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特開2023-62298ゴム製品の製造方法及びそれに用いる成形型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062298
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】ゴム製品の製造方法及びそれに用いる成形型
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/70 20060101AFI20230426BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20230426BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20230426BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20230426BHJP
【FI】
B29C65/70
B29C33/02
B29C35/02
B29K21:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172186
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 吉夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷 康平
【テーマコード(参考)】
4F202
4F203
4F211
【Fターム(参考)】
4F202AA46
4F202AH13
4F202CA27
4F202CB01
4F202CK90
4F202CN01
4F203AA45
4F203AB03
4F203AC02
4F203AG13
4F203AH13
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC01
4F203DF01
4F203DF15
4F203DJ31
4F203DL10
4F211AA45
4F211AD15
4F211AG13
4F211AH13
4F211TA08
4F211TC08
4F211TD07
4F211TD08
4F211TD09
4F211TD10
4F211TN84
4F211TN87
4F211TQ04
(57)【要約】
【課題】第1ゴム部材の未加硫ゴムの第1端部と第2ゴム部材の未加硫ゴムの第2端部とを加硫させて繋ぐものの、高い寸法精度を得ることができるゴム製品の製造方法を提供する。
【解決手段】第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22を、成形型40に、キャビティC2において、第1端部212及び第2端部222がゴム部材結合部41に収容されるとともに、第1係合凸部213が第1係合凹部44に収容されるように配置した後、第1端部212及び第2端部222を加硫させて結合させることにより繋ぐ。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ゴム部材と第2ゴム部材とを成形型を用いて繋ぐ工程を含むゴム製品の製造方法であって、
前記第1ゴム部材は、細長い加硫ゴムで形成された第1部材本体と、前記第1部材本体の長さ方向の端に連続して一体に設けられた未加硫ゴムで形成された第1端部と、前記第1部材本体から側方に張り出して設けられた加硫ゴムで形成された第1係合凸部とを有し、
前記第2ゴム部材は、第2部材本体と、前記第2部材本体に一体に設けられた未加硫ゴムで形成された第2端部とを有し、
前記成形型は、前記第1ゴム部材の前記第1端部及び前記第2ゴム部材の前記第2端部を結合させるためのゴム部材結合部と、前記第1ゴム部材の前記第1係合凸部を係合させるための第1係合凹部とを含むキャビティを有し、
前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を、前記成形型に、前記キャビティにおいて、前記第1端部及び前記第2端部が前記ゴム部材結合部に収容されるとともに、前記第1係合凸部が前記第1係合凹部に収容されるように配置した後、前記第1端部及び前記第2端部を加硫させて結合させることにより繋ぐゴム製品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたゴム製品の製造方法において、
前記第2ゴム部材は、前記第2部材本体が細長い加硫ゴムで形成されているとともに、前記第2端部が前記第2部材本体の長さ方向の端に連続して設けられており、且つ前記第1部材本体から側方に張り出して設けられた加硫ゴムで形成された第2係合凸部を有し、
前記成形型の前記キャビティは、前記第2ゴム部材の前記第2係合凸部を係合させるための第2係合凹部を含むゴム製品の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載されたゴム製品の製造方法において、
前記第2ゴム部材の前記第2部材本体が未加硫ゴムで形成されているゴム製品の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたゴム製品の製造方法において、
前記第1係合凸部の前記第1部材本体との結合部がネッキング構造を有しているゴム製品の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたゴム製品の製造方法で用いられる成形型であって、
前記第1ゴム部材の前記第1端部及び前記第2ゴム部材の前記第2端部を結合させるためのゴム部材結合部と、前記第1ゴム部材の前記第1係合凸部を係合させるための第1係合凹部とを含むキャビティを有する成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム製品の製造方法及びそれに用いる成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
大径シール材のOリングを製造する場合、金型1面で製造しようとすると大型の金型及びプレス機が必要となる。そのため、通常、中央の部材本体が加硫ゴムで形成され且つその両側の端部のそれぞれが未加硫ゴムで形成された丸紐状のゴム部材を複数作製し、それらの複数のゴム部材の未加硫ゴムの端部同士を加硫させて結合させることにより繋いでリング状にするいわゆる送り焼きが行われる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-220581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、送り焼きでは、未加硫ゴムの端部同士を加硫させて繋ぐ際に流動や熱膨張による伸びが発生するため、得られるゴム製品の寸法精度が低くなるという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、第1ゴム部材の未加硫ゴムの第1端部と第2ゴム部材の未加硫ゴムの第2端部とを加硫させて繋ぐものの、高い寸法精度を得ることができるゴム製品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1ゴム部材と第2ゴム部材とを成形型を用いて繋ぐ工程を含むゴム製品の製造方法であって、前記第1ゴム部材は、細長い加硫ゴムで形成された第1部材本体と、前記第1部材本体の長さ方向の端に連続して一体に設けられた未加硫ゴムで形成された第1端部と、前記第1部材本体から側方に張り出して設けられた加硫ゴムで形成された第1係合凸部とを有し、前記第2ゴム部材は、第2部材本体と、前記第2部材本体に一体に設けられた未加硫ゴムで形成された第2端部とを有し、前記成形型は、前記第1ゴム部材の前記第1端部及び前記第2ゴム部材の前記第2端部を結合させるためのゴム部材結合部と、前記第1ゴム部材の前記第1係合凸部を係合させるための第1係合凹部とを含むキャビティを有し、前記第1ゴム部材及び前記第2ゴム部材を、前記成形型に、前記キャビティにおいて、前記第1端部及び前記第2端部が前記ゴム部材結合部に収容されるとともに、前記第1係合凸部が前記第1係合凹部に収容されるように配置した後、前記第1端部及び前記第2端部を加硫させて結合させることにより繋ぐ。
【0007】
本発明は、本発明のゴム製品の製造方法で用いられる成形型であって、前記第1ゴム部材の前記第1端部及び前記第2ゴム部材の前記第2端部を結合させるためのゴム部材結合部と、前記第1ゴム部材の前記第1係合凸部を係合させるための第1係合凹部とを含むキャビティを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1ゴム部材及び第2ゴム部材を、成形型に、そのキャビティにおいて、第1端部及び第2端部がゴム部材結合部に収容されるとともに、第1係合凸部が第1係合凹部に収容されるように配置した後、第1端部及び第2端部を加硫させて結合させることにより繋ぐので、第1係合凸部が第1係合凹部に係合し、第1端部の加硫時における流動が規制されて伸びが抑制されるため、第1ゴム部材の未加硫ゴムの第1端部と第2ゴム部材の未加硫ゴムの第2端部とを加硫させて繋ぐ工程を含むものの、寸法精度の高いゴム製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】大径シール材の平面図である。
図1B図1AにおけるIB-IB断面図である。
図2A】第1ゴム部材及び第2ゴム部材の平面図である。
図2B図2AにおけるIIB-IIB断面図である。
図3A】第1ゴム部材及び第2ゴム部材の変形例の平面図である。
図3B図3AにおけるIIIB-IIIB断面図である。
図4】ゴム部材作製用プレス成形型の内部構造を示す平面図である。
図5】ゴム部材結合用プレス成形型の内部構造を示す平面図である。
図6】第1の製造方法において、第1ゴム部材の未加硫ゴムの第1端部と第2ゴム部材の未加硫ゴムの第2端部とを加硫させて繋ぐ工程を示す説明図である。
図7】第1の製造方法において、第1係合凸部及び第2係合凸部を切除する工程を示す説明図である。
図8】第2ゴム部材加硫用プレス成形型の内部構造を示す平面図である。
図9】第2の製造方法において、第1ゴム部材の未加硫ゴムの第1端部と第2ゴム部材の未加硫ゴムの第2端部とを加硫させて繋ぐ工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1A及びBは、この実施形態で製造する大径シール材10(ゴム製品)を示す。
【0012】
この大径シール材10は、フッ素ゴム組成物等で形成された断面形状が円形のいわゆるOリングである。大径シール材10は、各々、円弧状に延びる第1ゴム部分11及び第2ゴム部分12を有し、それらの一方及び他方のそれぞれの端同士が結合してジョイント部13を構成することにより環状に形成されている。
【0013】
(第1の製造方法)
実施形態に係る大径シール材10の第1の製造方法では、まず、図2A及びBに示す同一構成の丸紐状の第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22を作製する。
【0014】
第1ゴム部材21は、断面形状が円形の細長い第1部材本体211と、その第1部材本体211の長さ方向の両端に連続してそれぞれ一体に設けられた断面形状が第1部材本体211と同一の円形の第1端部212と、第1部材本体211における第1端部212との境界よりも内側部分から側方に張り出して一体に設けられた舌片状の第1係合凸部213とを有する。同様に、第2ゴム部材22は、断面形状が円形の細長い第2部材本体221と、その第2部材本体221の長さ方向の両端に連続してそれぞれ一体に設けられた断面形状が第2部材本体221と同一の円形の第2端部222と、第2部材本体221における第2端部222との境界よりも内側部分から側方に張り出して一体に設けられた舌片状の第2係合凸部223とを有する。
【0015】
第1係合凸部213及び第2係合凸部223は、後述するように最終的には切除されるので、その切除が容易なように、それぞれ第1部材本体211及び第2部材本体221との結合部がネッキング構造を有していることが好ましい。具体的には、例えば、第1係合凸部213及び第2係合凸部223は、図2A及びBに示すように、それぞれ第1部材本体211及び第2部材本体221との結合部の厚さが他の部分よりも薄肉に形成されたネッキング構造を有していてもよく、図3A及びBに示すように、それぞれ第1部材本体211及び第2部材本体221との結合部の長さが他の部分よりも短く形成されたネッキング構造を有していてもよく、それらの両方を併せ持ったネッキング構造を有していてもよい。また、第1係合凸部213及び第2係合凸部223は、それらの切除痕がシール性能に影響しないように、大径シール材10の平面及び底面、つまり、シール面とならない位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
第1部材本体211及び第2部材本体221は、加硫ゴムで形成されている。第1端部212及び第2端部222は、未加硫ゴムで形成されている。第1係合凸部213及び第2係合凸部223は、加硫ゴムで形成されている。ここで、本願における「加硫ゴム」とは、ポリマーが加硫して架橋することにより可塑性を喪失した状態のゴムをいう。本願における「加硫ゴム」には、可塑性を喪失したものであれば、全加硫したものだけでなく、半加硫したものも含まれる。本願における「未加硫ゴム」とは、可塑性を有するゴムをいう。本願における「未加硫ゴム」には、可塑性を有するものであれば、ポリマーが僅かに加硫しているものも含まれる。
【0017】
これらの第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22は、図4に示すゴム部材作製用プレス成形型30を用いて作製する。ゴム部材作製用プレス成形型30は、第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22と同一形状のキャビティC1を有する。したがって、キャビティC1は、第1部材本体211及び第2部材本体221を加硫成形するための部材本体成形部31と、第1端部212及び第2端部222を成形するための端部成形部32と、第1係合凸部213及び第2係合凸部223を加硫成形するための係合凸部成形部33とを含む。ゴム部材作製用プレス成形型30には、端部成形部32に対応して冷却水流路34が設けられている。第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22を作製する際には、ゴム部材作製用プレス成形型30のキャビティC1の全体に未加硫ゴムを充填した後、ゴム部材作製用プレス成形型30を閉じて加熱及び加圧するとともに、冷却水流路34に冷却水を流す。このとき、キャビティC1において、部材本体成形部31及び係合凸部成形部33では、未加硫ゴムが加硫することにより加硫ゴムとなる。端部成形部32では、未加硫ゴムが冷却水により冷却されるために未加硫状態が維持される。
【0018】
次いで、第1ゴム部材21の一方の第1端部212と第2ゴム部材22の一方の第2端部222とを、図5に示すゴム部材結合用プレス成形型40を用いて繋ぐ。
【0019】
ゴム部材結合用プレス成形型40は、第1ゴム部材21の端から所定長の部分と第2ゴム部材22の端から所定長の部分とを突き合わせたのと同一形状の直線状に延びる貫通孔のキャビティC2を有する。キャビティC2は、その長さ方向の中央部分に設けられた第1ゴム部材21の第1端部212及び第2ゴム部材22の第2端部222を結合させるためのゴム部材結合部41と、ゴム部材結合部41から一方の開口に向かって延びるように設けられた第1ゴム部材21の第1部材本体211を収容するための第1部材本体収容部42と、ゴム部材結合部41から他方の開口に向かって延びるように設けられた第2ゴム部材22の第2部材本体221を収容するための第2部材本体収容部43と、第1部材本体収容部42に連通するように設けられた第1ゴム部材21の第1係合凸部213を収容して係合させるための第1係合凹部44と、第2部材本体収容部43に連通するように設けられた第2ゴム部材22の第2係合凸部223を収容して係合させるための第2係合凹部45とを含む。なお、第1係合凹部44は、第1係合凸部213の収容及び係合が可能な形状であれば、第1係合凸部213と同一形状でなくてもよい。同様に、第2係合凹部45も、第2係合凸部223と同一形状でなくてもよい。
【0020】
第1ゴム部材21の一方の第1端部212と第2ゴム部材22の一方の第2端部222とを繋ぐ際には、図6に示すように、第1ゴム部材21を、ゴム部材結合用プレス成形型40に、そのキャビティC2において、第1部材本体211の先端側部分が第1部材本体収容部42、第1端部212がゴム部材結合部41、及び第1係合凸部213が第1係合凹部44にそれぞれ収容され、且つ第1部材本体211の先端側部分以外の部分が一方の開口から外部に延びるように配置する。同様に、第2ゴム部材22を、ゴム部材結合用プレス成形型40に、そのキャビティC2において、第2部材本体221の先端側部分が第2部材本体収容部43、第2端部222がゴム部材結合部41、及び第2係合凸部223が第2係合凹部45にそれぞれ収容され、且つ第2部材本体221の先端側部分以外の部分が他方の開口から外部に延びるように配置する。ゴム部材結合部41では、第1ゴム部材21の第1端部212と第2ゴム部材22の第2端部222とを突き合わせて接触させることが好ましい。
【0021】
その後、ゴム部材結合用プレス成形型40を閉じて加熱及び加圧する。このとき、ゴム部材結合部41では、未加硫ゴムの第1端部212及び第2端部222が、流動することにより相互に混じり合うとともに加硫し、それによって結合して繋がることにより加硫ゴムのジョイント部13に形成される。
【0022】
続いて、第1ゴム部材21の一方の第1端部212と第2ゴム部材22の一方の第2端部222と繋いだ長尺成形体をゴム部材結合用プレス成形型40から脱型し、今度は、第1ゴム部材21の他方の第1端部212と第2ゴム部材22の他方の第2端部222とを、ゴム部材結合用プレス成形型40を用いて繋ぐ。
【0023】
第1ゴム部材21の他方の第1端部212と第2ゴム部材22の他方の第2端部222とを繋ぐ際には、第1ゴム部材21の一方の第1端部212と第2ゴム部材22の一方の第2端部222とを繋ぐ場合と同様、図6に示すように、第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22をゴム部材結合用プレス成形型40に配置した後、ゴム部材結合用プレス成形型40を閉じて加熱及び加圧する。このとき、ゴム部材結合部41では、未加硫ゴムの第1端部212及び第2端部222が、流動することにより相互に混じり合うとともに加硫し、それによって結合して繋がることにより加硫ゴムのジョイント部13に形成される。
【0024】
そして、第1ゴム部材21の一方の第1端部212と第2ゴム部材22の一方の第2端部222とを繋ぐとともに、第1ゴム部材21の他方の第1端部212と第2ゴム部材22の他方の第2端部222とを繋いだ環状成形体をゴム部材結合用プレス成形型40から脱型し、その環状成形体から、図7に示すように、第1係合凸部213及び第2係合凸部223を切除することにより大径シール材10を得る。
【0025】
以上の実施形態に係る大径シール材10の第1の製造方法によれば、第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22を、ゴム部材結合用プレス成形型40に、そのキャビティC2において、第1端部212及び第2端部222がゴム部材結合部41に収容されるとともに、第1係合凸部213及び第2係合凸部223がそれぞれ第1係合凹部44及び第2係合凹部45に収容されるように配置した後、第1端部212及び第2端部222を加硫させて結合させることにより繋ぐので、第1係合凸部213が第1係合凹部44に係合するとともに、第2係合凸部223が第2係合凹部45に係合し、第1端部212及び第2端部222の加硫時における流動が規制されて伸びが抑制される。そのため、第1ゴム部材21の未加硫ゴムの第1端部212と第2ゴム部材22の未加硫ゴムの第2端部222とを加硫させて繋ぐ工程を含むものの、寸法精度の高い大径シール材10を製造することができる。
【0026】
(第2の製造方法)
実施形態に係る大径シール材10の第2の製造方法でも、まず、丸紐状の第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22を作製する。
【0027】
第1ゴム部材21は、第1の製造方法で用いたものと同一構成である。したがって、第1ゴム部材21は、断面形状が円形の細長い加硫ゴムで形成された第1部材本体211と、その第1部材本体211の長さ方向の両端に連続してそれぞれ一体に設けられた断面形状が第1部材本体211と同一の円形の未加硫ゴムで形成された第1端部212と、第1部材本体211における第1端部212との境界よりも内側部分から側方に張り出して設けられた舌片状の加硫ゴムで形成された第1係合凸部213とを有する。第1ゴム部材21は、図4に示すゴム部材作製用プレス成形型30を用いて作製する。
【0028】
第2ゴム部材22は、細長い未加硫ゴム片であり、したがって、部材全体が未加硫ゴムで形成されている。第2ゴム部材22は、その中央部分が未加硫ゴムで形成された第2部材本体221に構成されているとともに、中央部分の両側部分のそれぞれが未加硫ゴムで形成された第2端部222に構成されている。
【0029】
次いで、未加硫ゴムの第2ゴム部材22を、図8に示す第2ゴム部材加硫用プレス成形型50を用いて加硫させるとともに、第2ゴム部材22の一方の第2端部222を第1ゴム部材21の一方の第1端部212と繋ぎ、且つ第2ゴム部材22の他方の第2端部222を第1ゴム部材21の他方の第1端部212と繋ぐ。
【0030】
第2ゴム部材加硫用プレス成形型50は、U字状に延びる貫通孔のキャビティC3を有する。キャビティC3は、円弧状部分に設けられた第2部材本体221を加硫成形するための第2部材本体成形部51と、第2部材本体成形部51の両端のそれぞれに連続して延びる直線状部分に設けられた第1ゴム部材21の第1端部212及び第2ゴム部材22の第2端部222を結合させるためのゴム部材結合部52と、各ゴム部材結合部52から開口に向かって延びるように設けられた第1ゴム部材21の第1部材本体211を収容するための第1部材本体収容部53と、第1部材本体収容部53に連通するように設けられた第1ゴム部材21の第1係合凸部213を収容して係合させるための第1係合凹部54とを含む。
【0031】
第2ゴム部材22を加硫させるとともに、第2ゴム部材22を第1ゴム部材21と繋ぐ際には、図9に示すように、第2ゴム部材22を、第2ゴム部材加硫用プレス成形型50に、そのキャビティC3において、第2部材本体221が第2部材本体成形部51に収容されるとともに、第2端部222がゴム部材結合部52に収容されるように配置する。また、第1ゴム部材21を、第2ゴム部材加硫用プレス成形型50に、そのキャビティC3において、一方の第1部材本体211の先端側部分が第1部材本体収容部53、第1端部212がゴム部材結合部52、及び第1係合凸部213が第1係合凹部54にそれぞれ収容され、且つ第1部材本体211の先端側部分以外の部分が一方の開口から外部に延びるとともに、他方の第1部材本体211の先端側部分が第1部材本体収容部53、第1端部212がゴム部材結合部52、及び第1係合凸部213が第1係合凹部54にそれぞれ収容され、且つ第1部材本体211の先端側部分以外の部分が他方の開口から外部に延びるように配置する。
【0032】
その後、第2ゴム部材加硫用プレス成形型50を閉じて加熱及び加圧する。このとき、第2部材本体成形部51では、未加硫ゴムが加硫することにより加硫ゴムとなる。各ゴム部材結合部52では、未加硫ゴムの第1端部212及び第2端部222が、流動することにより相互に混じり合うとともに加硫し、それによって結合して繋がることにより加硫ゴムのジョイント部13に形成される。
【0033】
そして、第1ゴム部材21の一方の第1端部212と第2ゴム部材22の一方の第2端部222とを繋ぐとともに、第1ゴム部材21の他方の第1端部212と第2ゴム部材22の他方の第2端部222とを繋いだ環状成形体を第2ゴム部材加硫用プレス成形型50から脱型し、その環状成形体から、第1係合凸部213を切除することにより大径シール材10を得る。
【0034】
以上の実施形態に係る大径シール材10の第2の製造方法によれば、第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22を、第2ゴム部材加硫用プレス成形型50に、そのキャビティC3において、第1端部212及び第2端部222がゴム部材結合部52に収容されるとともに、第1係合凸部213が第1係合凹部54に収容されるように配置した後、第1端部212及び第2端部222を加硫させて結合させることにより繋ぐので、第1係合凸部213が第1係合凹部54に係合し、第1端部212の加硫時における流動が規制されて第1端部212の加硫時における伸びが抑制される。そのため、第1ゴム部材21の未加硫ゴムの第1端部212と第2ゴム部材22の未加硫ゴムの第2端部222とを加硫させて繋ぐ工程を含むものの、寸法精度の高い大径シール材10を製造することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、ゴム製品としての大径シール材10の製造方法としたが、特にこれに限定されるものではなく、一般に送り焼きにより製造されるその他のゴム製品の製造方法であってもよい。また、大径シール材10は、Oリング以外の形状のシール材であってもよい。
【0036】
本実施形態では、第1ゴム部材21及び第2ゴム部材22の一対のゴム部材を用い、それらの両端同士を繋いで大径シール材10を製造する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、3個以上のゴム部材を同様の方法で繋ぐ構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、ゴム製品の製造方法及びそれに用いる成形型の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0038】
10 大径シール材
11 第1ゴム部分
12 第2ゴム部分
13 ジョイント部
21 第1ゴム部材
211 第1部材本体
212 第1端部
213 第1係合凸部
22 第2ゴム部材
221 第2部材本体
222 第2端部
223 第2係合凸部
30 ゴム部材作製用プレス成形型
31 部材本体成形部
32 端部成形部
33 係合凸部成形部
34 冷却水流路
40 ゴム部材結合用プレス成形型
41 ゴム部材結合部
42 第1部材本体収容部
43 第2部材本体収容部
44 第1係合凹部
45 第2係合凹部
50 第2ゴム部材加硫用プレス成形型
51 第2部材本体成形部
52 ゴム部材結合部
53 第1部材本体収容部
54 第1係合凹部
C1,C2,C3 キャビティ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9