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特開2023-62295ライト収納部付き鞄類と当該鞄類及びライトの組み合わせ
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  • 特開-ライト収納部付き鞄類と当該鞄類及びライトの組み合わせ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062295
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】ライト収納部付き鞄類と当該鞄類及びライトの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A45C 15/00 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
A45C15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172180
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】508152157
【氏名又は名称】株式会社 大雪屋
(71)【出願人】
【識別番号】517373941
【氏名又は名称】株式会社TRYL
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】池田 統和
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA00
3B045CE10
3B045DA21
3B045JA01
3B045JB01
(57)【要約】
【課題】少なくとも利用者の足元を照らすのに適したライト収納部付き鞄類を提供する。
【解決手段】内部に物品保管室Rを画成するとともに、この物品保管室Rの底である底部8を有し、この底部8以外の部位に物品保管室Rと連絡する開口部6を設けた本体3と、前記底部8の下面に付設された、外部照明器具であるライト30を収納するためのライト収納部10とを具備する。前記ライト収納部10は、当該ライト収納部10の内部から少なくとも下方へ照明光を透過させるための透光部Tを有する。前記本体3の底部8は、底部8の幅方向Wの全長に亘って一定の厚みを有している。前記ライト収納部10は、前記底部8の幅方向Wに延びる横長のポケットであり、その幅方向Wの一方側に横向きに開口する収納口16を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物品保管室(R)を画成するとともに、この物品保管室(R)の底である底部(8)を有し、この底部(8)以外の部位に物品保管室(R)と連絡する開口部(6)を設けた本体(3)と、
前記底部(8)の下面に付設された、外部照明器具であるライト(30)を収納するためのライト収納部(10)と
を具備し、
前記ライト収納部(10)は、当該ライト収納部(10)の内部から少なくとも下方へ照明光を透過させるための透光部(T)を有することを特徴とする、ライト収納部付き鞄類。
【請求項2】
前記ライト収納部(10)は、下側から見て実質的に前記底部(8)の輪郭(P)の範囲内に収まるように構成したことを特徴とする、請求項1に記載のライト収納部付き鞄類。
【請求項3】
前記本体(3)の底部(8)は、下側から見て、厚み方向(D)に比べて幅方向(W)に長い横長形状に形成されており、
前記ライト収納部(10)は、前記幅方向(W)の一方側に横向きに開口する収納口(16)を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のライト収納部付き鞄類。
【請求項4】
前記本体(3)の底部(8)は、下側から見て、厚み方向(D)に比べて幅方向(W)に長い横長形状に形成されており、
前記ライト収納部(10)は前記底部(8)の幅方向(W)に延びる横長のポケットであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載のライト収納部付き鞄類。
【請求項5】
前記ライト収納部(10)は、光を乱反射する半透明材料で形成されており、前記底部(8)に対して底部(8)の厚み方向(D)の両端側で連結され、ライト(30)を支える横壁状の保持材(12)を有することを特徴とする、請求項4に記載のライト収納部付き鞄類。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれかに記載のライト収納部付き鞄類(2)と、この鞄類(2)のライト収納部(10)に横向きに挿入された棒状のライト(30)との組み合わせであって、
前記ライト(30)のライトの周面を発光部(40)としたことを特徴とする、鞄類及びライトの組み合わせ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライト収納部付き鞄類と当該鞄類及びライトの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
光源を装着した鞄類として次のものが知られている。
(1)手提げ袋の側壁の少なくとも一部を外壁と内壁とからなる2重構造とするとともに、これら外壁と内壁との間に光源を配置し、この光源の外方に位置させて、前記外壁の一部に装飾を施した透光窓を設けたもの(特許文献1)。
(2)幅方向に長い鞄の内部に、その鞄の幅方向一方の側壁と向かい合わせて仕切り板を設置するとともに、これら側壁と仕切り板との間に光源を配置し、この光源の外方に位置させて前記側壁の一部に透光窓を設けたもの(特許文献2)。
(3)蓋付きの上面側開口部を有するバッグ本体と、このバッグ本体の背面が利用者の身体に密接された状態で装身させるための腰ベルトとを具備し、前記バッグ本体の前面上端の全長に亘って、散光タイプの発光帯を設けた照明付きバッグ(特許文献3)。
(4)幅方向に長い手提げ鞄の底部に、幅方向へ照明光を投光する光源を内蔵した箱状の収納ケースを設けたもの(特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭49-90507
【特許文献2】実開昭52-37010
【特許文献3】実用新案登録第3180653号
【特許文献4】実開平5-55920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、夜間の外出中に歩行者の安全を確保するために携帯用の光源を歩行者の身の回り品に装備させることの要請が高まっている。
特許文献1~4の鞄は、カバンの側面から水平方向へ投光する構造のものであり、利用者の周囲、特に足元を十分に照らすことはできなかった。
また特許文献1~3の鞄では、光源が鞄の本体に組み付けられているとともに、当該光源を作動させるための電源(電池)なども鞄内に内蔵されていた。そのため、電池が切れたときには、鞄の開口部を開いて電池を交換しなければならない。暗い屋外で鞄の中で電池の場所を探し出し、交換する作業は面倒であった。
特許文献4のものは収納ケースの構造が明らかではないが、当該ケースに光源及び電源が内蔵されていると推定されるため、同様の面倒があると推定される。
また鞄の側面に光源があると、光源からの光が利用者の顔面に照射される可能性がある。そうなると、利用者の目に光が直接入って眩しいとともに、下方から照らされた利用者の顔が周囲の人の目に不気味に映り体裁が悪いなどの点で使用感が悪くなる。
【0005】
本発明の第1の目的は、少なくとも利用者の足元を照らすのに適したライト収納部付き鞄類を提供することである。
本発明の第2の目的は、利用者の足元を照らすことができるとともに水平方向からの視認性にも優れたライト収納部付き鞄類を提供することである。
本発明の第3の目的は、前記鞄類に棒状のライトを横向きに取り込み、効率的に利用者の足元を照らすことが可能とした鞄類及びライトの組み合わせを提供することである。
本発明の第4の目的は、本体の底部側に収納した光源からの光が利用者の顔に直接届かないようにすることで使用感のよいライト収納部付き鞄類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、内部に物品保管室Rを画成するとともに、この物品保管室Rの底である底部8を有し、この底部8以外の部位に物品保管室Rと連絡する開口部6を設けた本体3と、
前記底部8の下面に付設された、外部照明器具であるライト30を収納するためのライト収納部10と
を具備し、
前記ライト収納部10は、当該ライト収納部10の内部から少なくとも下方へ照明光を透過させるための透光部Tを有する。
【0007】
本手段では、図2(B)に示す如く、鞄類2の底部8に付設されたライト収納部10の内部から少なくとも下方へ照明光を透過させるための透光部Tを有する。
この構造によれば、図6(A)に示す如く、本体3の底部8を下向きにした状態で、利用者の足元を適切に照らすことができる。
【0008】
第3の手段は、第1の手段を有し、かつ前記ライト収納部10は、下側から見て実質的に前記底部8の輪郭Pの範囲内に収まるように構成した。
【0009】
本手段では、図3(A)に示す如く、前記ライト収納部10は、下側から見て実質的に前記底部8の輪郭Pの範囲内に収まるように構成した。
この構造によれば、図6(A)に示すように底部8を下側にして鞄類を利用者が身に着けている状態で、ライト収納部10に収納されたライト30の光が利用者の顔面に届くことが無い。従って、利用者の目に光が直接入って眩しくなることがない。また、下方から照らされた利用者の顔が周囲の人に不気味に見えて体裁が悪くなることもなく、良好な使用感が得られる。
【0010】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記本体3の底部8は、下側から見て、厚み方向Dに比べて幅方向Wに長い横長形状に形成されており、
前記ライト収納部10は、前記幅方向Wの一方側に横向きに開口する収納口16を有する。
【0011】
本手段では、前記ライト収納部10は、図2(B)に示す如く、底部8の幅方向Wの一方側に横向きに開口する収納口16を有する。
この構造によれば、図1に示すように、ライト30を、本体3の側方より収納口16内へ挿入することができる。故に、従来技術の如く、本体3の内部に光源を内蔵させた場合と比較して、ライト30の出し入れが容易である。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ前記本体3の底部8は、下側から見て、厚み方向Dに比べて幅方向Wに長い横長形状に形成されており、
前記ライト収納部10は前記底部8の幅方向Wに延びる横長のポケットである。
【0013】
本手段では、図2(B)に示す如く、ライト収納部10は前記底部8の幅方向Wに延びる横長のポケットである。
この構造によれば、図4(B)に示す如く、横長のポケット10の長手方向(底部8の幅方向W)に例えば棒状のライト30を挿入することが可能となり、光量を増大させることができるので、利用者の足元を十分に照らすことができる。
また底部8の厚み方向Dへも光を投射させるようにした態様では、本体3の底部8を下向きにした状態での水平方向(前記厚み方向D)から見て、対向方向から近く他人からの視認性も向上させることができる。
【0014】
第5の手段は、第4の手段を有し、かつ前記ライト収納部10は、光を乱反射する半透明材料で形成されており、前記底部8に対して底部8の厚み方向Dの両端側で連結され、ライト30を支える横壁状の保持材12を有する。
【0015】
本手段では、前記ライト収納部10は、光を乱反射する半透明材料で形成されている。
この構造によれば、ライトが点灯している状態で、利用者と対面位置に居る人(底部8の厚み方向Dにいる人)からは、ライト収納部10で乱反射した光がぼんやりと見えることになり、ライトからの光が目に直接入らないので、眩しくない。
また周囲が明るいためにライトを点灯していない状態では、外部からライトがあることが認識されて、体裁を損なうことを回避できる。
また前記ライト収納部10は、図5(A)に示す如く、ライト30を支える横壁状の保持材12を有する。
この構造によれば、仮にライト30が全方位投光型でなくとも、透光部Tで広い範囲に光が散乱され(図5(C)参照)、底部8の厚み方向D(本体3の底部8を下向きにして携帯した状態での水平方向)からの視認が可能となる。
【0016】
第6の手段は、第3の手段から第5の手段のいずれかに記載のライト収納部付き鞄類2と、この鞄類2のライト収納部10に横向きに挿入された棒状のライト30との組み合わせであって、
前記ライト30のライトの周面を発光部40としている。
【0017】
本手段では、図1に示す如く、周面を発光部40とする棒状のライト30を、前記鞄類2のライト収納部に横向きに挿入している。
この構造によれば、例えば当該ライトを縦向きに鞄から吊り下げる場合と比較して、利用者の足元を十分に照らすことができる。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段に係る発明によれば、本体3の底部8に付設されたライト収納部10が、その内部から少なくとも下方へ透光させるための透光部Tを有するから、本体3の底部8を下向きにした状態で利用者の足元を適切に照らすことができる。
第2の手段に係る発明によれば、前記ライト収納部10は、下側から見て実質的に前記底部8の輪郭Pの範囲内に収まるから、当該鞄類を利用者の胴部に携帯した状態でライト30の光が利用者の顔に直接当たることを回避することができ、使用感がよい。
第3の手段に係る発明によれば、前記ライト収納部10は、底部8の幅方向Wの一方側に横向きに開口する収納口16を有するから、本体3の内部に光源を内蔵させた場合と比較して、ライト30の出し入れが容易である。
第4の手段に係る発明によれば、ライト収納部10は前記底部8の幅方向Wに延びる横長のポケットであるから、棒状のライト30の収納に適しており、利用者の足元を十分に照らし易い。
第5の手段に係る発明によれば、前記ライト収納部10は、光を乱反射する半透明材料で形成しているとともに、ライト30を支える横壁状の保持材12を有するから、対面の人の目にライトの光が直接入らずに眩しくない。また、ライトの非点灯状態では、外部からライトが認識されにくく、体裁が良いとともに、保持材より広い範囲に光が散乱され、底部8の厚み方向Dからの視認が可能となる。
第6の手段に係る発明によれば、周面を発光部40とする棒状のライト30を、前記鞄類2のライト収納部に横向きに挿入したから、例えば当該ライトを縦向きに鞄から吊り下げる場合と比較して、利用者の足元を十分に照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るライト収納部付き鞄類及びライトの組み合わせの全体構成を分離状態で示す斜視図である。
図2図1に示す構成のうちのライト収納部付き鞄類の構造を示しており、同図(A)は、当該鞄類の側面図、同図(B)は、当該鞄類の正面図である。
図3図2のライト収納部付き鞄類の下面図であり、同図(A)はライトの収納前の状態を、同図(B)はライトの収納後の状態をそれぞれ示している。
図4図2に示す鞄類のライト収納部内へライトを挿入する作業の説明図であり、同図(A)は、挿入作業の途中の様子を、同図(B)は挿入作業の完了後の様子をそれぞれ示している。
図5図1に示すライト収納部付き鞄類にライトを収納した状態を示しており、同図(A)は鞄類の正面図、同図(B)は同図(A)のV(B)-V(B)方向から見た側面図、同図(C)は同図(A)のV(C)-V(C)方向から見た断面図である。
図6図1に示す鞄類及びライトの作用説明図であり、同図(A)は、利用者の足元を照らす様子を、同図(B)は遠方の対向者に視認される様子をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1から図6は、本発明の実施形態に係るライト収納部付き鞄類2及びライト30の組み合わせ1を示している。
【0021】
ライト収納部付き鞄類2は、図2(A)に示す如く、本体3とライト収納部10とを具備する。
なお、本明細書において「鞄類」とは、鞄と同様に物を収納する機能を有するものを含み、例えばポーチやウェストバッグなども該当する。
【0022】
前記本体3は、底部8以外の箇所に開口部6を有しており、この開口部6を介して、本体3の内部に画成された物品保管室R内に物品を収納することができる。この本体3は、例えば布や革、或いは合成樹脂などで形成することができる。
本実施形態の本体3は、下側から見て、図3(A)に示す如く、厚み方向Dに比べて幅方向Wに長い横長形状の底部8を有し、この底部8の周端から四角筒状の筒周壁4を起立している。そしてこの筒周壁4の上端に開口部6が形成されている(図1参照)。
以下、実施形態の説明において、厚み方向Dを短手方向、幅方向Wを短手方向という。
図示例の底部8は、全体として長方形状であり、図3(A)に示す如く、その短手方向Dの両側に位置するほぼ直線状の一対の第1端部9aと、長手方向Wの両側に位置するほぼ直線状の一対の第2端部9bとを有する。
もっともこれらの形状は適宜変更することができる。
また好適な一実施例として、前記底部8は、半透明材料で形成することができる。これにより、後述のライト30を点灯したときに、鞄類の中にも光が透過し、暗闇の中でも鞄類の内容物を確認することが容易となる。
次に、図示例の筒周壁4は、前記第1端部9aに連続する一対の主壁部4aと、前記第2端部9bに連続する一対の側壁部4bとからなる。
前記一対の側壁部4bの上端には、側壁部4bから突設する筒状の挿通部5を介して、一対のフックCが取り付けられており、これらフックに肩バンドBの両端部を係止させることができるように設けている。
前記開口部6には、閉鎖手段として、エレメント(務歯)7aとスライダー7bとからなるジッパー7が形成されている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0023】
ライト収納部10は、前記底部8の下面に付設された、外部照明器具であるライト30を収納するための部位である。
前記ライト収納部10は、その内部から外方(少なくとも下方)へ照明光を透過させるための透光部Tを有する。なお、図示例では、後述の保持材12を透光部Tとしている。
前記構造によれば、本体3の底部8に、前記透光部Tを有するライト収納部10を付設することにより、その本体3に遮られることなく、少なくとも利用者Uの足元を満遍なく照らすことができる。
故に地面の凹凸などにつまずくことなく、安全に歩行することができる。
さらに、図示例の透光部Tは、図5(C)に示すように、底部8の下方から厚み方向Wに亘る範囲に亘って光を放射するように形成している。
そして前記厚み方向は、利用者の身体に本体3を装着させている状態での水平方向に相当する。
こうすることにより、図6(B)に示すように、利用者の前方から近づく自動車や自転車の運転者(対向者Oという)による視認性を向上させることができる。
そのための構造については後述する。
【0024】
なお、前記ライト収納部10は、図3(A)に示す如く、下側から見て実質的に前記底部8の輪郭Pの範囲内に収まるように(はみ出さないように)構成されている。
「実質的に」とは、図6(A)に示すように、底部8を下にして鞄類2を利用者の胴部付近に携帯した状態で、ライト収納部10内のライト30の光が底部8に遮られて利用者の顔面に届くことがない態様で(図5(C)参照)という意味である。
従って、例えば前記ライト収納部10が光を透過しない部分を有しており、当該部分が底部8の輪郭Pからはみ出していても、問題ではない。
この構造では、ライトの光が利用者の顔面に届かないから、光が利用者の目に入って眩しくなることがない。さらに利用者の顔が下側から照らされることで、周囲の人の目に不気味に見えることもない。
【0025】
本実施形態において、前記ライト収納部10は、図1に示す如く、前記底部8の長手方向Wに亘って延びる横長のポケットとして形成されている。
この構造によれば、図3(B)に示す如く、横長のポケット10の長手方向(底部8の長手方向Wと一致する)に、後述の棒状のライト30を挿入することが可能となる。また、図示はしないが、当該ポケット10の長手方向に複数のライトを配列することもできる。
この構造により、一個の白球型電球などの点状ライト(単位面積当たりの明るさが同程度のもの)を底部に取り付ける構造と比べて、図6(A)に示す如く、本体3の底部8を下向きにして鞄類2を携帯した状態で、利用者Uの足元を十分に照らすことができる。また、図6(A)に示す如く、対向方向より近づいてくる他人(例えば自動車・自転車の運転者)からの視認性も向上させることができる。
なお、点状ライトでも発光量の大きい強力なタイプが市販されているが、そうしたものは、対向者Oにとって眩し過ぎて思わず目を逸らしてしまったり、或いはライトの周囲の状況(例えば利用者と並んで歩く随伴者など)が見えにくくなる可能性がある。
棒状ライトに適合した横長のライト収納部10の構造を採用するときには、対向者Oにとって眩し過ぎない範囲で利用者Uの足元を十分に照らすことができる
【0026】
図示例では、ライト収納部10は、図2(B)に示す如く、前記底部8の長手方向Wのほぼ全長に亘って延びている。
もっとも、ライト収納部10の大きさや形状は、適宜に変更できるものとし、例えば底部8の長手方向の一部に設けてもよく、また横長の形状でなくても構わない。
【0027】
また本実施形態では、前記ライト収納部10は、図示例において、図2(B)に示す如く、横長の保持材12と、保持材12の長手方向の一端を閉塞する閉塞材14とで形成されており、かつ、保持材12の他端に開口する収納口16を有する。
前記保持材12は、前記底部8の一対の第1端部9aに両側を接合(例えば縫合)させた横壁状であり、ライト30を支持するための部位である。
本実施形態において、前記保持材12の形状は、図3(A)に示す如く、下方から見て略長方形であり、また、図2(A)に示す如く、底部8の幅方向Wから見て、下方へ凸のアーチ状である。
前記保持材12は、ライト30を収納した状態で保持材12と底部8との間にライト30を挟持するようにするとよい(図5(B)参照)。
そのためには、例えば保持材12を伸縮性のある素材で形成することができる。
保持材12と底部8との間にライト30を挟持することで、ライト収納部10内でライト30が底部8の厚み方向Dにブラつくことを抑制できる。
前記閉塞材14は、前記保持材12の長手方向(底部8の幅方向W)の一端側を閉塞するように付設した縦壁状の部位である。その付設箇所は、例えば縫合などの手段により接合すると良い。
前記収納口16は、前記保持材12の長手方向の他端側に横向きに開口されている。
収納口16を横向きに開口しているので、図1に示すように、ライト30を、本体3の側方より収納口16内へ挿入することができる。
故に、従来技術の如く、本体3の内部に光源を内蔵させた場合と比較して、ライト30の出し入れが容易である。
図示例では、前記ライト収納部10は、図1に示すように、前記収納口16を閉塞するための閉塞手段18を有する。
この閉塞手段18は、前記収納口16付近で、前記底部8の下面及び保持材12の上面に、相互に着脱可能な第1接着部18aと第2接着部18bとを付設することにより、形成されている。これらの接着部は例えば雌雄の面ファスナーとすることができる。
前記閉塞手段18を設けることにより、前記収納口16からライト30が不意に抜け出すことを防止できる。
【0028】
本実施形態では、少なくとも保持材12を透光材料で形成することにより、保持材12の全体を透光部Tとしている。
こうすることで、利用者Uの足元を十分に照らすことができる。
なお、前記閉塞材14も透光材料で形成することができる。
この構造によれば、棒状のライト30が前端からも投光するタイプのものである場合には、閉塞材14を透光して、底部8の長手方向Wも照射することができる。
【0029】
また本実施形態では、前記保持材12は、光を乱反射する半透明材料で形成されている。
仮にライト30が全方位投光型であれば、保持材12が透明材料で形成されていても、全方位を万遍なく投光することができるが、一方向に投光するタイプである場合には、投光方向に片寄りを生ずる。
本実施形態の形態によれば、透光部Tで広い範囲に光が散乱される。故に、本体3の底部8を下向きにした状態で、利用者Uの足元を十分に照らすことができるとともに、対向者Oが水平方向(底部8の厚み方向D)からライト収納部10の明かりを視認も可能となる。
このとき、対向者Oが目にするのは、前記保持材12によって散乱されたぼんやりとした明かりであり、ライト30からの直接光が利用者の目に入ることはない。従って対向者Oが眩しいと感じることを回避することができる。
【0030】
ライト30は、本実施形態において、図1に示す如く、棒状ライトに形成されている。もっともこの形態は適宜変更することができる。
前記ライト30は、図示例において、一対の端壁32A、32Bを棒状の筒壁36の両側に有しており、この筒壁36の内部に図示しない光源及び電源を内蔵している。
前記一対の端壁の一方32Aには、電源をオンにするためのスイッチ34が付設されている。もっとも、スイッチ34の位置は適宜変更することができる。
図示例の筒壁36は円筒状に形成されている。もっとも、その形態は適宜変更できる。
また、前記スイッチ34の近傍に位置させて、前記筒壁36の端部には指掛け部42が付設されている。図示の指掛け部42は前記筒壁36に回転可能に枢着されているが、その構造は適宜変更することができる。
【0031】
前記筒壁36の外周面38には、光源の光を外部へ発光する発光部40が形成されている。
本実施形態では、前記発光部40は、筒壁36の周方向全体に亘って配置されており、これにより、筒壁36の筒径方向に均等に投光するように形成されている。
図示例では、前記筒壁36の外周面38の筒長方向中間部を前記発光部40としている。しかし、この構造は適宜変更することができ、例えば外周面38の全部を発光部40としてもよい。
なお、図示はしないが、前記ライト30の他方の端壁32Bに補助発光部を形成し、前記閉塞材14を透過して底部8の長手方向Wに投光できるようにしてもよい。
この場合には、筒壁36の筒径方向への投光と筒壁36の筒長方向への投光を同時にできるようにしてもよく、また、これら2方向への投光を選択できるようにしてもよい。これらの投光モードの切り替えは、前記スイッチ34の操作により行うようにするとよい。
【0032】
前記構成において、鞄類2の本体3の底部8に付設されたライト収納部10の内部にライトを収納することが可能に設けているから、図6(A)に示すように、利用者Uの足元が常に照らされることになり、歩行時及び作業時の足元の安全が確保できる。
また手で何かの作業をする際には、当該作業をライト収納部10の近くで行うことにより手元の安全性も確保できる。
また周囲の環境が明るく、ライト30を使用する必要がないときには、ライト30は、本体3の物品保管室R内に収納しておけばよい。
この状態では、ライト収納部10はライト30を収容していないため、図2(A)及び図2(B)に示す如く、本体3の底部8より大きく下方へ膨らむことがない。従って、鞄類2全体としての体裁が良好に保たれる。
暗い環境に移動する際には、ライト30を取り出して、スイッチ34をオンにするとともに、当該ライト30を、図4(A)に示すように、先端側から収納口16へ差し込む。
そして、ライト30の全体がライト収納部10内へ収容された状態で、図4(B)に示すように、保持材12の収納口16側の部分を押し上げて、第2接着部18bを第1接着部18aに当接させることにより、閉塞手段18を閉塞させる。これによりライト30がライト収納部10から不意に抜け出すことを防止できる。
ライト30の発光部40から発光された光は、前記ライト収納部10の保持材12を透過する際に散乱して広い範囲に広がる。
これにより、鞄類の近くでは、利用者Uの足元が十分に照らされるだけでなく、鞄類から遠方では、図6(B)に示す如く、発光の一部がライト収納部10からほぼ水平方向(前記底部8の厚み方向D)へ放出されるので、対向者Oからの視認性が向上する。
【符号の説明】
【0033】
1…鞄類及びライトの組み合わせ
2…ライト収納部付き鞄類 3…本体 4…筒周壁 4a…主壁部 4b…側壁部
5…挿通部 6…開口部 7…閉鎖手段(ジッパー) 7a…務歯 7b…スライダー
8…底部 9a…第1端部(厚み方向の端部) 9b…第2端部(幅方向の端部)
10…ライト収納部(ポケット) 12…保持材 14…閉塞材 16…収納口
18…閉塞手段 18a…第1接着部 18b…第2接着部
30…ライト 32A、32B…端壁 34…スイッチ 36…筒壁 38…外周面
40…発光部 42…指かけ部
B…肩バンド C…フック D…厚み方向(短手方向)O…対向者 P…輪郭
R…物品保管室 T…透光部 U…利用者 W…幅方向(長手方向)

図1
図2
図3
図4
図5
図6