(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062312
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】連窓
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20230426BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/18 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172206
(22)【出願日】2021-10-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) 販売日 :令和3年7月26日 販売場所 :YKK AP株式会社(東京都千代田区神田和泉町1番地) 販売した物:連窓(BGE31、BGE31e、BGE51eにラインアップされている窓種仕様を連結する形態) (2) 配布日 :令和3年7月26日 配布場所 :YKK AP株式会社(東京都千代田区神田和泉町1番地) 配布した物:連窓(BGE31、BGE31e、BGE51eにラインアップされている窓種仕様を連結する形態)の施工要領を記載した書面
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 吉法
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅也
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011BA00
2E239CA03
2E239CA04
2E239CA22
2E239CA32
2E239CA53
2E239CA66
(57)【要約】
【課題】障子の操作による音が発生し難い連窓を提供する。
【解決手段】複数の枠体が横方向に接続され、前記複数の枠体のうちの少なくとも1つの前記枠体に開閉可能な障子が備えられている連窓であって、横方向に隣り合う前記枠体同士の間を屋内側にて接続する接続部材と、前記接続部材の屋内側に設けられる防火被覆と、前記接続部材とともに前記防火被覆を収容する収容空間を形成するカバー部材と、前記収容空間内に設けられ前記防火被覆の移動を規制する規制部材と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の枠体が横方向に接続され、前記複数の枠体のうちの少なくとも1つの前記枠体に開閉可能な障子が備えられている連窓であって、
横方向に隣り合う前記枠体同士の間を屋内側にて接続する接続部材と、
前記接続部材の屋内側に設けられる防火被覆と、
前記接続部材とともに前記防火被覆を収容する収容空間を形成するカバー部材と、
前記収容空間内に設けられ前記防火被覆の移動を規制する規制部材と、
を有することを特徴とする連窓。
【請求項2】
請求項1に記載の連窓であって、
前記接続部材は、前記防火被覆の両側に屋内側に向かって突出し前記収容空間の内側に位置して前記カバー部材が取り付けられる取付片を有し、
前記規制部材は、前記取付片と前記防火被覆との間に介在されることを特徴とする連窓。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の連窓であって、
前記規制部材は、前記カバー部材と前記防火被覆との間に介在されることを特徴とする連窓。
【請求項4】
請求項2に記載の連窓であって、
前記規制部材は、前記取付片と前記防火被覆との間に介在される第一介在部と、
前記カバー部材と前記防火被覆との間に介在される第二介在部と、
を有することを特徴とする連窓。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれに記載の連窓であって、
前記防火被覆は、上下方向に沿って設けられて前記接続部材側に固定されており、
前記規制部材は、前記防火被覆が固定されている固定位置から、上下方向においてより離れて位置する端側に設けられていることを特徴とする連窓。
【請求項6】
請求項5に記載の連窓であって、
前記規制部材は、前記端側に設けられた前記規制部材と、前記固定位置との間にも設けられていることを特徴とする連窓。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれに記載の連窓であって、
前記規制部材は、不燃性であることを特徴とする連窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の枠体が横方向に連結される連窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの窓部を連結する連結部の室内側に耐火ボードを有する連窓の構造は知られている(例えば、特許文献1参照)。この連窓では、2つの窓部の連結部に各々の窓部を構成する各枠体において連窓の内側に位置する内側縦枠が、左右方向に間隔を空けて配置されており、内側縦枠の室内側の見付面から耐火ボードの周囲を覆うように、断面視略コの字状の内側カバーが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように耐火ボードなどの防火被覆は、防火被覆が取り付けられる枠体側の部材と材質が異なるため、防火被覆は枠体側の部材の熱伸びが許容されるように、所定の自由度を備えて取り付けられている。また、連窓には、引戸や開き戸など開閉可能な障子を備えた窓部で構成されるものも存在する。このような開閉可能な障子を備えた連窓では、障子を開閉する操作の衝撃により、防火被覆と、防火被覆を覆うカバー材とが接触して音が発生してしまうという課題があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、障子の操作による音が発生し難い連窓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の連窓は、複数の枠体が横方向に接続され、前記複数の枠体のうちの少なくとも1つの前記枠体に開閉可能な障子が備えられている連窓であって、
横方向に隣り合う前記枠体同士の間を屋内側にて接続する接続部材と、
前記接続部材の屋内側に設けられる防火被覆と、
前記接続部材とともに前記防火被覆を収容する収容空間を形成するカバー部材と、
前記収容空間内に設けられ前記防火被覆の移動を規制する規制部材と、
を有することを特徴とする。
本発明の他の特徴については、本明細書および添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、障子の操作による音が発生し難い連窓を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る連窓を屋内側から見た図である。
【
図2】連窓の一方の建具を外した状態を示す縦断面図である。
【
図3】連窓の構成を説明するための分解斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、規制部材の側面図であり、
図5(b)は、規制部材の平面図である。
【
図6】取付鋼材に固定された状態の防火被覆と規制部材とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る連窓について図面を参照して説明する。
本実施形態では、
図1に示すように、引き違い障子10aと枠体10bとを備えた2つの建具10が左右方向に並べて設けられる連窓1を例に挙げて説明する。
【0009】
以下の説明においては、連窓1を屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。連窓1の各部位であっても、また、連窓1を構成する各部材については単体の状態であっても、連窓1が建物等に備えられている状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0010】
本実施形態の連窓1は、
図1~
図3に示すように、左右にそれぞれ配置される2つの建具10と、躯体2と建具10とを、アンカー3を介して連結する連結材4及び取付鋼材5と、屋内側において各建具10が係合される枠アンカー6と、屋内側において2つの建具10を接続する接続部材7と、接続部材7の屋内側に設けられる防火被覆8と、防火被覆8が固定される止め付け金具15と、防火被覆8を屋内側から覆うカバー部材9と、を有している。連結材4、接続部材7、及び、カバー部材9は、上下方向を押し出し方向として押し出し成形により製造されたアルミニウム製の形材である。
【0011】
各建具10は、同一であり、左右方向に移動可能な2枚の障子10aと、各障子10aを移動可能に支持する枠体10bと、を有している。連窓1は、左側の窓をなす建具10の右縦枠(以下、左窓縦枠という)11と、右側の窓をなす建具10の左縦枠(以下、右窓縦枠という)12と、が接続されて構成されている。
【0012】
図4に示すように、左窓縦枠11は、見込み面を形成する板状の左縦枠板部11aと、左縦枠板部11aの屋外側端と繋がって見付け面を形成する左外面部11bと、左外面部11bにおいて左縦枠板部11aよりも右側に延出されている部位の端から屋内側に延出された左外延出部11cと、左縦枠板部11aの屋内側端と繋がって見付け面を形成する左内面部11dと、左内面部11dにおいて左縦枠板部11aよりも右側に延出されている部位の端から屋外側に延出された左内延出部11eと、を有している。
【0013】
左縦枠板部11aには、左側の建具10の内障子10aを閉じたときに、内障子10aの戸先と係合する内障子係合片11fが、左側に突出させて設けられている。また、左内面部11dにおいて、左縦枠板部11aよりも左側に延出されている部位の屋外側の面には、閉じた状態の内障子10aに当接する止水材(不図示)が嵌合される止水材嵌合部11gが設けられている。
【0014】
右窓縦枠12は、見込み面を形成する板状の右縦枠板部12aと、右縦枠板部12aの屋外側端と繋がって見付け面を形成する右外面部12bと、右外面部12bにおいて右縦枠板部12aよりも左側に延出されている部位の端から屋内側に延出された右外延出部12cと、右縦枠板部12aの屋内側端と繋がって見付け面を形成する右内面部12dと、右内面部12dにおいて右縦枠板部12aよりも左側に延出されている部位の端から屋外側に延出された右内延出部12eと、を有している。
【0015】
右縦枠板部12aには、右側の建具10の外障子10aを閉じたときに、外障子10aの戸先と係合する外障子係合片12fと、外障子10aに当接する止水材(不図示)が嵌合される止水材嵌合部12gが、右側に突出させて設けられている。
【0016】
連結材4は、2つの建具10の屋外側にて、左窓縦枠11の左外面部11bと右窓縦枠12の右外面部12bとの各々と見込み方向に重なる位置に繋がって見付け面を形成する連結見付面部4aと、連結見付面部4aの屋内側に間隔を空けて対面する屋内対向面部4bと、見込面を形成し連結見付面部4aと屋内対向面部4bとを連結する板状の連結板部4cと、を有している。連結材4は、左窓縦枠11及び右窓縦枠12とほぼ同じ長さを有している。
【0017】
連結見付面部4aは、連結見付面部4aの左右方向における両端部に設けられ、左外面部11bと右外面部12bとに当接される止水材13の止水材嵌合部4dを有している。各止水材嵌合部4dは、左右方向に間隔を空けて屋内側に突出する2つの突片4eを有しており、各突片4eの先端に互いに対向する側に突出すし止水材13を係止する係止部4fが設けられている。
【0018】
左側に設けられている止水材嵌合部4dにおける右側の突片4eの屋内側には、左窓縦枠11の左外延出部11cの右面が当接される左窓枠当接部4gが設けられている。右側に設けられている止水材嵌合部4dにおける左側の突片4eの屋内側には、連結板部4cの屋外側の端が繋がっており、右側の面に右外延出部12cの左面が当接される。連結板部4cの屋内側の端には、左側に延出する屋内対向面部4bが設けられている。
【0019】
取付鋼材5は、上下方向に貫通する中空部を有し、水平断面がほぼ矩形状をなす鋼製の部材である。取付鋼材5は、連結材4よりも僅かに短く形成されており、屋内側の面が連結材4の屋内対向面部4bに当接し、右側の面が連結材4の連結板部4cに当接して、各々ビス止めされている。また、連結材4及び取付鋼材5は、上端側及び下端側にて各々、アンカー3を介して躯体2に固定されている。
【0020】
枠アンカー6は、
図2、
図3に示すように、連結材4の上下方向の長さよりも大幅に短いピース状の部材であり、連結材4の上下方向における上端側と下端側とにそれぞれ設けられている。各枠アンカー6は、連結材4の屋内対向面部4bの屋内側に当接され、屋内対向面部4bを貫通するビスにより取付鋼材5に固定されている。枠アンカー6は、
図4に示すように、屋内対向面部4bと対面して当接される当接板部6aと、当接板部6aにおける左右の端部から屋内側に各々突出する枠係合部6bと、を有している。
【0021】
連結材4及び取付鋼材5に固定された枠アンカー6の、左側の枠係合部6bの右側には、左窓縦枠11の左内延出部11eが配置されて左右方向に対面する状態で係合し、右側の枠係合部6bの左側には、右窓縦枠12の右内延出部12eが配置されて左右方向に対面する状態で係合する。
【0022】
接続部材7は、連結材4とほぼ同様の長さを有し、枠アンカー6に係合している左窓縦枠11及び右窓縦枠12に屋内側から固定される。接続部材7は、枠アンカー6の当接板部6a及び連結材4の屋内対向面部4bと対向する接続部材対向部7aと、接続部材対向部7aの左右の端から屋内側に各々延出された屋内延出部7bと、各屋内延出部7bから互いに離れる方向に延出されて左窓縦枠11又は右窓縦枠12と接続される左右の枠接続部7cと、各枠接続部7cの先端から屋内側に延出され、屋外側の端部にカバー部材9が係止される係止片7dと、を有している。ここで、係止片7dが、カバー部材が取り付けられる取付片に相当する。
【0023】
接続部材対向部7aは、枠アンカー6に係合している左窓縦枠11の左内延出部11eと右窓縦枠12の右内延出部12eとの間に位置している。このため、左窓縦枠11の左内延出部11eは、枠アンカー6の左側の枠係合部6bと接続部材7の左側の屋内延出部7bとの間に位置し、右窓縦枠12の右内延出部12eは、枠アンカー6の右側の枠係合部6bと接続部材7の右側の屋内延出部7bとの間に位置し、左内延出部11e及び右内延出部12eは各々、枠係合部6b及び屋内延出部7bに当接または近接して対向する。屋内延出部7bは、枠接続部7cよりも屋内側に突出している。
【0024】
左側の枠接続部7cは、左窓縦枠11の左内面部11dの屋内側の面と対面して当接され、屋内側から左内面部11dにビス止めされる。右側の枠接続部7cは、右窓縦枠12の右内面部12dの屋内側の面と対面して当接され、屋内側から右内面部12dにビス止めされる。接続部材7が,左窓縦枠11及び右窓縦枠12と接合されることにより、左窓縦枠11と右窓縦枠12との間が接続部材7により屋内側から覆われる。
【0025】
防火被覆8は、例えば繊維強化セメント板であって、接続部材7が有する左右の係止片7dの間隔よりも僅かに狭い幅に形成されている。本実施形態においては、同一幅をなす3枚の繊維強化セメント板が見込み方向に重ねて形成されている。防火被覆8は、左窓縦枠11、右窓縦枠12、及び、接続部材7とほぼ同じ長さを有しており、上部側にて、屋内側からビス止めされている。
【0026】
防火被覆8を固定するビス14は、連結材4の屋内対向面部4bが切り欠かれて取付鋼材5が屋内側に露出する部位に固定された鋼製の止め付け金具15に螺合される。防火被覆8は、屋外側の面が接続部材7の屋内延出部7bの屋内側の端に当接する状態で取り付けられる。
【0027】
止め付け金具15は、取付鋼材5の屋内側の面と見込み方向に間隔を空けて対面し、ビス14が螺合されるビス螺合部15aと、ビス螺合部15aの上下の端から各々屋外側に延出された脚部15bと、上下の脚部15bの屋外側の端から上方または下方に延出され取付鋼材5と対面して当接される固定部15cとを有している。止め付け金具15は、固定部15cが取付鋼材5に直接ビス止めされている。
【0028】
防火被覆8と、防火被覆8が止め付け金具15を介してビス止めされる取付鋼材5とは、火災時などに生じる熱伸び量が互いに相違するため、熱伸びにより防火被覆8が損傷しないように防火被覆8が取り付けられている。本実施形態の例では、1本のビス14により固定されている。本実施形態では、上部側にてビス止めされている防火被覆8は、下端8aが、固定された固定位置Xから、上下方向により離れて位置する端に相当する。
【0029】
カバー部材9は、防火被覆8の屋内側を覆い見付け面を形成する屋内カバー板部9aと、屋内カバー板部9aの左右方向における両端から屋外側に延出されるカバー側板部9bとを有し、水平断面がコ字状をなしている。各カバー側板部9bは、互いに対向する側の面における屋外側の端部に、接続部材7の係止片7dに係止される被係止部9cを有している。
【0030】
カバー部材9が、接続部材7に係止されることにより、カバー部材9と接続部材7とにより防火被覆8が囲まれて収容される収容空間Sが形成され、取り付けられた防火被覆8は、カバー部材9により全長に亘って覆われる。
【0031】
防火被覆8は、カバー部材9が外された状態で、屋外側の面が接続部材7の屋内延出部7bの屋内側の端に当接され、例えば右側面の屋外側の部位が、接続部材7の右側の係止片7dの左側面に当接させて、ビス止めされる。このとき、防火被覆8の左側面と接続部材7の左側の係止片7dの右側面とは間隔が空いている。
【0032】
また、防火被覆8の左右の側面は、カバー部材9のカバー側板部9bと間隔が空けられており、防火被覆8の屋内側の面は、カバー部材9の屋内カバー板部9aと間隔が空けられている。このとき、防火被覆8の左側面と接続部材7の左側の係止片7dとの間隔は、防火被覆8の左の側面とカバー部材9の左側のカバー側板部9bと間隔より、係止片7dの分だけ間隔が狭くなっている。
【0033】
防火被覆8の左側面と、接続部材7の左側の係止片7d及びカバー部材9の左側のカバー側板部9bとの間には、ビス14により一箇所で固定されている防火被覆8の移動を規制する規制部材16が設けられている。
【0034】
規制部材16は、見込み方向の長さが防火被覆8の見込み方向の厚みよりも僅かに長く、上下方向の長さが見込み方向の長さとほぼ同じ長さをなす、ほぼ板状をなすアルミニウム製の部材である。規制部材16は、
図5に示すように、屋外側の端部における左右方向の幅(厚み)が、防火被覆8の左側面と接続部材7の左側の係止片7dとの間隔より僅かに広く(厚く)、屋内側の端部における左右方向の幅(厚み)が、防火被覆8の左側面とカバー部材9の左側のカバー側板部9bとの間隔より僅かに広く(厚く)形成され、屋内側から屋外側に向かって漸次幅が狭くなるテーパー状をなしている。また、規制部材16の屋外側には、上下方向における中央に屋内側に窪む凹部16aを有している。
【0035】
規制部材16は、
図4に示すように、接続部材7及び取付鋼材5にビス止めされた状態で、防火被覆8の左側面と接続部材7の左側の係止片7dとの間に、屋内側から屋外側に向かって押し込まれ、規制部材16の屋外側の端部が、防火被覆8の左側面と接続部材7の左側の係止片7dとの間に圧入されて取り付けられる。このとき、防火被覆8は、圧入された規制部材16と、接続部材7の右側の係止片7dとにより挟持されて移動が規制される。
【0036】
本実施形態においては、
図6に示すように、規制部材16は、防火被覆8の下端8a側と、防火被覆8においてビス14により固定されている固定位置Xと、下端8a側の規制部材16との中間位置との2箇所に設けられている。
【0037】
規制部材16を配置した後に、屋内側から接続部材7にカバー部材9を取り付けることにより防火被覆8の屋内側がカバー部材9により覆われる。このとき、規制部材16の屋内側の端部が、カバー部材9の左側のカバー側板部9bの内面に接触する。本実施形態においては、規制部材16において係止片7dと防火被覆8との間に介在される厚みの薄い先端側の部位が第一介在部16bに相当し、カバー部材9と防火被覆8との間に介在される厚みの厚い部位が第二介在部16cに相当する。
【0038】
規制部材16を配置する位置は、1箇所で固定された防火被覆8が、建具10が備える障子10aの開閉操作により生じる衝撃による変形や移動を規制できる位置に設けられる。このため、例えば、上部側で固定された防火被覆8が、下端8a側が規制部材16で規制された状態で、障子10aを操作した際に、その衝撃により生じる防火被覆8の撓みにより接続部材7の係止片7dやカバー部材9に防火被覆8が接触しないように、固定位置Xと、下端8a側の規制部材16との間に適宜間隔を空けて複数設けてもよい。本実施形態では、固定位置Xからより離れた下端8a側と、固定位置Xと下端8a側の規制部材16との中間位置に規制部材16を備えている。
【0039】
すなわち、固定位置Xと、下端8a側の規制部材16との間が狭く、防火被覆8に撓みが生じても係止片7dやカバー部材9と接触し難い場合には、下端8a側の他に規制部材16を設ける必要はない。また、固定位置Xと、下端側の規制部材16との間隔が広く、防火被覆8に撓みが生じて係止片7dやカバー部材9と接触する場合には、固定位置Xと、下端8a側の規制部材16との間に1つまたは複数の規制部材16を備える。
【0040】
本実施形態の連窓1によれば、隣り合う枠体10b同士の間を屋内側にて接続する接続部材7の屋内側に設けられる防火被覆8を収容する収容空間S内には、防火被覆8の移動を規制する規制部材16が設けられているので、たとえ、枠体10bに支持されている障子10aを開閉したとしても防火被覆8は移動しない。このため、障子10aの開閉操作をしたとしても、収容空間Sを形成している接続部材7及びカバー部材9と防火被覆8とが接触して音が発生することを防止することが可能である。
【0041】
また、規制部材16は、カバー部材9が収容空間Sの内側から係止されている接続部材7の係止片7dと、防火被覆8との間に第一介在部16bが介在されているので、係止片7dと防火被覆8とが接触して音が発生することをより確実に防止することが可能である。
【0042】
また、規制部材16は、接続部材7と共に収容空間Sを形成するカバー部材9と、防火被覆8との間に第二介在部16cが介在されているので、カバー部材9と防火被覆8とが接触して音が発生することをより確実に防止することが可能である。
【0043】
また、規制部材16が、第一介在部16bと第二介在部16cとを有しているので、1つの規制部材16を備えることにより、防火被覆8と係止片7dとが接触して発生する音、及び防火被覆8とカバー部材9とが接触して発生する音の発生をいずれも防止することが可能である。
【0044】
本実施形態のように、上下方向に沿って設けられて接続部材7側に固定されている防火被覆8は、障子10aの開閉操作により生じる衝撃により、固定位置Xからより離れた部位が最も移動し易く、最も大きく移動するので、係止片7dやカバー部材9に接触しやすい。このため、本実施形態の連窓1によれば、規制部材16が、固定位置Xからより離れて位置する下端8a側に設けられているので、より確実に音の発生を防止することが可能である。
【0045】
また、固定位置Xからより離れた下端8a側に設けられた規制部材16と固定位置Xとの間隔が広い場合には、障子10aの開閉操作により生じる衝撃により防火被覆8が、下端側に設けられた規制部材16と固定位置Xとを支点として撓みが生じ、撓みにより防火被覆8が係止片7dやカバー部材9に接触する虞がある。このため、本実施形態の連窓1によれば、下端8a側に設けられた規制部材16と、固定位置Xとの間にも規制部材16が設けられているので、障子10aの開閉操作により防火被覆8に生じる撓みが抑制され、より確実に音の発生を防止することが可能である。
【0046】
また、規制部材16は、不燃性のアルミニウム製なので、防火性が損なわれず高い防火性を維持することが可能である。
【0047】
本実施形態においては、防火被覆8と係止片7dとの間に介在される第一介在部16bと、防火被覆8とカバー部材9との間に介在される第二介在部16cとを一体に備えた規制部材を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。例えば、防火被覆8と係止片7dとの間に介在される部材と、防火被覆8とカバー部材9との間に介在される部材とは別個の部材であっても構わない。
【0048】
上記実施形態においては、左側の係止片7dと防火被覆8との間及びカバー部材9の左側のカバー側板部9bと防火被覆8との間に規制部材16を介在させる例について説明したが、これに限るものではない。例えば、右側の係止片7dと防火被覆8との間及びカバー部材9の右側のカバー側板部9bと防火被覆8との間に規制部材を介在させても、また、屋内カバー板部9aと防火被覆8との間に規制部材を介在させても構わない。すなわち、規制部材16は、防火被覆8の移動が規制されるように、防火被覆8の両側面及び屋内側の面と、接続部材7の各係止片7d及びカバー部材9の屋内カバー板部9a、各カバー側板部9bとの間の何れの位置及び複数箇所に設けられていても構わない。
【0049】
また、上記実施形態においては、規制部材16をアルミニウム製としたが、これに限るものではない。例えば、ロックウールなどの不燃性の部材であれば構わない。
また、上記実施形態においては、カバー部材9が係止片7dに係止されて取り付けられている例について説明したが、これに限らず、カバー部材は、例えば収容空間の内側に設けられている取付片を外側から覆い、取付片に螺合されるビスにより取り付けられていても構わない。
【0050】
また、上記実施形態においては、連窓1を構成する建具10が各々引戸障子を備える例について説明したが、これに限らず、例えば、開き戸等、開閉可能な障子を備える建具であれば構わない。
【0051】
また、上記実施形態においては、2つの建具10が連窓1を構成している例について説明したが、これに限るものではない。例えば、3つ以上の建具が横方向に接続されていても構わない。また、接続されているものは、全て建具でなくとも構わない。例えば、複数の枠体が接続されており、それら枠体のうちの少なくとも1つの枠体に、開閉可能な障子が設けられ、その他の枠体には面材や固定障子等が設けられている形態であっても構わない。
【0052】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0053】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
複数の枠体が横方向に接続され、前記複数の枠体のうちの少なくとも1つの前記枠体に開閉可能な障子が備えられている連窓であって、
横方向に隣り合う前記枠体同士の間を屋内側にて接続する接続部材と、
前記接続部材の屋内側に設けられる防火被覆と、
前記接続部材とともに前記防火被覆を収容する収容空間を形成するカバー部材と、
前記収容空間内に設けられ前記防火被覆の移動を規制する規制部材と、
を有することを特徴とする連窓である。
【0054】
このような連窓によれば、隣り合う枠体同士の間を屋内側にて接続する接続部材の屋内側に設けられる防火被覆を収容する収容空間内には、防火被覆の移動を規制する規制部材が設けられているので、たとえ、枠体に支持されている障子を開閉して衝撃が生じたとしても防火被覆は移動しない。このため、障子の開閉操作をしたとしても、収容空間を形成している接続部材及びカバー部材と防火被覆とが接触して音が発生することを防止することが可能である。
【0055】
かかる連窓であって、前記接続部材は、前記防火被覆の両側に屋内側に向かって突出し前記収容空間の内側に位置して前記カバー部材が取り付けられる取付片を有し、
前記規制部材は、前記取付片と前記防火被覆との間に介在されることを特徴とする。
【0056】
このような連窓によれば、規制部材は、収容空間の内側に位置してカバー部材が取り付けられる接続部材の取付片と、防火被覆との間に介在されるので、取付片と防火被覆とが接触して音が発生することを防止することが可能である。
【0057】
かかる連窓であって、
前記規制部材は、前記カバー部材と前記防火被覆との間に介在されることを特徴とする。
【0058】
このような連窓によれば、規制部材は、接続部材と共に収容空間を形成するカバー部材と、防火被覆との間に介在されているので、カバー部材と防火被覆とが接触して音が発生することを防止することが可能である。
【0059】
かかる連窓であって、
前記規制部材は、前記取付片と前記防火被覆との間に介在される第一介在部と、
前記カバー部材と前記防火被覆との間に介在される第二介在部と、
を有することを特徴とする。
【0060】
このような引戸ユニットによれば、規制部材が、第一介在部と第二介在部とを有しているので、1つの規制部材を備えることにより、防火被覆と係止部とが接触して発生する音、及び防火被覆とカバー部材とが接触して発生する音の発生をいずれも防止することが可能である。
【0061】
かかる連窓であって、
前記防火被覆は、上下方向に沿って設けられて前記接続部材側に固定されており、
前記規制部材は、前記防火被覆が固定されている固定位置から、上下方向においてより離れて位置する端側に設けられていることを特徴とする。
【0062】
上下方向に沿って設けられて接続部材側に固定されている防火被覆は、障子の開閉操作により生じる衝撃により、固定位置からより離れた部位が最も移動し易く、最も大きく移動するので、係止部やカバー部材に接触しやすい。上記連窓によれば、規制部材が、上下方向において固定位置からより離れている端側に設けられているので、より確実に音の発生を防止することが可能である。
【0063】
かかる連窓であって、
前記規制部材は、前記端側に設けられた前記規制部材と、前記固定位置との間にも設けられていることを特徴とする。
【0064】
固定位置からより離れている端側に設けられた規制部材と固定位置との間隔が広い場合には、障子の開閉操作により生じる衝撃により防火被覆が、前記端側に設けられた規制部材と固定位置とを支点として撓みが生じ、撓みにより防火被覆が係止部やカバー部材に接触する虞がある。上記連窓によれば、固定位置からより離れている端側に設けられた規制部材と、固定位置との間にも別の規制部材が設けられているので、障子の開閉操作により防火被覆に生じる撓みが抑制される。このため、より確実に音の発生を防止することが可能である。
【0065】
かかる連窓であって、
前記規制部材は、不燃性であることを特徴とする。
このような連窓によれば、規制部材が不燃性なので、防火性が損なわれず高い防火性を維持することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 連窓、7 接続部材、7d 係止片、8 防火被覆、 8a 防火被覆の下端、
9 カバー部材、10 建具、10a 障子、10b 枠体、
16 規制部材、16b 第一介在部、16c 第二介在部、
S 収容空間、X 固定位置、