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特開2023-62283ケーブル自動布設装置及び当該装置を用いたケーブル自動布設又は撤去方法
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  • 特開-ケーブル自動布設装置及び当該装置を用いたケーブル自動布設又は撤去方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062283
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】ケーブル自動布設装置及び当該装置を用いたケーブル自動布設又は撤去方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20230426BHJP
   H02G 9/08 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172160
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】000134903
【氏名又は名称】株式会社ニシヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】北田 慎
(72)【発明者】
【氏名】岡 信哉
(72)【発明者】
【氏名】川島 達也
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅章
(72)【発明者】
【氏名】濱田 明良
(72)【発明者】
【氏名】松宮 遼
【テーマコード(参考)】
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
5G352CA05
5G352CA09
5G352CB04
5G352CC06
5G352CF05
5G352CJ01
5G369AA16
5G369BA05
(57)【要約】
【課題】複数の各ホーリングマシンによるケーブルの把持・解除を自動的に行うことが出来る装置を提供する。
【解決手段】ある一定の箇所から一定長の距離となる箇所まで、ケーブルCを一対の無限軌道3で両側から把持して送り出すホーリングマシン2を、間隔をあけて複数設けたケーブルCの布設装置において、各ホーリングマシン2の前後に入口側センサ11、出口側センサ12を夫々設け、当該各センサによりケーブルCの有無及びサイズを識別し、入り口側センサ11によりケーブルCを感知した場合に、前記一対の無限軌道3を回転させながら一対の無限軌道3を接近させてケーブルCを把持し、出口側センサ12によりケーブルCを感知しない場合は前記一対の無限軌道3を相互に離し、ケーブルCの把持を解き、無限軌道3の回転を停止する構成。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある一定の箇所から一定長の距離となる箇所まで、ケーブルを一対の無限軌道で両側から把持して送り出すホーリングマシンを間隔をあけて複数設けたケーブルの布設装置において、
各ホーリングマシンの前後に入口側センサ、出口側センサを夫々設け、当該各センサによりケーブルの有無を識別し、入り口側センサによりケーブルを感知した場合に、前記一対の無限軌道を回転させながら一対の無限軌道を接近させてケーブルを把持し、出口側センサによりケーブルを感知しない場合は前記一対の無限軌道を相互に離し、ケーブルの把持を解き、無限軌道の回転を停止する構成としたことを特徴とする、ケーブルの自動布設装置。
【請求項2】
前記各ホーリングマシンの無限軌道の回転駆動部及び一対の無限軌道の相互の接近、離隔の把持駆動部を夫々制御する副制御部を設け、これらの各副制御部を操作制御する主制御部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のケーブル自動布設装置。
【請求項3】
前記入口側センサ及び出口側センサは、上部が開口したコ字型のフレームから成り、このフレーム内をケーブルが通る構成とし、一方の縦フレークが送光部、他方の縦フレームを受光部とし、当該受光部で受けた光の量を計測する計測部とから成り、送光量と受光量を比較してケーブルの有無及びサイズを判断する構成としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のケーブル自動布設装置。
【請求項4】
ある一定の箇所から一定長の距離となる箇所まで、ケーブルを一対の無限軌道で両側から把持して送り出すホーリングマシンを間隔を開けて複数配設することによりケーブルを布設又は撤去する方法において、
各ホーリングマシンの前後に入口側センサ、出口側センサを夫々設け、当該各センサによりケーブルの有無を識別し、前記入り口側センサによりケーブルを感知した場合は、前記一対の無限軌道を回転させながら一対の無限軌道を相互に接近させてケーブルを把持し、前記入り口側センサ及び出口側センサによりケーブルを感知しなくなった場合は、前記一対の無限軌道を相互に離してケーブルの把持を解き、無限軌道の回転を停止することを特徴とする、ケーブルの自動布設又は撤去方法。
【請求項5】
前記各ホーリングマシンの無限軌道の回転駆動部及び一対の無限軌道の相互の接近、離隔の把持駆動部を設け、これらの駆動部を各ホーリングマシン毎に設けた副制御部により制御し、これらの各副制御部を主制御部で操作制御することを特徴とする、請求項3に記載のケーブル自動布設又は撤去方法。
【請求項6】
前記入口側センサ及び出口側センサは上部が開口したコ字型のフレームから成り、一方の縦フレークが送光部、他方の縦フレームを受光部とし、前記ケーブルを当該フレーム内に通して、当該受光部で受けた光の量を計測部で計測し、送光量と受光量を比較してケーブルの有無及びサイズを判断することを特徴とする、請求項3又は4に記載のケーブル自動布設又は撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洞道内へのケーブルの水平方向の引入れや、立坑等の垂直方向のケーブル搬送に用いる、ケーブル自動布設装置及び当該装置を用いたケーブル自動布設又は撤去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洞道内にケーブルを布設する場合、地上においてケーブルドラムから繰り出されたケーブルを、地面に設けた立坑を通して洞道内に送り、洞道内の所定の箇所まで搬送し、布設する。
【0003】
このケーブルの垂直方向又は水平方向の搬送、布設には、間隔を開けて複数設けたホーリングマシンによりケーブルを搬送する場合が多い。このホーリングマシンは、一対の無限軌道でケーブルの両側を把持しつつ当該無限軌道を回転させてケーブルを一方に送り出して搬送するものである。
【0004】
これらのケーブルの洞道内への布設は、各ホーリングマシンやその他の箇所に作業員がケーブルの弛みや引張り等の状況を常駐監視し、各作業員が各ホーリングマシンを操作することにより行っている。従って、長距離スパンの引入れでは多数の作業員が必要となっている。しかしながら、昨今の労働者不足や作業員の高齢化を鑑みると、これらの長距離スパンのケーブル布設に関しては、少人数の作業員による作業、当該作業の効率化及び安全性の確保を目的とした引入れ工法が求められている。
【0005】
作業の効率化を目的として開発された一例として特許文献1の「布設物搬送方法及び布設物搬送装置」がある。
【0006】
特許文献1のものは、洞道内に、布設物(ケーブル)を両側から挟持して搬送する複数のホーリングマシンを間隔を空けて設置し、当該各ホーリングマシン間に布設物を支持して搬送する複数の直置きコロを設置し、所定の制御領域に主制御部を、前記洞道内に各ホーリングマシンに対応させて副制御部を配設し、前記主制御部によって、各副制御部を介してホーリングマシンの制御を行うとともに、前記各ホーリングマシンは夫々ベース、該ベース上において走行自在に配設され、布設物を両側から挟持する一対の無限軌道、並びに前記ベース上における無限軌道の後方及び前方に配設された一対のローラを備え、前記各副制御部は、前記一対のローラの回転状態及び各ホーリングマシンにおける負荷率に基づいて、各ホーリングマシンが正常に運転され、布設物が搬送されているかどうかを判断する、布設物搬送方法である。
【0007】
この場合、所定の制御領域に配設された主制御部によって、各ホーリングマシンに対応させて配設された副制御部を介して各ホーリングマシンの制御が行われるので、一人の操作者が、主制御部及び副制御部を介して全てのホーリングマシンの制御を一括して行うことができる。従って、布設物を搬送している間に各ホーリングマシンを個別に調整する必要がなく、各ホーリングマシンを調整するための人員を削減することができる。また、電動コロを配設する必要がないので、電動コロを設置したり、撤去したりする作業を行う必要がない。その結果、布設物を搬送するためのコストを低くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6602618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1のものは、各ホーリングマシンにケーブル等の布設物を把持させるのに作業員が手作業で行わなければならず、作業員の削減にはつながりにくい作業となっている。また、負荷率の監視では、一つのホーリングマシンが受け持つ負荷がカーブ等の影響でまちまちとなるため、各ホーリングマシンの速度同期を取るのが困難である。
【0010】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、複数の各ホーリングマシンによるケーブルの把持・解除を自動的に行うことが出来る装置及び方法であって、ケーブルを一定の箇所からかなり長い距離まで制御機器により自動で搬送、布設することが出来る装置及び布設又は撤去方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、ある一定の箇所から一定長の距離となる箇所まで、ケーブルを一対の無限軌道で両側から把持して送り出すホーリングマシンを間隔をあけて複数設けたケーブルの布設装置において、各ホーリングマシンの前後に入口側センサ、出口側センサを夫々設け、当該各センサによりケーブルの有無を識別し、入り口側センサによりケーブルを感知した場合に、前記一対の無限軌道を回転させながら一対の無限軌道を接近させてケーブルを把持し、出口側センサによりケーブルを感知しない場合は前記一対の無限軌道を相互に離し、ケーブルの把持を解き、無限軌道の回転を停止する構成とした、ケーブルの自動布設装置とした。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記各ホーリングマシンの無限軌道の回転駆動部及び一対の無限軌道の相互の接近、離隔の把持駆動部を夫々制御する副制御部を設け、これらの各副制御部を操作制御する主制御部を設けた、請求項1に記載のケーブル自動布設装置とした。
【0013】
請求項3の発明は、前記入口側センサ及び出口側センサは、上部が開口したコ字型のフレームから成り、このフレーム内をケーブルが通る構成とし、一方の縦フレームが送光部、他方の縦フレームを受光部とし、当該受光部で受けた光の量を計測する計測部とから成り、送光量と受光量を比較してケーブルの有無及びサイズを判断する構成とした、請求項1又は2に記載のケーブル自動布設装置とした。
【0014】
また、請求項4の発明は、ある一定の箇所から一定長の距離となる箇所まで、ケーブルを一対の無限軌道で両側から把持して送り出すホーリングマシンを、間隔を空けて複数配設することによりケーブルを布設又は撤去する方法において、各ホーリングマシンの前後に入口側センサ、出口側センサを夫々設け、当該各センサによりケーブルの有無を識別し、前記入り口側センサによりケーブルを感知した場合は、前記一対の無限軌道を回転させながら一対の無限軌道を相互に接近させてケーブルを把持し、前記入り口側センサ及び出口側センサによりケーブルを感知しなくなった場合は、前記一対の無限軌道を相互に離してケーブルの把持を解き、無限軌道の回転を停止する、ケーブルの自動布設又は撤去方法とした。
【0015】
また、請求項5の発明は、前記各ホーリングマシンの無限軌道の回転駆動部及び一対の無限軌道の相互の接近、離隔の把持駆動部を設け、これらの駆動部を各ホーリングマシン毎に設けた副制御部により制御し、これらの各副制御部を主制御部で操作制御する、請求項3に記載のケーブル自動布設又は撤去方法とした。
【0016】
また、請求項6の発明は、前記入口側センサ及び出口側センサは、上部が開口したコ字型のフレームから成り、一方の縦フレームが送光部、他方の縦フレームを受光部とし、前記ケーブルを当該フレーム内に通して、当該受光部で受けた光の量を計測部で計測し、送光量と受光量を比較してケーブルの有無及びサイズを判断する、請求項3又は4に記載のケーブル自動布設又は撤去方法とした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び4の各発明によれば、各ホーリングマシンの前後に、ケーブルを感知する入り口側センサ及び出口側センサを設けているため、これらのセンサでケーブルを感知することにより各ホーリングマシンの1対の無限軌道の接近、離隔、及び各無限軌道の回転を自動制御できる。
【0018】
従って、従来作業員を各ホーリングマシンの脇に配置させ、ケーブル先端が接近した場合に当該ホーリングマシンの無限軌道によりケーブルを把持させ、回転させる操作を作業員が行い、また、ケーブルの終端が当該ホーリングマシンから離れた際に一対の無限軌道の回転や把持を解除する操作を作業員が行っていたが、これらの操作を自動で行うため、多数の作業員を不要とすることが出来る。
【0019】
また、請求項2及び5の発明によれば各ホーリングマシンの一対の無限軌道の回転駆動の駆動部及び一対の無限軌道の接近及び離隔駆動をする把持駆動部の操作を副制御部で制御し、さらにこれらの副制御部を主制御部で操作制御可能とするため、一人の作業員で複数の各ホーリングマシンの自動操作が可能である。
【0020】
また、請求項3及び6の発明によれば、各ホーリングマシンの前後に設けた入り口側センサ及び出口側センサにケーブルを通した際の受光量を計測し、送光量に対する受光量の変化によりケーブルの有無及びサイズを判断するため、ケーブルがどのように捩じれていても、受光量が変わらず、確実にケーブルを感知可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置の洞道内での使用状態を示す正面図である。
図2】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置のホーリングマシン及び入口側センサ及び出口側センサを示す斜視図である。
図3】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置の、把持駆動部等を取り外したホーリングマシン及び入口側センサ及び出口側センサの正面図である。
図4】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置のホーリングマシンの一対の無限軌道の相互の接近、離隔の動作構成を示す断面図である。
図5】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置の入り口側センサ又は出口側センサの側面図である。
図6】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置の制御装置を示す概要図である。
図7】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置の入り口側センサ又は出口側センサの動作状態を示す説明図であって、(A)図はケーブル通過時の図、(B)図はケーブルが通過していない時の図、(C)図はケーブルが捩じれている場合等の三態様の図である。
図8】この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置を立坑に配設した場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1のケーブル自動布設装置を図1図6に基づいて説明する。
【0023】
このケーブル自動布設装置は、地上に設置された搬送車V上のドラム1に巻き付かれたケーブルCを、前記ドラム1の後方に設けた搬送車V上のホーリングマシン2により繰り出して、地上表面に開けた立坑Tを通って、洞道H内に導くもので、洞道H内においては、布設するケーブル箇所に沿って、一定間隔で複数設置されたホーリングマシン2によりケーブルCを搬送して洞道H内の所定箇所まで布設する構成となっている。
【0024】
これらの各ホーリングマシン2は、一対の無限軌道3、3を、間隔を開けてケーブル布設方向に平行に並べ、各無限軌道3は別途設けた回転用モータ24(図6参照)から回転を伝達されて回転する。
【0025】
これと同時に、一対の無限軌道3、3が相互に接近又は離隔するようになっており、前記各無限軌道3は相互に平行状態で支持枠4の上に摺動自在に載置され、当該支持枠4はベース5上に載置されている。各無限軌道3の下部から突出した突出片3aが、前記支持枠4内に水平に軸支されたネジ軸棒6に螺着されている。そして、当該ネジ軸棒6は中央箇所で左右のネジが逆向きになっており、前記2つの各突出片3aは逆向きのネジ軸棒6箇所に夫々螺着されている。
【0026】
また、前記ネジ軸棒6の一端は前記支持枠4の一側から突出し、前記ベース5上に設けられた変速機7を介してモータから成る把持駆動部8に接続されている。従って、当該把持駆動部8を回転させると前記ネジ軸棒6が回転し、一対の無限軌道3、3はネジ軸棒6に沿って移動し、相互に接近又は離隔する。
この一対の無限軌道3、3が相互に近接することによりケーブルCを把持し、各無限軌道3の回転によりケーブルCを送り出す。
【0027】
また、各ホーリングマシン2の一対の無限軌道3、3の前後にはガイドローラ9、9が設けられ、搬送されるケーブルはこれらのガイドローラ9、9上に載って両側から無限軌道3、3に把持される。
【0028】
また、これらのガイドローラ9、9の前方及び後方には、これらの各ガイドローラ9と間隔を開けて、各ホーリングマシン2の支持枠4の両側から突出するアーム10の先端に入口側センサ11及び出口側センサ12が夫々設けられている。これらの入口側センサ11及び出口側センサ12は同じ構造で、上方に開口部を有するコ字型のフレーム13から成り、左右の縦フレーム13a、13bの内、一方の縦フレーム13aから光を発信する送光部とし、他方の縦フレーム13bが受光部となっており、受光部で受けた受光量を計測し、当該受光量と送光量の変化を計測する機能を有している。
【0029】
また、図6に示すように、洞道1内に設けられた各ホーリングマシン2に対応して副制御部14が夫々設けられ、各副制御部14は主制御部15と接続されている。当該主制御部15は洞道1の立坑T近くのスペースに設けられ、当該スペースには他に電源装置17、主制御部15に接続され、スイッチ、ボタン等の操作要素を備えた操作部18、及び前記主制御部15に接続され、表示画面を備えた表示部19が配設されている。
【0030】
また、前記主制御部15と複数の副制御部14とは給電用ケーブル20及び制御用ケーブル21によって電気的に接続されている。
【0031】
前記主制御部15は、各副制御部14を通して各ホーリングマシン2の運転(回転)、停止、速度の調整、緊急停止等の制御を行う。緊急停止の場合は、通常の停止より短い時間で各ホーリングマシン2を停止させることができる。
【0032】
各ホーリングマシン2の制御は、個別に、又は一括して行うことが出来る。そのため、操作部18にすべてのホーリングマシン2を運転(回転)又は停止させるための運転スイッチ及び停止スイッチ、各ホーリングマシン毎に、運転(回転)するか、停止させるかを選択するための運転(回転)・停止選択スイッチ、及び各ホーリングマシン2の制御を個別に行うか、又は一括して行うかを選択するための個別・一括スイッチが設けられている。
【0033】
操作者が、個別・一括スイッチを押して個別の制御を選択した場合、運転スイッチをオンにすると、運転(回転)・停止選択スイッチがオンにされているホーリングマシンを運転することができ、停止スイッチをオンにすると、運転(回転)・停止選択スイッチがオンにされているホーリングマシン2を停止させることができる。
【0034】
また、操作者が、個別・一括スイッチを押して一括の制御を選択した場合、すべてのホーリングマシン2の運転(回転)・停止スイッチがオンにされている状態において、運転スイッチをオンにすると、すべてのホーリングマシン2を運転(回転)することができ、停止スイッチをオンにすると、すべてのホーリングマシン2を停止させることができる。なお、ホーリングマシン2の運転(回転)・停止選択スイッチのいずれかでもオフにされている状態においては、運転スイッチをオンにしても、すべてのホーリングマシン2を運転(回転)することができない。
【0035】
また、前記各副制御部14には、ホーリングマシン2を運転(回転)するためのモータ駆動部22、監視用の監視カメラ23が接続されている。そして、監視カメラ23によって撮影された洞道1内の映像は、前記制御用ケーブル21を介して前記操作部18に送られ、表示部19に表示される。また、前記各モータ駆動部22は各ホーリングマシン2の回転用モータ24に連結されている。
【0036】
以上のケーブル移動搬送装置において、ケーブルCを洞道H内の所定箇所まで布設する際に、ケーブルCの先端に一端を接続した先導ロープLを作業者が手で持って、ケーブルCの移動に合せて移動するか、又は先導ロープLの他端を洞道H内の布設先端箇所に設けたウインチ(図示省略)でケーブルCをガイドするため巻き付ける構成とし、ケーブルCの先端をガイドする。
【0037】
そして、立坑Tに近い最初のホーリングマシン2の入口側センサ11でケーブルCの先端を感知すると、当該ホーリングマシン2に対応する副制御部14が反応してモータ駆動部22及び回転用モータ24が回転し、各無限軌道3が回転する。
【0038】
そして、前記入口側センサ11がケーブルCを感知した状態で、出口側センサ12がケーブルCを感知すると前記副制御部14が作動して把持駆動部8が駆動し、一対の無限軌道3、3が相互に接近してケーブルCを把持しつつ各無限軌道3がケーブルCを送り出す。このようにして、洞道H内の他のホーリングマシン2も順次ケーブルCを把持して搬送する。
【0039】
また、各ホーリングマシン2の出口側センサ12がケーブルCを感知した状態で、当該ホーリングマシン2の入口側センサ11をケーブルCの端末が通過し、ケーブルCを感知しなくなると、前記副制御部14が動作して把持駆動部8が駆動し、一対の無限軌道3、3が相互に離れてケーブルCの把持を解除する。
【0040】
続いて、出口側センサ12をケーブルCの末端が通過し、ケーブルCを感知しなくなると、当該ホーリングマシン2に対応する副制御部14が反応してモータ駆動部22が運転用モータ24の回転を停止し、各無限軌道3の回転が停止する。
【0041】
このような入口側センサ11又は出口側センサ12におけるケーブルCの感知は、図7の(イ)図に示すように、一方の縦フレーム13aから発せられた光の一部が、ケーブルCに遮られて他方の縦フレーム13bに到達せず、受光量が送光量に比べて少ない。一方、これらのセンサ内にケーブルCがない場合は光の受光量は送光量と変わらず、また、図7の(ロ)図に示すように、先導ロープLの場合は断面がケーブルCの断面と比べて明らかに小さいので送光量に比べて受光量の変化が小さので、ケーブルCを感知しない。
【0042】
このようにして、ケーブルCの有無及びサイズを判断して各ホーリングマシンの一対の無限軌道3,3の接近、離反を行う。また、ケーブルCがトリプレックス型ケーブルの場合に、3線がどのように捩れていても、図7の(ハ)図に示すように、いずれの態様(図では3個の態様を一度に示す)の場合も受光量がほぼ同じで変わらず、ケーブルCを感知できる。
【0043】
以上の様にして、ケーブルCを一定間隔で設置した複数のホーリングマシン2で自動的に把持して搬送し、ケーブルCを所定箇所まで布設する。その際、各ホーリングマシン2の速度同期は無限軌道3の回転数や電圧等により主制御部15で管理し、さらに洞道H内に設けた前記監視カメラ23により主制御部15及び表示部18でケーブルCの状況を監視して、各ホーリングマシン2の運転を制御する。また、隣接する各ホーリングマシン2の間には適宜直置きコロ25を設け、ケーブルCを支持してスムーズな搬送を補助している。
【0044】
なお、前記地上のホーリングマシン2には入口側センサ11や出口側センサ12がなく、作業員がケーブルCの把持や解除、回転・停止の操作を行うようにしている。
【0045】
(実施の形態例2)
次にこの発明の実施の形態例2について説明する。
実施の形態例2は、立坑Tの長さが大きい場合に、複数のホーリングマシン2を立坑Tに沿って配設する。図8に示すように、立坑T内に仮設足場26を設置し、当該仮設足場26の一側面に、間隔を開けて垂直方向に複数のホーリングマシン取付用ラック27を配設する。これらの各ホーリングマシン取付用ラック27内にホーリングマシン2を垂直に固定する。
【0046】
また、当該各ホーリングマシン2の上下に、入り口側センサ11及び出口側センサ12を設ける。さらに、これらのホーリングマシン取付用ラック27の間の仮設足場26の一側面には布設するケーブルCが挿入される管状のケーブルガイド28が設けられている。他の構成は実施の形態例1と同様である。
【0047】
そして、地上から、最上部のケーブルガイド28に挿入されたケーブルCは各ホーリングマシン2に把持、搬送されて、立坑T内を垂下していき、前記洞道Hに送られる。
【0048】
上記実施の形態例2では立坑T内に仮設足場26を設けたが、状況によっては、立坑Tの内側の壁に直にホーリングマシン取付用ラック27を複数間隔を開けて設置して、これらの各ホーリングマシン取付用ラック27に前記ホーリングマシン2を取り付ける場合もある。また、この実施の形態例2では、立坑Tの例を示したが、これに限らず高層ビルの幹線布設にも適用できる。
【0049】
また、上記実施の形態例1及び2ではケーブルの布設について説明したが、洞道等に敷設されているケーブルの撤去についても、当該発明のケーブル自動布設装置を用いて、各ホーリングマシン2の一対の無限軌道3によるケーブルCの把持解除を自動的に行い、ケーブルCを撤去することができる。
【符号の説明】
【0050】
C ケーブル H 洞道
T 立坑 R 先導ロープ
搬送車 V 搬送車
1 ドラム 2 ホーリングマシン
3 無限軌道 3a 突出片
4 支持枠 5 ベース
6 ネジ軸棒 7 変速機
8 把持駆動部 9 ガイドローラ
10 アーム 11 入口側センサ
12 出口側センサ 13 フレーム
13a 縦フレーム 13b 縦フレーム
14 副制御部 15 主制御部
17 電源装置 18 操作部
19 表示部 20 給電用ケーブル
21 制御用ケーブル 22 モータ駆動部
23 監視カメラ 24 回転用モータ
25 直置きコロ 26 仮設足場
27 ホーリングマシン取付用ラック
28 ガイドパイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8