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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062349
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20230426BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230426BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20230426BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20230426BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H02K9/19 Z
H02K7/116
H02K11/33
F16H57/04 N
F16H1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172258
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】森 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】鬼澤 隼
【テーマコード(参考)】
3J009
3J063
5H607
5H609
5H611
【Fターム(参考)】
3J009DA15
3J009EA04
3J009EA05
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA44
3J009FA03
3J063AA04
3J063AB02
3J063AC01
3J063AC11
3J063BA11
3J063BA15
3J063XD03
3J063XD16
3J063XD72
3J063XH02
3J063XH12
3J063XH23
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB09
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607DD02
5H607DD19
5H607EE31
5H609BB03
5H609BB16
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP17
5H609QQ05
5H609QQ08
5H609QQ23
5H609RR63
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB07
5H611BB08
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インバータを安定的に冷却できる信頼性の高い駆動装置を提供する。
【解決手段】モータ2と、モータ2に連結される動力伝達機構3と、モータ2に供給する電流を制御するインバータ8と、動力伝達機構3を収容するギヤ収容部60を有するハウジング6と、ギヤ収容部60の内部空間に貯留されるオイルOと、を備える。ハウジング6には、ギヤ収容部60の内部空間に露出する放熱部81、およびギヤ収容部60の外部でインバータ8に接触する吸熱部82を有するヒートシンク部80が設けられる。放熱部81は、少なくとも一部がオイルOに浸漬する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに連結される動力伝達機構と、
前記モータに供給する電流を制御するインバータと、
前記動力伝達機構を収容するギヤ収容部を有するハウジングと、
前記ギヤ収容部の内部空間に貯留されるオイルと、を備え、
前記ハウジングには、前記ギヤ収容部の内部空間に露出する放熱部、および前記ギヤ収容部の外部で前記インバータに接触する吸熱部を有するヒートシンク部が設けられ、
前記放熱部は、少なくとも一部が前記オイルに浸漬する、
駆動装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、少なくとも一部が前記オイルに浸漬するギヤを有し、
前記オイルの循環方向において、前記放熱部は、前記ギヤよりも下流に位置する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記ギヤ収容部は、内部空間の鉛直方向下側に位置する底壁部を有し、
前記ヒートシンク部は、前記底壁部に設けられる、
請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記動力伝達機構は、
前記モータのシャフトに接続される第1ギヤと、
ドライブシャフトに接続される第2ギヤと、
前記第1ギヤの動力を前記第2ギヤへ伝達する第3ギヤと、を有し、
前記放熱部の少なくとも一部は、鉛直方向において、前記第1ギヤまたは前記第3ギヤと重なる位置に配置される、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記動力伝達機構は、ドライブシャフトに接続される第2ギヤを有し、
前記放熱部の少なくとも一部は、水平方向において、前記第2ギヤと重なる位置に配置される、
請求項3又は4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ギヤ収容部は、内部空間を水平方向から囲む側壁部を有し、
前記ヒートシンク部は、前記側壁部に設けられる、
請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記動力伝達機構は、
前記モータのシャフトに接続される第1ギヤと、
ドライブシャフトに接続される第2ギヤと、
前記第1ギヤの動力を前記第2ギヤへ伝達する第3ギヤと、を含み、
前記放熱部の少なくとも一部は、鉛直方向において、前記第1ギヤと重なる位置に配置される、
請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記動力伝達機構は、ドライブシャフトに接続される第2ギヤを有し、
前記放熱部の少なくとも一部は、水平方向において、前記第2ギヤと重なる位置に配置される、
請求項6または7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記インバータを収容するインバータ収容部を有し、
前記ヒートシンク部は、前記ギヤ収容部の内部空間と前記インバータ収容部の内部空間とを隔てる隔壁に設けられる、
請求項1~8の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記オイルをろ過するストレーナを備え、
前記ストレーナは、
前記オイルを吸入又は吐出する通過口と、
前記通過口に向かって延びる整流フィンと、を有し、
前記放熱部は、前記通過口に向かって延びる放熱フィンを有し、
前記ストレーナと前記放熱部は、互いに対向する、
請求項1~9の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記ストレーナと前記放熱部とが対向する方向から見て、前記整流フィンは、前記放熱フィンに重なって配置される、
請求項10に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ストレーナと前記ヒートシンク部とが対向する方向から見て、前記整流フィンは、前記放熱フィン同士の間に配置される、
請求項10に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記ストレーナと前記ヒートシンク部とが対向する方向(Z軸方向)と垂直な方向から見て、前記整流フィンは、前記放熱フィンに重なって配置される、
請求項12に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記整流フィンおよび前記放熱フィンのうち少なくとも一方は、前記通過口に向かうに従い板厚を大きくする、
請求項10~13の何れか一項に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記整流フィンおよび前記放熱フィンのうち少なくとも一方の前記通過口側の端部は、板厚方向に滑らかに湾曲する、
請求項10~14の何れか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車およびハイブリッド自動車の普及に伴い車両を駆動する駆動装置の開発が進んでいる。このような駆動装置は、ギヤの潤滑性を高めるため又はモータを冷却するために、内部にオイルが貯留される場合がある。特許文献1には、ケースの底部に溜められたオイルをギヤの回転で掻き上げて冷却フィンに当て、冷却フィンを介してパワーコントロールユニットを冷却する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-264442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的にオイルの粘性は、オイルの温度に依存することが知られる。このため、起動食後などには、ギヤケース内のオイルが低温であるためオイルの粘性が高く、ギヤによるオイルの掻き上げが期待できない場合がある。一方で、モータに供給する電流を制御するインバータは、起動直後から急速に温度が高まる。このため、従来の冷却構造では、ギヤによるオイルの掻き上げが不十分となり、インバータの冷却が不足する虞があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて、インバータを安定的に冷却できる信頼性の高い駆動装置の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、モータと、前記モータに連結される動力伝達機構と、前記モータに供給する電流を制御するインバータと、前記動力伝達機構を収容するギヤ収容部を有するハウジングと、前記ギヤ収容部の内部空間に貯留されるオイルと、を備える。前記ハウジングには、前記ギヤ収容部の内部空間に露出する放熱部、および前記ギヤ収容部の外部で前記インバータに接触する吸熱部を有するヒートシンク部が設けられる。前記放熱部は、少なくとも一部が前記オイルに浸漬する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、インバータを安定的に冷却できる信頼性の高い駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の駆動装置の概念図である。
図2図2は、一実施形態のギヤ収容部およびインバータ収容部の正面模式図である。
図3図3は、一実施形態の放熱部とストレーナとの正面模式図である。
図4図4は、一実施形態の放熱部およびストレーナの構成を説明する模式図である。
図5図5は、変形例1の放熱部およびストレーナの正面模式図である。
図6図6は、変形例1の放熱部およびストレーナの構成を説明する模式図である。
図7図7は、変形例2の放熱部およびストレーナの正面模式図である。
図8図8は、変形例3の放熱部およびストレーナの正面模式図である。
図9図9は、変形例4の放熱部およびストレーナの正面模式図である。
図10図10は、変形例5の放熱部およびストレーナの正面模式図である。
図11図11は、変形例6の放熱部およびストレーナの構成を説明する模式図である。
図12図12は、変形例7のハウジング、およびヒートシンク部の構成を示す正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。
以下の説明では、駆動装置1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置1が搭載される車両の前後方向を示す。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示す。
【0010】
以下の説明において特に断りのない限り、モータ2のモータ軸線J2に平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼ぶ。また、車両左方側(すなわち、+Y側)を、単に軸方向一方側と呼び、車両右方側(すなわち、-Y側)を、単に軸方向他方側と呼ぶ。さらに、モータ軸線J2を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸線J2を中心とする周方向、すなわち、モータ軸線J2の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
以下の説明において、Y軸と平行な方向である車両の幅方向を単に「車幅方向」と呼ぶ場合がある。以下の説明において、X軸と平行な方向である車両前後方向を単に「前後方向」と呼ぶ場合がある。また、車両の後方側(すなわち、-X側)を単に前後方向一方側と呼び、車両の前方側(すなわち、+X側)を、単に前後方向他方側と呼ぶ場合がある。車幅方向および前後方向は、ともに水平面に沿う方向であり、互いに直交する方向である。
【0012】
図1は、実施形態の駆動装置1の概念図である。
駆動装置1は、車両を駆動する。駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータ2を動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
【0013】
図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、ギヤ部(動力伝達機構)3と、インバータ8と、オイルOと、ハウジング6と、を備える。モータ2、ギヤ部3、インバータ8、およびオイルOは、ハウジング6に収容される。
【0014】
<モータ>
モータ2は、ハウジング6のモータ収容部75に収容される。モータ2は、ロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ25と、を備える。モータ2は、ステータ25と、ステータ25の内側に回転自在に配置されるロータ20と、を備えるインナーロータ型モータである。
【0015】
ロータ20は、ステータ25に電力が供給されることで回転する。ロータ20は、シャフト21と、ロータコア24と、ロータマグネット(図示略)と、を有する。ロータ20は、モータ軸線J2を中心として回転する。ロータ20のトルクは、ギヤ部3に伝達される。
【0016】
シャフト21は、車幅方向に延びるモータ軸線J2を中心として延びる。シャフト21は、モータ軸線J2を中心として回転する。シャフト21の先端は、ギヤ収容部60の内部区間に突出する。シャフト21の先端には、ピニオンギヤ41が固定される。モータ2の動力は、ピニオンギヤ41からギヤ部3に伝達される。
【0017】
ロータコア24は、例えば、珪素鋼板を積層して構成される。ロータコア24は、圧粉磁心であってもよい。ロータコア24は、軸方向に沿って延びる円柱体である。ロータコア24には、図示略の複数のロータマグネットが固定される。複数のロータマグネットは、磁極を交互にして周方向に沿って並ぶ。
【0018】
ステータ25は、ロータ20を径方向外側から囲む。ステータ25は、ステータコア27と、コイル26と、ステータコア27とコイル26との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。ステータ25は、ハウジング6に保持される。ステータコア27は、環状のヨークの内周面から径方向内方に複数の磁極歯(図示略)を有する。磁極歯の間には、コイル線が配置される。隣り合う磁極歯の間の間隙内に位置するコイル線は、コイル26を構成する。インシュレータは、絶縁性の材料からなる。
【0019】
<インバータ>
インバータ8は、ハウジング6のインバータ収容部70に収容される。インバータ8は、モータ2と電気的に接続される。インバータ8は、モータ2に供給される電流を制御する。インバータ8は、車両に搭載されるバッテリ(不図示)に接続され、バッテリから供給された直流電流を交流電流に変換して、モータ2に供給する。
【0020】
インバータ8は、モータ2に供給される電力を制御する制御素子8aを有する。本実施形態の制御素子は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。制御素子8aは、駆動時に発熱する。すなわち、制御素子8aは、発熱体である。
【0021】
<ギヤ部>
ギヤ部3は、複数のギヤ41、42、43、51を有する。ギヤ部3は、モータ2に連結されて動力を伝達する。ギヤ部3は、減速装置4および差動装置5を有する。
【0022】
減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる機能を有する。減速装置4は、モータ2のシャフト21に接続される。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。
【0023】
減速装置4は、ピニオンギヤ(第1ギヤ)41と、中間シャフト45と、中間シャフト45に固定されたカウンタギヤ(第3ギヤ)42およびドライブギヤ(第3ギヤ)43と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、モータ2のシャフト21、ピニオンギヤ41、カウンタギヤ42およびドライブギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。すなわち、カウンタギヤ42およびドライブギヤ43は、ピニオンギヤ41の動力をリングギヤ51へ伝達する。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0024】
ピニオンギヤ41は、モータ2のシャフト21の外周面に固定される。ピニオンギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸線J2を中心に回転する。
【0025】
中間シャフト45は、モータ軸線J2と平行な中間軸線J4に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸線J4を中心として回転する。
【0026】
カウンタギヤ42とドライブギヤ43とは、軸方向に並んで配置される。カウンタギヤ42およびドライブギヤ43は、中間シャフト45の外周面に設けられる。カウンタギヤ42およびドライブギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。カウンタギヤ42およびドライブギヤ43は、中間軸線J4を中心として回転する。カウンタギヤ42、ドライブギヤ43および中間シャフト45のうち少なくとも2つは、単一の部材から構成されていてもよい。カウンタギヤ42は、ピニオンギヤ41と噛み合う。ドライブギヤ43は、差動装置5のリングギヤ51と噛み合う。
【0027】
差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、一対のドライブシャフト55に同トルクを伝える機能を有する。
【0028】
差動装置5は、リングギヤ(第2ギヤ)51を有する。リングギヤ51は、モータ軸線J2と平行な差動軸線J5を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。また、リングギヤ51に伝わった動力は、差動装置5の差動機構を介してドライブシャフト55に伝わる。すなわち、リングギヤ51は、ドライブシャフト55に接続される。
【0029】
ドライブシャフト55は、軸方向に沿って延びる。ドライブシャフト55の一端にはそれぞれ差動装置5が接続され、他端にはそれぞれ車輪が接続される。ドライブシャフト55は、モータ2のトルクを、車輪を介して路面に伝える。
【0030】
ギヤ部において、モータ軸線J2、中間軸線J4および差動軸線J5は、それぞれ車幅方向(Y軸方向)に沿って延びる。モータ軸線J2は、差動軸線J5および中間軸線J4より上側に位置する。差動軸線J5および中間軸線J4は、水平方向に沿って並んで配置される。
【0031】
ギヤ収容部60の内部空間の下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。以下の説明において、ギヤ収容部60の内部空間の下部領域をオイル溜りPと呼ぶ。オイル溜りPに溜るオイルOは、ギヤ部3の動作によって掻き上げられて一部がギヤ収容部60の内部空間に拡散される。
【0032】
本実施形態において、リングギヤ51は、他のギヤと比較して直径が大きい。また、オイル溜りPには、少なくともリングギヤ51の一部が浸かる。ギヤ部3は、リングギヤ51において、オイルOを掻き上げる。
【0033】
ギヤ収容部60の内部空間に拡散されたオイルOは、ギヤ部3の各ギヤに供給されてギヤの歯面にオイルOを行き渡らせる。ギヤ部3に供給され潤滑に使用されたオイルOは、滴下してオイル溜りPに回収される。
【0034】
<オイル>
オイルOは、ギヤ部3の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOは、オイル溜りPに溜る。すなわち、オイルOは、ギヤ収容部60の内部空間に貯留される。オイルOは、潤滑油および冷却油の機能を奏するため、粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のものを用いることが好ましい。
【0035】
オイルOは、駆動装置1内で、油路90内を循環する。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給するオイルOの経路である。
【0036】
なお、本明細書において、「油路」とは、ハウジング6内を循環するオイルOの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かう定常的なオイルの流動を形成する「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路(例えばリザーバとして機能するもの)、オイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。
【0037】
油路90には、ストレーナ30、ポンプ98、およびクーラ99が設けられる。すなわち、駆動装置1は、ストレーナ30、ポンプ98、およびクーラ99を有する。ストレーナ30は、ギヤ収容部60の内側面に固定される。ポンプ98およびクーラ99は、それぞれギヤ収容部60の外側面に固定される。
【0038】
ストレーナ30は、オイル溜りPのオイルOに浸かる。ストレーナ30は、オイル溜りPから吸い上げられるオイルOをろ過する。ストレーナ30は、下側を向く吸入口(通過口)32を有する。吸入口32は、オイル溜りPに開口する。
【0039】
ポンプ98は、電気により駆動する電動ポンプである。ポンプ98は、ギヤ部3の駆動に伴い動作するメカニカルポンプであってもよい。ポンプ98は、油路90のオイルOを圧送する。
【0040】
クーラ99は、油路90のオイルOを冷却する。クーラ99の内部には、オイルOが流れる内部流路(図示略)と冷却水が流れる内部流路(図示略)とが設けられる。クーラ99は、オイルOの熱を、冷却水に移動させることでオイルOを冷却する熱交換器である。
【0041】
油路90は、ストレーナ30の吸入口32からポンプ98、およびクーラ99を通過し、モータ2の直上まで延びる。油路90内のオイルOは、ポンプ98によって吸入口32から吸い上げられ、クーラ99によって冷却され、さらにモータ2に上側から噴射される。モータ2に噴射されたオイルOは、モータ2の表面を伝う際にモータ2から熱を奪い、モータ2を冷却する。さらに、オイルOは、モータ2から滴下してモータ収容部75の下部領域に達する。このオイルOは、モータ収容部75とギヤ収容部60との間の第1隔壁79に設けられる第1隔壁開口79hを通過してオイル溜りPに戻る。
【0042】
本実施形態によれば油路90の経路中にモータ2を配置して、オイルOをモータ2に供給することで、モータ2を冷却しモータ2の温度が高まり過ぎることを抑制することができモータ2の信頼性を高めることができる。
【0043】
<ハウジング>
ハウジング6は、ハウジング本体7aとモータカバー7bとギヤカバー7cとインバータカバー7dと、ヒートシンク部80と、を有する。ハウジング本体7a、モータカバー7b、ギヤカバー7c、およびインバータカバー7dは、それぞれ別部材である。モータカバー7bは、ハウジング本体7aの軸方向他方側(-Y側)に配置される。ギヤカバー7cは、ハウジング本体7aの軸方向一方側(+Y側)に配置される。インバータカバー7dは、ギヤカバー7cの下側に配置される。
【0044】
ハウジング6は、ギヤ部3を収容するギヤ収容部60と、モータ2を収容するモータ収容部75と、インバータ8を収容するインバータ収容部70と、を有する。モータ収容部75、ギヤ収容部60、およびインバータ収容部70は、ハウジング本体7a、モータカバー7b、ギヤカバー7c、およびインバータカバー7dの各部によって構成される。
【0045】
ギヤ収容部60は、ハウジング本体7aの軸方向一方側(+Y側)に開口する凹状部と、この凹状部の開口を覆うギヤカバー7cとによって構成される。ギヤ部3は、ハウジング本体7aとギヤカバーとに囲まれた空間に配置される。
【0046】
ギヤ収容部60は、内部空間の鉛直方向下側に位置する底壁部61と、内部空間を水平方向から囲む側壁部62と、内部空間の鉛直方向上側に位置する天井部63と、を有する。オイルOは、ギヤ収容部60の内部であって底壁部61の上側に溜まる。
【0047】
モータ収容部75は、ギヤ収容部60の軸方向他方側(-Y側)に配置される。モータ収容部75は、ハウジング本体7aの筒状部と、当該筒状部の軸方向他方側(-Y側)の開口を覆うモータカバー7bとによって構成される。モータ2は、ハウジング本体7aとモータカバー7bに囲まれた空間に配置される。
【0048】
インバータ収容部70は、ギヤ収容部60の下側に配置される。インバータ収容部70は、ギヤカバー7cの一部であり下側に開口する箱状部71と、この箱状部71の開口を覆うインバータカバー7dとによって構成される。インバータ8は、ギヤカバー7cの箱状部71とインバータカバー7dとによって囲まれた空間に配置される。
【0049】
ハウジング6は、ギヤ収容部60の内部空間とモータ収容部75の内部空間とを区画する第1隔壁79と、ギヤ収容部60の内部空間とインバータ収容部70の内部空間とを区画する第2隔壁(隔壁)6aと、を有する。第1隔壁79は、ギヤ収容部60の側壁部62に配置される。一方で、第2隔壁6aは、ギヤ収容部60の底壁部61に配置される。
【0050】
第1隔壁79には、シャフト通過孔79aと第1隔壁開口79hとが設けられる。シャフト通過孔79aおよび第1隔壁開口79hは、ギヤ収容部60の内部空間とモータ収容部75の内部空間とを連通させる。シャフト通過孔79aには、シャフト21が通過する。第1隔壁開口79hは、モータ収容部75の底部の近傍に設けられる。モータ収容部75内でモータ2を冷却したオイルOは、第1隔壁開口79hを介しモータ収容部75内からギヤ収容部60内のオイル溜りPに移動する。
【0051】
第2隔壁6aには、第2隔壁開口6hが設けられる。第2隔壁開口6hは、ギヤ収容部60の内部空間とインバータ収容部70の内部空間とを連通させる。第2隔壁開口6hは、ヒートシンク部80に覆われて塞がれる。すなわち、ヒートシンク部80は、第2隔壁6aに設けられる。ヒートシンク部80と第2隔壁6aとの間には、ガスケットなどの封止部材が配置される。これにより、ギヤ収容部60の内部に貯留されるオイルOが、インバータ収容部70の内部に流入することが抑制される。
【0052】
ヒートシンク部80は、インバータ8の制御素子8aの熱をギヤ収容部60内に貯留されるオイルOに移動させる。ヒートシンク部80は、インバータ8から吸熱する吸熱部82と、オイルOに放熱する放熱部81と、を有する。
【0053】
放熱部81は、ギヤ収容部60の内部空間に露出する。放熱部81は、少なくとも一部がオイルOに浸漬する。これにより、放熱部81は、オイルOにより冷却される。放熱部81には、放熱フィン85が設けられる。放熱部81に放熱フィン85が設けられることで、オイルOとの接触面積を広く確保して、放熱効率を高めることができる。
【0054】
吸熱部82は、インバータ収容部70の内部空間に露出する。吸熱部82は、インバータ収容部70の内部でインバータ8の発熱部分に接触する。すなわち、吸熱部82は、ギヤ収容部60の外部でインバータ8に接触する。
【0055】
本実施形態によれば、インバータ8の熱を、ギヤ収容部60内のオイルOに伝えてインバータ8を冷却するとともに、インバータ8の熱でオイルOを温めることができる。これにより、インバータ8の温度が高まり過ぎることを抑制し、インバータの信頼性を高めるとともに、オイルOを温めてオイルの粘性を低下させることができる。オイルOの粘性を低下させることで、ギヤ収容部60内での各ギヤによるオイルOの撹拌抵抗を抑制でき、ギヤの駆動効率が高められる。さらに、ギヤ収容部60内のオイルOをポンプ98でモータ2に供給する場合に、オイルOの円滑な吸い込みが可能となる。
【0056】
本実施形態によれば、ヒートシンク部80はハウジング6に設けられ、ハウジング6内に貯留されるオイルOに接触する。このため、ハウジング6から外部に導入したオイルOの流路中にヒートシンク部80を設ける場合と比較して、駆動装置1を小型化できる。
【0057】
本実施形態によれば、ヒートシンク部80は、ギヤ収容部60の底壁部61に設けられる。ギヤ収容部60の内部に貯留されるオイルOの液位は、ギヤによる掻き上げや、ポンプ98の吸い上げなどによって下がる場合がある。本実施形態によれば、ヒートシンク部80を底壁部61に設けることで、オイルOの液位が下がった場合であっても、ヒートシンク部80をオイルOに浸漬させやすい。これにより、ヒートシンク部80を介してインバータ8の熱を、確実にオイルOに移動させることができインバータ8の信頼性を高めることができる。
【0058】
図2は、ギヤ収容部60およびインバータ収容部70の正面模式図である。
ギヤ収容部60の内部において、モータ軸線J2、中間軸線J4、および差動軸線J5は、車両の後方側(-X側)から前方側(+X側)に向かうに従いこの順で並ぶ。したがって、リングギヤ51は、他のギヤ(ピニオンギヤ41、カウンタギヤ42、およびドライブギヤ43)よりも前方側に配置される。すなわち、リングギヤ51は、ギヤ収容部60の内部空間において、車両の前方側(+X側)に偏って配置される。
【0059】
リングギヤ51は、車両の車輪を駆動させる。したがって、リングギヤ51は、オイル溜りPに浸かる下端部で、オイルOを車両後方側(-X側)に向かって掻き回す。したがって、オイル溜りPに溜まるオイルOは、リングギヤ51に対し車両後方側(-X側)に配置される領域で、車両後方側に向かって流れる。
【0060】
本実施形態のヒートシンク部80の放熱部81は、ギヤ収容部60の内部空間において、リングギヤ51の車両後方側に配置される。すなわち、本実施形態のギヤ部3は、少なくとも一部がオイルOに浸漬するギヤ(本実施形態のリングギヤ51)を有し、オイルOの循環方向において、放熱部81は、このギヤよりも下流に位置する。オイル溜りPのオイルOは、放熱部81に向かって流動し、放熱部81におけるオイルOへの放熱が促進される。
【0061】
本実施形態において、放熱部81の少なくとも一部は、鉛直方向において、カウンタギヤ42およびドライブギヤ43と重なる位置に配置される。上述したように、ギヤ部3の各ギヤのうち、リングギヤ51の直径が最も大きい。このため、ギヤ収容部60の内部空間のうち、カウンタギヤ42、ドライブギヤ43、およびピニオンギヤ41の下側の領域には、放熱部81を配置する領域を設けやすく、内部空間を効率的に利用できる。なお、本実施形態では、放熱部81が、カウンタギヤ42およびドライブギヤ43の直下に配置される場合について説明したが、ピニオンギヤ41の直下に配置されていても同様の効果を得ることができる。すなわち、放熱部81の少なくとも一部が、鉛直方向において、カウンタギヤ42、ドライブギヤ43、およびピニオンギヤ41と重なる位置に配置されていれば、ギヤ収容部60の内部空間を効率的に利用できる。
【0062】
本実施形態において、放熱部81の少なくとも一部は、水平方向において、リングギヤ51と重なる位置に配置される。本実施形態によれば、リングギヤ51によって掻き回されたオイルOを、放熱部81に直接的に供給することができ、放熱部81における放熱効率を高めることができる。
【0063】
図3は、放熱部81とストレーナ30との正面模式図である。
放熱部81は、ストレーナ30と上下方向に対向する。上述したように、放熱部81は、放熱フィン85を有する。一方で、ストレーナ30は、吸入口32と整流フィン35とを有する。
【0064】
本実施形態によれば、ストレーナ30と放熱部81は、互いに対向する。このため、ストレーナ30の吸入口32側の面(下面31)に沿って流れるオイルOの流路が、放熱部81によって狭められる。結果的にストレーナ30と放熱部81との間を通過するオイルOの流速が早められ、放熱部81における放熱効率が高められる。
【0065】
また、本実施形態によれば、ストレーナ30が、放熱部81と対向するため、吸入口32から吸入されるオイルOを予め放熱部81によって温めることができる。これにより、油路90内を流れるオイルOの粘性を低下させることができ、油路90内でのオイルOの円滑な循環を実現できる。
【0066】
図4は、放熱部81およびストレーナ30の構成を説明する模式図である。図4では、ストレーナ30を下側から見て、放熱部81を上側から見る。
【0067】
吸入口32は、ストレーナ30の下面31に配置される。整流フィン35は、ストレーナ30の下面31に配置される。本実施形態において、ストレーナ30には、8つの整流フィン35が設けられる。整流フィン35は、下面31に対して下側に突出する。整流フィン35は、吸入口32を中心として放射状に延びる。複数の整流フィン35は、吸入口32に対し径方向に延び周方向に並ぶ。すなわち、複数の整流フィン35は、それぞれ吸入口32に向かって延びる。
【0068】
放熱部81は、ストレーナ30の下面31と対向する上面81aを有する。放熱部81の上面81aは、ストレーナ30の下面31と隙間を介して上下方向に対向する。本実施形態において、放熱部81には、8つの放熱フィン85が設けられる。放熱フィン85は、上面81aに対して上側に突出する。放熱フィン85は、吸入口32を中心として放射状に延びる。複数の放熱フィン85は、吸入口32に対し径方向に延び周方向に並ぶ。すなわち、複数の放熱フィン85は、それぞれ吸入口32に向かって延びる。
【0069】
本実施形態において、ストレーナ30と放熱部81とが対向する方向は、上下方向(Z軸方向)である。上下方向から見て、整流フィン35は、放熱フィン85に重なって配置される。このため、図3に示すように、整流フィン35と放熱フィン85とは、上下方向に並んで配置される。放熱フィン85は、整流フィン35と一体的に作用して、オイルOを吸入口32に向けて整流する。より具体的には、整流フィン35および放熱フィン85によって囲まれる流路領域F1を十分に広い矩形状とすることができ、ストレーナ30と放熱部81との間を流れるオイルOに乱流が発生することを抑制できる。結果的に、オイルOを吸入口32に円滑に流すことができ、ポンプ98の消費電力を抑制できる。
【0070】
なお、本実施形態において、油路90は、ストレーナ30からオイルOを吸い込む。このため、ストレーナ30には、オイルOを吸入する吸入口32を有する。しかしながら、油路90は、ストレーナ30からオイル溜りPにオイルOを吐出する構成であってもよい。この場合、ストレーナ30は、オイルOを吐出する吐出口を有する。すなわち、ストレーナ30は、オイルOを吸入または吐出する通過口を有していればよい。
【0071】
<変形例>
次に、上述の実施形態に採用可能な変形例の多孔体およびその近傍の構成について説明する。なお、以下に説明する各変形例の説明において、既に説明した実施形態および変形例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
(変形例1)
図5は、上述の実施形態に採用可能な変形例1の放熱部181およびストレーナ130の正面模式図であり、上述の実施形態の図3に対応する。また、図6は、変形例1の放熱部181およびストレーナ130の構成を説明する模式図であり、上述の実施形態の図4に対応する。
【0073】
本変形例の放熱部181は、上述の実施形態と同様に、ストレーナ130と上下方向に対向する。放熱部181は、放熱フィン185を有し、ストレーナ130は、吸入口132と整流フィン135とを有する。整流フィン135および放熱フィン185は、それぞれ、吸入口132を中心として放射状に延びる。すなわち、整流フィン135および放熱フィン185は、吸入口132に向かって延びる。
【0074】
上下方向から見て、整流フィン135は、放熱フィン185同士の間に配置される。このため、整流フィン135および放熱フィン185によって囲まれる流路領域F2を、上述の実施形態と比較して狭くすることができ、ストレーナ130と放熱部181との間を通過するオイルOの流速が早められ、放熱部181における放熱効率が高められる。
【0075】
(変形例2)
図7は、上述の実施形態に採用可能な変形例2の放熱部281およびストレーナ230の正面模式図であり、上述の実施形態の図3に対応する。
本変形例の放熱部281およびストレーナ230は、それぞれの形状は、上述の変形例と等しい。本変形例の放熱部281およびストレーナ230は、お互いの相対的な距離が異なる。
【0076】
上述の実施形態および変形例と同様に、放熱部281は、ストレーナ230と上下方向に対向する。放熱部281は、放熱フィン185を有し、ストレーナ230は、吸入口132と整流フィン135とを有する。整流フィン135および放熱フィン185は、それぞれ、吸入口132を中心として放射状に延びる。すなわち、整流フィン135および放熱フィン185は、吸入口132に向かって延びる。
【0077】
ストレーナ230と放熱部281とが対向する方向(Z軸方向)から見て、整流フィン135は、放熱フィン185同士の間に配置される。さらに、ストレーナ230と放熱部281とが対向する方向と垂直な方向から見て、整流フィン135は、放熱フィン185に重なって配置される。本変形例によれば、整流フィン135および放熱フィン185によって囲まれる流路領域F3を、変形例1と比較してさらに狭くすることができ、ストレーナ230と放熱部281との間を通過するオイルOの流速が早められ、放熱部281における放熱効率が高められる。
【0078】
(変形例3)
図8は、上述の実施形態に採用可能な変形例3の放熱部381およびストレーナ330の正面模式図であり、上述の実施形態の図3に対応する。
本変形例の放熱部381は、上述の実施形態と同様に、ストレーナ330と上下方向に対向する。放熱部381は、放熱フィン385を有し、ストレーナ330は、吸入口332を有する。放熱フィン385は、それぞれ、吸入口332を中心として放射状に延びる。すなわち、放熱フィン385は、吸入口332に向かって延びる。本変形例によれば、放熱フィン385が、オイルOに放熱するのみならず、整流フィンとして機能してオイルOを円滑に吸入口332に導く。
【0079】
(変形例4)
図9は、上述の実施形態に採用可能な変形例4の放熱部481およびストレーナ430の正面模式図であり、上述の実施形態の図3に対応する。
本変形例の放熱部481は、上述の実施形態と同様に、ストレーナ430と上下方向に対向する。放熱部481は、放熱フィン485を有し、ストレーナ430は、吸入口432を有する。本変形例において、複数の放熱フィン485は、一方向に並行に延びる。また、少なくとも一部の放熱フィン485は、吸入口432に向かって延びる。本変形例によれば、放熱フィン485が、オイルOに放熱するのみならず、整流フィンとして機能してオイルOを円滑に吸入口432に導く。
【0080】
(変形例5)
図10は、上述の実施形態に採用可能な変形例5の放熱部581およびストレーナ530の正面模式図であり、上述の実施形態の図3に対応する。
本変形例の放熱部581は、上述の実施形態と同様に、ストレーナ530と上下方向に対向する。放熱部581は、放熱フィン585を有し、ストレーナ530は、吸入口532と整流フィン535とを有する。本変形例において、複数の放熱フィン585は、一方向に並行に延びる。一方で、本変形例の整流フィン535は、吸入口532を中心として放射状に延びる。このような構成であっても、整流フィン535において、オイルOの吸入口532への円滑に導くことができ、放熱フィン585において、オイルOへの放熱を行うことができる。
【0081】
(変形例6)
図11は、上述の実施形態に採用可能な変形例6の放熱部681およびストレーナ630の構成を説明する模式図であり、上述の実施形態の図4に対応する。
本変形例の放熱部681は、上述の実施形態と同様に、ストレーナ630と上下方向に対向する。放熱部681は、放熱フィン685を有し、ストレーナ630は、吸入口632と整流フィン635とを有する。整流フィン635および放熱フィン685は、それぞれ、吸入口632を中心として放射状に延びる。すなわち、整流フィン635および放熱フィン685は、吸入口632に向かって延びる。整流フィン635は、放熱フィン685に重なって配置される。
【0082】
本変形例によれば、整流フィン635および放熱フィン685は、吸入口632に向かうに従い板厚を大きくする。これにより、整流フィン635および放熱フィン685は、オイルOを吸入口632に円滑に導くことができる。なお、ストレーナ630がオイルOを吐出する場合であっても、本変形例と同様の整流フィン635および放熱フィン685の形状とすることでオイルOを円滑に流すことができる。また、本変形例では、整流フィン635および放熱フィン685がともに、吸入口632に向かうに従い板厚を大きくする形状である場合について説明した。しかしながら、整流フィン635および放熱フィン685のうち少なくとも一方が、吸入口632に向かうに従い板厚を大きくする形状であれば、上述と同様の効果を一定程度得ることができる。
【0083】
本変形例によれば、整流フィン635および放熱フィン685の吸入口632側の端部635a、685aは、板厚方向に滑らかに湾曲する。より具体的には、整流フィン635および放熱フィン685の吸入口632側の端部635a、685aは、上下方向から見てフィンの両面を繋ぐ円弧状である。このような形状とすることで、端部635a、685aの近傍においてオイルOの乱流の発生を抑制できる。
【0084】
なお、ストレーナ630がオイルOを吐出する場合であっても、本変形例と同様の整流フィン635および放熱フィン685の形状とすることでオイルOを円滑に流すことができる。また、本変形例では、整流フィン635および放熱フィン685がともに、吸入口632に向かうに従い板厚を大きくする形状である場合について説明した。しかしながら、整流フィン635および放熱フィン685のうち少なくとも一方が、吸入口632に向かうに従い板厚を大きくする形状であれば、上述と同様の効果を一定程度得ることができる。同様に、本変形例では、整流フィン635および放熱フィン685の端部635a、685が、板厚方向に滑らかに湾曲する場合について説明した。しかしながら、整流フィン635および放熱フィン685のうち少なくとも一方の端部が、板厚方向に滑らかに湾曲する形状であれば、上述と同様の効果を一定程度得ることができる。
【0085】
(変形例7)
図12は、上述の実施形態に採用可能な変形例7のギヤ収容部760およびインバータ収容部770の正面模式図である。
上述の実施形態と同様に、ハウジング706は、ギヤ部3を収容するギヤ収容部760と、インバータ8を収容するインバータ収容部770と、を有する。また、ハウジング706は、ギヤ収容部760の内部空間とインバータ収容部770の内部空間とを区画する第2隔壁(隔壁)706aと、を有する。ギヤ収容部760は、内部空間の鉛直方向下側に位置する底壁部761と、内部空間を水平方向から囲む側壁部762と、内部空間の鉛直方向上側に位置する天井部763と、を有する。オイルOは、ギヤ収容部760の内部であって底壁部761の上側に溜まる。また、第2隔壁706aは、ギヤ収容部760の底壁部761の一部である。
【0086】
第2隔壁706aには、第2隔壁開口706hが設けられる。第2隔壁開口706hは、ヒートシンク部780に覆われて塞がれる。すなわち、ヒートシンク部780は、側壁部762に設けられる。本変形例によれば、インバータ8がギヤ収容部760に対して車両の後方側(-X側)に配置される。本変形例によれば、インバータ8をギヤ収容部760の下側に配置する場合と比較して、地面との距離を大きく確保することができ、飛び石などがインバータ8に当たることを抑制し易い。
【0087】
本実施形態のヒートシンク部780の放熱部781は、ギヤ収容部760の内部空間において、リングギヤ51の車両後方側に配置される。すなわち、本実施形態のギヤ部3は、少なくとも一部がオイルOに浸漬するギヤ(本実施形態のリングギヤ51)を有し、オイルOの循環方向において、放熱部781は、このギヤよりも下流に位置する。このため、オイルOは、放熱部781に向かって流動し、放熱部781におけるオイルOへの放熱が促進される。
【0088】
本実施形態において、放熱部781の少なくとも一部は、鉛直方向において、ピニオンギヤ41と重なる位置に配置される。上述したように、ギヤ部3の各ギヤのうち、リングギヤ51の直径が最も大きい。このため、ギヤ収容部760の内部空間のうち、カウンタギヤ42、ドライブギヤ43、およびピニオンギヤ41の下側の領域には、放熱部781を配置する領域を設けやすく、内部空間を効率的に利用できる。なお、本実施形態では、放熱部781が、ピニオンギヤ41の直下に配置される場合について説明したが、カウンタギヤ42およびドライブギヤ43の直下に配置されていても同様の効果を得ることができる。すなわち、放熱部781の少なくとも一部が、鉛直方向において、カウンタギヤ42、ドライブギヤ43、およびピニオンギヤ41と重なる位置に配置されていれば、ギヤ収容部760の内部空間を効率的に利用できる。
【0089】
本実施形態において、放熱部781の少なくとも一部は、水平方向において、リングギヤ51と重なる位置に配置される。本実施形態によれば、リングギヤ51によって掻き回されたオイルOを、放熱部781に直接的に供給することができ、放熱部781における放熱効率を高めることができる。
【0090】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0091】
1…駆動装置、2…モータ、3…ギヤ部(動力伝達機構)、6,706…ハウジング、6a,706a…第2隔壁(隔壁)、8…インバータ、21…シャフト、30,130,230,330,430,530,630…ストレーナ、32…吸入口(通過口)、35,135,535,635…整流フィン、41、42、43、51…ギヤ、41…ピニオンギヤ(第1ギヤ)、42…カウンタギヤ(第3ギヤ)、43…ドライブギヤ(第3ギヤ)、51…リングギヤ(第2ギヤ)、55…ドライブシャフト、60,760…ギヤ収容部、61,761…底壁部、62,762…側壁部、70,770…インバータ収容部、80,780…ヒートシンク部、81,181,281,381,481,581,681,781…放熱部、82…吸熱部、85,185,385,485,585,685…放熱フィン、635a,685a…端部、O…オイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12