(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062302
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】エジェクタ装置、型締装置、および射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/43 20060101AFI20230426BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20230426BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B29C45/43
B29C45/64
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172190
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM01
4F202CA11
4F202CB01
4F202CL02
4F202CM02
4F202CM08
4F202CM09
4F206AM01
4F206JA07
4F206JC08
4F206JL02
4F206JM06
4F206JN41
4F206JQ83
4F206JT06
4F206JT21
4F206JT24
(57)【要約】
【課題】成形品を傷つけずに突き出しすることができ、長期間の運転を経てもエジェクタロッドを安定して駆動することができるエジェクタ装置を提供する。
【解決手段】エジェクタ装置(5)をエジェクタロッド(23)と、このエジェクタロッド(23)を駆動するシリンダユニット(24)と、シリンダユニット(24)に流体を供給する流体供給装置(26)とから構成する。流体供給装置(26)は、流体の圧力を2段階以上に切替えてシリンダユニット(24)に供給可能に構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型に対して進退自在にスライドするエジェクタロッドと、
該エジェクタロッドを駆動するシリンダユニットと、
前記シリンダユニットに流体を供給する流体供給装置と、を備え、
前記流体供給装置は、前記流体の圧力を2段階以上に切替えて前記シリンダユニットに供給可能になっている、エジェクタ装置。
【請求項2】
前記シリンダユニットに供給する流体は油圧作動油からなる、請求項1に記載のエジェクタ装置。
【請求項3】
前記流体供給装置は圧縮空気の圧力を前記油圧作動油の油圧に変換する流体変換手段を備える、請求項2に記載のエジェクタ装置。
【請求項4】
前記流体供給装置は第1増圧手段が選択可能に設けられ、前記第1増圧手段が選択されると圧縮空気が増圧されて前記流体変換手段に供給されるようになっている、請求項3に記載のエジェクタ装置。
【請求項5】
前記流体変換手段は第2増圧手段を備え、前記第2増圧手段は、圧縮空気の圧力を油圧に変換するとき、2段階以上の異なる油圧に変換可能になっている、請求項3または4に記載のエジェクタ装置。
【請求項6】
前記流体変換手段は等圧変換手段と第3増圧手段とが選択可能に設けられ、前記等圧変換手段が選択されると圧縮空気の圧力が等圧の油圧に変換され、前記第3増圧手段が選択されると圧縮空気の圧力が増圧されて油圧に変換される、請求項3または4に記載のエジェクタ装置。
【請求項7】
前記エジェクタ装置はコントローラを備え、該コントローラにおいて検出される前記エジェクタロッドの駆動に要する時間が許容時間を超えると前記流体の圧力を高圧に切り替えるようになっている、請求項1~6のいずれかの項に記載のエジェクタ装置。
【請求項8】
前記エジェクタ装置は、前記エジェクタロッドを前進方向に駆動するときと後退方向に駆動するときとで、前記流体の圧力を切り替えるようになっている、請求項1~6のいずれかの項に記載のエジェクタ装置。
【請求項9】
金型が取り付けられる型盤と、
該型盤を駆動して前記金型を型締めする型締機構と、
エジェクタ装置と、を備え、
前記エジェクタ装置は、前記型盤に設けられているエジェクタ本体部と、
流体供給装置と、から構成され、
前記エジェクタ本体部は、前記金型に対して進退自在にスライドするエジェクタロッドと、
該エジェクタロッドを駆動するシリンダユニットと、を備え、
前記流体供給装置は、前記シリンダユニットに流体を供給するようになっていると共に前記流体の圧力を2段階以上に切替えて供給可能になっている、型締装置。
【請求項10】
前記シリンダユニットに供給する流体は油圧作動油からなる、請求項9に記載の型締装置。
【請求項11】
前記流体供給装置は圧縮空気の圧力を前記油圧作動油の油圧に変換する流体変換手段を備える、請求項10に記載の型締装置。
【請求項12】
前記流体供給装置は第1増圧手段が選択可能に設けられ、前記第1増圧手段が選択されると圧縮空気が増圧されて前記流体変換手段に供給されるようになっている、請求項11に記載の型締装置。
【請求項13】
前記流体変換手段は第2増圧手段を備え、前記第2増圧手段は、圧縮空気の圧力を油圧に変換するとき、2段階以上の異なる油圧に変換可能になっている、請求項11または12に記載の型締装置。
【請求項14】
前記流体変換手段は等圧変換手段と第3増圧手段とが選択可能に設けられ、前記等圧変換手段が選択されると圧縮空気の圧力が等圧の油圧に変換され、前記第3増圧手段が選択されると圧縮空気の圧力が増圧されて油圧に変換される、請求項11または12に記載の型締装置。
【請求項15】
前記型締装置は竪型の型締装置であり、
前記型盤は、固定盤と、上可動盤と、を備え、
前記エジェクタロッドは、前記上可動盤に設けられ、
前記シリンダユニットは前記エジェクタロッドと一体的に形成されている、請求項9~14のいずれかの項に記載の型締装置。
【請求項16】
金型を型締する型締装置と、
樹脂を射出する射出装置と、
前記型締装置に設けられているエジェクタ装置と、を備え、
前記エジェクタ装置は、金型に対して進退自在にスライドするエジェクタロッドと、
該エジェクタロッドを駆動するシリンダユニットと、
前記シリンダユニットに流体を供給する流体供給装置と、を備え、
前記流体供給装置は、前記流体の圧力を2段階以上に切替えて前記シリンダユニットに供給可能になっている、射出成形機。
【請求項17】
前記シリンダユニットに供給する流体は油圧作動油からなる、請求項16に記載の射出成形機。
【請求項18】
前記流体供給装置は圧縮空気の圧力を前記油圧作動油の油圧に変換する流体変換手段を備える、請求項17に記載の射出成形機。
【請求項19】
前記流体供給装置は第1増圧手段が選択可能に設けられ、前記第1増圧手段が選択されると圧縮空気が増圧されて前記流体変換手段に供給されるようになっている、請求項18に記載の射出成形機。
【請求項20】
前記流体変換手段は第2増圧手段を備え、前記第2増圧手段は、圧縮空気の圧力を油圧に変換するとき、2段階以上の異なる油圧に変換可能になっている、請求項18または19に記載の射出成形機。
【請求項21】
前記流体変換手段は等圧変換手段と第3増圧手段とが選択可能に設けられ、前記等圧変換手段が選択されると圧縮空気の圧力が等圧の油圧に変換され、前記第3増圧手段が選択されると圧縮空気の圧力が増圧されて油圧に変換される、請求項18または19に記載の射出成形機。
【請求項22】
前記射出成形機は竪型射出成形機であり、
前記型締装置は、固定盤と、上可動盤と、を備え、
前記エジェクタロッドは、前記上可動盤に設けられ、
前記シリンダユニットは前記エジェクタロッドと一体的に形成されている、請求項16~21のいずれかの項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エジェクタロッドを駆動して金型の成形品を突き出すエジェクタ装置、エジェクタ装置を備えた型締装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の型締装置には、金型内の成形された成形品を突き出すエジェクタ装置が設けられている。エジェクタ装置は例えば特許文献1に記載されているように、金型に対して進退自在に設けられているエジェクタロッドと、このエジェクタロッドを駆動するシリンダユニット、等から構成されている。圧縮空気もしくは作動油をシリンダユニットに駆動するとエジェクタロッドが駆動され、エジェクタプレートによって金型内に設けられているエジェクタプレートが駆動される。エジェクタプレートには1本もしくは複数本のエジェクタピンが設けられ、成形品が突き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エジェクタロッドは、比較的小さな駆動力で駆動すると、成形品を突き出すときに成形品を傷めるに済む。したがって、シリンダユニットに圧縮空気を供給する等して、エジェクタロッドを比較的小さな力で駆動させることが好ましい。しかしながら成形サイクルを繰り返すと金型内においてエジェクタピンに射出材料が少しずつ付着する。そうすると小さな駆動力ではエジェクタロッドを駆動できなくなるという問題がある。したがって、エジェクタ装置には、シリンダユニットに油圧作動油を供給して比較的大きな駆動力でエジェクタロッドを駆動するタイプのものが選定されることが多い。
【0005】
本開示において、成形品を傷つけずに突き出しでき、長期間安定して稼働することができるエジェクタ装置を提供する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、エジェクタ装置において、エジェクタロッドを駆動するシリンダユニットに供給する流体の圧力を調整可能にする。すなわち、流体の圧力を2段階以上に切替えられるように構成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、成形品を傷つけずに成形品を突き出すことができ、長期運転によりエジェクタロッドの動作が重くなったとしても流体の圧力を高くすることによって、エジェクタロッドをスムーズに駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る竪型射出成形機を示す正面図である。
【
図2】上可動盤の一部と本実施の形態に係るエジェクタ装置のエジェクタロッドとを示す正面断面図である。
【
図3】エジェクタロッドを駆動するシリンダユニットに油圧を供給する、本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図4A】本実施の第1の形態に係る流体供給装置に設けられている、本実施の形態に係るエアハイドロブースタの正面断面図である。
【
図4B】本実施の他の形態に係るエアハイドロブースタの正面断面図である。
【
図4C】本実施のさらに他の形態に係るエアハイドロブースタの正面断面図である。
【
図5A】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図5B】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図5C】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図5D】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図5E】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図5F】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図5G】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図5H】本実施の第1の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図6A】本実施の形態に係るエジェクタ装置の駆動力選択・モード選択画面を示す図である。
【
図6B】本実施の形態に係るエジェクタ装置の駆動力診断画面を示す図である。
【
図7】本実施の第2の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図8】本実施の第3の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【
図9】本実施の第4の形態に係る流体供給装置の空気圧回路と油圧回路とを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
本実施の形態を説明する。
<竪型射出成形機>
本実施の形態に係る竪型射出成形機1は、
図1に示されているように、型締装置2と射出装置3とから概略構成されている。型締装置2には後で詳しく説明する、本実施の形態に係るエジェクタ装置5が設けられている。竪型射出成形機1にはコントローラ6が設けられ、型締装置2、射出装置3を制御するようになっている。またコントローラ6は、本実施の形態に係るエジェクタ装置5も制御するようになっている。
【0012】
<型締装置>
型締装置2は直圧式から構成することもでき、型開閉する機構についてその種類は限定されない。本実施の形態に係る型締装置2はトグル式からなる。すなわち、型締装置2は、3個の型盤、つまり固定盤9と、上可動盤11と、下可動盤12と、これら型盤を接続するタイバー13、13、…と、トグル機構15とから構成されている。固定盤9は筐体8に支持され、上可動盤11は固定盤9の上方に配置され、下可動盤12は固定盤9の下方に配置され、上可動盤11と下可動盤12はタイバー13、13、…によって連結されている。トグル機構15は、固定盤9と下可動盤12の間に設けられている。このような型締装置2の固定盤9と上可動盤11には金型16、17が設けられている。したがってトグル機構15を駆動すると金型16、17が型締めされるようになっている。
【0013】
<射出装置>
射出装置3は、図示されない支柱によって上可動盤11に対して支持されている。射出装置3は、加熱シリンダ18と、この加熱シリンダ18に入れられているスクリュ19とから概略構成されている。スクリュ19は図示されない駆動装置によって回転方向と軸方向とに駆動されるようになっている。加熱シリンダ18の先端には射出ノズル21が設けられている。
【0014】
<エジェクタ装置>
型締装置2に関連して設けられている本実施の形態に係るエジェクタ装置5を説明する。エジェクタ装置5は、上可動盤11に設けられているエジェクタ本体部22と、このエジェクタ本体部22に流体を供給する流体供給装置26とから構成されている。
【0015】
<エジェクタ本体部>
エジェクタ本体部22は、
図2に示されているように、上可動盤11に開けられたエジェクタ収納穴25に入れられており、エジェクタロッド23と、このエジェクタロッド23を駆動するシリンダユニット24とから概略構成されている。
【0016】
この実施の形態において、エジェクタロッド23とシリンダユニット24は一体的に形成されている。すなわちエジェクタロッド23には、その上方の一部に拡径部27a、27aと、これら拡径部27a、27aの間に入れられたOリング27bとからなるピストン部27が設けられている。エジェクタ収納穴25はその開口部25bは大径に形成されているが、その奥が小径で一定の径に形成されたシリンダ部25aになっている。エジェクタロッド23のピストン部27は、このシリンダ部25aに入れられている。エジェクタ収納穴25には、シリンダ部25aを閉鎖するようにシール部材28が設けられている。シリンダ部25a内は、ピストン部27によって仕切られ、2部屋の流体室29a、29bが形成されている。
【0017】
上可動盤11には、流体を供給・排出するための管路30a、30bが設けられ、それぞれAポート、Bポートとして流体室29a、29bに接続されている。したがって、流体をAポートから供給するとエジェクタロッド23は前進方向に駆動され、Bポートから供給すると後退方向に駆動されるようになっている。
【0018】
エジェクタ収納穴25は、その開口部25bが閉鎖部材85によって閉鎖されている。閉鎖部材85の上部には空間が形成されている。流体として油圧作動油が選定される場合、この空間は長期間の運転によって流体室29a、29bから漏れた油圧作動油を受ける部屋になっている。ここに、ドレン配管86が接続され、不要な油圧作動油が外部に排出されるようになっている。
【0019】
金型17内には、エジェクタロッド23に接続されている延長ロッド87が設けられ、延長ロッド87はエジェクタプレート88に接続されている。エジェクタプレート88には、図には示されていないが1本あるいは複数本のエジェクタピンが設けられており、成形品を突き出すようになっている。延長ロッド87には突起89が固定されている。金型17側には第1、2のリミットスイッチ91、92が設けられ、コントローラ6(
図1参照)に接続されている。突起89が第1のリミットスイッチ91に接触するとエジェクタロッド23の前進が、そして突起89が第2のリミットスイッチ92に接触するとエジェクタロッド23の後退が検出されることになる。
【0020】
<流体供給装置>
本実施の形態に係るエジェクタ装置5を構成している流体供給装置26(
図1参照)は、以下の説明で明らかになるように、シリンダユニット24(
図2参照)に供給する流体の圧力を少なくとも2段階以上に切替えて、エジェクタロッド23を駆動する力を変更できる点に最大の特徴がある。このような作用を奏する流体供給装置26は色々な構成を採ることができる。最初に
図3に基づいて本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aを説明する。
【0021】
<本実施の第1の形態に係る流体供給装置>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aは、シリンダユニット24に供給する流体が油圧作動油からなる。ただし、流体供給装置26Aにおいて、駆動源は圧縮空気であり、これが内部で油圧に変換されてシリンダユニット24に供給されるようになっている。
図3は二点鎖線によって上下に分割されているが、分割された下半分において圧縮空気が供給される圧縮空気回路が示され、そして上半分において圧縮空気を油圧に変換する流体変換手段と、油圧が供給される油圧回路が示されている。
【0022】
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aの圧縮空気回路には、圧縮空気を供給する空気源31と、エアフィルタ(F)、レギュレータ(R)、ルブリケータ(L)からなるFRLユニット32と、第3の電磁切換弁33とが設けられている。第3の電磁切換弁33の下流は分岐した2本の管路になっており、第3の電磁切換弁33はこれら管路を切り替えるようになっている。一方の分岐した管路には第1のチェック弁35が設けられ、他方の分岐した管路には増圧弁36とアキュムレータ37と第2のチェック弁39とが設けられている。後で説明するように、この他方の分岐の増圧弁36とアキュムレータ37は、圧縮空気の空気圧を増圧する第1増圧手段になっている。
【0023】
これらの2本の分岐した管路は第1、2のチェック弁35、39の下流で合流し、残圧抜きバルブ40に接続されている。残圧抜きバルブ40はメンテナンス時等において管路に残った圧縮空気を排出するためものである。残圧抜きバルブ40の下流は2本の管路に分岐しており、それぞれの分岐は第1、2の電磁切換弁42、43に接続されている。
【0024】
第1の電磁切換弁42の下流は2本の管路に分岐し、次に説明する本実施の形態に係る第1のエアハイドロブースタ45のAポート、Bポートにそれぞれ接続されている。同様に本実施の形態に係る第2の電磁切換弁43の下流も2本の管路に分岐し、第2のエアハイドロブースタ46のAポート、Bポートにそれぞれ接続されている。第1、2のエアハイドロブースタ45、46においては圧縮空気の空気圧が油圧作動油の油圧に変換され、それぞれの油圧管路から油圧作動油が供給される。これら管路には、リバースレギュレータとチェック弁とからなる第1、2のチェック弁付きリバースレギュレータ48、49と、可変絞り弁とチェック弁とからなる第1、2のチェック弁付き可変絞り弁51、52とが設けられている。また、第1、2のチェック弁付き可変絞り弁51、52は、それぞれシリンダユニット24のAポート、Bポートに接続されている。
【0025】
第1、2の電磁切換弁42、43には、それぞれ圧縮空気が排出される管路が設けられ、これら管路にはサイレンサ64、64が接続されている。なお、第3の電磁切換弁33や次に説明する第1、2のエアハイドロブースタ45、46等にも圧縮空気を排出する管路とサイレンサとが設けられているが、
図3においてこれらは省略されている。
【0026】
<本実施の形態に係るエアハイドロブースタ>
本実施の形態に係る第1、2のエアハイドロブースタ45、46は、
図4Aに示されているように、互いに連通した大シリンダ53と小シリンダ54と、大シリンダ53と小シリンダ54内に設けられているピストン56、57とから構成されている。そしてこれらピストン56、57はロッド58によって連結されて一体的に駆動されるようになっている。小シリンダ54の先端にはオイルポッド60が接続され油圧作動油が供給されるようになっている。
【0027】
本実施の形態に係る第1、2のエアハイドロブースタ45、46は、大シリンダ53において仕切壁59が設けられている点に特徴がある。したがって大シリンダ53内は3個のエリアに分割されている。すなわちピストン56によって仕切られた左側の第1のエリア61と、ピストン56と仕切壁59とに仕切られた第2のエリア62と、仕切壁59によって仕切られた右側の第3のエリア63である。第3のエリア63は小シリンダ54に連通している。これら第1~3のエリア61、62、63には、それぞれAポート、サイレンサ64、Bポートが接続されている。
【0028】
本実施の形態に係る第1、2のエアハイドロブースタ45、46において、Aポートから第1のエリア61に圧縮空気を供給すると、ピストン56、57は図において右方に駆動され、空気圧が増圧された油圧に変換される。また、Bポートから第3のエリア63に圧縮空気を供給すると、やはりピストン56、57は右方に駆動されて空気圧が等圧の油圧に変換されるようになっている。つまり本実施の形態に係る第1、2のエアハイドロブースタ45、46は、空気圧から油圧に変換するとき2段階の異なる圧力に変換する第2増圧手段になっている。
【0029】
<本実施の第1の形態に係る流体供給装置の作用>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aは、第1~3の電磁切換弁42、43、33がコントローラ6(
図1参照)に接続され、コントローラ6の司令によってそれぞれの電磁コイルa、bが駆動されるようになっている。コントローラ6が第1~3の電磁切換弁42、43、33を操作することによって、シリンダユニット24に供給する油圧作動油の供給先のA、Bポートが切替えられるだけでなく、油圧も複数段階に切替えられるようになっている。つまりエジェクタロッド23はその進退方向を切替えられるだけでなく、その駆動力も複数段階に切替えられる。これを説明する。
【0030】
<エジェクタロッド23の前進操作、1段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Aに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルbを駆動すると共に、第1の電磁切換弁42の電磁コイルbを駆動する。そうすると、空気源31からの圧縮空気はFRLユニット32、第3の電磁切換弁33、第1のチェック弁35、残圧抜きバルブ40、第1の電磁切換弁42を経由して第1のエアハイドロブースタ45のBポートに供給される。Bポートに供給される圧縮空気は増圧されていないので、空気源31から供給される空気圧、例えば0.5MPaになっている。
【0031】
第1のエアハイドロブースタ45において空気圧と等圧の油圧に変換される。この例では0.5MPaの油圧に変換される。この油圧の油圧作動油が第1のチェック弁付きリバースレギュレータ48、第1のチェック付き可変絞り弁51を経て油圧と流速とが調整され、シリンダユニット24のAポートに供給される。これによって1段階目の圧力によってエジェクタロッド23が前進する。金型17(
図1参照)内の成形品が突き出される。
【0032】
<エジェクタロッド23の前進操作、2段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Bに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルaを駆動すると共に、第1の電磁切換弁42の電磁コイルbを駆動する。そうすると、空気源31からの圧縮空気はFRLユニット32、第3の電磁切換弁33、増圧弁36、アキュムレータ37に流れる。空気源31からの圧縮空気は増圧弁36によって増圧され、例えば1MPaになる。これがアキュムレータ37によって安定した空気圧に調整され、第2のチェック弁39、残圧抜きバルブ40、第1の電磁切換弁42を経由して第1のエアハイドロブースタ45のBポートに供給される。
【0033】
Bポートに供給された増圧した圧縮空気は第1のエアハイドロブースタ45において等圧の油圧に変換される。この例では1MPaの油圧に変換される。この油圧作動油がシリンダユニット24のAポートに供給される。つまり2段階目の圧力によってエジェクタロッド23が前進する。金型17(
図1参照)内の成形品が突き出される。
【0034】
<エジェクタロッド23の前進操作、3段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Cに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルbを駆動すると共に、第1の電磁切換弁42の電磁コイルaを駆動する。そうすると、空気源31からの圧縮空気は、増圧されずに例えば0.5MPaの空気圧で第1の電磁切換弁42を経由して第1のエアハイドロブースタ45のAポートに供給される。Aポートに供給された圧縮空気は第1のエアハイドロブースタ45において増圧された油圧に変換される。つまり、例えば7MPaの油圧に変換される。この油圧作動油がシリンダユニット24のAポートに供給される。すなわち3段階目の圧力によってエジェクタロッド23が前進する。金型17(
図1参照)内の成形品が突き出される。
【0035】
<エジェクタロッド23の前進操作、4段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Dに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルaを駆動すると共に、第1の電磁切換弁42の電磁コイルaを駆動する。そうすると、空気源31からの圧縮空気は、増圧弁36によって増圧されて例えば1MPaになる。この圧縮空気が第1の電磁切換弁42を経由して第1のエアハイドロブースタ45のAポートに供給される。Aポートに供給された圧縮空気は第1のエアハイドロブースタ45において増圧された油圧に変換される。例えば14MPaの油圧に変換される。この油圧作動油がシリンダユニット24のAポートに供給される。すなわち4段階目の圧力によってエジェクタロッド23が前進する。金型17(
図1参照)内の成形品が突き出される。
【0036】
<エジェクタロッド23の後退操作、1段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Eに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルbを駆動すると共に、第2の電磁切換弁43の電磁コイルbを駆動する。そうすると、空気源31からの圧縮空気はFRLユニット32、第3の電磁切換弁33、第1のチェック弁35、残圧抜きバルブ40、第1の電磁切換弁42を経由して第2のエアハイドロブースタ46のBポートに供給される。Bポートに供給される圧縮空気は増圧されていないので、空気源31から供給される空気圧、例えば0.5MPaになる。
【0037】
第2のエアハイドロブースタ46において空気圧と等圧の油圧に変換される。この例では0.5MPaの油圧に変換される。この油圧の油圧作動油が第2のチェック弁付きリバースレギュレータ49、第2のチェック付き可変絞り弁52を経て油圧と流速とが調整されてシリンダユニット24のBポートに供給される。これによって1段階目の圧力によってエジェクタロッド23が後退する。つまりエジェクタロッド23が金型17(
図1参照)内から退避する。
【0038】
<エジェクタロッド23の後退操作、2段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Fに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルaを駆動すると共に、第2の電磁切換弁43の電磁コイルbを駆動する。空気源31からの圧縮空気はFRLユニット32、第3の電磁切換弁33、増圧弁36、アキュムレータ37に流れる。空気源31からの圧縮空気は増圧弁36によって増圧され、例えば1MPaになる。これがアキュムレータ37によって安定した空気圧に調整され、第2のチェック弁39、残圧抜きバルブ40、第2の電磁切換弁43を経由して第2のエアハイドロブースタ46のBポートに供給される。
【0039】
Bポートに供給される増圧した圧縮空気は第2のエアハイドロブースタ46において等圧の油圧に変換される。この例では1MPaの油圧に変換される。この油圧作動油がシリンダユニット24のBポートに供給され、2段階目の圧力によってエジェクタロッド23が後退する。つまりエジェクタロッド23が金型17(
図1参照)内から退避する。
【0040】
<エジェクタロッド23の後退操作、3段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Gに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルbを駆動すると共に、第2の電磁切換弁43の電磁コイルaを駆動する。そうすると、空気源31からの圧縮空気は、増圧されずに例えば0.5MPaの空気圧で第2の電磁切換弁43を経由して第2のエアハイドロブースタ46のAポートに供給される。Aポートに供給された圧縮空気は増圧された油圧に変換される。つまり、例えば7MPaの油圧に変換される。この油圧作動油がシリンダユニット24のBポートに供給され、3段階目の圧力によってエジェクタロッド23が後退する。つまりエジェクタロッド23が金型17(
図1参照)内から退避する。
【0041】
<エジェクタロッド23の後退操作、4段階目の圧力>
本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aにおいて、
図5Hに示されているように、第3の電磁切換弁33の電磁コイルaを駆動すると共に、第2の電磁切換弁43の電磁コイルaを駆動する。そうすると、空気源31からの圧縮空気は、増圧弁36によって増圧されて例えば1MPaになる。この圧縮空気が第2の電磁切換弁43を経由して第2のエアハイドロブースタ46のAポートに供給される。Aポートに供給された圧縮空気は増圧された油圧に変換される。つまり、例えば14MPaの油圧に変換される。この油圧作動油がシリンダユニット24のBポートに供給され、4段階目の圧力によってエジェクタロッド23が後退する。つまりエジェクタロッド23が金型17(
図1参照)内から退避する。
【0042】
以上のように、本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aは、第1~3の電磁切換弁33、42、43を切り換えると、エジェクタロッド23の前後進を操作できるだけでなく、エジェクタロッド23を駆動する駆動力を4段階に変更できる。このような本実施の第1の形態に係る流体供給装置26Aを備えたエジェクタ装置5は、色々な運転方法により運転することができる。
【0043】
代表的な運転方法は、エジェクタロッド23の駆動に要する力が上昇したときに、エジェクタロッド23の駆動力を段階的に大きくする方法である。エジェクタロッド23は、長期間の使用によりエジェクタピン等に樹脂が蓄積すると摺動抵抗により駆動しにくくなる。つまりエジェクタロッド23の駆動に要する力が上昇する。初期の段階では1段階目の駆動力でエジェクタロッド23を前進・後進するようにし、長期使用によってエジェクタロッド23の摺動抵抗が増加するに従って、駆動力を2段階目、3段階目、および4段階目に上げるようにすればよい。
【0044】
<エジェクタ装置の駆動力選択・モード選択画面>
コントローラ6(
図1参照)には、
図6Aに示されているように、エジェクタ装置5の駆動力に関して設定する駆動力選択・モード選択画面100が設けられている。駆動力選択・モード選択画面100には、上段の駆動力選択・表示欄101と、下段のモード選択欄102とが設けられている。駆動力選択・表示欄101は、エジェクタロッド23を駆動する駆動力を選択・表示する欄になっている。プルダウンリスト103において、1~4段階目のいずれかから選択し、実行ボタン104を選択すると、駆動力を選択できる。以後、選択した駆動力でエジェクタロッド23を前進・後退するように、第1の実施の形態に係る流体供給装置26Aの第1~3の電磁切換弁42、43、33がコントローラ6によって操作される。なお、プルダウンリスト103は、現在選択されている駆動力が表示されるようにもなっている。
【0045】
モード選択欄102は、エジェクタロッド23の駆動力について、コントローラ6が自動的に切り換えるようにするか、否かを選択する欄である。プルダウンリスト106で自動切換モードを選択すると、以後、コントローラ6が自動的に判断して駆動力を切換える。自動切換えモードを選択する場合、切換条件として前進許容秒数108と、後退許容秒数109とを設定する。例えば、現在の駆動力が1段階目になっており、1段階目の駆動力でエジェクタロッド23を前進方向に駆動したときに、設定された前進許容秒数を超えたら、以後コントローラ6は駆動力を2段階目に切換える。同様に、エジェクタロッド23を後退方向に駆動したときに後退許容秒数を超えたら、以後コントローラ6は駆動力を自動的に切換える。プルダウンリスト106で手動モードを選択すると、駆動力は自動的に切換えられない。手動モードではプルダウンリスト103にて手動で駆動力を切換えることになる。
【0046】
<エジェクタ装置の駆動力診断画面>
コントローラ6(
図1参照)には、
図6Bに示されているように、エジェクタ装置5の駆動力に関して診断する駆動力診断画面112が設けられている。駆動力診断画面112において上段の診断条件欄113は、駆動力を診断するための条件を設定するようになっている。中段のリミットスイッチ表示欄114は、エジェクタロッド23(
図2参照)が駆動力の診断において駆動されるときに、第1、2のリミットスイッチ91、92の信号を表示してエジェクタロッド23の前進・後退が完了したか否かをチェックする欄になっている。下段の診断結果欄115は、駆動力診断の結果を表示する欄になっている。
【0047】
オペレータは、診断条件欄113において、診断条件として前進許容秒数117と、後退許容秒数118とを設定する。診断実行ボタン120を選択すると、コントローラ6(
図1参照)は本実施の形態に係る流体供給装置26Aを駆動して、1段階目~4段階目のそれぞれの駆動力においてエジェクタロッド23を前進・後進させる。そしてそれぞれの駆動力に対して、エジェクタロッド23の前進・後進が前進許容秒数117と後退許容秒数118を超えたか否かを診断する。この診断中において、エジェクタロッド23(
図2参照)が前進・後進が正しく実施されているか否かは、アイコン122、123が点灯するか否かで確認することができる。コントローラ6は、診断後、推奨駆動力125として、推奨する駆動力を表示する。推奨する駆動力は、前進許容秒数117と後退許容秒数118とを超えない駆動力のうち、最小の駆動力とする。
【0048】
<本実施の他の形態に係るエアハイドロブースタ>
本実施の他の形態に係るエアハイドロブースタ45、46は、変形することが可能である。他の実施の形態が
図4Bに示されている。この実施の形態に係るエアハイドロブースタ45‘、46’は、大シリンダ53に入れられているピストン56に、先端部が所定長さだけ径が小さい突起部が形成された雄型ロッド66が設けられている。一方、小シリンダ54に入れられているピストン57には、その端面において軸方向に所定深さで孔が開けられた雌型ロッド67が設けられている。雄型ロッド66と雌型ロッド67は、突起部が孔に挿入されるようにして連結されている。この実施の形態に係るエアハイドロブースタ45‘、46’においてAポートから第1のエリア61に圧縮空気が供給されると、ピストン56、57が一体的に右方に駆動される。また、エアハイドロブースタ45‘、46’においてBポートから第3のエリア63に圧縮空気が供給されると、ピストン57のみが右方に駆動されるようになっている。
【0049】
図4Cには、変形された他の実施の形態に係るエアハイドロブースタ45‘’、46’‘が示されている。この実施の形態においては、油圧作動油が入れられている部屋に、バネ69が入れられている。Aポートから第1のエリア61に、あるいはBポートから第3のエリア63に圧縮空気が供給されると、バネ69の弾性力に抗してピストン56、57が駆動されて油圧作動油が供給されるようになっている。また、Aポートから第1のエリア61に、あるいはBポートから第3のエリア63に圧縮空気の供給がなくなると、バネ69の弾性力によってピストン56、57は左方に戻される。
【0050】
<本実施の第2の形態に係る流体供給装置>
図1に示されている本実施の形態に係る流体供給装置26は、色々な変形が可能である。第1の実施の形態に係る流体供給装置26A(
図3参照)は、第1、2のエアハイドロブースタ45、46に特殊な構造を備えたエアハイドロブースタを使用する必要がある。具体的には、
図4Aから
図4Cに示されている、大シリンダ53内に仕切壁59を備えたエアハイドロブースタを使用する必要がある。これに対して、市販されている一般的な構造のエアハイドロブースタから流体供給装置26を構成することもできる。このような流体供給装置26として、
図7に本実施の第2の形態に係る流体供給装置26Bが示されている。
【0051】
本実施の第2の形態に係る流体供給装置26Bは、第1、2のエアハイドロブースタ45x、46xに市販されている一般的な構造のエアハイドロブースタが採用されている。これらは空気圧を増圧して油圧に変換するので、第3増圧手段ということができる。ただし、これら第1、2のエアハイドロブースタ45x、46xにはオイルポッドの代わりにそれぞれ第1、2のエアハイドロコンバータ71、72が設けられている。すなわち、空気圧を等圧の油圧に変換する等圧変換手段が設けられている。そしてこれら第1、2のエアハイドロコンバータ71、72に圧縮空気を供給し、あるいは遮断するために、それぞれ第4、5の電磁切換弁74、75が設けられている。
【0052】
当業者であれば容易に理解されるように、第4の電磁切換弁74において電磁コイルaを駆動すると、圧縮空気が第1のエアハイドロコンバータ71に供給されて空気圧と等圧の油圧に変換されてシリンダユニット24のAポートに供給される。第3の電磁切換弁33の切換位置に応じて1段階目もしくは2段階目の圧力によりエジェクタロッド23が前進する。一方、第5の電磁切換弁75において電磁コイルaを駆動すると、圧縮空気が第2のエアハイドロコンバータ72に供給されて空気圧と等圧の油圧に変換されてシリンダユニット24のBポートに供給される。第3の電磁切換弁33の切換位置に応じて1段階目もしくは2段階目の圧力によりエジェクタロッド23が後退する。
【0053】
<本実施の第3の形態に係る流体供給装置>
図8には、市販のエアハイドロコンバータを第1、2のエアハイドロコンバータ45x、46xとして採用した本実施の第3の形態に係る流体供給装置26Cが示されている。これら第1、2のエアハイドロコンバータ45x、46xにはオイルポット60、60が設けられ油圧作動油が供給されるようになっている。この実施の形態においては、第1、2のエアハイドロコンバータ45x、46xのAポートとBポートとの間に、それぞれ第3、4のチェック弁77、78が設けられている。
【0054】
この第3の形態に係る流体供給装置26Cにおいて、第1の電磁切換弁42の電磁コイルaを駆動すると圧縮空気は第1のエアハイドロブースタ45xのAポートにしか供給されない。すなわち圧縮空気の空気圧は増圧されて油圧に変換される。第3の電磁切換弁33の切換位置に応じて3段階目あるいは4段階目の油圧がシリンダユニット24に供給され、エジェクタロッド23が前進方向に駆動される。しかしながら、第1の電磁切換弁42の電磁コイルbを駆動すると圧縮空気は第1のエアハイドロブースタ45xのBポートだけでなくAポートにも供給される。そうすると、第1のエアハイドロブースタ45xにおいて圧縮空気の空気圧は等圧の油圧に変換される。つまり第3の電磁切換弁33の切換位置に応じて1段階目あるいは2段階目の油圧がシリンダユニット24に供給され、エジェクタロッド23が前進方向に駆動される。
【0055】
当業者であれば容易に理解されるので、詳しくは説明しないが、第2の電磁切換弁43の電磁コイルaを駆動すると圧縮空気が増圧された油圧に、電磁コイルbを駆動すると圧縮空気が等圧の油圧にそれぞれ変換され、エジェクタロッド23は後退方向に駆動される。
【0056】
<本実施の第4の形態に係る流体供給装置>
図9には、本実施の第3の形態に係る流体供給装置26C(
図8参照)を変形した、本実施の第4の形態に係る流体供給装置26Dが示されている。第4の形態に係る流体供給装置26Dが第3の形態に係る流体供給装置26Cと相違している点は、第3、4のチェック弁77、78(
図8参照)が設けられていない点、第1、2の電磁切換弁42‘、43’において符号79、80で示されている部分の流路が異なっている点である。この第4の実施の形態に係る流体供給装置26Dも、第3の実施の形態に係る流体供給装置26Cと同様に操作すると、同様の作用を奏する。すなわち、第1の電磁切換弁42‘の電磁コイルbを駆動すると圧縮空気は第1のエアハイドロブースタ45xのAポートとBポートとに供給される。また第2の電磁切換弁42’の電磁コイルbを駆動すると圧縮空気は第2のエアハイドロブースタ46xのAポートとBポートとに供給される。つまり第4の実施の形態に係る流体供給装置26Dも、第3の実施の形態に係る流体供給装置26Cと同様の操作をすることにより同様の作用を奏する。
【0057】
本実施の形態に係るエジェクタ装置5はさらに色々な変形が可能である。例えば、エジェクタ装置5が設けられているのは竪型射出成形機1であると説明したが、横置型の射出成形機であってもよい。また、シリンダユニット24を駆動する流体は油圧作動油であるように説明した。しかしながら、流体は圧縮空気等、他の流体を使用してもよい。どのような流体を採用するとしても2段階以上に圧力を変更できるようになっていればよい。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 竪型射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 5 エジェクタ装置
6 コントローラ 9 固定盤
11 上可動盤 12 下可動盤
13 タイバー 15 トグル機構
16 金型 17 金型
18 加熱シリンダ 19 スクリュ
21 射出ノズル 23 エジェクタロッド
24 シリンダユニット 25 エジェクタ収納穴
26 流体供給装置 27 ピストン部
28 シール部材
29a、29b 流体室
30a、30b 管路
31 空気源 32 FRLユニット
33 第3の電磁切換弁 35 第1のチェック弁
36 増圧弁 37 アキュムレータ
39 第2のチェック弁 40 残圧抜きバルブ
42 第1の電磁切換弁 43 第2の電磁切換弁
45 第1のエアハイドロブースタ
46 第2のエアハイドロブースタ
48 第1のチェック弁付きリバースレギュレータ
49 第2のチェック弁付きリバースレギュレータ
51 第1のチェック弁付き可変絞り弁
52 第2のチェック弁付き可変絞り弁
53 大シリンダ 54 小シリンダ
56 ピストン 57 ピストン
58 ロッド 59 仕切壁
60 オイルポッド 61 第1のエリア
62 第2のエリア 63 第3のエリア
64 サイレンサ
71 第1のエアハイドロコンバータ
72 第2のエアハイドロコンバータ
74 第4の電磁切換弁 75 第5の電磁切換弁
77 第3のチェック弁 78 第4のチェック弁
85 閉鎖部材 86 ドレン配管
87 延長ロッド 88 エジェクタプレート
89 突起 91 第1のリミットスイッチ
92 第2のリミットスイッチ