(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062262
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/28 20200101AFI20230426BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230426BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20230426BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230426BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20230426BHJP
G03B 35/00 20210101ALI20230426BHJP
H04N 13/305 20180101ALI20230426BHJP
【FI】
G02B30/28
G02F1/13 505
G02F1/1347
G09F9/00 313
G09F9/00 361
G03B35/18
G03B35/00 A
H04N13/305
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172132
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】慶長 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲史
【テーマコード(参考)】
2H059
2H088
2H189
2H199
5C061
5G435
【Fターム(参考)】
2H059AA35
2H059AB11
2H088EA06
2H088EA45
2H088GA02
2H088HA02
2H088HA12
2H088HA28
2H088JA09
2H088KA01
2H189AA27
2H189AA32
2H189JA11
2H189LA03
2H189LA14
2H189LA20
2H189NA13
2H199BA08
2H199BA16
2H199BA42
2H199BB04
2H199BB30
2H199BB42
2H199BB52
2H199BB59
5C061AA07
5C061AA27
5C061AB14
5C061AB18
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC09
5G435CC11
5G435GG06
(57)【要約】
【課題】視点数が多い立体画像表示における視点ピッチを視点数が少ない立体画像表示における視点ピッチよりも狭くできる、表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置100は、画像表示部10と第1レンズ素子20と第2レンズ素子30とを備える。画像表示部10は、複数の画素を有し、所定の方向に沿うN1個(N1は2以上の整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像と、所定の方向に沿うN2個(N2はN1よりも大きい整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像とを表示する。第1レンズ素子20は、N1個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、複数の画素から出射された光をN1個の視点に振り分ける。第2レンズ素子30は、N2個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、複数の画素から出射された光をN2個の視点のそれぞれに振り分ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有し、所定の方向に沿うN1個(N1は2以上の整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像と、前記所定の方向に沿うN2個(N2はN1よりも大きい整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像とを表示する画像表示部と、
前記画像表示部に重なり、前記N1個の視点のそれぞれに対応する視差画像が前記画像表示部に表示された場合に、該視差画像のそれぞれを表示する前記複数の画素から出射された光を、該視差画像のそれぞれに対応する前記N1個の視点のそれぞれに振り分ける第1レンズ素子と、
前記画像表示部に重なり、前記N2個の視点のそれぞれに対応する視差画像が前記画像表示部に表示された場合に、該視差画像のそれぞれを表示する前記複数の画素から出射された光を、該視差画像のそれぞれに対応する前記N2個の視点のそれぞれに振り分ける第2レンズ素子と、を備える、
表示装置。
【請求項2】
前記第2レンズ素子は、前記画像表示部の表示面側に配置され、
前記第1レンズ素子のレンズピッチをLp1、前記第2レンズ素子のレンズピッチをLp2、前記複数の画素の前記所定の方向の画素ピッチをPとした場合に、
【数1】
を満たす、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1レンズ素子は、前記画像表示部の表示面側に配置され、
前記第1レンズ素子のレンズの頂点と前記画素との間隔をH1、前記N1個の視点の視点ピッチをe1、前記第2レンズ素子のレンズの頂点と前記画素との間隔をH2、前記N2個の視点の視点ピッチをe2とした場合に、
【数2】
【数3】
を満たす、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1レンズ素子は、前記画像表示部の表示面側と反対側に配置され、
【数4】
を満たす、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1レンズ素子は、前記画像表示部の表示面側に配置され、
前記第2レンズ素子は、前記画像表示部の表示面側と反対側に配置され、
前記第1レンズ素子のレンズピッチをLp1、前記第2レンズ素子のレンズピッチをLp2、前記画素の前記所定の方向の画素ピッチをPとした場合に、
【数5】
を満たす、
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡を使用せず、平面画像(2次元画像)と立体画像(3次元画像)とを表示する表示装置が知られている。さらに、立体画像を表示する場合に、視点数を切り替えられる表示装置も知られている。視点数を切り替えられる表示装置は、視点数を少なくすることにより、高解像度の立体画像を表示できる。また、視点数を切り替えられる表示装置は、視点数を多くすることにより、立体画像に運動視差を付与できる。例えば、特許文献1の画像表示装置は、印加される電圧に応じて屈折率分布が変化する光学素子と、光学素子が段数の異なる2つのフレネルレンズとして作用するように、光学素子に印加する電圧を制御する電圧制御部と、画像を表示する表示部とを備える。
【0003】
特許文献1の画像表示装置では、光学素子におけるフレネルレンズのレンズピッチを切り替えることにより、視差数(視点数)が切り替えられる。また、特許文献1では、視差数が少ない第1モードにおけるフレネルレンズのレンズピッチをLp_1、視差数が多い第2モードにおけるフレネルレンズのレンズピッチをLp_2とした場合に、Lp_1×m=Lp_2×n(n:1以上の整数、m:nより大きい整数)の関係を満たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
視点数が少ない場合、逆視を防止するために、画像表示装置は、最適視認距離においてより広い視点ピッチを有することが、望ましい。一方、視点数が多い場合、運動視差をなめらかにするために、画像表示装置は狭い視点ピッチを有することが、望ましい。最適視認距離は視点領域が最大となる距離であり、視点ピッチは視点領域の幅である。視点ピッチは、最適視認距離と、画素ピッチと、レンズと画素との間隔と、レンズの屈折率とから定まる。しかしながら、特許文献1の画像表示装置では、レンズピッチが電圧制御によって切り替えられても、レンズと画素との間隔、レンズの屈折率等が変化しないので、視点ピッチは変化しない。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、視点数が多い立体画像表示における視点ピッチを、視点数が少ない立体画像表示における視点ピッチよりも狭くできる、表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の表示装置は、
複数の画素を有し、所定の方向に沿うN1個(N1は2以上の整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像と、前記所定の方向に沿うN2個(N2はN1よりも大きい整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像とを表示する画像表示部と、
前記画像表示部に重なり、前記N1個の視点のそれぞれに対応する視差画像が前記画像表示部に表示された場合に、該視差画像のそれぞれを表示する前記複数の画素から出射された光を、該視差画像のそれぞれに対応する前記N1個の視点のそれぞれに振り分ける第1レンズ素子と、
前記画像表示部に重なり、前記N2個の視点のそれぞれに対応する視差画像が前記画像表示部に表示された場合に、該視差画像のそれぞれを表示する前記複数の画素から出射された光を、該視差画像のそれぞれに対応する前記N2個の視点のそれぞれに振り分ける第2レンズ素子と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、視点数が多い立体画像表示における視点ピッチを、視点数が少ない立体画像表示における視点ピッチよりも狭くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る表示装置の断面を示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係る画像表示部の画素を示す上面図である。
【
図3】実施形態1に係る、表示面に垂直な表示装置の中心線を含むXZ断面での立体画像表示(N1=2)を示す模式図である。
【
図4】実施形態1に係る第1レンズ素子の断面を示す模式図である。
【
図5】実施形態1に係る第1レンズ素子の第2基板を示す上面図である。
【
図6】実施形態1に係る第1レンズ素子の動作を説明するための模式図である。
【
図7】実施形態1に係る、表示面に垂直な表示装置の中心線を含むXZ断面での立体画像表示(N1=6)を示す模式図である。
【
図8】実施形態1に係る第2レンズ素子の断面を示す模式図である。
【
図9】実施形態1に係る第2レンズ素子の第4基板を示す上面図である。
【
図10】実施形態1に係る例1と例2と比較例1と比較例2の、レンズピッチの値と視点ピッチの値と最適視認距離の値とを示す図である。
【
図11】実施形態2に係る、表示装置の中心におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデルを示す模式図である。
【
図12】実施形態2に係る、表示装置の中心におけるN2個の視点での立体画像表示の光学モデルを示す模式図である。
【
図13】実施形態2に係る、表示装置の+X方向端部におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデルを示す模式図である。
【
図14】実施形態2に係る、表示装置の+X方向端部におけるN2個の視点での立体画像表示の光学モデルを示す模式図である。
【
図15】実施形態2に係る例3と例4の、レンズピッチの値と視点ピッチの値と最適視認距離の値とを示す図である。
【
図16】実施形態3に係る表示装置の断面を示す模式図である。
【
図17】実施形態3に係る、表示装置の中心におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデルを示す模式図である。
【
図18】実施形態3に係る、表示装置の中心におけるN2個の視点での立体画像表示の光学モデルを示す模式図である。
【
図19】実施形態3に係る、表示装置の-X方向端部におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデルを示す模式図である。
【
図20】実施形態3に係る例5の、レンズピッチの値と視点ピッチの値と最適視認距離の値とを示す図である。
【
図21】実施形態4に係る表示装置の断面を示す模式図である。
【
図22】実施形態4に係る例6の、レンズピッチの値と視点ピッチの値と最適視認距離の値とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る表示装置について、図面を参照して説明する。
【0011】
<実施形態1>
図1~
図10を参照して、本実施形態に係る表示装置100を説明する。表示装置100は、平面画像と立体画像とを表示する。さらに、表示装置100は、立体画像を表示する場合に、視点数をN1(N1は2以上の整数)個とN2個(N2はN1よりも大きい整数)に切り替えることができる。表示装置100は、
図1に示すように、画像表示部10と第1レンズ素子20と第2レンズ素子30とを備える。本明細書では、理解を容易にするため、
図1における表示装置100の右方向(紙面の右方向)を+X方向、上方向(紙面の上方向)を+Z方向、+X方向と+Z方向に垂直な方向(紙面の奥方向)を+Y方向として説明する。
【0012】
本実施形態では、第1レンズ素子20と第2レンズ素子30は、画像表示部10の表示面10aに順に積層されている。表示装置100が平面画像を表示する場合、第1レンズ素子20と第2レンズ素子30はレンズとして機能せず、画像表示部10に表示されている平面画像が表示される。表示装置100がN1個の視点数で立体画像を表示する場合、第1レンズ素子20のみがレンズとして機能する。また、表示装置100がN2個の視点数で立体画像を表示する場合、第2レンズ素子30のみがレンズとして機能する。
【0013】
表示装置100の画像表示部10は、平面画像と、X方向に沿うN1個(N1は2以上の整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像と、X方向に沿うN2個(N2はN1よりも大きい整数)の視点のそれぞれに対応する視差画像とを表示する。画像表示部10は、マトリクス状に配列された複数の画素12を有する。
【0014】
図2は、画像表示部10の画素12を示す。
図2に示すように、画素12は、Y方向に並んだ、赤色(R)のサブ画素12Rと緑色(G)のサブ画素12Gと青色(B)のサブ画素12Bから形成されている。サブ画素12Rとサブ画素12Gとサブ画素12BはY方向に順に繰り返し配列され、同一色のサブ画素12R、12G、12Bが画素ピッチPでX方向に配列されている(横ストライプ配列)。本実施形態では、N1個の視点数で立体画像を表示する場合、X方向に隣接するN1個の画素12が、N1個の視点に対応する視差画像を表示する。本明細書では、視差画像を表示するX方向に隣接するN1個の画素12を、第1画素ユニット14と記載する。画素12のピッチをPとした場合、第1画素ユニット14のピッチはP×N1となる。なお、
図2では、N1=2における第1画素ユニット14を示している。
【0015】
また、N2個の視点数で立体画像を表示する場合、X方向に隣接するN2個の画素12が、N2個の視点に対応する視差画像を表示する。本明細書では、視差画像を表示するX方向に隣接するN2個の画素12を、第2画素ユニット16と記載する。第2画素ユニット16のピッチはP×N2となる。なお、
図2では、N2=6における第2画素ユニット16を示している。
画像表示部10は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)表示パネルである。
【0016】
表示装置100の第1レンズ素子20は、画像表示部10に重なり、画像表示部10の表示面10a側に配置される。N1個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、第1レンズ素子20は、
図3に示すように、視差画像を表示する第1画素ユニット14に含まれる画素12から出射された光を、視差画像に対応するN1個の視点のそれぞれに振り分ける。なお、
図3において、符号H1は、第1レンズ素子20のレンズの頂点Lt1と画素12との間隔を表している。また、符号Jは、表示面101に垂直な表示装置100の中心線を表している。
【0017】
具体的には、第1レンズ素子20は、N1個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、Y方向に延びるレンチキュラーレンズをX方向に配列したレンチキュラーレンズアレイとして機能する。第1レンズ素子20の1つのレンチキュラーレンズが、X方向に隣接するN1個の視差画像を表示する第1画素ユニット14から出射される光を、X方向に沿ってN1個の視点に振り分ける。本実施形態では、第1レンズ素子20のX方向のレンズピッチLp1は、第1画素ユニット14のピッチP×N1よりもわずかに小さく設定されている。また、第1レンズ素子20の焦点距離は、レンズの頂点Lt1と画素12との間隔H1とほぼ等しくなるように、設定されている。
【0018】
さらに、本実施形態では、第1レンズ素子20のレンズピッチLp1が第1画素ユニット14のピッチP×N1よりもわずかに小さく設定されているので、第1画素ユニット14のN1個の視点のそれぞれに対応する、画素12から出射された光は、画像表示部10における第1画素ユニット14の位置に関わらず、視点領域SR1において重なる。視点領域SR1は、観察者の右眼又は左眼が位置した場合に、観察者が視点のそれぞれに対応する視差画像のみを観察できる領域を指す。本明細書では、視点領域SR1のX方向の幅が最も広くなる、表示装置100の表示面101と観察面Sとの+Z方向の距離を、最適視認距離OD1とする。また、本明細書では、画素12を最適視認距離OD1に配置された観察面Sに投影した投影像の幅(投影像の周期)を、視点ピッチe1とする。
【0019】
第1レンズ素子20は、例えば、レンチキュラーレンズアレイとして機能する液晶レンズである。第1レンズ素子(液晶レンズ)20は、
図4に示すように、第1基板21と、第2基板22と、第1電極24と、第2電極25、26と、液晶28とを有する。本実施形態では、
図1に示すように、第2基板22が画像表示部10の表示面10aに配置される。
【0020】
第1基板21と第2基板22は、透光性を有する。第1基板21と第2基板22は、例えば平板状のガラス基板である。第1基板21と第2基板22は、
図4に示すように、シール材29により貼り合わされ、液晶28を挟持する。
【0021】
第1電極24は、第1基板21の第1主面21aに、ITO(Indium Tin Oxide)から矩形状に形成される。第1電極24は、後述する、第2電極25の櫛歯部25aと第2電極26の櫛歯部26aとに対向する。第1電極24は、図示しない制御部に接続されている。
【0022】
第2電極25と第2電極26は、ITOから、第2基板22の第1主面22aの上に、櫛歯状に形成される。第2電極25と第2電極26は、
図5に示すように、それぞれ、櫛歯部25aと櫛歯部26aを有している。櫛歯部25aは+Y方向に延び、櫛歯部26aは-Y方向に延びる。櫛歯部25aと櫛歯部26aは、X方向に沿って交互に、互いに平行に配置される。表示装置100を+Z方向から見た場合、櫛歯部25aの中心線の間隔は第1レンズ素子20のX方向のレンズピッチLp1、櫛歯部25aの中心線と櫛歯部26aの中心線との間隔はLp1の1/2である。第2電極25、26は、第1電極24と同様に、制御部に接続されている。
【0023】
液晶28は第1基板21と第2基板22に挟持される。液晶28は、例えばポジ型のネマチック液晶である。液晶28は、図示しない配向膜により、X方向に配向されている。
【0024】
ここで、第1レンズ素子20の動作について説明する。
例えば、制御部によって、第1電極24と第2電極25、26の電位を同電位(例えば、接地電位)とすると、電圧が液晶28に印加されないので、液晶28はX方向の配向を維持する。液晶28がX方向の配向を維持した状態では、レンズ効果が生じないため、第1レンズ素子20はレンチキュラーレンズアレイとして機能しない。
【0025】
一方、第1電極24と第2電極25との間に印加する電圧と、第1電極24と第2基板の第2電極26との間に印加する電圧とを個別に制御することにより、二次曲線形状の電位が第1基板21と第2基板22との間に形成される。液晶28の分子Mは、形成された二次曲線形状の電位により、
図6に示すように配向する。この液晶28の配向の変化より、二次曲線形状の電位に沿った屈折率分布が第1レンズ素子20に生じ、第1レンズ素子20は、Y方向に延びるレンチキュラーレンズアレイとして機能する。形成されるレンチキュラーレンズのレンズピッチはLp1であり、形成されるレンチキュラーレンズの焦点距離は間隔H1にほぼ等しい。これにより、表示装置100は、N1個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、N1個の視点で立体画像を表示できる。
【0026】
表示装置100の第2レンズ素子30は、画像表示部10の表示面10a側に配置される。本実施形態では、第2レンズ素子30は、第1レンズ素子20の上に配置されている。
【0027】
N2個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、第2レンズ素子30は、
図7に示すように、視差画像を表示する第2画素ユニット16に含まれる画素12から出射された光を、視差画像に対応するN2個の視点のそれぞれに振り分ける。なお、
図7において、符号H2は、第2レンズ素子30のレンズの頂点Lt2と画素12との間隔を表している。
【0028】
具体的には、第2レンズ素子30は、N2個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、Y方向に延びるレンチキュラーレンズをX方向に配列したレンチキュラーレンズアレイとして機能する。第2レンズ素子30の1つのレンチキュラーレンズが、X方向に隣接するN2個の視差画像を表示する第2画素ユニット16から出射される光を、X方向に沿ってN2個の視点に振り分ける。本実施形態では、第2レンズ素子30のX方向のレンズピッチLp2は、第2画素ユニット16のピッチP×N2よりもわずかに小さく設定されている。また、第2レンズ素子30の焦点距離は、レンズの頂点Lt2と画素12との間隔H2とほぼ等しくなるように、設定されている。
【0029】
さらに、第2レンズ素子30のレンズピッチLp2が第2画素ユニット16のピッチP×N2よりもわずかに小さく設定されているので、第2画素ユニット16のN2個の視点のそれぞれに対応する、画素12から出射された光は、画像表示部10における第2画素ユニット16の位置に関わらず、視点領域SR2において重なる。視点領域SR2は、視点領域SR1と同様に、観察者の右眼又は左眼が位置した場合に、観察者が視点のそれぞれに対応する視差画像のみを観察できる領域を指す。本明細書では、視点領域SR2のX方向の幅が最も広くなる、表示装置100の表示面101と観察面Sとの+Z方向の距離を、最適視認距離OD2と記載する。また、本明細書では、画素12を最適視認距離OD2に配置された観察面Sに投影した投影像の幅(投影像の周期)を、視点ピッチe2とする。
【0030】
第2レンズ素子30は、第1レンズ素子20と同様に、レンチキュラーレンズアレイとして機能する液晶レンズである。第2レンズ素子(液晶レンズ)30は、
図8に示すように、第3基板31と、第4基板32と、第3電極34と、第4電極35、36と、液晶38とを有する。本実施形態では、
図1に示すように、第4基板32が第1レンズ素子20の第1基板21に配置される。第2レンズ素子30の第3基板31と第4基板32と液晶38は、第1レンズ素子20の第1基板21と第2基板22と液晶28と同様であるので、第3電極34と第4電極35、36とを説明する。
【0031】
第3電極34は、第3基板31の第1主面31aに、ITOから矩形状に形成される。第3電極34は、後述する、第4電極35の櫛歯部35aと第4電極36の櫛歯部36aとに対向する。第3電極34は、図示しない制御部に接続されている。
【0032】
第4電極35と第4電極36は、ITOから、第4基板32の第1主面32aの上に、櫛歯状に形成される。第4電極35と第4電極36は、
図9に示すように、それぞれ、櫛歯部35aと櫛歯部36aを有している。櫛歯部35aは+Y方向に延び、櫛歯部36aは-Y方向に延びる。櫛歯部35aと櫛歯部36aは、X方向に沿って交互に、互いに平行に配置される。表示装置100を+Z方向から見た場合、櫛歯部35aの中心線の間隔は第2レンズ素子30のX方向のレンズピッチLp2、櫛歯部35aの中心線と櫛歯部36aの中心線との間隔はLp2の1/2である。第4電極35、36は、第3電極34と同様に、制御部に接続されている。
【0033】
制御部によって、第3電極34と第4電極35、36の電位を同電位とすると、電圧が液晶38に印加されないので、レンズ効果が第2レンズ素子30に生じない。したがって、第2レンズ素子30はレンチキュラーレンズアレイとして機能しない。一方、第3電極34と第4電極35との間に印加する電圧と、第3電極34と第4電極36との間に印加する電圧とを個別に制御することにより、第1レンズ素子20と同様に、第2レンズ素子は、Y方向に延びるレンチキュラーレンズアレイとして機能する。形成されるレンチキュラーレンズのレンズピッチはLp2であり、形成されるレンチキュラーレンズの焦点距離は間隔H2にほぼ等しい。これにより、表示装置100は、N2個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、N2個の視点で立体画像を表示できる。
【0034】
本実施形態では、第2レンズ素子30のX方向のレンズピッチLp2は、下記の式(1)の条件を満たす。
【0035】
【0036】
式(1)の条件を満たすことにより、N2(N2>N1)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1(2以上の整数)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。例えば、画像表示部10を画素ピッチP=60μmの対角6.9インチWQHD(Wide Quad High Definition)とし、第1レンズ素子20の条件をN1=2、H1=0.5mm、Lp1=119.9μm、OD1=399mm、e1=71.9mmとし、第2レンズ素子30のレンズの頂点Lt2と画素12との間隔H2をH2=1.5mmとした場合、
図10の例1と例2に示すように、式(1)の条件を満たすことにより、視点ピッチe2を視点ピッチe1よりも狭くできる。一方、
図10の比較例1と比較例2に示すように、Lp1×(N2/N1)=Lp2を満たすと、視点ピッチe2を視点ピッチe1よりも狭くできない。
【0037】
さらに、
図10に示すように、式(1)の条件を満たすことにより、N2個の視点での立体画像表示における最適視認距離OD2と、N1個の視点での立体画像表示における最適視認距離OD1との差を小さくできる。これにより、視点数を切り替えた場合に、観察者のZ方向の移動を小さくできる。
【0038】
なお、
図10に示される視点ピッチe2、最適視認距離OD2等の値は、光学モデルから求めることができる。また、一般に、最適視認距離OD1、OD2は、画像表示部10の大きさに依存する。例えば、画像表示部10の大きさが対角4~13インチである場合、最適視認距離OD1、OD2は150mm~750mmであることが好ましい。画像表示部10の大きさが対角14~30インチである場合、最適視認距離OD1、OD2は250mm~1300mmであることが好ましい。
【0039】
以上のように、表示装置100は、立体画像を表示する場合に、視点数をN1(2以上の整数)個とN2(N2>N1)個に切り替えることができ、N2個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。すなわち、視点数が多い立体画像表示における視点ピッチを、視点数が少ない立体画像表示における視点ピッチよりも狭くできる。さらに、視点数を切り替えた場合に、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2との差を小さくできる。
【0040】
<実施形態2>
実施形態1では、第2レンズ素子30のレンズピッチLp2が式(1)の条件を満たすが、本実施形態では、第2レンズ素子30の間隔H2とレンズピッチLp2のそれぞれが、下記の式(2)の条件と式(3)の条件のそれぞれを満たす。本実施形態のその他の構成は、実施形態1と同様である。なお、式(2)と式(3)の条件を満たせば、式(1)の条件も満たされる。
【0041】
【0042】
式(2)と式(3)の条件を満たすことにより、N2個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。さらに、N2個の視点での立体画像表示における最適視認距離OD2とN1個の視点での立体画像表示における最適視認距離OD1との差をなくすことができる。すなわち、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2とを等しくできる。以下では、
図11~
図15を参照して、式(2)と式(3)とを説明する。
【0043】
まず、式(2)について説明する。
図11は、表示装置100の中心におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデル(XZ断面)を示している。N1個の視点での立体画像表示では、画素ピッチPの画素12が、第1レンズ素子20を介して、最適視認距離OD1に位置する観察面Sに視点ピッチe1で投影されるので、下記の式(2-1)と式(2-2)と式(2-3)とが成立する。ここで、nは表示装置100の屈折率を表している。
【0044】
【0045】
θ1とφ1とが十分小さい場合、sinθ1=tanθ1、sinφ1=tanφ1と近似できるので、式(2-1)~式(2-3)から下記の式(2-4)が得られる。
【0046】
【0047】
図12は、表示装置100の中心におけるN2個の視点での立体画像表示の光学モデル(XZ断面)を示している。N2個の視点での立体画像表示では、画素ピッチPの画素12が、第2レンズ素子30を介して、最適視認距離OD2に位置する観察面Sに視点ピッチe2で投影されるので、下記の式(2-5)と式(2-6)と式(2-7)とが成立する。
【0048】
【0049】
θaとφaとが十分小さい場合、sinθa=tanθa、sinφa=tanφaと近似できるので、式(2-5)~式(2-7)から下記の式(2-8)が得られる。
【0050】
【0051】
そして、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2が等しいので、式(2-4)と式(2-8)から式(2)を得ることができる。
【0052】
次に、式(3)について説明する。
図13は、表示装置100の+X方向端部におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデル(XZ断面)を示している。N1個の視点での立体画像表示では、第1レンズ素子20のレンズピッチLp1は、第1画素ユニット14のピッチP×N1よりもわずかに小さく設定されているので、下記の式(3-1)と式(3-2)と式(3-3)とが成立する。nは表示装置100の屈折率を表し、m1は第1レンズ素子20おける表示装置100の中心から+X方向端部までのレンチキュラーレンズの個数を表している。
【0053】
【0054】
θ2とφ2とが十分小さい場合、sinθ2=tanθ2、sinφ2=tanφ2と近似できるので、式(3-1)~式(3-3)から下記の式(3-4)が得られる。
【0055】
【0056】
図14は、表示装置100の+X方向端部におけるN2個の視点での立体画像表示の光学モデル(XZ断面)を示している。N2個の視点での立体画像表示では、第2レンズ素子30のレンズピッチLp2は、第2画素ユニット16のピッチP×N2よりもわずかに小さく設定されているので、下記の式(3-5)と式(3-6)と式(3-7)とが成立する。nは表示装置100の屈折率を表し、m2は第2レンズ素子30おける表示装置100の中心から+X方向端部までのレンチキュラーレンズの個数を表している。
【0057】
【0058】
θbとφbとが十分小さい場合、sinθb=tanθb、sinφb=tanφbと近似できるので、式(3-5)~式(3-7)から下記の式(3-8)が得られる。
【0059】
【0060】
そして、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2が等しいので、式(2)と式(3-4)と式(3-8)から式(3)を得ることができる。
【0061】
例えば、画像表示部10を画素ピッチP=60μmの対角6.9インチWQHD(Wide Quad High Definition)とした場合、
図15の例3と例4に示すように、式(2)と式(3)の条件を満たすことにより、視点ピッチe2を視点ピッチe1よりも狭くでき、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2とを等しくできる(第1レンズ素子20の条件:N1=2、H1=0.5mm、Lp1=119.9μm、OD1=399mm、e1=71.9mm)。
【0062】
以上のように、式(2)と式(3)の条件を満たすことにより、N2個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。さらに、N1個の視点での立体画像表示の最適視認距離OD1と、N2個の視点での立体画像表示の最適視認距離OD2とを等しくできる。
【0063】
<実施形態3>
実施形態1と実施形態2では、第1レンズ素子20と第2レンズ素子30が、画像表示部10の表示面10a側に配置されているが、第1レンズ素子20は画像表示部10の表示面10a側と反対側に配置されてもよい。
【0064】
本実施形態の表示装置100は、
図16に示すように、画像表示部10と、第1レンズ素子20と、第2レンズ素子30と、光源部310とを備える。本実施形態では、第1レンズ素子20は、画像表示部10の表示面10a側と反対側に配置される。第2レンズ素子30は、画像表示部10の表示面10a側に配置される。本実施形態においても、実施形態1と同様に、表示装置100が平面画像を表示する場合、第1レンズ素子20と第2レンズ素子30はレンズとして機能せず、画像表示部10に表示されている平面画像が表示される。表示装置100がN1個の視点数で立体画像を表示する場合、第1レンズ素子20のみがレンズとして機能する。また、表示装置100がN2個の視点数で立体画像を表示する場合、第2レンズ素子30のみがレンズとして機能する。
【0065】
本実施形態の画像表示部10は、例えば、透過型液晶表示パネルである。本実施形態の画像表示部10のその他の構成は、実施形態1の画像表示部10の構成と同様である。
【0066】
光源部310は、画像表示部(透過型液晶表示パネル)10のバックライトとして機能する。光源部310は、画像表示部10の表示面10a側と反対側に配置される。光源部310は、図示しない、LED(Light emitting Diode)素子、拡散シート等を備える。
【0067】
本実施形態の第1レンズ素子20は、画像表示部10に重なり、画像表示部10と光源部310との間に配置される。N1個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、本実施形態の第1レンズ素子20は、光源部310から出射された光を振り分けることにより、視差画像を表示する第1画素ユニット14に含まれる画素12から出射された光を視差画像に対応するN1個の視点のそれぞれに振り分ける。これにより、本実施形態の表示装置100は、N1個の視点で立体画像を表示できる。
【0068】
本実施形態の第1レンズ素子20では、レンズピッチLp1が第1画素ユニット14のピッチP×N1よりもわずかに大きく設定される。本実施形態の第1レンズ素子20のその他の構成は、実施形態1の第1レンズ素子20の構成と同様である。
【0069】
本実施形態の第2レンズ素子30は、画像表示部10に重なり、画像表示部10の表示面10a側に配置される。本実施形態の第2レンズ素子30のレンズピッチLp2は、下記の式(4)の条件を満たす。式(4)の条件を満たすことにより、N2(N2>N1)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1(2以上の整数)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。本実施形態の第2レンズ素子30のその他の構成は、実施形態1の第2レンズ素子30の構成と同様である。なお、式(4)の条件を満たせば、式(1)の条件も満たされる。
【0070】
【0071】
ここで、式(4)について説明する。まず、視点ピッチe1を求める。
図17は、本実施形態の表示装置100の中心におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデル(XZ断面)を示している。N1個の視点での立体画像表示では、画素ピッチPの画素12が、第1レンズ素子20により、最適視認距離OD1に位置する観察面Sに視点ピッチe1で投影されるので、下記の式(4-1)と式(4-2)と式(4-3)とが成立する。ここで、nは表示装置100の屈折率を表している。
【0072】
【0073】
θ3とφ3とが十分小さい場合、sinθ3=tanθ3、sinφ3=tanφ3と近似できるので、式(4-1)~式(4-3)から下記の式(4-4)が得られる。
【0074】
【0075】
次に、視点ピッチe2を求める。
図18は、本実施形態の表示装置100の中心におけるN2個の視点での立体画像表示の光学モデル(XZ断面)を示している。画素ピッチPの画素12が、第2レンズ素子30を介して、最適視認距離OD2に位置する観察面Sに視点ピッチe2で投影されるので、下記の式(4-5)と式(4-6)と式(4-7)とが成立する。
【0076】
【0077】
θ4とφ4とが十分小さい場合、sinθ4=tanθ4、sinφ4=tanφ4と近似できるので、式(4-5)~式(4-7)から下記の式(4-8)が得られる。
【0078】
【0079】
次に、最適視認距離OD1を求める。
図19は、本実施形態の表示装置100の-X方向端部におけるN1個の視点での立体画像表示の光学モデル(XZ断面)を示している。N1個の視点での立体画像表示では、第1レンズ素子20のレンズピッチLp1は、第1画素ユニット14のピッチP×N1よりもわずかに大きく設定されているので、下記の式(4-9)と式(4-10)と式(4-11)とが成立する。
【0080】
【0081】
θ5とφ5とが十分小さい場合、sinθ5=tanθ5、sinφ5=tanφ5と近似できるので、式(4-9)~式(4-11)から下記の式(4-12)が得られる。
【0082】
【0083】
次に、最適視認距離OD2を求める。実施形態2の
図13に示した光学モデルと同様の光学モデルによれば、最適視認距離OD2は、下記の式(4-13)により表される。
【0084】
【0085】
視点ピッチe2が視点ピッチe1よりも狭い場合、式(4-4)と式(4-8)から、下記の式(4-14)が成立する。式(4-12)~式(4-14)から下記の式(4-15)を得ることができる。
【0086】
【0087】
さらに、第2レンズ素子30は、N2個の画素12から出射された光を振り分けるので、レンズピッチLp2は下記の式(4-16)を満たす。式(4-15)と式(4-16)から、式(4)を得ることができる。
【0088】
【0089】
例えば、画像表示部10を画素ピッチP=60μmの対角6.9インチWQHD(Wide Quad High Definition)とした場合、
図20の例5に示すように、式(4)の条件を満たすことにより、視点ピッチe2を視点ピッチe1よりも狭くできる(第1レンズ素子20:条件をN1=2、H1=0.5mm、Lp1=119.9μm、OD1=399mm、e1=72.1mm)。また、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2との差を小さくできる。
【0090】
以上のように、本実施形態において、式(4)の条件を満たすことにより、N2個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。また、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2との差を小さくできる。本実施形態では、観察者から見て、第2レンズ素子30、画像表示部10、第1レンズ素子20の順に積層されているので、他方のレンズ素子の厚さに依らず、第1レンズ素子20のレンズの頂点Lt1と画素12との間隔H1と第2レンズ素子30のレンズの頂点Lt2と画素12との間隔H2とを設定できる。また、第1レンズ素子20と第2レンズ素子30と、画像表示部10との重ね合わせ精度を高くできる。
【0091】
<実施形態4>
実施形態3では、第1レンズ素子20が画像表示部10の表示面10a側と反対側に配置されている。第1レンズ素子20が画像表示部10の表示面10a側に配置され、第2レンズ素子30が画像表示部10の表示面10a側と反対側に配置されてもよい。
【0092】
本実施形態の表示装置100は、
図21に示すように、画像表示部10と、第1レンズ素子20と、第2レンズ素子30と、光源部310とを備える。本実施形態では、第1レンズ素子20は、画像表示部10の表示面10a側に配置される。第2レンズ素子30は、画像表示部10の表示面10a側と反対側に配置される。本実施形態の画像表示部10と光源部310の構成は、実施形態3の画像表示部10と光源部310と同様である。また、本実施形態の第1レンズ素子20は、実施形態1の第1レンズ素子20と同様である。ここでは、本実施形態の第2レンズ素子30を説明する。
【0093】
本実施形態の第2レンズ素子30は、画像表示部10に重なり、画像表示部10と光源部310との間に配置される。N2個の視点のそれぞれに対応する視差画像が画像表示部10に表示された場合に、本実施形態の第2レンズ素子30は、光源部310から出射された光を振り分けることにより、視差画像を表示する第2画素ユニット16に含まれる画素12から出射された光を視差画像に対応するN2個の視点のそれぞれに振り分ける。これにより、本実施形態の表示装置100は、N2個の視点で立体画像を表示できる。
【0094】
本実施形態では、式(5)の条件を満たすことにより、N2(N2>N1)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1(2以上の整数)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。本実施形態の第2レンズ素子30のその他の構成は、実施形態1の第2レンズ素子30の構成と同様である。
【0095】
【0096】
ここで、式(5)について説明する。実施形態3の
図18に示した光学モデルと同様の光学モデルによれば、視点ピッチe1は、下記の式(5-1)により表される。
【0097】
【0098】
また、実施形態3の
図17に示した光学モデルと同様の光学モデルによれば、視点ピッチe2は、下記の式(5-2)により表される。
【0099】
【0100】
さらに、実施形態2の
図13に示した光学モデルと同様の光学モデルによれば、最適視認距離OD1は、下記の式(5-3)により表される。実施形態3の
図19に示した光学モデルと同様の光学モデルによれば、最適視認距離OD2は、下記の式(5-4)により表される。
【0101】
【0102】
視点ピッチe2が視点ピッチe1よりも狭い場合、式(5-1)と式(5-2)から、下記の式(5-5)が成立する。式(5-3)~式(5-5)から下記の式(5-6)を得ることができる。
【0103】
【0104】
さらに、第2レンズ素子30は、N2個の画素12から出射された光を振り分けるので、レンズピッチLp2は下記の式(5-7)を満たす。式(5-6)と式(5-7)から、式(5)を得ることができる。
【0105】
【0106】
例えば、画像表示部10を画素ピッチP=60μmの対角6.9インチWQHD(Wide Quad High Definition)とした場合、
図22の例6に示すように、式(5)の条件を満たすことにより、視点ピッチe2を視点ピッチe1よりも狭くできる(第1レンズ素子20:条件をN1=2、H1=0.5mm、Lp1=119.9μm、OD1=400mm、e1=71.9mm)。また、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2との差を小さくできる。
【0107】
以上のように、本実施形態において、式(5)の条件を満たすことにより、N2個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くできる。また、最適視認距離OD1と最適視認距離OD2との差を小さくできる。本実施形態では、観察者から見て、第1レンズ素子20、画像表示部10、第2レンズ素子30の順に積層されているので、他方のレンズ素子の厚さに依らず、第1レンズ素子20のレンズの頂点Lt1と画素12との間隔H1と第2レンズ素子30のレンズの頂点Lt2と画素12との間隔H2とを設定することができる。また、第1レンズ素子20と第2レンズ素子30と、画像表示部10との重ね合わせ精度を高くできる。さらに、視点数(N1個)が少ない立体画像表示においてレンチキュラーレンズとして機能する第1レンズ素子20が、観察者側に位置する。したがって、第1レンズ素子20からの出射光が他の部材により乱されることなく、視点数が少なく精細度が高い立体画像を表示できる。
【0108】
<式(1)について>
実施形態1の式(1)は、実施形態2の立体画像表示の光学モデルと同様の光学モデルから得ることができる。
【0109】
具体的には、式(2-4)から下記の式(1-1)が得られ、式(2-5)から下記の式(1-2)が得られる。
【0110】
【0111】
N2(N2>N1)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe2を、N1(2以上の整数)個の視点での立体画像表示における視点ピッチe1よりも狭くする(e1>e2)ためには、式(1-1)と式(1-2)から、下記の式(1-3)を満たす必要がある。
【0112】
【0113】
一方、式(3-4)から下記の式(1-4)が得られ、式(3-5)から下記の式(1-5)が得られる。
【0114】
【0115】
式(1-3)~式(1-5)から下記の式(1-6)が得られる。
【0116】
【0117】
さらに、第2レンズ素子30のレンズピッチLp2は、実施形態3と同様に、式(4-16)を満たす。したがって、式(1-6)と式(4-16)から、式(1)を得ることができる。
【0118】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0119】
例えば、画像表示部10は、有機EL表示パネルに限られない。実施形態1と実施形態2の画像表示部10は、透過型液晶表示パネルであってもよい。
【0120】
画像表示部10の画素12の配列は、横ストライプ配列に限られない。画素12の配列は、縦ストライプ配列、デルタ配列等であってもよい。また、画素12は、赤色と緑色と青色の3色に限られず、4色であってもよい。
【0121】
第1レンズ素子(液晶レンズ)20は、第1電極24と第2電極25、26の上に、絶縁層、誘電体層等を備えてもよい。また、第2レンズ素子(液晶レンズ)30は、第3電極34と第4電極35、36の上に、絶縁層、誘電体層等を備えてもよい。さらに、第1レンズ素子(液晶レンズ)20と第2レンズ素子(液晶レンズ)30は、他の形式の液晶GRIN(Gradient Index)レンズであってもよい。
【0122】
実施形態1と実施形態2では、第1レンズ素子20と第2レンズ素子30は、画像表示部10の表示面10aの上に、第1レンズ素子20、第2レンズ素子30の順に重ねられている。第1レンズ素子20と第2レンズ素子30は、画像表示部10の表示面10aの上に、第2レンズ素子30、第1レンズ素子20の順に重ねられてもよい。
【0123】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0124】
10 画像表示部、12 画素、12R,12G,12B サブ画素、14 第1画素ユニット、16 第2画素ユニット、20 第1レンズ素子、21 第1基板、21a 第1基板の第1主面、22 第2基板、22a 第2基板の第1主面、 24 第1電極、25,26 第2電極、25a,26a 櫛歯部、28 液晶、29 シール材、30 第2レンズ素子、31 第3基板、31a 第3基板の第1主面、32 第4基板、32a 第4基板の第1主面、34 第3電極、35,36 第4電極、35a,36a 櫛歯部、38 液晶、100 表示装置、101 表示面、e1,e2 視点ピッチ、Lp1,Lp2 レンズピッチ、Lt1,Lt2 レンズの頂点、H1,H2 レンズの頂点と画素との間隔、J 表示装置の中心線、M 分子、m1,m2 レンチキュラーレンズの個数、OD1,OD2 最適視認距離、P 画素ピッチ、S 観察面、SR1,SR2 視点領域、θ1,θ2,θ3,θ4,θ5,θa,θb,φ1,φ2,φ3,φ4,φ5,φa,φb 角度