体3の前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にし、さらに第二圧縮空気用ホース42を一方側の容器体2側の第一圧縮空気用ホース41aに流路切替手段7により切り替えて連通させ、一方側の前記容器体2用の前記ウインチ装置20を前記一方側の容器体2が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御と、一方側の前記容器体2が下降端位置まで下降すると、他方側の前記容器体3の前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、一方側の前記容器体2の前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にし、さらに第二圧縮空気用ホース42を他方側の容器体3側の第一圧縮空気用ホース41bに流路切替手段7により切り替えて連通させ、他方側の前記容器体3用の前記ウインチ装置20を前記他方側の容器体3が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御とを、繰り返す制御を実施する。
【0020】
本発明の水圧式圧縮空気装置1は、
図1~
図3、
図6又は
図7に示すように、水上に浮かぶ浮体80間の水域に浮かべられた、水圧により内部の空気を圧縮可能な容器体2、3を対で備えた水圧式圧縮空気装置1である。前記水圧式圧縮空気装置1は、2つの容器体2、3を対として構成している。そして、それぞれの容器体2、3は、下側に水に浸漬可能な筒状の周壁を有する浸漬部4と、該浸漬部4の上側に空気40を貯留可能で上方になるほど水平断面を狭くした周壁を有する貯留部5を有する。水圧式圧縮空気装置1の大きさは、例えば、浮体80間の間隔が約10m、浮体80と容器体2、3との間隔が約0.5m、容器体2、3が約9m四方のケースの場合は、約9m×約20mとなるが、この大きさに限定されることはなくいずれの大きさでもよい。
【0021】
前記浸漬部4は下側が水中に浸漬されており、前記貯留部5には空気40が貯留されているので、前記容器体2、3を水中に沈下させるようにウインチ装置20で下降させれば前記貯留部5に貯留されている空気40を圧縮して圧縮空気を造ることができる。そして、前記貯留部5の天壁18に、
図1~
図3に示すように、前記浸漬部4の水平断面積より狭い断面積を有する第一噴出口8を設けることにより、前記浸漬部4の水平断面積に比較して、前記第一噴出口8の断面積をより一層狭くすることになり高い圧力の圧縮空気を噴出させることができる。
【0022】
天壁18に、
図9、
図10(a)に示すように前記第一噴出口8を1か所設けた形態、又は、
図10(b)や
図16に示すように前記第一噴出口8を3か所設けた形態があるが、前記第一噴出口8の数は圧縮空気の圧力や風量などによって設定すればよい。また、前記第一噴出口8の開口部には
図15に示すように小径穴15aを複数設けた流路縮小部15が嵌設されている。複数の小径穴15aを設けた流路縮小部15を設置することにより、前記貯留部5内の空気圧を、及び前記流路縮小部15を通過した圧縮空気の圧力を高めることができる。
【0023】
前記浸漬部4と前記貯留部5の形態は、例えば
図1又は
図4に示すように、前記浸漬部4が四角形状の水平断面を有する筒状体の場合は前記貯留部5は四角推の形態であり、図示してないが、前記浸漬部4が円形状の水平断面を有する筒状体の場合は前記貯留部5は円錐の形態である。いずれにしても、前記浸漬部4は水平断面が略同じで下降端側は底壁を有さず水中に浸漬でき上端側は蓋部を有さず空気40が流動可能な筒状体で、前記貯留部5は、下端縁を前記浸漬部4の上端縁と密着させて接続させ、内部に空気40を貯留でき上方になるほど水平断面を狭くした周壁を有する形態である。
【0024】
前記貯留部5は、四角推状又は三角錐状の先の尖った部位から下方に離隔した部位で水平方向に切断したような上端に天壁18を有する形態であり、前記天壁18に、
図10に示すように、圧縮空気を噴出可能な第一噴出口8を1か所以上設けている。そして、前記第一噴出口8には、
図15に示すように、圧縮空気の圧力を高めるために流路の直径を小さくした小径穴15aを複数設けた、圧縮空気の流路断面積を縮小する流路縮小部15と、
図14に示すように、前記流路縮小部15の流路を開閉する開閉手段31とを備えている。
【0025】
さらに、前記貯留部5は、
図2、
図3、
図12に示すように、四角推状又は三角錐状の斜面の周壁に、外部から空気を流入させるための入気口10を少なくとも2つ以上設けている。入気口10の数は、入気口10の開口部の断面積の大小によって、前記容器体2、3が上昇時に前記浸漬部4内に侵入した水量が減少する減少量と同じ体積の空気量を上昇端に到達したときに十分に空気40を流入させ貯留することができるように設定する。また、前記入気部10には空気の流路を開閉する開閉手段32が設けられ、あるいは、外部の大気中から前記貯留部5内に空気を流入する方向のみを可能にする逆止弁が設けられている。なお、前記開閉手段32と前記逆止弁をともに設置してもよい。
【0026】
前記開閉手段32の場合は、開にしたときは水位下降により気圧の下がった前記貯留部5内に空気を流入させることができ、閉にしたときは前記貯留部5と外気との流出入を遮断することができる。また、前記逆止弁(図示なし)の場合は、水位下降により前記貯留部5内の気圧が外部の大気圧より下がったときに外部の空気を前記貯留部5内に流入でき、水位上昇により前記貯留部5内の空気が圧縮されて気圧が大気圧より高くなったときには外部と空気の流動が遮断される。
【0027】
また、前記第一噴出口8には、
図13、
図14又は
図16に示すように、下端側を接続させた、筒状の周壁を有する圧縮空気流路6が立設され、前記筒状の内部に、回転軸56の上端部を発電機50と歯車などの伝動手段51で連結させた、圧縮空気の下方から上方に向けての流動により回転するスクリュー55を内設している。上昇する圧縮空気でスクリュー55が回転することにより、スクリュー55の回転軸56が回転し伝動手段51を介して発電機50が発電する。この発電された電力は前記容器体2、3を下降させるウインチ装置20の作動に要する電力として使用することができる。前記発電機50は、例えば天壁18上に立設した柱状体などに設置する。
【0028】
また、前記圧縮空気流路6の上端部近傍の周壁に圧縮空気を噴出させる第二噴出口9を設けている。第二噴出口9を上端部近傍に設けることによって、前記スクリュー55に当たる風量は減少しないので、前記スクリュー55を回転させる圧縮空気の圧力及び風量の低下を最小限に抑えることができる。
【0029】
次に、
図4~
図9に示すように、対の前記容器体2、3の前記第二噴出口9にそれぞれ接続した2本の可撓性を有する第一圧縮空気用ホース41a、41bを、流路切替手段7を介して圧縮空気の流れの下流側で1本の可撓性を有する第二圧縮空気用ホース42に接続する。前記可撓性を有する第一圧縮空気用ホース41a、41b、又は前記第二圧縮空気用ホース42は、可撓性を有し圧縮空気を送給可能なホースであればいずれでもよく、例えば消防ホースや高圧ホースと同じ材質で製造するホースなどがある。
【0030】
前記流路切替手段7は、例えば
図18(a)、(b)に示すような三方弁のように、流入側を前記容器体2側の第一圧縮空気用ホース41a側、又は前記容器体3側の前記第一圧縮空気用ホース41b側に切り替えることができ、流出側を第二圧縮空気用ホース42側のみにする切替手段である。前記第二圧縮空気用ホース42の内径を前記第一圧縮空気用ホース41の内径と略同じ径又は小さい径にして圧縮空気の圧力低下を抑制することが好ましい。本発明の水圧式圧縮空気装置1で製造される圧縮空気の圧力の低下を抑制させるために、圧縮空気が流動する下流側ほど圧縮空気の流路の径を同じ又は小さくすることが好ましい。
【0031】
次に、対の容器体2、3を交互に昇降させるために相互の位置関係を規制するガイドについて説明する。まず、容器体2、3が昇降時に前後左右に搖動しないように上下方向で垂直方向にスムースに昇降するように、上下方向に長尺状の摺動ガイド部に、前記容器体2、3の浸漬部4から浮体80方向に突設させた摺動部が上下方向に摺動する昇降用ガイド部70を、
図1~
図3に示すように、前記浮体80上に設置する。前記昇降用ガイド部70としては、例えば溝形状を形成した摺動ガイド部に前記溝形状に係合させて摺動部を上下方向に摺動させる形態、又は、棒状体の摺動ガイド部に挿通させた穴有摺動部を上下方向に摺動させる形態などがあり、上下方向に移動可能だが前後左右方向に移動を阻止可能なガイドの機能を有する形態であればいずれでもよい。
【0032】
次に、対の容器体2、3を交互に昇降させるための駆動について説明する。ワイヤー係止用突起14の突設の形態としては、
図4~
図7に示すように、前記容器体2、3の前記浮体80側の周壁の水平方向で略中央に1か所の前記ガイド用兼ワイヤー係止用突起12、14を突設した形態、又は、
図8又は
図9に示すように、前記容器体2、3の前記浮体80側の周壁の水平方向で略中央に1か所の前記ガイド用突起12、及び、前記ガイド用突起12を中心に水平方向の略等間隔で計2か所のワイヤー係止用突起14を突設した形態がある。
図8又は
図9に示すように、ワイヤー係止用突起14を前記ガイド用突起12と別に設けた場合は、
図17に示すように、前記ワイヤー係止用突起14は、前記ガイド板部11の作動範囲を超える高さの位置に突設する。
【0033】
対の前記容器体2、3の前記ワイヤー係止用突起14それぞれにワイヤー21を係止し、そのワイヤー21の巻き出し巻き取りを可能とするウインチ装置20をそれぞれ前記浮体80上に設置する。前記ウインチ装置20でワイヤー21を巻き取ると、
図11に示すように、前記容器体2、3は前記浸漬部4内の水位が上昇し前記貯留部5内の空気40を水圧で圧縮させながら下降し、
図12に示すように、前記容器体2、3が上昇するときは前記容器体2、3の上昇に合わせてワイヤー21を巻き出す。
【0034】
そして、一方側の容器体2が上昇端位置のときに他方側の容器体3が下降端位置に存し、一方側の容器体2が下降端位置のときに他方側の容器体3が上昇端位置に存するように容器体2と容器体3とが交互に昇降を繰り返すことができることと、水圧を空気に加えて圧縮空気を造る、容器体2又は3の下降時のみにウインチ装置を作動させ、空気を貯留部5内に吸入させる、容器体2又は3が上昇するときはウインチ装置を作動させないようにし省エネを図ることを実現させるために、容器体2と容器体3とをシーソー式に作動させることにした。
【0035】
そのために、
図1~
図9に示すように、前記浮体80上に立設した柱体25から前記対の容器体2、3の間にかつ水平方向に突設した軸26に、対の前記容器体2、3それぞれの前記ガイド用突起12を挿通させる2つのガイド用長孔13を有する、長尺状のガイド板部11を上下方向回転自在に取り付ける構成とした。
【0036】
前記ガイド用長穴13に前記ガイド用突起12が摺動することにより、
図4、
図6又は
図9に示すように、一方側の容器体2が下降するときは他方の容器体3は上昇する。よって、前記ウインチ装置50で一方側の容器体2に係止したワイヤー21を巻き取ると前記一方側の容器体2は浸漬部4内の水位が上昇し前記貯留部5内の空気40を水圧で圧縮させながら下降し、上下方向に回転自在の前記ガイド板部11の一方側が一方側の容器体2の前記ガイド用突起12によって押し下げられると、シーソー式に前記ガイド板部11の他方側が上方に回転しガイド用長穴13に挿通しているガイド用突起12が押し上げられ他方側の容器体3が上昇する。
【0037】
次に、水圧式圧縮空気装置1の制御部が実施する制御について説明する。制御部(図示なし)が、対の前記容器体2、3の一方側の前記容器体2が上昇端位置まで上昇すると、
図11及び
図13に示すように、一方側の前記容器体2の前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、
図12又は
図14に示すように、他方側の前記容器体3の前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にし、さらに
図18(a)に示すように、第二圧縮空気用ホース42を一方側の容器体2側の第一圧縮空気用ホース41aに流路切替手段7により切り替えて連通させ、一方側の前記容器体2用の前記ウインチ装置20を前記一方側の容器体2が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御と、一方側の前記容器体2が下降端位置まで下降すると、
図11及び
図13に示すように、他方側の前記容器体3の前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、
図12又は
図14に示すように、一方側の前記容器体2の前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にし、さらに
図18(b)に示すように、第二圧縮空気用ホース42を他方側の容器体3側の第一圧縮空気用ホース41bに流路切替手段7により切り替えて連通させ、他方側の前記容器体3用の前記ウインチ装置20を前記他方側の容器体3が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御とを、繰り返す制御を実施する。
【0038】
また、前記発電機50と前記ウインチ装置20の作動電源を接続し、前記発電機50で発生させた電力で前記ウインチ装置20を作動させ、かつ前記制御部が、前記一方側の容器体2用の前記ウインチ装置20と前記他方側の容器体3用のウインチ装置20とを前記容器体2、3の上昇端又は下降端で交互に作動可能に切り替える制御をする。
【0039】
前記容器体2、3の一方側の容器体2が上昇端位置まで上昇すると、
図11及び
図13に示すように、一方側の前記容器体2の前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、
図12及び
図14に示すように、他方側の前記容器体3の前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にし、さらに第二圧縮空気用ホース42を一方側の容器体2側の第一圧縮空気用ホース41aに切り替えて連通させ、一方側の前記容器体2用の前記ウインチ装置50を前記一方側の容器体2が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御をする。
【0040】
前記容器体2が下降すると、
図11に示すように、前記浸漬部4内の水位が矢印の方向に上昇し、前記貯留部5内に貯留されている空気40に加圧がかかり、
図13に示すように、例えば
図15に示すような流路縮小部15の小径穴15aから圧縮空気が圧縮空気流路6内に噴出する。すると、上昇する圧縮空気によりスクリュー55及び回転軸56が回転し、該回転軸56の上端部で連結された歯車51aなどの伝動手段51を介して発電機50を発電させる。
【0041】
さらに、
図13に示すように、圧縮空気流路6内を上昇する圧縮空気は、圧縮空気流路6の上端近傍に設けた第二噴出口9から第一圧縮空気用ホース41aに流動する。そして、
図4~
図9に示すように、流路切替手段7により第二圧縮空気用ホース42に流動する。該第二圧縮空気用ホース42を、大量の圧縮空気を必要とする種々の部位に接続させて活用することができ、例えば海中に大量の圧縮空気を噴出させて気泡の強い噴射によって海水の大きな流れを誘発させて、この海水の流れを利用して大きな電力を発電させる大型海流発電を実現させることができる。
【0042】
前記一方側の容器体2がウインチ装置20のワイヤー21の巻き上げによって下降中は、
図4~
図9に示すように、容器体2のガイド用突起12が前記ガイド板部11の前記ガイド用長孔13を滑動して前記ガイド板部11の容器体2側を押し下げるので、柱体25の軸26を回転中心として、同時に、前記ガイド板部11の前記容器体3側がシーソー式で上方向に回転するので、前記ガイド板部11内を摺動する前記ガイド用突起12も上がることから、前記ガイド用突起12が前記容器体3を上昇させる。
【0043】
前記ウインチ装置20は、制御部により、前記容器体2、3の上昇端又は下降端で、前記容器体2用のウインチ装置20の作動と前記容器体3のウインチ装置20の作動とを交互に切り替える制御をする。
【0044】
前記容器体2、3の上昇端位置又は下降端位置に到達した検出は、例えば、前記昇降用ガイド部70に設けた、浸漬部4から浮体80方向に突設させた摺動部の高さを近接スイッチなどの検出機器により検出するなどがあるが、位置検出可能な検出手段であればいずれの手段でもよい。
【0045】
前記容器体2又は3が下降するときに圧縮空気が造られ、前記容器体2又は3が上昇するときに前記貯留部5内に空気が吸入され充満される。そのため制御は、例えば容器体2が上昇端位置で容器体3が下降端位置に位置するときは、次の動作は前記容器体2は下降し始め、同時に前記容器体3は上昇し始める制御を行う。
【0046】
前記容器体2側については、
図11、
図13に示すように、前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、
図18(a)に示すように、第二圧縮空気用ホース42を容器体2側の第一圧縮空気用ホース41aに切り替えて連通させ、前記容器体2用の前記ウインチ装置20を前記容器体2が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御をする。同時に、前記容器体3側については、
図12、
図14に示すように、前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にすると、前記ガイド板部11のシーソー的な作用により前記容器体3は上昇端まで上昇する。
【0047】
次に、例えば容器体2が下降端まで下降し、容器体3が上昇端まで上昇すると、次の動作は前記容器体2は上昇し始め、同時に前記容器体3は下降し始める制御を行う。
【0048】
前記容器体3側については、
図11、
図13に示すように、前記第一噴出口8の開閉手段31を開にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を閉にし、
図18(b)に示すように、第二圧縮空気用ホース42を容器体3側の第一圧縮空気用ホース41bに切り替えて連通させ、前記容器体3用の前記ウインチ装置20を前記容器体3が下降端位置まで下降するまで巻き上げる制御をする。同時に、前記容器体2側については、
図12、
図14に示すように、前記第一噴出口8の開閉手段31を閉にし、前記入気口10の開閉手段32が有の場合は該開閉手段32を開にすると、前記ガイド板部11のシーソー的な作用により前記容器体2は上昇端まで上昇する。
【0049】
容器体2又は3が下降中は、
図11に示すように、前記浸漬部4内の水位が矢印の方向に上昇し、前記貯留部5内に貯留されている空気40の圧力が高まり圧縮空気が製造される。貯留部5内に貯留されている空気40は、下方から水位が上昇してきたときに、浸漬部4の水平断面積よりも流路縮小部15の穴径が極めて小さいため、空気が貯留部5内に留まるために空気の圧縮が進行する。そして、製造された圧縮空気は、
図13に示すように、開になった開閉手段31と小径穴15aを有する流路縮小部15から噴出されて通過し、圧縮空気流路6内をスクリュー55を回転させながら上昇し、第二噴出口9を通過して第一圧縮空気用ホース41内を流動し、流路切替手段7で第二圧縮空気用ホース42に流動を導かれる。
【0050】
容器体2又は3が上昇中は、
図12に示すように、前記浸漬部4内の水位が矢印の方向に下降し、前記貯留部5内に貯留されている空気40の圧力が減圧し、前記入気口10から大気中の空気が前記貯留部5内に流動する。大量の空気40を前記容器体2が下降端から上昇端まで上昇する間に十分に流入させるために、前記入気口10の開口部の大きさ及び設置数を設定して設ける。
【0051】
以上のように、前記容器体2と前記容器体3とを交互に昇降を繰り返させることにより、前記容器体2から製造された圧縮空気と、前記容器体3から製造された圧縮空気とは交互に製造されるが、流路切替手段7で交互に連通先を変えることにより、最終的に1つの流路となる、下流側の前記第二圧縮空気用ホース42には継続的に大量の圧縮空気を流動させることができる。そして、製造した圧縮空気を、スクリュー55を介して小型の発電機50でウインチ装置20の電力を確保でき、さらに、継続的に大量の圧縮空気で海水の流れを誘発して大型の海流発電の実現をさせることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 水圧式圧縮空気装置
2 容器体
3 容器体
4 浸漬部
5 貯留部
6 圧縮空気流路
7 流路切替手段
8 第一噴出口
9 第二噴出口
10 入気口
11 ガイド板部
12 ガイド用突起
13 ガイド用長孔
14 ワイヤー係止用突起
15 流路縮小部
18 天壁
20 ウインチ装置
21 ワイヤー
25 柱体
26 軸
31 開閉手段
32 開閉手段
40 空気
41 第一圧縮空気用ホース
42 第二圧縮空気用ホース
50 発電機
51 伝動手段
55 スクリュー
56 回転軸
70 昇降用ガイド部
80 浮体
81 水