(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062352
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】生物輸送用システム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20230426BHJP
G06Q 10/0832 20230101ALI20230426BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B65G61/00 520
G06Q10/08 304
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172267
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹島 雅之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由之
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 和也
(72)【発明者】
【氏名】束 敏正
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇
(72)【発明者】
【氏名】森松 文毅
(72)【発明者】
【氏名】高垣 堅太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】生物輸送用システムにおいて、生物の逃亡を感知できる技術を提供する。
【解決手段】生物を輸送する生物輸送用システムは、生物を収容して輸送する生物輸送用装置と、生物輸送用装置に配置され、生物輸送用装置の位置情報を検出する装置側位置検出部と、生物に配置され、生物の位置情報を検出する生物側位置検出部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、生物輸送用装置の位置情報と生物の位置情報とを用いて、生物側位置検出部と装置側位置検出部との距離を算出し、算出した距離が予め定められた規定値以上となった場合に、生物が逃亡したと判断する判断部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物を輸送する生物輸送用システムであって、
前記生物を収容して輸送する生物輸送用装置と、
前記生物輸送用装置に配置され、前記生物輸送用装置の位置情報を検出する装置側位置検出部と、
前記生物に配置され、前記生物の位置情報を検出する生物側位置検出部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記生物輸送用装置の位置情報と前記生物の位置情報とを用いて、前記生物側位置検出部と前記装置側位置検出部との距離を算出し、算出した前記距離が予め定められた規定値以上となった場合に、前記生物が逃亡したと判断する判断部を有する、生物輸送用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生物輸送用システムであって、
前記制御装置は、さらに、外部からの指示を受け付けた場合に、前記判断部に対して予め定められたコマンドを送信する条件設定部を有し、
前記判断部は、前記コマンドを受信した場合に、前記生物が逃亡したか否かの判断を中止する、生物輸送用システム。
【請求項3】
請求項1に記載の生物輸送用システムであって、
前記制御装置は、さらに、外部からの指示を受け付けた場合に、前記判断部に対して予め定められたコマンドを送信する条件設定部を有し、
前記判断部は、前記コマンドを受信した場合には、前記コマンドを受信していない場合よりも前記規定値を大きい値に設定する、生物輸送用システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の生物輸送用システムであって、さらに、
前記規定値を含む判断条件を設定するための入力操作部を備える、生物輸送用システム。
【請求項5】
請求項4に記載の生物輸送用システムであって、
前記判断条件は、さらに、前記生物輸送用システムの移動経路を含み、
前記判断部は、さらに、
前記装置側位置検出部の位置情報が示す位置が前記移動経路から外れている経路外状態か否かを判断し、
前記経路外状態である場合には、算出した前記距離が前記規定値以上であるか否かに関わらず前記生物が逃亡したと判断する、生物輸送用システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の生物輸送用システムであって、さらに、
前記判断部によって前記生物が逃亡したと判断された場合に、警告を出力する警告出力部を備える、生物輸送用システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の生物輸送用システムであって、
前記判断部は、予め定められた時間を超えて継続して、算出した前記距離が前記規定値以上となった場合に、前記生物が逃亡したと判断する、生物輸送用システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の生物輸送用システムであって、
前記生物側位置検出部と、前記装置側位置検出部とはそれぞれ、GNSS受信機であり、
前記距離は、前記生物の位置情報が示す位置と、前記生物輸送用装置の位置情報が示す位置と、の差分である、生物輸送用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生物輸送用システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実験動物を輸送するための車両が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実験動物を含む各種生物を輸送する生物輸送用システムにおいて、操縦者等のユーザが輸送中における生物の逃亡に気付かない場合が生じ得る。特に、実験動物を輸送する場合には、実験動物に対して施された処理の内容の観点から、逃亡した実験動物が自然界に及ぼす影響をなくすために、逃亡について細心の注意を払わなければならない。よって、生物輸送用システムにおいて、生物の逃亡を感知できる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1形態によれば、生物輸送用システムが提供される。生物を輸送する生物輸送用システムは、前記生物を収容して輸送する生物輸送用装置と、前記生物輸送用装置に配置され、前記生物輸送用装置の位置情報を検出する装置側位置検出部と、前記生物に配置され、前記生物の位置情報を検出する生物側位置検出部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記生物輸送用装置の位置情報と前記生物の位置情報とを用いて、前記生物側位置検出部と前記装置側位置検出部との距離を算出し、算出した前記距離が予め定められた規定値以上となった場合に、前記生物が逃亡したと判断する判断部を有する。この形態によれば、制御装置は、生物側位置検出部によって検出された生物の位置情報と、装置側位置検出部によって検出された生物輸送用装置の位置情報と、を用いて、生物側位置検出部と装置側位置検出部との距離を算出することができる。そして、算出された距離を示す値と予め定められた規定値とを比較することで、生物が逃亡したか否かを判断することができる。つまり、生物輸送用システムは、生物側位置検出部と装置側位置検出部との距離を用いて、生物が逃亡したか否かを感知することができる。これにより、実験動物を含む各種生物を輸送する生物輸送システムにおいて、操縦者等のユーザが生物の逃亡に気付かない可能性を低減することができる。
(2)上記形態であって、前記制御装置は、前記制御装置は、さらに、外部からの指示を受け付けた場合に、前記判断部に対して予め定められたコマンドを送信する条件設定部を有し、前記判断部は、前記コマンドを受信した場合に、前記生物が逃亡したか否かの判断を中止してもよい。この形態によれば、外部からの指示を受け付けた場合に、条件設定部が判断部に対してコマンドを送信することで、生物が逃亡したか否かの判断を中止することができる。これにより、生物が逃亡したか否かの判断を状況に応じて中止することができる。
(3)上記形態であって、前記制御装置は、さらに、外部からの指示を受け付けた場合に、前記判断部に対して予め定められたコマンドを送信する条件設定部を有し、前記判断部は、前記コマンドを受信した場合には、前記コマンドを受信していない場合よりも前記規定値を大きい値に設定してもよい。この形態によれば、外部からの指示を受け付けた場合に、条件設定部が判断部に対してコマンドを送信することで、コマンドを受信していない場合よりも規定値を大きい値に設定できる。これにより、判断条件としての規定値を状況に応じて設定することができる。
(4)上記形態であって、さらに、前記規定値を含む判断条件を設定するための入力操作部を備えてもよい。この形態によれば、生物の逃亡を判断するに際して、所望の規定値を設定することができる。
(5)上記実施形態であって、前記判断条件は、さらに、前記生物輸送用システムの移動経路を含み、前記判断部は、さらに、前記装置側位置検出部の位置情報が示す位置が前記移動経路から外れている経路外状態か否かを判断し、前記経路外状態である場合には、算出した前記距離が前記規定値以上であるか否かに関わらず前記生物が逃亡したと判断してもよい。この形態によれば、生物側位置検出部と装置側位置検出部との距離が規定値未満であっても、経路外状態の場合には、生物が逃亡したと判断することができる。これにより、経路外状態となった場合にも、生物が逃亡したことを感知することができる。
(6)上記実施形態であって、さらに、前記判断部によって前記生物が逃亡したと判断された場合に、警告を出力する警告出力部を備えてもよい。この形態によれば、生物が逃亡したと判断された場合に、警告を出力することができる。これにより、操縦者等のユーザが生物の逃亡に気付かない可能性をさらに低減することができる。さらに、生物が逃亡したことをより早くユーザが感知できることで、逃亡した生物の探索や捕獲を迅速に開始することができる。
(7)上記実施形態であって、前記判断部は、予め定められた時間を超えて継続して、算出した前記距離が前記規定値以上となった場合に、前記生物が逃亡したと判断してもよい。この形態によれば、生物側位置検出部と装置側位置検出部との少なくとも一方が検出した位置情報に誤差が生じた場合や、位置情報の検出が一時的に途絶えた場合において、生物が逃亡したと誤って判断される可能性を低減することができる。
(8)上記実施形態であって、前記生物側位置検出部と、前記装置側位置検出部とはそれぞれ、GNSS受信機であり、前記距離は、前記生物の位置情報が示す位置と、前記生物輸送用装置の位置情報が示す位置と、の差分であってもよい。この形態によれば、GNSS衛星から発信される電波を、生物側位置検出部と装置側位置検出部とがそれぞれ受信することで、生物と生物輸送用装置との位置情報を検出することができる。これにより、生物側位置検出部と装置側位置検出部との距離を容易に算出することができる。
本開示は、上記の生物輸送用システム以外の種々の形態で実現することが可能である。例えば、生物輸送用システムの制御方法、その制御方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施系形態における生物輸送用システムの概略構成を示す模式図。
【
図2】第1実施形態の制御装置と位置検出部との概略構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態の生物輸送用システムの制御方法を示すフローチャート。
【
図4】第2実施形態における生物輸送用システムの概略構成を示す模式図。
【
図5】第2実施形態の制御装置と位置検出部との概略構成を示すブロック図。
【
図6】第2実施形態の生物輸送用システムの制御方法を示すフローチャート。
【
図7】生物輸送用システムと動物実験用システムとの概略構成を示す模式図。
【
図8】制御装置と位置検出部と通信装置との概略構成を示すブロック図。
【
図9】第3実施形態における生物輸送用システムの制御方法と動物実験の流れとを説明するためのフローチャート。
【
図10】第4実施形態における生物輸送用システムの制御方法と動物実験の流れとを説明するためのフローチャート。
【
図11】第5実施形態の生物輸送用システムの制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施系形態における生物輸送用システム1の概略構成を示す模式図である。生物輸送用システム1は、1個体以上の生物Aを輸送すると共に、生物Aの逃亡を感知するシステムである。ここで言う生物Aには、動物実験に用いられる実験動物が含まれる。本実施形態では、生物輸送用システム1を用いて、生物Aとして実験動物である豚を輸送する。例えば、生物輸送用システム1を用いたサービスを提供する事業者(以下、事業者)が、動物実験を実施する団体等(以下、客先)から依頼を受けた場合に、事業者は、生物輸送用システム1を用いて生物Aを客先に輸送する。そして、客先において、動物実験が実施される。生物輸送用システム1は、生物輸送用装置10と、生物側位置検出部191と、装置側位置検出部としての輸送用装置側位置検出部195と、実験設備15と、制御装置17と、を備える。生物側位置検出部191とおよび輸送用装置側位置検出部195と、制御装置17とは、例えば、無線通信によってデータ通信可能である。
【0009】
生物輸送用装置10は、生物Aを収容して輸送する。生物輸送用装置10は、収容室13と、コンテナ19と、第1移動体11とを備える。収容室13は、輸送対象とする生物Aを収容する。収容室13は、例えば、檻を形成するケージである。収容室13の形状は、例えば、縦の長さと、横の長さと、高さとがそれぞれ1メートル程度の直方体形状である。
図1に示す例では、1つの収容室13に1個体の生物Aが収容されている。なお、生物輸送用装置10に設けられる収容室13の数や収容室13の形状、1つの収容室13に収容される個体数などは、これに限られるものではない。
【0010】
コンテナ19は、収容室13と、輸送用装置側位置検出部195と、実験設備15と、制御装置17とを内部に収容する。コンテナ19は、第1移動体11に牽引されて移動可能となる、いわゆるトレーラである。そして、第1移動体11は、コンテナ19を移動可能に支持する。本実施形態では、第1移動体11は、コンテナ19を牽引するトラクタである。つまり、本実施形態では、生物輸送用装置10は、トラクタとしての第1移動体11と、トレーラとしてのコンテナ19と、を含む牽引車両である。
【0011】
生物Aには、生物側位置検出部191が配置される。生物側位置検出部191は、生物Aの位置情報を検出する。本実施形態では、生物側位置検出部191は、GNSS受信機である。つまり、生物側位置検出部191は、GNSS衛星からの電波を受信して、生物Aの位置情報を検出する。なお、GNSSとは、Global Navigation Satellite Systemの頭字語であり、全球測位衛星システムを意味する。生物側位置検出部191は、輸送用装置側位置検出部195との距離を算出するために設けられる。生物側位置検出部191は、生物Aの位置情報を制御装置17に送信する。
図1に示す例では、生物側位置検出部191が取り付けられた首輪を生物Aに装着することで、生物Aに生物側位置検出部191が配置される。このように、生物側位置検出部191は、生物Aの体の一部に取り付ける取付型であってもよく、生物Aの体の一部に埋め込む埋め込み型であってもよい。また、生物輸送用システム1によって輸送される生物Aは、2個体以上であってもよい。生物輸送用システム1によって輸送される生物Aが2個体以上である場合、個体間の種類の異同は問わない。
【0012】
輸送用装置側位置検出部195は、生物輸送用装置10の位置情報を検出する。本実施形態では、輸送用装置側位置検出部195は、GNSS受信機である。つまり、輸送用装置側位置検出部195は、GNSS衛星からの電波を受信して、生物輸送用装置10の位置情報を検出する。輸送用装置側位置検出部195は、生物Aに配置された生物側位置検出部191との距離を算出するために設けられる。輸送用装置側位置検出部195は、生物輸送用装置10に配置され、例えば、コンテナ19の内部において中央付近に設けられる。輸送用装置側位置検出部195は、生物輸送用装置10の位置情報を制御装置17に送信する。
【0013】
実験設備15は、動物実験を実施するために用いられる機器である。実験設備15は、例えば、実験動物を載置するための手術台、実験動物に所望の施術を行うために用いられる器具や装置などを含む。実験設備15は、コンテナ19の内部に配置される。
【0014】
図2は、制御装置17と位置検出部191,195との概略構成を示すブロック図である。制御装置17は、生物輸送用システム1の動作を制御すると共に、生物Aが逃亡したか否かを判断する機能を備える。制御装置17は、通信部161と、ディスプレイ163と、入力操作部165と、記憶部167と、CPU170と、警告出力部179とを備える。制御装置17は、例えば、各構成要素161,163,165,167,170を備えるパーソナルコンピュータである。なお、制御装置17は、タブレット型の端末機器や、スマートフォンなどであってもよい。制御装置17の少なくとも一部の機能は、ハードウェア回路によって実現されてもよい。制御装置17は、生物輸送用装置10に配置され、例えば、コンテナ19の内部に設けられる。
【0015】
制御装置17と、生物側位置検出部191と、輸送用装置側位置検出部195とは、通信部161を介して通信可能に接続されている。生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195とが検出した位置情報は、通信部161を介してCPU170に送信される。ディスプレイ163は、例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ163には、CPU170の指令に応じて、例えば、生物Aの逃亡に係る情報や生物Aが逃亡したか否かを判断するための判断条件を設定するための設定画面が表示される。入力操作部165は、外部からの指示を受け付ける。外部からの指示は、例えば、事業者や生物輸送用システム1を操縦する操縦者など、生物輸送用システム1のユーザにからの指示である。具体的には、入力操作部165は、生物Aが逃亡したか否かを判断するための判断条件を入力するために用いられる。入力操作部165は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルを有する。
【0016】
記憶部167は、生物輸送用システム1の動作を制御する各種プログラムと、入力操作部165を介して入力された判断条件とを記憶する。記憶部167は、RAMやROM、書き換え可能な不揮発性メモリなどを含む。
【0017】
CPU170は、記憶部167に記憶された各種プログラムを展開することにより、取得部171と、演算部173と、判断部177として機能する。
【0018】
取得部171は、生物側位置検出部191によって受信されたGNSS衛星からの電波を用いて、生物Aの位置情報を取得する。さらに、取得部171は、輸送用装置側位置検出部195によって受信されたGNSS衛星からの電波を用いて、生物輸送用装置10の位置情報を取得する。
【0019】
演算部173は、生物輸送用装置10の位置情報と生物Aの位置情報とを用いて、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。本実施形態では、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離は、生物輸送用装置10の位置情報が示す位置と、生物Aの位置情報が示す位置と、の差分である。
【0020】
判断部177は、生物輸送用システム1から生物Aが逃亡したか否かを判断する。具体的には、判断部177は、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が予め定められた規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断する。つまり、判断部177は、生物Aの位置情報が示す位置と、生物輸送用装置10の位置情報が示す位置との差分が規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断する。なお、規定値は、例えば、収容室13の大きさや後述するコンテナ19の大きさに応じて定められる。
【0021】
判断部177は、さらに、予め定められた時間を超えて継続して、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断してもよい。つまり、判断部177は、予め定められた時間を超えて継続して、生物Aの位置情報が示す位置と生物輸送用装置10の位置情報が示す位置との差分が規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断してもよい。さらに、判断部177は、生物Aが逃亡したと判断した場合に、警告出力部179に対して、警告を出力するための指令を送信する。
【0022】
警告出力部179は、警告出力に係る判断部177からの指示を受信した場合に、警告を出力する。警告出力部179は、生物Aが逃亡したと判断されたことを通知する機器である。警告出力部179は、例えば、警告画面を表示させるディスプレイ163や、警報音を鳴らすブザー、ランプを点灯させることで警告を出力する警告ランプである。
【0023】
図3は、第1実施形態の生物輸送用システム1の制御方法を示すフローチャートである。まず、ステップS11おいて、取得部171が、生物Aの位置情報と生物輸送用装置10の位置情報とを取得する。次に、ステップS21において、演算部173が、生物Aの位置情報が示す位置(緯度および経度)と生物輸送用装置10の位置情報が示す位置(緯度および経度)との差分を計算して、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。そして、ステップS31において、判断部177が、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離を用いて、生物輸送用システム1から生物Aが逃亡したか否かを判断する。本実施形態では、判断部177は、10秒を超えて継続して、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が5メートル以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断する。つまり、生物Aの逃亡を判断するための規定値は5メートルであり、予め定められた時間は10秒である。よって、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が5メートル未満である場合や、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が5メートル以上であっても、この状態が10秒を超えて継続していない場合には、生物Aは逃亡していないと判断される(ステップS31:No)。生物Aが逃亡していないと判断された場合には、ステップS11に戻り、ステップS11~ステップS31までの各工程が再び実行される。
【0024】
これに対して、10秒を超えて継続して、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が5メートル以上となった場合には、生物Aが逃亡したと判断される(ステップS31:Yes)。生物Aが逃亡したと判断された場合には、ステップS41において、警告が出力される。警告は、例えば、生物輸送用システム1の操縦者と、事業者と、その事業者と契約している警備会社とのそれぞれに対して、自動的に通知される。このとき、逃亡した生物Aの位置(現在地)を生物Aの位置情報から特定し得るように、生物Aの位置情報が示す位置がユーザに通知されるように設定されていてもよい。これにより、例えば、生物Aが逃亡したと判断されて警告が出力された場合には、警備会社は、生物側位置検出部191による生物Aの位置情報が示す位置を頼りに、生物Aの現在地を確認して、逃亡した生物Aを探索し捕獲する。
【0025】
上記第1実施形態によれば、生物Aを輸送する生物輸送用システム1は、生物Aを収容して輸送する生物輸送用装置10と、生物側位置検出部191と、輸送用装置側位置検出部195と、制御装置17とを備える。生物側位置検出部191は、生物Aに配置され、生物Aの位置情報を検出する。輸送用装置側位置検出部195は、生物輸送用装置10に配置され、生物輸送用装置10の位置情報を検出する。制御装置17は、取得部171と、演算部173と、判断部177とを有する。取得部171は、生物側位置検出部191によって検出された生物Aの位置情報から生物Aの位置を取得する。さらに、取得部171は、輸送用装置側位置検出部195によって検出された生物輸送用装置10の位置情報から生物輸送用装置10の位置を取得する。演算部173は、生物輸送用装置10の位置情報と生物Aの位置情報とを用いて、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195と距離を算出する。判断部177は、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が予め定められた規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断する。このようにすると、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出することができる。そして、判断部177が、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離を示す値と、生物Aが逃亡したか否かを判断するための判断条件としての規定値と、を比較することで、生物Aが逃亡したか否かを判断することができる。これにより、生物Aを輸送する生物輸送用システム1を用いて、生物Aの逃亡を感知することができる。よって、操縦者等のユーザが輸送中における生物Aの逃亡に気付かない可能性を低減することができる。
【0026】
また、上記第1実施形態によれば、制御装置17は、警告出力部179を備える。判断部177によって生物Aが逃亡したと判断された場合に、警告出力部179は、生物Aが逃亡したことを通知するために、ユーザに対して警告を出力する。このようにすると、操縦者が輸送中における生物Aの逃亡に気付かない可能性をさらに低減することができる。また、警備会社に対して自動的に警告が出力されるように設定されている場合には、警備会社は、生物側位置検出部191による生物Aの位置情報が示す位置を頼りに、速やかに逃亡した生物Aの探索や捕獲を開始することができる。
【0027】
また、上記第1実施形態によれば、判断部177は、予め定められた時間を超えて継続して、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断する。このようにすると、生物Aと生物輸送用装置10との少なくとも一方の位置情報に一時的な誤差が生じた場合や、位置情報の取得が一時的に途絶えた場合において、生物Aが逃亡したと誤って判断される可能性を低減することができる。
【0028】
また、上記第1実施形態によれば、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195とはそれぞれ、GNSS衛星から発信される電波を受信して、位置情報を検出するGNSS受信機である。そして、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離は、生物Aの位置情報が示す位置と、生物輸送用装置10の位置情報が示す位置と、の差分である。このようにすると、生物側位置検出部191がGNSS衛星から発信される電波を受信することで、生物Aの位置情報を検出することができる。また、輸送用装置側位置検出部195がGNSS衛星から発信される電波を受信することで、生物輸送用装置10の位置情報を検出することができる。これにより、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離を容易に算出することができる。
【0029】
また、上記第1実施形態によれば、生物Aは、動物実験において用いられる実験動物である。そして、生物輸送用システム1は、さらに、動物実験を実施するために用いられる実験設備15を備える。このようにすると、生物輸送用システム1を用いて生物Aを所望の場所に輸送すると共に、生物輸送用装置10内において、動物実験を実施することができる。この場合、生物Aを生物輸送用装置10の外部に移動させることなく、動物実験を実施することができるため、生物Aが外部に逃亡する可能性をさらに低減することができる。
【0030】
また、上記第1実施形態によれば、輸送用装置側位置検出部195や制御装置17を内部に収容するコンテナ19と第1移動体11とは別体に構成されている。生物輸送用装置10は、第1移動体11によって牽引されることで移動可能となる。このようにすると、2以上の生物輸送用装置10が存在する場合に、第1移動体11に牽引させる生物輸送用装置10を容易に変更することができる。
【0031】
また、上記第1実施形態によれば、生物輸送用システム1は、生物Aが逃亡したか否かを判断する判断部177を備える。これにより、生物輸送用システム1は、生物Aが逃亡した場合に、生物Aの逃亡を感知することができる。よって、逃亡した生物Aが自然界に及ぼす影響を抑えることができる。
【0032】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における生物輸送用システム2の概略構成を示す模式図である。生物輸送用システム2は、第1実施形態における生物輸送用システム1と同様に、1個体以上の生物Aを輸送すると共に、生物Aの逃亡を感知するシステムである。本実施形態では、第1実施形態(
図1)と同様に、生物輸送用装置20は、トラクタとしての第1移動体11と、トレーラとしてのコンテナ29と、を含む牽引車両である。本実施形態では、生物輸送用システム2の構成の一部が第1実施形態とは異なる。第1実施形態における各ステップと同一のステップ、および、第1実施形態における構成と同一の構成については、同一の符号を付すと共に、説明を省略する。
【0033】
本実施形態では、生物輸送用装置20は、2つの収容室13,14と、輸送用装置側位置検出部195と、制御装置27と、コンテナ29とを備える。2つの収容室13,14と、輸送用装置側位置検出部195と、制御装置27とは、コンテナ29の内部に収容されている。
【0034】
図4に示す例では、2つの収容室13,14にそれぞれ1個体の生物A1,A2が収容されている。2つの収容室13,14に収容されている生物A1,A2にはそれぞれ、生物側位置検出部291,292が取り付けられる。以下において、2つの収容室13,14を区別する必要がある場合には、第1収容室13、および、第2収容室14と呼ぶ。第1収容室13の構成と第2収容室14の構成とは同一である。第1収容室13に収容されている生物A1を第1生物A1とも呼び、第2収容室14に収容されている生物A2を第2生物A2とも呼ぶ。第1生物A1と第2生物A2とはいずれも実験動物としての豚である。第1生物A1に取り付けられた生物側位置検出部291を生物側第1位置検出部291とも呼び、第2生物A2に取り付けられた生物側位置検出部292を生物側第2位置検出部292とも呼ぶ。つまり、本実施形態では、生物輸送用システム2は、実験設備15の代わりに、第2収容室14を備える。そして、生物輸送用システム2は、第1生物A1と第2生物A2とを輸送する。なお、
図4では、生物側位置検出部291,292は、前述した取付型であるが、本開示はこれに限られるものではない。生物側位置検出部291,292は、前述した埋め込み型であってもよい。
【0035】
生物側第1位置検出部291は、第1生物A1の位置情報を検出する。本実施形態では、生物側第1位置検出部291は、GNSS受信機である。つまり、生物側第1位置検出部291は、GNSS衛星からの電波を受信して、第1生物A1の位置情報を検出する。生物側第1位置検出部291は、輸送用装置側位置検出部195との距離を算出するために設けられる。生物側第1位置検出部291は、第1生物A1の位置情報を制御装置27に送信する。
【0036】
生物側第2位置検出部292は、第2生物A2の位置情報を検出する。本実施形態では、生物側第2位置検出部292は、GNSS受信機である。つまり、生物側第2位置検出部292は、GNSS衛星からの電波を受信して、第2生物A2の位置情報を検出する。生物側第2位置検出部292は、輸送用装置側位置検出部195との距離を算出するために設けられる。生物側第2位置検出部292は、第2生物A2の位置情報を制御装置27に送信する。
【0037】
図5は、制御装置27と位置検出部291,292,195との概略構成を示すブロック図である。制御装置27は、生物輸送用システム2の動作を制御すると共に、生物A1,A2が逃亡したか否かを判断する機能を備える。制御装置27は、通信部161と、ディスプレイ163と、入力操作部165と、記憶部167と、CPU270と、警告出力部279とを備える。制御装置27は、例えば、各構成要素161,163,165,167,270を備えるコンピュータである。制御装置27と、生物側第1位置検出部291と、生物側第2位置検出部292と、輸送用装置側位置検出部195とは、通信部161を介して通信可能に接続されている。生物側第1位置検出部291と、生物側第2位置検出部292と、輸送用装置側位置検出部195とが検出した位置情報は、通信部161を介してCPU270に送信される。
【0038】
CPU270は、記憶部167に記憶された各種プログラムを展開することにより、取得部271と、演算部273と、判断部277として機能する。
【0039】
取得部271は、生物側第1位置検出部291によって受信されたGNSS衛星からの電波を用いて、第1生物A1の位置情報を取得する。さらに、取得部271は、生物側位置検出部292によって受信されたGNSS衛星からの電波を用いて、第2生物A2の位置情報を取得する。さらに、取得部271は、輸送用装置側位置検出部195によって受信されたGNSS衛星からの電波を用いて、生物輸送用装置20の位置情報を取得する。
【0040】
演算部273は、生物輸送用装置20の位置情報と第1生物A1の位置情報とを用いて、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。本実施形態では、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離は、生物輸送用装置20の位置情報が示す位置と、第1生物A1の位置情報が示す位置と、の差分である。さらに、演算部273は、生物輸送用装置20の位置情報と第2生物A2の位置情報とを用いて、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。本実施形態では、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離は、生物輸送用装置20の位置情報が示す位置と、第2生物A2の位置情報が示す位置と、の差分である。
【0041】
判断部277は、生物輸送用システム2から第1生物A1と第2生物A2とが逃亡したか否かを判断する。具体的には、判断部277は、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離が予め定められた規定値としての第1規定値以上となった場合に、第1生物A1が逃亡したと判断する。さらに、判断部277は、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離が予め定められた規定値としての第2規定値以上となった場合に、第2生物A2が逃亡したと判断する。なお、第1規定値と第2規定値は、同一の値であってもよく、異なる値であってもよい。第1規定値は、例えば、第1収容室13の大きさやコンテナ29の大きさに応じて定められる。また、第2規定値は、例えば、第2収容室14の大きさやコンテナ29の大きさに応じて定められる。
【0042】
判断部277は、さらに、予め定められた時間を超えて継続して、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離が第1規定値以上となった場合に、第1生物A1が逃亡したと判断してもよい。判断部277は、さらに、予め定められた時間を超えて継続して、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離が第2規定値以上となった場合に、第2生物A2が逃亡したと判断してもよい。そして、判断部277は、第1生物A1と第2生物A2との少なくとも一方が逃亡したと判断した場合に、警告を出力するための指令を警告出力部279に対して送信する。
【0043】
警告出力部279は、警告出力に係る判断部177からの指示を受信した場合に、警告を出力する。
【0044】
図6は、第2実施形態の生物輸送用システム2の制御方法を示すフローチャートである。まず、ステップS12において、取得部271が、第1生物A1の位置情報と、第2生物A2の位置情報と、生物輸送用装置20の位置情報とを取得する。次に、ステップS22において、演算部273が、第1生物A1の位置情報が示す位置と生物輸送用装置20の位置情報が示す位置との差分を計算して、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。さらに、演算部273は、第2生物A2の位置情報が示す位置と生物輸送用装置20の位置情報が示す位置との差分を計算して、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。そして、ステップS32において、判断部277が、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離を用いて、生物輸送用システム2から第1生物A1が逃亡したか否かを判断する。本実施形態では、判断部277は、10秒を超えて継続して、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離が5メートル以上となった場合に、第1生物A1が逃亡したと判断する。さらに、判断部277は、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離を用いて、生物輸送用システム2から第2生物A2が逃亡したか否かを判断する。本実施形態では、判断部277は、10秒を超えて継続して、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離が5メートル以上となった場合に、第2生物A2が逃亡したと判断する。第1生物A1と第2生物A2とのいずれも逃亡していないと判断された場合には、ステップS12に戻り、ステップS12~ステップS32までの各工程が再び実行される(ステップS32:No)。これに対して、第1生物A1と第2生物A2との少なくとも一方が逃亡したと判断された場合には、ステップS42において、警告が出力される。
【0045】
上記第2実施形態によれば、第1生物A1と第2生物A2とを輸送する生物輸送用システム2は、生物輸送用装置20と、生物側第1位置検出部291と、生物側第2位置検出部292と、輸送用装置側位置検出部195と、制御装置27とを備える。生物側第1位置検出部291は、第1生物A1に配置され、第1生物A1の位置情報を検出する。生物側第2位置検出部292は、第2生物A2に配置され、第2生物A2の位置情報を検出する。輸送用装置側位置検出部195は、生物輸送用装置20に配置され、生物輸送用装置20の位置情報を検出する。制御装置27は、CPU270と、警告出力部279とを備える。CPU270は、取得部271と、演算部273と、判断部277とを有する。取得部271は、生物側第1位置検出部291が検出した第1生物A1の位置情報と、生物側第2位置検出部292が検出した第2生物A2の位置情報と、輸送用装置側位置検出部195が検出した生物輸送用装置20の位置情報とを取得する。演算部273は、第1生物A1の位置情報と生物輸送用装置20の位置情報とを用いて、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。さらに、演算部273は、第2生物A2の位置情報と生物輸送用装置20の位置情報とを用いて、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出する。判断部277は、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離が規定値としての第1規定値以上となった場合に、第1生物A1が逃亡したと判断する。さらに、判断部277は、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離が規定値としての第2規定値以上となった場合に、第2生物A2が逃亡したと判断する。このようにすると、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出することができる。さらに、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離を算出することができる。そして、判断部277が、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離を示す値と、判断条件としての第1規定値と、を比較することで、第1生物A1が逃亡したか否かを判断することができる。さらに、判断部277が、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離を示す値と、判断条件としての第2規定値と、を比較することで、第2生物A2が逃亡したか否かを判断することができる。これにより、第1生物A1と第2生物A2とを輸送する生物輸送用システム2を用いて、第1生物A1と第2生物A2との逃亡を感知することができる。よって、操縦者等のユーザが輸送中における生物A1,A2の逃亡に気付かない可能性をさらに低減することができる。
【0046】
また、上記第2実施形態によれば、生物輸送用システム2は、生物輸送用装置20における実験設備15の代わりに、第2収容室14を備える。これにより、生物輸送用システム2を用いてより多くの生物Aを輸送することができる。
【0047】
C.第3実施形態:
図7は、生物輸送用システム3と動物実験用システム8との概略構成を示す模式図である。生物輸送用システム3は、1個体以上の生物A1,A2を輸送すると共に、生物Aの逃亡を感知するシステムである。本実施形態では、生物輸送用システム3は、制御装置37の構成の一部が第2実施形態(
図5)とは異なる。第2実施形態における各ステップと同一のステップ、および、第2実施形態における構成と同一の構成については、同一の符号を付すと共に、説明を省略する。なお、制御装置37を除き、本実施形態における生物輸送用システム3の構成は、第2実施形態における生物輸送用システム2(
図4)と同一である。
【0048】
動物実験用システム8は、生物輸送用システム3によって輸送されてきた生物A1,A2を生物輸送用システム3から移動させて収容した状態で、動物実験を実施するためのシステムである。例えば、
図7に示すように、動物実験を実施する団体等(以下、客先)から依頼を受けた場合に、事業者が、第1地点(例えば、実験動物の飼育施設)から生物輸送用システム3を用いて生物A1,A2を客先に輸送する。さらに、事業者は、第1地点とは異なる第2地点から動物実験用システム8を用いて実験設備15を客先に輸送する。そして、客先において、生物輸送用システム3の収容室13,14に収容された生物A1,A2を動物実験用システム8へと移動させて載せ替えることで、動物実験が実施される。動物実験用システム8は、実験装置側位置検出部895と、実験装置85と、通信装置87とを備える。
【0049】
実験装置85は、生物輸送用システム3によって輸送されてきた生物A1,A2を収容して動物実験を実施するための装置である。実験装置85は、2つの収容室83,84と、実験設備15と、コンテナ89と、第2移動体81とを備える。コンテナ89は、実験設備15と、実験装置側位置検出部895と、通信装置87とを内部に収容する。2つの収容室83,84は、動物実験の対象とする生物Aを収容する。2つの収容室83,84はそれぞれ、例えば、檻を形成するケージである。コンテナ89は、第2移動体81に牽引されて移動可能となる、いわゆるトレーラである。そして、第2移動体81は、コンテナ89を移動可能に支持する。本実施形態では、第2移動体81は、コンテナ89を牽引するトラクタである。つまり、本実施形態では、実験装置85は、トラクタとしての第2移動体81と、トレーラとしてのコンテナ89と、を含む牽引車両である。
【0050】
実験装置側位置検出部895は、実験装置85の位置情報を検出する。本実施形態では、実験装置側位置検出部895は、GNSS受信機である。つまり、実験装置側位置検出部895は、GNSS衛星からの電波を受信して、実験装置85の位置情報を検出する。実験装置側位置検出部895は、生物輸送用システム3によって輸送されてきた生物A1,A2を実験装置85のコンテナ89内に収容して動物実験を実施する際に、生物A1,A2に配置された生物側位置検出部291,292との距離を算出するために設けられる。実験装置側位置検出部895は、実験装置85に配置される。実験装置側位置検出部895は、実験装置85の位置情報を制御装置27に送信する。
【0051】
図8は、制御装置37と位置検出部195,291,292,895と通信装置87との概略構成を示すブロック図である。通信装置87は、制御装置37と実験装置側位置検出部895とを通信可能に接続する。実験装置側位置検出部895が検出した実験装置85の位置情報は、通信装置87を介して、制御装置37に送信される。
【0052】
制御装置37は、生物輸送用システム3の動作を制御すると共に、生物A1,A2が逃亡したか否かを判断する機能を備える。制御装置37は、通信部161と、ディスプレイ163と、入力操作部165と、記憶部167と、CPU370と、警告出力部279とを備える。制御装置37は、例えば、各構成要素161,163,165,167,370を備えるコンピュータである。制御装置37と、生物側第1位置検出部291と、生物側第2位置検出部292と、輸送用装置側位置検出部195とは、通信部161を介して通信可能に接続されている。また、通信装置87と通信部161とは通信可能に接続されている。生物側第1位置検出部291と、生物側第2位置検出部292と、装置側位置検出部195とが検出した位置情報は、通信部161を介してCPU370に送信される。また、実験装置側位置検出部895が検出した位置情報は、通信装置87と通信部161とをこの順で経由して、CPU370に送信される。
【0053】
CPU370は、さらに、前述した取得部271、演算部273、および、判断部277に加えて、条件設定部275として機能する。条件設定部275は、外部からの指示を受け付けた場合に、判断部277に対して予め定められたコマンドを送信する。コマンドは、例えば、入力操作部165を介して、ユーザから指示を受け付けた場合に、判断部277に対して送信される。以下において、本実施形態のコマンドを中止コマンドと呼ぶ。条件設定部275は、生物A1,A2が逃亡したか否かの判断を中止する指示を受け付けた場合に、判断部277に対して中止コマンドを送信する。判断部277は、中止コマンドを受信した場合に、生物A1,A2が逃亡したか否かの判断を中止する。なお、生物A1,A2が逃亡したか否かの判断を中止する時間は、予め定められた値に固定されていてもよく、中止コマンドの送信に際して都度設定されてもよい。また、中止コマンドが送信される日時が予め設定されていてもよい。
【0054】
例えば、生物輸送用システム3から動物実験用システム8へと生物A1,A2を移動させる場合には、生物A1,A2が収容室13,14に収容されている場合と比べて、距離が大きくなることが予め分かっている。ここで言う「距離」とは、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離、および、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離である。つまり、生物輸送用システム3から動物実験用システム8へと生物A1,A2を移動させて距離が大きくなった場合に、判断部277によって、誤って生物A1,A2が逃亡したと判断されて、不必要に警告出力部279によって警告が出力される可能性が生じ得る。そこで、生物輸送用システム3から動物実験用システム8へと生物A1,A2を移動させて載せ替える場合には、ユーザによって入力された指示など、外部から受け付けた指示に応じて、条件設定部275は、判断部277に対して、中止コマンドを送信する。
【0055】
なお、生物A1,A2をコンテナ89内に収容した後には、中止コマンドを停止するためのコマンド(以下、再開コマンド)が入力されることが好ましい。判断部277は、再開コマンドを受信した場合に、生物A1,A2が逃亡した否かの判断を再開する。再開される場合、判断部277は、実験装置側位置検出部895と生物側位置検出部291,292との距離が予め定められた規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断する。
【0056】
図9は、第3実施形態における生物輸送用システム3の制御方法と動物実験の流れとを説明するためのフローチャートである。まず、ステップS51において、判断部277は、条件設定部275からの中止コマンドを受信したか否かを確認する。中止コマンドを受信していない場合には、判断部277は、予め定められた規定値に基づいて、生物A1,A2が逃亡したか否かの判断を継続する(ステップS51:No)。中止コマンドを受信していない場合における判断部277の制御態様は、第2実施形態(
図6)と同様である。中止コマンドを受信した場合には、判断部277は、ステップS81を実行する(ステップS51:Yes)。ステップS81において、判断部277は、生物A1,A2が逃亡したか否か判断を中止する。
【0057】
上記第3実施形態によれば、
図7に示すように、第1生物A1と第2生物A2とを輸送する生物輸送用システム3は、生物輸送用装置20と、生物側第1位置検出部291と、生物側第2位置検出部292と、輸送用装置側位置検出部195と、制御装置37とを備える。生物輸送用システム3によって輸送されてきた生物A1,A2を生物輸送用システム3から移動させて収容した状態で、動物実験を実施するための動物実験用システム8は、実験装置側位置検出部895と、実験装置85と、通信装置87とを備える。実験装置側位置検出部895は、実験装置85に配置され、実験装置85の位置情報を検出する。通信装置87は、制御装置37と実験装置側位置検出部895とを通信可能に接続する。制御装置37は、CPU370と、警告出力部279とを備える。CPU370は、取得部271と、演算部273と、条件設定部275と、判断部277とを備える。条件設定部275は、外部からの指示を受け付けた場合に、判断部277に対して予め定められたコマンドを送信する。本実施形態では、コマンドは中止コマンドである。そして、判断部277は、中止コマンドを受信した場合に、生物A1,A2が逃亡したか否かの判断を中止する。このようにすると、生物A1,A2が逃亡したか否かの判断を状況に応じて中止することができる。これにより、例えば、生物A1,A2が収容室13,14に収容されている場合と比べて、距離が大きくなることが予め分かっている場合に、判断部277によって誤って生物A1,A2が逃亡したと判断される可能性を低減することができる。よって、距離が大きくなることが予め分かっている場合に、不必要に警告が出力されることを抑制できる。
【0058】
また、上記第3実施形態によれば、生物輸送用システム3と動物実験用システム8とを異なる場所から輸送して客先で合流させる。このようにすると、生物輸送用システム3と動物実験用システム8との保管場所や生物Aの飼育場所を限定することなく、任意の場所から生物Aと実験装置85とを輸送して、動物実験を実施することができる。
【0059】
D.第4実施形態:
本実施形態では、コマンドの種類と判断部277による制御態様とが第3実施形態(
図8)とは異なる。条件設定部275および判断部277以外の他の構成は、第3実施形態における生物輸送用システム3(
図7)および動物実験用システム8(
図7)と同一である。以下において、本実施形態におけるコマンドを規定外コマンドと呼ぶ。
【0060】
条件設定部275は、外部からの指示を受け付けた場合に、判断部277に対して予め定められたコマンドを送信する。条件設定部275は、規定値を現在の値よりも大きく設定する指示を受け付けた場合に、判断部277に対して規定外コマンドを送信する。判断部277は、規定外コマンドを受信した場合に、規定外コマンドを受信していない場合よりも規定値を大きい値に設定する。なお、規定外コマンドを送受信した場合における規定値は、予め定められ値に固定されていてもよく、規定外コマンドの送受信に際して都度設定されてもよい。また、規定外コマンドが送信される日時が予め設定されていてもよい。
【0061】
例えば、生物輸送用システム3から動物実験用システム8へと生物A1,A2を移動させて載せ替える場合には、生物A1,A2が収容室13,14に収容されている場合と比べて、距離が大きくなることが予め分かっている。ここで言う「距離」とは、生物側第1位置検出部291と輸送用装置側位置検出部195との距離、および、生物側第2位置検出部292と輸送用装置側位置検出部195との距離である。つまり、生物輸送用システム3から動物実験用システム8へと生物A1,A2を移動させて距離が大きくなった場合に、判断部277によって、誤って生物A1,A2が逃亡したと判断されて、不必要に警告出力部279によって警告が出力される可能性が生じ得る。そこで、生物輸送用システム3から動物実験用システム8へと生物A1,A2を移動させて載せ替える場合には、ユーザによって入力された指示など、外部から受け付けた指示に応じて、条件設定部275は、判断部277に対して、規定外コマンドを送信する。
【0062】
なお、生物A1,A2をコンテナ89内に収容した後には、規定外コマンドを停止するためのコマンド(以下、再開コマンド)が入力されることが好ましい。判断部277は、再開コマンドを受信した場合に、生物A1,A2が逃亡した否かの判断を再開する。再開される場合、判断部277は、実験装置側位置検出部895と生物側位置検出部291,292との距離が予め定められた規定値以上となった場合に、生物Aが逃亡したと判断する。
【0063】
図10は、第4実施形態における生物輸送用システム3の制御方法と動物実験の流れとを説明するためのフローチャートである。
図10では、
図9と同様に、客先からの依頼により、生物A1,A2が生物輸送用システム3を用いて第1地点から客先へと輸送され、動物実験用システム8が第1地点とは異なる第2地点から客先へと輸送された後の制御方法を示している。つまり、
図10では、客先において動物実験を実施するために、生物輸送用システム3から動物実験用システム8へと生物A1,A2を移動させる場合における制御方法を示している。
【0064】
まず、ステップS52において、判断部277は、条件設定部275からの規定外コマンドを受信したか否かを確認する。規定外コマンドを受信していない場合には、判断部277は、予め定められた規定値に基づいて、生物A1,A2が逃亡したか否かの判断を継続する(ステップS52:No)。規定外コマンドを受信していない場合における判断部277の制御態様は、第2実施形態(
図6)と同様である。規定外コマンドを受信した場合には、判断部277は、後のステップS82を実行するために、ステップS12とステップS22とをこの順で実行する。具体的には、ステップS12において、取得部271が位置情報を取得し、ステップS22において、演算部273が距離を算出する。そして、判断部277は、ステップS82を実行する(ステップS52:Yes)。ステップS82において、判断部277は、規定外コマンドを受信していない場合よりも規定値を大きい値に設定する。そして、第1生物A1と第2生物A2との少なくとも一方が逃亡したと判断された場合には、ステップS42において、警告が出力される。
【0065】
上記第4実施形態によれば、条件設定部275は、外部からの指示を受け付けた場合に、判断部277に対して予め定められたコマンドを送信する。本実施形態では、コマンドは、規定外コマンドである。そして、判断部277は、規定外コマンドを受信した場合に、規定外コマンドを受信していない場合よりも規定値を大きい値に設定する。このようにすると、判断条件としての規定値を、状況に応じて設定することができる。これにより、例えば、生物A1,A2が収容室13,14に収容されている場合と比べて、距離が大きくなることが予め分かっている場合に、判断部277によって誤って生物A1,A2が逃亡したと判断される可能性を低減することができる。よって、距離が大きくなることが予め分かっている場合に、不必要に警告が出力されることを抑制できる。
【0066】
また、上記第4実施形態によれば、生物輸送用システム3と動物実験用システム8とを異なる場所から輸送して客先で合流させる。このようにすると、生物輸送用システム3と動物実験用システム8との保管場所や生物Aの飼育場所を限定することなく、任意の場所から生物Aと実験装置85とを輸送して、動物実験を実施することができる。
【0067】
E.第5実施形態
本実施形態では、制御装置17による制御態様が第1実施形態(
図3)とは異なる。制御装置17以外の他の構成は、第1実施形態における生物輸送用システム1と(
図1)と同一である。なお、第2実施形態における生物輸送用システム2、第3実施形態における生物輸送用システム3、および、第4実施形態における生物輸送用システム3に対して、本実施形態の制御方法が実行されてもよい。
【0068】
本実施形態では、生物Aが逃亡したか否かを判断するための判断条件は、生物輸送用システム1の移動経路を含む。移動経路は、例えば、入力操作部165を介して入力される。判断部177は、さらに、輸送用装置側位置検出部195の位置情報が示す位置が移動経路から外れている経路外状態か否かを判断する。そして、判断部177は、経路外状態である場合に、算出した距離が規定値以上であるか否かに関わらず、生物Aが逃亡したと判断する。経路外状態である場合とは、例えば、生物輸送用システム1を構成する牽引車両が、車両ごと盗難された場合である。
【0069】
図11は、第5実施形態の生物輸送用システム1の制御方法を示すフローチャートである。まず、ステップS91において、判断部177は、経路外状態か否かを判断する。本実施形態では、判断部177は、輸送用装置側位置検出部195の位置情報が示す位置が移動経路から1キロメートル以上外れた場合に、経路外状態であると判断する(ステップS91:Yes)。そして、判断部177は、経路外状態であると判断された場合には、生物A1が算出した距離が規定値以上であるか否かに関わらず、生物Aが逃亡したと判断する。経路外状態ではないと判断された場合には、ステップS91が経路外状態であると判断されるまでの間に繰り返し実行される。経路外状態であると判断されて生物Aが逃亡したと判断された場合には、ステップS94において、警告が出力される。
【0070】
上記第5実施形態によれば、判断部177は、輸送用装置側位置検出部195の位置情報が示す位置が移動経路から外れている経路外状態か否かを判断する。そして、判断部177は、経路外状態である場合に、算出した距離が規定値以上であるか否かに関わらず、生物Aが逃亡したと判断する。そして、警告出力部179は、経路外状態であると判断されて生物A1が逃亡したと判断された場合には、警告を出力する。このようにすると、生物側位置検出部191と輸送用装置側位置検出部195との距離が規定値未満であっても、経路外状態の場合には、生物Aが逃亡したと判断して、警告を出力することができる。これにより、例えば、生物輸送用システム1を構成する牽引車両が車両ごと盗難された場合に、生物Aの現在地を速やかに確認することができる。そして、逃亡した生物Aの探索や捕獲を速やかに開始することができる。
【0071】
F.他の実施形態:
F-1.他の実施形態1:
上記第3実施形態および上記第4実施形態では、制御装置37は、警告出力部279と、CPU370のうちで条件設定部275とを有していた。しかし、本開示は、これに限られるものではない。例えば、生物輸送用システム1,2,3は、条件設定部275と警告出力部179,279とを有していなくてもよい。このような形態であっても、生物輸送用システム1,2,3を用いて生物Aを輸送することで、生物Aが逃亡した場合に、逃亡を感知することができる。
【0072】
F-2.他の実施形態2:
上記実施形態では、生物輸送用装置10,20は、トラクタとしての第1移動体11と、トレーラとしてのコンテナ19,29と、を含む牽引車両であった。また、実験装置85は、トラクタとしての第2移動体81と、トレーラとしてのコンテナ89と、を含む牽引車両であった。しかし、本開示は、これに限られるものではない。生物輸送用装置10,20と実験装置85とはそれぞれ、トラックのように、自走式の車両であってもよい。このような形態であっても、生物輸送用装置10,20や実験装置85を所望の場所へと輸送することができる。
【0073】
F-3.他の実施形態3:
上記実施形態では、生物側位置検出部191,291,292と輸送用装置側位置検出部195と実験装置側位置検出部895とはそれぞれ、GNSS受信機であった。つまり、上記実施形態では、GNSS衛星から発信される電波を用いて、生物側位置検出部191,291,292と輸送用装置側位置検出部195と実験装置側位置検出部895との位置情報を検出していた。しかし、本開示は、これに限られるものではない。生物側位置検出部191,291,292と輸送用装置側位置検出部195と実験装置側位置検出部895とはそれぞれ、他の方法で位置情報を検出してもよい。例えば、生物側位置検出部191,291,292と輸送用装置側位置検出部195と実験装置側位置検出部895とはそれぞれ、携帯電話基地局の電波を用いて、位置情報を検出してもよい。
【0074】
F-4.他の実施形態4:
上記実施形態では、1つの生物輸送用システム1,2,3に対して、1つの制御装置17,27,37が設けられていた。しかし、本開示は、これに限られるものではない。生物輸送用システム1,2,3は、制御装置17,27,37の代わりに、複数の生物輸送用システム1,2,3を一括して制御する中央監視装置によって制御されてもよい。このような形態であれば、複数の生物輸送用システム1,2,3のうちで、生物Aが逃亡したと判断された生物輸送用システム1,2,3に対して警告を出力することができる。
【0075】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,2,3…生物輸送用システム、8…動物実験用システム、10,20…生物輸送用装置、11…第1移動体、13,14,83,84…収容室、15…実験設備、17,27,37…制御装置、19,29,89…コンテナ、81…第2移動体、85…実験装置、87…通信装置、161…通信部、163…ディスプレイ、165…入力操作部、167…記憶部、170,270,370…CPU、171,271…取得部、173,273…演算部、177,277…判断部、179,279…警告出力部、191,291,292…生物側位置検出部、195…輸送用装置側位置検出部、275…条件設定部、895…実験装置側位置検出部、A,A1,A2…生物